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日本調理科学会誌日本調理科学会誌 Vol. 50,No. Vol. 2,54~59(2017) 50 No. 2(2017) ノート 調理過程におけるキノコ抽出液の抗酸化効果 Effect of Different Cooking Conditions on the Anti-oxidative A

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(1)

調理過程におけるキノコ抽出液の抗酸化効果

Effect of Different Cooking Conditions on the Anti-oxidative Activity of Mushroom Extracts

菅 野 友 美*

§

亀 谷 宏 美** 谷本憂太郎* 鵜 飼 光 子*

,

**

Tomomi Kanno Hiromi Kameya Yutaro Tanimoto Mitsuko Ukai

The anti-oxidative activity and degree of browning of the aqueous extracts from four species of dry mushrooms (Lentinula edodes, Agaricus blazei, Grifola gargal and Coprinus comatus) subjected to different cooking conditions were evaluated. The anti-oxidative activity was calculated using the 2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl (DPPH) assay. The degree of browning was assessed by measuring the absorbance at 540 nm. The anti-oxidative activity and degree of browning of the aqueous extracts were found to vary with the cooking conditions. We further evaluated the effects of extraction pH on the anti-oxidative activity and degree of browning by preforming extraction at pH 4.0, 5.0, and 6.0. The extracted samples obtained by boiling Himematsutake (A. blazei) showed a higher anti-oxi-dative activity in pH 4.0 buffer solutions than in other pH solutions. The anti-oxianti-oxi-dative activity of the extracts was changed proportionately with the degree of browning. There were no significant differences in the flavor of Sakurameshi prepared using soy sauce and Himematsutake extracts.

キーワード: キ ノ コ 抽 出 液 mushroom extracts;抗 酸 化 活 性 anti-oxidative activity;褐 色 度 the degree of browning

* 北海道教育大学

(Hokkaido University of Education)

** 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所 (NARO, National Food Research Institute)

§ 連絡先 北海道教育大学教育学部旭川校 〒 070-8621 北海道旭川市北門町 9 丁目 1. 緒  言  キノコは古くから食用とされ,一部のキノコは薬用とし て利用されてきた1)。近年,食への関心の高まりと共に,キ ノコの機能性が注目され,食用だけでなく,サプリメント など機能性食品の素材として広く利用されている2)。キノ コには様々な生理活性物質が含まれており,抗腫瘍活性, 抗ウイルス活性,血糖値降下作用などの生理的機能性につ いての報告がある3)。中でも抗酸化活性は生活習慣病との 関連が示唆される活性酸素による生体内の酸化ストレスを 抑制する効果をもつことから特に注目を浴びている4)。こ れまで食用キノコ5)や薬用キノコ6)の抗酸化活性について 報告されており,著者らもキノコ熱水抽出物の抗酸化活性 について報告し7),さらに種々の抗酸化活性を総合的に評 価する新規抗酸化評価法を提案している8)  キノコのような食品素材は,調理操作を施して食される。 野菜の加熱調理における抗酸化活性の変化についてはすで に報告されており9),キノコについても同様に調理加工に よる抗酸化活性の変化が考えられる。しかし,キノコでの 研究は見当たらない。そこで,抗酸化活性の異なる 4 種類 のキノコの調理過程における変化について検討することと した。  食用キノコとして一般的なシイタケやマッシュルームな どは乾物を水に浸漬したもどし汁をだしとして使用したり, スープストックに用いられる。また薬用キノコは煎じて活 用されている10)。すなわち,キノコの調理加工では浸漬や 煮沸による成分の抽出が主に行われている。そこで,煮沸 条件として抽出液の加熱温度の差異が,また浸漬条件とし て抽出液の pH がそれぞれ抗酸化活性に及ぼす影響を調べ た。さらに,調理過程での褐変現象について調べ,抗酸化 活性との関連についても検討した。 2. 実験方法 (1) 試料  試料のキノコ,シイタケ(Lentinula edodes),ヒメマツ タケ(Agaricus blazei),アンニンコウ(Grifola gargal), ササクレヒトヨタケ;コプリーノ(株式会社ヘルスケアシ ステムズ商標)(Coprinus comatus)の 4 種類を用いた。 すべてのキノコは干しシイタケの乾燥法に従い 45℃で一昼 夜,さらに 70℃で 1 時間熱風乾燥した。これを高速度粉末機 (HS-35,株式会社名濃製)にて粉砕し,200 メッシュ以下 の粉末にしたものを岩出菌学研究所より提供して頂いた。 (2) 試料調製  各キノコ粉末 5 g に 15 倍容の 75 mL の蒸留水を加えて 一晩冷蔵した11)。それを 10℃,10,000 rpm,10 分間遠心 分離(佐久間製作所製,SS-1500X)し,上澄み液をメスシ リンダーで 75 mL に蒸留水で定容したものを加熱前試料と した。90℃ 0 分試料は一晩冷蔵後,加熱し,90℃に到達直 後に氷水中で冷却して遠心分離(10℃,10,000 rpm,10 min)し,上澄み液をメスシリンダーで 75 mL に蒸留水で 定容したものとした。90℃ 10 分試料は,90℃ 0 分試料と

