• 検索結果がありません。

ForeignandDomesticStatesoftheStreetcarsfromtheElderlyand PhysicallyHandicappedPersons'PointofView

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ForeignandDomesticStatesoftheStreetcarsfromtheElderlyand PhysicallyHandicappedPersons'PointofView"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

交通弱者 の視点で見た路面電車の国内外事情

恵之輔*・上 城**

崎 祐 介*・大 誠太郎*

Fo r e i g na n dDo me s t i cS t a t e so ft h eS t r e e t c a r sf r o mt h eEl d e r l ya n d Ph y s i c a l l yHa n d i c a p p e dPe r s o n s ' Po i n to fVi e w

by

Ke i no s ukeGOTOH*

,

Mi z ukiUEMURA**

Yus ukeMI YAZAKI *a ndSe i t a r o uOHMORI *I

InthenearfuturetheJapanesesocietywinbedominantofelderlypersonswithabout25% ofthe Japanesepeoplemorethan65yearsold.From thispointofview itisnecessalythattheselfgoveming bodiesandpublictransportationcompaniesprovidesufficientcareandfacilitiestotheseelderlypersons. Recently,manykindsofadjustmentsarebeinggraduallyadvancedespeciallyinbusses,subwaysand trains.InJapan,suchkindofadjustmentsarenotyetappliedforstreetcarswhichisconsideredoneofthe mostconvenienttransportaionfacilities.ThesestreetcarsarereconsideredagainEuropeandU.S.A.and f

urthem orehadbeendevelopedtomeettheneedsofboththeelderlyandphysicallyhandicapped.Asa resultthesestreetcarshavesuccessfullyprovidedconvenienttrafficfacilitiestothesepersonsandarecon‑

venientinenergysavingandinreducingheavytrafficproblems.Themainpurposeofthispaperisto describetheforeignanddomesticstatesofthestreetcarsfrom thepohtofviewofelderlyandphysically handicappedpersons.

1.は じめに

19978月 か ら熊 本市 において , 日本初 のLRT (LightRailTransit)が走 り話題 を呼んでい る (写真

‑ 1)。 日本 に路面電車が登場 してか ら,100年 とい う 年 月が過 ぎた。かつて 日本では,ほ とん どの大都市 で 路面電車が運行 され,市民 に親 しまれていた。しか し, 戦後の高度経済成長期 にモー タ リゼーシ ョンの波が押

し寄せ, 日本は 自動車依存の社会へ と移行 してい くこ とにな る。路面電車はそq)影響 によ り,様 々な点で弊 害 が起 こ り全廃 もしくは路線縮小への通 をた どった。

100年 とい う短 い間 に路面電車 は,その最盛 と衰退 を 経 て きたのである。

また, 日本は これか ら先 ,大 きな転換期 を迎 えよう としている。超高齢社会の到来であ る。欧米では 日本

よ り早 く高齢社会 を迎 えてお り,高齢者の移動の手段 として,バ ス,電車以外 に路面電車のバ リアフ リー化が

写真‑ 1 熊本のLRT 19971028日受理

*社会開発工学科 (DepartmentofCivilEngineering)

**大学院修士課程社会開発工学専攻 (GraduateStudent,DepartmentofCivilEngineering)

(2)

52 後藤恵之輔 ・上村 一瑞城 ・宮崎 祐介 ・大森誠太郎

進んでいる。本論では,欧米 と日本の路面電車 を高齢 者や身障者等の交通弱者の魂点か ら論 じるものである。

2.路面電車の衰退 と日本の高齢化

日本におけ る路面電車の営業運転開始は,1895年の 京都市 が最初 の ものである1これを皮切 りに1898 に名車量市が,次いで1903年 には東京市 と大阪市が路 面電車の営業 を開始 した1). その後,他の都市 におい て も相次いで路面電車の営業運転が開始 され, 日本の 路面電車は最盛期 を迎 えることになる。当時の路面電 車は,便利で安 く早 い乗 り物 として市民に親 しまれて た 。

‑ 1に, 日本 におけ る路面電車の所在都市数 と事 業者数の変遷 を示す。 また図‑2に,路面電車の営業 キ ロ と旅客数の推移 を示す。 図‑ 1,2か ら分 かるよ うに,路面電車は1930年頃をピークとしてその後衰退 へ と向か う。原田はモー タ リゼーシ ョンの進展による 自動車量の増加,また, これに伴 う交通渋滞である。

