58 (16) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
シモ ダ マサ エ下田仁恵(昭和38
博士(医学) 甲第207号平成4年2月21日
学位規則第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程終了者)
ヒト脳腫瘍におけるガンダリオシドの組成分析 (主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 野本 照子,高桑 雄一論 文 内 容 の 要 旨
目的 脳腫瘍組織におけるガンダリオシドの組成分析を行 い,腫瘍病理診断とガンダリオシド(以下Gと略)の 組成変化の関連性および臨床応用への可能性について 検討した. 方法 手術時摘出標本の35症例および病理解剖2例の脳腫 瘍組織を試料とし,脂質成分を抽出後high perfor- mance thin layer chromatography(HPTLC)を施 行した.Gはレゾルシノール試薬にてシアル酸を発色 させ定量した,一部の腫瘍組織はpercollによる密度 勾配遠心法を用いて細胞を分離し,ダリア層の細胞105 個口のGを分析した. 結果および考察 1.脳組織正常部位の分析 正常部位におけるGの組成は,従来の報告とほぼ一 致した.細胞分離後のミエリン層とダリア層では,a系 (GM3, GM2, GM1, GDla)とb系(GD3, GIlb, GTlb, GQlb)の比率が逆転した. 2.神経上皮性腫瘍の分析 1)GD3は増加したが,報告されているような悪性度 との関連はみられなかった.比較的良性のグリオーマ においてa系/b系の値が小さい傾向がみられた.2)Astrocytomaでは他の腫瘍で検出されないG
が出現していたが,これはastrocytomaの診断におけ る有用性とともに,この抗体を利用する抗腫瘍療法の 可能性も示唆される. 3)Anaplastic astrocytoma(AA)ではGD3/b系 の値のみ増加したのに対し,glioblastoma(Gb)では GM3/a系とGD3/b系の値が増加した.さらに細胞分 離後のGM3は,正常ダリア細胞, AAでは検出されず, Gbで増加した.このとからAAとGbでは変化を受け る糖転移酵素やその活性に違いのあることが推察され る. 3.神経上皮性腫瘍以外の脳腫瘍の分析 Meningotheliomatous meningiomaではGM3の割 合が増加した.HemangioblastolnaではGM3, GM2 が検出されず,組織学的に近接しているhemangiob- lastic meningiomaとは大きく異なった変化を示し た.この結果は両者における細胞起源の解明や鑑別診 断の一助となる可能性を示唆している. 4.臨床応用について 今回GM3/a系のみの増加例はすべて良性腫瘍であ ることが確認された.GM3の増加はEGF依存性細胞 を抑制するという事実より,今後Gによる免疫療法 は,GM3を温存させることにより治療効果の向上が期 待される. 結語 脳腫瘍におけるガンダリオシドの組成分析を行った 結果,病理診断に関連する特徴的変化が確認され,診 断あるいは免疫療法など臨床的応用の可能性が示唆さ れた. 一662一59