地区組織
著者 中嶋 元輝
雑誌名 金沢大学文化人類学研究室調査実習報告書
巻 28
ページ 11‑19
発行年 2013‑03‑31
URL http://hdl.handle.net/2297/34533
2
.地区組織中 嶋 元 輝
1
.はじめに2
.各地区の運営3
.各地区の組織、団体4
.考察5
.おわりに1
.はじめに今回若山町の経念、古蔵、中田、火宮、向の5地区の調査している時に、それぞれの地区で話 を聞くにつれて、区の運営や活動に似ている点もあれば、他の区とは異なる点があることに気付 いた。また、話を聞いていく中で、昔は区内にあったが現在はなくなってしまった組織や活動の 話なども聞くことができた。こうした運営や活動の方針、または運営の体系や区内の組織はどの ようにして今の形になったのか、なぜそのように変わったのかを疑問に思った。また、これらの ことを調べることでそれぞれの区の現状を理解できるのではないかと考えるようになった。
2
.各地区の運営2.1
経念経念で行われている主な年間行事や活動としては、3月の集落春祭り、4月の春本祭り、6月の 集落虫送りまつり、9月の秋祭り、11月の新嘗祭などがある。また、4月には集落宮の掃除が、6 月には河川の草刈りや神社境内の草刈りが区全体で行われている。この他にも市や若山町全体の 行事としては、8月のトライアスロン大会や10月の若山町文化祭、1月の新年会などがある。
経念の運営は区長1名、区長代理1名、運営委員8人、班長4人、生産組合長1名で行われて いる。班長と生産組合長以外の任期は2年、班長、生産組合長の任期は1年である。区長は毎年1 回1月の第二日曜日に行われる総会によって決められるが、前区長の推薦等により事前に決まっ
ている場合が多く、また最近は区長自身が区長代理を兼任することが多いようである。運営委員 会は各班より2名ずつ、班長は各班から1名ずつ、それぞれ順番で回している。
また、経念にもかつては納税組合があったが、2011年の3月で廃止になった。
区の役職としては他には神社の管理等を担当している氏子総代、氏子総代代理がそれぞれ1名 ずつおり、代表らは前任の推薦によって決められる。任期は3年。
区長の仕事としては総会の進行の他、市から配布される広報を班長に配ること、区内での有事 への対応などがある。会計の役はなく、区長が会計の仕事も兼任する形がとられている。班長は 区長から配られた広報を住民の方に配ることや、区費の集金が主な仕事となる。運営委員は区長 の相談役としての役割を担っている。
経念の総会は毎年1回1月の第二日曜日に行われている。現在は集会所(経念生活改善センタ ー)で行われているが、集会所が建つ以前は区長の自宅で行われていた。たいてい区長になる人 の家は大きかったそうで、総会の後はそのまま飲み会などをすることもあったそうだ。
経念の現在の区費は1戸につき月2500円。内訳は700円が区費、300円が集会場運営費、900 円が神社費(祭礼費用)、600円が神社特別費(神社の補修等のための積立て)となっている。毎 月区長が集め、区長に渡し、区長が区の口座に入金している。
2.2
古蔵古蔵の年間行事や活動としては、4月の春の祭り、9月の秋の本祭りなどがあり、年に2、3回 古蔵地区全体での用水路や神社の草刈りや清掃の行事があり、清掃後には1人500円で参加でき るバーベキューも行われているようだ。他にも年に1回、古蔵地区での日帰りの旅行があるのだ が、これは役員でも何でもない世話好きの人たちが計画して行っている(古蔵、男性、72歳)。 古蔵の運営は区長1名、副区長1名、班長4人、納税組合長1人、会計監査2人で行われてい る。班長以外の任期は2年、班長の任期は1年となっている。役員は正月明けに行われる初寄合 いで決められる。選出方法としては選挙と推薦の両方があるが、実際には役員をできる人の数が 少ないため、再選が多いようである。班長については毎年順番に回している。班長は各班1名ず つ選出され、班内で順番で回している。
古蔵にも神社の管理等を担当している氏子総代があり、人数は1人。区長と共に祭りの取り仕 切りも行っている。任期は3年で、前任からの推薦が多い。