(2)

同様に 90℃まで加熱後,90℃を 10 分間保持した後に氷水 中で冷却して遠心分離(10℃,10,000 rpm,10 min)し, 上澄み液をメスシリンダーで 75 mL に蒸留水で定容したも のとした。  pH の影響をみる際は通常の調理で使用する範囲である pH 4.0,pH 5.0,pH 6.0 お よ び 蒸 留 水(pH 6.4~ pH 7.3)の 4 段階とした。pH 4.0,pH 5.0,pH 6.0 は 0.1 M 酢酸緩衝液を用いて,上記の蒸留水と同様に調製した。通 常の調理で水を用いた場合を想定し,蒸留水の試験区を設 けた。調製直後の各試料(75 mL)のうち,10 mL を 3 連 設けて(3)に示す褐色度を測定し,その後それらを 105℃ で一晩乾燥させて重量を測り乾固重量(mg/mL)を算出し た。残りの各試料(45 mL)は凍結し,抗酸化活性測定時 に解凍して用いた。 (3) 褐色度の測定12)  調製後の各試料(75 mL)から取り分けた 30 mL(10 mL×3)を用いて 540 nm における吸光度を分光光度計 (島津製作所製, UV-1800)で測定した。抗酸化活性の測定 値との比較を考慮し,吸光度の値を乾固重量(mg/mL)で 除し,1 mg 当たりの吸光度を褐色度の指標とした。3 回測定 した平均値を各試料の褐色度(O.D. 540 nm/mg)とした。 (4) 抗酸化活性測定  田村らの方法13)を改変し,以下に示す方法により行った。 各凍結試料を解凍後,50 倍に希釈した試料 1 mL にエタ ノール 1 mL,蒸留水 1 mL を加えて攪拌した。これに 0.5 mM 1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)・エ タノール溶液 1 mL を加え,撹拌後,常温で反応させ,20 分後の反応液の吸光度減少を 517 nmの波長で測定した。同 様にTrolox(ALDRICH 製)と反応させて検量線を作成し, 吸光度減少(測定値)を(2)で求めた試料 1 mg 当たりの 試料量(乾固重量)で除し,Trolox 相当量として算出した。 3 回測定し,その平均値を抗酸化活性(mM Trolox eq./ mg)とした。 (5) キノコ桜飯と醤油桜飯の官能評価 1) キノコ桜飯用の炊飯液の調製  ヒメマツタケ粉末 20 g に 15 倍容(300 mL)の蒸留水を 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 Before

heat 90˚C 0min 10min90˚C

O.D. 540 nm/mg

Shiitake

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 Before

heat 90˚C 0min 10min90˚C

O.D. 540 nm/mg

Himematsutake

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 Before

heat 90˚C 0min 10min90˚C

O.D. 540 nm/mg

Anninko

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 Before

heat 90˚C 0min 10min90˚C

O.D. 540 nm/mg

Sasakurehitoyotake

b d g e j h k i c a j f f a b c j h i d k j g e j f e b i g e d h f c a j i h de e g f b k d c a

Fig. 1. The degree of browning mushrooms extracts.

; pH 4.0, ; pH 5.0, ; pH 6.0, ; Distilled water  Values are mean±SD(n=3).

 Significant differences among mushroom samples on the same condition-items within each figure at p<0.05(n=3)

 Significant differences appears among samples at p<0.05 (n=3), when different alphabets are assigned on the condition-items within the same figure.

 The browning degree was shown as the coefficient of absorbance at 540 nm/mg of exsiccation weight.

