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地域間おける所得格差について*

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Academic year: 2022

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(1)

地域間おける所得格差について*

About the difference between regions *

今井敬一

**

By Keiichi IMAI **

1.はじめに

近年、地域間格差が社会問題となっている。

06年版国土交通白書によると、国民の65.

7%が地域間格差の拡大を感じており、特に地域 間格差が拡大している項目としては、「所得水準」

が67.2%と最も高い結果となっている。

地方から所得水準の高い都市部への人口流出が 増加傾向にあるなど、所得、雇用、社会資本等の 地域間格差が拡大傾向にあり、これらの是正を求 める声が高まってきている。

本稿では、地域間における所得格差について、

都道府県間、地域ブロック内および地域ブロック 間の1人当たり県民所得の変動係数の推移、ジニ 係数によって地域間所得格差を時系列かつ地域的 に分析するとともに、所得シェアと人口シェアと の関係について分析する。

2.分析方法

県民経済計算を用い、都道府県間、地域ブロック内、

地域ブロック間における地域間所得格差を変動係数の推 移、ジニ係数から分析する。なお地域ブロックは広域地 方計画区域に準じて設定した。

(1)変動係数

変動係数は、データのバラツキの大きさを評価する指 標であり、本稿では1人当たり県民所得データを用い、

人口を考慮した場合と人口を考慮しない場合の2ケース の分析を行った。

○人口を考慮した場合の変動係数

○人口を考慮しない場合の変動係数

(2)ジニ係数

ジニ係数は、所得分布などのように、統計の各個体 (標本)の大きさに関する分布状況について、その平準度 を見るための指標で、完全平等分布線とローレンツ曲線 に囲まれた面積と完全平等分布線の面積(0.5)の比で あわらし、その値が小さいほど平準度は高く、本稿では、

地域ブロック単位で一人あたり県民所得データを用いて 分析を行った。

3.分析結果の概要

地域の状況を経済の側面から、都道府県間、ブロッ ク内、ブロック間における地域間所得格差を経済指標の 変動係数、ジニ係数を用いて分析を行った。

○1人当り県民所得の変動係数の推移

(都道府県間、ブロック内、ブロック間)

○ブロック内、ブロック間のジニ係数の差

【結果の概要】

・都道府県間の変動係数は、長期的に減少傾向で、1979 年が最も小さくなっている。近年でみると 1989 年以降 減少傾向にあるが、2000 年頃から大きくなる傾向がみ られる。

・都道府県間では、人口を考慮した場合の変動係数が大 きくなる傾向がある。

0.000 0.050 0.100 0.150 0.200 0.250 0.300

1959 1964 1969 1974 1979 1984 1989 1994 1999

変動係数(人口考慮)

( )

=

′ −

n

j

y

j

n y

y

1

1

2

1

=

′ =

n

j

j

j

y

pop y pop

1

:j 県の1人当たり県民所得

:県の数

:j 県の人口

:全国の人口

n

y

j

pop

j

pop

:j 県の1人当たり県民所得

:県の数

:j 県の人口

:全国の人口

n

y

j

pop

j

pop

図2 県民所得の変動係数の推移(都道府県間)

・関東では、ブロック内の変動係数が長期的に減少する 傾向があるが、2000 年頃から関東、北陸、中部、中 国、四国において増加している。

( )

= n

j

y

j

n y

y

1

1

2

1

n y

j

y

:j 県の1人当たり県民所得

:県の数

:1人当たり県民所得の平均値

n

y

j

y

:j 県の1人当たり県民所得

:県の数

:1人当たり県民所得の平均値 ・関東、近畿では、人口考慮した場合の変動係数が大き くなる傾向がある。

*キーワーズ:国土計画、地域間所得格差

**正員、株式会社建設技術研究所北海道支社道路室

(〒060-0003 札幌市中央区北3条西3丁目 1-6 札幌小暮ビル、

TEL011-281-3747、FAX011-261-4108)

