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急性期虚血性脳梗塞患者における初回端座位時の血圧変動と神経症状増悪との関連

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 47 巻第 6 号 523脳梗塞急性期での初回端座位時の血圧変動と神経症状増悪との関連 ∼ 530 頁(2020 年). 523. 研究論文(原著). 急性期虚血性脳梗塞患者における初回端座位時の 血圧変動と神経症状増悪との関連* 中 島 宏 樹 1)# 谷 﨑 太 朗 1) 芹 澤 充 洋 1) 伊 藤 将 平 1) 宮 崎 雄 樹 1) 祖父江紗也花 2) 神 田 敦 子 1). 要旨 【目的】急性期虚血性脳梗塞患者において初回の背臥位から端座位への姿勢変換による血圧変動とその後 の神経症状増悪との関連を検討することを目的とした。【方法】発症 24 時間以内に入院した虚血性脳梗塞 患者 165 名を対象に初回離床時に端座位を 10 分間以上行い,背臥位と比較して端座位 3 分後または 10 分 後の血圧変動の有無を評価した。対象者を入院 7 日以内に NIHSS 値で 2 点以上増加を認めた神経症状増 悪群と非増悪群の 2 群に分け,調査項目や生化学的項目,血圧関連指標と神経症状増悪との関連を多重ロ ジスティック回帰分析を用いて検討した。【結果】増悪群は 25 名(15.2%)であった。神経症状増悪の独 立した関連因子として,穿通枝領域の脳梗塞,HDL コレステロール値,端座位時の血圧低下が抽出された。 【結論】急性期虚血性脳梗塞患者において発症後早期の初回端座位時の血圧低下は入院 7 日以内の神経症 状増悪と関連することが示唆された。 キーワード 脳梗塞,神経症状増悪,血圧変動. と機能予後との関連を検討した報告では,神経症状増悪. はじめに. が発症 3 ヵ月後および 1 年後の機能予後の独立した予測 5).  虚血性脳梗塞では急性期治療開始後も入院中に神経症. 因子となる. 状が進行することがあり,およそ 15 ∼ 30%の患者にお. 神経症状増悪は機能予後不良や日常生活動作制限に影響. いて神経症状増悪を認めたと報告されている. 1‒3). 。特に. ことが示唆されている。このことから,. しうるため,急性期虚血性脳梗塞患者では発症後の入院 6). 。これまでに神. 穿通枝が主幹動脈から分岐した入口付近でアテローム性. 中の症状増悪を防ぐことが重要となる. 病変により狭窄あるいは閉塞することによって生じると. 経症状増悪には,血圧高値や血中グルコース濃度の上. される branch atheromatous disease(以下,BAD)は. 昇,頸動脈領域の虚血性脳梗塞,アテローム血栓性脳梗. 梗塞巣が拡大し神経症状が進行しやすいことが知られて. 塞の病型,BAD,発症後 48 時間以内の National Insti-. いる. 4). 。穿通枝動脈領域の脳梗塞を対象とした調査で. は,入院 2 日後までに神経症状の増悪が生じやすく 8 日 後でも増悪する場合があることを示している. 3). 。また,. 急性期虚血性脳梗塞患者を対象に入院中の神経症状増悪 *. Relationship between Blood Pressure Changes in the First Sitting Position and Neurological Deterioration in Patients with Acute Ischemic Stroke 1)一宮市立市民病院リハビリテーション室 (〒 491‒8558 愛知県一宮市文京 2‒2‒22) Hiroki Nakashima, PT, MSc, Taro Tanizaki, PT, Mitsuhiro Serizawa, PT, Shohei Ito, PT, MSc, Yuki Miyazaki, PT, Atsuko Kanda, PT: Department of Rehabilitation, Ichinomiya Municipal Hospital 2)豊田東リハビリテーション病院リハビリテーション科 Sayaka Sobue, PT: Department of Rehabilitation, Toyota East Rehabilitation Hospital # E-mail: nakashima.hiroki.1007@gmail.com (受付日 2020 年 2 月 6 日/受理日 2020 年 4 月 25 日) [J-STAGE での早期公開日 2020 年 8 月 14 日]. tutes of Health Stroke Scale(以下,NIHSS)高値. 7). お. よび心筋梗塞の既往や白血球数高値,low density lipoprotein cholesterol(以下,LDL-C)高値,hemoglobin A1c(以下,HbA1c)高値,内頸動脈または中大脳動脈 閉塞,線条体内包梗塞,橋梗塞,15 ∼ 30 mm の梗塞サ イズ. 6). が関連すると報告されている。.  虚血性脳梗塞患者を含む急性期脳卒中リハビリテー ションに関して,脳卒中治療ガイドライン 2015 では, 十分なリスク管理のもとにできるだけ発症後早期から積 極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められて いる. 8). 。具体的な早期離床開始時期については,多くの. ガイドラインで脳卒中発症 24 時間以内に端座位や立位 を含む早期離床開始を推奨している. 9). 。一方,脳卒中発. 症から 24 時間以内の超早期に離床を開始することで,.

