別紙様式1
修 士 学 位 論 文
穎 粒 球 コ ロニ ー 刺 激 因子(G‑CSF)の 神 経 保 護 効 果
Theneuroprotectiveeffectsby granulocytecolonystimulatingfactor
平 成24年1月5日 提 出 首都 大 学東 京 大 学 院
人 間健 康 科 学研 究 科 博 士 前 期 課 程 人 間健 康 科 学 専 攻 フ ロ ンテ ィ アヘ ル スサ イ エ ンス 系神 経 再 生科 学 分 野 学 修 番 号:08898606
氏 名:西 尾 里 志
(指 導 教 員 名:井 上 順 雄 教 授)
要 旨
本 研 究 は 中枢 神 経 疾 患 の新 治 療 法 開 発 の基 礎 研 究 と して 実 施 した 。 穎 粒球 コ ロニ ー 刺 激 因 子(G‑CSF)は 脳 梗 塞 ・脊 髄 損 傷 に対 し国 内 外 で の 治験 が 報 告 され て い るが 、犬 の 中枢 神 経 障害 の治 療 効 果 及 び 難 治 性 癩 瘤 の抗 癩 痛 効 果 の研 究 報 告 は皆 無 で あ る 。本 研 究 で は 、 (‑CSFを 犬 の 中枢 神 経 障 害 の 自然 発 症 例 と難 治 性 癩 病 モ デ ル マ ウス(ELマ ウ ス)に 投 与
しそ の効 果 を検 討 した 。 犬 の 中枢 神 経 障害 の症 例 はMRI検 査 で 重度 の脊 髄 浮腫 を確 認 し た6例(脳 脊 髄 炎3例 、脊 髄 梗 塞1例 、椎 間板 ヘ ル ニ ア2例)に 対 し実 施 した 。犬 へ の投 薬 量 は(}CSF5μ9/kg/daySCも し くは10,ccg/kg/daySC5日 間投 与 を行 った 。犬 の6例
は全 頭 歩 行 回復 した 。脊 髄 炎3症 例 はMRI検 査 上顕 著 な改 善 を示 した 。G‑CSFに 起 因す る有 害 事 象 の発 生 は み られ な か っ た。犬 の脊 髄 の炎 症 浮 腫 に対 して は 、(}CSF治 療 は効 果 的 で あ り安 全 で あ る と考 え られ た 。抗 癩 病 効 果 はELマ ウス23頭 に対 し実施 した 。ELマ
ウス18頭 に対 し(}CSF50μ9/kg/dayIP5日 間投 与 を行 った 。 投 与 開始 後2日 目よ り痙 攣 抑 制 効 果 を認 め7日 目に12頭 で 全 般 発 作 は消 失 して いた 。14日 目に 全頭 で 痙 攣 発 作 を確 認 した 。ELマ ウ ス の抗 癩 病 効 果 は確 認 した が 抗 癩 病原 性 効 果 は得 られ な か った 。G‑CSF
の想 定 され る薬 理 作 用 の うち 炎症 性 サ イ トカイ ン(イ ンタ ー ロイ キ ン(IL)・1β 、TNF・
α等)の 収 束 効 果 及 びG‑CSFが 誘 導 す る血 管 内皮 前 駆 細 胞(EPC)等 骨 髄 幹 細 胞 によ る 損 傷 組 織 修 復 効 果 の 確 認 は 今後 の研 究 課 題 とす る。 脳 脊 髄 炎 ・脊髄 損 傷 ・脳 梗 塞 等 の 急 性 中枢 神 経 疾 患 の 病 態 悪 化 は 、 炎症 性 サ イ トカイ ン の神 経 細胞 毒性 に よ る浮 腫 ・炎 症 ・壊 死 とい った 過 剰 な 生 体 反応 が 惹起 さ れ る こ とに よ り重 篤 化 す る 。癩 病 の病 態 悪 化 も、 海 馬 領域 で のIL・1β によ る神 経 細 胞 毒性 に よ る発 作 の全 般 化 が 指 摘 され 、痙 攣 重 積 発 作 で は激 し い脳 浮 腫 を形 成 し死 に至 る危 険 が あ る。 中枢 神 経 疾 患 にお い て もG・CSFは 急 性期 の炎 症 性 サ イ トカ イ ン収 束効 果 やEPC等 骨 髄 幹 細胞 を末 梢 血 中 に誘 導 す る こ と によ り、 中枢 神 経 の 損 傷 組織 に 移 行 し血管 新 生及 び血 管 発 生 を活 性 化 す る こ とに よ り中枢 神 経 保 護 や神 経再 生
に関 与 して い る と考 え 得 る 。今 後 投 与 時 期 、 投 与 薬 用 量 、投 与 期 間 を検 討 して い く こ とで 更 な る効果 を確 認 で き る 可能 性 が あ る。G‑CSFは 既 存 の 薬剤 で あ る こ とか ら、早 期 の 中枢 神 経 治 療 法 の 開 発 が期 待 され る薬 剤 で あ る。
キ ー ワー ド
G・CSF脊 髄 浮 腫ELマ ウ ス 神 経 保 護 抗 て ん か ん
Abstract
This study was done as the basic study for making the new treatment of the disease of central-nervous system (CNS). The neuroprotective effects by granulocyte colony stimulating factor (G-CSF) had been reported in cerebral infarction and spinal cord injury. However, there are not reported the effects by G-CSF in the disease of the dog's CNS and in the intractable epilepsy. So this study was examined the effects by G-CSF in the dogs that had got the spontaneous disease of CNS, and this study was examined the effects by G-CSF in the intractable epilepsy model mouse (ELmouse).
The G-CSF group of the dogs (n=6 : encephalomyelitis n=3, spinal cord infarction n=1, Intervertebra disk disease n=2) was diagnosed by clinical sign & MRI. The group was injected G-CSF for 5days(5 ,a g/kg/day SC or 10 a g/kg/day SC).This group was examined the safety and the neuroprotective effects by G-CSF.
In the exam for epilepsy, the G-CSF group (n=18) of the ELmouse was injected G-CSF for 5days(50pg/kg/day IP). This group was examined the effect by G-CSF in anti-epilepsy or anti-epileptogenesis.
There was not appeared the adverse event by the injection of the G-CSF. There was greater improvement in neurologic function in the G-CSF group of the dogs. In the walking function, the all dogs could be recovered the walking. The neuroprotective effects of G-CSF were checked by the MRI. The neuroprotective effects by G-CSF improved the spinal long cord lesion and disappeared spinal cord edema and myelitis on the MRI.
In the exam for epilepsy, all of the G-CSF group had improved the attack. At the 7days after the first injection, EL mice were separated at the four groups. The group of the disappeared epilepsy (n=12), the group of the middle degree (n=3) , the group of the weak degree (n=3) and the group of the same level as control(control n=3). But at the 14days, all of the EL mouse reappeared the attack of epilepsy at the same level as control (n=21). There was greater effect in anti-epilepsy. There was no effect in anti-epileptogenesis in this study.
This study suggested that the G-CSF has the neuroprotective effects and the anti-epilepsy effects.
