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Del1は吻側神経組織の発生に必須な細胞外マトリックスタンパク質であり、Ror2経路を介して古典的Wntシグナルを抑制する

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Academic year: 2021

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(1)Title. Author(s). Citation. Issue Date. URL. Anterior neural development requires Del1, a matrix-associated protein that attenuates canonical Wnt signaling via the Ror2 pathway.( Abstract_要旨 ) Takai, Akira. Kyoto University (京都大学). 2011-01-24. http://hdl.handle.net/2433/135377. Right. Type. Textversion. Thesis or Dissertation. none. Kyoto University.

(2) 京都大学 博士(. 医 学. ) 氏 名. 髙 井 啓. Anterior neural development requires Del1, a matrix-associated protein that attenuates canonical Wnt signaling via the Ror2 pathway. 論文題目 (Del1 は吻側神経組織の発生に必須な細胞外マトリックスタンパク質であ り、Ror2 経路を介して古典的 Wnt シグナルを抑制する) (論文内容の要旨) 脊椎動物の発生過程において、初期胚の組織は各種パターン形成シグナルの濃度勾配に より背腹軸と吻尾軸に沿った領域化が行われる。特に中枢神経系の原基である神経板は古 典的 Wnt シグナルによって吻尾軸に沿った領域化が行われ、吻側中枢神経組織の領域決定 においてはこのシグナルの抑制が重要であることが知られている。本研究ではアフリカツ メガエル初期胚をモデル動物とし、吻側神経板に発現する細胞外マトリックスタンパク質 Del1(Developmental endothelial locus-1)が古典的 Wnt シグナルを抑制すること、お よびこの機能が前脳などの吻側中枢神経組織の正常発生に必須であることを明らかにし た。 mRNA の顕微注入法を用いた Del1 の過剰発現実験では、Del1 の機能亢進により頭部組織 の形態的拡大が見られた。逆に、アンチセンスオリゴ核酸法を用いた Del1 の機能阻害実 験では頭部の発生不全が見られた。同様に分子マーカー解析でも、Del1 の機能亢進により 前脳遺伝子の発現領域が拡大し、逆に Del1 の機能阻害によって発現領域の減少が見られ た。これらのことから Del1 は初期胚の吻側中枢神経組織の発生に必須の機能を担うこと が示された。 次に、Del1 による吻側化制御の分子機序を解析し、この Del1 の活性が主として古典的 Wnt シグナルの抑制によるものであることを解明した。胚および外植体を用いた機能亢進 実験で、 Del1 は古典的 Wnt シグナルの活性化による神経板の尾側化に拮抗した。 逆に、 Del1 の機能阻害による表現型(尾側化)は古典的 Wnt シグナルの抑制因子 Dkk1 によって抑制 された。さらに、古典的 Wnt シグナルのレポーターである Topflash ルシフェラーゼを用 いた実験から、 Del1 シグナルは古典的 Wnt 経路の細胞内伝達を抑制することが明らかにな った。これは既知の分泌性の Wnt 抑制因子が Wnt 経路を細胞膜受容体レベル以上で抑制す ることと対照的である。 この特徴を基にさらに分子機序を解析したところ、この Del1 の活性は Ror2 受容体を介 した非古典的 Wnt 経路に依存することが判明した。Del1 による神経板の吻側化は Ror2 の 機能阻害により抑制された。また外植体を用いた実験で、非古典的 Wnt 経路のリガンドは Del1 と相乗的、かつ Ror2 依存的に古典的 Wnt 経路の活性を抑制することが明らかとなっ た。これらの結果から「Del1 による吻側化活性は、非古典的 Wnt 経路と古典的 Wnt 経路の シグナル拮抗を、前者を促進することで発揮される」という新規のメカニズムを提唱した。 最後に、この Del1 の吻側化活性と哺乳類 Del1 の機能を比較解析した。これまでに哺乳 類の Del1 が血管新生や免疫系細胞の食作用において重要な機能を持つことが知られてい るが、これらの機能には Del1 のアミノ酸配列中の RGD モチーフというインテグリン受容 体結合領域が必須である。一方で Del1 のアミノ酸配列変異体を用いた解析から、アフリ カツメガエル Del1 による吻側化活性は RGD モチーフに依存せず、哺乳類での機能があま り知られていない discoidin 様ドメインによって発揮されることが判明した。これらのこ とからDel1 の吻側化活性はこれまでに哺乳類Del1 で報告されている活性とは異なる作用 機序であることが示唆された。 以上より細胞外マトリックスタンパク質 Del1 は前脳領域において、尾側化シグナルを 抑制する局所環境を形成し、その細胞応答性を低下させることで前脳発生を促進する因子 であることが示された。. (論文審査の結果の要旨) 本研究では、アフリカツメガエル初期胚に発現する細胞外マトリックスタンパク質Del1 の機能解析を行い、Del1が吻側神経組織の発生を促進することと、その制御機構を明らか にした。吻側神経板においてDel1は、Ror2受容体を介した非古典的Wnt経路と協調的に機 能し、尾側化シグナルである古典的Wnt経路に拮抗することで吻側化因子として作用する。 このDel1と非古典的Wnt経路との協調作用が、古典的Wntシグナルの抑制及び前脳の発生に 必須であることを発見した。 外植体を用いたシグナル解析により、神経組織においてDel1はRor2受容体依存的に古典 的Wnt経路の細胞内伝達を抑制することを示した。さらにDel1とRor2の同時機能阻害によ り前脳の発生が顕著に抑制されたことから、生体内においてもDel1とRor2を介した非古典 的Wnt経路との協調作用が、吻側中枢神経系の発生に必須の機能を果たしていることが強 く示唆された。 以上の研究は脊椎動物初期胚の吻尾軸形成の制御メカニズムの解明に貢献し、脳組織の 発生機構の解明に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成22年12月27日実施の論文内容とそれに関連し た試問を受け、合格と認められたものである。. 要旨公開可能日:. 年. 月. 日 以降.

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