• 検索結果がありません。

・浅野清光・岡村澄夫

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "・浅野清光・岡村澄夫"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

光触媒TiO2薄膜によるSi表面の低温酸化に関する研究

−ナノ光触媒リソグラフヘの応用−

藤本健治* ・浅野清光・岡村澄夫

LowTemperatureOxidationofSiSurfacesbyPhotocatalyticTiO2ThinFilms

‑ApplicationtoNano‑PhotocatalyticLithograph‑

KenjiFuJIMoTo*,KiyomitsuAsANoandSumioOKAMuRA (2004年11月22日受理)

Inthenano‑devicestructureproductionprocess,theformationoflowtemperatureprocess isindispensablefortheheatloadreductiontocontrolthestructure. Ifitassumesthatthe nano‑technologywillbedevelopedintherealproductionprocess, itwillbeexpectedthatthe demandofthelowtemperatureprocessincreases・Wetriedtheroom‑temperatureoxidization oftheSiwafersurfacethatisabletooxidizeinapartofsubstratebythephotocatalysteffect, whentheultravioletraywasirradiatedatTiO2thinfilms. WepreparedthephotoCatalytic TiO2thinfilmsonagrasssubstratebyRFmagnetronsputteringwithoutheating. Auger‑

ElectronSpectroscopy(AES) showedthattheoxidizationontheSisUrfacewasefficiently promotedbythephotocatalysteffectofTiO2thinfilms. Thethinfilmswasconsideredthat theoxygendeficienttypeTiO2‑x(x=0.01) sinceitshowedlightyellowcolor. Therefore,the TiO2thinfilmsareexpectedtoresponsealsoinvisiblelightregions.

1. 緒言 TiO2光触媒を用いることで,半導体表面に酸化

膜を比較的低温で高速に形成できることから,半導 体微細加工技術への応用や, その他超高真空装置,

アンテナなどへの応用も期待されている。これまで 種々の半導体の光触媒作用が研究されているが,光 触媒として実用化されているのはTiO2系がほとん どである。これは, TiO2が優れた光触媒効果,化 学的安定性,人体に対する安全性を有しているから である。 しかし, TiO2は3.2eVの比較的大きなバ ンドギャップ(Eg)を有しており,波長が約380nm 以下の紫外線しか利用できない。太陽光中に含まれ る紫外線は3〜5%であり,室内照明の下で利用可 能な光の割合は更に少ない。よって実用化に向けて 考えた場合,可視光領域での反応が要求される。

一方, TiO2薄膜作製に用いたRFマグネトロン スパッタ法では,基板の加熱を必要とせず,比較的 低温下での製膜が可能である。また,最近の研究に て,希薄な酸素圧下で基板温度を上げてスパッタリ ングを行うと,可視光領域にも反応する酸素欠損型 のTiO2薄膜を作製できることが報告され,更に注 半導体に代表される微細素子構造作製プロセスに

おいては,構造制御に向けた熱負荷低減の観点から も,プロセス低温化が必須となっている。今後ナノ テクノロジ一技術が実生産プロセスに展開されるこ とを想定すれば,極微形態・構造の保存・利用を進 めるために,プロセス低温化の要求はますます高ま るものと予想される1)O

反応プロセスの低温化を実現するためには,熱に 代わる手段で期待する反応を高効率で誘起させる必 要がある。そこで,低温酸化法として光を用いて酸 素分子を解離し,活性な酸素原子を生成して酸化す る光酸化法が研究されている2)。本研究では, TiO2 薄膜に紫外線を照射すると,光触媒効果によって活 性酸素が発生し,基板の一部分だけを酸化すること が可能である事を用いて, Siウエハ表面の低温酸 化を試みた。

、秋田高専専攻科学生

(2)

−76−

藤本健治・浅野清光・岡村澄夫

目が集まってきている3)O

そこで本研究では, Siウエハ表面の低温酸化を 目的としてRFマグネトロンスパッタ法により,酸 素ガスを導入せず,更に基板加熱も行わずに石英ガ ラス基板上にTiO2薄膜を作製した。そして, TiO2 薄膜の光触媒効果の検証を行い,過去のゾルーゲル 法による結果と比較した。また,作製したTiO2薄 膜を室温で2年間保管し,同様の実験を行い前述の 結果と比較した。さらに,紫外線をTiO2薄膜を通 してSiウエハ表面に室温で照射して, オージェ電 子分光法によりSiウエハ表面の酸化状態を調べた

