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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 伊 藤 陽 司

     学位論文題名

ランドスライド地形の形態変遷と自然斜面の 安定性評価に関する研究

学位論文内容の要旨

   近年、 社会基盤の整備 計画に当って は、これまで の国土開発から安全 確保や 環境保全ヘ祝 点が移行して きている。道路 、河川および 農地の開 発整備 においても、 それらの影響 による地すべり 、岩盤崩壊や 土石流等 の災害が相次いで発生しており、斜面災害の発生予測および被害の防止、

軽減策が急務となっている。

   最近頻 発している斜面 災害の多くは 、本論文でラ ンドスライド地形と 称する過去のマスムーブメント(mass −movemcnt )跡地の中や周辺で発生し ており 、その地形的 特徴は再発の 地すべり、斜面 崩壊の形態や 規模など を反映 している。ま た、ランドス ライド地形が多 数認められる 地域は、

これま で地すべりや 斜而崩壊が発 生していなくて も、マスムー ブメント の地質 的素因、気象 的誘因および カ学的原因が潜 在しているこ とを示唆 してい る。したがっ て、ランドス ライド地形の分 布、形態およ び変遷過 程など の特徴を分析 すれば、発生 地帯の特質、特 に斜面の安定 性や今後 再 発す る マス ム ーブ メ ント の形 態 、規 模 など の 予測 情報 が 得られる 。    本研究 では、北海道、 特に北海道束音6 地域のランドスライド地形に研 究対象 を絞り、次の 諦項目を解明 した上で、斜面 安定性の判定 および地 すぺり、斜面崩壊の予測に閲する基本指針を得ることを目的としている。

  1 ) ラ ン ド ス ラ イ ド 地 形 の 地 域 的 頻 度 分 布 と 地 質 と の 関 連 性   2 )ランドスライド地形の形態と斜面性状との関係

  3 ) ラ ン ド ス ラ イ ド 地 形 の 形 態 と 地 質 的 素 因 と の 関 係 4 ) ラ ン ド ス ラ イ ド 地 形 の 形 態 変 遷 と 気 象 的 誘 因 と の 関 係    本論文は、上述の研究目的に応じて進めてきたランドスライド地形の空 巾写真 判読による微 地形解析と地 表踏査による要 囚分析の結果 をまとめ たもので、下記の6 章で構成されている。

   第1 章で は 、ま ず本 研 究の対象 となったラン ドスライド地 形の定義を 明確にした。次いで、ランドスライド地形に関する既往の研究を概観し、

最 近の斜而災害事 例から研究の 社会的ニーズ を位謹付けた 上で、本研究

の 目的を設定した 。また、北海 道の地すべり 、斜面崩壊を 研究対象に取

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りあげた意義についても明らかにしている。

   第 2 章では、北海道におけるランドスライド地形の規模別分布の特性 などを分析し、ランドスライド地形の集中域や規模を特徴づける地質環 境を明らかにするとともに、最近の斜面災害の多くがマスムーブメント 跡地における地塊の再滑動に起囚していることを指摘した。特に、ラン ドスライド地形の分布が、キャップロックを構成する第四紀陸上火山岩 類、グリーンタフ、白亜妃〜第三紀の藩層凝灰岩を挟在する泥質砂岩層、

蛇紋岩および塩越性火山岩に山来する低変成度の緑色岩類と密接に関係 して集巾していることを実証している。

   第 3* では、北海道東部地域に存在する約3 , 400 箇所のランドスライ ド地形の空中写真判読による微地形解析および典型的マスムーブメント 跡地の地表踏査によって、ランドスライド地形の形態と変遷を明らかに した。すなわち、ランドスライド地形は、滑動地塊の物性、運動形態お よびそれらを反映した地形的特徴によって、地すべルタイプとして岩屑 スランプ、岩雛スランプ、岩屑スライド、ケスク型岩盤スライド、断層 型岩雛スライドおよびアースフr 」ーの6 型に、崩壊タイプとして岩屑崩 壊、岩雛崩壊および岩屑なだれの3 型に分類している。更に、それぞれ のタイプは地形形成後にも特興な形態変化が持続することから、ランド スライド地形の形態によって斜面の安定性に差違があることを指摘して いる。

   第 4 章では、北海道東部地域を構成する代表的地質域におけるランド スライド地形の分布、規模、形態、地塊の滑動方向などの特性を分析し た。ランドスライド地形の諸特性、特に形態は、スーレキングの著しい 泥質岩、薄層凝灰岩の挟在、硬軟岩の互層などの地質構成岩の岩相、流 れ雛構造、地質断層、活断層、キャプロック構造、成層火山体や溶岩ド ー ム な ど の 地 質 条 件 に 起 囚 し て い る こ と を 明 ら か に し て い る 。    第 5 章では、ランドスライド地形における融雪、連続的降雨、集中豪 雨、地震および人為的地形改変に起因した最近の災害事例を分析し、ラ ンドスライド地形における形態変化の発生条件と発生要因を明らかにし た。特に集中豪雨、地震および斜面脚部の掘削は地すべルタイプの再滑 動を誘発させることを実証した。また、ランドスライド地形の形態と誘 因 に よ っ て 斜 面 防 災 上 の 留 意 点 が 異 な る こ と を 指 摘 し て い る 。    第 6 章は本論文の結諭で、各章で得られた研究結果からランドスライ ド地形の変遷過程、斜面の安定性および斜面防災上の留意点を総括する とともに、今後発生し得る斜面変動の予測の可能性を示している。   ゛

