本論文 『ラ トヴィア語の動詞接頭辞付加 一
全文
(2) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). 経 由せず に基動詞 を p F V化 してい るこ とを明 らかにす る。. ぶ) と名詞 の指小形 を比較 し、アスペ ク トと感情的側 面のつ なが りを明 らかにす る。 品詞. ud ie. ‑ 動詞 と名詞 の指小形 は動作や ものの " 小 ささ" を示す一方で、話者 の は異なるものの 、pa. 主観 的評価 を表 出す る点で共通 してい る。感情的側 面の表 出に使 用場面 の制約 が あるゆ え. St. に、言語文化論 で批判 され ることも両者 に共通 してい る。. 第 5章 では、基動詞 と接頭辞動詞 、同 じ接頭辞 を持つ異 な る基動詞 、異 な る接頭辞 を持. ign. つ同 じ基動詞 がテ キス トや発話 で用 い られ るこ とで接頭辞 の意味が顕在化す る場 面 を分析. re. し、 コ ミュニケー シ ョンにお ける接頭辞 の役割 を論 じる。 特 に類 義要素 の追加 を含 む言 い 直 しといった話 し言葉 に特有 の現象 に見 られ る接頭辞動詞 の分析 か ら、発話 の流れ の中の. Fo. 接頭辞付加や " 接頭辞 の選択 " とい う新 しい接頭辞研 究の様相 を明 らか にす る。 第 6章では、本論文の結語 と今後の課題 を述べ る。. ity. of. 参考資料 には、借用語 の基動詞 と接頭辞動詞 をま とめた 『 借用語 の動詞 リス ト』がある。. rs. 本論文の各章 は、本論文筆者 に よる以下の論 文が元 となってい る。. ive. 第 2章. 「 ラ トゲィア語 のアスペ ク ト対立 とその表現 の選択性 」『語学研究所論集』東京 :東京外. Un. 国語大学語学研 究所, No. 1 5 ,201 0,1 31 ‑ 1 50.. yo. 第 3章. ok. 「ラ トヴィア語 のアスペ ク トペ アの形成一外来語起源 の動詞 i ns t a l e tを例 に」『コーパスに. (T. 基づ く言語学教育研 究報告』東京 :東京外 国語大学 , No. 6, 201 0,1 5‑ 26,. Pe r f e k t i vi ec i t va l odui z c e l s me snO‑ ve r bipl a 菖 s a zi paSl T dz e kl os .和訳 :「 マス メデ ィアにお けるパ. sis. 動詞 」 V a T dsu nt ape ‑ 1 t s yanas a s pe k t i .1 5( 1 ) .Li e pa j a:Li e pa j a s ー フェクテ イヴの借用語 の no‑. 1 ,1 00‑ 1 08. Uni ve r s i t a t e ,201. he. sHu mani t ar i ae ・ 1 0・Kl a i pe da :Kl a i pe dos Pr e f i xa t i on off o r e i gn‑ o r l gl n Ve r bsi n La t vi n・Re a. lT. a s , 201 1 ,21 6‑ 23 3. uni ve r s i t e t. Pr i e d e kl ik豆i n t e ma c i ona l i s mu" na c i ona l i z 豆 c i j a s "1 i dz e kl i .和訳 :「 国際的借用語 の "民族化 ". Do c. to. ra. al o da:no z l ‑ meu nf o r ma.T e or l j au nme t o dol o il j al at v i e s v uv al o dni e c t ba. の手段 としての接頭辞」 v. Ri ga: La t vi j a sUni ve r s i t a t e ,2 01 3, 45‑ 56. 第 4章. La t vi a na t t e nua t i v epa‑ ve r bsi nc ompa r i s onwi t hdi mi nut i ve s . Con t e mpor ryAppr a oa c he st oBa l t i c Li ngui s t i c s . Ams t e r d a m: Mo u t ondeGr uye r .( 出版 予定). 2. s). 少 し' 'の動作 を示す接頭辞 pa ‑ の付加 され た動詞 ( 本論 文では pa ‑ 動詞 と呼 第 4章では、".
(3) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). 第 5章. s). pr i e de kl aa kt ual i z a ci j as a zi 申.和訳 :「コ ミュニケー シ ョンにお ける接頭辞 の顕在化」 V i a. die. Sc i e nt i ar u m・1I Ve nt s pi l s ,Li e pa j a:Ve nt s pi l sAugs t s kol a ,L ie pa j asUni ve r s i t a t e ,201 2,1 37‑ 1 48. Pr i e d叫 ve r bir un豆:l a bo菖 a nas uns i non T mupi e vi e no萱 na a sa s pe kt i .和訳 :「 発話 における接頭辞. St u. r dsu nt ape ‑ t ' ‑ s v ana sa s pe k t i .1 6( 1 ) .Li e pa j a: 動詞一言い直 しと類義語の追加 の観点か ら」 va. gn. Li e pa j a sUni ve r s i t a t e ,201 2,901 98.. Fo re i. 0. 2. ラ トヴイア語. l a t vi e 菖 uva l oda) は、 リ トアニア語 とともに印欧語族 のバル ト語派 に属す ラ トヴィア語 (. る言語である。バル ト 3 国の ラ トヴィア共和国の唯一の国語であ り、国内の総人 口約 221 万人の うち、人 口の約 59. 4%を占めるラ トヴィア人の母語 であ り、国内に暮 らす 37. 3%の ロ. of. シア人、 ウクライナ人、ベ ラルー シ人な どに も解 され る1。. ity. 書記法 にはラテ ン文字を使用 し、一部 の文字に弁別記号 を用いるo豆や eな ど母音 の長音 を示す長音記号 ( I )が母音字の上 につ くほか、善や 主な どチ ェコ語 で用い られ るハ‑チェク ( . ) を持っ子音字が存在す る.. rs. ( ー )や 、1や pな ど口蓋化子音 を示す弁別記号. ive. 音声的特徴 では、母音 に長音 と単音 の区別 があ り、アクセ ン トは固定ア クセ ン トで語頭. Un. の音節 に置かれ る。長母音や二重母音 には、3種類 の音節イ ン トネー シ ョンが存在す る。 屈折語 に属 し、性 ・数 ・格 に応 じた名詞 、形容詞 の語形変化がある。性 は男性 と女性 、 数 は単数 と複数、格 は主格、属格 、与格、対格 、具格、位格 、呼格の 7つの格 がある。. yo. 冠詞 は存在 しない。 「 定 ・不定」の意味カテ ゴ リーを部分的に示すのは、形容詞 の限定語. ok. 尾 と非限定語尾 の対立である。 限定語尾 は、修飾す る語 の示す事物が特定で既知 の事物や. (T. a r k弧agr 豆 ma t a「 赤い本」に対 して、限定語尾の S a r ka na 概念 を示す。例 えば、非限定語尾 の s. 特定の赤い本」、または絶滅危倶種 を掲載す る 「レッ ドデー タブ ック」 を指す. gr 豆 ma t aは 「. is. 動詞 には人称、数、時制 に応 じた語形変化がある。 1人称 と 2人称では単数 と複数 の区別. es. パー フェク ト) があるが、3人称では単数 と複数 の区別 はない。時制 は単純時制 と複合時制 (. Th. に分かれ 、それ ぞれ に現在、過去、未来がある。分詞 には、性 ・数 ・格 に応 じた語形 を持 つ能動現在分詞 、能動過去分詞 、受動現在分詞 、受動過去分詞 、性 ・数 にのみ応 じた語形. al. を持つ半分詞 、性 ・数 ・格 に応 じた語形 を持たない副分詞 、対格補語分詞 がある。. Do. ct. or. 法 には、直説法、命令法、義務法、伝 聞法、願望法の 5つの法がある。 統語的特徴では、一般的な語順 は SVO である。語順 はテーマ ・レ‑マの表示 にも関与 し、. 旧情報が文頭 に、新情報が文末 に置かれ るのが普通である。 語嚢的特徴 では、印欧語族 に共通の語嚢 ( uguns 「 火」、di e vs 「 神」 ) を残す ほか、 ドイツ. 請 ( s pe l e t「 遊ぶ」、t a nt e「 おば」) や 、 ロシア語 を中心 とした東 ス ラヴ語 ( gr 豆 ma t a「 本」、. lラ トヴイア共和国中央統計局 ( La t v i j a sRe p u bl i k a sCe n t r 舶ss t a t i s t i k a sp a r y a l d e )( ht t p: / / c s b. g o v . l v )の 2011 年 6月現在 のデー タによるものであ るD. 3.