(2)

図3 県民所得の変動係数の推移(ブロック内)

・ ブロック間の変動係数は、1980 年以降拡大する傾 向にあったが、1992 年以降減少に転じ、1995 年頃 から横ばい傾向にある。また、関東を北関東と南関 東に分割した方が大きくなっている。

図4 県民所得の変動係数の推移(ブロック間)

・関東を除くブロック内のジニ係数は、ブロック間のジ ニ係数より小さい。特に関東は、東京都とその他の県 の格差が大きい。

図5 ブロック内とブロック間のジニ係数

・南関東ブロックを除くブロック内のジニ係数は、ブロ ック間のジニ係数より小さい。

・南関東ブロックのジニ係数は、最大となっており、1 人当り県民所得が最も大きい東京都の影響がより顕著に なっている。

図6 ブロック内とブロック間のジニ係数(関東分割)

図7 南関東の一人当たり県民所得

・関東は、県民所得シェアが人口シェアを3ポイント上 回っている反面、東北、九州では人口の割りに県民所得 が低くなっている。

図8 県民所得のシェア 図9 人口のシェア

4.おわりに

本稿では、経済指標を用いて地域間格差の経済 分析を行うことにより、地域別の実情や地域間格 差の実態が明らかになった。

今後は、本研究で得られた知見等をもとに、地 域間の経済活動に関する分析を行い、より計画論 に展開していくことが必要であると考えている。

本研究分野は極めて裾野が広く、適用される分 析手法も多岐に及ぶ。また、行政施策や産業動向 などに関する知識や見識、洞察力なども必要であ り研究は容易ではないが、今後も着実に進めてい くべきだと考えている。

最後に、本研究は、財団法人計量計画研究所の「国 土マネジメント研究会」(主査 森地茂政策研究大学院 大学教授)において発表の機会を得た筆者の成果の一部 である。貴重なコメントを賜りました森地教授、山根孟 氏をはじめとする研究会の各位に感謝の意を表します。

0.000 0.050 0.100 0.150 0.200 0.250 0.300 0.350

1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000

変動係数(人口考慮)

東北内 関東内 北陸内 中部内 近畿内

中国内 四国内 九州内 都道府県間 ブロック間(除沖縄)

2003年

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 人口

完全平等曲線 東北ブロック 関東ブロック 北陸ブロック 中部ブロック 近畿ブロkック 中国ブロック 四国ブロック 九州ブロック ブロック間

0.000 0.050 0.100 0.150 0.200 0.250 0.300 0.350

1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000

変動係数(人口考慮せず)

東北内 関東内 北陸内 中部内 近畿内

中国内 四国内 九州内 都道府県間 ブロック間(除沖縄)

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000

東京都 神奈川県 千葉県 埼玉県 山梨県

1 人 当 り 県 民 所 得(

千 円

/ 人)

南関東平均 3,219

0.000 0.050 0.100 0.150 0.200 0.250 0.300 0.350

1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000

変動係数(人口考慮せず)

ブロック間 ブロック間(除沖縄) ブロック間(除沖縄、関東分割) ブロック間(関東分割)

県民所得のシェア

関東 37%

北陸 2%

中部 14%

近畿 16%

東北 中国 8%

6%

四国 3%

九州 9% 沖縄

1%

北海道 4%

人口のシェア

関東 34%

北陸 2%

中部 13%

近畿 16%

中国 6%

四国 3%

九州 11%

東北 10%

北海道 4%

沖縄 1%

0.000 0.050 0.100 0.150 0.200 0.250 0.300 0.350

1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000

変動係数(人口考慮)

ブロック間 ブロック間(除沖縄) ブロック間(関東分割) ブロック間(除沖縄、関東分割)

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

人口 県

民 所 得

完全平等曲線 東北ブロック 北関東ブロック 南関東ブロック

北陸ブロック 中部ブロック 近畿ブロック 中国ブロック

四国ブロック 九州ブロック ブロック間

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