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四辻征雄・糸山景大・広瀬正美

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Academic year: 2021

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(1)

115

実験、実習を伴なう授業の分析について(Ⅰ)

―集団反応分析器とその記録装置の製作―

四辻征雄・糸山景大・広瀬正美

1.まえがき

 集団反応分析謝すなわちRESPONSE ANA:LYZER(以下R. A.と略す)は授業の中で生 徒個々の反応の総計を即座に定量的に把握し,授業方法の分析等に役立ち,その結果はすぐ次 の授業展開の中に生かすことができる。近年生徒の反応についての情報を得る教育用機器とし て開発され,教育現場の中へ徐々に侵透しつつある。

 ところでこれまでの授業は教師の経験にもとずくヵン等を基礎として,生徒の発言や顔色を 判断して,生徒の理解度を判定した。これに対し教育用測定器を用い,生徒の反応をできるだ け確かにとらえ,また発言のない生徒についてもその理解度をすべて数量的に把握しながら,

授業の展開を進あて行くことが出来るようになった。一例をあげれば岐阜大学においては小・

中・高校における各教科に対し,集団反応を測定しながら授業を進める例が見られる(1)。かっ この集団反応曲線を解析することにより,授業における発問のしかた,課題に対する解答打ち 切りの時期等についての研究が進み,またいくつかの興味深い結果も知見されている。

 ところで市販されているR.A.は一般に高価であり,すぐには広く各学校に設置できる見 通しもない。筆者らは廉価で集団反応を測定し,記録できるR.A.を製作した。以下この R.A.の特性について報告したい。

2,集団反応分析器設計の条件

 集団反応分析器の設計の条件は,手軽に製作でき,どんな教室(特別教室)でも使えるよう に特に次の4点を考慮した。

 (1)正確に人数の把握ができること。

 ② 安全に使用できること。

 (3)テープレコーダで集団反応の記録ができること。

 (4)廉価に製作できること。

 そこで電源回路の違いによる2組のRA.を製作した。1っは交流電源を用いたR.A.で

あり{2),他は直流電源を用いたR.A。(3}である。これらの結果からおのおののR. A.の長所,

欠点が見い出されたので各R.A.の回路およびその特徴を以下に述べる。

ろ.R. A.の回路およびその特徴  5一(1)交流電源を用いたR.A.とその特徴  図1に交流電源を用いたR.A.の回路を示す。

 特徴:電源電圧は安全性の点から低電圧の12Vとし,普及型のトランスSH−652を用いた。

人数を把握するメーターは整流型の交流電流計で,親器に取り付ける個人別反応表示ランプを

(2)

114

長崎大学教育学部教育科学研究報告 第20号

A。C.

100V

1

P.L.

  』_鱒

      親器       子器

  図1 交流電源を用いたR.A.の回路図

流れる電流をとらえ,子器のスイッチSW, ONで表示ランプが点灯し,メーターもふれる ようにした。製作に関しては直流電源を用いたR.Aに比して回路が簡単であり,コードが 節約でき,従って製作費も幾分廉i価である。ただ表示ランプの低抗が同一でなく1個1個を流       れる電流も図2のように差があり,かっ電源       電圧の変動(105V〜111V)もあるので正解       さに乏しい欠点が見られる。記録については       図1のOUTから交流電圧を取り出し,テー       プレコーダーのLINE INPUTへ導入する       が,交流電源を用いているのでR.A.から       直接テープへ記録できる利点がある。しかし       この場合入力周波数が60Hzなので,一般的  図2 6.5V用10mAの豆球の電流値ヒストグラム

