• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 医 学 ) 山 口 晃 司

    

学 'ttL 論文題名

   Mixed chimera status of 12 patients with Wiskott‑Aldrich syndrome (WAS) after hematopoietic stem cell transplantation:

   '  evaluation by flow cytometric analysis of intracellular       WAS protein expression.

    

(血液幹細胞移植後のWiskott‑Aldrich syndrom (WAS) 患者

    12

症 例 に お け る 混 合 キ メ ラ 状 態 の 検 討 :

Flow Cytometry

による細胞内WAS 夕ンパク発現検索による評価)

学位論文内容の要旨

  (目的)Wiskott‑Aldrich Synclrome(以下WAS)はX染色体連鎖劣性遺伝の原発性免疫不全症で、

その病因はactinの調節/シグナル関連夕ンパク質と考えられているWAS夕ンパク分子(以下WASP) の異常である。WASは臨床的に易感染性、サイズの減少を伴う血小板減少、難治性湿疹が特徴で、頭 蓋内出血、重症感染症、悪性腫瘍の発生などで致死的となる疾患である。現在のところ血液幹細胞移植 以外にWASの根治療法はない。しかし、血液幹細胞移植による成績は一定ではなく、治療後ドナ叫田 胞とレシピェント細胞が混合キメラ(MC)となり、その状態が持続する患者も報告されている。我々は Flow cytometry (FCM)を 用いて細胞質内のWASP発現を解析する系を確立し、この系を用いてWAS の診断、WAS保因者の診断、体内で変異が解消した細胞群を有するWAS症例などを報告してきた。

本研究ではこの系を、血液幹細胞移植後のWAS症例における病態解析へ応用する事を試みた。さらに その結果から、WASPが血液細胞リネージごとの分化・増殖・存続に対して、生体内でどのような役 割を果たしているか考察した。

  (方 法)臨床的、遺伝子学的にWASと診断され丶1995年7月から2001年6月にかけて5施設にて 血 液幹 細胞 移植 を受 けたWAS患 者12症例 を対 象と した 。FCMによ るWASP発 現の 解析 はFioコぃ Hypaque比 重 遠 心 分 離 法 によ り採 取し た対 象 患者 の末 梢血 単核 球(PBMNC)に対 して 行っ た。

PBMNCを細 胞表 面CDマ ーカ ーCD4/8/20/56に てそ オ1ぞ れ染 色し、これ をfix and permeabilぬ した後、細胞質内のWASPを染色する二重染色を行った。染色した細胞をFCMにて解析し、各リネ ージごとにドナーノレシ ピェント細胞の比率を経時的に検討してMCを評価した。なおCD4/8陽性細 胞 に関 して はCD45RA/R〇 染色 も行 い、 三重 染色 に て検 討し た。PBM吋C以外の細胞のMCの評価 は、末梢血親睦球では分離後DNAを抽出してsequendngによる変異アレルと正常アレルの比率から、

骨髄細胞ではF聡H法(donorが女l生の場合)により、血小板はサイズのヒストグラムと数から推測し た 。ま た、 移植 前後 の血 清IgM、IgEレ ベル の変 化 を検 索し 、MCとの関連について検討した。

  鰄移 植後 のWAS症 例 をFCMに て解 析し た結 果、 個 々の 細胞 がド ナ一 由来mSbht)かレシ ピェント由来(WASPつか が容易に判別でき、リネージごとにMCの有無が判定できた。対象患者12

28 ‑

(2)

名 中 、 血 液 幹 細 胞 移 植 後 にMCを 認 め たの は6症例 であ っ た。MCの 有無 と他 因 子と の関 連を 検索 し た が、 変異の種類、患者年齢、血I液幹細胞移植の条件囃封宙細胞数、ドナーのタイプ、前処置方法など)、

移 植 後 のGVHDの有 無 など には 明か な相 関 は認 めら れな か った 。し かし 、移 植 後早 期に ドナ ーのCD56 陽性 細胞が生着を示した症例では 、MCとならない傾向にあっ た。