Key words G-CSF , spinal cord edema, EL mouse , neuroprotective, anti-epilepsy
諸 言
再 生 医 療 の 治 療 法 開発 は 、直 接 的 に は損 傷 組織 に対 し培養 細 胞 ・組 織 を移 植 し組 織 再 生 を 目的 と して いる 。中枢 神 経 障害 に対 して は脳 梗 塞1)、脊髄 損 傷2)3)4)、パ ー キ ン ソ ン病5)、
て ん か ん 等 で 神 経 幹 細胞 移 植 や 骨髄 幹細 胞 移 植 に よ る神 経 再 生 の研 究 が 行 わ れ て い る。 し か し、 細 胞 移 植 には 安 全性 や 倫 理 問題 、多 大 な研 究 開発 費 用 、 そ して熟 練 研 究 者 の 培 養 技 術 に頼 る こ とな く工 業 生産 並 み に安 定 確 実 に細 胞 を供 給 で き る か とい う難 題 を有 す る。 一 方 間 接 的 な 治 療 法 の 開発 は 、 再 生 医療 の研 究 過 程 にお いて 得 られ た知 見 を基 に 、損 傷 を受 けた 細 胞 の 保 護 や 組織 再 生 の 誘導 を 目的 に様 々な 投 薬 治 療 が 開 発 、実 用 化 され つ つ あ る。
塩 基 性 線 維 芽 細 胞 増 殖 因子(bFGF)に よ る骨 折 癒 合 不 全 治 療6)や 虚 血 組 織 へ の 血 管 新 生 療 法7)、肝 細胞 増殖 因子(且GF)に よ る劇 症 肝 炎8)や 肝硬 変 治療 、エ リス ロポ エ チ ン(EPO) に よ る頭 部 外 傷9)10)や脳 梗 塞11)治療 はそ の代 表 で あ る。
穎 粒 球 コ ロニ ー 刺 激 因子:G‑CSF(ノ イ トロ ジ ン:中 外 製 薬)は 、穎 粒 球 の増 加 のみ で な く、 末 梢 血 へ の 造 血 幹細 胞 等 の 骨髄 幹 細 胞 誘 導 を行 う。 この効 果 に よ り白血 病 患 者 にお け る末 梢 血 造 血 幹細 胞移 植12)を可 能 に した薬 剤 で あ る。再 生 医 療 分 野 で 最 も古 くか ら治 療 方 法 と して 確 立 して い る 骨髄 移 植 ・骨 髄 再 生 に必 要 不 可 欠 な 薬剤 で あ る。G‑CSFは 血 管 内 皮 前 駆 細 胞(EPC)の 骨髄 増 殖 活 性 及 び末 梢 血 誘 導 効 果 を持 つ こ とか ら末 梢 血 中で の骨 髄 幹 細 胞 回収 ・培 養 ・組織 再 生 治 療研 究 に も使 用 され 、 虚 血 性心 疾患 や 壊 死 組 織 の血 管 新 生 効 果 は臨 床 研 究 され て いる 。G‑CSFは 損 傷 組 織 で 発 生す る炎 症 性 サ イ トカ イ ン(TNF一 α、
イ ン タ ー ロイ キ ン(IL)1β 、IL‑6)へ の抗 炎 症 性 サ イ トカ イ ン作用 に よ り局 所 の 炎 症 や 浮 腫 を抑 制 す る ことで 組 織保 護効 果 が期 待 され る。また(}CSFに よ るEPCの 末 梢 血 を介 した 損 傷 組織 へ の 誘 導 作 用 は 、 損傷 組織 の血 管 新 生、 血 管 発 生効 果 に よ り炎 症 ・浮 腫 ・虚 血 等 に よ る損 傷 組 織 の保 護 、再 生 力増 強 効 果 を期 待 され て いる 。G‑CSFは 急 性 期 中枢 神 経 損 傷(脳 梗 塞13)、脊 髄 損 傷1の や 慢 性 圧 迫 性 脊髄 症(椎 間板 ヘ ル ニ ア、 脊 柱 靭 帯硬 化) の急 性 憎 悪 病 態15)16)に対 して は、 医学 で の治 験 が 実 施 され て い る。 しか しな が ら犬 の 中枢 神 経 疾 患 へ の研 究 報 告 は 皆 無 で ある 。難 治性 癩 痛 へ の研 究 報告 も皆 無 で あ る。
犬 の 中枢 神 経 疾 患 は 脳 脊髄 炎 ・椎 間板 ヘル ニ ア ・脳 腫 瘍 ・水 頭症 等 自然発 症 症 例 は医 学 同様 の病 態 が 存 在 す る。 獣 医 療 にお い て もMRI検 査 が 導 入 され病 態 の把 握 は可 能 にな っ て きて い るが 、 脳 脊 髄 の浮腫 ・炎 症 ・虚 血 とい う急 性 期 中枢 神 経 障 害 の悪 循 環 に対 して 有 効 的 な治 療 方 法 は限 られ て い る。
ヒ ト癩 痛 モデ ル マ ウ ス(ELマ ウ ス)は ヒ トの難 治 性 癩 病 の モ デ ル マ ウ ス と して 確 立 し て い る。 癩 病 発 作 はIL‑1β の大 脳 海 馬 領 域 で の活 性 増大 が神 経 細 胞 内へ のCa2+の 流 入 を 増 大 し神 経 細 胞 損 傷 ・細 胞 死 と い う毒 性 を引 き起 こす ことが 指 摘 され て い る 。
この よ うな背 景 を基 に今 回 犬 の 自然 発 症 中 枢神 経 疾患 及 びELマ ウス にG‑CSFを 投 与 し そ の神 経 保 護 効 果 を検 討 した 。 尚、 犬 の 自然 発症 症例 は筆 著 者 の 動 物病 院 を 受診 した 重 篤 な 脊 髄 浮腫 を 生 じた6例 に対 し飼 い 主 へ の十 分 な説 明 と承 諾 の も と治 療 を実 施 した 。EL マ ウ ス は 学 内実 験 動 物 倫 理 規 定 に基 づ き 申請 し、 許可 を得 て 実 施 した 。
方 法 1)G‑CSFに よ る犬 の 中枢 神 経 疾 患 治 療
研 究 を実 施 した犬6例 は、 筆 著 者(獣 医 師)の 動 物 病 院(動物 救 急 セ ン ター 埼 玉県)を 受 診 した 四 肢 麻 痺 や 両 後肢 麻 痺 等 の重 篤 な 中枢 神 経 疾患 症例 で あ り、全 症 例 自然 発 症 症 例 で あ る。 診 断 はMRI検 査 を実 施 し、脊 髄 に生 じた 浮腫 や 炎症 が重 篤 で あ る と診 断 した6 症 例 で あ り、 脊 髄 炎 が3例 、脊 髄 梗 塞 が1例 、 椎 間 板 ヘ ル ニ アが2例 で あ る。MRI検 査 は 日立 メデ ィ コ社 製(永 久 磁 石 型0.4Tesla)を 使 用 して 、投 与 前 検 査 を6例 す べ て に、 投 与 後 再検 査 は 脊髄 炎3例 に実 施 した 。
G‑CSFの 投 与方 法 は1日1回5μg/kgも し くは10,ug/kg、5日 間連 続 を基 本 と し、 皮 下 注 射 で 投 与 をお こな っ た。 安 全 性 は毎 日の健 康 状 態 の 観察 と、 投与 開始 か ら3日 目 と7
日目 に血 液 検 査 を実 施 し確i認した。 血 液 検 査 は 白血 球 数(WBC)の 推 移 を 中心 に した 血 球 観 察 、 及 び 、 血 液 生化 学検 査に よ り肝 臓 酵 素 ・腎 臓 機能 ・血糖 値 に つ いて 評 価 を行 った 。 椎 間 板 ヘ ル ニ ア 症例 につ いて は、 手 術 後 に投 与 を開始 した 。 脊 髄 炎 の3症 例 は 治 療 後 の MRI検 査 に よ って 比 較 が 可 能 で あ った こ とか ら詳細 を記 載 す る。
