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中枢神経系原発びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫

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Academic year: 2021

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中枢神経系原発びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫

Primary diff use large B-cell lymphoma of the CNS

昭和大学医学部病理学講座(病理学部門)

塩沢 英輔  本間まゆみ

昭和大学医学部病理学講座(臨床病理診断学部門)

矢持 淑子  瀧本 雅文  太田 秀一

図  説 悪性リンパ腫組織アトラス【25】

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中枢神経系原発びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫

Primary diff use large B-cell lymphoma of the CNS

昭和大学医学部病理学講座(病理学部門)

塩沢 英輔  本間まゆみ

昭和大学医学部病理学講座臨床(病理診断学部門)

矢持 淑子  瀧本 雅文  太田 秀一

症 例

 60 代男性.転移性脳腫瘍疑いで開頭脳腫瘍生検 施行.HIV 抗体陰性.

 〔WHO 分類第 4 版(2008)における診断名〕中 枢神経系原発びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫 Primary diff use large B-cell lymphoma of the CNS

(CNS DLBCL).

昭和医会誌 第72巻 第2号〔213‑215頁,2012〕

図  説 悪性リンパ腫組織アトラス【25】

図 1 HE 染色.大脳実質内にびまん性ないし地図状 にリンパ球が浸潤している.

図 2 HE 染色.血管周囲腔にリンパ腫細胞浸潤が目 立つのが特徴的である.

図 4 (左)CD20 陽性(右)MUM1 陽性.

図 3 浸潤する細胞は,大型でクロマチンが増加し,

核小体が目立つ centroblast 様細胞である.

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中枢神経原発 DLBCL

215  〔概念〕中枢神経系 central  nerve  system に原発 する DLBCL であり,脳以外に脊椎,髄膜,眼球原 発も含まれる.しかし中枢神経に発生した DLBCL であっても,他部位原発 DLBCL の中枢神経浸潤,

HIV 感染症を含む免疫不全関連リンパ腫および血 管内大細胞型 B 細胞リンパ腫(IVLBCL)は除外さ れる.また頭蓋内であっても硬膜原発例も除外され る.

 〔発生頻度〕非ホジキンリンパ腫(NHL)の 1%

以下,脳腫瘍の 2 〜 3%とされており稀である.近 年発症頻度が増加しているとの報告もあるが,少な くとも本邦で増加しているとの報告はない.

 〔組織形態学〕脳実質内にびまん性に,centroblast に類似した大型細胞が浸潤する.しかし必ずしも密 な一様な浸潤ではなく,斑らな浸潤巣や不明瞭な結 節様病変を形成することもあるようである.もっと も特徴的な所見は血管周囲性浸潤像であり,毛細血 管周囲を取り囲むような浸潤をみせる.大量ステロ イド療法や放射線療法後の検体では,リンパ腫細胞 のびまん性浸潤巣が消失し,脳実質内に壊死巣や泡 沫細胞を含む炎症性組織のみがみられることもあ り,vanishing tumor と呼ばれる.

 〔免疫組織化学〕CD20,CD79a などの汎 B 細胞 マーカーに陽性を示す.CD10 陽性例は 10 〜 20%

程度である一方で,90%の症例に IRF4/MUM1 が 強陽性を示す.しかし DLBCL,NOS と比較して特 徴的な免疫組織化学所見があるわけでない.Ki67 陽性率は種々の程度であるが,一般に高発現である ことが多い.

 〔腫瘍遺伝学〕高頻度(最大で 27%)に体細胞突 然変異 somatic hypermutation がみられ,免疫グロ ブリン重鎖遺伝子の VH4/34 が関与することが多 い.30 〜 40%の症例で bcl6 遺伝子転座を認める.

しかし CNS  DLBCL の病理検体採取においては,

病変部が中枢神経であり,定位脳腫瘍生検では組織 採取を最小限にする傾向があり,病理検査用のホル マリン固定組織とは別に,染色体・遺伝子解析用の 新鮮組織が採取されることは稀である.

 〔 臨 床 と の 関 連 〕DLCBL の 標 準 治 療 で あ る

R-CHOP 療法は CNS  DLCBL の予後を改善しない.

Prednisone 以外は血液脳関門 Blood  Brain  Barrier :   BBB を通過しないためと考えられている.BBB を 通 過 す る methotrexate(MTX) の 大 量 投 与 と 45 Gy 程度の全脳照射により全奏効率は 90%以上,

生存期間中央値は 32 〜 60 カ月と改善した.しかし 治療関連神経毒性が問題となり,特に 60 歳以上の 高齢者で MTX 大量+全脳照射を受けた患者のほぼ 全例が,晩発性神経毒性である白質脳症となり,進 行 性 認 知 症, 失 調 性 歩 行, 排 尿 障 害 を 来 す な ど QOL の観点から問題も多い.

 〔WHO 分 類 以 前 の 診 断 と の 整 合 性 〕Primary  CNS  lymphoma と し て 診 断 さ れ て い た. 以 前 は HIV 関連症例,免疫不全関連症例も含有していた が,WHO 分類第 4 版からは除外されている.

 〔鑑別診断〕転移性脳腫瘍との鑑別は常に重要で,

肺小細胞癌の中枢神経転移などとは免疫染色を行わ ないと鑑別困難な場合がある.リンパ腫組織亜型の 鑑別としては中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)

の 90%以上が CNS  DLBCL であり,残り 10%が低 悪性度リンパ腫や Burkitt  リンパ腫,T 細胞リンパ 腫である.本邦では PCNSL の 8%が T 細胞リンパ 腫とされ欧米よりも多い.

 〔血液病理医の立場から〕迅速病理診断を求めら れることが多く,脳実質内にびまん性に単核球が浸 潤していれば,「リンパ腫疑い」と診断しうるが,

検体の状態によっては診断困難で,永久標本に診断 を保留せざるを得ないこともある.

文 献

1.Kluin  PM,  Deckert  M  and  Ferry  JA :  Primary  diffuse  large  B-cell  lymphoma  of  the  CNS.  In 

 

. (Ed  by  Swerdlow  SH,  Campo  E,  Harris  NL,  et  al),  4th  ed.,  pp. 

240‑241, International Agency for Research on  Cancer, Lyon, 2008.

2.島津 浩,大田泰徳,竹内賢吾:中枢神経系原 発 DLBCL(CNS DLBCL).WHO 分類第 4 版に よる白血病・リンパ系腫瘍の病態学(木崎昌弘,

田丸淳一編),pp.  276‑278,中外医学社,東京,

2009.

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