  MCを 認 めた6症 例は 経時 的な 検討 に おい て様 々な パ 夕一 ンを 呈し てい た が、 リン パ球よ りも単球の 方 がレ シ ピェ ント 優位 のMCで ある 傾向 が共 通 して いた 。さ らに 、顆粒球、骨髄細胞でのキ ヌラ状態を 検 討し た とこ ろ、単球の動向と一致 する傾向であった。患者の移 植後の血小板数、血小板サ イズの改善 度 は単 球 、顆 粒球、骨髄細胞におけ るドナ一細胞の比率とほIヨ 湘関していた。MCを認めた6症例の内、

3症 例 に お い てT細 胞 で の ナ イ ー プ ノ メ モ リ ー 細 胞 の 比 率 をCD45RA/RO染 色 で の 三 重 染 色 にて 検 討 した 。その結果、WASPbrlght(ド ナ一)細胞と異なり、WASPd11 (レシピェント)細胞 は移植後一年以 上 経っ て も多 くは ナイ ー ブ細 胞で 、ヌ モリ ー 細胞 の占 める 割合 は 少数 であ った 。 またこの 傾向はCD4 陽性 細胞の方に強く認めた。

  WASの 免 疫 学 的 異 常 と し て の 低IgM血症 と高IgE血症 を 多く の症 例で 認め た が、 移植 後、 ほと ん ど の 患 者 に お い て 血 清IgMの 増 加 と 、 血 清IgEの 低 下 を 認 め た 。 移 植後 にMCを 認め た症 例の 中で 、 ほ と ん ど のT細 胞 はWASPMgru( ド ナ 一 ) 細 胞 、 ほ と ん ど のB細 胞 と 単 球 はWASP曲 ( レ シ ピ ェ ン ト ) 細 胞 で あ る 特 筆 す べ き 一 例 を 認 め た が 、 そ の 症 例 に お い て も 低kM血 症 の 改 善 を 認 め た 。   (考 察 )FCMを 禾I亅 用 する こと によ り、本研究では従来の方 法に比し、簡便にしかも詳細 にHAS症例 に おけ る 血液 幹細 胞移 植 後のMCの 有無 を検 索 する こと が出 来た 。また、検出感度の違いに 基づく差の ため か、今回検出したMC|ま血液 幹細胞移植後にW:ASで認めた従来の報告く30%)よりも高頻度(50%;

6/12) で あっ た。 この 方 法iま 、WASの 血液 幹 細胞 移植 後の 経時 的評価に極めて有用である と考える。

  移 植 直 後 に ド ナ ーCD56陽 性 細 胞 が 他 のCD陽 性 細 胞 よ り 多 く 認 め ら れ る 症 例 がMCと な ら な い 傾 向 を 示 し た の は 、WAS特 異 的 で は な く 血 液幹 細胞 移植 一 般で も報 告さ れて お り、CD56陽性 細胞 は 移 植 され た ドナ ーの 細胞 が 生着 しや すい 環境 造 りに 関与 して いる 事が推測される。MCを認め た症例にお いて 、リンパ球におけるドナ一/ レシピェント比率が単球・ 骨髄系細胞。ユそれよりも高かった。このこ と は 、 そ 抑ぞ れの り ネー ジの 未分 化血 液 細胞 が生 体内 で 分化 、増 殖す る際 のWASPへの 依存 度が り ン パ 系細 胞 と単 球・ 骨髄 系 細胞 では 差が ある こ とを 示唆 する 。ま た、MCを認めた症例では、 移植後レシ ピェ ント由来のT縄胞がナイーブ 細胞のまま維持され、メモリ 一夕イプの細胞は少数のま ま維持された。

この ことはメモリーT細胞の存続 にもWASPが関与していること を示唆する。

  移 植 後 にMCを 認 め た 症 例 の 中 で 、T細 胞 が ド ナ 一 由 来 でB細 胞 と単 球が レ シピ ェン ト由 来で あ る 症 例 の 低 追M血症 の推 移を 見 たと ころ 、こ の症 例 にお いて も低 塘M血症 は改 善 され てい た。 この 事 象 は、WASに認める低延M血症の原因 がT細胞にあることを示唆す る。

  本 研 究 は 血 液 幹 細 胞 移 植 後 のWAS患 者 に 対 し 、FCMを 用 い て ド ナ一 細胞 の 生着 状態 をよ り詳 細 に 検 索す る 事に よって、容易に移植後 の病態の解析が可能であるこ とを示した。また、本研究 によりWASP が 血液 細 胞リ ネージごとの分化・増 殖・存続に対して、生体内で どのような役割を果たして いるかにつ いて の重要な示唆が得られた。

‑ 29 ‑

(3)

学位論文審査の要旨

主 査   教 授   小 林 邦 彦 副 査   教 授   小 池 隆 夫 副 査   教 授   加 藤 紘 之

    Mixed chimera status of 12 patients with Wiskott‑Aldrich syndrome (WAS) after hematopoietic stem cell transplantation:

       evaluation by flow cytometric analysis of intracellular        WAS protein expression.

