• 検索結果がありません。

体操競技における試技順の操作がチーム得点に与える影響について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "体操競技における試技順の操作がチーム得点に与える影響について"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)原. 著. 体操競技における試技順の操作がチーム得点に与える影響について 高岡 ○皿the. 治*福井 Eff㏄t. Com脾肚ive Osamu. of. 至‡大橋. Within・team. Gymmstics. Takaoka#,Itaru. Team. 靖史柵 Order. to. Fim1Scores. Fukui#and. YasuShi. Ohashi榊. Abstract Gymnastics coaches typica11y place their gymnasts in rank order from poorest to best for competition in each event.Scheer and Ansorge(1980)has repoれed scores of national1y certified gymnastics inf1uenced. judges were innuenced by the withi阯team order.Whether the by the within−team order howeYer is unce吋ain.The purpose. team final scoreswere of this study was t0. detemineiftheteamfinalscoresofnationa11yceれi・fiedgy㎜asticsjudgeswereinnuencedbythe within−team order of make equa1three groups. 駆mnastics videotapes. routines. were. poorest judged. fina1score. and. gymnast. tapes(2〕Using was. as. on. edited. 馴mnasts,fifth the. competition.The videotapes of 87All Japan Gymnastics Meet was used to of judges f}om a total of fifteen judges・The groupes of judges scored. the the. as. each. of. sixth馴mnasts perfo㎜ed. pumping third. three. videotapes. fo11owsl(1)within−team. in. and. competiter. were the. order. reversed. last. building. edited. from. using. the. positionwithin. for. his. team. rather. than. advantage.(p〈.05)(2)But. the. team. final. scores. to. pm〕ping. team. principie.Results. 男子体操競技のチーム選手権における各種目の. from. poorest. 88Moscow and. order,and. ofANOVAreYea1ed the. not. first. News. best,(2)the. bui1ding did. the. by. the. same had. and. second. princep1e,13). that(1〕if. competitor,he. influenced. Cup.These. first. as. the a. video−. ath工ete. si馴ificant. ordering. effect.. っている.競技会における班編成を前半,中間,. 演技者の有効点は,各種目主任審判員を含む5名. 後半のグループにわけ,審判員の採点結果を分析. の審判員が採点規則に従って採点を行ない,主任. し,その結果,各グループの平均値は,平行棒,. 審判貝を除く4名の審判貝の点数の中間の有効な. 鉄棒において,後半に置かれたグループで有意に. 2つの点数から,採点規則第9,11条に従って算. 高い有効点が算出されたことを報告している.ま. 出される1〕. 2〕.各種目のチーム得点は,1チーム. た,ScheerとAnsorge(1975)は7〕,競技会で. 6名の選手の有効点から,上位5名の選手の有効. の試技順と,それをまったく逆順に編集しなおし. 点を合計して算出される.一般にチームにおける. たビデオテープを作成し,2つの審判団に24時間. 試技順は,得点の低い選手から高い選手へと試技. の問隔をおいて実験を行なっている.半数の審判. 順が組まれている;〕. 員は競技会順一逆順で,残りの半数の審判員は逆. ψ5〕.また,審判員も,この. 試樹1噴を予想して採点を行なっている傾向がみら. 順一競技会順で採点を行なった.その結果,1回. れるとの指摘もあるヨ〕. 目の採点と2回目の採点および,競技会順と逆順. 5〕.. 採点の順序効果について,Scheer(1973)は6〕,. 各種目30名から36名の演技者を用いて研究を行な ^情報科学研究教育センター. 帥文学研究科. の試椥1噴による採点との間に明らかな差がみられ,. その2つの交互作用がみられたととを報告してい. ‡丁加C2〃κ力7∫砂b〃〃オ㎞,. 榊D物伽2吻け的伽10gy鋤00け〃燃. 一27一.