(4) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). ba z n T c a「 教会 」)、現在 のラ トヴィア地域の先住民 リーブ人 の リープ語や 、エ ス トニア語 な 用語嚢がある。. ud ie. 方言は大きく 3 つに区分 され る。 首都 リーガを含む北東部 を中心 とし、標準語 の基盤 と. s). どの ウラル語族 フィン ・ウゴル語派の言語 ( va i「 か ( 疑問の助詞)」、ma j a「 家」 )か らの借. なってい る中部方言 、バル ト海沿岸地域 の南西部 で話 され 、語末母音 の消失 で性 の区別 と. St. 格表示 を失 った リープ方言 、 ロシアやベ ラルー シ、 リ トアニア と国境 を接 した ラ トヴィア. re. ign. 東部 で話 され、「 ラ トガ レ語」と個別 の言語 として称 され ることがある高地方言 に分かれ る。. 0 . 3. 本論文の問題意識. Fo. 本論文には大 きく分 けて 2 つの問題意識がある。 それ は、言語活動 としての接頭辞付加 と言語文化論 ( 言語の規範 と実態)である。" 言語活動 としての接頭辞付加 vs言語文化論". of. の構 図の中で、接頭辞付加 を言語文化論 か らの制限や その根拠 と対照 させ るこ とで、 これ. ive. 0 . 3. 1 . 言語活動 としての接頭辞付加. rs. ity. までに見 えて こなかった活動的な性格 を持つ接頭辞付加 の様相 を明 らかにす る。. 本論文では、語形成論 の観 点か ら見た接頭辞付加 の活動的側 面、接頭辞 を通 じた話者 の. Un. 主観 的側 面の表示である感情的側 面、その感情的側面 と関係 した表現的側 面 に着 目し、接. ok. yo. 頭辞付加 をひ とつの言語活動 として捉 える。. (T. 0. 3. 1 . 1 . 接頭辞付加 の活動的側面 本論文の考察対象 は動詞接頭辞 であ るが、本論文の題 目を動詞接頭秤 " 付加 ' 'と したの. is. は、接頭辞付加 が話者 を中心に据 えた言語活動 である と本論文筆者 が考 えるか らである。. es. ロ シ ア 語 の 語 形 成 論 を論 じる Ze ms ka j a は 、 モ ノ グ ラ フ 『活 動 と して の 語 形 成. Th. ( Sl ovoobr a zo va ni eka kd e j a t e l ' nos t ' )』 の中で、語形成 の過程 に 「 活動的性格 ( de j a t e l ' nos t ny j xa r a k t e r )」があることを強調 している。 その語 の使用頻度 に関わ らず、 「 我 々の眼前 で生 ま. Do ct. or al. れ る語 は、人間による一定の現実 の捉 え方、生活 の現象 に対す る社会的、個人的評価 を反 映 してい る」 とし、語形成 の動的側 面の研 究が、人間による世界像 の構成 の され方 を理解. す る手掛か りになるとしてい る ( Ze ms ka j a2009,2 01 ) . 語形成論 では、語 とその派生語 の形態的 ・意味的関連性 をモチベー シ ョン とい う。語形. 成論や語嚢論、辞書論か ら独 立 した言語学の下位分野 としてモチベー シ ョン論 ( mot i vol o gy) を打 ち出 した、同 じくロシアの Bl i novaは、話者がいかに語 のモチベーシ ョンの関係 をた ど ms ka j aの語形成論の考え方 るかについての機能的側面を分析 してい る ( Bl no i va201 0) ze o. と共通す るのは、言語研究において話者 を中心に据 えた人間中心主義 ( 弧t r OpOC e nt r i s m)で. 4.
(5) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). ある。 究対象 として選んだきっかけがある。 ラ トゲィア語では語の第一音節 にアクセ ン トが置か. St ud ie. れ る。語頭 に位置す る接頭辞は常にアクセ ン トを持つ ことか ら、話者が接頭辞 を強調 して. s). 言語活動 として接頭辞付加 を捉える Ze ms ka j aに本論文筆者が賛同す るのは、接頭辞を研. 発音 しているよ うに聞こえ、聴覚印象の点で耳に残 りやすい。また書記の点でも接頭辞は、 元の動詞 との境界の区別が容易である。接頭辞動詞 を見聞き してきた‑外国人 として、本. 論文筆者は 「どうしてこの人はこの場面で この接頭辞 を使 ったのか、他 の接頭辞ではない. gn. のか、また逆にどうして接頭辞を使わないのか」 とい う素朴な疑問を抱いてきた。. re i. 本論文で考察す る接頭辞動詞 には、伝統的な文法書や辞書には記述 されてお らず、後述 す るよ うに規範主義の立場か らは好ま しくない とされ るものがある。 しか し規範主義の立 ミュニケーシ ョンのために言語活動 を営む人間の存在がある。. Fo. 場か らみて逸脱 とされ る言語現象の背景には、規範か逸脱か どうかを気 にす る以前に、 コ. of. 本論文の第 3 章で扱 う借用語の動詞‑の接頭辞付加 には、特に活動的性格が強い。話者. y. はコミュニケーシ ョン上の必要に応 じて、借用語の動詞に接頭辞を付加す る。 この 「 付加」. rs it. とい う過程 に着 目した際、ラ トゲィア語本来の接頭辞動詞は誰がいつ付加 して派生 した語 なのか とい う問題はな く、" 気がついた ら"接頭辞付加 をされているのが普通である。" 既. ive. 製品"とも言えるこのよ うな動詞 に比べ、借用語の動詞への接頭辞付加 で派生 した語には、 話者 による " 手作 り感"が強 く、接頭辞付加 自体‑の話者 の関与はよ り大きい。 ラ トヴィ. Un. ア語本来の接頭辞動詞は辞書に登録 され、その言語の語嚢体系に組み込まれているのに対 し、借用語の接頭辞動詞は辞書に登録 されていない ことが多 く、新語の性格が強い。 この. yo. 新語の性格 によ り、動詞によっては具体的に誰がいっその動詞 を派生 させたのかを特定す. ok. ることも可能である ( 本論文 3. 3. 参照) 0. (T. 動詞‑の接頭辞付加 は、元の動詞 に空間的意味やアスペ ク ト的意味、その他の語嚢的意 味を与える。本論文では、アスペ ク ト対革が相対的であ り、その表示 も選択的であること. is. ( 第 2章 と第 3章)、借用語の動詞‑の接頭辞付加 ( 第 3章)、あるアスペ ク ト的意味が動. he s. 作や動作に関係す る事象に対す る話者の主観的評価 を示す こと ( 第 4章)、 さらには話者が 空間的意味やアスペ ク ト的意味を言い直 した り、繰 り返す ことで、話者の思考の過程 を反. lT. 映 した り、確実にコミュニケーシ ョンを しよ うとす る意志の表れで もある、言い直 しや類 義要素の追加 において、接頭辞の選択をしているともいえる側面を論 じる ( 第 5章) 0. Do ct. or a. よって、接頭辞付加は、新たな語の形成や接頭辞の選択 ( 接頭辞 を付加す るか否か、付. 加す るのであればどの接頭辞かト といった、話者の関与を要求す る言語活動である。. 0. 3. 1 . 2. 言語 における感情的側面. 言語は人間の意思疎通に欠かせない道具である。言語学が創始 されて以来、その研究の 中心 となってきたのは、まざれ もな く文法である。一方でコミュニケーシ ョンには情報の. 5.
(6) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). 伝達や意思の表示 の他 に、感情の表示 もある。. St ud ie. い。例 えばバイイ は、文の意味に表象 を構成す る要素 と、表象 を受 ける主体の心的操作の. s). 言語形式が表す内容 に、主観的なもの と客観的な ものの対立があることは言われて久 し 要素 とい う二つの要素 をそれぞれ事理 ( di c t um) と様態 ( modus ) としてい る ( バイイ 1 970, 27‑ 28)。 バイイが ここで言 う modusには、現代の言語学で一般 に理解 され るモダ リテ ィ、. つま り事実 に対す る話者 の希望や推測、蓋然性 といった判断 も含 まれ る と考 え られ る。 こ c t u m と mo dusに似た二項対立は、 よ り文体論 に根 ざしたバイイの著作 『 言語活動 と生 の di. ign. Lel a nga gee tl avi e )』で示 されている、事実判断 ( j u ge me n tdef a i t ) と価値判断 Gu ge me nt 宿 (. or e. deva l e ur )、知的な ( i nt e l l e c t ue l ) もの と情的な ( a fe c t i f ,e mo t i f ) もの、客観的な ( ob j e c t i f ). もの と主観 的 な ( s ub j e c t i f ) もの とい った対立の構 図 に も見 る ことがで きる ( Ba l l y1 952,. of F. 1 7‑ 20) 。しか し人は完全 に知的な形で思考や話 をす ることは決 してない とし、知的要素 と情 Ba l l y1 951 ,7) 的要素が思考 において 占める割合 は変化 しうるとも指摘 してい る ( 0. 言語 にお ける感情的側面の存在 を認 め、言語研究にお ける感情性 の重要性 を強調す る研. ity. 究者 に共通 してい るのは、人間が感情 を持 ち、 コ ミュニケー シ ョンにおいて必ず何 らかの a pi e ns「 知恵 のある人」としてだけではな く、Homo 心的状態 にあるとい う前提である。Homos. rs. 感情のある人」 として も人間を捉 え、言語 にお ける感情性 をカテ ゴ リー化す るロ s e n t i e ns 「. ive. xovs ki jもまた、「 感情は人間の情念 の表れであ り、人間の生活のすべての分野 を貫 シアの 畠a. Un. 5a xovs ki j201 0,8, 1 3) としてい るo き、言語 のすべての レベル において反映 され る」 (. 感情は語嚢論 、形態論 、統語論、また音韻論 な ど言語学が対象 としうる多 くの分野にお いて表現 され る。例 えば、語嚢論では個 々の語嚢や、類義語 同士の相対的な感情性 の度合. yo. い、形態論 では語形変化や接辞の有無、統語論では語順、音韻論 ではイ ン トネーシ ョンや. ok. 調音のヴァ リアン トな どが挙げ られ る。. (T. 文法研究を中心 としてきた言語学では、感情 を周辺的で二義的な事象 として扱 うことが 多い。 また、感情 はこ とばで命名 されないほ ど無数 に及ぶ上、実在 として捉 えに くく、客. is. r a va novは ロシア語 における " 少 し" とい う動作 を示す縮減アスペ ク 観的記述が難 しい.Ka. es. が付加 された po一 動詞の研究において、主観的評価 の言語化の難 しさについ トの接頭辞 pO‑. Th. mod usの意味2には暖昧 さや、単純で理性的な言語 に翻訳 できない特徴があ り、po‑ 動 て、 「. 詞 の縮減の意味に理性的な定義 を与 えよ うと試み るたびに、何かを必然的に失 って しま う。. al. 縮減の po一 動詞の意味の説明を試み ることは、 音楽 を言語 に訳そ うとす るこ とと同 じである」. Do ct. or. と述べている ( Ka r a v nov2 a 00 4,1 1 1 ) o 一般に言語 における感情の研究 においては、2つ以上の言語形式 を比較 した感情的側面の. 有標 ・無標 の概念が用い られ ることが多い。例 えば名詞 の指小形が感情的側面 を持っ こと は、指小辞 を持たない元の名詞 との比較によ り際立っ。 1年 3月に起 きた福 島第一原発事故後 の原子力保安院 日本語の例で も説明を しよ う。 201. の会見で広報担 当者 が 「 放射能の値が再び上昇 して しまいま した」 と発言 した。 この言葉 2 Ka r a va no vの理解では、modu sは話者の主観的評価 といった感情 を示す。. 6.