50

5

75

2

者数

⊂> ⊂〉 ○ ⊂> N :〉 ⊂〉 LL) く LL7 O IL)

▼・ N ID LL) く ■ 卜、

O) ○) O) O) O) の 0) O) ○) O) 0) 0)

■▼ Y‑ ▼‑ ▼‑ ▼ 1■r l一▼‑ ▼■ ▼

年次

図‑1 路面電車の存在する都市数 と事業者数2)

3000

2500

0000051

⊂) ⊂> ⊂〉 ⊂〉 ⊂)

> 11 N

(:O O)O 0)O)

r r r

OX

066L

l

Xqu!

096L

O96L

o6L 00000521 0000 0 (盲万) ‑ 21 路面電車の営業キロと旅客数の推移2)

さらに交通渋滞 を緩和す るために,軌道敷内の 自動車 の通行が認め られ軌道敷内に車があふれかえ り,路面 電車の運行速度は低下 し,運転間隔が乱れ 定時運行 が守れな くな った。その結果,市民の路面電車に対す る意識は一転 し,路面電車は遅 く,時代遅れの乗 り物 というレッテルを貼 られるようにな り,市民の足は路 面電車か ら遠の くようになった。

また,国の政策 も路面電車の衰退 に一役買 うことに なる。国の補助は,赤字 を多 く抱 える路面電車事業か ら,より合理的で,道路のある ところな らどこで もい ける とい うバス事業へ と移行 し,路面電車は次第 に 日 本の都市か ら姿 を消す ことになる。そ して,1966年 に は秋 田市 で路面電車が姿 を消 し,1967年 には呉市 , 1969年 には川崎市,大阪市,1971年 には神戸市,1972 年 には荒川線 を除 く東京都,横浜市,1974年 には名古 屋市,1976年 には仙台市か ら路面電車が廃止 され,さ らに1978年 には路面電車の発祥の地である京都市で路 面電車の姿 はな くなった2)O この翌年1979年 には,宿 岡市か らも路面電車は姿を消 したのである2).そ して, 都市内の主要な公共交通は,かつてチソチソ電車 とし て市民 に親 しまれていた路面電車か ら,バスや地下鉄

一 1 19都市 におけ る路面電車の状況3) 都 市 名 事 業 社 名 路線延長(km)

札 幌 市 交 通 局 8.5 函 館 市 交 通 局 10.9 東 京 都 交 通 局 12.2

5.3

名 古 畳 鉄 道 29.9

山 鉄 6.4

加 能 越 鉄 道 12.8

3.3

京都 ‑大津 京 阪 電 気 鉄 道 25.2 京 福 電 気 鉄 道 ll.0 大阪 ‑罪 阪 堺 電 気 鉄 道 18.7 岡 山 電 気 鉄 道 4.7 島 電 鉄 18.8

9.6

土 佐 電 気 鉄 道 25.3 北 九 州 西 日 本 鉄 道 5.1 長 崎 電 気 軌 道 ll.5 熊 本 市 交 通 局 12.1 鹿 児 島 . 鹿児島市交通局 13.1

(3)

へ と移行 してい った。 そ して現在 ,路面電車は表‑ 1 に示す19都市 において運行 されている。

路面電車の衰退 と逆行す るように, 日本の高齢化は 徐 々に進展 してい く. 図‑3に,路面電車の営業キ ロ 数 と総人 口に占め る高齢者の割合 を示す。路面電車の 最盛期の頃の,総人 口に占め る高齢者の割合はわずか 5%足 らずであ ったが,1995年 には14.6%と3倍近 く に も割合が増 えている。逆 に路面電車の営業 キ ロを見 れば,1980年以降低 い推移 を続けている。一般 に,高 齢者 の割合が14%以上の高い割合で推移す るこ とを, 高齢社会 と呼んでいるが, 日本は近年 にな り高齢社会 に突入 した と言 える。欧米では 日本 よ り早い時期 に高 齢社会を迎 えている。 この ような欧米では,高齢者や 障害者 向けの交通 が発達 して きた。路面電車 も例外で はない。路面電車 はLRTとして名前 を変 え欧米では 多 く運行 されている。欧米で も日本 と同様,過去 に路 面電車は一時衰退の道 をた どったが,交通弱者,交通 渋滞 ,エネルギー等の問題が大 き くな るにつれ,路面 電車の見直 しが進 み,交通弱者向けの車両,運行 シス テムが開発 されている。次章 以降 に路面電車の交通弱 者 向けの改 良について述べ る。

