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(シンポジウム 高血圧) 質疑,応答,追加,討論

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76 歴史の発露であると伺時に,その時時の循環器の動向 葱トする基盤でもある。 そこでもしこの方面からの解明が進展するならば高 血圧を強さの面か.ら段階づけるに止らず一というよ りむしろ質的な性格づけがより大きな意味をもつよう ’になり,惹いては循環器機能一般の理解にも大きな助 けになると考えられる。 これはもとより広汎かっ奥行きの深い課題であり, 中潮一夕に達成せられるべくもないが,とにかくこの 線に焦点を合わせながら協力してきた教室全員の仕事 の現段階を報告する。今回の報告で触れる予定の範囲 はまず心臓,大動脈,およびある種の臓器血管樹のあ り方から問題のいとぐちを見出そうとする一つの試み である。 4. 高血圧症の草野対策. (中山内科)山田喜久馬 高血圧症の治療に対し色々の方洗があるが・一番新 しいものは種々の血圧降下剤の使用である。しかして 血圧の降下剤も現在の所一応出つくした感があり,し かもこれらの使用によっても全治せしむることは困難 な場合が極めて多い。 臨床家として高血圧症の治療の根本は,全治せしめ ることが困難なことが多い現在においては,一応社会 活動が可能で,生命を延長せしめ得るようにもってゆ くことにあると考える。それ早いたずらに血圧の降下 をはかることのみに努力をそそぐべきでなく,高血圧 持続によって二次的に発生してくる病的状態,あるい は高血圧と合併してぐる病変の発生防止,またはその 進展の阻止に鍔ヵすべきであるρ , すなわち血圧計のみによって治療すべきでなく, 心,腎の異常,血管系の異常に十分注意をはらって治 療する必要のあることを強調したい。 シンポジアム「高血圧」 質疑,応答,追加,討論 質問 青島雄吾(生理);図に示された如く脳卒中 死亡率が終戦直後低下していたのがその後次第に増加 してきた原因として生活状態の改善と述べられており ますが東北地方における諸調査で生活環境の良いもの は高血圧患者が少いとの調査結果と矛盾していると思 われますが。 解答:,諸岡;日本で戦時申の栄養低下は脳卒中死亡 を少くし,高血圧患者も少くしたことは事実でありま す。かといって栄養状態が日本よりも良い欧米諸国は 日本よりも高い脳卒中死亡率を示すかというに,事実 は逆であります。栄養と脳卒中との関係は一概に割切 れない種々の矛盾がみられます。しかしいずれにして も,過剰の栄養がよくない以上に,低すぎる栄養が有 力な悪い条件となっていることは明かであります。 追加,蓑島高(生理);諸岡助教授の講演に対する 意見,社会生活が良い人に高血圧が少いというのはこ れは生活条件の内で,栄養摂取とその消費即ち運動と いうことがあるので生活様式によって異る。重役級の 人は摂取は多く運動は少いので高血圧となる。都会人 の多くは多忙の反面に運動が多く栄養も少いので高血 圧が少い。 追加,三神美和.(内科);脳出血を惹起するために は単に高血圧があるというだけでなく,血圧の動揺が 大きな誘因となるので,かような誘因に曝露される危 険は当然男子に多い。女子においては男子に比較して 高血圧が多いにかかわらず脳出血が少いことの一つの 理由と考えられる。 追加,蓑島高(生理);女子では年と共に」血圧の上 昇があり,男子の上昇より大きい場合があるが(高血 圧),脳卒中が少い,女子の血漿ヘパリン値が45才頃 までは男子のそれより高い値を示し,それ以後は男子 と同様に減少している,このことから女子はホルモγ 関係が大いに影響していると考えられる。 追加,中山光重(内科);只今の蓑島教授の御発言 に対して御参考までに申し上げますが,米国では心筋 梗塞等は女子に多くなっています。そのためにこれは 女性ホルモンに関係ありと見て女性ホフレモン注躯療法 が行われ,ある程度の効果は認められています。脳卒 中でもやはりホルモンの関係があるのではないかと思 います。 質問,菊地土竃(生理);脈波の描記には容量(C) の変化を民話にすることになると思いますがその中に 血管以外の要素例えば皮膚筋肉等はどのようになって いるのでしうか。 解答,蓑島;電気容量脈波計で描記きれる脈波の変 動は皮膚と金属環との間の電気容量が脈波による皮膚 の動揺によって変動する量を捉えたものですから,皮