な お 、G‑CSF投 与 治 療 に つ い て は 、飼 い主 へ の十 分 な 説 明 と承 諾 の も とに実 施 した 。
① 症 例1犬 種 シベ リア ンハ ス キ ー11才 ♀避 妊 手 術済 混 合 ワク チ ン接 種 済 当院 来 院 の2週 間前 よ り後 肢 の振 戦 、 もつ れ に よ る歩 様 異 常 が み られ 主 治 医 を受 診 し、 プ レ ドニ ゾ ロ ン1mg/kg等 の 注 射 投 薬 を受 け る。 翌 日に良 化 した が1週 間後 に再 度 状 態 が 悪 化 し再 受 診 。 プ レ ドニ ゾ ロ ン1mg/kgSIDを 行 うが 状 態 が急 速 に悪 化 し、 当院 来 院 前 日 よ り起 立 困 難 、 横 臥 姿 勢 とな り当 院 に紹 介 を受 けた 。
来 院 時 の 所 見 は 横 臥 状 態 で あ り神 経 学 的検 査 で は四 肢 の 姿 勢反 応 は消 失 して お り、 四肢 の 脊 髄 反 射 は 顕 著 な 更新 状態 で あ っ た。 知 覚 は表 在 痛 覚 は 四肢 正 常 で あ り脳 神 経 検 査 で は 特 記 事 項 は み られ な か った 。
MRI検 査 結 果 は、 頸 椎1‑5の 広 範 囲 に異 常 所 見 が 確 認 され た(T2WI高 信 号 、FLAIR高 信 号 、TIWI等 〜 低 信 号 、T1造 影 増 強 効 果 散 在)。 顕 著 な 脊髄 浮 腫 に よ るCSFの 流 通 障 害 も確 認 され 横 断 性 脊 髄 炎 が最 も疑 わ れ る所 見 で あ った 。
CSF検 査 結 果 は単 核 細 胞 数532個/10μ1と 多 数 の細 胞 が 出現 して お り、特 に成 熟 リンパ 球 様 細 胞 が90%を 示 して いた 。CSFの 生化 学検 査 で はCKは148u/1と 上 昇 、ASTは108u/1
と上 昇 、GLU64mg/dlと 正 常 、 比 重1.006と 正常 範 囲 内で あ った 。PCR検 査 で の犬 ジ ス テ ンパ ー ウ ィル ス は陰 性 で あ り、 リ ンパ 腫 の ク ロー ナ リテ ィー検 査 も否 定 的で あ った 。 これ らの所 見 よ りか ら脊 髄 炎 と診 断 した 。 治療 はMRI撮 像 中 に病 変 が激 しい ことか らコ ハ ク酸 メチ ル プ レ ドニ ゾ ロ ン(MPSS)30mg/kgIVを 行 っ た。飼 い主 と相 談 の 結果 、ス テ ロイ ド治 療 は副 作 用 を懸 念 し、 そ の 後使 用 を希 望 せ ずG‑CSF5μ9/kgを5日 間 、 皮 下 投 与 で行 っ た。8日 目 に経 過 観 察 のMRI検 査 を実 施 した。
画 像 上T2WI画 像 中FLAIR画 像 下Gd‑T1 図1症 例1四 肢 麻 痺 の 脊 髄 炎 来 院 時 のMRISag画 像
C1・C5の 広 範 囲Longcordlesion(LCL)に 浮 腫 ・炎 症 を 確 認
左TIVVI右Gd・T1
図2症 例1来 院時MRI頸 髄AX画 像C3領 域 造 影 増 強 効果 あ り
② 症 例2チ ワ ワ9才 メス 避 妊 済 混 合 ワ クチ ン接 種 済 脳 脊 髄 炎 既 往 歴 に つ いて
9か 月前 に左 半 身 中心 の 四肢 不 全 麻 痺 ・横 臥姿 勢 とな り当院 を受 診 しMRI検 査 で脳 脊 髄 炎 (右前 頭 葉 一後 頭 葉 ・中脳 腹側 ・延 髄 左 側 一C2左 側 にT2WI高 信 号FLAIR高 信 号TIWI 等 一 低 信 号T1造 影 部 分 的 な増 強効 果 あ り肉 芽腫 性 脳 脊髄 炎GMEを 疑 う)と 診 断 し、
MPSS30mg/kg投 与後48時 間 の持 続 点滴 を2.5mg/kg/hrで 実 施 した 後 プ レ ドニ ゾ ロ ン 2mg/kgSID7日 間投 与 。 順 調 に 回復 し起 立 歩行 は 正 常 にな っ た 。 そ の後 の継 続 治i療は プ レ ドニ ゾ ロ ン0.125mg‑0.25mg/kg/dayの 投 薬 を して い た。
今 回 の治 療
9ヶ 月経 過 後 強 い 痺痛 と横 臥姿 勢 に な った ことか ら再 度 当院 を受 診 した。 来 院 時 の 所 見 は 横 臥状 態 で あ り神 経 学 的検 査 で は 四肢 の姿 勢 反 応 は消 失 し、 四肢 の脊 髄 反 射 は顕 著 な 充進 状 態 で あ った 。 知 覚 は 表在 痛 覚 は 四肢 正常 で あ り脳 神 経 検 査 で は特 記事 項 はみ られ な か っ た 。 腹 囲 は膨 満 し皮 膚 は 菲薄 化 し毛 が 租 毛 にな り長 期 ステ ロイ ドに よ る影 響 と思 わ れ た 。 MRI検 査 結果 は 、頸 椎1・6の 広 範 囲 に異 常 所 見 が 確 認 され た(T2WI高 信 号 、TIWI等 〜 低 信 号 、T1造 影 増 強効 果 散 在)。 顕 著 な 脊 髄 浮 腫 によ るCSFの 流 通 障害 も確 認 され 脊髄 炎 の悪 化 が 疑 わ れ る所 見 で あ っ た 。頭 蓋 内病 変 は大 脳 病 変 ・脳 幹 部病 変 は ほ ぼ収 束 して お
り中脳 腹 側 に グ リア廠 痕 様 の病 巣 が確 認 され たが 活 動 的 な 病 巣 は 頸髄 で あ る と考 え られ た 。 9ヶ 月 間 の ステ ロイ ド治 療 の 結 果 、 ク ッ シ ング様 の風 貌 を 呈 して いた こ と もあ り、 飼 い主
と相 談 の結 果 、G‑CSF10μg/kgSC5日 問投 与 を実 施 した 。MRI撮 像 中 にMPSS30mg/kg r▽ したが 、 プ レ ドニ ゾ ロ ンは 翌 日よ り0.5mg/kgEODを3回 行 い休 薬 した 。
左G‑CSF治 療 開 始9か 月 前 発症 時 右G・CSF治 療 開始 日当 日 図3症 例2MRIT2WI脳 脊髄 炎 症 例 の9か 月前 の 発 症 時 と今 回発 症 時 の 画像
左TIWI右Gd・T1
図4症 例2今 回発 症 時 のMRIAX画 像C2部T1低 信 号 領域 の造 影 増 強 効果 あ り 6
左TIWI右Gd‑T1
図5症 例2今 回発 症 時 のMRIAX画 像C4部T1低 信 号領 域 の造 影 増 強 効 果 あ り
③ 症 例3チ ワ ワ8才 メ ス 未避 妊 混 合 ワ クチ ン接 種済
散 歩 中よ り後肢 の ふ らつ きが 始 ま り翌 日に は起 立 困 難 とな りプ レ ドニ ゾ ロ ン治療 を行 うが 麻 痺 が 進 行 した こ とか ら3日 目に 当院 を紹 介 。
来 院 時 の 所 見 は両 後 肢 起 立 困 難 な 状 態 で あ り第4腰 椎 ・仙 椎 まで の広 範 囲 の 背 部痛 を顕 著 に訴 えた 。 神 経 学 的検 査で は両 後 肢 の姿 勢 反 応 は消 失 し脊髄 反射 は膝 蓋 腱 反 射 の 消 失 、 会 陰反 射 消 失 、排 尿 失 禁状 態 で あ り顕 著 なLMNsを 呈 して いた 。両後 肢 の知 覚 は 表 在痛 覚 は 低 下 して いた 。 脳 神経 検 査 及 び両 前肢 にお いて は特 記 事項 は な か っ た。
