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学位論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 茶 谷 仁 史

学 位 論 文 題 名

Stereophotogrammetry に よる 顔面形 態三次 元解析      シ ス テ ム の 開 発 と 外 科 矯 正 治 療 へ の 応 用

学位論文内容の要旨

  【目  的】

  顔面の 審美 性の改 善は, 矯正歯 科冶 療の大 きな目 標のー つであ り, 顔面軟組織形態の三次元情 報は診 断およ び治 療効果 の評価 に際し 非常に 重要 である 。この ような 顔面 軟組織の三次形態をよ り実体 に近く 計測 するた めには ,精度 および 再現 性が高 く,ま た非接 触で 短時間に計測でき,被 験者に 為害作 用や 極端な 負担が かから ないデ ー夕 採得が 要求さ れる。

  そ こ で , デー 夕 採 得 方 法にstereophotogram metryを 利用 し,解 析図化 機にて 三次元 計測 を 行い, マイク 口コ ンピニ ータに より種 々の分 析を 行う顔 面形態 三次元 解析 システムを開発した。

さ ら に そ の 臨 床 応 用 と し て , 外 科 矯 正 症 例 の 顔 面 軟 組 織 変 化 の 分 析 を 行 っ た 。

  【方  法 】

  I.顔 面形 態三次 元解析 システ ムの 開発

  本シス テムは ,ステ レオ 写真撮 影装置 と基準 点フレ ーム 付き頭 部固定 装置からなる撮影装置,

点 刻機 ,解析 図化機 とイメ ージン グス キャナ からな る計測 装置 ,およ びパ―ソナルコンピュータ と 出 力装置 からな る画 像解析 装置で 構成さ れる。 計測 方法に っいて は,ま ず左 右2枚 の顔 面ステ レ オ写 真を撮 影し, これを もとに 解析 図化機 にて三 次元メ ッシ ュデー タと目,鼻,□唇の輪郭線 デ ータ を計測 する。 このメ ッシュ デ一夕は,イメージングスキャナにて読み取られた顔面濃淡デー タ と共 にマイ クロコ ンピュ ータで 三次 元構築 され, これを もと に各種 の立体画像表示や形態分析 を 行う 。

  肛.本 シテス ムで計 測さ れた三 次元座 標値の 評価

  成人男 性10名を 被験 者とし て,咬 合位に て顔 面石膏 模型を 作製し ,その 上に52点の計測点を設 定 し た 。 こ れら の 三 次 元 座 標値 を 本 シ ス テム お よ び 接 触型 三 次 元 座 標測 定 装 置XYZAX S400A

( 東京 精密社 製)に より計 測した 。さ らに, 両者か ら得ら れた 座標値 の差を算出し,全資料を用

(2)

いた 各計 測 点ご との 差 の平 均と標 準偏差,また全資 料の全計測点を用 いた各軸ごとの差の 平均と 標準 偏差 を 求め た。

  m. 外科 矯正 症 例の 顔面 軟 組織 変化 の 分析

  本 シス テ ムの 臨床 応 用と して, 外科矯正症例の術 前術後における顔 面軟組織の形態変化 を分析 した 。

  研 究対 象 とし て, 北 海道 大学歯 学部附属病院に来 院した成人の骨格 性反対咬合者で,下 顎枝矢 状分 割法 に より 外科 的 咬合 改善 術 を行 った8症例 を 選択した。資料と して,術直前および 術後約 5力 月 に 撮 影 さ れ た ス テ レ オ 写 真 と , 正 面 お よ び 側 面 頭 部X線 規 格 写 真 を 用 い た 。   ま ず外 科 手術 によ る 硬組 織の変 化にっいて,下顎 骨の後退量,上下 的回転量,側方移動 量を,

術前 後の 頭 部X線 規格 写真 か ら分 析し た 。っ ぎに 本 システムを用いて ,術前後のステレオ 写真を もと に軟 組 織変 化の 分 析を 行い, 手術による硬組織 の変化と軟組織の 変化との関連性にっ いて検 討し た。

  【結  果 】

  I.本シテスムの 計測誤差にっいて

  接触 型三次元 座標測定装置tま非常に精度 が高いのでこれを基 準として本シテス ムの計測誤差を 分析した。

  各計測点 における差の平均 は,X軸で ―0. 49〜0. 34mm,Y軸で―O.48〜0.17mm,Z軸で―O.76

‑‑0. 45mmの範囲で あり,標準偏差は,X軸で土0.23〜士0.52mm,Y軸で土O.29〜土O.71mm,Z軸 で土O.30〜士0. 82mmであった。これにより差の平均,標準偏差ともに極めて小さナょ値であり,さ らに計測点 の部位による差異 もほとんど認めら れなかった。

  全計 測点を用 いた各軸ごとの差の 平均と標準偏差は ,X軸で‑O. 06mm土O.41mm,Y軸で‑0. 16 土0. 42mm,Z軸 で ―O.25rmn土O.63mmであ り ,各 軸方 向 とも ほぼ 一 定の 範囲 内 にあ った 。   JI.外科矯正症例 の顔面軟組織変化に っいて