(2) 524. 理学療法学 第 47 巻第 6 号. 3 ヵ月後の転帰にどのような影響がでるかを検討した多. の増加であった非増悪群の 2 群に分けた。また,離床開. 施設ランダム化比較試験において超早期離床群の方が通. 始は主治医の安静度の指示に基づき意識レベルや全身状. 常アプローチを施行した対照群と比較して転帰良好例が. 態に留意して行い,離床開始時は全例において端座位. 有意に少ないという結果が報告された. 10). 。また,有害. 10 分間以上を施行した。. 事象の比較では,有意差はないものの超早期離床群で神 経症状増悪が多い傾向がみられた。その原因は明らかに. 2.調査,測定項目. はなっていないが超早期離床による虚血脳への血行力学.  調査項目は年齢,性別,併存疾患および既往歴(高血. 的変化が影響したと考えられている 8). 11). 。しかし,脳卒. 圧症,糖尿病,心血管疾患) ,入院 1 ∼ 2 日目の生化学. では,神経症候の増悪がないこ. データ(HbA1c,C-Reactive Protein;以下,CRP,LDL-C,. とを確認してからリハビリテーションを可及的早期に開. High density lipoprotein Cholesterol; 以 下,HDL-C) ,. 始することや早期離床を行ううえで注意すべき病態にお. 入院 1 日目の MRI 検査または入院 1 ∼ 4 日目の頸動脈. いては離床の時期を個別に行うことを考慮してもよいと. エコー検査に基づく疾患情報(病型,病変側,前方循環. 記載はあるものの早期離床時の血行動態に関する基準は. 領域または後方循環領域の脳梗塞,レンズ核線条体動脈. 記されておらず,妥当性のある離床開始基準,中止基準. または前脈絡叢動脈,傍正中橋動脈の穿通枝領域の脳梗. はないのが現状である。以上より,急性期虚血性脳梗塞. 塞,前方循環領域患者における内頸動脈 80%以上の狭. における神経症状増悪は早期離床を進めるうえで配慮す. 窄の有無. べきリスクのひとつであり,離床時の血圧変動が神経症. 間以内の端座位開始の有無,発症から端座位開始までの. 状増悪に影響を及ぼす可能性が考えられる。一方,離床. 時間とした。また,理学療法開始後の初回離床開始時に. 時の血圧変動を含めて急性期虚血性脳梗塞患者の神経症. 少なくとも 10 分間の端座位を行い,背臥位および端座. 状増悪との関連を検討した報告は見あたらない。. 位直後,端座位 3 分後,10 分後の血圧,脈拍を測定した。.  そこで本研究では,急性期虚血性脳梗塞患者を対象に. なお,背臥位での血圧測定は 2 回行い平均値を採用した。. 理学療法においてベッド上で端座位を開始した時点を離. 血圧および脈拍はデジタル自動血圧計(オムロンヘルス. 床開始と定義し,発症後可及的早期に離床を開始し,初. ケア株式会社,HEM-7301-IT)を用いて麻痺側,非麻痺. 回の背臥位から端座位への姿勢変換による血圧変動がそ. 側は問わず上腕部で測定した。この際,背臥位と比較し. の後の神経症状増悪と関連するか検討することを目的と. て端座位 3 分後または 10 分後の収縮期血圧が 20 mmHg. した。. 以上または拡張期血圧が 10 mmHg 以上変動した場合を. 中ガイドライン 2015. 対象および方法. 13). ),理学療法開始時の NIHSS 値,発症 24 時. 端座位時血圧上昇ありまたは低下ありと定義した. 14). 。. さらに増悪群では,発症から神経症状増悪までの時間お. 1.対象. よび端座位開始から神経症状増悪までの時間についても.  対象は 2015 年 8 月∼ 2018 年 12 月に当院に入院した. 調査した。. 急性期脳梗塞患者 165 名とした。取り込み基準は,急性 期脳梗塞かつラクナ梗塞またはアテローム血栓性脳梗塞. 3.統計解析. と診断された症例,年齢 18 歳以上,発症 24 時間以内に.  年齢,NIHSS,発症から端座位開始までの経過時間,. 入院した症例,理学療法が処方された症例とした。除外. 