    

(血液幹細胞移植後のWiskott‑Aldrich syndrom (WAS) 患者

    12

症 例 に お け る 混 合 キ メ ラ 状 態 の 検 討 :

Flow Cytometry

による細胞内WAS 夕ンパク発現検索による評価)

  Wiskott‑Aldrich Syndrome(以 下WAS)はX染色 体連 鎖劣 性遺 伝の 原発 性 免疫 不全症で、そ の 病因 はactinの 調節 /シ グナ ル関 連夕 ンパ ク質 と考 えら れて いるWAS夕 ンバ ク分 子(以・F WASP)の 異 常 で あ る 。WASは 頭蓋 内 出血 、重 症感 染症 、悪 性腫 瘍の 発生 など で致 死的 とな る 疾 患 で あ る 。 現 在 の と こ ろ 血 液 幹 細 胞 移 植 以 外 にWASの 根 治 療 法 は な い 。 申 請 者 はFlow cytometry (FCM)を用 いて 細胞 質内 のWASP発 現を 解析 する 系を 確立 し、 こ の系 を用いて血液 幹 細 胞 移 植 後 のWS症 例に おけ る 病態 解析 へ応 用す る事 を試 みた 。さ らに その 結果 から 、 WASPが 血 液 細 胞 リ ネー ジご との 分 化・ 増殖 ・存 続に 対し て、 生体 内で どの よう な役 割を 果 た して いる か考 察し た。

  臨 床 的 、 遺 伝 子 学 的 にWASと 診 断 さ れ 、19957月 か ら20016月 に か け て5施 設 に て 血 液 幹 細 胞 移 植 を 受 け たWAS患 者12症 例 を 対 象 と し た 。FCMに よ るWASP発 現 の 解 析 は 対 象患 者の 末梢 血単 核球 (PBMNC) に対 して 行っ た。

  移 植 後 のWAS症 例 をFCMに て 解 析 し た 結 果 、 個 々 の 細 胞 が ド ナ ー 由 来 か レシ ピェ ント 由 来 か が 容 易 に 判 別 でき 、リ ネー ジ ごと にMCの有 無が 判定 でき た。 対象 患者12名 中、 血液 幹 細 胞 移 植 後 にMCを 認 め た の は6症 例 で あ っ た 。MCの 有無 と他 因子 との 関連 を検 索し たが 、 変 異 の 種 類 、 患 者 年齢 、血 液幹 細 胞移 植の 条件 、移 植後 のGVHDの 有無 など には 明か な相 関 は 認め られ なか った 。

  MCを 認 め た6症 例 は 経 時 的 な 検 討 に お い て 様 々な バタ ーン を呈 して いた が、 リン パ球 よ り も 単 球 の 方 が レ シピ エン ト優 位 のMCであ る傾 向が 共通 して いた 。さ らに 、顆 粒球 、骨 髄 細 胞で のキ メラ 状態 を検 討し たと ころ 、単 球 の動 向と 一致する傾向であった。患者の移植後 の 血小 板数 、血 小板 サイ ズの 改善 度は 単球 、 顆粒 球、 骨髄細胞におけるドナー細胞の比率と ほ ぼ 相 関 し て い た 。MCを 認 め た6症 例 の 内 、3症例 にお いてT細胞 での ナイ ーブ /ヌ モリ ー 細 胞の 比率 をCD45RA/RO染色 での 三重 染色 に て検 討し た。その結果、ドナー細胞と異なり、

レ シピ エン ト細 胞は 移植 後一 年以 上経 って も 多く はナ イープ細胞で、メモリー細胞の占める

‑ 30

(4)