      なテープレコーダーの周波数特性が50Hz〜

10000Hz〔4)でその下限にあたり正確な再生ができにくい難点がある。図5はテープレコーダー で記録した結果を示す。

 すなわち入力電圧が20mV以下では出力電圧に対応するが,それ以上の入力電圧では出力電 圧は対応しないことがわかった。

 5一②直流電源を用いたR.A.とその特徴  図4に直流電源を用いたR.A.の回路を示す。

 特徴::整流して子器にかかる電圧は交流電源用R.A.と同じ12Vとし,普及型のトランス 山水TP−8で降圧した。電源電圧変動の影響をなくすため定電圧ダイオードRD−13Bを入 れ電圧の安定化をはかり,また直流用電流計を用いた人数把握用メーターの正確度を増した。

この場合正しく50KΩの抵抗を選び出し,その抵抗を流れる電流をメーターがとらえるよう にした。従って親器に取り付ける個人別反応表示ランプは別回路とし,そのための電源には交

1

6.3V

■吻■●輔●■●■■●G■露

100Ω

8

1Ω56Ω

l l

30K

nUT

     ム

V0K:  10q鴻      塵

@     .一

亀 伽A 個故

5個

10 15 20 25 30

13.2 5個

13.9

5

14.0

20

14.1

15

14.2

25

14.3 10 14.4 15 14.6 10

(3)

実験,実習を伴なう授業の分析について(1)一集団反応分析器とその記録装置の製作一  115       (四辻・糸山・広瀬)

出 力

400

ネV

   ● 怐怐

●●●o●

    ●

@  ● ●●●●     ●●●●

300

200

100

0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40

44 48 52 56?πV

         入 力 電 圧

図5 60Hzのテープレコーダーによる記録     (入力電圧と出力電圧の割合)

H

A.C.100V RL

6.3V

12V      12.5V   22Ω

   妻 P00μF

RD13 B

100Ω   A     …

10mA

○O  O

1S121 0.5A 200Ω

500Ω

子 器 接 続

OUT

親器の回路図

「辱O o   一

A.C.

U.3V

o

D.C.

P2.5V

ρ      一

@5

0

@50 @ K

 一 一 一  騨 一 一  葡               

T0K

1

L=

._」

親器

子器

50K:

図4 直流電源を用いたR.A.の回路下

流6.ろVを用いた。2回路にしたため電源が2個いり,子器のスイッチも2回路とれるものが 必要となり,またコードも交流電源用R.A.に比べ,生徒1人で1肢選択用R。 A.で1本多

く必要となり価格が幾分高くなった。

 製作の難易については大差ないようである。記録についてはテープレコーダーを用いるため

直接記録できない欠点がある。

(4)

416

長崎大学教育学部面育科学研究報告 第20号

4.記録装置について

 R.A.は前述のように授業の中で各々の生徒の反応をたえずチェックしながら進める。し かも授業の分析研究を行うには,教師対生徒の行動,反応を記録し,のちこれを再生しながら 数量的に評価をしなければならない。それ故R.A.の記録装置を以下のように製作した。交 流電源用R.A.は直接テープで記録できるが,周波数が低いという問題や,入力電圧が高い 領域では対応が悪く正確度の点で難点があった。その点を改良した直流電源用R.A.の記録 について述べる。

 まず実験の手順として

 (1)テープへ記録するためD.C.一A. C.変換をする。

 ② 最終的には直流用ペンレコーダーで反応曲線を描かせるため,整流し直流電圧を作る。

 (3)整流するためにはテープからの出力電圧を10V程度にあげる。

 以上のように考えて製作した装置のブロックダイヤグラムを図5に示している。

R.A. 発振器 テープレ

Rーダー 増幅器 整流器 ペンレ

Rーダー

図5 直流電源を用いたR.A.の記録装置ブロックダイヤグラム

   2SC371−G 十B

10K

50K 0.01μF

13K3K

0.01μF

  10K

.3μF

0.01μF

10K

0.01μF

2DOK

2K OUT

図6 発振器の回路図

 直流電源用R.A.の子器の両端(図 4のOUT)から電圧を取り出し,こ れを発振器の+B電源とした。発振器 は図6に示すようなCR移相形発振

器(5}であり出力周波数は600Hz(6}とし た。用いているトランジスターはR.A.