051(%) 0 OtONXOXNO66Lの相

0ト6L

O96L

OmMi

;MI

OC6L

ON6L

bM3

006L

O68L

年 次

‑3 総人 口に占め る高齢者の割合4) 路面電車の営業 キロ数2)

0

3.欧米の路面電車

1970年代 に高齢化が進んだ欧米では, 自由な移動 は 個人の権利 とい う概念 も手伝 ってか,交通弱者 に配慮 した都市整備 が進んで きた。交通弱者 と言 って も一 口 に高齢者 や身障者 に限 らない。子供 ・病人 ・乳母車 を 押す人たち も交通弱者 であ る。高齢者 に限 って言 えば, 高齢化に伴い,心身機能が低下 す るこ とは明 らかであ

り,心身機能 の低下 が移動能 力に大 き く影響す るこ と も明白な事実 であ る。 もち ろん,公共交通機関の利用 も例外ではない。 とりわけ乗降 口の問題 は高齢者 な ど の交通弱者 に とって,大 きな問題であ る。乗降 口が乗

り場 か ら高ければ高 いほ ど,高齢者 には利用 しづ らい とい うこ とであ る。路面電車の特徴は,路面 か ら自由 に乗降で きる とい うことにあ る。 しか し,路面か らの 乗降にはステ ップ ・床高の問題が残 ったままであった。

お りしも,1970年代は ドイツ ・アメ リカが路面電車 の復権 に成功 し,他の欧米諸 国で も路面電車の導入が 進 もう としていた時期 であ った。乗降 しやす くす る と い うこ とは,路面電車の停留所 を車両の床高に合わせ て しまうか, も しくは床高 を路面近 くまで低 くす るこ とが必要 である。車両の低朱化は路面電車ではな く, バ スの方 か ら始め られた。欧米では前 に も述べた よう に,交通弱者 向けの公共交通機関の充実が望 まれてい たのであ る。 その ような動 きの中で,1984年 にスイス の ジ ュネー ブで全 尿 高 さを従 来 の半 分 の高 さ (480 mm)まで下 げ た路面 電 車 の車 両 が登場 したの で あ る2㌔ さ らに,フ ランスの グル ノーブルでは, スイス の ジ ュネーブの車両の宋高 さを凌 ぐ高 さ300‑350mm の車両が登場 した2).

現在で も,車両の低床化の技術は 日進 月歩 であ り, 近年 にな り100%低床車 が開発 され る ようになるまで に至 った。車両の低床化だけでな く,走行性能のア ッ プへ も努力を怠 らず,低燃費,低振動 ・低騒音の環境 に優 しい車両,また,速度が速 くメインテナンス も し やすい とい う優 れた車両 が開発 された。移動 の 自由が 権利 であ る とい う概念 を持 った欧米諸 国では,新 しい 路面電車 が走 るようにな り,交通弱者だけでな く市民 の便利 な足 として,都市の再復権 に も路面電車は一役 買 ったのであ る。今はまさに路面電車新時代であ る。

一時,衰退に向かった路面電車 も現在 では蓑‑2に示 す ように,多 くの都市 で運行 されている。 ドイツのシ ュツ ッ トガル ト,フランスの グルノーブル,アメ リカ の運行例 について以下 に述べ る。

3.1 シ ュツ ッ トガル ト市の運行例

シ ュツ ッ トガル ト市は, 自動車で有名なダイム ラー

・ベ ンツ社の本社 があ る工業都市 であ る6㌔ 現在 自動 車王国 として知 られている ドイツは,路面電車の良さ を見捨 てずに,モー タ リゼーシ ョンの波 によって も路 面電車 を廃止 しなか った。 シ ュツ ッ トガル ト市 も例外 ではな く,路面電車 を存続 させ,時代 に合 うような改 良を続け,都市の主要 な交通機関 として利用 して きた のであ る。 シ ュツ ッ トガル ト市では最新式 の低床車は

(4)

