ア ク テ ィ ブ 操 舵 に よ る 新 交 通 車 両 の 運 動 制 御 に 関 す る 研 究
-曲線通過性能に関する検討-
日大生産工(院) ○青木 慎一
日大生産工 坂井 卓爾 日大生産工 綱島 均
A Study on Control of AGT Vehicle by Active Steering System
-Evaluation of Curving Performance-
Shinichi AOKI, Takuji SAKAI and Hitoshi TSUNASHIMA
1 .
緒言現在,車両の高速化が推進されているが,一 般に高速化は車両の走行振動の増大を招き,
乗り心地を低下させる.従来,車両の振動を抑 えるためには,パッシブサスペンションが用 いられてきたが,近年の車両の高速化に伴い パッシブ型サスペンションでは車両の制振に 限界が生じてきた.そこで,制振性能向上を目 的としたアクティブ型サスペンションの研究 が行われ
,
鉄道車両においては実車への適用 例も報告されている1).一方,ゴムタイヤで走行する新交通車両で は運行の最高速度は
60[km/h]
と鉄道に比べて低 いが,小曲線部,分岐部,軌道の接合部など,車両振動の原因となる部分が存在し,他の車 両と同様にパッシブ型サスペンションにおけ る乗り心地の低下が問題となっている2).
本研究では,乗り心地と曲線通過性能の向 上を目的とし,案内レールとの接触を除去す るため,一次側
(
台車側)
を制御することによっ て非接触走行させる新交通車両を提案する.これまで,従来の機械式案内方式と同様の 動作を可能にするアクティブ操舵方式のモデ ルを構築し,走行シミュレーションを行い,非 接触による軌道への負担軽減と乗り心地向上 の同時達成に対するアクティブ操舵の有効性 について検討してきた3).本論文では,実車へ の適用を考慮し,より現実的なモデルを用い ての曲線通過性能に関する検討を行った.
2 .
新交 通 車 両 の 運動 モ デ ル新交通車両は自動運転走行するため,操舵す る機構が必要となる.新交通車両では鉄道車両 とは異なり軌道に沿って車両を誘導するため に,走行輪とは別に案内輪を設ける必要があ る.これらの案内方式はステアリング方式と一 軸ボギー方式の
2
種類に分類される4)5)6).ここではステアリング方式を対象として,
Fig.1
に一次側(
台車側)
の制御を行った,アクティブ操舵方式の運動モデルを構築した.こ のモデルは車体の左右運動,ヨー運動,ロール 運動,前後位台車の左右運動,ロール運動を考 慮した運動モデルである.
Fig.1: Active Steering Model m
BI
BXφ
By
BK
LK
ALK
AHC
HC
Ll
b lal
dφ
FTy
FTm
Th
ah
ch
kh
th
tbm
BI
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By
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By
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tbyRT
yB
ψB
yFT
C
BC
Bδ
Fδ
RC
BC
Bδ
F RL
fL
r yRTyB
ψB
yFT
C
BC
Bδ
Fδ
RC
BC
Bδ
F RL
fL
rアクティブ操舵方式では変位センサにより 検出した車両と軌道との相対変位に応じて,
アクチュエータにより操舵角を入力しタイヤ を操舵し,案内に必要な横力を発生する.
このモデルは制御器及びセンサがフェール した場合においても,簡易的な案内装置を残 しておくことで,最低限の走行が可能である も の と し た . し か し 本 論 文 に お い て は ア ク ティブ操舵における制御の有効性について検 討を行うため案内装置を考慮しないモデルと した.
以下に構築したアクティブ操舵方式におけ るモデルの運動方程式を示す.
3 .
制御系設計本研究ではアクティブ操舵方式に用いる制 御システムの構成としてとして,Fig.2に示す よ う な フ ィ ー ド フ ォ ワ ー ド 制 御 と フ ィ ー ド バック制御を合わせたシステムを構築した.
フィードフォワード制御では新交通車両が 専用軌道を走行することを生かし,軌道形状 から走行距離に応じた車両の前位台車,後位 台車それぞれの相対的な操舵角のパターンを 算出し,操舵角入力として制御を行うことと した.
フィードバック制御ではフィードフォワー ド制御での制御誤差の補償,外乱の抑制を行
Fig.2: Control block diagram Feedback
Controller Actuator AGT
Vehicle Feedforward
Controller
+
+ F Sensor
δ
Distance Guide rail irregularity
Lateral displacement
δ R
Feedback
Controller Actuator AGT
Vehicle Feedforward
Controller
+
+ F Sensor
δ
Distance Guide rail irregularity
Lateral displacement
δ R
・車体重心点の運動
B B FT RT B s B
m y = − F − F + m h φ
BZ f FT r RT B F B R
I ψ = − L F + L F + C δ + C δ
BX B FT RT B s B B s B
I φ = M + M + m gh φ + m h y
(1) (2) (3)
ただし,V
は速度を表している.なお車体・台車間の力及びモーメント,
F
FT,F
RT,M
FT,M
RTについての詳細は付録に示す.