MRI検 査 の結 果 は 第12胸 椎 一仙 椎 領 域 の 広 範 囲 で 異 常 が 検 出 さ れ た 。(T2WI高 信 号 TIWI等 信 号T1造 影 増 強 効 果 な し)顕 著 な 脊髄 浮 腫 に よ るCSFの 流 通 障 害 も確 認 され
た。 横 断 性 脊 髄 炎 が 最 も疑 われ る所 見 で あ った
飼 い 主 と相 談 の 結 果 、 高容 量 の ステ ロイ ドパ ル ス 療 法 は 希 望 され ず 、G‑CSF10μg/kg SC5日 間 投 与 を行 っ た 。 プ レ ドニ ゾ ロ ン1mg/kg3日 間後0.5mg/kgを2日 間使 用 した。
症 例4両 後 肢 麻 痺 で 来 院MRI検 査 の結 果 脊髄 梗 塞 と診 断
症例5両 後 肢 麻 痺MRI検 査 に よ り重篤 な 椎 間 板 ヘ ル ニ ア を確 認 し即 手 術 を実 施 症例6両 後 肢 不 全 麻 痺MRI検 査 に よ り重 篤 な椎 間 板 ヘ ル ニ ア を確 認 し即 手 術 を実 施 症例4‑6はG‑CSF10μ9/kgを5日 間 皮 下 投 与 した。
犬 の 胸腰 椎 の椎 間板 ヘ ルニ ア は脊髄 が 腰 椎5・6ま で位 置す る ことか ら人 の頸 髄 ヘ ル ニ ア同 様 の 重篤 な 脊髄 損 傷 を 引 き起 こ し両 後 肢 麻 痺 に 陥 りや す い。特 に症 例5と6は ミニ チ ュア ダ ッ クス フ ン トと い う軟 骨 形 成 の遺 伝 疾患 を抱 え た 品種 で あ る。 この 犬種 で は椎 間 板 髄 核 の 石 灰 化 変性 を起 こ して お り、 椎 間 板 ヘ ル ニ ア発現 時 に は 、椎 間板 髄 核 の逸 脱 に よ る重 篤 な 脊 髄 損 傷 か ら両後 肢 の完 全 麻 痺 を 引 き起 こす こ とが 多 々 あ る。
この3症 例 は 経 過 のMRI検 査 が 実 施 で きな か った こ とか ら比 較 が で きな い こ と、 更 に症 例5と 症 例6は 椎 間板 ヘ ル ニ ア症 例 で あ り外 科 効 果 が 大 き い こ とか ら脊髄 保 護効 果 ・機 能 回復 の判 定 には使 用 せ ずWBCの 推 移 と安 全1生の検 証 と した。
2)ELマ ウ ス へ のG‑CSF投 与 によ る癩 病 発作 抑 制 2)‑1ELマ ウス
研 究 には 、 あ らか じめ週1回 の 放 り投 げ刺 激 に よ り、 て ん か ん 原 性 を獲得 し、誘 発 を し な くて も頻 繁 に 発作 を起 こす よ うに な った 生 後20週 令 〜24週 令 のEL,マ ウス を用 いた 。 2)・2ELマ ウス へ のG‑CSF投 与
全 群(21頭)を 、(}CSF投 与 群(18頭)と コ ン トロー ル 群(3頭)に 分 け 、(}CSF投 与 群 に は、(}CSF(一 般 名Lenograstim)(中 外 製 薬:Neutrogin)を50μg/kg、5日 間 腹 腔 内へ 投 与 した 。 コ ン トロー ル群 に はG‑CSF溶 解 剤 で ある 注 射用 水 を 、 同様 に5日 間 腹 腔 内へ 投 与 した 。
2)‑3ELマ ウ スへ の発 作 誘 発 刺 激 試 験
G‑CSF投 与 を行 った5日 間 は 、投 与 前 に、痙 攣i誘発 刺激 を毎 日実 施 し、誘 発 され る発 作 の有 無 、及 び 、発 作 の 程度 を観 察 した 。5日 間 投 与 終 了 後 は 、投 与 開 始 か ら7日 目、14日
目、21日 目、 及 び28日 目に 、 痙攣 誘 発 刺 激 を実 施 し観 察 をお こな っ た 。観 察 の評 価 につ い て は コ ン トロ ー ル 群 の て ん か ん 発 作 の 発 現 状 態 を 基 準 と し発 作 の レベ ル に よ っ て (スコ ア0‑3)に4段 階 に 分 類 した 。 コ ン トロー ル群 にお いて は 、 す で に放 り投 げ刺 激 を 行 わず とも飼 育 ケ ー ジか ら取 り出 す と い う、 弱 い刺 激 に よ り、 全 般 発 作 が100%誘 発 さ れ る個 体 群 を実 験 に使 用 して いる 。 この コ ン トロール 群 同様 の刺 激 で 発 作 が誘 発 され た 個 体 を全 く発 作 が 抑 制 され な い、 コ ン トロー ル 同 レベル 個 体 群(ス コア3)と 判 断 した 。 実 験 で は 、放 り投 げ 刺 激 は 最大3度 を実 施 した が 、抗 て ん か ん作 用 につ いて は飼 育 ケー ジか ら取 り出 した時 点 で 発 作 が 誘 発 され な けれ ば 、 て ん か ん発 作 閾値 が あが って い る と判 断 す る こ とが可 能 で あ る。 しか し、 本研 究 で は 抗 て ん か ん原 性 効 果 つ ま り発 作 焦点 の消 失 の確 認 に つ い て も 目的 の一 つ と して い るた め 、1度 の 放 り投 げ刺 激 で は不 十 分 と考 え 、強 い放
り投 げ刺激 に対 して も全 般 発 作 を誘 発 しな い、 とい う こ とを発 作 消 失 群(ス コ ア0)と す る た め に3度 実 施 した 。 尚 、 コ ン トロー ル 群 と発 作 消 失 群 との 中 間型 の分 類 と して 、飼 育 ケ ー ジ か ら取 り出す 弱 い刺 激 で は全 般 発 作 は 起 こ さな か っ たが 誘 発 刺 激3回 まで に全 般 発 作 を起 こ した 個 体 群 を 弱 い な が ら も発 作 が 抑 制 され て い る 事 実 か ら、 発 作 抑 制 弱 群 (スコア2)と した 。更 に全 般 発作 は起 こさな か った が 焦 点 発 作 が3度 の刺 激 の 中 で1度 で も発 現 した個 体 群 を 中等 度 の発 作 抑 制 群(ス コ ア1)と した。 全 般 発 作 を引 き起 こ した 個 体 はそ の 時 点 で ス コ ア1と 評価 し誘 発 刺 激 は 終 了 した。 焦 点発 作 のみ を起 こ した個 体 及 び 発 作 を起 こさ な か っ た個 体 は、 放 り投 げ刺 激 を3度 まで 実 施 し評 価 した。 具 体 的 に は 1度 目 の誘 発 試 験 に よ り全 般 発 作 を 引 き起 こさな か った個 体 に対 して は3分 間観 察 後 、2 度 目の放 り投 げ刺 激 を行 い2度 目の放 り投 げ刺 激 後 に3分 間観 察 した。2度 目の 放 り投 げ 刺 激 で全 般 発 作 を引 き 起 こさ な か っ た個 体 に は3度 目の 放 り投 げ 刺激 を行 い3分 間 観察 し 最 終 評 価 をお こな った 。
な お 、本 研 究 は、 首 都 大 学 東京 研 究 倫 理委 員 会(動 物)の 承 認 を受 けて 、実 施 した 。
結 果 1)G‑CSFに よ る犬 の 中枢神 経 疾 患治 療 犬 の 中枢 神 経 疾患 へ の 投与 の安 全 性(表1)