区長の仕事としては、区費の管理。市から配られる広報や、班ごとに作った回覧板を班長に配 ることの他、氏子総代と共に祭りの取り仕切りを行うことなどがある。班長の仕事は区費の集金 や区長から配られる回覧板や広報を住民に配ることが主な仕事である。納税組合員は市への税金 の代行収集を行っている。こうすることで市からの補助金が得られるのだが、最近ではその額も
少なくなってきており、徴収の際の効率性の問題などもあることから区としてはそろそろ廃止し たいとの声もあるようだ。会計監査の仕事は区長の会計の際に支出や収入、用途等に不審な点が ないかをチェックすることが仕事となる。
古蔵の総会は毎年1月の第2日曜日に若山公民館で行われている。総会後にはそのまま集まっ た人たちでお酒を飲むこともあるようだ。
古蔵の区費は1軒につき年10000円となっている。これ以外にも、区内で何か事業などがある 場合は特別会計として、区費とは別にお金を徴収している。
2.3
中田中田の主な年間行事や活動としては3月の祈年祭、4月の春の祭り、9月の秋の祭り、11月の新 嘗祭などが挙げられる。また6月には河川の清掃やバーベキューを行っており、中田地区を4つ に分けて運動会を行ったりすることもあるようだ。
中田の運営は区長1名、副区長2名、班長4名、納税組合長1名、生産組合長2名で行われて おり、班長以外の任期は2年、班長は1年となっている。また現在は区長が副区長を兼任してい るため副区長の役職はおかれていない。区長は総会によって選ばれるが、前区長からの推薦が多 い。そうした場合は事前に住民の方たちにも話が回っているそうである。納税組合長の選出方法 も区長と同様の方式が取られている。生産組合長は順番で回している。班長については各班1名 ずつ選出され、順番に回しているが、年齢や体の具合によって仕事を務めることが困難な場合に は次の人に飛ばして回している。
区長の仕事としては市からの広報を各班の班長に配ること、総会の進行、区内での有事があっ た際の対応などが挙げられ、区費の管理などの会計の仕事も区長が担当している。区長をやりた がる人は年々少なくなってきているようである。班長の活動としては広報、区費の集金等がある。
また祭りの際には1、2班と3、4班の2組が宮の清掃や神輿の準備を交代で行っている。かつて は葬式のまかない等もしていたようである。
中田の総会は年に1回、1月の第2日曜日に生活改善センターで行われている。臨時で総会が開 かれる場合もある。中田の青壮年団と婦人会が定期的に合同でセンターの清掃をしている。また、
総会後はそのままセンターの前で懇親会(バーベキュー)が行われるそうだ。
中田の区費は1戸につき年20000円。これを4回に分けて集金している。
2.4
火宮火宮の主な年間行事や活動としては2月の祈願祭、4月の春大祭、5月の鎮火祭、9月の秋祭り、
11月の新嘗祭などがある。6月には河川、公園、神社の草刈りが行われ、7月には農道、水路の草 ている場合が多く、また最近は区長自身が区長代理を兼任することが多いようである。運営委員
会は各班より2名ずつ、班長は各班から1名ずつ、それぞれ順番で回している。
また、経念にもかつては納税組合があったが、2011年の3月で廃止になった。
区の役職としては他には神社の管理等を担当している氏子総代、氏子総代代理がそれぞれ1名 ずつおり、代表らは前任の推薦によって決められる。任期は3年。
区長の仕事としては総会の進行の他、市から配布される広報を班長に配ること、区内での有事 への対応などがある。会計の役はなく、区長が会計の仕事も兼任する形がとられている。班長は 区長から配られた広報を住民の方に配ることや、区費の集金が主な仕事となる。運営委員は区長 の相談役としての役割を担っている。
経念の総会は毎年1回1月の第二日曜日に行われている。現在は集会所(経念生活改善センタ ー)で行われているが、集会所が建つ以前は区長の自宅で行われていた。たいてい区長になる人 の家は大きかったそうで、総会の後はそのまま飲み会などをすることもあったそうだ。
経念の現在の区費は1戸につき月2500円。内訳は700円が区費、300円が集会場運営費、900 円が神社費(祭礼費用)、600円が神社特別費(神社の補修等のための積立て)となっている。毎 月区長が集め、区長に渡し、区長が区の口座に入金している。