・前位台車重心点の運動
(4) (5)
・後位台車重心点の運動
(7)
(8) (9) (6)
F
F∗,F
R∗は前後のタイヤが発生するコーナリ ングフォースを示す.タイヤの動特性は転動 距離に対する一次遅れ特性として以下の式に 示す7).ここでは緩和長を
L
S=0.2[m]
とし,F
F,F
Rは 以下の式を用いた.(10) (11)
FT FT FT F
m y = F + F
∗* 2
( 2)
FX F FT f F th d F
I φ = − M + h F − K t φ
RT RT RT R
m y = F + F
∗* 2
( 2)
RX R RT r R th d R
I φ = − M + h F − K t φ
( ) ( )
R S R S R
F
∗= − V L F
∗+ V L F
( ) ( )
F S F S F
F
∗= − V L F
∗+ V L F
( (1 ) ( ) )
R P R RT r
F = C δ + − ψ V y + L V ψ
( (1 ) ( ) )
F P F FT f
F = C δ + − ψ V y − L V ψ
い,前位台車,後位台車のそれぞれの位置に取 り付けた変位センサによって,Fig.3にある案 内 レ ー ル あ る い は 目 標 ラ イ ン と の 相 対 変 位
y
f ,y
r を検出し,アクチュエータから出力さ れる操舵角δ
F ,δ
R によりタイヤを操舵するこ とで軌道と車両間の相対変位が一定となるよ うに制御を行った8).制御器には最適レギュレータを適用し,制 御器設計用のモデルは次式及び式
(10),(11)
を 用いた線形二輪モデルとした.2 2
B B F R
m y = F + F
2 2
BZ f F r R
I ψ = L F − L F
(12) (13)
このモデルを状態方程式にすると以下のよ うになる.x = Ax + Bu (14)
11 12 13 14
31 32 33 34
0 1 0 0
0 0 0 1
a a a a
A a a a a
=
(15) y
fδ
Fδ
RActuator
y
rController
Sensor
Actuator G ui de r ai l
y
fδ
Fδ
RActuator
y
rController
Sensor
Actuator G ui de r ai l
Fig.3: Active Steering System
11
32
0
0 0
0
0 0
b
B b
=
[
f f r r]
Tx = y y y y
[
f r]
Tu = δ δ
(17)
(18)
(16)
ただし
この制御対象において
u = Kx
となるフィー ドバックゲインを求める.ゲインは評価関数2 11
p f p
B BZ
C L C
a = − m V − I V
13
p f r p
B BZ
C L L C a = − m V + I V
12
2
( )
p
B f r
a C
m L L
= +
14
2
( )
p
B f r
a C
m L L
= − +
31
p f r p
B BZ
C L L C a = − m V + I V
2 33
p r p
B BZ
C L C a = − m V − I V
32
2
( )
p
B f r
a C
m L L
= +
41
2
( )
p
B f r
a C
m L L
= − +
2 11
p f p
B BZ
C L C
b = m + I
32 p r2 pB BZ
C L C
b = m + I Fig.4: Curved Guideway
19m
Running Direction Transition Curve
Constant Curve
(0.075rad) Transition Curve
20m
30m
Cant 7.5%
Target line
19m
Running Direction Transition Curve
Constant Curve
(0.075rad) Transition Curve
20m
30m
Cant 7.5%
Target line
Fig.5: Simulation Results -0.05
0 0.05 0.1 0.15 0.2
0 50 100 150
Simulation result Control input
S te er in g A n g le ( F ro n t) [ ra d ]
Displacement [m]
-0.5 0 0.5 1 1.5 2
0 50 100 150
L a te ra l A cc e le ra ti o n a b o v e V e h ic le B o d y ( F ro n t) [ m /s
2]
Displacement [m]
-0.05 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
0 50 100 150
Y aw R at e [ ra d /s ]
Displacement [m]
-0.02 -0.01 0 0.01 0.02 0.03
0 50 100 150
T ru c k in g E rr o r (F ro n t) [ m ]
Displacement [m]
が最小になるように決定した.
評価関数の重み
Q
,R
は,
車両の乗り心地と 軌道への追従性を考慮し,
車体の左右加速度 とトラッキングエラーにおいて,
両者を評価 した上で以下のとおり決定した.0
(
T T)
J = ∫
∞x Qx + u Ru dt (19)
4
3
1 10 0 0 0
0 40 0 0
0 0 5 10 0
0 0 0 10
Q
−
−
×
= ×
46 0 0 15
R
=
(20)
(21)
4 .
シミュレ ーション4. 1
シミュレーション条件前章までに構築した車両モデルと制御器を 用いて,アクティブ操舵方式に対して曲線通 過性能に関する検討を行った.