ので報告する。

が,バンドギャップが大きすぎると波長の短い紫外 線しか使えない。逆にTiO2よりもバンドギヤツプ が小さな半導体では,水中で光を照射した場合,発 生した正孔が自分自身を酸化し,金属イオンが溶け 出してしまうといった自己溶解現象を起こしてしま うため実用化には向かない。このことからTiO2は 最も化学的に安定であり,優れた光触媒効果を示す

ことから光触媒には主にTiO2が用いられる。

TiO2にはルチル型, アナターゼ型, ブルッカイ ト型の3種類の結晶構造がある。光触媒には主にル チル型とアナターゼ型が用いられ,ルチル型のほう が少しだけ可視光線に近い部分までの光を吸収でき る。しかし,バンド構造の違い(図2)から, アナ ターゼ型のほうが紫外線に対して高い光触媒効果を 示すため,光触媒には主にアナターゼ型が用いられ る。また,最近の研究によりブルッカイト型も高い 光触媒活性を示すことが発見され,徐々に研究開発 が進んできている。

2. 光触媒効果

2.1 光触媒効果4)

n型半導体を用い,そのバンドギャップ以上の波 長の光の照射によって,半導体内部に電子正孔対が 生成され, この電子と正孔が半導体膜上に吸着して いる水分子に作用し酸化還元反応を起こし,最終的 に水が水素と酸素に分解される(図1)。また, のとき発生した電子は非常に強い還元力を,正孔は 非常に強い酸化力を持っており,水や酸素などとの 反応により,OHラジカルやスーパーオキサイドア ニオンといった強い活性酸素を生じる。この時発生 した活性酸素によって,空気中の環境汚染物質や化 学汚染物質などを分解し無害化することを光触媒効 果という。

‑H・舟握

唖/肘袰口 KMrn4/M『伽 I室I宮口謀I蝿⑧ ロョノ、層 3.画BV

ルチj嘘醗ア ‑‑蝿

図2 TiO2のバンド構造5)

囲い

2.3半導体微細加工技術の応用')

半導体微細加工において,構造制御に向けた熱負 荷低減の観点からも,プロセスの低温化が必須となっ てきている。

禦外鰯 一篭輿篭チタン︶ ガラスやプラスチック

図1 光触媒効果の原理図4)

2.2光触媒に用いられるTiO25)

光触媒効果を示す半導体の条件として,バンドギャッ プの位置が水素発生電位(OeV) と酸素発生電位 (1.23eV)を挟み込む位置に存在しなければならな

い。この条件に当てはまる半導体は数多く存在する 図3半導体微細加工技術6)

(3)

そこで,従来の高温熱酸化法に代わる新しい方法 として,低温酸化プロセスの開発が研究されてきて いる。反応プロセスの低温化を実現するためには,

熱に代わる手段で期待する反応を高効率で誘起させ る必要力釘ある。また,代替手段を活用した反応生成 物は,高温プロセスで実現したものと同程度以上の 性能を持たなければ意味がない。

そこで,図3のように,石英ガラスやプラスチッ ク基板上のTiO2薄膜に紫外線を照射すると,光触 媒効果によって活性酸素が発生し,基板の一部分だ

けを酸化することが可能となる6)。

大腸菌の生存率をコロニーカウント法により測定し た。その後,作製したTiO2薄膜を室温にて保管し,

2年後そのTiO2薄膜を用いて同様の実験を行い,

その結果から, TiO2薄膜の光触媒効果の劣化につ いて考察を行った。

3.3 Siウエハの表面洗浄方法7)

表面洗浄前のSiウエハ表面には,図5に示すよ うに吸着ガス分子層,表面汚染層,表面化合物層な どがあり,光触媒効果によって得られる酸化状態を 調べるためにはそれらの不純物層を取り除く必要が ある。その為,以下の手順でSiウエハの表面洗浄 を行った。

①H20中に10分間

②HF(HF:H20=1 : 20)中に1分間

③H20中に5分間

④HCl‑H202‑H20(1 : 1 :6)中に10分間

⑤H20中に10分間

⑥乾燥 3. 実験方法

3.1 TiO2薄膜の作製方法

RFマグネトロンスパッタ法によって,酸素ガス を導入せず,更に基板加熱も行わないで石英ガラス 基板上にTiO2薄膜を作製した。RFマグネトロン スパッタ装置の概略図を図4に示す。スパッタ条件 としては, ターゲットにTiO2の焼結体を用い, ずチャンバー内を108Torr以下の高真空に排気後,