  外科 手術 に よる 下顎 の 後退 量の増加にと もなって,軟組織後 退部は下顎部軟組 織から上顎部軟 組 織へ と徐 々 に大 きく 広 がり ,後退量も増 加していくのが認め られた。また下顎 の後退に上下へ の 回転 が加 わ ると ,下 唇 より 下方の軟組織 に後退部位が限局し ており,上唇部で は前方移動を認 め るも のが あ った 。さ ら に, 下顎の後退に 側方への移動が加わ ると,偏位側軟組 織の後退が大き く認められ ,特にオトガイ部 においてその傾向 が強かった。

(3)

  【 考  察】

  I.本 システ ムにっ いて

  本 システ ムでは ,生 体から 非接触 でかっ 瞬時に デー タの採 得を行 うため ,被験者への為害作用 や 負担の ない計 測を行 うこと がで きた。 また, 解析図 化機 にて計 測され た三次 元データとイメー ジ ングス キャナ より得 られた 顔面 の濃淡 デ一夕 とをマ ッチ ングさ せたと ころ, 自然感のあるきわ め て実貌 に近い 立体画 像表示 が得 られた 。

  H.計 測誤差 にっい て

  誤 差の分 析にお いて いずれ も平均 と標準 偏差が とも に極め て小さ かった 。したがって,計測点 の 部位に よる差 異はな く,ま た各 軸とも 誤差の 範囲は ほぼ 一定で あり, 顔面の 広範囲にわたって 安 定した デー夕 採得が 行われ てい た。こ のこと から, 本シ ステム の画像 解析で は各種の補正が有 効 に は た ら い て い る た め , 変 形 の 少 な い 三 次 元 画 像 を 構 築 し て い る も の と 考 え ら れる 。   m.外 科的咬 合改善 術によ る顔 面軟組 織変化 にっい て

  1)下 顎 の 後 退 のみ の 場 合 には, 後退量 が小さ いと上 顎部 軟組織 の変化 は上唇 部の みの限 定し た 領域に とどま ってい たが, これ は,下 唇や下 顎前歯 によ り押し あげら れてい た上唇が,下唇の 後 退によ り支持 を失い 後下方 に移 動した ためと 考えら れる 。下顎 の後退 量が大 きいと,下顎骨面 に 起始を もつ□ 角下制 筋や頬 筋な どを介 して、 上唇, 口部 上方お よひ頬 部軟組 織の後退をも惹起 す るもの と推測 される 。

  2)下 顎 の 後 退 に上 方 へ の 回転が 加わっ た場合 には, 下唇 より下 方の軟 組織に 後退 部位は 限局 し ており ,上唇 は後退 せず、 むし ろ前上 方への 移動が 認め れた。 これは ,下顎 の上方への回転が 必 要な症 例にお いては ,術前 に上 唇が下 唇や下 顎前歯 と離 れた位 置にあ るが, 術後には下唇との 接 触 に よ り 押 し 上 げ ら れ る た め , 前 上 方 ヘ 移 動 し た も の と 考 え ら れ る 。   3)下 顎 の 後 退 に側 方 移 動 が加わ った場 合には ,オト ガイ 部の位 置の変 化に加 え, 偏位側 軟組 織 におい てもよ り大き な後退 が認 められ た。ま た□唇 の偏 位の改 善にっ いては ,下顎の側方移動 に 伴う下 唇下制 筋や頬 筋の筋 付着 の移動 が口唇 の側方 移動 を引き 起こし ,さら に,□角下制筋,

口 角挙筋 ,大頬 骨筋ナ ょどの □角 部に集中する筋のバランスを改善し,□角の左右の位置が対称的 に なった ものと 考えら れる。

  4)本 シ ス テ ム を用 い て 外 科矯正 症例に 対する 顔貌変 化の 予測を 試みた 。症例 は, 骨格性 反対 咬 合と診 断され 下顎枝 矢状分 割法 による 外科的 咬合改 善術 が計画 された22才の男性であった。顔 貌 変化の 予測は ,手術 による 下顎 の移動 様相が 本症例 と類 似した 症例を 参考に 行った。術後の顔 面 写真と 予測顔 貌を比 較した とこ ろ,口唇部,オドガイ部および頬部などが極めて類似しており,

(4)

良好 に顔貌変化が予測されたものと思われる。

学位論文審査の要旨

  審 査は 内山, 戸塚お よび中 村審査 員全 員の出 席のも とに, 申請 者に対 し口頭 試問に より提出論 文 の内容 とそれ に関 連する 学科目 にっき 行わ れた。

  最 近, 外科矯 正治療 法の進 歩と普 及に より歯 列のみ ならず 顎骨 に及ぶ 治療が 多く行 われるよう に なって きた。 その ような 状況の もとで ,審 美性の 改善を 客観的 に評価 でき る顔面 軟組織形態の 三 次元情 報は矯 正診 断およ び治療 効果の 判定 に際し非常に重要であり,精度および再現性が高く,