(7) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). だけを聞いて、意識的 にもしくは無意識 にこの広報担 当者 に対す る何 らかの肯定的、また. die. 理的反応 を聞 く人 にもた らす可能性があることを説 明す るには、 「 放射能 の値が再び上昇 し. s). は否 定的な心理的反応 が聞き手に生 じたか も しれない。肯定的 ・否定的 とい う両極端 の心 放射能 の値 の上昇が起 きた」 とい ま した」 とい う文 と比較 をす る必要がある。 どち らも 「. St u. う事実 を伝 えてい る点では共通 している。 しか し、実際の会見で用い られた この完 了のア スペ ク ト ( 少な くともアスペ ク ト論 ではそ う説 明 され るだ ろ う) を示す 「しま う」 は論理. 的 な完了 とい う説 明を飛び超 え、 ここではコン トロールができない こと、予想外 の ことが. gn. 起 きて しまった こと、事実に対す る残念 さといった話者 の主観的な態度 を示す。主観 的評. Fo re i. 価 を表示す ることは、出来事 に対す る自身の心理的な関与 を表 明す るこ とで もある。 それ に対 して 「 上昇 しま した」 には 自身 の心理的な関与 は見 られず 、そ こには事実の確認 しか ない。. 広報担 当者以前 に、一人の人間 としての感 情が示 され た この発言 を受 け止 めた我 々の評. of. 価 は様 々であろ う。本来 コン トロールす るべ き立場 の者が 「 上昇 して しまいま した」 とい. ity. うことで コン トロール できない ことを認 めるとは何事か、事態 を他人事 と考 えてい るのか といった否 定的な評価 があるだろ う。一方で、単なる事実の報告 である 「 上昇 しま した」. rs. とい う文 と比較 して、過酷な現実 を無味乾燥 な形で国民に突 きつ けず、 自身の出来事‑の. ive. 心理 的な関与 を、感情的側 面 を持つ言語形式 を通 じて表明す るこ とで、国民 と同 じ立場 に. Un. 立 ってい るとい う肯定的な評価 もあるだろ う。. しか し私達 は言語研 究か ら離れ た言語生活 において、実現 され なか った言語形式 ( この. yo. 場合 「 上昇 しま した」) をわ ざわ ざ持 ち出 して比較 ・考察 をす ることはな く、実現 された言 語形式 をあ りのままに受 け止 めるものであることは、断 ってお く必要があ 8 30. ok. 本論文の第 4章では、名詞 の指小形 とラ トヴィア語 の pa 一 動詞 を相関 させ、アスペ ク トと. (T. e mot i o na l i t y, 話者 の主観 的評価 の結 びつ きを示す。言語 にお ける感 情的側 面 は、感 情性 ( e mo t i vi t y)や情緒性 ( a fe c t i vi t y) と呼ばれ ることが多いが、指小形 の研究 においては、指小. is. s ub' l e kt i vna j aoc e n ka ) と呼ぶ ことか ら、本 形 の言語形式 に現れ る感情的側面 を主観的評価 (. es. 論文で も接頭辞付加 の感情的側面 を、話者 の主観的評価 が表出 され る側 面 と理解す る。. Th. この主観的評価 は話者 の肯定的 ・否 定的な評価 であ り、その表示 をす るために言語形式 を整 えるには、話者 の関与が必要 である。本研 究で論 じる動詞接頭辞付加 はその過程であ. Do. ct. or. al. り、話者 の感情 を示す側面を持った言語活動 として捉 えられ る。. これ に対 して、本論文の第 5章で論 じる言い直 しは、一般 の言語生活 において よく観 察 され、言 い直 さ れる言語形式 と言 い直す言語形式 の両方 が同時に実現す る現象であるC言語 の感情的側 面 に関連 した 日本 2年 4月 23日に京都 で少年 の運転す る車 が登校 中の児童 の列 に突 っ込 ん 語 の言 い直 しの例 を挙 げ る。201 だ事件 で、事故後 の現場検証 の際の少年 らの様子 を近所 の人が 「 ‑ただ立 って るだけで、突 っ立 って るだ けで‑」 とテ レビのイ ンタ ビューで証言 してい る。 「 立 ってい る」 ことに変 わ りはないが、 「 突 っ立 ってい る」 と言 い直 しを行 うことで、何 も しない少年 らに対す る否 定的な態度 を表 明 し、彼 らを非難 してい るC. 3. 7.
(8) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). 0 . 3. 1 . 3 . 言語 における表現的側面. die. e xpr e s s i vi t y) と呼ばれ る。ラ トヴィアで発行 さ 言語 にお ける表現的側面は一般 に表現性 (. s). 感情的側面 と常に密接 に関わる側面には、言語 にお ける表現的側面がある。. va l odni e c T ba spa m at t e r mi nus ka i dr o j o主 豆V豆 r dn T c a ) 』( 以下 『言 れ た 『言語学基本用語詳解辞典 (. St u. 語学用語辞典』) によれ ば、表現性 とは 「 テキス トや個別 の言語単位 の表現力や働 きかける. 力」であ り、 「 文体的色調や感情的内容、肯定的 ・否定的評価や形象性 といった コノテー シ 『言語学用語辞典』2007,1 03) 0 ョンが言語単位 に表現性 を与える」 としてい る (. gn. 人 間は話す こと、書 くことで 自己の思考、意志、感情 を表現 し、同様 に聞 くこと、読む. Fo re i. ことで他者 の思考、意志、感情 を受容す る。 ことばの他 に も、手、肩や胸 な どのジェスチ ャーや姿勢、顔 の表情 によって意志や感情 を示す。言語学が研究の対象 とし得 るのは、 こ とばによる表現であ り、 ことばによる表現を研 究対象 とす るのは文体論である。. 表現的 とされ る言語形式には、何 らかの感情的なニュアンスが含まれてい ることが多い。. of. ki na ‑ Fe dor ukが、感情的言語手段 には常に表現性 があるが、表現的な言語手段 に しか し Gal. ity. は感情性があるとは限 らない としてい るよ うに ( Ga l ki n a ‑ Fe dor uk1 958 ,1 07)、表現性 を生む 文体的色調や形象性 が必ず しも感情性 の表 出であるわけではない。 なぜ な ら言語 において. rs. は、情報伝達や意志、感情の表示 だけでな く、 い かに受容者 である聞 き手や読み手 に注意. ive. を喚起 させ、印象づ け、作用 して、 これ らを表示す るか も重要だか らである。. Un. ある言語形式 にお ける表現性 の有無 もまた、他 の言語形式 と比較 して際立っ相対的な概 念 として捉 える とわか りやすい。例 えば 『言語学用語辞典』 にお ける 「 表現性」の説 明に a t vi e t i s「 ラ トヴィア人 」 と比較 した l a t vi s「 ラ トヴィア人 」 ( 後 は表現性 を持っ例 として、l. yo. 者 は古風 で詩的)、動詞命令形 pi e c e l i e t i e s !「 起 きて くだ さい !」 と比較 した命令 の意味の動. ok. e c e l t i e s !「 起床 !」 ( 後者 は厳 しい 口調)、Est one z i n u「 私はそれ を知 らない」 と 詞不定形 pi a ie st oz i nu!「 私がそんなこと知 るか !」 ( 後者 は反語)が挙げ られ、それぞれ 比較 した K豆l. (T. 『言語学用語辞典』2007,1 04) 後者 の語や文が表現的であるとされている (. is. 感情的側面が表現的側面 と結びついている点では、本論文の第 4 章のアスペ ク トと感情. es. 的側 面の関わ りの分析 における pa 一 動詞 が挙げ られ る。いかに受容者の印象 に残 り、作用す. Th. るのか とい う点では、第 3章の借用語 の接頭辞動詞 の新語的性格、第 5章の接頭辞 の顕在 化 にお ける接頭辞付加 の表現的側 面が見 られ る。接頭辞付加 の表現的側 面 に も、話者 の感. al. 情 の表 出や 、受容者 に印象づける言語使用 とい う点で話者 の関与 を要求す る活動的性格 が. Do. ct. or. 見 られ る。. 0 . 3. 2. 言語文化論. 一 規範 と実態. 言語 には規範 が存在す る一方 で、逸 脱 とみな され るもの も必ず並行 して存在す る。規範 か らの逸脱 を言語研 究 において どの よ うに扱 うか、規範 か らの逸脱 を言語研 究 において周 e iは、 辺的なもの、取 るに足 らない現象 として軽視 して もよいのか。 フランス語 を例 に Fr. 8.