の電源の関係から2SC571−Gとし た。子器の点滅によって+B電源が変 化し,これが発振器の出力の変化にな

る。一図9一(a)に示す一図7にこれを 用いてテープに記録し,再生した時の 結果を示す。分圧して5mV〜15mV

出 力 電 圧

200

@mv

150

100

T0

●o

0

4 8

12 16 20 24

28

32 36 40 44

48人        学級の人数

図7 600Hzのテープレコーダーによる記録

    (学級の人数と出力電圧の割合)

(5)

   実験,実習を伴なう授業の分析について(1)一集団反応分析器とその記録装置の製作一 117        (四辻・糸山・広瀬)

の範囲でテープレコーダーの:LINE INPUTへ導入し記録した。

 記録された信号電圧に応じた再生電圧をテープレコーダーの外部スピーカーより取り出した が,この時の電圧は図9一(b)に示す。図からもわかるように電圧はピーク値で150mV〜ろ00m Vであり,このままの電圧では整流による直流を得ることはダイオードの特性上難点がある。

そのたあ図8に示すような増幅器で増幅し,ピーク値で10V〜20Vに上げ整流した。この時の

5

12AX7

1

500

K

600

Ω

_ 10μ・F

。π[[こ。コ

250K

         0.1        i μF

O.1μF  l

1

1M

L_

20K OUT

       増幅部 図8 増幅器および整流器の回路図

整流部

4人

5人 5人

図10 ペンレコーダーによる記録

5   分

(6)

・418 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第20号

それぞれの電圧は9図一(c),9図一(d)で示している。この整流して得られた直流電圧を20mV

〜60mVに分圧、し, Pペンレコーダーに導入したbこのようにしてペンレコーダrで描いた人数 の記録の状態を図10に示す。

5.む.す ぴ  以上の結果を要約すると

 (1)より正確に人数の把握ができる皐.A.にするには直流電源を用いる方が良い。

(2)記録をテープレコーダーでする場合には交流電源用:R.A.にした方が簡単であるが,

  直流電源用R.A. でも記録できる。

 なお今回は集団反応分析器とその記録装置を製作したにとどまったが,今後これを教育現場 の中で使用し実験;実習を伴う授業の分析を行い,授業効率化の一助としたい。

参 考 文献

(1)成瀬正行: 集団反応計測器・(レスポンス・アナライザ)とその教育効果, ,信学会研資,E71−3   (1971−06) , p.8.

(2)後藤忠彦: 現代教育工学 ,明治図書,8.月号(1971),P.40.

(3)末武国弘他6名: 集団反応計測器(レスポンス・アナライザ)とその教育効果 ,信学会研資,

  E71−5 (1971−06),p.48.

(4) ステレオカセットコーダー取扱説明書 ,ソニー株式会社,SONY TC一ろ150, P,18.

(5)柳沢健: トラン・ジスター回路入門 ,丸善,(1969),p.184.

(6)角田秀夫: トランジスター回路 ,東京電気大学出版局, (1968),p,155.

付録・CR移相形発振器の出力周灘はf−2初÷CRである・

(7)

実験,実習を伴なう授業の分析について(1)一集団反応分析器とその記録装置の製作一  1ユ9        (四辻・糸山・広瀬)

スイッチON.1人

スイッチON.25人

 スイッチON.50人

図9一(a)テープレコーダー入力電圧

10mV/c祝

(8)

120

長崎大学教育学部教育科学研究報告 第20号

スイッチON.1人

目イッチON.25人

 スイッチON.50人

図9一㈲ テープレコーダー出力電圧 100mV/㎝

(9)

実験,実習を伴なう授業の分析について(1)一集団反応分析器とその記録装置の製作一 121        (四辻・糸山・広瀬)

スイッチON.1人

スイッチON.25人

 スイッチON.50人

図9一(c)増幅器出力電圧 10V/c祝

(10)

122 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第20号

図9一(d)整流器出力電圧 1V/㎝

参照

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