5×10 3Torrの高純度Arガスを導入し, 13.56MHz の高周波水晶発振式電源を用いて,投入パワーが50 Wになるよう調節しながら約20分間スパッタした。

これにより石英ガラス基板上に膜厚約1〃mのTiO2 薄膜を作製した。TiO2薄膜作製後の加熱も行わな かった。

一F蒙.j■工年唾子今︺g層

弥貸頚巍塞︲

堀醒灘に1重■蝉置遍画画抑綬良︸﹄

i

1

呂五正.侯二 上司寺齢I吟.

図5 Siウエハの表面洗浄7]

3.4オージェ電子分光法によるSiウエハ表面の酸 化状態の測定方法

作製したTiO2薄膜の光触媒効果によって, Siウ エハ表面がどの程度酸化されるのか調べるため,本 研究では以下の(a)〜(d)の4種の試料を作製した。

紫外線照射にはUVランプ(15W)を用い,UVラン プとTiOi薄膜の間の距離は30cmとした。作製し た4つの試料表面のオージェスペクトルをオージェ電 子分光法によって測定し, それぞれの酸化状態を比 較した。測定は,分析室内を1.0×10‑9Torr以下ま で排気し,電子線入射エネルギーを3keVとして行っ た。オージェ電子分光装置の概略図を図6に示す。

(a)表面洗浄のみを行ったSiウエハ

(b)表面洗浄後,紫外線を石英ガラス基板を通 して5分間照射したSiウエハ(以下, ラス5分)

(c) 表面洗浄後,紫外線をTiO2薄膜を通して 90秒間照射したSiウエハ(以下, TiO290 秒)

L■曲

Ib

、■壺才垂pP

夕■

I

1吋

図4 RFマグネトロンスパッタ装置概略図

3.2光触媒効果の検証方法

TiO2薄膜有り無しのそれぞれの石英ガラス基板 に, 15WのUVランプ(波長ス=253.7nm)を照 射して大腸菌の殺菌を行った。その後,約1日間培 養させ大腸菌のコロニーを観察した。この結果より,

(4)

−78−

藤本健治・浅野清光・岡村澄夫

ln(1 Y/丁孑

k=‑ 8

(d)表面洗浄後,紫外線をTiO2薄膜を通して 5分間照射したSiウエハ(以下ゥ TiO25分)

……(2)

ここで, fは生存率, 8は時間(sec),mは標的数 である。本研究では,標的に大腸菌を用いたため,

m=2とした。

これより, TiO2薄膜有りの場合のkは k=0.0848(sec ')

また, TiO2無しの場合のkは k=0.0293(sec ')

となった。

以上の結果から,本実験にて加熱せずに作製した TiO2薄膜は, TiO2薄膜無しと比較して,約3倍高 い光触媒効果を示した。

F48勺、

■や 4ヶ■

I=jJ

一■

』曾一' 、ろ 。.計。 。・−,

−−−

−1画。.琿・ , −−

I

"兎工」

毎一a

図6 オージェ電子分光装置概略図

4. 実験結果と考察

4.1 紫外線照射によるTiO2薄膜の殺菌効果 図7にTiO2薄膜有り無しのそれぞれの石英ガラ ス基板に紫外線を照射し, その後約1日間培養させ た結果を示す。TiO2薄膜有りの方は大腸菌のコロ ニーがほとんど見られないが, TiO2薄膜無しの方 は大腸菌のコロニーが多く見られる。

0 1

I

号は計

唾睡1

pQ01

■−七

垂剛一一︾.可

︼■

F﹃

lL

I

可。 F LOU01

a 2Q AC 60 80

碍腰i5ec)

一一一 図8作製したTiO2薄膜の光触媒効果

藍一詩

次に, ゾルーゲル法によって行った過去の実験結 果を図9に示す。 この実験では8Wの殺菌灯を用 い,標的には大腸菌を用いた。図9より, TiO2膜 有りの場合のkは

0'202Inin ,)=00020(sec‑,)

ルー 60

図7大腸菌のコロニー [TiO2薄膜有り(左), TiO2薄膜無し(右)]

大腸菌の生存率の照射時間変化を図8に示す。

UVランプ照射90秒後のTiO2薄膜有り無しの大腸 菌の生存率を比較してみると, TiO2薄膜有りの方 が2桁ほど低い事がわかる。

作製したTiO2薄膜の光触媒効果を検討するため に,次の標的モデルの式から死滅速度定数k(sec‑') を求めた8)。

/=1‑{1‑exp(−ル8)}麺 ……(1)

これより,死滅速度定数kは

となった。

また, TiO2膜無しの場合のkは

0096Mnirr')=00016(sec !)