(2) 体操競技における試椥11頁の操作がチーム得点に与える影響について. る.さらに,Ansorgeら(1978)は8〕,競技会順. るlO〕. 1〕. 12〕. と,その試技順の第1演技者と第5演技者の試技. 過失のない得点の明らかに異なる6演技を用いた.. 順を入れ替えた試椥1噴との比較を行なっている.. 1ヨ〕. I4〕. 15〕. 目. その結果,同一の演技の採点においては,試技順が. 16〕男子平行棒の自由演技で,大. 的. 遅い方に有意に高い得点が与えられていることを. 採点競技は質的尺度を競技判定の基準として用. 報告している.また,Wi1lson(1976)も9〕,女. いるために,審判方法,採点方法が,客観的で明. 子体操競技の段違い平行棒において,同様な結果. 解なものでなければ競技として成立しない工η.採. を報告している.. 点競技である体操競技の競技性を支える要素とし. 一方,チーム内の試技順の操作で,より高いチ ーム得点を得るための戦術の研究も行なわれてい. て,規則の的確さと審判員の能力があげられる.. 体操競技の採点は,審判員資格を有する審判員に. る.ScheerとAnsorge(1980)は3〕,1978年の. より,競技規則,採点規則に従って行なわれる.. 世界選手権の分析から以下の戦術をまとめている.. 採点規則は,1949年の初版から改訂が繰り返さ. 1.チームの基準点となる第1演技者の点数を引 き上げる.2.第4,5演技者の試技順を入れ換え. れ1罧〕,現在の競技レベルに高い精度で対応してい. る.しかし,これらの戦術は大過失があっては成. 験が実施され,競技規則・採点規則など規則に関. 立せず,各演技者が堅実な演技を行なうことが前. する理解力,技術に関する情報を把握する能力,. 提となっている.Hartley・O. 実施を正確に観察できる能力など,さまざまな能. brien(1983)も4}同. .様に,原則的には競技力の低い選手から高い選手. る.審判員には,各種審判貝資格により審判員試. 力が要求されている1〕. 2〕.しかし,これらの精密. へと試椥1噴を組み,演技者の競技会での経験の差. な規則,的確な採点能力を有する審判員により演. により,経験の少ない演技者を第1,2,3演技者. 技の採点が行なわれていても,競技会においては,. に,経験の豊富な演技者を第4,5,6演技者に,. 実施された演技に対する採点が,何らかの要因に. さらに,チームの基準点を上げるために第1演技. より影響を受け,的確な有効点が算出されない可. 者に比較的競技力のある選手を配置することが有. 能性があると考えられる.特にチーム選手権にお. 効であると報告している.塚脇(1984)は5〕,試. けるチーム内の試技順の操作は,コーチ・指導者. 技順を決定する要因として,1.最も近い競技会. により,戦術のひとつとして用いられてお. の実績とトレーニング試合期における試技会の成. り3〕. 績,2.演技内容,3.選手の試合経験度,試合緊. 影響が大きいものと考えられる.採点の順序効果. 4〕. 5〕,有効点,および,チーム得点に与える. 張度,知名度の3点を挙げ,第1,2演技者に確. は,Scheer(1973)6〕,ScheerとAnsorge(1975)7〕,. 実な選手,第3,4演技者に中堅選手,第5,6演 技者に競技力の高い選手を配置することが有効で. Ansorgeら(1978)8〕,Wmson(1976)9〕により報 告されている.. そこで本研究は,男子体操競技のチーム選手権. あると報告している.. 試技順の決め方は上記のように,競技力と演技. における試技順の操作が,採点規則に従って算出. の安定性の両面を考慮して決められているのが現. されたチーム得点に与える影響を検証し,戦術と. 実である.しかし,試技順がチーム得点に与える. しての試技順の操作を行なうことの効果を明らか. 影響を検証した研究はみられない.そこで,一般. にするとともに,審判技術向上のための基礎資料. に戦術として高得点が得られるとされている試技. を得ることを目的とした.. 順を用いることにより,チーム得点が有意に高く. 方. なるのか,また,どのような試技順が最も有効で あるのかの検註が必要である.そこで,本研究で. 審判貝. 法. 審判員は提示ビデオ用の演技に序列を. はコーチ・指導者が戦術として用いている試技順. つけた日本体操協会公認審判員2名と,本実験の. の操作がチーム得点に与える影響を検証する.用. 被検者となった日本体操協会公認審判員15名であ. いる演技は審判員の採点の一致度が高いとされ. った.. 一28一.

