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塩害地域における高橋脚のコンクリート配合及び施工について

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Academic year: 2022

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(1)

塩害地域における高橋脚のコンクリート配合及び施工について

西 日本旅 客鉃 道株式 会社 正会員 ○堤内 裕 西 日本旅 客鉄 道株式 会社 正会員 宮本 正文

1.はじめに

山陰本線余部橋りょうは,明治45年に建設された鋼 製トレッスル式橋りょうである.架設位置は日本海に 面した典型的な腐食環境で,これまで維持管理に多大 な労力を要している.また,地上約40mに架けられて いるため,強風による運転規制を受け,特に冬季を中 心とする定時性低下が問題となっている.これに対し て,地元から改善要望がなされてきており,今般,防 風壁を備えた防風効果の高い PC 橋へ架け替えること となった.工事は,平成18年3月に着手しており,現 在,下部工工事を鋭意進めている.

本橋の詳細設計では,上記の地域特性や構造特性を 念頭において,安全性や耐久性を満足させるための検 討を重ねてきた.本稿では,設計かぶり,コンクリー ト配合について,塩害対策を検討した結果について報 告する.

2.新橋の概要

図-1に本橋の構造一般図を示す.

新橋の構造形式は,「余部橋梁定時性確保対策のため の新橋梁検討会」の提言をうけて,現橋の直線的なイメ

-ジを継承し,桁断面は低桁高(3.5m)の等断面,構造 形式は景観性,経済性および維持管理等を考慮した大 偏心アウトケ-ブル形式のPC5径間連続箱桁橋(橋長 310.6m)が選定された.

3.塩害対策

(1)当該地の塩害環境

図-2 に本橋と海岸線との位置関係を示す.また既往 の調査結果で,図-3 には現橋位置で測定された飛来塩 分量を,図-4には暴露鋼板試験片の腐食減量を示す.

図-2 位置図

これらの結果より,現橋の鋼腐食は飛来海塩粒子支 配であることが明らかとなり,また鋼腐食は橋りょう の各部位で著しく異なっていた.腐食度の大きい部位 は海風が障害なく到達する橋りょう中央部付近(既設 4P~7P)の中段以下で,橋りょう端部及び上部は飛来 海塩粒子濃度が低いと想定されている.

以上の結果は,気象条件,地形等から海風の影響度

キーワード 余部橋りょう,塩害対策,飛来塩分量,設計かぶり,水セメント比

連絡先 〒620-0892 京都府福知山市字天田小字生念塚 309-3 西日本旅客鉄道㈱大阪工事事務所福知山工事所 TEL0773-23-1620 FAX0773-23-1622 計画線

海岸線 海岸線から100mのライン

P2 P3 P4 A2

P1 A1

1P 2P 3P 4P 5P 6P 7P 8P 9P 10P 11P 現在線

幡生方 京都方

余部橋りょう

図-1 構造一般図

7550 2750 1000

4850

750 450 450 750

7250

中間部 支点部

35003030 5000 8500

主塔

側面図 断面図

S.L=42.370

幡生方 京都方

橋長 310600 桁長 310200

200 200

支間長 50100 支間長 82500 支間長 82500 支間長 55000 支間長 34100

2500 3500

16500

7000 3000

336709000

P1 P1

P2

P2 P3P3

P4 P4

A2 A2 A1

A1

2000

3500 4000

4000 4000

35000400023000

35500400022500

36000400011000

300015000 8000

5-211 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-421-

(2)

を想定することで,部位毎の塩害対策が可能であるこ とを示唆している.

図-3 平均飛来塩分量分布図

図-4 暴露試験片腐食減量の分布図

(2)塩害対策の基本方針

一般的な塩害対策として,①かぶり厚の増加,②コ ンクリ-トの水セメント比(以下 W/C)を低減する,③ プレキャスト(埋設)型枠を採用する等の方策が考え られるが,ここでは塩分の浸透を抑制する方法である 上記①②を基本方針として対策を講じることとした.