生化学データ(HbA1c,CRP,LDL-C,HDL-C) ,収縮. 基準については,発症後 24 時間以上経過してから入院. 期血圧および拡張期血圧に関しては,増悪群と非増悪群. した症例,発症時刻不明の症例,Japan Coma Scale 2. との 2 群間で対応のない t 検定または Mann-Whitney. 桁以上の症例,発症前 Activities of Daily Living 非自立. の U 検定を用いて比較した。また,性別,病型,病変側,. の症例,離床開始時に心房細動を認めた症例,理学療法. 梗塞領域,内頸動脈高度狭窄の有無,併存疾患(高血圧. 開始後の離床開始前に神経症状増悪を認めた症例,血栓. 症,糖尿病,心血管疾患)の有無,発症 24 時間以内の. 溶解療法施行症例,入院後降圧治療を受けた症例,本研. 端座位開始の有無,端座位時の血圧上昇または低下の有. 究で用いた評価項目にデータ欠損のあった症例とした。. 無についてはカイ二乗検定または Fisher の正確検定を. 医師の指示にて理学療法を開始し,全例理学療法開始時. 実施した。次に,各関連因子の神経症状増悪への影響度. に NIHSS にて評価を行い,その後,神経症状増悪が疑. を検討するために,神経症状増悪の有無を従属変数,単. われた場合に NIHSS にて神経症状の変化を確認した。. 変量解析にて有意差を認めた因子を独立変数として,多. なお,神経症状増悪の定義は理学療法開始時と比較して. 重ロジスティック回帰分析を行った。なお,多重共線性. 入院後 7 日以内に NIHSS 値が 2 点以上増加した場合と. を考慮して,Pearson の相関係数を用い,相関係数の絶. 12). 。対象者は神経症状の増悪を認めた増悪群と神. 対値が 0.7 以上となった場合は,臨床的に有意義と考え. 経症状の増悪を認めないもしくは NIHSS 値が 2 点未満. られる変数を採用して検討した。加えて,2 群間の初回. した.

(3) 脳梗塞急性期での初回端座位時の血圧変動と神経症状増悪との関連. 525. 表 1 患者属性および各評価項目の群間比較 全例 (n=165). 増悪群 (n=25). 非増悪群 (n=140). p値. 73.1 ± 10.5. 73.0 ± 11.6. 73.1 ± 10.3. 0.93. 107 (64.8). 16 (64.0). 91 (65.0). 1.  高血圧症. 153 (92.7). 22 (88.0). 131 (93.6). 0.57.  糖尿病. 68 (41.2). 14 (56.0). 54 (38.6). 0.16.  心血管疾患. 29 (17.6). 5 (20.0). 24 (17.1). 0.78. Variables 年齢(歳),mean ± SD 男性,n(%) 併存疾患,n(%). 病型,梗塞領域,n(%)  アテローム血栓性脳梗塞. 136 (82.4). 23 (92.0). 113 (80.7). 0.081.  病変側(左). 91 (55.2). 11 (44.0). 80 (57.1). 0.32.  前方循環領域の脳梗塞. 127 (77.0). 21 (84.0). 106 (75.7). 0.52.  穿通枝領域の脳梗塞. 73 (44.2). 18 (72.0). 55 (39.3). 0.0049 *.  内頸動脈 80%以上の狭窄. 13 (7.9). 2 (8.0). 11 (7.9). 1. NIHSS(点) ,median(IQR). 3 (2-5). 3 (2-7). 3 (2-5). 0.25. 発症 24 時間以内の端座位開始,n(%) 発症∼端座位開始までの時間(h),mean ± SD. 49 (29.7). 9 (36.0). 40 (28.6). 0.61. 36.9 ± 24.8. 32.4 ± 19.2. 37.7 ± 25.7. 0.33. 6.5 ± 1.2. 7.0 ± 1.8. 6.4 ± 1.1. 0.020 * 0.16. 入院時生化学データ,mean ± SD  HbA1c(%)  CRP(mg/dl). 