54 後藤恵之輔 ・上村 瑞城 ・宮崎 祐介 ・大森誠太郎

運行 されてお らず,停留所 に2つの高さのホームがあ る6).停留所 の改良で交通弱者 に対す る配慮 を行 った のである。 さらに,車両乗降 口には 自動的にステ ップ が動 くような仕組みがあ り, この 2つの高 さのホーム に合わせてステ ップが動 くようにな っている6㌔ これ は新 しい車両ではな く,古い車両を改良 しているので ある。

この ように,シ ュツ ヅ トガル ト市ではあ るものを最 大限に活用 し,路面電車 を全ての人に優 しい公共交通 機関に改良 して きたのである。なに も新 しい ものばか

りが交通弱者に利用 しやすい と言 うわけではない。

3.2 ゲル ノーブル市の運行例

グルノーブル市は,パ リの南東約600kmに位置する 人 口16万人の中核都市であ り,1986年の冬季オ リンピ ックの開催地 として有名であ る6㌔ 第二次世界大戦以 前は,グルノーブル市 をは じめ周辺の都市 において も 路面電車は走 っていた。 しか し戦後の急激なモータ リ ゼーシ ョンの進展 によ り,路面電車は1950年 に姿 を消

た6)C

その後,市民の足 として,路面電車の代わ りに登場 した ものはバスであるが,市内を走 っていた循環バ ス は市民の足 としてはかな り不便な ものであ った。 さら に,バスでは排 ガス と騒音の ような都市環境間額が大 きいため,バスの代わ りになるような公共交通機関が 必要 となった。バスの代わ りの乗 り物 として,地下鉄 の採用が上げ られたが,人 口16万人 とい う中規模都市 において,財源の確保 というのは大 きな問題であ った。

1km当た り250‑300億 円 もかかる地下鉄の採用は 無理 とい うことである。

以上の ような問題 を解決する公共交通機関 として, 一度姿 を消 した路面電車の導入が1983年 に打ち出され た。近代化 されたLRTは輸送力がバ スに比べて も格 段 に大 き く,初期費用は地下鉄に比べ格段 に安い。 ま LRTの導入 と同時 に都市の再開発 を進め,歩行者 優先の衝 をつ くり,都市の活性化 を図る とい うのがグ ルノ‑ブル市の出 した答えであった2)o

LRTの採用 に当たって,グルノーブル市の身障者 の団体の後押 しが採用決定の決め手 となった。 お りし

もフラン′ス北部の都市ナン トでは,低床式のノンステ ップ路面電車の導入が決定 されていた頃である2).

グルノーブル市で も,ナン ト市 と同様 に低床車を導 入す ることを決定 し,またLRTを導入する際 に路線 の軌道石 を取 り替 え,ノンステ ップで乗 降 で きるよ うな停留所 も設 けた。 さ らに, グル ノー ブル市 では LRTを中心 とした街づ くりを推進 し,衝 の中心部 を

義‑2 世界の路面電車 (主な もの)5)

アジア . 日本 大連

港 香港

ハノイ .イスタンプ‑マニ ラ .カルカ ッタ .

ヨー ロッパ イ ギ リ スオース トリアイ タ リ ア マンチ ェスター .シェフイール ド.バ‑ ミンガムミラノ .ナポ リ .ローウィーン′

オ ラ ン ダ

ェーデン ベルン .ジ ュネーブ .チ ュー リッヒアムステル ダム .ロッテル ダムイエテポ リ ベ ル ギ ー ブ リュッセル

フ ラ ン ス

ポ ー ラ ン ド ボン .ミュンヘン .デパ リ .グルノーブル .セン .ケルン′.シ ユツツ トガル トワルシャワュッセル ドルフ .エ ッリー) ル ー マ ニ ア ブカ レス ト

へルシこウラジオス トク .イルブタペス トクーツク 一ハバ ロフス /辛 .プラハ .