(3) 第2巻第1号ユ989. 早稲田大学人間科学研究. Table1. Ath1ete. Position. in. Each. Athlete. Order 1st. Team. Position. 3rd. 2nd. Order. 4th. 5th. 6th. Order1 Order2. Athlete A Athlete B. Athlete B Athlete A. Athlete. C. Ath1ete. D. Athlete. E. Ath1ete. F. Athlete. C. Athlete. D. Athlete. F. Ath1ete. E. Order3. Ath1ete. Athlete. Athlete. D. Ath1ete. F. Athlete. E. Ath1ete. A. 0rder. of. 審判団の編成. C. B. 1987年全日本体操競技選手権大. Table2. of. 会種目別選手権における平行棒の演技を録画した ビデオテープから,大過失のみられない6演技を. Order. Judges. 抽出した.この演技をビデオモニターに再生し,. 1985年版男子採点規則に従い採点を行なった.競. Judges1 Judges2 Judges3. 技会のレベルは,1987年度全日本体操競技選手権・ 大会競技I. Presentation. bの競技レベルと設定した.. for. Each. Group. Judges of. Presentation. 1. 2. 3. Order1 0rder2 0rder3. Order2 0rder3 0rder1. 0rder3 0rder1 Order2. 各審判貝の採点結果から,まず各演技の平均点 との偏差平方和が少ない3名の被検者を,各審判. 点規則に従い採点するように指示した.競技会の. 団の主任審判員とした.さらに,主任審判員とし. レベルは,審判団の編成に用いた基準と同様に,. た3名を除く12名の審判員を,各審判団のチーム. 1987年度全日本体操競技選手権大会競技I. 得点が等しくなるように,4名づつ3つの審判団. 競技レベルと設定し,事前に採点規則,および,. に振り分けた.. 競技会のレベルの確認を行った.採点終了後,各. 提示ビデオ. bの. 88モスクワ・ニュースカップを. 審判団の各試技順における演技者の基準点,有効. 録画したビデオテープから,競技力が高く,所属. 点,および,チーム得点を採点規則に従って算出. チームが同一である6名の選手(ATHLETE. した.. A,. B,C,D,E,F)を抽出し,この6名をユつのチーム. 結. として提示ビデオ用の演技とした.この6演技を, 日本体操協会公認審判員2名が一対比較法により. 各審判貝の採点結果を,選手ごとに,提示順序. 評価を行い,2名の審判貝の演技得点の順序が一. 致した.この順序をもとに,評価の低い選手. (ATHLETE. A)から高い選手(ATHLETE. F)への試技順をOrder1とした.また,Order 1に,チーム得点を高くするために使われている. 戦術のうちビルディングとポンピングを行なった. 試技順をOrder2とした.さらに,チーム内で. 最も競技力の低い選手(ATHLETEA)を第6. 果. (Rotation)×審判員×試椥1噴の被検者間2要因,. 被検者内1要因の分散分析を行なった.採点結果. の分析ではATHLETE. Cの試技順の主効果のみ. が有意になった(F(2,24)=3.75,p〈O.05).. また,Order別に各審判員の採点における6名の 演技者の合計点を,提示順序(Rotation)×審 判員×試技順の被検者聞2要因,被検者内1要因の. 演技者として,ビルディングとポンピングを行な. 分散分析を行なった結果をTab1e3に示す.含 計点では,各0rderの提示順序の主効果が有意. った試技順をQrder3とした.この3つの試技. であった(F(2,12)=11.39,p<0.01).. 順によるビデオテープを作成し提示ビデオとした (Table1).. 次に各演技の各審判団における有効点の分析を. 行なった.有効点の分析では,提示順序と審判団. 手. 続. の効果が分離できないので,選手ごとに,提示順. き. 序(審判剛×試技順の2要因の分散分析を行なっ. 15名の各審判貝がTable2に示す順で演技の 採点を行なった.各審判員には,1985年版男子採. た結果をTable4からTab1e9に示す.その結果. ATHLETE. 一29一. Bて提示順序(審判団)の主効果.

(4) 体操競技における試技』■頃の操作がチーム得点に与える影響について. Tab1e3. Total. Score. with SOu「ce. Of. Ratin. of. Judges. in. Each. variatiOn. *. Significant. at.051evel. Significant. at.011evel. variation fo. Judges). Table5. Final of. 1,23. O.615. 0,65. 0.054. 2,70 0,35 0,30. O.175. 2,06. 0.075. 0,88. 11.39^‡. 0.085. df. MS. F. 0.087. O.0433. 6,50. 0.O07. 0.O033. 0,49. 0.027. 0.O067. at.011eve1. Score. of. Athlete. B:ANOVA. fo. Summaries. for3x3Factorial. SS. Judges). 0rder Error Tota1. df. Designs. with. Ratin. MS. Square. F. O.084. O.0419. 9.52‡. 0.002. O.O011. 0,25. 0.018. 0.0044. 0.104 Significant. at.05]eve1. **Significant. Table6 of. at.01Ievel. Final. Score. of. variation. Rotation(Groups. fo. Judges). Order ErrOr Total *. F. at.051eve1. variation. Rotation(Groups. Source. MS. 0.121. Significant. **Significant. *. df. SS. Order Error Tota1. Source. Desi馴s. Fina1ScoreofAtlleteA:ANOVAl㎜1riesforlxlFactorialDeli騨sw砒RatinSqu1rl. Rotation(Groups. *. for3x15Facto−Rail. 2,05 5,40. **. of. S㎜1maries. 1,88. Within Order RotationxOrder OrderxJudges Tota1. Source. ANOVA. SS. Between Subjects Rotation Judges. Table4. Rotation:. Square. Athlete. C:ANOVA. Sm〕maries. SS. df. **Significant. MS. with. Ratin. Square. F. O.021. O.0103. 9.36‡. 0.036. O.0178. 16.18,. 0.004. O.00ユユ. 0,061. Significant. for3x3Factoria1Designs. at.051evel. at,011eve1. 一30一.