0.32 ± 0.59. 0.48 ± 0.93. 0.29 ± 0.51.  LDL-C(mg/dl). 118.5 ± 33.8. 121.7 ± 41.7. 118.0 ± 32.3. 0.63.  HDL-C(mg/dl). 49.2 ± 14.1. 42.4 ± 11.9. 50.4 ± 14.3. 0.0089 *.  背臥位収縮期血圧. 154.5 ± 22.4. 156.2 ± 20.2. 154.2 ± 22.8. 0.68.  背臥位拡張期血圧. 85.4 ± 14.3. 88.0 ± 14.2. 84.9 ± 14.3. 0.53.  端座位直後収縮期血圧. 152.0 ± 24.0. 146.8 ± 20.8. 152.9 ± 24.4. 0.25.  端座位直後拡張期血圧. 87.0 ± 15.7. 87.7 ± 11.8. 86.9 ± 16.3. 0.81.  端座位 3 分後収縮期血圧. 156.5 ± 23.0. 150.2 ± 20.9. 157.6 ± 23.2. 0.14.  端座位 3 分後拡張期血圧. 89.3 ± 14.9. 89.0 ± 14.9. 89.3 ± 14.9. 0.93.  端座位 10 分後収縮期血圧. 155.6 ± 24.0. 146.3 ± 20.6. 157.2 ± 24.2. 0.036 *.  端座位 10 分後拡張期血圧. 89.7 ± 14.8. 88.8 ± 14.8. 89.9 ± 14.8. 0.74.  背臥位心拍数. 72.3 ± 10.6. 74.8 ± 11.5. 71.9 ± 10.5. 0.20.  端座位直後心拍数. 75.6 ± 12.6. 77.4 ± 12.4. 75.3 ± 12.7. 0.44.  端座位 3 分後心拍数. 75.0 ± 11.2. 78.1 ± 11.8. 74.5 ± 11.0. 0.14.  端座位 10 分後心拍数. 75.4 ± 11.8. 77.2 ± 12.5. 75.1 ± 11.7. 0.40. 端座位時の血圧上昇,n(%). 65 (39.4). 5 (20.0). 60 (42.9). 0.044 *. 端座位時の血圧低下,n(%). 32 (19.4). 15 (60.0). 17 (12.1). <0.001 *. 血圧(mmHg) ,mean ± SD. 心拍数(bpm),mean ± SD. Abbreviations: NIHSS; National Institutes of Health Stroke Scale, HbA1c; Hemoglobin A1c, CRP; C-Reactive Protein, LDL-C; Low Density Lipoprotein Cholesterol, HDL-C; High density lipoprotein Cholesterol * Statistically significant at p<0.05. 端座位時の収縮期血圧の経時的変化を比較するために反. データは個人が特定できないよう配慮した。本研究は後. 復測定分散分析(repeated measures ANOVA)を用い. ろ向き研究であり,研究実施にあたり新たなインフォー. て解析し,交互作用の有無を検討した。分散の等質性の. ムドコンセントは実施していない。なお,本研究は一宮. 検討には,Mauchly の球面性検定を用い,球面性が否. 市立市民病院倫理委員会の承認(承認番号:1243)を得. 定された場合は Huynh-Feldt の方式で補正した。統計. て実施した。. 解 析 に は EZR(ver.1.30, Jichi Medical University) を 使用し,有意水準はいずれも 5%とした。. 結   果  調査期間中に当院に入院した脳梗塞患者 743 名中,基. 4.倫理的配慮. 準を満たした解析対象者は 165 名であった。患者属性お.  本研究はヘルシンキ宣言に則って実施し,得られた. よび各調査,測定項目の結果を表 1 に示す。対象者の平.