2.2
古蔵古蔵の年間行事や活動としては、4月の春の祭り、9月の秋の本祭りなどがあり、年に2、3回 古蔵地区全体での用水路や神社の草刈りや清掃の行事があり、清掃後には1人500円で参加でき るバーベキューも行われているようだ。他にも年に1回、古蔵地区での日帰りの旅行があるのだ が、これは役員でも何でもない世話好きの人たちが計画して行っている(古蔵、男性、72歳)。 古蔵の運営は区長1名、副区長1名、班長4人、納税組合長1人、会計監査2人で行われてい る。班長以外の任期は2年、班長の任期は1年となっている。役員は正月明けに行われる初寄合 いで決められる。選出方法としては選挙と推薦の両方があるが、実際には役員をできる人の数が 少ないため、再選が多いようである。班長については毎年順番に回している。班長は各班1名ず つ選出され、班内で順番で回している。
古蔵にも神社の管理等を担当している氏子総代があり、人数は1人。区長と共に祭りの取り仕 切りも行っている。任期は3年で、前任からの推薦が多い。
区長の仕事としては、区費の管理。市から配られる広報や、班ごとに作った回覧板を班長に配 ることの他、氏子総代と共に祭りの取り仕切りを行うことなどがある。班長の仕事は区費の集金 や区長から配られる回覧板や広報を住民に配ることが主な仕事である。納税組合員は市への税金 の代行収集を行っている。こうすることで市からの補助金が得られるのだが、最近ではその額も
刈りなどが行われている。
火宮の運営は区長1名、班長3名、相談役3名、会計監査3名、納税組合長1名で行われてい る。班長以外の任期は2年、班長は1ヶ月ごとに交代する月当番制がとられている。役員等は年 に1度の総会で決められるが、区長については前区長から話が回っている場合がほとんどである。
班長、相談役は各班からそれぞれ1名ずつ順番で選ばれている。火宮の班は上の班、中の班、下 の班と分かれており、1年ごとに当番を回している。
区長の仕事は、区費の管理、班長への広報の配布、総会の進行などがある。班長の仕事は自分 の班への行事連絡や広報の配布、区費の回収等がある。また、その年の当番になった班は、年に5 回行われる祭りの運営を担当することになる。班の中で誰がどの祭りを担当するかも決めている そうだ。他にも総会や会議の際の会場の準備や後片付けも行っている。納税組合長は市への税金 の収集を担当している。納税組合は年1回、2月に若山公民館にて決算報告を行っている。納税組 合長(火宮、男性、62歳)によれば、昔は市からの補助金が多く得られたため、組合員にも1人 に付き多少の手当てが出されていたが、現在ではその補助金の額も大幅に減ってしまい、手当て もほとんどだされていないとのことだ。
火宮の総会は年1回、1月2日に行われる。場所は若山荘。若山荘は、元々は若山町内の老人会 の活動の場所として建てられたそうなのだが、次第に利用されなくなっていったそうだ。若山荘 はかつて古蔵、火宮、向の3地区が維持費を共同で出し合っていたが、現在は火宮のみがわずか に維持費を出しているだけになっており、若山荘自体は珠洲市の管理下となっている。火宮の総 会の他にも、子供たちの習字の教室の場としても利用されている。
1月の総会以外にも、12月にはこの総会に向けた役員会も開かれている。祭りの相談など、総 会以外にも必要がある場合は随時話し合いが行われているようだ。
火宮の区費は1軒につき月2000円。広報で事前に連絡を入れて、各班の月当番が集めている。
集めた区費は区長に渡し、区長が区の口座に入金している。区費の用途について正しく使われて いるかどうかは会計監査の役員の方たちによってチェックされている。
2.5
向向の主な年間行事や活動は、2月の祈年祭、4月の春の本祭り、10月の秋の本祭り、新嘗祭など がある。向には良い神輿があるため春、秋の本祭りで出したいのだが、若者の数が足りないため、
出すことができないでいるそうだ(向、男性、40歳)。また、向でも他の区と同様に4月には用水 路の清掃を、6月には河川の清掃を行っている。
