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「次世代光メモリとシステム技術」沖野芳弘著

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Academic year: 2021

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 本書は,高 NA(numerical aperture)の対物レンズと青 色レーザーを用いる回折限界の集光スポットを標榜する光 メモリー,回折を無視できる非伝播光である近接場光を用 いる光メモリー,干渉を用いるホログラフィック・メモ リーや二光子励起を利用する光メモリー,そして記録材料 について,33 名の執筆者からなる光メモリーとシステム技 術について記述した 315 ページを体裁とする技術専門書で ある.光メモリーについてすべての分野を網羅した,読み 応えのある光工学とオプトエレクトロニクスの専門書であ り,ハンドブックとしても有用な書籍である.  青色半導体レーザーと NA=0.85 の対物レンズの組み合 わせによる Blu-ray Disc(BD)は,回折限界を極めた光 ディスクである.微小な集光スポット径は回折で決まり, 使用波長を短波長化し対物レンズを高 NA 化することで達 成される.高 NA な単レンズの製造技術はガラスモールド 形成により,またピット記録平板により生じる球面収差の 補正機構が詳述されている.これらの背面にある光学は, 復刊が期待される久保田広著「光学」(岩波書店,1964), 「波動光学」(岩波書店,1971)であり,光メモリー・シス テムを理解するのに参考になる書籍である.また,回折限 界の集光スポットを表すエアリーディスクは,対物レンズ に入射する波面が平面波であるとしている.よって,レー ザー・ガウスビームのフラットトップの強度変換を行って おくことが必要で,エルミート・ガウスビームの特性と ビーム整形に関する記述が望まれる.  BD の面密度向上は限界に近く,光メモリーの大容量 化,数テラバイトに向けて,多層ディスクへの取り組みが 紹介されている.多層光メモリーは,単層光メモリー技術 を光軸方向に拡張したもので,スムーズな技術の展開がで きる.  近接場光であるエバネセント波を用い,開口部の大きさ に応じた高周波数成分を微小スポットの形成に利用してい る.高分解能は,高屈折率な固体浸レンズ(solid immer-sion lens, SIL)により高 NA な対物レンズとなり実現して いる.結果,SIL 底面近傍のエバネセント波である底面す れすれの光も取り込んでおり,すべての高周波成分を含み 超解像を達成している.フーリエ光学に従えばすべての angular spectrum 成分を含んでいることになる.SIL は半

円球をしており,収差を補正するため幾何光学の不融点の 原理を用いて設計されている.  近接場光は,ファイバー微小開口にまとわり回折限界を 超える分解能を得られるが,光利用効率が低い.金属先端 に近接場光を高効率に発生させる方法として,局在プラズ モンの共鳴増強光があり,プラズモンヘッドとして利用さ れている.光ビームスポットを磁気媒体に照射し温度を上 昇させ保磁力を低下させることで,低磁界で高密度な記録 が行える方法である.  ホログラフィック・メモリーは,IT 進化の中,大容量化 のニーズがあり次世代型の光メモリーである.Collier ら の Optical Holography(Academic Press, 1971)の書より, 1970 年代半導体 DRAM 開発以前は,ホログラムメモリーの 研究が趨勢であった.体積ホログラムの波数空間の運動量 保存則による角度,波長選択性の解析を示し,ビットパ ターンの記録を示している.本書では,波数空間のエバル ト球に,ビット記録型メモリーに用いる対物レンズの伝達 帯 域 を 割 り 当 て,NA 変 化 に よ る シ フ ト 多 重 ホ ロ グ ラ フィック・メモリーとの記録密度の比較計算を行ってお り,ホログラフィック・メモリーが低 NA レンズを用いな がらも高記録密度を達成できるとの興味ある解析を記述し ている.1 mm の厚さのフォトポリマーを記録材料に用い るコリニア方式の記録方式についても,一読の価値が ある.  ホログラムメモリー,二光子励起を用いるビット記録型 メモリーは,記録材料の開発に依存し,前者は記録多重性 を増すためダイナミックレンジの広い記録材料の開発が必 要で,後者は二光子吸収断面積の大きな化合物の開発が必 要となる.Super-RENS や二光子吸収による集光スポット の微小化は,集光ビームのガウス分布の頂上のみを使用し 熱スポットで記録するものと,フォトンを吸収し集光ス ポット強度の 2 乗に比例して記録するタイプがある.  光ディスク,次世代の光メモリーを開発する研究技術者 にとって,座右の書となりうる内容であり,また波動光 学,フォトニクスを教育,研究する大学教師にとっても, 光メモリーとその装置を概観できる書として最適と思われる. (東京理科大学理学部 石井行弘) 43(43) 39 巻 1 号(2010)

書 評

次世代光メモリとシステム技術

沖野 芳弘 監修

シーエムシー出版,2009 年(ISBN 978-4-7813-0098-6)

参照

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