(9) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). い くつかの " 欲求"で言語の変化の理 由 と、逸脱の背景 を説 明 してい る ( Fr e i1 9 8 2) 0. St ud ie. v a l o d a sk u l 佃r a )である。学問 としてのラ トゲィア語学 を社会や個人 に対峠 させ 語文化論 (. s). ラ トヴィア語 の規範 と実態 を考察す る上で、規範 と逸脱 の衝突 を提示 して くれ るのが言 た時、直訳す る ところの 「ことばの文化、 こ とばを育む こと」 である言語文化論 は、非常 に重要な役割 を果 た してきた. この言語文化論 は、 ラ トヴィア語学の中で常 に一定の位 置 を占め、 「 論」 と呼ばれ るにふ さわ しい、ラ トヴィア語学の下位分野 の一つである。. 文 『言語学用語辞典』では、言語文化論 に 2つ の説 明がな され てい る。第 1の説明には 「. gn. 化的価値 としての言語、言語 の発展 において、一定の期間にお ける言語 の使用 を研 究 し、. ei. 言語体系の発展 の法則 と傾 向を考察 した上で、表現 の明瞭 さと豊か さ、言語 の長期的発展. Fo r. を促 し、言語 の よ り良い使用のための推奨例 ( 見本) を考案す る言語学 の下位分野」 とあ り、第 2 の説明には 「 民族の共通語 としての標 準語 を育み、正書法 と正音法 の規範 に応 じ た維持 と、具体的なコ ミュニケー シ ョンの状況 に即 した表現手段 を うま く選 んだ使用」 と. (. of. 0 0 7 ,41 9 ) 。 この第 2の説 明は、広 くことばのエチケ ッ トや こ と ある 『言語学用語辞典』2. rs ity. ばの技巧 と捉 え られ る。本論文で扱 う言語文化論 の定義は、言語学の下位分野 とされ る第 1 の説明に相 当す るものである。. 言語文化論で論 じられ る言語現象 は、文法か ら文体、また適切 な言葉 の使用 を推奨す る. Un ive. ものな ど、言葉 に関わ る現象すべてに及 んでい る。 文法 においては、名詞 の曲用や動詞 の 活用 に見 られ る文法形式の ヴァ リアン トといった形態的問題 か ら、語順 な どの統語的問題 な どがある。語嚢 においては、語 の意味変化や翻訳借用 な どが挙 げ られ る。 「 言語の よ り良い使用のための推奨例 ( 見本)を考案」 とい う前述 の 『言語学用語辞典』. yo. の第 1 の説明であるよ うに、指摘 され る現象 がいかなるものであれ 、それ には言語学者 が. ok. 推奨案が必ず付 随 され る. トー ンの違 い こそ あるものの、p a r e i z i「 正用」、v e l a ms「 望ま し. (T. 豆 b d t「こ うあるべ き」の よ うな評価が言語学者 の推奨案 に、n e p a r e i z i「 誤用」、n e d r ks t い」、j 「こ うあってはいけない」、n e v e l m S「 a 望 ま しくない」、l i c k s「 余計」、n e v a j a d z T g s「 不必要」. is. の よ うな評価 が、逸脱 とされ る現象 に対 して下 されている。. es. この よ うな言語学者 によるやや 主観 的で感情的な指摘 は、規範主義 を取 らない一部 の言. Th. s b e 唱Sは ビュー リズムを論 じる 語学者 に よって近年懐疑的に見 られ始 めている。例 えば Ⅶi 中で、借用語や外 国語 らしい ( ラ トヴィア語 らしくない)表現‑ の否定的 な評価や言語文. Ve i s b e r g s2 0 0 6) 化論 の権威主義 に言語学的な根拠 がない ことを指摘 してい る (. al. .. or. それ で も言語文化論 は、ラ トヴィア言語学 の下位分野 として常 に一定の地位 を保 ち、役. Do. ct. 割 を果た してきた。その背景 には、 これ までの他民族 による支配や 、国内の社会言語学的 状況 を鑑 みた際 に、言葉 と民族 のアイデ ンテ ィテ ィーの結びつ きが ラ トヴィア人 に とって 今 日まで非常に密 であった ことがある。. 9 6 5年か らソ連崩壊後 の 1 9 9 3年 まで毎年 1巻ずつ発刊 され た 『ラ トヴィア ソ連時代の 1 La t v i e 主 uv a l o d a sk u l t Q r a sj a u t a j u mi )』、また 2 0 0 5年か ら現在 は 『言語 の 語言語文化の諸問題 ( 実態 一考察 と推奨 ( va l o d a sp r a k s e: v e r o j u miu ni e t e i k u mi ) 』 と名前 を変 えた言語文化論 に関. 9.
(10) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). す る雑誌が年に 1巻発刊 されている。 ラ トヴィア語学の研究者の多 くが、このような言語. Fr e i ma neの 『 理論的見地か ら見た言語文化論 ( va l oda skul t Br at e or e t i s k豆s ka t T j um豆 )』 は、 Fr e i ma ne ラ トヴィア語の言語文化論を体系的にまとめた今 日まで唯一のモ ノグラフである (. St ud. 1 993) 。言語学における言語文化論の位置づけや他国における言語文化論 の概要 を論 じ、ラ. トヴィア語学における音声論、形態論、統語論、語嚢論な どすべての分野で観察 され る規 範か らの逸脱 を整理 している。. ign. 国営ラジオでは 5分程度の言語文化の番組 『 私たちの言語 ( M由uva l oda )』が放送 されて. re. いた ( 2003 ‑ 2006年 、2007‑ 20 09年) 。巷の書店にもラ トヴィア語の文法書の横 に言語文化論 の本が並ぶ。電子媒体の新聞記事の読者 のコメン ト欄 には、記者や政治家の使 う語嚢や表. Fo. 現に対す る批判やその擁護 といった言語使用を巡 る議論がなされ ることも珍 しくない。 ラ トゲィア語学の祖 J 豆 ni sEndz e l T ns( 1 873‑1 961 ) は、多大な言語学の成果の傍 らで、言. of. 語文化論のエ ッセイを数多 く残 しているO彼 の著書 『 様 々な言葉の誤 り ( Da 皇 a da sva l oda s. rs ity. kl Gda s )』は、1 93 2年の第 1版が改訂 されないまま 1 994年 に第 5版が出ているが、Gr T s l eは. その前書きで以下のことを述べている。「( Endz e 血 Sは)望ま しくない借用語や、翻訳借用、 正 しくない新語やその他の不要な要素の代わ りになるべき、ラ トゲィア語的で、標準語的. ive. に正 しいものを提示す る。なぜな らこれ らは表現面における民族的な特徴や規則 を薄め、. Un. 標準語の質を低下 させ、気づかぬ うちに母語 を破滅‑ と導 き、言語 とともに民族 も滅 ぼ し て しま うか らである」 ( Gr T s l e1 99 4,5‑ 6) .. " 言語 は民族そのものであ り、民族は言語そのものである" とい う言説は、ラ トヴイア. ok yo. 国内の民族構成や、民族や国 としてのアイデンテ ィテ ィーの探求 といった社会的な状況 を 考慮に入れ ると、21世紀の今 日もアクチュアルなものである。 このよ うに、言語文化論は. (T. これまでにラ トヴィア社会に根づき、言語学 と社会、そ して言語学者や文化人のよ うな言 語意識の高い人 とそ うでない人をつなぐ役割 を果た してきた4。. is. その一方で、言語文化論で指摘 され る批判対象 とそれに必ず付随す る推奨例 は、言語意. es. 識 の高い者 と低い者が平行 して存在 し、同 じ言語 を話す集団内で各人が異なる言語感覚 を. Th. 持 っているとい う当た り前の事実を浮き彫 りに している。 本論文で扱 う動詞の接頭辞付加 も例外ではな く、言語文化論の批判対象 として しば しば. al. 扱われてきた。 ラ トヴィア語の言語文化論 で最 も批判 され る接頭辞付加 は、基動詞の借用. ct. or. 語 を pFV の動詞5に してアスペ ク ト対立を示す接頭辞付加で、余剰な pFV 化の接頭辞付加. Do. ie s). 文化論を扱 う雑誌 に一度は寄稿 している。. とされてきた ( oz ol a1 98 4, Ka l na1 988, Fr e i ma ne1 993,Ku碓i s2006,20 09 ほか) O どの批判にも共通す る根拠は、元の動詞の語嚢的意味に PFV の意味が認 め られ ることで、. 接頭辞付加 によりその動詞の PFV の意味を強調す ることが不要であることである。 この現 象の影響 として指摘 され るのは‥語の形態的構造が元々似 てお り、なおかつ接頭辞 自体に 4 言語の規範主義 ( p r e s k r i p t f v i s ms )と社会に関す る考察は、St r e l e v i c a ‑ 0軸 aを参照 されたい ( S t r e l e v i c a ‑ 0軸a 201 2)0 5 ァスペ ク トに関す る詳 しい概念は本論文の第 2章で論 じる。. 1 0.
