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Academic year: 2022

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直結 4 形スラブ軌道区間における効果的な長波長通り整備手法の確立

JR西日本 正会員 ○長谷川 仁志 JR西日本 正会員 鷹崎 徹 JR西日本 正会員 井手 剛

はじめに

スラブ軌道における長波長通り整正を行う場合、直結8形レール締結装置区間(以下「直8区間」とする)では、MTT を改 造したスラブライナーにより整備を進めているものの、直結4形レール締結装置区間(以下「直4区間」とする)では、人力整備 が基本である上に整備困難の要因となる構造上の課題もあることから、整備延長、改善効果いずれも直8区間と比較すると 立ち遅れている。 本研究では、構造上移動制約が厳しい直4区間について、軌道スラブ横移動により効果的に長波長通り 整正を行う手法について検討を行い、施工を実施し、その効果を確認したので報告する。

1.乗心地改善の課題

直4区間では、ばね受台の出し入れによる調整量とばね受台の大小の入れ替えによる調整 量を合わせても、通り方向の調整量は±6mm しかない。また山陽新幹線開業時には、現代的 な長波長軌道整備の考え方が確立されていなかったため、長波長整正が施されていないこと に加えて、すでにレール位置が偏り、整正のために移動したい側への調整量が残っていない 場合が多い(写真-1)。

2.施工方法の検討 (1) 試行箇所の選定

今回は、直4区間において整備困難箇所から 1 箇所を選定し、これをモデル箇所として効果的な施工方法の検討を行った。

モデル箇所の整備前の軌道状態は、40m 弦通り狂いが最大 5.4mm、200m 区間 40m 弦通りσが 2.40mm、乗心地レベルが 92.1dB であった。

(2) 施工方法の選別

以下に示す①~③の施工方法についてコスト及び工期の観点より検討することとした。

①移動制約を受容し長い延長を整正する方法

②調整量を拡大することのできるタイプレート式の改良形締結装置による方法

③軌道スラブ移動により移動制約点を解消する方法 これらの施工方法を比較した結果、モデ

ル箇所では、軌道スラブ横移動工法が最 も適しているものと考え、この方法を適用 した(表-1)。

3.軌道スラブ横移動工法の検討 (1) 仮こう上、横移動実施の工夫点

①L形キャッチ製作

軌道スラブ新設工事にならい、スラブ保

持ボルトにより軌道スラブこう上を行うと、CA 層に保持ボルト先端が食込み、横移動を阻害する恐れがある。このため、軌道 スラブを外縁からこう上、保持する L 形キャッチを製作した(写真-2)。L形キャッチは軌道スラブ左右外縁の合計6点で軌道 スラブを支え、スラブ保持ボルトと同じようにねじ切り式で高さの調整が可能な構造である。同時にL形キャッチによりこう上し たまま横移動させるために、L形キャッチの下部は敷鉄板2枚の間に丸鋼を介在させて支持する形とした。なお、軌道スラブ キーワード スラブ軌道、直結4形レール締結装置区間、軌道スラブ横移動工法、L 形キャッチ、移動防止金具

連絡先 〒754-0002 山口県山口市小郡下郷 1357 西日本旅客鉄道株式会社 小郡新幹線保線区 TEL083-972-5375 写真-1 ばね受台の状態

表-1 各施工方法の事前評価(想定値)

工法 施工内容 施工人工 コスト 工期 総合評価

移動制約を受容し

長延長を整正 スラブ通り整正 1km 72 2,269千円 6日 × 改良形締結装置

により調整量拡大

締結装置交換(通り直し用) 10m 締結装置交換(取付用) 38m 取付のための軌道整備 72m

スラブ通り整正 115m

30 2,760千円 5日

軌道スラブ横移動 スラブ移動 2枚

スラブ通り整正 115m 25 1,266千円 3日 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑479‑

Ⅳ‑241

(2)

1 枚当たりの重量は約 5 トンであるので、L形キャッチは1箇所あたり1トン以上の耐荷重 性能があることを確認している。

② 前日までの準備作業による本作業時間の確保

当日のL形キャッチのセットや横移動作業に十分な作業時間を確保するため、前日ま での準備作業で軌道スラブ側面のCA層をスラブ内側に 80mm 全縁撤去した。

③CA 層復旧(樹脂注入)時のスラブ保持ボルトの使用

CA 層復旧はポリウレタン系樹脂を使用することとした。樹脂の注入は、通常の額縁補 修同様に型枠組みにより行うが、型枠の設置にL形キャッチが支障することとなる。よって、

このときには、軌道スラブの保持をスラブ保持ボルトに切り替え、L形キャッチは撤去する こととした。

(2)不測の事態への対応

①準備作業後の軌道スラブ移動防止

準備作業においてCA層の一部を撤去したことから、本作業までの間に軌道スラブの移 動が生じないように、移動防止金具を軌道スラブの4隅に取り付けた(写真-3)。

4.軌道スラブ移動工法の施工結果

以上の検討結果を踏まえて、準備作業および本施工を実施した(表-2)。概ね計画ど おりの工程で作業を行なうことができた。

施工前後の 40m 弦通り狂い値のチャートを図-3に示す。こ れより整備後の軌道状態は、大幅に改善しており、当初の目的 である直4区間の効果的な長波長通り整正を行うことができた と考えている。

5.今後に向けた検討課題

①施工コストの削減

今回は、軌道スラブと CA 層の縁切りのために仮こう上を行っ たが、その結果、樹脂注入が必要となり、工事費を見ても材料 費が約 40%を占めることとなった。工法としての汎用化のためには、

更にコスト削減を図る必要があり、仮こう上作業の見直しによる材料 費の低減等を検討する必要がある。

②横移動手段の改良

今回は、トンネル中央通路側への横移動であったため、トラック ジャッキの反力をトンネル側壁側より取ることが可能であった。しか し、移動方向が逆向きの場合、トラックジャッキの反力を取る場所が なく、簡単には横移動を行うことができない。よって、L形キャッチの ローラー部分の改良等により、人力での横移動を可能にする等の反 力を要しない方法とする必要がある。

③CA 層の既補修箇所での施工方法

すでに樹脂注入による補修を行っている軌道スラブについては、CA 層

と軌道スラブが容易に縁切れしないことが予想されるため、別途縁切り方法を検討する必要がある。

おわりに

本研究により、移動制約箇所を含む直4区間における、軌道スラブ横移動工法による長波長通り整備手法を検証、実施し、

良好な結果を得た。今後は、この工法の深度化を図り、お客様に満足いただける快適なサービスの提供に寄与したい。

写真-3 移動防止金具取付け状態 写真-2 L形キャッチ取付け状態

表-2 施工工程表

0 1 2 3 4 5

跡作業、仕上がり検測等 線路閉鎖時間

時間

型枠取付、樹脂注入 養生

基面整正

軌道スラブ仮こう上(縁切れ確認)

軌道スラブ横移動

軌道スラブ本こう上(樹脂注入の隙間確保)

準備作業、突起部CAモルタルはつり等 L型キャッチ、保持ボルト取付

作業内容

実績 計画

表-3 施工前後の軌道状態 施工前 施工後 40m通り最大値 5.40mm 1.50mm

40m通りσ 2.40mm 1.06mm 乗心地レベル 92.1dB 86.7dB

-6 -4 -2 0 2 4 6

919k585m 919k605m 919k625m 919k645m 919k665m 919k685m

弦通り量(mm 施工前

施工後

軌道スラブ移動

図-3 施工前後の 40m 弦通り波形 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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参照

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