た=

60 となった。

。鹸化薄ン腰離し p酸化チタン頚有り

(5)

光触媒TiO2薄膜によるSi表面の低温酸化に関する研究

いる。これは,光源を当てた距離,光源の光強度な どが要因と考えられる。本研究では, これらを紫外 線照射条件として考慮し, その上でTiO2膜有り同 士を比較すると,本実験にて作製したTiO2薄膜の 方が約2.3倍高い光触媒効果を示すことがわかった。

また, 2年間保管したTiO2薄膜の光触媒効果が,

ほとんど低下していない事も判明した。

RFマグネトロンスパッタ法にて作製したTiO2 薄膜は, ゾルーゲル法にて作製したTiO2膜よりも短 時間で高い光触媒効果を得られ,且つ劣化に強いこ とがわかった。ゾルーゲル法では, TiO2をコーティ ングした基板を高温で加熱処理するため,多孔質の 膜が形成されたり,不要な不純物が膜内に入りこむ 可能性が高い。 しかし, RFマグネトロンスパヅタ 法で作製したTiO2薄膜は,高真空中で且つ比較的 低温下で作製できるため膜内の不要な不純物を少な くでき,綴密で安定な光触媒効果が得られたと考え られる。

本研究で作製したTiO2薄膜は,淡い黄色に呈色 している事がわかった。表1にO/Ti原子比と色の 関係を示す9)。表1より,本研究で作製したTiO2 薄膜のO/Ti原子比は1.9900であると考えられる。

これより,表面近傍は化学量論的なTiO2の組成を 有しているが,バルク内部に入るにつれて極少量o が足りない状態TiO2.x(x=0.01)を示す傾斜組成構 造になっており,最表面の安定なTiO2層は,淡い 黄色に呈色するバルク領域の保護層として働いてい

ると考えられる9)。

1

収1

瞬陣鯛 、心1 似帥1

、側3

級鯏3

0 20伽闘閲1剛1認

鋳閲加絢)

図9過去のゾルーケル法による実験結果8)

図10は, 2年間室温にて保管したRFマグネトロ ンスパッタ法によって作製したTiO2薄膜について,

同様の実験を行った結果を示している。この結果か ら, 2年間保管したTiO2薄膜について,標的モデ ルの式を用いて死滅速度定数kを求めると

k=0.0884Gec ')

となり,光触媒効果はほとんど変化していないこと がわかる。

1

9

$

表1 0/Ti原子比と色の関係9)

色一難一臓一錘一晩一純一華

O/Ti

1.9995 1.9900 1.9867 1.9847 1.9843 1.9832

篝鮴 皿閲

凪伽 このような表面からバルク領域に至る化学組成比

の傾斜的なずれが, Ti‑O結合に摂動を生じ, その 結果実際の伝導帯と価電子帯がにじみ現象を起こ し'0),バンドギャップが小さくなり可視光領域に応 答すると考えられる。また,酸素欠損型TiO2‑xに Nをドープすることにより,価電子帯を引き上げ,

吸収波長を可視光領域にシフトするという結果が得 られている(図11)n)。

C

鴎囲囎錘》

図10 2年間保管したTiO2薄膜の光触媒効果

ゾルーゲル法によって作製されたTiO2膜の光触媒 効果を比較してみる。まずTiO2膜無し同士を比較 してみると,死滅速度定数kが一桁ほど異なって

(6)

