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学位論文題名EXTRACELLULAR MATRIX MODULATES EXPRESSION OFCELLーSURFACE PROTEOGLYCAN GENES IN FIBROBLASTS

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 沢 口 直 弘

     学位論文 題名

EXTRACELLULAR MATRIX MODULATES EXPRESSION OF CELL ー SURFACE PROTEOGLYCAN GENES IN FIBROBLASTS

     (細胞外マトリックスによる

線維芽細胞表面プロテオグリカン遺伝子発現の変化)

学位論文内容の要旨

   細 胞表面 プ口テ オグリカンは、細胞外微小環境の構成体との相互作用において様々な機能を有している。

細胞 表面 プロテ オグリ カンは 様々 な細胞 接着因 子、成 長因子 、サ イトカ インと 結合しco‑receptor として 機能 して いる。 これら 細胞表 面プ ロテオ グリカ ンはコ アタンバクと酸性ムコ多糖の一部が構造的な多様性 を有 して おり、 その発 現形態 が厳 密に制 脚され ている ため、それぞれの細胞表面プロテオグリカンには明 晰と した 役割が 備わっ ている 。こ のこと は、様 々な生 物学的活性因子に対する細胞表面プ口テオグリカン の反 応は 選択的 であり かつ細 胞種 特異的 である ことを 示して いる 。

     細 胞外基 質や 成長因 子、サ イトカ インな どの 刺激因 子に対する細胞の反応は細胞表面のプ口テオグル カン によ って調 節され ている とい われて いる。 代表的 な細胞 表面 プ口テ オグル カンに はCD44 ( ヒアル 口 ン 酸 レ セプ タ ー ) 、betaglycan (transforming growth factor [TGF]‑B typeIn receptor) 、syndecan (transmembrane  heparan sulfate  proteoglycan) 、   glypican  (glycosylphosphatidyl  inositol [GPIJ‑anchered heparan sulphate proteoglycan) ファミリーがある。しかし、これらのプロテオグリカン の発 現が 培養あ るいは 、成長 過程 におい てにど のよう に変化するかは明らかではない。再生医療において は 、 こ の点 を 解 明 す る こと が 組 織 特 異的 な 本来 の環境 を模倣 するよ うな 基材材 料の開 発にっ ながる 。    ヒ アル口 ン酸は グルク 口ン 酸とN‑ ア セチル グル コサミ ンを交互に成長する鎖に添加しながら繰り返す、

2 糖を単 位とし た線 状大分 子ポリ マー構 造で 、生体 におい て一生 涯にわ たり それぞれ異なった目的、生産 量で 細胞 より産 生され る。ヒ アル ロン酸 の生物 学的活 性はとても重要である。なぜなら、ヒアルロン酸は 生体 内に おいて 発生の 最も早 い段 階から 存在す る酸性 ムコ多糖だからである。我々は腱・靱帯の組織工学 的再 生に 用いる 基材材 料とし てキ トサン ・ヒア ルロン 酸ハイプルッドファイパーを独自に開発した。これ まで の研 究でヒ アルロ ン酸は 線維 芽細胞 の活動 性を高 めその細胞接着能、細胞増殖能、基質産生能が向上 する こと を報告 してき た。し かし 、ヒア ル口ン 酸の線 維芽細胞表面のプロテオグリカンに与える影響は明 らか にさ れてい ない。

   本 研究で は細胞 表面プ ロテ オグリ カンの 発現は 細胞 を培養する環境によって変化するという仮説をたて た。 この 仮説を 実証す るため 、我 々はin vitro で線維 芽細 胞を様々な環境下で培養し、細胞表面プ口テオ グリ カン の発現 を定量 した。 本研 究の第1 の 目的は 線維芽 細胞を 単離、 平面 培養し継代を重ねていく過程 にお ける 細胞表 面プロ テオグ ルカ ンの発 現の変 化を評 価する こと 。第2 の目 的は組織中の主要な細胞外マ

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ト リ ッ ク ス 構 成 体 で あ るtypeIコ ラ ニ ゲ ン お よ び 、 ヒ ア ル ロ ン 酸 の 線 維 芽 細 胞 表 面 プ ロ テ オ グ ル カ ン に 与 え る 影 響 を 明 ら か に す る こ と 。 そ し て 、2次 元 培 養 環 境 と3次 元 培 養 環 境 で そ れ ぞ れ の プ ロ テ オ グ リ カ ン の 発 現 の 違 い を 明 ら か に す る こ と で あ る 。 本 実 験 で 得 ら れ た 結 果 は 、 今 後 の 組 織 工 学 的 手 法 を 用 い た腱 ・ 靱 帯 再 生 に お い て、 基 材 材 料 の 開 発に 有 用 な 情 報 を 提供 し 得 る と 考 え る 。