(4) 526. 理学療法学 第 47 巻第 6 号. 表 2 神経症状増悪を認めた患者の特徴 (n=25) Variables 増悪前 NIHSS(点) ,median(IQR). 3 (2-5). 増悪後 NIHSS(点) ,median(IQR). 7 (5-9). NIHSS 値の変化量(点) ,median(IQR). 3 (2-4). 発症から増悪までの時間(日),mean ± SD. 3.5 ± 2.2. 端座位開始から増悪までの時間(日),mean ± SD. 2.4 ± 1.8. 表 3 神経症状増悪の関連因子を検討するための多重ロジスティック回帰分析 95%信頼区間 Variables. オッズ比. 下限. 上限. p値. 穿通枝領域の脳梗塞. 5.35. 1.67. 17.20. 0.0048 *. HbA1c. 1.27. 0.92. 1.77. 0.15. HDL-C. 0.96. 0.92. 0.99. 0.017 *. 端座位 10 分後収縮期血圧. 0.99. 0.97. 1.02. 0.45. 端座位時の血圧上昇. 0.92. 0.23. 3.70. 0.90. 端座位時の血圧低下. 14.1. 3.93. 50.70. <0.001 *. Abbreviations: HbA1c; Hemoglobin A1c, HDL-C; High density lipoprotein Cholesterol * Statistically significant at p<0.05. 均年齢は 73.1 歳,性別は男性 107 名,女性 58 名であった。. 14.3,p=0.0089) ,端座位 10 分後収縮期血圧(増悪群:. 診断名はラクナ梗塞が 29 名(17.6%),アテローム血栓. 146.3 ± 20.6,非増悪群:157.2 ± 24.2,p=0.036) ,端座. 性 脳 梗 塞 が 136 名(82.4 %) で 病 変 側 は 左 側 が 91 名. 位時の血圧上昇(増悪群:20.0%,非増悪群:42.9%,. (55.2%) ,右側が 74 名(44.8%)であった。また,梗塞. p=0.044) ,端座位時の血圧低下(増悪群:60.0%,非増. 領域としては前方循環領域が 127 名(77.0%),後方循. 悪群:12.1%,p<0.001)の 6 項目であった(表 1) 。増. 環領域が 38 名(23.0%)であり穿通枝領域の脳梗塞は. 悪群は,NIHSS 値(中央値)が 3 点から 7 点に増加し,. 73 名(44.2%)存在した。理学療法開始時の NIHSS 値. NIHSS 値の変化量(中央値)は 3 点,発症から神経症. は中央値で 3 点であった。発症から端座位開始までの時. 状増悪までの時間は平均 3.5 ± 2.2 日,端座位開始から. 間は平均 36.9 時間(最短 1.9 時間,最長 176.8 時間)と. 神経症状増悪までの時間は平均 2.4 ± 1.8 日であった(表. なり,発症後 4 日目以降に端座位開始となった患者は. 2)。. 10 名で眩暈や吐気などの症状または主治医の安静指示.  次に神経症状増悪への影響度を検討するために行った. が端座位開始の遅延要因であった。端座位時に血圧上昇. 多重ロジスティック回帰分析の結果を表 3 に示す。穿通. を認めた患者は 65 名(39.4%) ,血圧低下は 32 名(19.4%). 枝領域の脳梗塞,入院時 HbA1c 値,入院時 HDL-C 値,. となった。なお,血圧上昇を認めた患者のうち,端座位. 端座位 10 分後収縮期血圧,端座位時の血圧上昇,端座. 3 分後のみに血圧上昇を認めた患者は 14 名,10 分後の. 位時の血圧低下の 6 項目を独立変数として多重ロジス. みは 19 名,3 分後および 10 分後ともに認めた患者は 32. ティック回帰分析を行った結果,穿通枝領域の脳梗塞. 名であり,一方で,血圧低下については,端座位 3 分後. (オッズ比 5.35,95%信頼区間:1.67‒17.2,p=0.0048) ,. のみに血圧低下を認めた患者が 5 名,10 分後のみが 17. HDL-C 値( オ ッ ズ 比 0.96,95 % 信 頼 区 間:0.92‒0.99,. 名,3 分後および 10 分後ともに認めた患者が 10 名とい. p=0.017),端座位時の血圧低下(オッズ比 14.1,95%信. う結果となった。. 頼区間:3.93‒50.7,p<0.001)が選択された(表 3) 。.  対象者のうち,入院後 7 日以内かつ理学療法にて端座.  図 1 は初回端座位時における各群の収縮期血圧の経時. 位 開 始 後 に 神 経 症 状 の 増 悪 を 認 め た 増 悪 群 は 25 名. 的変化を背臥位での血圧を基準に変化率として示してい. (15.2%)であった。2 群間の単変量解析において有意差. る。2 群間での収縮期血圧変化率の経時的変化において. を認めた項目は,穿通枝領域の脳梗塞(増悪群:72.0%, 非増悪群:39.3%,p=0.0049),入院時 HbA1c 値(増悪 群:7.0 ± 1.8,非増悪群:6.4 ± 1.1,p=0.020) ,入院時 HDL-C 値( 増 悪 群:42.4 ± 11.9, 非 増 悪 群:50.4 ±. 交互作用を認めた(p<0.001) 。 考   察  本研究では,急性期虚血性脳梗塞患者において理学療.