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授

土岐 三田地 中島 金子

祥介 利之   巌 勝比古

     学位論文題名

ランドスライド地形の形態変遷と自然斜面の 安定性評価に関する研究

    近年、社会基盤の整備計画に当っては、これまでの国土開発といった視点は環境保全や安全確   保の方ヘ移行してきている。道路、河川、農地および宅地等の開発整備においても、それらの影   響による地すべり、岩盤崩壊や土石流等の災害が相次いで発生しており、斜面災害の発生予測お   よび被害の防止、軽減策が急務となっている。

    最近頻発している斜面災害の多くは本論文でランドスライド地形と称する過去のマスムーブメ   ント(mass―movement)跡地の中や周辺で発生しており、それらの地形的特徴は再発の地すべりお   よび斜面崩壊の形態や規模などを反映している。また、ランドスライド地形が多数認められる地   域は、これまで地すべりや斜面崩壊が発生していなくても、マスムーブメントの地質的素因、気   象的誘因およびカ学的原因が潜在していることを示唆している。したがって、ランドスライド地   形の分布、形態および変遷過程などの特徴を前もって分析しておけぱ、発生地帯の特質、特に斜   而 の 安 定 性や 今 後 再発 す る マス ム ー ブメ ン ト の形 態 、 規模 な ど の 予測 情 報 が得 ら れ る。

    本論文では、北海道、特に北海道東部地域のランドスライド地形に研究対象を絞り、次の諸項   目を解明した上で、斜面安定性の判定および地すべり、斜面崩壊の予測に関する基本指針を得る   ことを目的としている。

    1)ランドスライド地形の地域的頻度分布と地質との関連性     2)ランドスライド地形の形態と斜面性状との関係

    3)ランドスライド地形の形態と地質的素因との関係     4)ランドスライド地形の形態変遷と気象的誘因との関係

    本論 文は、上 述の研 究目的に沿って進めてきたランドスライド地形の空中写真判読による微   地 形 解 析と地 表踏査に よる要 因分析の 結果を まとめた もので、 下記の6章で 構成し ている。

    第1章では、ランドスライド地形に関する既往の研究を概観し、本研究の対象となったランド   スライド地形を分類している。また、最近の斜面災害事例から研究の社会的ニーズを位置付けた

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上で、本研究の目的を設定している。また、北海道の地すべり、斜面崩壊を研究対象に取りあげ た意義にっいても言及している。

  第2章では、北海道におけるランドスライド地形の規模別分布の特性などを分析し、ランドス ライド地形の集匸l亅域や規模を特徴づける地質環境を明らかにするとともに、最近の斜面災害の多 くがマスムーブメント跡地における地塊の再卅動に起凶していることを指摘している。特に、ラ ンドスライド 地形の分布が、キャップHックを椛成する第四紀陸上火山岩類、グリーンタフ、白 亜紀〜第三紀の薄層凝灰岩を挟在する泥質砂岩層、蛇紋岩および塩基性火山岩に由来する低変成 度の緑色岩類と密接に関述して集中していることを実証している。

  第3章では、北海道束部地域に存在する約:j,400箇所のランドスライド地形の空中写真判読に よる微地形解析および典型的マスムーブメント跡地の地表踏査によって、ランドスライド地形の 形態と変遷を究明している。すなわち、ランドスライド地形を、淅動地塊の物性、運動形態およ びそれらを反映した地形的特徴によって、地すべルクイプとして岩屑スランプ、岩盤スランプ、

岩屑スライド 、ケスタ型岩雌スライド、断層型岩継スライドおよびアースフローの6型に、崩壊 クイプとして岩屑崩壊、岩雛j伽壊および岩屑なだれの3型に分類している。更に、それぞれのク イプは地形形成後にも特異な形態変化が持続することから、ランドスライド地形の形態によって 斜面の安定性に差違があることを指摘している。

  第4章では、北海道東部地域を構成する代表的地質域におけるランドスライド地形の分布、規 模、形態、地塊の滑動方向などの特性を分析している。ランドスライド地形の諸特性、特に形態 は、スーレキングの著しい泥質岩、薄屈凝灰岩の挟在、硬軟岩の互層などの地質構成岩の岩相、

流れ鑑構造、地質断層、活断層、キャプロック構造、成層火山体や溶岩ドームなどの地質条件に 起因していることを解l丱している。

  第5章では、ランドスライド地形における融雪、述続I的降雨、集中豪雨、地震および人為的地 形改変に起因した最近の災害事例を分析し、ランドスライド地形における形態変化の発生条件と 発生要因を明らかにしている。特に集中豪雨、地震および斜面脚部の掘削は地すべルタイプの再 滑動を誘発させることを実証している。また、ランドスライド地形の形態と誘因によって斜面防 災上の留意点が異なることを指摘している。

  第6章は本論文の結論で、各章で得られ た研究結果からランドスライド地形の変遷過程の特 徴、斜面の安定性の判定指標および斜面防災上の留意点を総括するとともに、今後発生し得る斜 面変動の予測の可能性を示している。

  これを要す るに、著者倣、ランドスライド地形の形態と変遷を地質的素因と気象的誘因に基 づぃて解明し、自然斜面の安定性評価法を確立しており、応用地質学および地盤工学の発展に寄 与するところ大である。よって、著者は、北海道大学齢士(工学)の学位を授与される資格ある ものと認める。

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参照

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