  細 胞 を 組 織よ り 単 離 し 単 層 培養 す る 過 程 で 、sindecan‑l, ・2, .3,betaglycan glypican‑lのmRNAの 発 現 は 漸 減 し た 。 一 方 、 細 胞 を 組 織 よ り 単 離 す る こ と に よ っ て 、 細 胞 接 着 に 強 く 関 わ っ て い る と さ れ るCD‑44 お よ びsyndecan‑4 mRNAの 発 現 が 大 き く 増 加 し た 。Syndecan‑4は 接 着 斑 の 広 範 囲 に 及 ぷ 構 成 体 で あ る 唯 一 のsyndecanで あ り 、Chinese Hamster Overy細 胞 に 過 剰 発 現 さ せ る と 、cell spreadingが 増 し 、 接 着 斑 の 数 や 大 き さ も 増 え る と 報 告 さ れ て い る 。CD‑44は ヒ ア ル ロ ン 酸 特 異 的 接 着 に 作 用 し 、 線 維 芽 細 胞 を 含 め 数 多 く の 異 な っ た 細 胞 種 で も 観 察 さ れ て い る 。 ま た 、 ヒ ア ル 口 ン 酸 は 膝 蓋 腱 中 の ム コ 多 糖 類 の22% を 占 め る こ と か ら も 腱 ・ 靱 帯 の 線 維 芽 細 胞 に と っ て ヒ ア ル ロ ン 酸 は 重 要 な 分 子 で あ る と 考 え ら れ る 。 Syndecan‑2はfibroglycanと も 呼 ば れ て お り 、 線 維 芽 細 胞 に と っ て 主 要 なsyndecanの ー つ で あ り 、 お も にTGF‑Bの シ グ ナ リ ン グ に 関 っ て い る 。Betaglycanも 同 様 に 、TGF.BtypeIIIレ セ プ タ ー で あ る が こ れ ら の プ ロ テ オ グ リカ ン は 平 面 培 養 での 発 現 は 低 か っ た。