(11) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). も形態的、意味的類似性や対応 関係 が認 め られ 、形態的 にアスペ ク トを表示す るロシア語. 接頭辞 pa‑ が 付加 された動詞の使用 も制限 されている ( Fr e i ma ne1 993,1 58) 。. gn. 0. 4. 本論文 の学術的意義. St ud. また言語文化論 では、" 少 し" とい う動作の少量性 を示 し、不真面 目な態度 を示す とされ る. re i. 本論文の学術的意義 を 4つ挙 げる。. Fo. アスペ ク ト論‑の新 しい視座. これ まで記述 されて こなかった対立アスペ ク トの意味対立やその相対性、 タクシスや時. of. 間補語 といった統語的特徴 を第 2 章で明 らかに示 した点で、 ラ トヴィア語のアスペ ク ト論. y. に大 きな貢献 となった。. rs it. 第 3章では、第 2章の結果 を元に、言語文化論で批判 されてきた借用語の動詞の PFV 化 をアスペ ク ト論 か ら、 よ り言語の実態 に即 して再解釈 を行 った。 アスペ ク ト論 の先行研究. ive. では借用語の動詞の PFV 化 の広範 な記述が皆無であったため、アスペ ク ト論 に最新 の記述 とデー タを提供 した。 アスペ ク ト対立 を形成す る接頭辞 には、接頭辞 自体の意味 も関係 し. Un. 0‑ がアスペ ク ト対立の てい る。他の接頭辞 と比較 をす ることで、特 に付加率の高い接頭辞 n 表示 に特化 してい るとい う特徴 も明 らかに した。. (T ok y. o. ここでは " 少 し" )が主観的評価 に関わってい 第 4章では、個別的なアスペ ク トの意味 ( ることを接頭辞 pa‑を例 に示 し、感情的側面や表現的側面 といった新たな視座 をアスペ ク ト 論 に加 えた。. 第 5章で広 く論 じた言い直 しの現象の中には、アスペ ク ト的意味の言い直 しがある。 こ. es is. の こ とは、話者 のアスペ ク トの視点が最初 か ら強 く定まった ものでな く、あ くまで調整 が. Th. 可能 な概念であることを示唆 してい る。 借用語 の動詞 の接頭辞付加 の記述. Do ct. or al. これまでの借用語 の動詞の接頭辞付加 の記述 は、言語文化論 による PFV 化の接頭辞付加. の批判がほ とん どで、アスペ ク ト論や語形成論 では、接頭辞付加 のメカニズムや傾 向は特 に記述 されて こなかった。本論文では、言語文化論 に一石 を投ず る形で借用語 の動詞 の接. 頭辞付加 を論 じたが、数量的な傾 向や類推 とい う接頭辞付加 のメカニズムを豊富な用例 を 用 いて論 じることで、アスペ ク ト論や語形成論 のみな らず 、語嚢論 にも大 きな貢献 となっ た。 『 新聞図書館』で得 られた用例や 1 230の借用語の動詞 とその接頭辞動詞 を挙 げた参考資. 料 『 借用語 の動詞 リス ト』 は、活動的性格 の強い ラ トヴイア語の借用語 の動詞 の接頭辞付. ll. ie. るべ きであるとい う、言語文化論 によく見 られ る感情的な理 由もこの批判 に関係 している。. s). の接頭辞動詞 のモデルの影響 である ( Oz ol a1 98 4,1 27‑ 1 28) 。ロシア語 の影響は必然的に避 け.
(12) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). 加 の最新 の動向を知 る上で貴重 な資料である。例 えば この 『借用語の動詞 リス ト』の接頭 辞 ご との列 を見 ることで、本論文では詳 しく論 じなかった各接頭辞 の語形成論や意味論 、. ie. s). 語嚢論 の記述 に大 き く役立つ。. St ud. 数量デー タに基づいた接頭辞研究. ラ トヴィア語学では、計量的手法 を取 り入れた言語研 究は この数年 で盛 んにな り始 めた. ばか りであ 8 6。 計量的手法には、大量のデー タをもとに数値化 された客観的な分析 がで き. gn. る長所がある反面、デー タの偏 りや収集方法 の問題 は もちろんの こと、客観化 しに くい意. re i. 味の分析や、話者の意図や文脈 といった コ ミュニケーシ ョンを考慮 にいれた言語の分析 は、 数量デー タか らは必ず しも見 えて こない とい う短所 もある。. Fo. 本論文の第 3 章の倍用語 の動詞の接頭辞付加 では、技術的 に可能な範囲で、また論 旨に 応 じて必要な範 囲で数量デー タを利用 した。接頭辞 の中には特 に付加 されやす い接頭辞が. of. st a l t ma ne1 958 d,58)、『新 聞図書館』 の大量 あることはアスペ ク ト論で指摘 されてきたが (. y. のデー タに基づいた、借用語 の動詞 にお ける接頭辞動詞 の割合や、各接頭辞 の付加率 とい. rs it. った数量的な調査 は、アスペ ク ト論、語形成論や語嚢論 の接頭辞研 究 にはなかった研究成. ive. 果である。. 文脈や コミュニケーシ ョンの問題 を考慮 に入れた接頭辞研 究. Un. 文脈や コ ミュニケー シ ョンの問題 を考慮 に入れた接頭辞研究 は、数量デー タの利用 の短 所 を補 う。. (T ok y. o. 接頭辞が関わるアスペ ク ト論 と語形成論 では、接頭辞 ( 動詞) を文脈 か ら切 り離 した記 本 述 が多かった。例 えば従来のアスペ ク ト対立の研究では、PFV とイ ンバー フェクテ イヴ ( 論 文では以降 I PFV) それぞれ の用例 を異なるテキス トか ら使用 した り、接頭辞 の意味研究 では文脈 を考慮 に入れない記述が大半であった. ( 『 標準語文法』 1 959、S t a l t m肌eな ど) 0. es is. 本論文では、アスペ ク ト対立が顕在化 しやすい用例 、同 じテ キス ト内や 同 じ文 中、似 た テ キス ト間でアスペ ク ト対立が見 られ る用例 を示 した。 また類推 の原則 といった接頭辞動. Th. 詞 が生 まれ るメカニズムや、テキス トの校閲 とい う "人 の手"で削除 され る接頭辞や 、 コ ミュニケー シ ョンにおいて接頭辞 ( 動詞) が顕在化す る過程 を文脈 とともに分析す ること. Do ct. or al. で、言語活動 としての接頭辞付加 の様相 を浮かび上が らせ た。 コ ミュニケー シ ョンの道具 としての言語 の研 究では、書かれ た言葉 と話 され た言葉 の両. 方 を研究す る必要がある。 しか しラ トヴィア語学では書かれた言葉 の研 究が中心であ り、. 話 された言葉 の研 究はいまだに少 ない。その点で、接頭辞動詞 が関与す る言い直 しや類義 要素の追加 の用例 自体が話 され た言葉 の貴重 な言語資料であ り、 この よ うな現象 にお ける. 接頭辞動詞 の研究は、" 発話の中の接頭辞付加 " とい う全 く新 しい視座 を提供す る。. 6. ラ トヴィア語学にお けるコーパス開発や コーパス言語学の現状 については、Gr Gz i t i sを参照 されたい. ( Gr 缶 z T t i s2 01 2 ) 0. 1 2.