各部位の設計かぶりは,鉄道構造物等設計標準・同 解説(コンクリ-ト構造物)1)における塩化物イオンに 関する検討(S1地域,設計耐用期間100年)を行って,

表-1のように決定した.

ここに,P1,P2 橋脚は海岸線より約 100mの位置で あるため,その距離での規定かぶりに準拠した.また 上部工については,上段の飛来塩分量が下段の半分程 度であることから,高さ方向の影響検討を行った.

土木学会コンクリ-ト標準示方書(構造性能照査 編)2)ではコンクリ-ト表面における塩化物イオン濃度 に関して,「海岸付近の高さ方向については,高さ 1m が汀線からの距離 25mに相当すると考えて,コンクリ

-ト表面における塩化物イオン濃度を求めてもよい.」 と示されている.これを本橋に適用すると高さが 40m であることから,海岸線からの距離 1km に相当する.

しかし高さと表面塩化物イオン濃度との関係を検討し

た研究事例が少ないため,やや安全側見地より海岸線 からの距離を 0.5km に低減して取り扱うこととした.

P3,P4 橋脚については,P1,P2 橋脚グル-プと上部 工の中間的な塩害環境として,また A1,A2 橋台はその 立地条件より上部工と同じ塩害環境と評価した.

W/C については,特に橋脚がマスコンクリ-トである ことから,上部工に比べて乾燥収縮や温度応力による 初期ひび割れが生じやすい.従って配合設計において は単位セメント量の低減以外に,低発熱セメントと高 性能 AE 減水剤の活用を前提として,標準的配合より W/C を 10%程度小さく規定した.

表-1 設計かぶり

水セメント比

部位 40% 45% 55%

桁(40 N/mm2) 80mm - -

P1・P2 - 200mm -

橋脚躯体

(24 N/mm2) P3・P4 - 130mm -

P1・P2 - - 230mm

フーチング

(24 N/mm2) P3・P4 - - 150mm 注:( )内はコンクリ-トの設計基準強度

(3)コンクリート試験練り

今回検討したコンクリート配合は特殊配合となるこ とから,必要とする製品が当該地域において製造が可 能かどうか試験練りを行った.また,最大約 40m の高 さまで圧送が必要となることから圧送試験で施工性,

分離抵抗性の確認も行った.

その結果,細骨材率を大きくし,コンクリート全体 の粉体量を増やすことで,材料分離,スランプの安定 性を向上させ,安定した品質のコンクリートを製造可 能であることが確認できた.

4.おわりに

橋脚躯体かぶりの最大値200mmは,無筋部分の増加 による初期ひび割れの抑制が施工上の課題として残っ ている.これについては現在,鉄筋を考慮したひび割 れ幅の検討並びに補強繊維材の添加を検討中である.

最後に,本設計を進めるにあたり,貴重なアドバイ スを頂いた鉄道総合技術研究所をはじめ,関係各位に 謝意を表す.

[参考文献]

1)鉄道総合技術研究所:鉄道構造物等設計標準・同解説

(コンクリ-ト構造物),丸善,2004.4

2)土木学会:コンクリ-ト標準示方書(構造性能照査編),

丸善,2002.3

2級河川

長谷川 国道 町道

1P 178号

2P 3P 4P 5P 6P 7P 8P 9P 10P

11P

約70mgNaCl/㎡/day

約30mgNaCl/㎡/day 約170mgNaCl/㎡/day

幡生方 京都方

2級河川

長谷川 国道 町道

1P 178号

2P 3P 4P 5P 6P 7P 8P 9P 10P

11P

幡生方 京都方

[凡 例]

:50mg/d㎡・day以上 :10mg/d㎡・day以上

:30mg/d㎡・day以上 :5mg/d㎡・day以上(田園環境相当)

5-211 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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参照

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