ま た非接 触で短 時間 に計測 でき, 被験者 に為 害作用 や極端 な負担 がかか らな ぃデー 夕採得が要求 さ れてい る。

  そ こ で 本 論 文 はstereophotogrammetryを 利 用 し て顔 面 形 態 の 三次 元 解 析 シ ス テム を 開 発 し , 臨 床 応 用 と し て 外 科 矯 正 症 例 の 顔 面 軟 組 織 変 化 の 分 析 を 行 っ て い る 。   本 シス テムは ,ステ レオ写 真撮影 装置 と基準 点フレ ーム付 き頭 部固定 装置か らなる 撮影装置,

点 刻機, 解析図 化機 とイメ ージン グスキ ャナ からな る計測 装置, および パー ソール コンピュータ と 出力装 置から なる 画像解 析装置 で構成 され る。計 測方法 にっい ては,まず左右2枚の顔面ス‐テ レ オ写真 を撮影 し, これを もとに 解析図 化機 にて三 次元メ ッシュ データ と目 ,鼻, ロ唇の輪郭線 デ 一夕を 計測す る。 このメ ッシュ データ は, イメージングスキャナにて読み取られた顔面濃淡デー タ と共に マイク 口コ ンピュ ータで 三次元 構築 され, これを もとに 各種の 立体 画像表 示や形態分析 が 行われ る。こ れら より, 本シス テムで は生 体から非接触でかっ瞬時にデータの採得を行うため,

被 験者へ の為害 作用 や負担 のない 計測を 行う ことが できた 。また ,解析 図化 機にて 計測された三 次 元デー タとイ メー ジング スキャ ナより 得ら れた顔 面の濃 淡デー タとを マッ チング させることに よ り,自 然感の ある きわめ て実貌 に近い 立体 画像表 示が得 られた 。

  本 シス テムの 計測誤 差にっ いては ,顔 面石膏 模型上 の計測 点の 三次元 座標値 を本シ ステムおよ び 接触型 三次元 座標 測定装 置によ り計測 し, 両者か ら得ら れた座 標値の 差を 算出し て検討した。

冶 則

進 靖

村 塚

中 戸

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

その 結果 ,計測 誤差は 極めて 小さ く,また計測点の部位による差異はなく,顔面の広範囲にわたっ て安 定し たデー 夕採得 が行わ れて おり, 変形の 少ない 三次元 画像 を構築 してい るものと考えられ た。

  っ ぎに, 本シス テムの 臨床 応用と して, 外科矯 正症 例の術 前術後 におけ る顔面 軟組織の形態変 化の 分析 が行わ れた。 まず外 科手 術にお ける硬 組織の 変化に っい て,下 顎骨の 後退量,上下的回 転 量 , 側方移 動量を ,術 前後の 頭部X線規 格写真 から分 析した 。次 に本シ ステム を用い て, 術前 後の ステ レオ写 真をも とに軟 組織 変化の 分析を 行い, 手術に よる 硬組織 の変化 と軟組織の変化と の関 連性 にっい て検討 した。 その 結果, 外科手 術によ る下顎 の後 退量の 増加に ともなって,軟組 織後 退部 は下顎 部軟組 織から 上顎 部軟組 織へと 徐々に 大きく 広が り,後 退量も 増加していくこと が認 めら れた。 また, 下顎の 後退 に上方 への回 転が加 わると ,下 唇より 下方の 軟組織に後退部位 が限 局し ており ,上唇 部では 前方 移動を 認めも のがあ った。 さら に,下 顎の後 退に側方への移動 が加 わる と,偏 位側軟 組織の 後退 が大き く,特 にオト ガイ部 にお いてそ の傾向 の強いことが認め られ た。

  さ らに本 システ ムを用 いて 外科矯 正症例 に対す る顔 貌変化 の予測 が試み られた 。症例は,骨格 性反 対咬 合と診 断され 下顎枝 矢状 分割法 による 外科的 咬合改 善術 が計画 された22才の男性であっ た。 顔貌 変化の 予測は ,手術 によ る下顎 の移動 様相が 本症状 と類 似した 症例を 参考に行った。術 後の 顔面 写真と 予測顔 貌を比 較し たとこ ろ,ロ 唇部, オトガ イ部 および 頬部な どが極めて類似し てお り, 良好に 顔貌変 化が予 測さ れたも のと思 われた 。

  本 システ ムは, 一般歯 科医 院でも 導入可 能なス テレ オ写真 撮影装 置とマ イク口 コンピュータを 用い て顔 面軟組 織変化 の分析 が容 易にで きる方 法を開 発し, 今後 のデー タベー スの蓄積により,

治療 後の 顔面変 化を予 測し患 者に 提示で きる道 を開い た点, 歯科 臨床診 断法の 発達に大いに寄与 する もの と考え られる 。よっ て申 請者は 博士( 歯学) の学位 を授 与され る資格 をもっものと認め る。

参照

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