膚その頭筋等のimpedanceの変化に影響されます

が,金属環の占める部分のそれ等の変動は等閑視でき ると考えます,但しアースと金属環の問のインtf−ti ンスの変動は影響すると考えます。之も目下数量的に 取扱っております。 質問,蓑島 高(生理);血圧が血管に働く場合に 生ずる血管の張力の分力は,血管の長さの方向,血管 壁に直角な方向及び血管径の切線の方向に分けて考え られ,その内最後の切線の方向の張力分力が大いに血 管の破裂などに関係すると思われるが病理学者のお考 えを伺いたい。 四割,松本;三方向への分力の効果の形態表現は現 在は未だ明瞭でありませんが,将来の問題としては単 に興味があるだけでなく,極めて必要な考慮条件であ ると考えます6例えば血管の分岐部とか迂曲部の変化 一 996 一

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77 などは特にそのような分力の分析が割き.な意味をもつ ていることは現在までの経験だけでも十分いえます。 質問,榊原 任(外科);身体各部の末棺血管の変 化は平行するや否や。 解答,松本;少くとも内臓と肢体末梢とは著しい差 があり得ます。しかし肢体の血管を多数例につき検す ることは一それから直:ちに内臓血管の状態を結論す る.ことが困難としても一一血管形態の機能病理学上甚 だ有意義であると信じます。 質問,菊地鐙出(生理);血管系に現れる形態学的 変化は各例によって必ずしも一様に各部に現れるとは 限らないとのことですが,内臓の血管系と筋肉の血管 系とは何か変化の程度に差があるでしょうか。 解答,松本;われわれは筋肉の血管は限られた部分 を常時検しているに過ぎないので各部の比較所見はは っきり申上げられませんが,それでも一般的に見て内 臓血管,とくに脳,心臓,腎等の血管程硬化性変化が ないことは確かです。これは先刻の話にも申上げまし たように機能分布の点で今挙げた内臓血管程の無理が ない為と思われます。 質問,窪 敦子(耳鼻科);松本教授へ,靱血の際 一般にはキーゼノレバッハ氏部位から出血が多いが,高 血.圧の際は臨床的に出血部位不明のことがある。病理 的に言って特別に弱い血管があるでしょうか。 解答,松本;未だその領域を精査した経験がなく, お答えできません。今後とくに耳鼻科方面よりその様 な定型的例を与えられる機会がありましたら逃さず調 べたいと存じます。 質問,甕 君代(衛生);我国の高血圧者は多く脳 潅血で倒れアメリカ等では心臓疾患で倒れるというこ とが衛生学方面で問題になっているのですが,病理解 剖などでそういった差についてお気付のことがあった ら伺いたい。 解答,松本;現在の処アメリカの事情について一一 ことにわれわれ自身が目本の材料について行っている ような方法論に基いた一一詳しいDataを知りません のでお答えし兼ねます。しかし目本の材料なりにある 臓器の斑管系が統一性を失う過程はだんだん明らかに し得ると考えておりますから,彼我の条件を比較する 基準を得る道は十分希望がもてます。 質問,松村義寛.一(生化学);蓑島教授へ,清澄因子 と.してのへt“ iJンが高血圧の治療対策の一つにあげら れるわけですがその裏付けとしてヘパリンの作用の一 つが脂血症の清澄として把握されているように思いま す。ところで脂血症が高血犀を惹起する因果関鋒ζし て血漿中に畢なった相として析出レた脂質が脈管系就 中大動脈などに沈着することによりその弾性を失わし めるものと.諒解せられるがどうか。 解答,蓑島;ヘパリンが脂血症清澄作用のあること は明かですが之が起る場合の因子は多数あります。 脂血症の際に超遠心機的に軽い,而も分子の大きい β一1ipoが増し,重い,分子の比較的小さいα一lipoが 減少しております。この大きな,.コレステ・一ルを多 く含む粒子が大動脈の内層及び中層に沈着し,二次的 に弾性線維の変性と膜の肥厚を起しますから,弾性が 失われ容積弾性係数は増加します。 質問,山神美和(内科);山田先生に,ここのドッ クでは腎機能試験としてP.S.P.排泄試験をも行って いる。これは腎血流量に平行するといわれているの で,クリアランス試験の代りとしても良いと患う。如 何か。 解答,山田;P.S.P.試験はある程度腎血流量に平 行するといわれていますので,之で腎機能の一端をう かがう手段としております。勿論クリアランス試験を 行うにこしたことはありませんが,これを施行するた めにはそれだけの人手を要しますので現在の所は行っ ておりません。 追加,松村義寛(生化学);高血圧でドック入りし た患者に対する一般検査としてクリアランステストは 是非必要であろうと息う。 質問,山田喜久馬(内科);1. ヘパリンが高血圧 に関係があるという証拠をもう一度お聞きしたい。 2. リポスタビールがコレステロール投与家兎の血 清リボ蛋白の低下をきたすといいますが,しからば投 与きれたコレステ・ッレの運命はどうなっているので しょうか。(体内に蓄積されるか,消費されるか,吸収 されなくなるか) 解答,蓑島;1・高血庄と過コレステ・ツセ血症と は直接の関係はないとしても,ヘパリンが実験的過 「コ」血症の血清に対して,明澄作用のあることが明か であるので・高血圧患者で血清の濾紙電気泳動図の異 常を示すものに対し,太田がヘパリンを注射しひとこ ろ,血清も正常に近づき,』血圧も下降してきて諮りま す。独逸の文献にもヘパリンの血圧降下作用が出てお ります。