(5) 脳梗塞急性期での初回端座位時の血圧変動と神経症状増悪との関連. 527. 神経症状増悪と関連したとする報告. 23). もみられる。. HDL-C は代謝経路の中でコレステロールの逆転送とし て働くだけでなく,血管内皮細胞の保護効果を伴う抗炎 症作用も有する. 24). とされており,HDL-C が高値であ. ることは急性期におけるアテローム性病変の進行に伴う 神経症状増悪に対して保護的に働きうると考えられる。 次に,LDL-C 値と入院中の神経症状増悪との関連につ いて述べる。LDL-C は動脈硬化の進行において重要な 役割を果たし. 25). ,先行研究では,LDL-C 値> 140 mg/. dL が神経症状増悪と関連することが示唆されている 図 1 初回端座位時における収縮期血圧変化率の経時的推移 背臥位での収縮期血圧を基準として,端座位時の収縮期血圧 を背臥位時の収縮期血圧で除した値をグラフに示す. エラーバーは標準偏差を示す.*; p<0.001, 反復測定分散分析. 6). 。. 一方で,LDL-C 値と神経症状増悪との間に有意な関連 がなかったとする報告. 21). もある。本研究において,. LDL-C 値と神経症状増悪との間に有意な関連はみられ ず,先行研究においても LDL-C 値と神経症状増悪との 関連について一貫した結果は得られない。ほかに,LDL-C. 法開始後,初回の背臥位から端座位への姿勢変換による. と HDL-C との比率が急性期虚血性脳梗塞の神経症状増. 血圧変動が入院後 7 日以内の神経症状増悪と関連するか. 悪と関連する. 検 討 し た。 そ の 結 果, 穿 通 枝 領 域 の 脳 梗 塞, 入 院 時. 標との比較検討が望ましいかもしれない。また,HbA1c. HDL-C 値および端座位時の血圧低下が神経症状増悪と. と 神 経 症 状 増 悪 と の 関 連 を 検 討 し た 先 行 研 究 で は,. 関連することを示した。我々は神経症状増悪を入院後 7. HbA1c が神経症状増悪と関連した. 日以内に NIHSS 値が 2 点以上増加した場合と定義. 12). し,. 21). ことが示されており,他の脂質代謝指. 連しなかったとする報告. 12)13). 3)6). とする報告と関. が散見される。HbA1c 高. 本研究において 25 名(15.2%)に神経症状増悪を認め,. 値は糖尿病が疑われ,HbA1c 高値の場合,血行力学的. NIHSS 値では中央値 3 点の増加を認めた。神経症状増. 機序が梗塞巣拡大に影響しうる. 悪の定義は報告によって異なり,発症から 24 時間以内. 群間の比較では増悪群が有意に高値なる結果となったが. に NIHSS 値が 4 点以上増加した場合とする報告も多. 多重ロジスティック回帰分析では有意な関連因子として. 15). 3). 。本研究においても 2. 。今回採用した定義は,虚血性脳梗塞患者を対象. 抽出されず,神経症状増悪と HbA1c との関連を示した. とした神経症状増悪に関する調査研究において広く用い. 報告と比較し本研究では HbA1c の平均値が全体的にや. い. られており. 15). や低値であったため,患者特性の違いが結果に影響した. 起こりうる. 3). 可能性がある。. ,入院後 1 週間程度は神経症状の増悪が ため入院 7 日以内の観察期間とした。入. 院後の神経症状増悪率については報告や定義により幅が あるが 15 ∼ 30%. 1‒3). とされており,本研究と同程度の.  本研究では,虚血性脳梗塞患者において急性期での初 回端座位時の血圧変動が神経症状増悪と関連するという. 結果と考えられる。. 新たな知見を得た。血圧と脳血流との関係について,虚.  本研究では神経症状増悪との関連因子のひとつとし. 血性脳梗塞発症後,急性期では脳循環の自動調節能が障. て,穿通枝領域の脳梗塞との関連が示された。穿通枝領. 害されることが一般に知られている. 域の脳梗塞は運動障害の進行を特徴とする BAD の好発. は局所あるいは広範囲の虚血性脳梗塞のいずれにおいて. 部位として知られており. 4)16)17). ,本研究の結果はこれ. 26‒28). 。自動調節能. も障害され,その期間は発症後早期から 3 ヵ月後にまで 28)29). 。急性期一過性脳虚血. らの先行研究の結果と一致する。. 及ぶことが示唆されている.  生化学的検査項目では,入院時 HDL-C 値がその後の. 発作または軽度脳梗塞患者を対象に脳血管反応性の評価. 神経症状増悪と関連する因子として抽出された。また,. として息こらえまたは過換気を行った際の血圧変動と中. 入院時 LDL-C 値や HbA1c 値と神経症状増悪との間に. 