−80−

藤本健治・浅野清光・岡村澄夫

れるo綴密で平滑な表面は,表面積が小さいため被 反応物質が付着しにくく,防汚・抗菌に向くと考え

られている5)O

圃瓢塗潤密尋曾薗調

劉謂閣曾毒騨嚢狸調

ター憧…

弄詞

#蘇一

陶伊 陶砂

瞳暴(廠飽

図11 窒素ドープ型TiOzxNx光触媒の光吸収スペクトル 需爾

と光源の放射強度スペクトル'')

l‑‑T"屡層 棚瀬一ラスな盛爾

、、鮎屈

勘瞳密蒋平漏啄糧面 また, スパッタ時に基板温度を調節することで可

視光応答型TiO2薄膜が作製できることや(図12)9), N2とArの混合気体中にてRFマグネトロンスパツ タを行い, さらにN2ガス中550℃で4時間熱処理 を行い結晶化させることで,可視光領域にも応答す る窒素付活可視光応答型TiO2が作製できることが 最近報告された9)。

図13ポーラスな表面と徴密な表面5)

4.2TiO2薄膜の光触媒効果によるSiウエハ表面の 酸化状態

作製したTiO2薄膜の光触媒効果によって, Si"

エハ表面がどの程度酸化されるのか,作製した4種 の試料のオージェスペクトルを測定した。図14は,

測定した4種のオージェスペクトルを示している。

(a)のオージェスペクトルでは, Si(92)のオージェ シグナルが大きく出ているが(b), (c),(d)のオー ジェスペクトルではSi(92eV)のオージェシグナル は小さくなっており, SiO2のSi(76eV)のオージェ シグナルが現れているのがわかる。これは,光触媒 効果によって試料表面が酸化され, Siオージェピー クのケミカルシフトが起こったものと考えられる'2)。

このことから, TiO290秒, TiO25分のSiウエハ表 面ではSiの酸化が促進されていると考えられる。

図15は, 4種の試料表面のオージェスペクトルの 測定結果についてO/Siで規格化して, Siウエハ表 面の酸化状態の程度を示したものである。表面洗浄 のみ, ガラス5分のSiウエハ表面に比べて, TiO2 90秒,TiO25分のSiウエハ表面は, O/Siの値が大 きいため酸化効率が高いと考えられる。

図16は, 4種の試料表面のオージェスペクトルの 測定結果について, C/Oで規格化した結果を示し ている。TiO25分のC/Oの値は,洗浄のみのC/O の値と同程度であるといえる。よって, TiO2薄膜 を通して紫外線を照射することで, まずSiウエハ 表面の酸化が促進され,次に5分照射後では表面炭 素汚染の除去が行なわれていると考えられる。

極)

《鋤《鋤 蝿)

蝿)

卸C 曾韓a 唖。。 0 酌○

謹憂Irm]

図12 RFマグネトロンスパッタ法により作製したTiO2 薄膜の吸収スペクトル9)

また, TiO2薄膜の製膜方法によって表面の形状 が異なると考えられる。ゾルーゲル法にて基板上に TiO2薄膜を製膜させる場合,高温で焼結させるこ とで図13(a)のような表面が得られる。ポーラス な表面では,凹凸があるため表面積が大きく,被反 応物質が付着しやすく,空気浄化.水浄化に向くと 考えられている5)O

本研究で作製したTiO2薄膜は, スパッタ時の投 入パワーを低出力で行ったことと, 2年間室温にて 保管しても光触媒効果が低下しなかったことから,

図13(b)のような表面が形成されていると考えら

(7)

廟野愚息皇323111111夢墨里轌言急霊冨

測一=]一一一

OI 帥表面鍵浄酌み

│I

L

製〆感

l−−liI︾︒Ii

一婚 一﹃■旬P 一圃僅

11

−■■■■0190口b■0■一■■■■■■■■■■■7

山萢漢︵墜毒曇竜

図15 4種の試料表面のO/Siオージェ信号強度比

一︾

一卿

1A州トー○

封.

︑い﹄f晶叫︾

12

霊1.1

忍伽

雲鑪唖3

E三三二厘

I I

I

:‑‑蕊!