全6症 例 に お いて 白血 球 数WBCは 投 与3日 目 に は顕 著 に上 昇 し、投与 終 了後 に収 束 した 。 赤 血 球 数 ・血 小板 数 に お いて 特 記 す べ き事 柄 はな か った 。 血液 生化 学 検 査 にお いて 、肝 酵 素 、肝 機i能、腎機i能、血 糖 値 へ のG‑CSFに 起 因 す る 異常 は全 症 例 み られ な か った。発 熱 、 胃腸 障 害 、 呼 吸器 障害 な ど重 篤 な副 反 応 は観 察 され な か った 。
脊 髄 炎3例 はMRI画 像 の比 較 に よ り顕 著 な 脊髄 浮腫 の改 善 ・炎 症 の収 束 を確i認した。
神 経 機 能 の 回 復 に 関 して は 、全6例 す べ て が 、回 復 の 時 期 の差 は あ っ たが 歩 行 回 復 を可 能 に した 。
表1G‑CSF投 与 症 例 に お け るWBCの 推 移
来院時の状態
症 例1横 臥姿勢四肢不全麻痺
診断
脊髄炎
神経学的検査 G‑CSFWBC数投 与 量 の 推 移(個/ μ1)
脊髄反射 皮下注射 初診時3日 目7日 目
四 肢UMNs
症 例2横 臥姿勢四肢不全麻痺 脳脊髄 炎(再発)四 肢UMNs
症例3両 後肢起立 困難 不全麻痺
症例4
症例5
症例6
両後肢 麻痺
両後肢 麻痺
両後肢不全麻痺
脊 髄炎
脊髄梗塞
両 後 肢LMNs
両後 肢UMNs
椎 間 板 ヘ ルニア 両後 肢UMNs
椎 間 板 ヘ ルニア 両後 肢UMNs
5μ9/kg 5日 間 10ug/kg
5日 間 10μg/kg 5日 間 10μ9/kg 5日 間 10μg/kg 5日 間 10;ug/kg 5日 間
82003770018200
27300253009900
328004950013900
148005650013600
236007390025500
75005030018800
9
① 症 例1の 結 果 起 立 歩 行 可 能 に回 復MRI検 査 及 びCSF検 査 で の 顕 著 な 改 善 を確 認 治 療 開始5日 目 には ふ らつ き なが ら も起 立 可 能 にな った 。8日 目のMRI検 査 に お いて 頚 髄 は 良好 に 改善 した:T2等 信 号FLAIR等 信 号Tl等 信 号Tl造 影 増 強効 果 な し(図6一 図9)CSF検 査(細 胞 数115個/10μlCK24AST27Glu57)も 良化 中で あ った。
入 院9日 目 に退 院 し経過 観察 とな っ た。 現 在3か 月 の経 過 をみ て いる が 症状 の 再燃 な く、
歩 行 ・走行 も可 能 な 生活 を して い る。
左G‑CSF治 療 初 日 右G‑CSF治 療8日 目
図6症 例1MRIに よ るG℃SFの 治 療 効 果 の 確 認T2㌧HSAG画 像 G‑CSF治 療 に よ りCl・C5の 広 範 囲 の 障 害(Longcordlesion)は 収 束 し た
左 治 療 開始 前 右G‑CSF治 療 開 始8日 目
図7症 例1MRIに よ るG・CSFの 治 療 効 果 の 確 認T2WIAX画 像 撮 像 部位C1歯 突 起 部 重 度 の 脊髄 炎 によ る浮 腫 に よ りCSFの 流 れ が 特 に背 側 で 阻 害 されて いた が 治 療 後 に は浮 腫 ・炎 疽 が 収 束 しCSFの 流 れ が 改善 した
10
左 治 療 開始 前 右G‑CSF治 療 開始8口 目
図8症 例1MR,1に よ るG・CSFの 治 療 効 果 の 確 認MRIT2W肛AX画 像 撮 像 部位C3・4重 度 の 脊髄 浮 腫 ・横 断 性脊髄 炎 は 収 束 した
左 治 療 開 始 前T2"旺 中 治療 開始 前Gd‑T1 図9症 例1MRIに よ るG‑CSFの 治 療 効 果 の確 認
広 範 囲の 頸 髄 横 断1生脊 髄 炎 は 収 束 した
右 治療8日 目T2WI
② 症 例2の 結 果 起 立 歩行 回復
治 療 開始8日 目 には ふ らつ き な が ら も起 立可 能 に な り立 位 で の 排 便排 尿 が 可能 にな った 。 入 院か ら13日 目 に歩 行 良好 にな り退 院 した 。2ヶ 月後 腰 部 痛 を主 訴 に再 来 院 した。起 立歩 行 、神 経 学 的 検 査 で の異 常 は み られ な か った が 、腰 部 痛 の精 査 と脊髄 炎 の経 過 観 察 を 目的 にMRI検 査 を実 施 した。MRI検 査(前 回 病 変 部位 は 良好 に改 善 し顕 著 な 脊髄 浮 腫 も消 失 L2‑3L3‑4線 維 輪 に よ る 椎 間 板 ヘ ル ニ ア)の 結 果 頚 髄 は良 好 で あ った 。(図10図11)
そ の 後定 期 的 な観 察 を行 って い るが 治 療 開 始 後8か 月 を過 ぎ プ レ ドニ ゾ ロ ンの投 薬 はせ ず に良好 に 歩行 ・走行 と も 可能 な 生 活 を して いる 。
左G‑CSF投 与 前 右G・CSF投lj一 か 月 後
図10症 例2MRIに よ るG・CSFの 治 療 効 果 の 確 認T2WISAG画 像 頸 髄 病 変 はC1・C5と 広 範 囲LCLに 生 じ て い た が 、 治 療 後 改 善 した
左G‑CSF投 与 前 右G・CSF投 与2か 月後
図11症 例2MRIに よ るG‑CSFの 治 療 効 果 の 確 認T2WIAX画 像 撮 像 範 囲C4領 域 脊髄 横 断 陸の 重篤 な浮 腫 ・炎 症 は 収 束 した
12
③ 症 例3の 結 果 比 較 的 歩 行 回 復 に 時 間 がか か った が3か 月後 に は四 肢 歩 行 可 能 G‑CSF治 療 開始 か ら10日 後 に在 宅 で の介 護 を ご希 望 され退 院。 退 院 時 会 陰反 射 及 び尿 失 禁 は 改 善 した が両 後 肢 で の起 立 は困 難 で あ っ た 。 治 療 開 始か ら1ヶ 月後 には 左 後肢 で の起 立 が 可能 に な り耳 を掻 くな どの仕 草 が 可 能 にな っ た 。治 療 開始 か ら1ヶ 月後 にMRI検 査
を行 った が広 範 囲 の 脊髄 損 傷 ・脊髄 浮 腫 が 改 善 して い る の を確 認 した 。(図12一 図15) 治 療 開 始 か ら3ヶ 月後 に は両 後 肢 で の 歩 行 が 可能 に な り現 在7ヶ 月 を過 ぎ歩 行 可 能 。麻痺 期 間 が 長 か った こ とか ら関節 の硬 結 感 が あ り走 行 はつ らい 時 もあ るが 排 泄 行 動 や 歩 行 な ど
の 日常 生活 に支 障 が な い ま で に 改 善 して い る。
G・CSF治 療 初 日G・CSF治 療1か 月後
図12症 例3MRIに よ るG‑CSFの 治 療 効 果 の確 認T2V6'ISAG画 像 T12‑S領 域 まで の広 範 囲 の 障 害LCL両 後肢LMNs会 陰弛 緩 症 例 G‑CSFを 投 与 し広 範 囲の 脊 髄 浮 腫 が 収 束 し会 陰弛 緩 や 膀 胱 麻 痺 は 改 善 L5‑S脊 髄 背側 に グ リア癩 痕 様 の 信 号領 域 あ り
図13
G・CSF治 療 初 日G‑CSF治 療1か 月後