(5) 第2巻第1号. 早稲田大学人間科学研究. Table7 Source. of. Fi11lll1rllfAt11ltlD:ANOVAl㎜1rillf1rl1lFllt1ri1lDlli騨1wit1R1ti1l111rl SS variation F df MS. Rotation(Groups. fo. Judges). Order Error Total. O.Oユ2. 0.O058. 1,43. 0.O07. 0.O033. 0,79. 0.O17. 0.O042. 0.036. *. Significant. at.051eve1. **. Significant. at.011evel. Table8 Source. 1989. of. Fi1lllllrl1fA伽1tlE:ANOVAl㎜1rillf1rl1lFllt1ri1lD1li馴1wi㎞Rlti1lq11rl SS. variation. Rotation(Groups. fo. Judges). df. MS. 0.024. O.0119. 6,26. 0rder. 0.O04. 0.OO19. 1.OO. Eπor. 0.008. O.OO19. Tota1. 0,036. *. Significant. **. Significant. Table9 Source. of. at.051evel. at.O1level. Fin1lSllrl1fAthlltlF:ANgVAS㎜1rillf1rlx1F1ltlril1Dlli馴1wit1Rlti1lll1rl variation. Rotation(Groups. fo. Judges). 0rder Error Total. df. S§. MS. O.O07. O,O036. 0.002. O.0011. 0.O01. 0.O003. 12.OO‡. 3,67. 0.O1O. *. Significant. at.051eve1. **. Significant. at.011eve1. Tab1e10 Source. of. TotalFinalScore:ANOVASu㎜ariesfor3x3FactorialDesignswithRatinSquare SS df MS. variation. Rotation(Groups. fo. Judges). O.384. O,1g1g. 7,58‡. Order. 0.067. O.0336. 1,33. E打or. 0.101. 0.0253. Total. 0.552. *. Significant. at.051evel. **. Significant. at.011eve1. (F(2,4)=9.52,P<O.05)があり,ATH−. 散分析を行なった結果,有効点の合計点では,提. LETECで提示順序(審判団)の主効果(F. 示順序(審判団)の主効果(F(2,4)=7.58,. (2,4)=9.36,p<O.05)と試技順の主効果. (F(2,4)=1618,p<O.05),ATHLETE. P<O.05)があった(Tab1e1O).. F. 最後にチーム得点の分散分析の結果をTable11. で提示順序(審判団)の主効果(F(2,4)=. に示す.チーム得点では,提示順序(審判団)の、. 12.OO,p<O.05)があった.また,各審判団に. 効果も試技順の効果も見られなかった(tab1e. おける6名め演技者の有効点の合計点を用いて分. 11).. 一3ユー.