(13) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). 0. 5. 本論文の言語資料. アの言語 は、通時的に観察 され る変化や共時的に観察 され る ヴァ リアン トの文法的 ・語嚢 。. これ は、マスメデ ィアの言語 が文学作品や事務文書 とい. St ud. 的研 究に使用 され るこ とが多い. った他の文体 に比べて、社会生活 にお ける変化 にい ち早 く反応す る ( Lok ma ne200 9a , 4) こ とと関係 してい る。 ラ トヴィア語 と同様 に政治体制 ・社会体制 の変化 を経験 した ロシア語. gn. で も、マスメデ ィアの言語 に影響 を及 ぼす言語外 の要 因 として、政治体制やマスメデ ィア. (. re i. の機能の変化、言論 の 自由や報道 の 自由、メデ ィア間での競合 な どが挙 げ られ る 『ロシア 語文体論百科事典 ( st i l i s t i e e s ki ji nc i kl ope di e e s ki js l o va r ' r us s kogoj a z yka )』2003,664‑ 675) .. Fo. マスメデ ィアは社会全体 に向け られてい る点で も重要である。 これ には情報化社会 とい った現代社会 の特質が背景 にあるo Ka l na e a によれば、 「 文学作品が教養 と芸術的素養 のあ. of. る読者 に向け られ るエ リー ト的な言語変種 であるのに対 し、マスメデ ィアの言語 は、それ. y. が紙媒体か電子媒体かに関わ らず 、多種多様 な内容 の時事 を社会 の各構成員 のために提示. rs it. す る、規範化 された言語の中で も最 も民主主義的な変種」である ( Ka lna e a2009,59) 。社会 全体 に向け られ てい るが故 に、マスメデ ィアの言語 は 「 言語使用者 が気づかない うちに、. ive. Lokma ne20 09a ,4) 0 社会 の書 き言葉、話 し言葉 に も影響 を及 ぼす 」 (. Un. マスメデ ィアは言語 の標準化や規範 の強化 において重要な役割 を果たす ことも事実であ るが、ラ トヴィア語 の言語文化論 では、有力紙 の新聞記事のテキス トや新聞記者 の言語使 用 が批判 され ることが珍 しくない。 しか し上で述べた よ うに、マスメデ ィアの本質や 、そ. ok yo. こで使 われ る言語 を取 り巻 く社会的要因を鑑み る と、言語文化論でマスメデ ィアの言語7が 批判対象 とされ てきた ことは、決 して驚 くべ きことではない。 ソ連 か らの独立後唯一の国. (T. 語 であるラ トヴィア語 の法的地位 を高め、その使用 を保障す る点においては、政治家や言 語学者 の力 が注 がれ一定の成果 が上がってい ることは事実である。 しか し言語文化論 にお. Th es is. いてマスメデ ィアの言語が批判 され ること、書かれ た言葉 による媒体ではテ キス トの校閲 5. 3. を参照)があるにも関わ らず、言語文化論で批判 され る現象がマスメデ ィア ( 本論文 3.. の言語 に見 られ ることか ら、言語の使用 の "中身"、つま り言語 内の文法的 ・語嚢的側面に は言語学者たちの " 上か らの"圧力が完全 には及んでいない ことがわか る。. al. 以上の こ とか ら、マスメデ ィア を言語資料 に選ぶ ことで、規範 と実態 の衝 突や揺れ とい. or. った言語使用 の現実 を見 ることがで き、 尚且つ今後 の言語使用 の展望 についての示唆 も得. ct. られ る可能性 がある。本論文の研 究対象 に照 らせ ば、マスメデ ィアの言語 は、言語 文化論. Do. ie. マスメデ ィアは 日々刻 々 と変わ る現代社会 を反映す るが、言語研究においてマ スメデ ィ. s). 本論文では新 聞や雑誌、ラジオ といったマスメデ ィアを主な言語素材 としてい る。. で批判 され る一部 の借用語 の接頭辞動詞や新語 としての借用語 の接頭辞動詞 の用例 を収集 し分析す るのに適 した言語資料である。 マスメデ ィアには様 々な媒体がある.本論文で主に使用す る各媒体の特徴 を説明す るO,. 7L i e paは、政治体制 の転換 に関連付 けて、ラ. トヴイアにお けるマスメデ ィアの社会的役割や、マスメデ ィ アの言語 の特徴 を包括的に研 究 している ( Li e pa201 1 ) o. 1 3.
(14) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). 0. 5. 1 . 新聞. St ud ie. 新聞のよ うな書かれ た言葉 としてのマスメデ ィアの言語 は、文学作品や事務文書、学術. s). 本論文の第 2章か ら第 4章で使用す る例文の多 くは、新聞か ら収集 した ものである。. La t vi e 蓋 u va l oda s 文書 の よ うに一つ の文体 と して成 り立つ のか. 『ラ トヴィア語 文体論 ( s t i l i t i s ka ) 』でな され ている社会機能 に応 じた文体の分類 では、学術 ・一般教養 の文体、事務. 文書の文体、会話の文体、文学作品の文体 と並んで、社会 ・政治評論 ( publ i c i s t i ka ) の文体 Roz e nbe 唱S1 995,8 2‑ 8 3) 。一方で Lokma neは 「 今 日のマスメデ ィアの言 が挙 げ られている (. ign. 語 は、文学作品の言語 と同 じよ うに、民族の言語 ( na c i o n豆 1 豆v a l oda ) の総体である」 と結論. re. づ けつつ も、マスメデ ィアの言語 には文体的に多様 な要素が混 ざ り合 ってお り、マスメデ Lok m a ne2009b,1 1 1 1 2)o ィアの言語 を個別 の文体 として特徴づ けることは難 しい としてい る (. Fo. 事実 を客観的 に述べ る伝達機 能 の側 面が強い 「 報道文 」 は新聞特有の文体 として代表的 であるが、それ はあ くまで一部 にす ぎない。報道文のほか、評論 、小説 、イ ンタ ビュー、. of. テ レビ番組や映画のあ らす じ紹介 、アネ ク ドー ト、情報、星座 占い、料理 の レシ ピ、法令. ity. 文書、国会の速記録 な ど、テ キス トのジャンル は多岐 にわた り、それぞれ に特徴 がある。 例 えば、政治批判や文学作品や映画 の レビューでは記者 の主観的な批評 が述べ られ 、イ ン. Un ive rs. タ ビューでは話 され た言葉 がある程度体現 され る。新 聞記事で用い られ る語嚢 も、文体的 に格調高い ものか ら、俗語 とされ るもの、高度 な専門用語 と極 めて多彩 である。 新 聞 自体 に も一般 紙 だ けで はな く、 ラ トヴイア政府 官報 『ラ トヴィア報 知 ( La t ijaLS v ve s t ne s i s )』のよ うに法令文書や国会の速記録 、政治社会評論 を中心に掲載す る新 聞か ら、. いわゆるタブ ロイ ド紙 のよ うな娯楽的性格 の新聞まで様 々な性格がある。. yo. 以上 の ことか ら、特定の文体 に偏 らずバ ランスの とれ た多様 なテキス トのジャンル を持. (T ok. つ新 聞は、 ラ トヴイア語 の接頭辞動詞 を広 く研 究す る上でふ さわ しい言語資料 である。 ま た以下で述べ るよ うに、用例収集 の点で も新聞は最適 な言語資料である。 用例収集 には、ラ トヴィアの I T 企業 Lu r s of t 社 の 『新 聞図書館 ( La i kr a ks t uBi bl i ot e ka ) 』. is. ( ht t p: 〟www. ne ws . l v) を使用 した。 これは国内の新聞や雑誌の記事 のデー タベースである。. es. 98 6年 ( 年間を通 じて 1記事 のみ登録) 『新聞図書館』に登録 されてい る最 も古い記事は 1. Th. のものであるが、 1 997年後半か らは毎月 1万本 の記事が登録 され てお り、2000年か らは毎 2年 7月末までに 『 新 聞図書館』に登 月 2万か ら 3万 5000本の記事が登録 されている。201. or al. 録 されている記事数 は計 480万本 に及ぶo このデー タベースには語の検索機能 がある。その拡張検索機能 では語 の検索の他 、年月. Do. ct. 日の設定 による特定の時間幅での検索、記事の筆者名 による検索、特定の新 聞や雑誌 内の. みでの検 索が可能である。 これ によ り、ある語 の登場時期や年毎の使用 の推移 、同 じ出来. 事 についての記事間の比較、ある人物 の発言の引用 が各記事で どの よ うに反映 され るかの 比較 、ある記事が他 の新聞で どの よ うに転用 され るの かの比較ができ、記事間の接頭辞 の 使用の有無や接頭辞の相違 を確認 できる利点がある。 0)、英語 ( メデ ィア数 2) のメデ ィア もある 『新聞図書館』 には ロシア語 ( メデ ィア数 1. 1 4.