向区の運営は区長1名、班長4名、神社責任者総代1名、神社氏子総代4人、農協総代4名、
生産組合長1名で行われている。納税組合は2011年まではあったそうだが現在は無い。現在は班
表
1
各地区の役員経念 古蔵
役職 任期 人数 役職 任期 人数
区長 2年 1人 区長 2年 1人
区長代理 2年 1人 副区長 2年 1人 運営委員 2年 8人(各班) 班長 1年 4人(各班)
班長 1年 4人(各班) 納税組合長 2年 1人 氏子総代 3年 1人 会計監査 2年 2人 氏子総代代理 3年 1人 氏子総代 3年 1人 生産組合長 1年 1人
中田 火宮
役職 任期 人数 役職 任期 人数
区長 2年 1人 区長 2年 1人
副区長 2年 1人 相談役 2年 3人(各班)
班長 1年 4人(各班) 会計監査 2年 3人(各班)
納税組合長 2年 1人 班長 1年 3人(各班)
生産組合長 2年 2人 納税組合長 2年 1人 向
役職 任期 人数
区長 2年 1人 班長 1年 4人(各班)
生産組合長 2年 1人 農協総代 3年 4人 神社責任者総代 2年 1人
神社氏子総代 2年 4人(各班)
(出所:筆者作成)
長と農業総代以外の任期は2年、班長は1年、農協総代は4年となっている。区長は前区長の推 薦でほとんど決まる。前区長が辞める時に次に区長を務めて欲しい人のところへ相談に来るらし い。形式としては総会で賛成の拍手をもって承認される。班長は各班1名ずつ、順番で回してい る。高齢の方や1人暮らしの方は飛ばす場合もある。声をかけて本人が嫌といえばそれでよし。
やるといえばやるそうだ。氏子総代、農業総代も各班で持ち回りをしている。農業総代の場合は 任期以上に長く続けることが多く、辞めたい時に次の人を探すそうだ。
区長の主な仕事は事業計画や総会の進行、区費の管理等がある。会計の役は置かれておらず、
区長がその役割も負担している。班長の仕事としては区費の回収や広報の担当。神社責任者総代、
神社氏子総代は神社等の管理を担当している。生産組合長はJAとのつながりが多いようで、農協 総代は名前の通り農協と関連する仕事を担当している。
向の総会は年に1度、1月の第1日曜日に開かれている。向には集会場がないため、区長宅が総 会の会場となっている。議題は前年度の事業報告、収支報告、来年度の予算案、事業案など。
刈りなどが行われている。
火宮の運営は区長1名、班長3名、相談役3名、会計監査3名、納税組合長1名で行われてい る。班長以外の任期は2年、班長は1ヶ月ごとに交代する月当番制がとられている。役員等は年 に1度の総会で決められるが、区長については前区長から話が回っている場合がほとんどである。
班長、相談役は各班からそれぞれ1名ずつ順番で選ばれている。火宮の班は上の班、中の班、下 の班と分かれており、1年ごとに当番を回している。
区長の仕事は、区費の管理、班長への広報の配布、総会の進行などがある。班長の仕事は自分 の班への行事連絡や広報の配布、区費の回収等がある。また、その年の当番になった班は、年に5 回行われる祭りの運営を担当することになる。班の中で誰がどの祭りを担当するかも決めている そうだ。他にも総会や会議の際の会場の準備や後片付けも行っている。納税組合長は市への税金 の収集を担当している。納税組合は年1回、2月に若山公民館にて決算報告を行っている。納税組 合長(火宮、男性、62歳)によれば、昔は市からの補助金が多く得られたため、組合員にも1人 に付き多少の手当てが出されていたが、現在ではその補助金の額も大幅に減ってしまい、手当て もほとんどだされていないとのことだ。
火宮の総会は年1回、1月2日に行われる。場所は若山荘。若山荘は、元々は若山町内の老人会 の活動の場所として建てられたそうなのだが、次第に利用されなくなっていったそうだ。若山荘 はかつて古蔵、火宮、向の3地区が維持費を共同で出し合っていたが、現在は火宮のみがわずか に維持費を出しているだけになっており、若山荘自体は珠洲市の管理下となっている。火宮の総 会の他にも、子供たちの習字の教室の場としても利用されている。
1月の総会以外にも、12月にはこの総会に向けた役員会も開かれている。祭りの相談など、総 会以外にも必要がある場合は随時話し合いが行われているようだ。