症例3MRIに よ るG・CSFの 治 療 効 果 の確 認T2"肛AX画 像L2領 域 L2周 囲 の 脊髄 横 断性 病 変 は収 束 して い る
13
図14症 例3
G・CSF治 療 初 日G‑CSF治 療1か 月 後
MRIに よ るG‑CSFの 治 療 効 果 の 確 認T2WIAX画 像L4領 域
左G‑CSF治 療 前 右G‑CSF治 療1か 月 後
図15症 例3MRIに よ るG‑CSFの 治 療 効 果 の 確 認T2WICOR画 像 L4・S領 域 に み られ た 脊 髄 炎 が 収 束 しL5‑Sの グ リ ア 搬 痕 様 が 残 存
14
2)ELマ ウ ス へ のG・CSF投 与 によ る癩 病 発 作 抑 制(表2、 表3)
ELマ ウス へ のG‑CSF投 与 に 際 し、(}CSF投 与 に起 因す る と思 わ れ る有 害 事 象 は確 認 さ れ な か った 。 ま た コ ン トロー ル 群 も含 め 、 腹 腔 内投 与 に伴 う注 射 手 技 に よ る個 体 へ の悪 影 響 も確 認 され ず 、 全頭 を評 価 す る に値 す る と判 断 した 。
コ ン トロー ル 群 のELマ ウ ス は 、飼 育 ケー ジか ら取 り出 す 際 の 興 奮 の みで 痙 攣 を誘 発 す る 状 態 まで 、 痙 攣 発 作 の 閾 値 は 下 が っ て お り、放 り投 げ痙 攣 誘 発 刺 激 は必 要 と しなか った 。 G‑CSF投 与 中 、及 び 投 与 終 了後2日 目(投 与 開 始 か ら7日 目)ま で の 痙攣 抑 制効 果 を 、 抗 て ん か ん効 果 とし た。投 与 開 始 か ら14日 目、21日 目、28日 目 と長 期 的 な 痙 攣 消失 効 果 を、 抗 て ん か ん原 性 効 果 とした 。
G‑CSF投 与 群18頭 の うち 、投 与 終 了後2日 目(投 与 開始 か ら7日 目)で の痙 攣 誘 発 刺激 に よ る反 応 は 、 ス コ ア3が0頭 、 ス コ ア2が3頭 、 ス コア1が3頭 、 ス コ ア0が12頭 で あ っ た。
ス コ ア2の3頭 は 、コ ン トロー ル 同様 の飼 育 ケー ジか ら出す と い う弱 い刺 激 で の発 作 誘 発 が 生 じず 、放 り投 げ刺 激 によ る痙 攣 誘 発発 作 に よ り、全 般 痙 攣 発 作 を誘 発 した 。投 与 開始 か ら14日 目に は 、7日 目に ス コ ア2の3頭 はす べ て ス コ ア3レ ベル の全 般 発 作 を飼 育 ケ ー ジか ら出 す だ け で発 現 した。21日 目28日 目において も同様 スコア3で あった。
ス コ ア1の3頭 は 、 明 らか に 焦点 発 作 レベ ル の 発 作 の み に、 痙攣 発作 が 抑 制 され て い た 。 3頭 と も投 与 開始7日 目 にお い て も痙攣 発 作 は抑 制 され て いた 。投 与 開始 か ら14日 目 には 、 7日 目に ス コ ア1の3頭 はす べ て ス コア3レ ベル の全 般 発 作 を飼 育 ケ ー ジ か ら出す だ けで
発 現 した。21日 目28日 目 にお いて も同様 ス コ ア3で あ っ た 。
ス コア0の12頭 は(xCSF投 与 中 に発 作 の抑 制 が み られ 、 発作 消 失 はG‑CSF投 与 開始 か ら3日 目に は観 察 され る よ う にな っ た 。そ れ らの個 体 は放 り投 げ刺 激 を3度 行 って も痙 攣 発 作 は誘 発 されず 通 常 通 りの 日常 行 動 が 観 察 され た 。投 与 開始 か ら7日 目にお いて 痙 攣 発 作 は12頭 で 消 失 して い たが 、投 与 開始 か ら14日 目に は 、7日 目 にス コ ア0の12頭 は、
す べ て ス コ ア3レ ベ ル の全 般 発 作 を飼 育 ケ ー ジか ら出 す だ け で発 現 した。21日 目28日 目 に お いて も同様 ス コ ア3で あ っ た。
投 与 開 始7日 目 ス コ ア0 ス コ ア1 ス コ ア2 ス コ ア3
G・CSF投 与 群 12頭 3頭 3頭 0頭
コ ン ト ロ ー ル 群 0頭 0頭 0頭 3頭
表2ELマ ウス へ の(}CSF投 与 に よ る抗 て ん か ん効 果
ス コ ア分 類0:発 作 消失 群1:発 作 抑 制 中等度 群2:発 作 抑 制 弱群3発 作 抑 制 な し群
投 与 開始14日 目 ス コ ア0 ス コ ア1 ス コ ア2 ス コ ア3
G・CSF投 与 群 0頭 0頭 0頭 18頭
コ ン ト ロ ー ル 群 0頭 0頭 0頭 3頭
表3ELマ ウ スへ のG‑CSF投 与 に よ る抗 て んか ん原 性 効 果 15
考 察
本研 究 は 、 再 生 医学 分 野 で のG‑CSFの 幹 細 胞誘 導 作 用 や 抗 炎 症 性 サ イ トカ イ ン作 用 等 の 基 礎 研 究 及 び 臨 床 治験 を背 景 に 、犬 の 自然 発 症 中 枢 神経 疾患 と ヒ ト癩 病 モ デ ル マ ウ ス に対
してG‑CSFを 投 与 し、 そ の 安 全 性 と効 果 に つ いて 検 討 した 。
犬 の急 性 中枢 神 経 障 害 に対 して のG・CSFの 安 全 性 につ い て
G℃SFは 人 体 薬 と して 発 売 以 来 、獣 医療 にお いて も使 用 して き た 薬剤 で あ る。犬 に対 し て は 、化 学 療 法 後 の穎 粒 球減 少 症 対策 に対 し10年 以 上 の 豊 富 な 使 用経 験 が あ り、 安 全 に 使 用 して き たが 、 中枢 神 経 損 傷 へ の 投 与 の安 全 性 や 効 果 は確 認 され て いな か っ た。 今 回投 与 した 全症 例 に お いて(}CSFに よ る重 篤 な 副作 用 は発 現 せ ず 、安 全 性 は 高 い と考 え られ た 。(}CSFの 作 用 で あ るWBC上 昇 が 顕 著 に確 認 され た が 、これ は ヒ トで 観 察 さ れ る骨 髄 幹 細 胞 を誘 導 したWBC上 昇 と考 え られ る。犬 にお い て も化 学 療 法 で の骨 髄 抑 制 が 強 い個 体 にお いて は 、(xCSFを 投 与 し骨 髄 活 性 を して お くケ ー ス が あ り、そ の 際 のWBC上 昇 と 同様 の反 応 で あ った こ とか ら異常 反 応 で はな い。 しか し犬 にお い て も内 因性 幹 細胞 が 、 末 梢 血 中 に誘 導 され 、 更 に損 傷 組織 に定 着 して い るか は現 時 点 で は確 認 され て いな い。 犬 に お い て は 、幹 細 胞 を特 定 す る 細 胞 表 面 分子 マー カー は、 一 部 の み 確 立 して い る にす ぎ ず 、 ま た 組織 へ の定 着 の確 認 も、 動 物 愛護 の観 点 か ら困難 な 状 況 で あ るが 、今 後 の基 礎 研 究 の 発 展 が 重 要 と考 え る。
犬 の急 性 中枢 神 経 障 害 に対 して のG‑CSFの 神 経保 護効 果 に つ いて