ア メ リ カ ダ サン′ン′トロン ト .カルガ リーノゼ .ボス トンフラン′シスコ .サ アルゼン′チン ブエノスアイ レス

ジ ル リオデジ ャネイロ シ コ メキシコシティ

ア フ リカ エ

プ ト カイロ .ア レキサン′ドリア

トランジ ッ トモール化 した6)a

グルノーブル市の車両は低床式である とい うことは 前 に も述べたが,その数字 を実際 に挙げてみれば,辛 両長 は29.4m,客室 の65%の床面高 さが345mmであ

(5)

る。車両の床面 と停留所のホームの段差が小 さ く,さ らに車両か らステ ップが出るために車椅子で も簡単に 乗降で きる仕組み とな っている6).低床車やモールの 設置 によって,グルノープル市での路面電車はすべて の人に優 しく,かつ快適な乗 り物 として市民に愛 され る乗 り物 となった。

3.3 アメ リカで生まれたLRT

世界 に名立たる自動車王国アメ リカでは,早 くか ら モータ リゼーシ ョンが進んだために,1930年代か ら路 面電車の衰退が始 まった。政府は公共交通 を保護する のではな く,新 しく自由な移動手段である路面電車は アメ リカか ら徐 々に姿 を消 し,都市の 自動車交通 をメ インに道路車備 を行 った。 こうして,交通は自動車 と バスのみに依存するようになった。

もちろん路面電車企業は, 自動車社会の進展 を傍観 していたわけではない。 自動車社会 に対抗するような

写真‑2 シ ュツ ッ トガル ト市のLRT (路面電車サ ミッ ト̀97 INOKAYAMAパネル展 より)

写真‑4 サンノゼのLRT (世界の路面電車絵はが きよ り)

新 しい高性能の車両を開発 したのである。新 しい高性 能の車両はPCCカー」(Presidents'ConferenceCar)

と呼ばれ,1935年 か ら17年の間に約600両が製造 され 7).新車両の高加減速度や防振 とい うような走行性 能は,今の LRTに も十分通用するほ どの ものである。

しか し,この ような高性能の車両を もって して も車社 会の進展を くい止めることはで きず,路面電車は衰退 することにな り,1978年 にはアメ リカ,カナダ両国で わずか9都市にまで路面電車の運行する都市は減少 し た6)a

アメ リカでは早 くか らモー タリゼーシ ョンが進展 し た ことは前 に も述べたが, 自動車社会の行 き詰 ま りも その分早 く,1960年代 にはすでにその弊害が現れるよ うになった7)o 自動車の集中による混雑,マイカーに よる犯罪や事故の増加な どである。 さらに自動車社会 の行 き詰 ま りを決定づけたのは,1972年以降のオイル シ ョックであった。

こうした環境の中で, 自動車に代わる都市内の交通

写真‑3 グルノーブルのLRT (世界の路面電車絵はが きより)

写真‑5 サクラメン トのLRT (世界の路面電車絵はが きより)

(6)

56 後藤恵之輔 ・上村 瑞城 ・宮崎 祐介 ・大森誠太郎

機関の必要性 を要求する声が大 き くなった。そ こで現 れたのは,一度衰退 した路面電車の活用である。 まず 最初 に,ボス トン とサンフランシスコに新 しい路面電 車 を運 行 させ る こ とにな り, かつ て の車 両 で あ る PCCカーの改 良を行 うこ とにな った 2)O この際 ,旧 来の 「トラム,ス トリー トカー」とい う名称は 「古 く, 遅い」 というイメージがあるため, これを一新するた め に 「LRT」(Lighit Rail Transit),その車両 を

LRV」(LighitRailViecle)と名付けることになった。

また,LRT を導入す る際 に一番のポイン トに した のは,串の進入を禁止 した トランジ ッ トモールの建設 であった。モール内の移動手段 としてLRTは格好の 輸送手段であ り,モールを導入す ることによ り都市内 に人が戻 り,活性化する とい う大成功 を収め ることが で きた。特 にサンデ ィエゴでは,徹底的な合理化 ・省 エルネギー化を行い,営業経費の90%を運賃でまかな える とい う好成歳 を収めた 2㌔ この ような大成功が全 米の LRT建設の引 き金 とな り,1984年 にはバ ッファ ロー,1986年 にはポー トラン ド,1987年 にはサクラメ ン トとサンノゼ,1990年 にはロサンゼルス,1991年 に はボルチモア,1993年 にはセン トル イス,1994年 に はデンバー,1996年 にはダラスでLRTが開業 される ようにな った 2). さらに,サ クラメン ト,ポー トラン ド,ロサンゼルスでは,フ リーウ ェイの建設 に代 えて LRTを導入す る道 を選択 してい る2)。 この ようにア メ リカでは路面電車の導入に際 して,新 しい車両の導 入,軌道敷の改良だけでな く,利用者のイメージ も改 善 し,路面電車の導入は 自動車優先の弊害 を減少 させ る とともに,都市の再生 に もつなが った。アメ リカで の路面電車の再生は大成功 を収めた.のである.