火宮の区費は1軒につき月2000円。広報で事前に連絡を入れて、各班の月当番が集めている。
集めた区費は区長に渡し、区長が区の口座に入金している。区費の用途について正しく使われて いるかどうかは会計監査の役員の方たちによってチェックされている。
2.5
向向の主な年間行事や活動は、2月の祈年祭、4月の春の本祭り、10月の秋の本祭り、新嘗祭など がある。向には良い神輿があるため春、秋の本祭りで出したいのだが、若者の数が足りないため、
出すことができないでいるそうだ(向、男性、40歳)。また、向でも他の区と同様に4月には用水 路の清掃を、6月には河川の清掃を行っている。
向区の運営は区長1名、班長4名、神社責任者総代1名、神社氏子総代4人、農協総代4名、
生産組合長1名で行われている。納税組合は2011年まではあったそうだが現在は無い。現在は班
向の区費は1軒につき半年2000円となっている。1、2年前までは月2000円だったものが前回 の総会で決定され、今の形になったそうだ。
3
.各地区の組織、団体3.1
若山長寿会若山長寿会とは経念、古蔵、中田、火宮、向の5地区で構成されている老人会のことである。2 年前の平成22(2010)年度の会員の数は経念41名、古蔵19名、中田28名、火宮21名、向15 名の計124名となっていた。若山長寿会には会長の他、経念と中田に2名、その他の地区に1名 ずつ役員がおり、それぞれ毎年3月に若山荘にて行われる総会で選出されている。
若山長寿会の活動にはゴルフ大会やカラオケ大会、慰安会など毎月様々な活動が活発に行われ ているようだ。現会長としてはこうした活動の他、現在年6回程度行われている皆で集まって飲 む機会や話をする機会を増やしたいと考えているようだ。また、若山長寿会では毎月1回会員へ の会報の「お元気だより」が発行されている。これは会長が手書きで書いているもので、内容も ユーモアあふれるものになっている。毎月各地区の役員に配り、会員1人1人に手渡しで渡すよ うにしてもらっている。
会費は1人当たり年2000円で、旅行などの行事がある際にも参加者からその都度費用をあつめ ている。3月の総会の他、4月には役員会が行われている。場所はそれぞれ若山荘が利用されてお り、たまに若山公民館も使われている。
3.2
青壮年の会3.2.1
中田 中田青壮年部中田には元々35歳までの人が所属する青年部のみが存在していたが、人口の減少に伴って存続 が難しくなってきたため、年齢の制限をなくし、35歳以上の人も残れるようにしたことで青壮年 部になった。現在在籍しているのは7名で47歳以上の方もいるそうだ。
青壮年部に入る際は集会に金一封を持っていき、あいさつをする。昔は金一封の代わりにお酒 を持っていった。
青壮年部の主な活動としては祭りの手伝い、お盆のキリコ出し、トライアスロンの際の中田地 区の交通整理と年2回のしめ縄縫いがある。しめ縄縫いは作る区からのお金がもらえるのだが、
最近では区の財政事情により区長が先に作ってしまうこともあるそうだ。また会合というほどで はないが時々集まって飲み会をしている。必ず行われるのは締めの会合。4月の大祭が終わってか らの5月に行われる。頭などの交代や出入りがある時はこの会合で伝えられる。
3.2.2
向 若衆若衆とは、向の高卒から42歳までの人たちのことを指しており、青壮年部のようなものである。
主な活動としては、しめ縄作りやキリコの管理をしている。しかし現在向区の若衆は2、3人しか おらずほとんど活動ができない状態にあるようだ。
3.2.3
火宮 若連中火宮の若連中は火宮の青壮年部のような組織である。太鼓やキリコの管理を主な活動としてい るが、最近では皆で集まってのバーベキューなど、娯楽としての活動が多いようである。
3.3
その他の組織、団体3.3.1
法人会法人会とは若山の組織ではない。様々な会社の社長達の集まりである。話しを伺った方(経念、
女性、63歳)は祖父の仕事関係で法人会に所属していたことがあるそうで、法人会の旅行に同行 した際は、輪島から2社、穴水から1社、若山から1社(飯田電子)など他にも数社の様々な会 社の社長と関係者やその身内の人たちが参加していたそうだ。毎年秋に旅行があり、全国各地様々 な場所へ行っていたようだ。