割合は少数であった。

  WASの免疫学的異常としての低IgM血症を多くの症例で認めたが、移植後、ほとんどの患 者におい て血清IgMの 増加を認めた。移植後にMCを認めた症例の中で、ほとんどのT細胞 はWASP陽性( ドナー) 細胞、ほ とんどのB細胞と単 球はWASP陰性(レシピエント)細胞 であ る 特 筆す べ き一 例 を 認めた が、その 症例にお いても低IgM血 症の改善 を認めた 。   以上からFCMを利用す ることにより、従来の方法に比し簡便にしかも詳細にWAS症例に おける血液幹細胞移植後のMCの有無を検索することが出来た。また、検出感度の違いに基 づく差のためか、今回検出したMCは血液幹細胞移植後にWASで認めた従来の報告(30ワ。)

よりも高 頻度(50%;6/12)であった。この方法は、WASの血液幹細胞移植後の経時的評価 に極めて有用であると考える。

  MCを認めた症例において、リンパ球におけるドナー/レシピエント比率が単球・骨髄系細 胞のそれよりも高かった。このことは、それぞれのりネージの未分化血液細胞が生体内で分 化、増殖する際のWASPへの依存度がりンパ系細胞と単球・骨髄系細胞では差があることを 示唆する。また、MCを認めた症例では、移植後レシピェント由来のT細胞がナイーブ細胞 のまま維持され、メモリータイプの細胞は少数のまま維持された。このことはメモリーT細 胞の存続にもWASPが関与していることを示唆する。

  移植後にMCを認めた 症例の中で、T細胞がドナー由来でB細胞と単球がレシピェント由 来である症例の低IgM血症の推移を見たところ、この症例においても低IgM血症は改善され てい た 。 この 事 象は 、WASに認める 低IgM血症の 原因がT細 胞にあるこ とを示唆 する。

  本研究は 血液幹細 胞移植後のWAS患者に対し、FCMを用いてドナー細胞の生着状態をよ り詳細に検索する事によって、容易に移植後の病態の解析が可能であることを示した。また、

本研究によりWASPが血液細胞1jネージごとの分化・増殖・存続に対して、生体内でどのよ うな役割を果たしているかについての重要な示唆が得られた。

  公開発表に際し、副査の小池隆夫教授より混合キメラ状態での臨床的な免疫能の改善とキ ヌラ率との関係についての質問、次いで副査の加藤紘之教授よりFCMによる解析結果の臨 床への応用とその有用性についての質問があった。また主査の小林邦彦教授より1」ンノヾ球と 単球で混合キメラに差が生じたこととWASPの役割との関係につIゝての質問があったが、い ずれの質問に対しても、申請者は誠意ある妥当な回答をした。

  本研究は 血液幹細 胞移植後のWAS患者に対し、新しいFCMを用いた解析法でその血球再 建状態や経過追跡を簡便でより詳細に行う事を可能にした。また、WASPが血液細胞リネー ジごとの分化・増殖・存続に対して、生体内でどのような役割を果たしているかについての 重要な示唆を与え、今後のこの方面の研究発展が期待される。

  審査員一同協議の結果、大学院課程における研鑽や取得単位なども併せ、申請者は博士(医 学)の学位授与に値するものと判定した。

31

参照

関連したドキュメント

一方、野生型マウスの細胞移植群では同炎症性サイトカインの mRNA

りタンパク質レベルの発現と局在を解析した。その結果,NPT homologue は小腸絨毛上皮 細胞の刷子縁膜に発現していた。一方, NPT3

ウシ卵管上皮における細胞増殖および死と繊毛細胞の割合変化の関係を調べたところ、膨大部ならびに峡

有無や腸管切除の有無、疾患活動性の有無、腸管の炎症範囲といった臨床状態に関係なく 減少していることがわかった。今回の研究で、DSS

このような誘導薬剤や細胞種による反応の相違は,小胞体ストレスから細胞死に至る

     口頭発表に際し、副査の小野江和則教授よルドナーノレシピアント切コンビネーション の決定法、ドナー T 細胞の活性化マーカーの変化、 GOT

  PAN 転移の危険因子は分化度の低さと腹水細胞診陽性で、PLN 転移の危険因子は腹膜 転移と PAN 転移で ある.PLN 転移を認め た 13 例中11 例にPAN 転移を認め、PAN 転移陰性

さらに、完全治癒ラットには同型腫瘍(KDH‑8 およびcKDH‑8/11 )に対する強