今 回 の研 究結 果 で は 、犬 の 中枢 神 経 障 害 に対 して のG‑CSFの 神 経 保 護 効 果 につ いて は 、 MRI画 像 及 び 臨床 症 状 の顕 著 な 改 善 か ら、少 な く と も中枢 神経 浮 腫 抑 制 、炎 症 収 束 作 用 を も つ こと は明 らか で あ った 。 これ は周 辺 組織 へ の障 害 の 波 及 を考 え た時 に 、重 要 な 作 用 で あ る。 急 性 中枢 神 経 損 傷 は 、1次 性損 傷 と、 引 き続 き生 じ る2次 性 損 傷(TNF・ α ・IL1一 β ・IL‑6等 炎 症 性 サ イ トカ イ ン、NO等 によ る細 胞 毒性 ・重 篤 な浮 腫 形 成)に よ り、 中枢 神 経 系 は 回復 不 可 能 な 状 態 に陥 る こ とは 、広 く知 られて い る17)。脳 脊髄 炎 や脊 髄 梗 塞 等 虚 血 性 疾 患 に お い て も、激 しい浮 腫 ・虚 血 か ら2次 性 損 傷 が 発 生 す る。 神経 細 胞 へ のTNF一
αやIL‑1β の 細胞 毒性 は 、細 胞 内Ca2・ の 過 剰 な 上 昇 を 惹起 す る ことが 確 認 され て お り、
細 胞 死 を引 き起 こ し神 経機能 の 回復 を 困難 に させ る 。そ してIL‑1aは 、脳 障 害 後 の て ん か ん原 性 の発 現18)に も関 与 して い る。 ま たTNF・ αやIL・1β は 、血 液脳 関 門 を構 成 す る ア ス トロサ イ トの足 突 起 に存 在 す る ア ク ア ポ リン4(AQp4)の 活 性 を増 大 させ 、AQp4活 性 の増 大 は 、 ア ス トロサ イ トの 浮腫 ・膨 化 とい う細 胞 障 害 性 浮 腫 を引 き 起 こ し、血 液 脳 関 門 を破 綻 させ 、更 に病 態 が 周 辺 組 織 に及 ん で い く。 これ は、 頭 蓋 内や 脊 柱管 内 とい う閉 鎖 環 境 内 で の 内圧 の 上 昇 に よ る も ので あ り、神 経細 胞 保 護 の た め に は 、 中枢 神経 の浮 腫 や 炎 症 を早 期 に収 束 させ る こ とが 最 重 要 で あ る。現 時 点 で は 、AQP4拮 抗 薬 は開 発 され て い な い・
そ れ で は 浮 腫 を形 成 させ な い た め に 、抗 炎 症 性 サ イ トカ イ ンの拮 抗 剤 が 有 望 で あ る か とい う と、IL1β は低 活 性 状 態 で は細 胞 保 護 に 働 く こ と も確 認 され て い る。またIL‑6の 拮 抗薬 で あ る抗IL6受 容 体 抗 体 を用 いて の 、IL‑6抑 制 効 果 にお いて も完 全 な遮 断 は逆 に組 織 へ の 悪 影 響 が 懸 念 され て い る。TNF・ αに お い て も、 同様 に完 全 な拮 抗 に よ る組 織 の病 態 悪化 の 懸 念 が あ る。一 方 抗IL‑6受 容 体 抗 体 の投 薬 に よ り、関 節 リウマ チ ・多発 性 骨髄腫 な ど様 々 な 病 態 で効 果 が確 認 され 、 脊 髄 損 傷 で は 損傷 部 の軽 減 のみ で な く、 機 能 回復 や 将 来 的 な 幹
16
細 胞 移 植 の た め に も、初期 抑 制 効 果 は重 要 で あ る と考 え られ て い る19)。現 状 で は一 度 惹起 され た 炎 症 性 サ イ トカ イ ンは 、完 全 な拮 抗 を 目的 とす る よ り、緩 衝 的 な作 用 に よる 調 整 が 重 要 で あ る と考 え られ る 。 この点 か らもG‑CSFに 注 目を して い る。G‑CSFは 、TNF一 α やIL1・ βの拮 抗 薬 と して の 作 用 は な い が 、炎 症 性 サ イ トカ イ ン の活 性 抑 制効 果20)を もつ
と考 え られ て い る。更 に(}CSFが 誘 導 す る 内 因性 幹 細 胞 の損 傷 組 織 へ の誘 導 と生着21)に よ る 血管 新 生効 果 や 、直 接 の神 経 細 胞 死 を抑 制す る22)、等 複 合 的 な 効 果 が 考 え られ る薬 剤 で あ る。 この作 用 が 、 中枢 神 経 系 の 浮腫 の原 因 とな るIL1β やTNFα を直 接 調 整 して い る 可 能性 は指 摘 され て い るが 、 アス トロサ イ トに 存在 す るAQP4の 活 性 を、(}CSFが 直 接 抑 え る 可 能性 に つ いて も大 変 興 味 深 いテ ー マ と考 え る 。特 に今 回早 期 の神 経 症 状 の 回復 と安 定 した効 果 の 持続 が 、過 去 の高 容 量 ス テ ロイ ド療 法 と比 較 して も、優 れ て いる 可能 性 を感 じ る結 果 で あ っ た こ とか ら、(}CSFに 抗AQP4作 用 が あ る か と感 じて しま う結果 で あ った 。 つ ま り炎 症 性 サ イ トカ イ ンが 惹 起 され 、 局 所 のサ イ トカ イ ンス トー ム に陥 った後 に して は あ ま りに も早 い症 状 の 改 善 で あ った か らで あ る。G‑CSFが 抗APQ4作 用 が あ る の で あれ ば 、脳 浮 腫 ・脊 髄 浮腫 治 療 の特 効 薬 とな る可 能 性 が あ る と考 え られ る。 この点 も 今 後 の研 究 課 題 とす る。
今 回 の投 薬 は 、高 用 量 ス テ ロイ ド療 法 を副 作 用 を懸 念 し希 望 しな い飼 い 主 に 、代 替 案 と して 、効 能 外使 用 で あ る事 も含 め説 明 を し、 承諾 を得 て使 用 した。 今 回の 治 療効 果 が 、即 高 用 量 ス テ ロイ ド療 法 よ り優 れ た治 療 方 法 で あ る とは 、 現 時点 で は科 学 的 に判 断 で き な い が 、 少 な く と も高 用 量 ス テ ロイ ド療 法 に対 して は 重 篤 な 副 作用 か ら、使 用 に抵 抗 の あ る飼 い主 へ 提 示 す る代 替案 と して の選 択 肢 の一 つ に は、な り得 る と考 え て い る。今 後 の課 題 は 、 長 期 投 与 や 頻 回投 与 で の 安 全性 と有 効 性 の検 討 が 、必 要 で あ る と考 え て い る。今 回(‑CSF 治 療 を行 っ た脊 髄 炎3症 例 は 、経 過 観 察 中 で あ る が 、G‑CSFの 投 薬 は 発症 急 性 期 の投 与 の み で あ り、長 期 投 与 や 頻 回投 与 は実 施 して い な い。G‑CSFは 、 ヒ ト蛋 白遺 伝 子 組 み 換 え 製剤 で あ る た め 、犬 にお いて はEPOの 長 期 投 与 で み られ る抗EPO抗 体 産 生 と同様 に、抗 (‑CSF抗 体 産 生 リス ク が あ る と考 え られ る。再 生 医療 研 究 の恩 恵 を獣 医 療 が 受 け る た め に も、犬 の 自然発 生病 態 の治 療 が 医 療 に還元 さ れ る為 に も 、犬 の 遺伝 子組 み換 え製 剤 の 製 造 ・ 発 売 を待 ち 望 ん で い る 。