大脳動脈の脳血流の変化を検討した調査では,平均血圧. 有意な関連は認めなかった。まず,HDL-C 値と神経症. の変化率と脳血流の変化率との間に有意な相関関係を認. 状増悪との関連について,先行研究では HDL-C 値と神. めている. 経症状増悪との間に関連はなかったという報告. 6)18‒20). 30). 。また,中大脳動脈領域の急性期虚血性脳. 梗塞においては水平位からの頭位挙上により傷害半球の. が散見される。一方,虚血性脳梗塞患者を対象とした先. 脳灌流圧あるいは脳血流速度が低下することが示されて. 行研究では HDL-C 値と入院後 3 週間以内の神経症状増. いる. 21). 31)32). 。さらに,広範囲の中大脳動脈領域の脳梗塞. や神経症. 患者を対象に発症 6 日以内に背臥位から頭部挙上 30 度. 状増悪の有無による 2 群間の比較において HDL-C 値に. まで姿勢変換した際の平均動脈圧と中大脳動脈の最大血. 悪との間に有意な関連を認めたとする報告 有意差を示した報告. 22). ,中性脂肪と HDL-C との比率が. 流速度を観察した研究では,頭部挙上に伴い平均動脈圧.

(6) 528. 理学療法学 第 47 巻第 6 号. と傷害側の脳血流速度が有意に低下する 31)ことが報告. ると予想され,虚血脳に対して保護的に働くかもしれな. されており,臥位から端座位への姿勢変換後の血圧低下. い。以上より,急性期虚血性脳梗塞患者に対する早期離. は脳血流の低下を伴うと推測される。姿勢変換後,血圧. 床を行う際は,姿勢変換時の血圧低下がその後の神経症. 低下を認める患者においては,それ以降,急性期におい. 状増悪と関連することが示唆された。そのため,リスク. て離床を継続することによりベッド上水平位と比較して. 管理のひとつとして姿勢変換後の血圧変動に注意し,離. 脳血流が低下した状態が続く可能性が予想される。脳血. 床中に血圧低下を認める患者については離床の中断を考. 流低下が梗塞巣拡大や神経症状増悪につながりうる機序. 慮する,もしくは短時間の離床に留めるべきであると考. として,これまでに脳虚血の病態生理には脳血流閾値が. える。. 33). 。脳梗塞により壊死した.  本研究の限界として,姿勢変換時の脳血流を評価して. 梗塞巣周囲には細胞死には至っていないが軽度から中等. いないことや初回端座位時以降の姿勢変換時の血圧変動. 度の脳血流低下を認め機能障害を生じている虚血性ペナ. を検討していないこと,姿勢変換時に血圧低下を認める. ンブラと呼ばれる領域が存在し,虚血時間の延長やさら. 場合に離床を控えることで神経症状増悪を予防できるか. なる脳血流の低下によって梗塞巣へ移行しうる領域とし. は検討できていないこと,早期離床の是非を検討するた. 関連すると考えられている. 34). 。すなわち,臥位から端座位への. めに発症後可及的早期に端座位を開始したが結果として. 姿勢変換による血圧低下が自動調節能の障害により傷害. 平均発症 36.9 時間後での端座位開始となっており発症. 側の脳血流低下を伴うとすれば,虚血性ペナンブラ領域. 24 時間以内の超早期離床を検討した報告. の脳血流を低下させ,梗塞巣の拡大および神経症状の増. な比較は難しいことが挙げられる。他に,血圧測定を非. て理解されている. 悪を来し得る. 32)35). と考えられる。ただし,虚血性ペナ. ンブラが梗塞巣へ移行するメカニズムについては不明な 33). 9). との直接的. 麻痺側に統一して行っていないため筋緊張の影響. 37). を. 否定できないことや増悪群において神経症状増悪後の梗. ,急性期虚血性脳梗塞患者の脳血流が低下. 塞巣拡大の有無や程度を客観的に評価できていないこと. した場合に梗塞巣が拡大するかは明らかではない。ま. も研究の限界である。ただ,理学療法介入の際に脳血流. た,急性期虚血性脳梗塞患者の姿勢変換に伴う血圧変動. を評価することは設備や時間の問題で臨床場面では難し. に関して,先行研究では脳梗塞発症 1 ∼ 3 日目に臥位か. いと考えられる。離床開始時期については通常ケアの平. ら端座位,立位への姿勢変換時に血圧測定を行い対象者. 均離床開始時間が発症 33.3 時間後である. のうち 13%の患者において血圧低下,20%において血. 研究での端座位開始時期は決して遅くはなく臨床におい. 圧上昇が認められ,姿勢変換時に血圧上昇を認めた患者. ては意義のある検討であると考える。また,血圧測定に. は,3 ヵ月後の機能予後が良好であったことを報告して. 関しては臨床上,非麻痺側上腕部に点滴ルートが確保さ. 点が多く. 13). 38). ことから本. 。本研究においては,臥位から端座位への姿勢. れていることもあり,その場合は麻痺側での血圧測定と. 