(3)

加えて一晩浸漬した後,加熱し,90℃になったらすばやく 氷水中で冷却し,遠心分離(10℃,10,000 rpm,10 min) した。上澄みをメスシリンダーで 600 mL に蒸留水を用い て定容したものをキノコ桜飯に用いた。 2) 炊飯  醤油桜飯とキノコ桜飯は,ほしのゆめ 150 g に対し加水 量は 1.5 倍,塩分量は米重量の 0.75%とした。すなわち, 醤油桜飯は醤油(食塩相当量 14.5 g/100 g)3.88 g と食塩 0.56 g を加えた。また,キノコ桜飯の加水液にはすべてキ ノコ抽出液を用い,食塩 1.125 g を加えた。それぞれ 30 分 間浸漬後,同一機能の炊飯器(40FDJ-YM10, SANYO 製お よび JKH-R100,TIGER 製)を用いて約 40 分炊飯し,炊 飯完了後 15 分蒸らした。なお,官能評価では日常食してい る白飯のイメージを基準としているため,通常の桜飯の塩 分濃度は米重量の 1.5%であるが,半分の濃度である 0.75%で炊飯した。 3) 色調測定  醤油桜飯およびキノコ桜飯 6 g を 5 cm 四方のラップに はさみ,厚さ 5 mm にして中央部分を簡易型分光色差計 (NF333,日本電色工業製)で CIE1976 の L* 値 a* 値 b* 値 を測定した。表裏それぞれの面について 4 回ずつ測定し, 計 8 回の平均を求めた。また,醤油桜飯とキノコ桜飯の色 差⊿E を算出した。 4) 官能評価  醤油桜飯およびキノコ桜飯を試料とし,7 段階評点法に よる官能評価を行った。パネルは北海道教育大学の学生 20 名である。評価は炊飯飯の食味に関連する「色」,「つや」, 「香り」,「味」,「風味」,「固さ」,「粘り」,「総合」の 8 項目 についてパネルが日常食している白飯のイメージを基準試 料 0 とし,醤油桜飯およびキノコ桜飯を試食して基準試料 よりも + 方向か,-方向なのかを+3 から-3 の 7 段階のカ テゴリー尺度により判定させた. (6) 統計処理  褐色度と抗酸化活性について,Tukey-Kramer の多重比 較検定を行った。また,褐色度と抗酸化活性との相関はス ピアマンの順位相関係数を求め検定した。醤油桜飯とキノ コ桜飯間の色調については t 検定を行い,p<0.05 を有意 差ありとした。また,官能評価について正規性の検定によ り Willcoxon 符号付き順位和検定を行った。統計解析は統 計ソフトのエクセル統計 2010(SSRI)を用いた。 3. 結  果 (1) キノコ抽出液の褐色度  試料の褐色度をキノコの種類別に Fig. 1 に示した。どの キノコの種類の間においても褐色度は有意差が認められた。 まずシイタケについてみると,90℃0 分の pH 4.0 と 90℃ 10 分の pH 6.0 以外は有意差がみられたことから,90℃ 0 分は加熱前より褐色度が有意に低い値を示したと言える。 ヒメマツタケは 90℃ 0 分の pH 4.0 と 90℃ 10 分の pH 5.0 以外は有意差がみられたことから,加熱前の褐色度が 90℃ 0 分,90℃ 10 分に比べて有意に高いと言える。特に加熱前 の pH 5.0 では褐色度が 0.033 で高い値を示した。アンニ ンコウは, pH が高くなるほど褐色度が高い値を示した。サ サクレヒトヨタケは 90℃ 10 分の蒸留水が最も高い値を示 した。 (2) キノコ抽出液の抗酸化活性  試料の抗酸化活性を加熱別に Fig. 2 に示した。どの加熱 条件間においても抗酸化活性は有意差が認められなかった。 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 DPPH (mM Trolox eq./mg)

Before heat

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 DPPH (mM Trolox eq./mg)

90˚C 0min

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 DPPH (mM Trolox eq./mg)

90˚C 10min

efdeff b-f a abc b-f ab b-e a-d b-f abc b-f b-f c-f a-d b b b b a bab ab b b bab b b b b

Fig. 2. Antioxidant activity of mushrooms extracts.

; pH 4.0, ; pH 5.0, ; pH 6.0, ; Distilled water  Values are mean±SD(n=3).