4.日本の路面電車の現状

欧米では路面電車が低床化 され,都市の復権 に もつ

写真 ‑ 7 路面電車 に乗 り込むお年寄 り

ながっているが, 日本の路面電車は未だ欧米に遅れを とっている と言 って も過言ではない。 日本はまだ昔の ままの運行形態で旧型の車両が運行 されている ところ が多い。高齢者な どの交通弱者対策 もまだまだである。

やは り,交通弱者対策の中で も乗降 口の間額が大 きい。

写真‑ 6に長崎電気軌道の路面電車の乗降 口を示す。

写真は入 り口のみを示 しているが,車内に乗 り込むた めには,さらに大 きな段差 を昇 らな くてはな らない。

この車両の段差 はお よそ400mmであ った。利用者 は この400mmの段差 を経て,車内に乗 り込むのである。

このため写真‑ 7の ように,高齢者は路面電車に乗 る のに一苦労である。乗降 口を下げ るためには,車両 自 体の改善が必要である。写真‑8に示す ような,熊本 で今夏 (1997年)導入された超低床の車両の導入が望 まれる所である。 この超低床車両の場合,床面高 さが 360mm,出入 口が300mmであ るために8),停留所 か

ら車内へはステ ップな しで乗降す ることがで きる。

さらに 日本の場合,停留所の問題 も多い。 日本は未 だ車優先の社会であるため,路面電車の停留所は道路 の犠牲 とな り,写真‑ 9の ようにその幅を十か こ取 っ

写真‑ 6 長崎電気軌道の路面電車の乗降 口

写真‑ 8 熊本超低床車両の乗降 口

(7)

ている とは言 いがたい。著者 らは長崎の路面電車の停 留所 の幾 つかの調査 を行 った。一番狭 い停留所 は94 cm1mに少 し足 りない程度 であ った。一般 に,車 椅子が一台通 るのに必要な幅は1mと言われている。

しか し,車椅子が90度転回する余裕 を考 えれば,最低 1m以上 は必要 であ る と言 える。幅94cmでは全 く足 りない。熊本 において超低床の路面電車が運行 される ようになった とい うのは前述の とお りだが,その超低 床路面電車が導入 される熊本の停留所の幅は最低の と

ころでは60cmであ る とい う。 これでは車椅子の利用 者はおろか,何の障害 もない人 々も利用 しに くい。な によ り, この ような幅では利用者の安全を保てる とは 言いがたい。路面電車の停留所は, もはや安全地帯 と は呼べないのである。停留所の安全対策 も日本では欠 けている と言 えるのではないだろうか。

次に停留所への移動問題がある。高齢者等の交通弱 者は階段の乗降な どを嫌 う傾 向にある。従 って,歩道 か ら車道中央 にある停留所 まで移動するには,階段の 乗降のない横断歩道が よいのであるが,横断歩道橋 に よって停留所 までの移動 を確保 している箇所 も多い。

写真‑ 9 幅の狭い停留所 (長崎市)

写真‑11 歩道橋 を渡 らずに車道 を横切 る女性

長崎には この横断歩道橋が12箇所 もある。 これは全停 留所 の1/3を占め るこ とにな る。写真‑10にその一 つを示す。 この ように横断歩道橋が多いため,長崎で は写真‑11の ように高齢者が横断歩道橋 を渡 らずに, 危険な車道 を通 り停留所 まで行 くといった光景 をよ く

目にする。交通渋滞な どの問題 もあるが,横断歩道橋 は交通弱者 を考慮すれば撤去 されるべ き施設である。

停留所 と車両のステ ップの隙間 も問題である。写真

‑12の ように従来の車両では車両 と停留所の間に隙間 があ り,高齢者な どの交通弱者は乗降を困難 としてい る。熊本で導入 された超低床車両 には,停留所 と車両 の間に隙間はほ とん どな く,また写真‑8の ように, 停留所 か ら車両 に乗 る際 に段差がないために,車椅子 利用者で も扱 いに慣れた人であれば,スロープ も補助 も必要 とせず単独での乗降が可能である。 しか し, こ の ような車両は 日本にまだ一両のみである。路面電車 はその停留所間隔が短 いことやその料金体系か ら,交 通弱者 に とって利用 しやすい乗物 と言われている。 し か し,未だにこの ような現状が取 り残 されたままであ る。