変換を平均発症 2 日目に開始しており,血圧低下を認め. したため,筋緊張の影響を否定するためには非麻痺側上. た患者が 20.0%,血圧上昇が 38.8%と血圧変動率が高い. 腕部で測定可能な対象者に限定して検討を行う必要があ. 結果となっている。この点に関して,血圧変動の定義は. ると思われる。今後の展望として,初回端座位以降,数. 同様であるが先行研究では姿勢変換の 3 分後に血圧測定. 日間の離床時の血圧変動とその後の神経症状増悪との関. を実施している。一方,本研究では端座位 3 分後および. 連を調査する必要があると思われる。そのうえで,初回. 10 分後に 2 度測定を行っており,血圧上昇または血圧. 離床時の血圧変動の重要性が示唆されれば,初回端座位. 低下を端座位開始 10 分後のみに認める患者も存在した。. 時に血圧低下を認める患者に対し離床時間を限定して介. そのため,結果として血圧変動を認める割合が高くなっ. 入することで,その後の神経症状増悪率が減少するか検. たと考える。急性期における早期離床に関して,脳卒中. 討を行う必要があると考えられる。. いる. 超早期の離床を検討した多施設ランダム化比較試験のサ ブ解析では,1 日あたりの離床時間が延長するほど転帰. 結   論. 36).  急性期虚血性脳梗塞患者における入院 7 日以内の神経. このことより,離床中の血圧低下と機能予後悪化が関連. 症状増悪と関連する因子として,レンズ核線条体動脈ま. する可能性も示唆される。本研究において,端座位 3 分. たは前脈絡叢動脈,傍正中橋動脈の穿通枝領域の脳梗塞. 後の収縮期血圧は 2 群間で有意差はみられなかったが端. および入院時 HDL-C 値,発症後早期における初回端座. 座位 10 分後において有意差がみられた。この点に関し. 位時の血圧低下が抽出された。これまで急性期脳梗塞患. て,端座位時に時間経過とともに血圧低下を認める症例. 者を対象に発症早期の姿勢変換による血圧低下と神経症. において端座位を短時間に留めることは,頭部挙上位か. 状増悪との関連を明らかにした報告はなく,姿勢変換時. ら背臥位に戻すことで脳血流速度が頭部挙上前と同程度. の血圧変動は早期離床を行ううえで配慮すべき評価指標. 不良となるリスクが高まることも報告されている. に上昇する. 31). 。. ことから脳血流低下時間の短縮につなが. であることが示唆された。.

(7) 脳梗塞急性期での初回端座位時の血圧変動と神経症状増悪との関連. 利益相反  開示すべき利益相反はない。 文  献 1)Toni D, Fiorelli M, et al.: Progressing neurological deficit secondary to acute ischemic stroke. A study on predictability, pathogenesis, and prognosis. Arch Neurol. 1995; 52(7): 670‒675. 2)Birschel P, Ellul J, et al.: Progressing stroke: towards an internationally agreed definition. Cerebrovasc Dis. 2004; 17(2-3): 242‒252. 3)Takeuchi M, Miyashita K, et al.: Analysis of Factors Associated with Progression and Long-Term Outcomes of Penetrating Artery Territory Infarction: A Retrospective Study. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2016; 25(8): 1952‒1959. 4)Yamamoto Y, Ohara T, et al.: Characteristics of intracranial branch atheromatous disease and its association with progressive motor deficits. J Neurol Sci. 2011; 304(1-2): 78‒82. 5)Liu P, Liu S, et al.: Association between neurological deterioration and outcomes in patients with stroke. 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