(6) 体操競技における試技」頃の操作がチーム得点に与える影響について. Table11 Source. of. Tl1mFi11lSllrl:ANOVAl㎜1rillflrl1lF11tlhllDlli馴1wit1Rlti1lql1rl SS. variation. Rotation(Groups. fo. Judges). df. MS. O.134. O.0669. Order. 0.111. 0.0553. Error Total. 0.048. 0.O119. 5,62 4,65. 0.013. *. Significant. at.051eve1. **. Significant. at.011eve1. 考. 試技順は,演技者の有効点には影響を与えるが,. 察. チーム得点には影響を及ぽさないことがわかった.. 本研究において,試技順の操作が有効点に与え. 次に,本実験では,1人の審判が3種類の異な. る影響は,Table6に見られたように,試椥1噴が. った試技順のビデオを,採点しており,その採点. 第1演技者と第3演技者と変化したATHLETE Cて有意な差か出ていた. ATHLETECは. する順序を各審判団ごとにラテン方格を用いて異. Orderl,0rder2において第3演技者として, Order3において第1演技者として採点が行なわ れた演技者であった(Table2).第1演技者とし. Table3の各審判の採点の合計点を用いた分析で は1%水準で有意な差があった.またTable5, Table6,Table9の各審判団における各演技者の. て採点を受けたOrder3の有効点は,第3演技者. 有効点を用いた分析と,Table1Oの各審判団にお. ならせている.この各試技順の提示順の影響は,. として採点を受けたOrder1,Order2の有効点よ. ける6名の演技者の有効点の合計点の分析で5%. り,それぞれ5%水準で有意に低い値であった.. 水準で有意となり,Tab1e11のチーム得点ではさ. このことは,第1演技者として演技を行なうより,. らに改善されて有意な差がなくなった.以上の結. 第3演技者として演技を行なう方がより高い有. 果は,審判団が演技を採点する際に,採点を開始. 効点を得るためには有利であることをあらわし ており,試技順の操作が特定の演技者の採点に 影響を与える可能性があることを示している.. ームの演技者の採点に影響があることを示唆して. するときのチームの試技順により,それ以降のチ いる.しかし,本研究においては,どのような試. これは,同一の演技者が演技を行なう場合,チ ームの前半に演技を行なうより,チームの後半 に演技を行なう方が有効点を上げるために有利で. 技順の呈示順序がそれ以降のチームの演技者の採. あるという,ScheerとAnsorge(1975).7),An−. 算出法の正当性を示している.つまり,チーム得. sorgeら(1978)8〕,Willsonら(1976)9〕の報告,. 点として各チームの6名の演技者の有効点の上位. および,チームにおける第1演技者の有効点は,. 点に影響を与えるのかは,明らかにすることがで きなかった.. また,上記の結果はチーム得点の. 5名の得点を合計する採点方法が,試技順の呈示. そのチームの基準的な得点となるために有効点が. 順序による影響を減少させることがわかり,採点. 低く抑えられる傾向にあるという,Scheerと. 規則の適正さが確認された.. Ansorge(1980)3〕,Ha廿1ey−O. brien(1983)4〕,. 塚脇(1984)5〕らの報告と一致している.. 本研究において用いた演技者は競技力が高く,. チーム内において競技力ρ差が少ないものであっ. また,試技1頂の操作がチーム得点に与える影響. た.したがって,今後,競技力の低いチーム,お. については,TabIe3,Tab1e1O,Tab1e11より, 各審判貝の採点における6名の演技者の合計点と,. よび,チーム内での演技者の競技力に差のあるチ. ームについての検討が必要である.また,採点の. 各審判団の有効点,そしてチーム得点の3つのど. 信頼性を向上させるために,試技順の操作による. の段階においても,有意な影響はなかった.. 演技の有効点への影響要因の検討が必要である.. 以上のことから,チーム選手権における演技の. 一32一.