(15) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). が、本論文で扱 うのは新聞や雑誌、イ ンターネ ッ トサイ トを含む電子媒体 に特化 した 64の. s). 1に 『 新聞図書館』におけるラ トヴィア語のメデ ィア ラ トゲィア語 のメデ ィアである。表 0‑. St u. I :『 新聞図書館』 にお けるラ トゲィア語 のメデ ィアの内訳 表 0‑. 最終確認 目 :201 2年 8月 2 日 メデ ィア数. 新聞 ( 全国紙). 1 3. ( 首都 リーガ). Fo re i. 2. gn. メデ ィア形態. die. 数 の内訳 をま とめる。. ( 地方紙). 22. 雑誌. 1 4. 電子媒体 に特化 したメデ ィア. rs. ity. of. 1 3. 0. 5. 2. ラジオ. ive. 本論文の言語資料 として、ラ トヴィア国営 ラジオ 『ラ トヴィア ラジオ ( La t vi j asRa di o) 』. Un. の第 1チャンネル の番組 『よ りよく生 きるには ( K豆I a ba kdz T vot ?)』を使用 した. この番組 は同チャンネル の看板的な番組 であ り、平 日の朝 9時か ら 1 1時まで生放送 され る。一 目あ. yo. た り 2 本 のテーマか ら構成 され、家庭料理や人間関係 といった身近な生活の問題 か ら、時 事 を含む社会問題や学術的内容 な どの多種多様 な話題 で、各テーマ ごとにゲス トを招 く。. ok. 司会者 1人に対 し、年齢、職業の異なるゲス トが各回 1人か ら 3人ほ ど出演 し、 リスナ. (T. ーか らの電話質問 も行 われ る。 この番組 は、約 2 年分 のアーカイブが同 ラジオ局のホーム ページ上 ( ht t p: / / l r l . l a t vi j a s r a di o. l v/ zi na s / gOOOOl . ht m) でダ ウンロー ドで きる.. is. 2本 、201 0年分 を計 80 本論文では言語資料 として 2008年分 を計 9本、2009年分 を計 1. es. 本、2011年分 を計 49本、合計 1 50本 を試聴 した。最 も古い番組 の放送 日時は 2008年 11月. Th. 6 日、最 も新 しい番組 の放送 日時は 201 1年 1 2月 6 日である。 2年 1月 1 9 日にこの番組 のスタジオを見学 させ ていただいた。このス 本論文筆者 は、201. al. タジオ見学によ り、会話 の内容 が ある程度設定 されてい る とはい え、出演者 があ らか じめ. or. 用意 されたテキス トを読んでいない こと、また制作側 が会話 の臨場感 を重視 してい るため、. Do. ct. 内容 の打 ち合 わせ を敢 えて綿密 には行 っていない こ とを確認 した。 年齢や職業が多様 なゲス トには、人前で話す ことの慣れ の差や よどみな く自分 の考 えを 明確 に伝 える技術 の差 が明 らかにあ る。 しか し番組 の司会者 、ゲス ト、また電話 による リ 「 えーっ と」 「 まあ」 「 なん と スナーの発話 には ポーズはもちろんのこと、 日本語 の 「 あー 」‑. その」の よ うな言い よどみの際のつなぎの語 であるフィラー ( f i l l e r )や冗長語が い うか」 「 多用 され る。. 1 5.
(16) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). ラジオ番組 のスタジオ とい う空間、 リスナーの存在 の意識、 ある程度 の緊張感 といった で話 されてい る言葉 は 自然会話 をある程度体現 してい る。特 に言い間違 いの訂正、 よ り適. die. 切 な語や表現‑の言い換 えや類義要素の追加 といった、本論文の第 5 章で論 じる 「 言い直. s). 非 日常的 な コミュニケーシ ョンの要素はあるものの、格式ぼ らない番組 の性格 か ら、そ こ. St u. し」 とい う話 された言葉 に特有の現象 を観察す る上で豊富な用例 を得 ることができる。 よ って このラジオ番組 は、新聞や雑誌 といった書かれ た言葉 とは異な る様相 を持 った話 され. Fo re i. gn. た言葉 を広 く捉 えるのに適 した言語資料である。. 0 . 5 . 3 . その他 の言語資料. 『新聞図書館』 に登録 されていないが、国内で人気 の高い男性誌 『クラブ ( Kl ubs ) 』、女 sa nt a) 』な どの雑誌 を 目視 し、本論文に関連す る用例 を収集 した。 性誌 『サ ンタ (. of. 豆 ni sKl T dz e j s( 1 91 41 2000) の 『人間の子 ( Ci l ve kabe ms )』 ( 1 95 6) と I ma nt s 文学作品では J. ity. 1 933‑ 201 3)の短編集 『ェ ピファニー ( Epi r a ni j a s )』( 1 971 )を使用 したO特に Zi e doni s zi e do ni s(. は言葉遊びに長 けた詩人 として知 られ、接辞を使 った造語や言葉遊びを多用す る。. rs. e( ht t p: 〟www. googl e. l v) で 『 新 聞図書館』では見つか らない用例 は、検索エ ンジン Googl. ive. 収集 した。 ジャンルは主にブ ログである。. Un. ラ トゲィア民謡 とラ トヴィア語の合唱曲の用例 もそれぞれ 1例 ある0 また本論文筆者の作例が 4例、本論文筆者個人に宛 て られた E メール と置 き書 きのメモ. (T. 0. 6. 本論文の用例. ok. yo. か らの用例が 4例、本論文筆者が ラ トヴィアで耳に した用例が 2例ずつ ある。. es. is. 用例収集 の方法や問題点を整理す る。また参考資料 『 借用語の動詞 リス ト』を説 明す る。. Th. 0 . 6 . 1 . 『新聞図書館』における用例収集 本論文で用い る用例の多 くは 『新聞図書館』内の語 の検索機能 によって収集 した。. al. 検索対象 にアステ リスクをつ けると、最低 で もその部分 まで を含む語形が検索 され る。. or. a e s t「 ちゃん と食べ る」の用例 を検索 したい場合 、pa e d*と検索す る 例 えば第 1変化 の動詞 p. Do. ct. e d( 直説法 3人称現在)、pa e du ( 直説法 1人称現在、1人称過去)、pa e di s( 能動過去 と、pa. 分詞男性 単数)な どの よ うな一連 の変化形が検索 され る。具体的な時制形や分詞形 を検索 したい場合 には、その語形に引用符 " "を付加す るとその語形のみが検索 され る。 借用語の動詞 は第 2変化の活用 タイプに属すため、不定形の語尾‑ tを除いた部分 はすべて の時制 と人称 に共通 し、分詞形や動詞派生の名詞 ( 抽象名詞、動名詞、行為者 を示す名詞) の形成 において も残 る。本論文ではこれ らの語 も数量デー タに含 めた0. 1 6.
(17) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). 否 定辞 ne ‑と義務法 の接頭辞 j 豆 ‑ が付加 され た語形 ( ne e d「 食 べない ( 3人称)」や j 豆 e d「 食 検 索欄 には最大 3, 4語 が入 力可能 で、接頭辞動詞 と他 の接頭辞動詞 、または接頭辞動詞 と. die. 基動詞が同時 に使用 されてい る新 聞記事 を検索す るこ ともできる。. St u. 検 索結果 として提示 され る記事 の基本情報 (日時 、新 聞社 、筆者 ) には、検 索 した語形. とその前後 の文脈 ( 前後最大 で 1 0語程度) も示 され るが、検 索す る語 の使用 が本論 文 の関. Fo re i. gn. 心 に関わ ってい る と判断 され た場合 に記事本文 を閲覧 し、積極的に分析 の対象 とした。. 0. 6. 2. 『新 聞図書館』 の問題 点 と数 量デー タ. 『 新 聞図書館』 は言語研究 のための コーパ スではないため、そ こで得 た数量デー タを扱 う には、語 の検 索システ ムにい くつかの問題 が あることを指摘 しておかな けれ ばな らない。. of. 第 1 の問題 は、検 索す る語 が同 じ記事 中で複数回使用 され てい る可能性 が あることであ. ity. る。 しか し 『新 聞図書館』 では、語 の使用 回数 を特定す るこ とは不 可能 であ り、検 索す る 語 が 1回で も使用 され ていれ ば、その記事 を 1件 として表示す るため、本論 文 で扱 う件数. rs. は、問題 の語 が 1回で も使用 され てい る新 聞記事の数 である。. ive. 第 2 の問題 は、新 聞社 間で記事の転載 が行 われ るこ とがあ り、内容 が全 く同 じ記事 が重. Un. 複 して検索 され て しま う点で ある。 重複す る記事 を検 索対象 か ら外す こ とは技術的 に不可 能 であ る。接頭辞動詞 の件数 が少 ない場合 には記事 の重複 に気づ くこ とがで きるが、用例 が多い場合 には重複 した記事 を見つ けるこ とは難 しいため、重複す る記事 は基本 的 にすべ. yo. て接頭辞動詞 の件数 の総数 に含 まれてい る。. ok. 第 3 の問題 は、品詞 を特定 した検索ができないため、動詞 と関係 のある他 の品詞や全 く. (T. 関係 のない語 も検 索 され る こ とで あ る。 これ は特 に語 が短 い場合 に生 じる。 例 えば動詞. s t opo t「ヒッチハイ クをす る」 を不定形語幹部分 の s t opo*で検 索す る と、s t op ove rとい う英. is. 語 の単語や st o poni 蓋 S( 名字) とい う固有名詞 も検索 され て しま う.また動詞不定形 が pl 豆 not. es. 「 計画す る」 の場合 、" pl 豆 no"の よ うに語幹 を指定す る引用符 に よる検 索で も、同一 の形 を. Th. した他 の品詞 の変化形 が検索 され て しま う。 囲み部分 が本研 究 に必要 な語形 で ある。. al. ' pl a no". Do. ct. or. …pl 豆 no" ̀ pl 豆 nos ". lo s ". 動 詞 planot「 計画す る」 直説法現在 3人 形容詞 pl 豆 ns 「 平 らな」限定形 ・男性 単数対格 、限定形 ・女性 単数対格 動詞 pl 豆 no t「 計画す る」 直説法未来 3人. "p 豆 n. 形容詞 pl 豆 ns 「 平 らな」非限定形 ・男性複数位格 、限定形 ・男性複数対格. …pl 豆 no s ". 名詞 pl 融I S「計画」複数位格. p a pl 豆 no t「 少 し計画す る」の よ うな接頭辞動詞 で も同様 である。 ̀ pa pl 豆 no" 動詞 p 叩1 豆 no t「 少 し計画す る」直説法現在 3人. 1 7. s). べ なけれ ばい けない」) は検 索 していないた め、動詞 の件数 には含 んでいない。.