 Significant differences appears among samples at p<0.05 (n=3), when different alphabets are assigned on the condition-items within the same figure.

 No significant differences among samples on the same condition-items within each figure at p<0.05 (n=3)

(4)

90℃ 0 分において,シイタケでは蒸留水の抗酸化活性が他 の pH より有意に高い値を示し,ヒメマツタケでは pH 4.0 が pH 6.0 より有意に高い値を示した。ヒメマツタケの pH 4.0 の抗酸化活性は加熱前において,シイタケやアンニン コウの pH 4.0 よりも有意に高く,90℃ 0 分においてシイ タケやササクレヒトヨタケの pH 4.0 より有意に高い値を 示した。 (3) キノコ桜飯と醤油桜飯の色調  Table 1 に示したように L* 値,a* 値,b* 値のいずれも, キノコ桜飯と醤油桜飯との間に有意な差が見られた。しか しながら,⊿E を算出したところ 5.86 となった。 (4) キノコ桜飯と醤油桜飯の官能評価  日常食している白飯のイメージを基準とした桜飯の官能 評価から得られた評定平均値を Fig. 3 に示した。キノコ桜 飯と醤油桜飯はいずれの項目も有意差が認められなかった。 いても pH により変化し,褐変に pH が影響していること が示唆された。また,シイタケ,ヒメマツタケ,ササクレ ヒトヨタケにおいては,いずれの pH においても加熱によ り変化したことから,褐変には加熱処理が影響していると 推察した。  食品の褐変現象には酵素的褐変と化学反応による非酵素 的褐変がある。非酵素的褐変であるアミノカルボニル反応 は pH 7.0 付近や加熱により褐色度が進み,それに伴って 抗酸化活性も高くなると報告されている14)。キノコ抽出物 乾固重量あたりの褐色度と抗酸化活性との相関性を調べた 結果,Fig. 4 に示したようにスピアマンの順位相関係数 0.515 で有意に褐色度と抗酸化活性との間に正の相関が認 められた。褐色度が進むと抗酸化活性が高くなることがキ ノコでも示された。キノコの褐変はポリフェノールオキシ ダーゼにより生成されるメラニンによって起こると考えら れている15)。ポリフェノールオキシダーゼの基質である フェノール化合物は抗酸化活性を有することが報告されて いる16)。Cheung ら17)はシイタケおよびフクロタケを用い た報告で,抗酸化活性とフェノール類の含有量に正の相関 が認められたと報告している。そこで本研究でも褐変によ る生成物の中にフェノール類が抗酸化活性物質として存在 することが示唆された。  キノコの生理調節作用の多くは抗酸化活性と密接に関 わっていると考えられている18)。そこで,4 種のキノコの 抗酸化活性を調べた結果,90℃ 0 分のヒメマツタケに高い 抗酸化活性が認められた。また,90℃ 0 分のヒメマツタケ では,pHにより DPPH ラジカル消去能が 0.16 mM Trolox

Table 1. Lab color space value(CIEL*a*b*)of sakurameshi(n=8)

L* a* b* ⊿E

Soy sauce-sakurameshi 54.28±2.42 -1.24±0.49 3.75±0.60 Standard

Mushroom-sakurameshi 50.47±1.77* -0.67±0.33* 8.14±1.18* 5.86

*; Significant difference compared with Soy sauce-sakurameshi (p<0.05).

Fig. 3. Sensory evaluation of sakurameshi.

● ; Mushroom-sakurameshi, ▲ ; Soy sauce-sakurameshi

 No significant difference among the evaluation item samples at p< 0.05 (n=20) 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 O.D. 540 nm/mg DPPH (mM Trolox eq./mg)

Fig. 4. Comparison of DPPH value with the degree of browning.

 Correlation coefficient was evaluated by spearman’s correlation coefficient by rank test.