  線 維 芽 細 胞 を 平 面 培 養 か ら 三 次 元 コ ラ ー ゲ ン 培 養 に 移 す こ と は 、 線 維 芽 細 胞 の 培 養 環 境 を よ りin晒voの 環 境 に 近 づ け る こ と が で き る 。 本 研 究 で は 、 培 養 環 境 を 三 次 元 に す る こ と に よ っ て8yndeca.4の 発 現 が劇 的 に 増 加 し た 。 他 の 報 告 で は 、 線 維 芽 細 胞 を 三 次 元 培 養 す る こ と に よ ル デ ル マ タ ン 硫 酸 や ム コ 多 糖 類の 産 生 量 が 上 昇 し た と の 報 告 も あ る 。 こ れ ら の 結 果 は 細 胞 の 反 応 に お い て 、 細 胞 外 の 環 境 が 重 要 で あ る こと を 示 し て い る 。 従 来 か ら 、 よ りm、 五voの 環 境 を 模 倣 す る た め 細 胞 培 養 に お い て 培養 液 の 組 成 や 、 周囲 の 混 合 ガ ス の 組 成 な ど の 重 要 性 が 強 く 強 調 さ れ て き た 。 し か し 、 細 胞 反 応 に お け る 培 養 構 造 の 影 響 に 関 し ては あ ま り 議 論 さ れ て き て い な い 。 生 体 内 の 環 境 と の 明 ら か な 違 い は 、 周 囲 を 取 り 巻 く 細 胞 外 基 質 と の 接 触が 少 な い こ と で あ る 。3次 元 の 培 養 環 境 は , プ 口 テ オ グ リ カ ン の 遺 伝 子発 現 で は よ り 生 体の 環 境 に 近 い 状 況を 作 る こ と が 可 能 だ と い え る 。 本 研 究 は 、 従 来 よ り 行 わ れ て い る2次 元 で の 培 養 だ け で な く3次 元 の 培 養 に お い て も 、 細 胞 表 面 プ ロ テ オ グ リ カ ン の 遺 伝 子 発 現 を 定 量 化 し た と い う 点 で 、 意 義 の あ る も の と 考 え る 。   コ ラ ー ゲ ン に ヒ ア ル ロ ン 酸 を 添 加 す る こ と に よ り 、 平 面 培 養 で は 第3継 代 に お い てCD.44,syndecan.4 の 発 現 が 有 意 に 上 昇 し て い た 。 ま た 、3次 元 培 養 で は す べ て の 継 代 に お い て8yndecan.4mRNAの 発 現 が 有 意 に 上 昇 し て い た 。 こ れ ら の 結 果 は 、 ヒ ア ル ロ ン 酸 が 細 胞 反 応 に 影 響 を 与 え て い る こ と を 示 し て おり 、 軟 骨 細 胞 で 提 唱 さ れ て い る ヒ ア ル 口 ン 酸 が 細 胞 と 基 質 の 相 互 作 用 を 伝 え て い る と い う 報 告 と も 一 致 する 。   本 研 究 の 結 果 か ら 、 細 胞 外 基 質 に 対 す る 線 維 芽 細 胞 表 面 プ ロ テ オ グ リ カ ン 発 現 の 反 応 は 可 変 的で あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 こ の こ と は 細 胞 表 面 プ ロ テ オ グ ル カ ン 産 生 制 御 の ー つ の メ カ ニ ズ ム を 示 し て いる 。 こ れ ま で に 、 成 長 因 子 や サ イ ト カ イ ン が こ れ ら の プ ロ テ オ グ リ カ ン の 発 現 を 制 御 し て い る と い う 報 告は あ る 。 し か し 、 本 研 究 で は 腱 ・ 靭 帯 由 来 線 維 芽 細 胞 に お い て 、 細 胞 外 基 質 や 培 養 す る デ ィ メ ン ジ ョ ン の違 い で 細 胞 表 面 プ ロ テ オ グ リ カ ン の 発 現 を 制 御 で き る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。 こ れ ら プ ロ テ オ グ リ カ ン の 発現 の 制 御 は 、 異 な っ た 細 胞 外 基 質 へ の 細 胞 の 反 応 が 腱 ・ 靱 帯 組 織 の 修 復 に か か わ る メ カ ニ ズ ム の1っ と な り う る 可 能 性 が あ る 。

  本 研 究 の 限 界 は 、 細 胞 表 面 プ ロ テ オ グ リ カ ン のmRNAの 発 現 し か 定 量 し て い な い 点 で あ る 。 蛋 白 の 発 現 に 関 し て は 今 後明 ら か に し な け れぱ な ら な い 問 題 点で あ る 。

ー574一

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学位論文審査の要旨

     学位論 文題名

EXTRACELLULAR MATRIX MODULATES EXPRESSION OF CELL ― SURFACE PROTEOGLYCAN GENES IN FIBROBLASTS

     ( 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス に よ る

線 維 芽 細 胞 表 面 プ ロ テ オ グ リ カ ン 遺 伝 子 発 現 の 変 化 )

   細胞表面プロテオグリカンは、細胞外微小環境の構成体との相互作用において様々な機 能を有している。細胞表面プロテオグリカンは様々な細胞接着因子、成長因子、サイトカ イ ンと結合 しco‑receptor として機能している。これら細胞表面プロテオグリカンはコア タンバクと酸性ムコ多糖の一部が構造的な多様性を有しており、その発現形態が厳密に制 御されているため、それぞれの細胞表面プロテオグリカンには明晰とした役割が備わって いる。このことは、様々な生物学的活性因子に対する細胞表面プロテオグリカンの反応は 選択的でありかつ細胞種特異的であることを示している。細胞外基質や成長因子、サイト カインなどの刺激因子に対する細胞の反応は細胞表面のプロテオグリカンによって調節さ れているといわれている。しかし、.これらのプ口テオグリカンの発現が培養あるいは、成 長過程においてにどのように変化するかは明らかではない。再生医療においては、この点 を解明することが組織特異的な本来の環境を模倣するような基材材料の開発にっながる。