(18) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). " pa pl 豆 no" 形容詞 pa pl an s「 結構平 らな」 限定形 ・男性 単数対格 、男性複 数属格. 動 詞 papl 豆 no t「 少 し計画す る」直説法未来 3人称. St u. " pa pl 豆n os " 形容詞 pa pl 豆 ns 「 平 らな」非 限定形 ・男性複数位 格 、限定形 ・男性複数対格. die. ̀ pa pl 豆 nos ". s). 限定形 ・女性 単数 対格 、女性複数属格. 接頭 辞 のつ い た語 の検 索 で も、他 の語 と語 形 が偶然 一致 して しま うこ とがあ るO 例 えば 借用語 の動詞 k ope t「コピーす る」 に接頭辞 s a ‑ を付加 した s a ko pe t「 た くさん コピーす る」. gn. の用例 を得 るた めに s a kope*で検 索 をす る と s a kop t「 清掃す る」 の行為者名詞 s a kop e j s「 清. Fo re i. 掃人 ( 男性)」や s a kope j a「 清掃人 ( 女性)」の変化形 も検 索 され て しま う.. 検 索 したい語 が動詞 であ るこ とを示す た めに、検 索条件 の s a kope*に も う一字付 け足す こ とに よ り、本研 究 の 目的 と関係 のない語 が検 索 され る可能性 は低 くな る。 この場合 、下線. of. 部 が 引かれ た 5通 りの検索条件 で得 た件数 の総数 を動詞 の件数 と した0. s a kope. 直説法現在 2人称 単数 、3人称. s a kope s *. s a kope s i. 直説 法未 来 2人称 単数. s a kope s. 直説 法未来 3人称. s a kope s i m. 直説 法未来 1人称複数. s a kope 蓋 *. s a kop朗u. rs. ive. 直説 法未来 2人称複数 (ヴァ リア ン ト). Un. s a ko pe s i t , s a ko pe s i e t. ity. " s a kope ". 直説 法未来 1人称 単数. s a kop e t *. s a ko pe t s. 受動過去分詞すべ ての変化形. 願 望法すべ ての変化形. ok. s a ko pe t u. yo. s a ko pe 蓋 na 動名 詞 主格 、お よびその他すべ ての変化形 a. s a ko pe j u. (T. s a kope j*. その他の過去の人称形、能動現在分詞、受動現在分詞すべての変化形. is. s a kope j ‑. 直説 法現在 1人称 単数 、過去 1人称単数. es. しか し上 で挙 げた具体的 な語 形 の指定検 索 を して も、以下 の よ うに関係 のない語 が検 索. Th. され て しま うこ ともあ る。. Do. ct. or. al. " s a kope j u". 動詞 s a k op e t「 た くさん コ ピーす る」直説 法現在 、過去 1. " s a kop e j u". 名詞 s a kope j s「 清掃人 ( 男性 )」単数対格 、複数属格. … s a kope j u ". 名詞 s a k ope j a「 清掃人 ( 女性 )」 単数対格 、複数属格. " sak o pe j i ". 動詞 s a k ope t「 た くさん コピーす る」直説法過去 2. … s a kop e j i ". 名詞 s a k ope j s「 清掃人 ( 男性 )」複数主格. ' s akop e j a ". 動詞 s a k ope t「 た くさん コピーす る」直説法過去 3人. " s a kop e j a ". 名詞 s a k ope j s「 清掃人 ( 男性 )」 単数属格. " s a kope j a ". 名詞 s a k ope j a「 清掃人 ( 女性 )」単数主格. 1 8.
(19) 東京外国語大学博士学位論文 Doctoral thesis (Tokyo University of Foreign Studies). ' s a k o p e j a m" 動詞 s a k o p e t「 た くさん コピーす る」直説 法過去 1人称複数. ud ie. s). " s a k o p e j a m" 名詞 s a k o p e j a「 清掃 人 ( 女性 ) 」複数 与格 この よ うに引用符 をつ けた語形 の指 定検 索 を行 って も研 究 の 目的 と関係 のない語 が検 索 され て しま う場合 には、可能 な限 り文脈 で品詞 を特定 し、関係 の ない用例 は除外 した。数. St. 量デー タに確 実性 がない場合 には、参考 資料 の 『借用語 の動詞 リス ト』 の数 字 の横 に クエ スチ ョンマー クを記 した。. ign. で あ るO再帰要素は再帰 の意 味の他 、接頭辞 とセ ッ トで 第 4の問題 は、動詞 の再帰要素S. re. t r a d a t「 働 く」 に接 頭 辞 i z ‑と再 帰 要 素 が付 加 され た 特 定 の ア スペ ク トも表 すO 例 えば s i z s t r 豆 d 豆 t i e sは、接頭辞動詞 i z s t r 豆 d 豆 t「 作成す る」 に再帰 の意 味が加 わ った 「 作成 され る」 と. Fo. t r a d 豆 t「 働 く」 に 「 十分 な動作 」 を示す接頭辞 i z ‑と再帰要素 のセ い う意 味がある。 しか し s z s t r a d 豆 t i e sには 「 十分 に働 く」 とい う意 味が ある。 ッ トが付加 され た i. of. 1つ の動詞 が どち らの意味 も持 ち うる こ と、また再帰要素 を含 む接頭辞動詞 と含 まない接. ity. 頭 辞動詞 を検 索 システ ムで分 ける こ とは技術 的 に不 可能 で あ るた め、再帰要素 を含 む動詞 も含 まない動詞 も件数 に総計 してい る。. rs. n t e r e s e t「 興 味 を持 たせ る」 の接頭辞動詞 第 5の問題 は、テ キス トの誤植 で あ るO例 えば i. ive. u z i n t e r e s e *を検 索す る と、前置詞 u z「 に」 と i n t e r e s e j o 菖 i e mj a u t a j u mi e m「 興味 を持 たせ る質. Un. z i n t e r e s e j o 鮎mj a u t a j u mi e m「 興 味の ある質 問 に」 も検 問」が分 か ち書 き され ていない誤植 u 索 され た。本論文筆者 は気づいた範 囲で用例 の総数 か ら誤植 を外 した0 以上の よ うに 『新 聞図書館 』 にはい くつ かの技術 的問題 が あ る こ とを踏 ま え、本論 文 で. (T. ok. yo. は技術的 に可能 な限 り正確化 した数 量デー タを使用す る。. 0 . 6 . 3. 参考資料 『 借用語 の動詞 リス ト』. sis. 第 3 章 で扱 う借 用語 の動詞 は、 2008 年 刊行 の収録 語 数 2 万 5000 語 の 『借 用語 辞 典. ( s v e 蓋 v a r d uv a r d n 了 c a )』 か ら 596 の動 詞 を収集 した. さ らに 『ラ トヴィア語 逆 引 き辞 典. he. ( La t ie v 蓋 ui n v e r s 豆v a r d n T c a ) 』 でI e tや 1 0 tで終 わ る借用語 の動詞や 、辞 書 には登録 され てい な. lT. いが 『新 聞図書館 』で基動詞や接頭辞動詞 の使用 が確認 され る計 634 の借用語 の動詞 を本. 論 文筆者 が加 え、計 1230の借 用語 の基動詞 を収集 した。. Do c. to. ra. 縦 の列 には これ ら 1230の基動詞 、横 の列 には 11の接頭辞 が あ り、『新 聞図書館 』 で確 認. され た接頭辞動詞 の件数 が記 され てい る。 『新 聞図書館』 で は確認 されず 、 ラジオ番組 での. 再帰要素 とは、再帰動詞 の形態的標識 ‑ Sである。 これは古い前接 的代名詞 事 s i( s e v i「自分 を」, s e v「自分 )の名残である ( 『標準語文法』 1 959,554)C再帰動詞 は不定形 を含むすべての変化形 において、この形 に」 態的標識 が人称語尾 と一体化 しているため、再帰要素 と呼ぶのが簡便であるc ma c i t「教 える」 とその再帰 動詞 m豆 C 砧e s「勉強す る (‑ 自分 に教 える)」 の直接法現在形 を以下で比較す る。 下線部は各変化形の人称 語尾 である。 1単: m豆 C旦/ m豆 C旦宣 2単: m豆 c i/ma c 主 壁 3単 .複 : mi c a/m豆 C 塾 1複 : ma c 星型/ ma c 亘由 2複 : ma c 毎/m豆 C 型垣 S. 1 9.
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