4. 考  察 (1) 調理過程における褐色度と抗酸化活性の変化  キノコの種類により褐色度が異なり,加熱前のヒメマツ タケが最も褐色度が高くなった。この原因の一つとしてヒ メマツタケ中には抽出物 1 mg 当たりの褐色成分が多く存 在することが推察された。褐色度はいずれの加熱条件にお

(5)

eq./mg から 0.32 mM Trolox eq./mg と変化し,活性値に 差がみられた。これは加熱や pH により抽出される成分が 異なり,その成分の抗酸化活性が異なるためと考えられる。 例えば,シイタケのうま味成分であるヌクレオチドは pH 6.3 からpH 6.5 付近で最も蓄積されると報告されている11) またキノコの代表的な抗酸化物質であるエルゴチオネイン は加熱や pH に対して安定で抗酸化活性は変化しないこと が報告されている19)ことから,エルゴチオネイン以外の抗 酸化物質がキノコ中に存在し,その含有量もキノコの種類 により異なることが示唆された。今後さらにキノコ中の 個々の成分を抽出し,抗酸化活性を検討する必要があると 考えている。 (2) キノコ抽出液を活用した調理  抗酸化活性の高いキノコ抽出液を毎日の食事に取り入れ, 活用するための調理法を検討するため,4 種類のキノコの 中で高い抗酸化活性を示したヒメマツタケを用いて検討し た。キノコ抽出液はだしとして日常的に利用されている。 しかし,だしの摂取量は全体の食事量から考えるとわずか であるので,キノコ抽出液をより多く摂取する方法として 主食の調理に着目し,桜飯とした。桜飯は醤油などの調味 料を加えて炊飯した炊き込み飯である20)。米の 1.5 倍の炊 飯液にキノコ抽出液を用いることで米に吸収され,煮物の ように煮汁を無駄にすることなく活用できる。桜飯の評価 をするため,日常食している白飯のイメージを基準にし, 色や味つけの最適条件を検討し,ヒメマツタケ抽出液を 2 倍希釈し,塩分濃度を米重量の 0.75%としてキノコ桜飯を 調製した。醤油桜飯は,醤油のみで塩分を 0.75%にすると 醤油の風味が強く,醤油の色が目立つため,キノコ桜飯と の差が小さくなるよう,塩分が米重量の 0.37%になるよう 醤油を加え,米重量の 0.37%の食塩を加えて,醤油桜飯を 調製した。  キノコ桜飯と醤油桜飯を色差計で測定した結果,色の差 が小さくなるよう工夫したにもかかわらず,明度を示す L* 値,赤色系を示す a* 値,黄色系を示す b* 値のいずれもキ ノコ桜飯と醤油桜飯との間に有意な差が見られたが,⊿E を算出すると,5.86 であり,印象レベルとして同じ色とし て扱える範囲であった。官能評価を行ったところ,キノコ 桜飯と醤油桜飯の色合いは外観では有意差がなく,総合評 価においても差がなかった。総合評価のスコアはキノコ桜 飯が-0.10,醤油桜飯が 0.26 であり,基準とした日常食し ている白飯のイメージに比べて,総合的な好みは殆ど差が ないと考えられた。このことから,日常食している白飯を キノコ桜飯に置き換えることが可能であることが示唆され た。キノコ桜飯を毎日摂取することで,機能性が付加され, 健康増進が期待できるものと考える。本研究では蒸留水を 用いた加熱条件のモデルとして炊飯を行ったが,今後は酢 の物など酸性の調理条件の領域でのモデル系についても検 討する必要がある。また,ヒメマツタケを調理に用いたが, シイタケやマイタケなど日常的に使われるキノコについて も検討する必要があると考えた。 5. 要  約  調理過程を想定して,異なる pH および加熱時間条件下 における 4 種のキノコ抽出液の抗酸化活性を褐色度ととも に評価した。その結果,540 nm の吸光度(褐色度)は, pH や加熱時間により褐色度合いが異なった。褐色度と抗酸化 活性との間には正の相関がみられた。抗酸化活性は,pH 4.0 で抽出したヒメマツタケが高い抗酸化活性を示した。  抗酸化活性の高かったヒメマツタケ抽出液を用いて,キ ノコ桜飯を調製し,醤油桜飯と比較した結果,色調測定で は有意差がみられた。官能検査ではキノコ桜飯は日常食し ている白飯と比べて有意差が認められなかったことから, 毎日の主食に取り入れることで,機能性増強が期待できる ものと考えた。  本研究を行うにあたり,色差計についてご指導頂きまし た小松恵美子先生に深く感謝申し上げます。また,本研究 にご協力頂きました岡本祥一氏にお礼申し上げます。 文  献

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Fig. 1. The degree of browning mushrooms extracts.
Fig. 2. Antioxidant activity of mushrooms extracts.
Fig. 4. Comparison of DPPH value with the degree of browning.

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