3.3.2
古蔵 八百会八百会とは昭和61(1986)年頃まで古蔵地区に存在した30代から50代男性のみで構成された 組織である。元区長(古蔵、男性、81歳)が区長をしている頃につくったそうで、自ら会長をし ていた。地区の人たちとゆっくり語り合える場が欲しいと思っていたことがきっかけでこの八百 会をつくったそうだ。年1回の総会があり、毎月5000円から10000円程度の積み立てをして年に 1回1泊の温泉旅行へ行ったり、他にも時々皆で集まってお酒を飲んだりして語り合っていたよう だ。今はこの会はなくなってしまっているが、こうした皆と本音を語り合える場は大事にしてい かないとだめだと語っていた。
3.3.2
若山村塾若山村塾は古蔵の寺の住職(男性、73歳)の方が20年ほど前から行っている活動である。若山 町以外にも正院や飯田の方からの参加者もいるようである。会場には若山公民館が使用されてお り、参加費等はなし。内容としては主に古文書の読み合わせなどが行われているが、これらの書 籍は全て参加者個人の持ち合わせの物となっている。しかし最近では古文書のネタがつきてしま 向の区費は1軒につき半年2000円となっている。1、2年前までは月2000円だったものが前回
の総会で決定され、今の形になったそうだ。
3
.各地区の組織、団体3.1
若山長寿会若山長寿会とは経念、古蔵、中田、火宮、向の5地区で構成されている老人会のことである。2 年前の平成22(2010)年度の会員の数は経念41名、古蔵19名、中田28名、火宮21名、向15 名の計124名となっていた。若山長寿会には会長の他、経念と中田に2名、その他の地区に1名 ずつ役員がおり、それぞれ毎年3月に若山荘にて行われる総会で選出されている。
若山長寿会の活動にはゴルフ大会やカラオケ大会、慰安会など毎月様々な活動が活発に行われ ているようだ。現会長としてはこうした活動の他、現在年6回程度行われている皆で集まって飲 む機会や話をする機会を増やしたいと考えているようだ。また、若山長寿会では毎月1回会員へ の会報の「お元気だより」が発行されている。これは会長が手書きで書いているもので、内容も ユーモアあふれるものになっている。毎月各地区の役員に配り、会員1人1人に手渡しで渡すよ うにしてもらっている。
会費は1人当たり年2000円で、旅行などの行事がある際にも参加者からその都度費用をあつめ ている。3月の総会の他、4月には役員会が行われている。場所はそれぞれ若山荘が利用されてお り、たまに若山公民館も使われている。
3.2
青壮年の会3.2.1
中田 中田青壮年部中田には元々35歳までの人が所属する青年部のみが存在していたが、人口の減少に伴って存続 が難しくなってきたため、年齢の制限をなくし、35歳以上の人も残れるようにしたことで青壮年 部になった。現在在籍しているのは7名で47歳以上の方もいるそうだ。
青壮年部に入る際は集会に金一封を持っていき、あいさつをする。昔は金一封の代わりにお酒 を持っていった。
青壮年部の主な活動としては祭りの手伝い、お盆のキリコ出し、トライアスロンの際の中田地 区の交通整理と年2回のしめ縄縫いがある。しめ縄縫いは作る区からのお金がもらえるのだが、
最近では区の財政事情により区長が先に作ってしまうこともあるそうだ。また会合というほどで はないが時々集まって飲み会をしている。必ず行われるのは締めの会合。4月の大祭が終わってか らの5月に行われる。頭などの交代や出入りがある時はこの会合で伝えられる。
ったので、中国の思想書の読み合わせになってきているそうだ。参加者は60歳以上の方が多いよ うで、一般の方以外にも先生や医者、珠洲焼の職人の方など様々な職業の方が参加しており、現 在も月に1回程度細々と活動が行われている。
3.3.3
婦人会今回調査を行った若山町の5地区には東若山婦人会と中田婦人会の2つの婦人会があることが 分かった。しかし婦人会の活動等の詳細は今回の報告書の中で詳しく述べている章があるのでこ こでは説明を省略することにする(本書第6章を参照)。
4.