難 治 性 癩 痴 に対 して のG‑CSFの 効 果 につ いて
ELマ ウス を用 い た(‑CSF投 与 の研 究 結果 か らは 、抗癩 痛効 果 に 関 して は、投 与 中及 び 投 与終 了後2日 目(投 与 開始 か ら7日 目)ま で は、個 体 差 は あ る もの の 十 分 な抗 癩 病 効 果 を確 認 す る こ とが で き た。 これ が 神 経 保護 効 果 に よ る もので あ るか につ い て は 、海 馬 の炎 症 性 サ イ トカ イ ンの活 性 が 抑 え られ て いる こ とや 、浮腫 形 成 が 抑 制 され て いる か等 を、 神 経 科 学 的解 析 及 び 病 理 学 的解 析 か ら行 う必 要 が あ り、 今後 の継 続 研 究 とす る 。抗 癩 瘤 原 性 作 用 に関 して は 、本 研 究 で は確 認 で きな か っ た 。 しか しな が ら、(}CSFの もつ 骨髄 幹細 胞 誘 導 、特 にEPC誘 導 作 用(骨 髄 か ら末 梢 血 、 そ して 損 傷 組織 へ の誘 導 作 用)は 、損 傷 組 織 の 血管 新 生及 び 血 管 発 生 を引 き起 こ し、脳 梗 塞 ・心 筋 梗 塞 な ど虚 血 壊 死 組織 の細 胞 生存 率 の 上 昇 、 惹 いて は組 織 機 能 回 復効 果 が確 認 され て い る。 つ ま り癩病 病 態 にお いて も、大 脳 海 馬領 域 へ のEPCの 浸 潤 に よる 血 管新 生 と血 管 発 生 を誘 導 す る こ とに よ る脳 組織 の 保
17
護 効 果 が期 待 で き る。 これ は癩 病 発 作 の発 現 時 に生 じる 、IL‑1β の 細 胞 毒 性 に よ る癩 病 原 性 の確 立 ・発 作 の全 般 化 を防 ぐ可 能 性 が あ る、 と考 え られ る ことか ら、 例 え ば 、 人 生 で の 初 発 の発 作 時 の投 薬(特 に遺 伝 的 て ん か ん の 背 景 が あ る家 系 で の初 発 発 作 発 現 時等)と い うよ うな治 療 時 期 に よ って は、 癩 病 原 性 を確 立 せず 、そ の後 の癩 痢 発 作 の 発病 を 引 き起 こ さな い(つ ま り難 治 性 に な らず 単 回 の痙 攣 発 作 の み に な る)可 能 性 は 否 定 で きな い 。更 に 今 後 の投 薬量 や 局所 へ の埋 没(高 濃 度 の局 所 で の 持続 的G‑CSF供 給 を可 能 にす る)等 、 薬 剤運 搬 方 法 の改 良 に よ って も 、抗 癩 病 原 性 作 用 を得 る可 能 性 は あ る と考 え て い る 。 ま た 海 馬 領域 の神 経 幹細 胞 誘導 が 、(}CSFに よ り引き 起 こ され る こ とが 可 能 で あれ ば 、内 因性 神 経 幹細 胞 によ る脳 組織 の修 復 の可 能 性 が あ り、 抗癩 痢 原 性 を確 立 した個 体 群 に お い て も 抗 癩 病原 性 作 用 を得 る 可能 性 は あ る と考 え られ る 。
この よ うな視 点 か ら も、遺 伝 的 に100%痙 攣 発 作 を発 現 す るELマ ウス を研 究 に用 い る 有 用 性 は 高 く、ELマ ウス を用 いた 多 様 な研 究 が もた らす 結 果 に期 待 をす る。 特 に海 馬 に直 接G‑CSFを 注 入 す る研 究 や 、持 続 的G・CSF供 給 に よ る効 果 の研 究 は、骨 髄 幹 細 胞 と神 経 幹 細 胞 の 海 馬 へ のG‑CSFに よ る誘 導 の有 無 につ いて確 認す る研 究 と と も に重 要 で あ る と 考 え、 今 後 の 継 続 した研 究 課 題 と して 考 えて い る。
参 考 文 献
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15)佐 久 間 毅,山 崎 正 志,国 府 田 正 雄,橋 本 将 行,高 橋 宏,林 浩 一,他:圧 迫 性 脊 髄 症 の 急 性 憎 悪 期 に 穎 粒 球 コ ロ ニ ー 刺 激 因 子(G‑CSF)投 与 に よ る 神 経 保 護 療 法 を 施 行 し た5症 例 千 葉 医 学86:11‑18:2010
16)佐 久 間 毅,山 崎 正 志,国 府 田 正 雄,高 橋 宏,加 藤 啓,林 浩 一,他:脊 柱 靭 帯 骨 化 症 に 伴 う 脊 髄 障 害 性 疹 痛 に 対 し 穎 粒 球 コ ロ ニ ー 刺 激 因 子(G‑CSF)が 著 効 し た2例 千 葉 医 学;86(5):185‑189,2010
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Differencesincytokinegeneexpressionprfilebetweenacuteandsecondary injuryinadultratspinalcord.ExpNeurol;184313‑325,2003
18)朱 剛,岡 田 元 宏,吉 田 淑 子,若 林 孝 一,兼 子 直:IL‑1β の て ん か ん 原 性 機i序:海 馬 ア デ ノ シ ン 遊 離 に 対 す る 効 果 の 検 討 て ん か ん 研 究.24(3),110,2006
19)西 本 憲 弘 、 平 野 俊 夫:Interleukin‑6∠BenchtoBedside:東 京,メ デ ィ カ ル レ ビ ュ ー 社2007
19
20)門 田 領,国 府 田 正 雄,大 河 昭 彦,山 崎 正 志:脊 髄 損 傷 に お け る 穎 粒 球 コ ロ ニ ー 刺 激 因 子 の 神 経 保 護i作 用:日 本 脊 髄 障 害 医 学 会 雑 誌;20:180‑181:2007
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colony‑stimulatingfactor(G・CSF)mobilizesbonemarrow・derivedce皿sinto injuredspinaユcordandpromotesfunctionalrecoveryaftercompression・induced spinalcordinj'uryi皿rnice.BrainRes;1149:223・231:2007
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JNeuropatholExpNeurol;66=724‑7312007
謝辞
本 研 究 を行 う に あた り、 大 学 院 入 学 以 来多 大 な協 力 と ア ドバ イ ス を い た だ いた 担 当教 授 で あ る井 上 順 雄 先 生 に、心 よ り感 謝 を 申 し上 げ ます 。貴 重 な モ デ ル マ ウ ス で あ るELマ ウ ス の ご提 供 か ら本 研 究 の指 導 を、 直 接 、 熱 心 に して くだ さ った 村 島 善 也 先 生 に 、心 よ り感 謝 を 申 し上 げ ます 。
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