   我々は腱・靱帯の組織工学的再生に用いる基材材料としてキトサン・ヒアルロン酸ハイ ブリッドファイパーを独自に開発した。これまでの研究でヒアル口ン酸は線維芽細胞の活 動性を高めその細胞接着能、細胞増殖能、基質産生能が向上することを報告してきた。し かし、ヒアル口ン酸の線維芽細胞表面のプロテオグリカンに与える影響は明らかにされて いない。本研究では細胞表面プロテオグリカンの発現は細胞を培養する環境によって変化 す るという 仮説を たてた。この仮説を実証するため、我々は血 vitro で線維芽細胞を様々 な環境下で培養し、細胞表面プ口テオグリカンの発現(CD‑44 , syndecan.1 〜4 , betaglycan , glypican‑l ,‑3) を定量した。

   細 胞を 組 織より単 離し単 層培養す る過程 で、細胞 接着に 強く関わ っている とされ る CD‑44 お よ びsyndecan‑4 mRNA の発現 が大きく 増加し た。syndecan‑4 は 接着斑の 広範囲 に 及ぶ構成 体であ る唯一のsyndecan であり、CD‑44 はヒアルロン酸特異的接着に作用し、

     ―575 −

男 宏

明  

  和

浪 水

三 清

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

線維芽細 胞を含め数多くの異ならた細胞種でも観察されている。線維芽細胞を平面培養か ら3 次 元コラーゲン培養に移すことは、線維芽細胞の培養環境をよりin vrvo の環境に近づ けること ができ る。本研 究では、 培養環境を3 次元にすることによってsyndecan‑4 の発現 が劇的に 増加した。これらの結果は細胞の反応において、細胞外の環境が重要であること を示している。3 次元の培養環境は,プロテオグリカンの遺伝子発現ではより生体の環境に 近い状況を作ることが可能だといえる。コラーゲンにヒアルロン酸を添加することにより、

平面培養 では第 3 継代 において CD‑44 , syndecan‑4 の発現 が有意に上昇していた。また、

3 次 元 培 養で は す べて の 継 代にお いてsyndecan‑4 mRNA の発 現が有 意に上昇 していた 。 これらの 結果は、ヒアル口ン酸が細胞反応に影響を与えていることを示しており、軟骨細 胞で提唱 されているヒアル口ン酸が細胞と基質の相互作用を伝えているという報告とも一 致する。

   本研究の結果から、細胞外基質に対する線維芽細胞表面プロテオグリカン発現の反応は 可変的で あることが明らかとなった。このことは細胞表面プロテオグリカン産生制御のー つのメカ ニズムを示している。これまでは、成長因子やサイトカインがこれらのプ口テオ グリカン の発現を制御しているという報告が大多数を占める。しかし、本研究では腱・靭 帯由来線 維芽細胞において、細胞外基質や培養するディメンジョンの違いで細胞表面プロ テオグリ カンの発現を制御できる可能性が示唆された。これらプロテオグリカンの発現の 制御は、 異なった細胞外基質への細胞の反応が腱・靱帯組織の修復にかかわるメカニズム の1 つ となりう る可能 性がある 。また、腱・靱帯再生においてヒアルロン酸は重要な分子 のーつであることが示唆されたと報告した。

   審査に当たり、清水教授から、腱のグリコサアミノグリカンにおけるヒアル口ン酸やコン ド口イチン硫酸の割合について、CD‑44 , syndecan‑4 の発現が上昇するメカニズムについて、

将来再生 医療にヒアル口ン酸を用いるに当たって実用可能なコストであるのかについて質 問があった。安田教授からは、mRNA level の発現の違いゝは細胞表面上に存在する膜蛋白の 発現 に り ンク す る のか に つ いて、 CD44 , syndecan‑4 の mRNA 発 現の上 昇と細胞 機能上 昇 との関係 について、継代培養とプ口テオグリカンの発現および細胞機能の関係について、

ヒアル口 ン酸の生物学的活性における濃度依存性についての質問があった。三浪教授から は、至適 なヒアル口ン酸濃度について、細胞を培養するディメンジョンによるヒアルロン 酸の効果の違いについて、CD . 44 ,syndecan .4 の発現が上昇した理由について、本研究の腱 靭帯再生 における役割についての質問があり、これらの質問に対し今回行った実験結果と 過去の文献を引用し、適切に回答した。

   この論文は腱・靭帯由来線維芽細胞における細胞表面プロテオグリカンの遺伝子発現を 様々な培 養環境で比較検討し、今後の腱・靱帯再生において重要な情報を提供できる可能 性があると考えられた。

   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども 併せ 申 請 者が 博 士 (医 学 ) の学位 を受ける のに十分 な資格 を有する ものと 判定した 。

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参照

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