考察今回若山町の5地区を調査してみて分かったことは、各地区とも基本的な運営のシステムは似 ている部分が多いということだ。中でも気になったのは、住民の方々の話を聞いていく中で分か った、各役割に任期はあるものの再任する場合が多いということだ。これは各地区でも同じであ るようだった。この理由として多くの方が話していたのが、役員ができる人の数が少ないという ことである。現在若山町全体として高齢化が進み、若い人たちはどんどん都市部に出て行ってし まっているようだ。そのため、高齢化の進む区の中で運営を行うことのできる人たちを選ぼうと すると、どうしても人数は限られたものになってくる。結果として同じ人が同じ役員を何年も続 けて行うことも、当然のものと考えられる。
また、子供の数が少ないという話も今回の調査の中でよく聞いた話である。向に住むある方(男 性、40歳)は、「自分が小学生のころはまだ子供会があって、皆で海に行ったり遊んだりしたんや けどな。今はもうなくなってしまったんよ。」と少し寂しそうに語っていた。向を含む若山5地区 の中で現在子供会が活動している地区は無い。青壮年会も活動はしているものの、人数が少なく、
年齢制限を緩和して人数を増やそうとしている区も見られ、満足な活動ができていない印象を受 けた。これに対して、5地区の合同の老人会である若山長寿会は非常に活発に活動を行っているよ うだった。高齢者が多いことと、5地区をまとめているために人数も多くなっていることが理由だ と思われる。
ある方が「若い人がいないと祭りも町も活気がでない」と話していた。実際、祭りの際に御輿 を出そうと思っても、御輿を担ぐ年代の人たちの数が足りずないことが多いそうだ。そうした活 気を取り戻すためには、5地区がまとめられている若山長寿会のように区にとらわれない組織やシ ステムも今後大切になってくるように感じられた。
5.
おわりに私は今回の調査実習で、高齢化、少子化の進む地域の現状を非常に身近に感じた気がした。お 話を聞かせていただいた中田の方が冗談まじりに、「10年後にもう1度来てみるといいよ。」と言 っていたが、確かに今はまだ元気な高齢者の方が活発に活動しているが、これが10年後、20年後 となっていくと、どうなるかは分からない。だから今回の実習は、この5地区に限らずこうした 問題を解消するためにはどうすれば良いのかを考えさせられた実習でもあったように思う。
今回この報告書を書くにあたって、たいへん多くの方のお宅に伺い、様々なお話を聞くことに なりました。正直に言うと皆様からお聞きした話を正確に書き表せている自信はありません。し かし、住民の皆様は初めて会う私たちにとても穏やかに接してくださり、質問に対しても1 つ1 つ丁寧に答えてくださりました。時には家の中を隅々まで案内してもらい、時には畑で採れた作 物をいただいたくこともありました。住民の方々の温かい心遣いには本当に感謝しております。
ありがとうございました。
ったので、中国の思想書の読み合わせになってきているそうだ。参加者は60歳以上の方が多いよ
うで、一般の方以外にも先生や医者、珠洲焼の職人の方など様々な職業の方が参加しており、現 在も月に1回程度細々と活動が行われている。
3.3.3
婦人会今回調査を行った若山町の5地区には東若山婦人会と中田婦人会の2つの婦人会があることが 分かった。しかし婦人会の活動等の詳細は今回の報告書の中で詳しく述べている章があるのでこ こでは説明を省略することにする(本書第6章を参照)。
4.
考察今回若山町の5地区を調査してみて分かったことは、各地区とも基本的な運営のシステムは似 ている部分が多いということだ。中でも気になったのは、住民の方々の話を聞いていく中で分か った、各役割に任期はあるものの再任する場合が多いということだ。これは各地区でも同じであ るようだった。この理由として多くの方が話していたのが、役員ができる人の数が少ないという ことである。現在若山町全体として高齢化が進み、若い人たちはどんどん都市部に出て行ってし まっているようだ。そのため、高齢化の進む区の中で運営を行うことのできる人たちを選ぼうと すると、どうしても人数は限られたものになってくる。結果として同じ人が同じ役員を何年も続 けて行うことも、当然のものと考えられる。
また、子供の数が少ないという話も今回の調査の中でよく聞いた話である。向に住むある方(男 性、40歳)は、「自分が小学生のころはまだ子供会があって、皆で海に行ったり遊んだりしたんや けどな。今はもうなくなってしまったんよ。」と少し寂しそうに語っていた。向を含む若山5地区 の中で現在子供会が活動している地区は無い。青壮年会も活動はしているものの、人数が少なく、
年齢制限を緩和して人数を増やそうとしている区も見られ、満足な活動ができていない印象を受 けた。これに対して、5地区の合同の老人会である若山長寿会は非常に活発に活動を行っているよ うだった。高齢者が多いことと、5地区をまとめているために人数も多くなっていることが理由だ と思われる。
ある方が「若い人がいないと祭りも町も活気がでない」と話していた。実際、祭りの際に御輿 を出そうと思っても、御輿を担ぐ年代の人たちの数が足りずないことが多いそうだ。そうした活 気を取り戻すためには、5地区がまとめられている若山長寿会のように区にとらわれない組織やシ ステムも今後大切になってくるように感じられた。