一A p軍ロ

師一 {dWTi@箱鈴

溌綴鎮澆j"

I

pL■■■■■■△■■凸■■■■■■■▼

図16 4種の試料表面のC/Oオージエ信号強度比

5側 1⑪帥

E頤rgyleV>

図14 4種の試料表面のオージェスペクトルル 待される。

TiO2薄膜の光触媒効果によってSiウエハ表面を 酸化する実験では,光触媒効果によってSiウエハ 表面が酸化されることが確認できた。また,TiO2 薄膜の光触媒効果によってSiウエハ表面の酸化が 促進され,更に紫外線5分照射後ではSiウエハ表 面の炭素汚染が除去されたことから, より純粋な Si酸化膜が得られたと考えられる。

今後の課題としては, TiO2薄膜を通してSiウエ ハ表面に紫外線を当てる時間を長くして, Siウエ ハ表面の酸化状態だけではなく, Si酸化膜の厚さ についても実験を行っていく予定である。また,光 の透過率の測定やTiO2薄膜の可視光領域における 高効率化により, ナノ分子デバイスの開発などによ り, ナノ光触媒リソグラフヘの応用を目指す予定で ある。

5. 結言

本研究にて加熱せずに作製したTiO2薄膜は, TiO2薄膜無しと比べて,約3倍高い光触媒効果を 示すとともに,極めて短時間で大腸菌を殺菌する事 ができた。さらに, ゾルーゲル法による過去の実験一 結果と比較しても約2.2倍高い光触媒効果を示した

ため,従来のものよりもより高効率であることが判 明した。さらに, 2年間室温にて保管したTiO2薄 膜の光触媒効果がほとんど低下していないことから,

RFマグネトロンスパッタ法により作製したTiO2 薄膜は非常に安定であることが判明した。また,

TiO2薄膜が淡黄色に呈色していたことから, TiO2 光触媒の高い紫外光領域での光触媒反応を維持した ままで,可視光領域にも反応する可視光応答型TiO2 光触媒であると考えられ,実用化に向けて大いに期

1 一一−

陸竺昼̲ト

圭一

クー

Ⅱ■■

ロ ロ

(8)

−82−

藤本健治・浅野清光・岡村澄夫

参考文献 6)藤嶋昭,立間徹, 日本経済産業新聞, 2001年11

月20日

7)井上和泰,薄膜のプロセッシング,早稲田大学 出版部, (1990), p.23

8)藤本健治,浅野清光,岡村澄夫,高効率酸化チ タン透明薄膜光触媒の開発一可視光応答型 TiO2薄膜への挑戦−,秋田工業高等専門学校 紀要,No.39, pp.100‑104, (2004)

9)佐藤次雄,段シュウ,可視光光触媒の開発動向,

OHM, pp、48‑53, (2003)

10)竹内雅人,安保正一,平生孝,伊藤信久,岩本 信也, マグネトロンスパッタドライプロセスに よる可視光応答型二酸化チタン薄膜光触媒の作 製,表面科学,第22巻,第9号, pp.11‑15,

(2001)

11)野坂芳雄,野坂篤子,入門光触媒,東京図書株 式会社, (2004), pp.204‑206

12)志水隆一,吉原一紘,実用オージェ電子分光法,

1)一村信吾,野中秀彦,黒河明,西口哲也,新し い低温酸化プロセスの開発,月刊「ケミカルエ ンジニヤリング」, vol.49, No.2, pp.49‑55, (2004)

2)中田行彦,東和文,岡本哲也,後藤真志,佐々 木厚,光またはプラズマ励起酸素原子による低 温酸化と多結晶Si薄膜トランジスタへの応用,

真空, vol、47,No.5, pp.357‑360, (2004) 3)安保正一,峠田博史,佐藤次雄,井原辰彦,小

松晃雄,堂免一成,酒谷能彰,荒川裕則,多賀 康訓,可視光応答型光触媒開発の最前線,㈱エ

ヌ・ティー・エス, (2002), pp.42‑43

4)小池和英,竹内浩士,光触媒の基礎と応用一環

境浄化を中心として−,材料科学,第36巻,第

2号, pp.84‑89, (1999)

5)藤嶋昭,橋本和仁,渡部俊也,光触媒のしくみ,

株式会社日本実業出版社, (2000) 共立出版株式会社, (1989), pp.104‑108

参照

関連したドキュメント

研究の背景 酸化チタン光触媒(TiO

研究の背景 光触媒

に適用した場合の結果について、従来の Pd/C 触媒と 比較したものを示した(この場合 Pd 触媒膜の Pd 担持 量は 6wt% であり、反応は Pd

円球をしており,収差を補正するため幾何光学の不融点の

●背景

Laser Focus World Japan 2017.5 19 るのが光測定器(OSA、光源、OTDR、

むしろ、 光に、 純白になろうとしているのである。 「影は葉子の上にも落ち、

 二酸化チタン(TiO2)は光応答性物質として知られており,この粉末を光触媒として