(7) 早稲田大学人問科学研究. 第2巻第1号. 1989. 1980.. ま. と. め. 4). 1.本研究の目的は,男子体操競技のチーム選手. 権における試技順の操作が,採点規則に従って. 6). B,C,Fと6名の演技者の合計点におい. なかった.各審判団はATHLETE3のOrder3. 8). of. Judges. of. Expectations. Physical. Natu一. on. the. Perfomance&Res.. 9). 10). Judgi㎎.. of. AdYance. Gymnastics,C,C.Thomas:Spring−. field,1976.pp151−166− H㎜sicker,P.,&Loken,N.:The Objectivity of Judging at the National Collegiate Ath−. letic 11). Association. Gymnastic. Meet,Res.. Faulkner,J.,&Loken,N.:0bjectivity. of. Jud−. ging at the National Collegiate Athletic Association G皿mastic Meet:A Ten−Year Follow−up Study.Res.Quart.,33−3:465−. がって,戦術としてのチーム内の試技順の操作. 466.1962. 12). 13). 果は無いものと考えられた.今後,採点の信頼. 河野信弘:体操競技審判に関する一考察.順 天堂大学体育学都紀要,6:41−44.1963. Bosco,J.S.1Reseach and Fitness in Gymnas−. tics.Modem 14). GW㎜ast,4:28,Nov,1968−. Johnson,M.:Objectivity. of. Judging. at. the. Nationa1Collgiate Athletic Association GWmastic Meet:A Twenty−Year Follow−. 与える要因について,さらに調査する必要があ. up. ると考えられる. 15). <謝辞〉本研究の実施にあたり,ご協力をいた. だいた日本体操協会審判部,研究部の先生方に深. Study.Res.Quart,42:454−455.1971.. Sa1mela,J.H.:Gyrmastic. JudginglA. plex. Information. Processing. (W11o. s. Over. Putting. One. On. Com・. Task,Or. W11o?).Inter−. nationa1Gymnast:54−56,Jme,1978・ 16). 甚なる謝意を表します.. s. of. Qua前.,22:423−426.1951.. 点には影響を及ぽさないことがわかった.した. 性を向上させるために,演技の有効点へ影響を. G〕㎜nastic. SALMELA,J.M.(Ed),The. Study. 効点に影響を与える可能牲はあるが,チーム得. 性は考えられるが,チーム得点を向上させる効. Expectations. Orde.Res.Quart.,49−41399−. Willson,V.E:Judging. IN. 4.これらのことから,本研究においては,チー. は,特定の演技者の有効点に影響を与える可能. by. 405.1978,. 点においては差はみられなかった.. ム選手権における演技の試技順が,演技者の有. Induced. Within−Team. において,Order1,0rder2と比較して明らかに. けるチーム得点,および,6名の演技者の合計. Ansorge,C.J.,etal:BiasinJudgingWomen. Gmnastics. 低い有効点を示していた.また,各試技順にお. Salmela,J.H.:GyImastic. Complex. Infomlation. Judging:Pa廿II. Processing. A. Task,Or. (W,o s Putting One Over On Who?). Intemational Gymnast:62−63,July三1978。. 参考文献 17). RI.G.:Code of Points,The 1985 edition, Artistic G皿mastic for Men.FI.G、,1985一. 金子明友:技術の進歩と採点の原理.日本体 操協会研究部報,1114−8.1966.. 18). 日本体操協会1採点規則男子1985年度版.日. Landers,D.,:A Gymnastic. 本体操協会,1985.. Judging.International. Induced. Rati㎎s. 有効点は,演技者3において明らかな差がみら れたが,その他の演技者については差はみられ. Scheer,J.K.,&Ansorge,C.J.:Expectations. in the of Ne−. Quaれ.,46−41463−470.1975.. 3.各試技順における各審判団の演技者に対する. 3). Scheer,J.K.,&Ansorge,C.J.:Effect. ral1y. おいては差はみられなかった.. 2). 杜.東京,1984,pp166−177− Scheer,J.K.:Effect of Placement. Res.Qua竹.,44−1179−85.1973, 7). われたが,ATHLETEA,D,Eとチーム得点に. 1). 塚脇伸作1試合に臨んでのコンディショニ ングと戦術.浅見俊雄他(編),現代体. Order of Competition on Scores braska High School Students,. 2.各審判団における演技者の宥効点は,ATH− て,各試技順の提示順序の影響から,差があら. Female. 育・スポーツ体系第18巻体操・ダンス,講談. 戦術としての試技順の操作を行なうことの効果. LETE. brien,S.J、:Coachin9㎞e. pp370−380一 5). 算出されたチーム得点に与える影響を検証し, を明らかにすることであった.. Haれ1ey・0. Gymnast.C.C.Thomas:Springfie1d,1984.. Sep,1970、. in. Gymnast:TS1−2,Oct,. 一33一. Review. of. Research. on. Judging.J.O.H.P.E.R.=85−88,.

(8)

参照

関連したドキュメント

このように資本主義経済における競争の作用を二つに分けたうえで, 『資本

〇新 新型 型コ コロ ロナ ナウ ウイ イル ルス ス感 感染 染症 症の の流 流行 行が が結 結核 核診 診療 療に に与 与え える る影 影響 響に

運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故時に必要な操作は,中央制御室にて実施可

項目 評価条件 最確条件 評価設定の考え方 運転員等操作時間に与える影響 評価項目パラメータに与える影響. 原子炉初期温度

検討対象は、 RCCV とする。比較する応答結果については、応力に与える影響を概略的 に評価するために適していると考えられる変位とする。

however ,soci al l yanxi ouspar t i ci pant snegat i vel yi nt er pr et edt hebehavi oroft heaudi ence.Fur t her ,i twassuggest ed t hathi ghsoci alanxi et ypar t i ci pant sf el

加速局面における走速度(上図) ,ピッチ(中図) ,ストライド(下図)の変化 ●は Fast 群を,△は Slow 群を示す. *:Fast 群と Slow

損失時間にも影響が生じている.これらの影響は,交 差点構造や交錯の状況によって異なると考えられるが,