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人体彫刻における情感表現

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Academic year: 2021

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(1)

人体彫刻における情感表現

教科・領域教育専攻 芸術系(美術)コース 入 村 友 佳 子

作品の要旨 I 制作の動機

人体からは,その人聞が持つ内なる力,

言い換えればその人らしさが惨み出ている。

これを形に表したいと思い,人体をモチ ーフとした生命感のある具象彫刻の制作を 行いたいと考えた。

E  テーマ設定について

学部

3

年次後期から院

1

年次

6

月まで,

あまり激しい動きのない静かなポーズでも って作品にモデルの女性がもっ強さや若々 しさ,みずみずしさを表すように制作を行 ってきた。

制作の中では,肉付けを強く表現するこ とや人体の構造を意識することばかりにと らわれてしまい,人体がフオルムとしては 成立しているものの,作品がもっ雰囲気と

aして硬さのある作品になってしまった。

反省点としてモデ、ノレの女性がもっ内在す る力,内在する流れをないがしろにし,自 分の理想、とする若い生命感を表してしまっ た点に問題があると考えた。そこで,若い 女性のもつ生命感とはどんなものかを改め て考えてみることにした。単に若くハリの ある肉体を表現するだけが作品に強さを与 えるということではなく,はかなさ,弱さ,

危うさ,優しさ,清純さ,健やかさ,素直

指 導 教 員 長 岡 強

さなど様々な要素が入り混じっている感情 が人体に存在することで,作品としての強 さがつくられると考えた。若いモデルや自 分自身にも内在する人体の情感を表現する ことが,私の表現したい生命感のある具象 彫刻ではなし、かという考えに至った。

車 修 了 制 作 に つ い て

(1) 

制作意図

作品「みつめるJでは,若者が持つ未来 への希望と不安,そして迷いを乗り越え て自分自身の進む道を,明日を生きる力 をもって進んで、いく情感を表現すること にした。

(2)  制作過程

男性像を制作するにあたり,ポーズに おいて,人体の自然なムーブ、マンを活か して男性的な肉体美と将来への心の葛藤 を表現することを念頭においた。

そこで,右脚に重心を置き,左脚は軽 く膝を曲げて少し前に出す。腕は脚とは 前後を逆にして,右腕は肘を曲げて顔の 前にもって行き,左腕は後ろにもってい くといった人体の構造から自然と生まれ るムーブマンを意識したポーズに決定し た。ポーズからも人体の強さだけでなく,

内なる力が自然と伝わる印象の強さに重

Ei 

tEi 

q u 

(2)

点を置いた。

ポーズ決定後,モデ、ルを使用しデッサ ンを行った。人体のバランス及び,ムー プマンの確認に傾注した。

肉付けに関しては,人体の構築性を意 識することを課題とし,その上に,有機 的形態を感じられる肉付けを目指した。

特に,両脚の肉付けでは,ポイントを明 確に作り,ジョイント部分を大切にし,

力の流れを意識した。リズムよく力が流 れることで,人体全体に若い生命感が表 れるようにした。地山の表面は,緊張感 のある平らな面にし,形は自然な形にす ることで,作品にメリハリをつけた。

テクスチャーは,作品全体の印象を決 めてしまう重要な要素だと考える。強さ を印象づける部分と控えめな印象を与え る部分を作り,作品全体が単調にならな いように心がけた。張りのある部分はヘ ラで均して,凹んで、いる部分はあえてへ ラで凸凹をつけ,またへラで均し,心地 よいテクスチャーにし,表面がリズムよ く流れるようにした。また,

FRP

での成 形後も,やすりをかけるなどして,更な

るテクスチャーの変化を試みた。

着色においては,若者が自分の進む道 を葛藤しながら前に進んでいく様子をよ

り表現してみたいと考えた。そこで,色 調は,観る側に過度な印象を与えず,落 ち着いた印象となる「焦げ茶

J

を選んだ。

また,

FRP

で成形,修整した表面のテク スチャーが単調にならず,より清新さを 与えるように,凹凸の溝にタノレクや顔料 を落とし込み変化をつけた。

研究の成果と課題について

観ている側に自然と伝わる情感表現を もっ作品を目指したので,制作意図に沿 うポーズで制作することができた。モデ ノレをよく観察することで,人体の構造は 前回の作品「若い女jより深く追究でき た。

しかし,部分と部分のつながりの弱さ や全体と部分の構築性に甘さが残った。

特に,上半身の肉付けに変化が少なく全 体の印象から若さ,ハツラツさに欠け,

やや単調なものになってしまった感がす る。人体の内なる力を情感をもって表現 するためには,生命感のある肉付けが特 に重要である。

また,自らの彫刻観を高めていき,こ れからも人体彫刻における情感表現を追 究していきたい。

修了制作 「みつめるj

182X55X45cm  FRP  2011

‑312‑

参照

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