写真‑10 路面電車停留所 に向か う横断歩道橋

写真‑12 停留所 と車両 との隙間

(8)

58 後藤恵之輔 ・上村 瑞城 ・宮崎 祐介 ・大森誠太郎

5.おわ りに

日本では依然,路面電車 が昔の ままの営業 システム で運行 されている。 しか し,図‑4に示す ように,路 面電車は非常 に優 れた乗 り物 であ り,今後 よ り多 くの 問題 を抱 える都市 において,路面電車の復活 (LRT の採用)は交通弱者 への配慮 という点だけでな く,都 市機能の再生 とい う点で も優 れている。

近年 にな り,路面電車 を見直す動 きの中で行政 もや っ と重い腰 を上げた。平成7年度 に路面電車の停留所 整備 や架線のセン ターポール化 に対 す る助成制度が新 設 されたのであ る9).今後 ,建設省では路面電車 を欧 栄.O ように高架や地下化することな どについて も検討 中 との こ とであ る。 しか し,助成 が新設 されて も路面 電車 を取 り巻 く道路環境 が悪 いため,まだ路面電車の 復権 にはほ ど遠 い と言 え争。 い くら車両 が高性能 にな ったか らといって も,今まで車の 自由な走行 を認めて きた 日本の制度 を見直 さない限 り,LRV はその機能 を十分 に発揮で きる とはな らない。思い切 った交通政 策の大転換 が必要 であ る と言 える。 また,路面電車 に 対 す る市民の 日はなかなか変わ らず,依然 「遅 い,時

‑4 路面電車の利点

代遅れ」の乗 り物 とい う意識があ り,そのイメージを 一新 しないか ぎ り, どの ような制度がで きて も復権 に はつなが らないはずであ る。路面電車の再生 に対 して は,行政 や事業者だけでな く利用者であ る市民の努力 も必要 である と言 えるのではないだろうか。 日本では 路面電車の復権 はまだ遠 い。 しか し,今夏 (1997年) には熊本で 日本初の LRVといえる低床車両が運行 さ れている。長崎大学のある長崎市 が 日本初でないのは いささか残念であるが,今後熊本の低床 LRTが引 き 金 とな って,長崎や他の都市 において もLRTの導入 が期待 される ところである。

参 考 文 献

1)土木学会 :新体系土木工学68鉄道 Ⅲ,技報堂 出版 , pp.211‑223,1980.

2)服部重敬 :TRAM TORAIL,路面電車サ ミッ ト '97INOKAYAMA基調原稿,pp.1‑ll,1997.

5.

3)路面電車サ ミッ ト97INOKAYAMAパ ンフ レッ ,1997.

4)総務庁長官官房老人対策室編 :数字で見 る高齢社 会'95‑人生80年代の 日本の姿 ‑,p.5,19196.

5)路面電車サ ミッ ト'97INOKAYAMA資料,1997.

6)路面電車 と都市の未来 を考 える会 :市民が見て乗 ったフランス ・ドイツの最新 ライ トレ‑)t'視察報告 ,1997.5.

7)天野光三編 .・都市交通のはな し Ⅰ,技報堂 出版, pp.88‑93,1989.

8)熊本市交 通局 :超低床路面電車パ ンフ レッ ト, 1997.

9)路面電車市民 白書ホームペー ジ.

参照

関連したドキュメント

右ハンドルの車両が多い。そのため,同じ車両で,この 3 ヵ国間を輸送する

9 タが考慮された。一方、Class1 及び

速し,下り勾配では加速するなど,ある程度勾配に応じて速度変化が生じる(おおよそ 65km/h ~

リース等、顧客のニーズや 業務用途に合った対象車両 のラインナップが少ないた め、全般的に導入率が低い

ンで計測する断面速度と同様の速度で車群が対象区間を 通過するために相関性が高いことが推測される.

図より、優先制御を行った場合と行わなかった場合では ネットワーク全体で旅行時間は 98.5 秒異なり、優先制御を 行った区間だけでも 91.5

潜在的衝突危険性ありと判断された. 次に,PICUD により潜在的衝突危険性ありと判断 されたケースで,後続車両と前方車両の速度分布を

ルスキン車両は,ステンレス車両と比べて走行時のエネルギー 消費を98%に低減できる見通しである。