曲線走行シミュレーションに用いた曲線軌 道は,Fig.4のような直線,緩和曲線
(30m),定
曲線
(20m),緩和曲線 (19m),直線という軌道で
ある.走行速度は
30[km/h]
とし,カントは最大 で定曲線時の4.30[deg]
とした.また,本検討でアクティブ操舵方式に用い たアクチュエータは電動モータを想定し,一 次遅れ特性を用いて表現し,センシングから アクチュエータが作動するまでの時間遅れむ
だ時間を
0.1[s]
と仮定した.4. 2
シミュレーション結果Fig.5
にシミュレーション結果を示す.左右加速度,ヨーレイト,操舵角共に数値理論上妥 当 性 を 確 認 で き る 値 を 示 し て い る こ と が わ かった.
左右加速度は直線から緩和曲線,緩和曲線
「 参 考 文 献 」
1)
大野真弘ほか:電動リニアモータを用いた 高速鉄道車両用アクティブサスペンションの開 発,鉄道技術連合シンポジウム,(1998),pp.471-4742)
有森仁勇:乗り心地改善のための各種ダン パにおける制御効果の比較,日本機械学会論 文集3)
蛇谷茂樹:新交通車両の自動操舵に関する 研究,修士論文,(2003)4)
綱島均:新交通車両の運動と制御(機械の 研究),養賢堂,第56巻,第10号, (2004), pp.1027 5) Hitoshi TSUNASHIMA
:Dynamics of Automated Guideway Transit Vehicle , Vehicle System Dynamics,
(2002)
6)
永井正夫ほか:車両のダイナミクスと制御(社団法人日本機械学会編),養賢堂
7)
景山克三,景山一郎:自動車力学,理工図書8)
足立修一:制御工学,電機大出版局5 .
結言本論文では,非接触走行型アクティブ操舵 方式のモデルを構築し,曲線通過性能に関す る検討をおこなった.
制御には,前位台車と後位台車の相対変位 に対して最適レギュレータにより制御を行い,
アクチュエータから操舵角を入力し軌道への 追従走行をさせた.
曲線走行シミュレーションを行った結果,
アクティブ操舵方式は乗り心地と追従制度の 両面を評価し,制御を行った中で
30R
の曲線に おいても目標とする軌道に追従する走行が可 能であり,曲線通過性能の高さが確認できた.これらの結果より,非接触による軌道への 負担軽減と乗り心地向上の同時達成に対する アクティブ操舵がシミュレーション上におい て有効であることが確認できた.
今後はフィードフォワード制御でのパター ン入力,外乱におけるフィードバック制御の 検討を行っていく予定である.
から定曲線,定曲線から緩和曲線,緩和曲線か ら直線といったような曲率の変化があるとこ ろで振動が発生しているが,乗り心地上は問 題なしと考えることができる.
トラッキングエラーは本シミュレーション おいて,アクティブ操舵方式は
30R
の定曲線において約
20[mm]
程度となることがわかった.左右加速度,トラッキングエラーはフィー ドフォワード制御でのパターン入力を検討す ることで改善することでできると考えられる.
付録
・運動方程式中の力およびモーメント
( )
{ }
( )
{ }
( )
{ }
FT L B FT f c B c tb FT
L B FT f k B k tb FT
AL B FT f a B a tb FT
F C y y L h h h
K y y L h h h
K y y L h h h
ψ φ φ
ψ φ φ
ψ φ φ
= − + − + +
+ − + − + +
+ − + − + +
( )
{ }
( )
{ }
( )
{ }
RT L B RT r c B c tb RT
L B RT r k B k tb RT
AL B RT r a B a tb RT
F C y y L h h h
K y y L h h h
K y y L h h h
ψ φ φ
ψ φ φ
ψ φ φ
= − − − + +
+ − − − + +
+ − − − + +
( )
{ }
( )
{ }
( )
{ }
( )
( )
2 2 2
FT c L B FT f c B c tb FT
k L B FT f k B k tb FT
a AL B FT f a B a tb FT
d H d B d FT
a AH a B a FT
M h C y y L h h h
h K y y L h h h
h K y y L h h h
l C l l l K l l
ψ φ φ
ψ φ φ
ψ φ φ
φ φ
φ φ
= − + − + +
+ − + − + +
+ − + − + +
− −
− −
( )
{ }
( )
{ }
( )
{ }
( )
( )
2 2 2
RT c L B RT r c B c tb RT
k L B RT r k B k tb RT
a AL B RT r a B a tb RT
d H d B d RT
a AH a B a RT
M h C y y L h h h
h K y y L h h h
h K y y L h h h
l C l l l K l l
ψ φ φ
ψ φ φ
ψ φ φ
φ φ
φ φ
= − − − + +
+ − − − + +
+ − − − + +
− −
− −
(22)
(23)
(24)
(25)
Table.1: Main Specification of Vehicle Model
・車両諸元