2.Lipostabilは独逸のNattermann製でその主

成分は不飽禾ロ脂肪酸を含む燐脂質であります。リポス タビールの経ロ投与によって血清のCIP比が変って, その結果(恐らく膠質化学的変化による)β一り.ポが α一リボに変りより小さい粒子となって,肝臓その他の organで利用されると考えます。 質問,三神美和(内科);蓑島先生にお聞きした い。只今ヘパリンを高血圧に用いたら良いと言われま したが,ヘパリンは抗凝固剤でありますので,之を使 一一 9gy 一丁

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78 引する時は血液凝固検査をする必要があるのではない か,もしこれを必要とするならば臨床上の使用は少し 煩わしいと思うが如何か。 解讐,蓑島;私の前任の教室(北大医学部第一生理) の太田の行った患者への1回の注射蚤は10,000単位 (ヘパリン約・80mg)で,之を2日おきに総計4回注射 しております。之の注射で凝固時間に対し,或る程度の 影響はあるとは思いますが,外科手術(人工心肺など) で行っている平なプ・タミン等の後処置は必要ないと 考えます。実際太田は左様な処置をしておりません。 文献;太田豊;高血圧者における血清「リポプロテ イン」の濾紙電気泳動的研究。

逓信 医学第9巻,第3号,昭32年3月

質問,窪 敦子(耳鼻科);諸岡助教授へ,脳卒中 死亡率は四国が最低とのことで食物との関係はあるこ とは伺いましたが飲物殊にアルコールの量との関係は 何か出ていませんでしょうか。 解答,諸岡;四国の人が酒を沢山飲むかどうかは存 じませんが,日本列島全体としてみれば,脳卒中死亡 率は一般に東北の寒冷な地域に高く,西南の温暖な地 域に低いのです。酒と脳卒申死亡との関係は,明かに 悪い影響があるという結果は,少くとも疫学調査では 見当らないようであります。 追加,甕 君代(衛生);飲酒と高血圧による死亡 との関係については統計学的の結果はまちまちです が,世界各国聞などでは相関々係はでておりませんが 地域を狭めての観察では時として飲酒量と脳出血.死亡 との間に有意の順相関を出しているところもありま す。 質問,磯田仙三郎(小児科);アルコール(酒類) の高血圧に有害なる理由を質問する。 討論,榊原 任(外科);理論的根拠はないがやは り酒を飲んだ後に卒中で倒れる者が多いのではない か。 討論,中山光重(内科);高血圧者が酒を飲んでよ いか否かについて古い医学的実験があり酒を飲むと血 圧はむしろ低下するがその後で却って反射的に上昇す るのであまり酒を飲むのはよくないといわれている。 質問,広沢弘七郎(学研);脳引時と死亡率の間に 矛盾があるといわれたが脳卒中には脳出血もあり脳軟 化もありで高血圧と因果関係を直接に持つたものばか りとは限らない。この辺の差が問題になるのであって かんたんIC「ムジユン」と言えないのではないか。内 科医iの立場よりする時は脳出血と脳軟化の鑑別は極め て難かしくとても簡単に割切れるものではないと考え る。 解答,諸岡;もとより脳出」血と届けられたものの中 には,病理学的に診断の誤ったものも多いことであろ うが,一応「中枢神経系の血管損傷」の90%近くは ”脳出血”となっているので,大数観察としては大き な誤はないと考える。 質問,松本武四郎(病理);脳卒中の死亡率に対し て狭心症の死亡率はどうなっていますか。・ 解答,諸岡;日本では脳卒中死亡率が1956年人口 10万対148で第1位なのに対し,心臓疾患死亡率は66 で第4位であり,その中でも心臓の機能性疾患は死亡 率としてはごくわずかで,人口10万対0.5にも満た ぬ程度であります。 質問,坂元八千代(開業);高血圧の死亡率につい て職業と食物についてのデーターを問う。 解答,諸岡;日本で脳卒中死亡率の最:も高いのは 「採鉱採石的職業」で,他より目立って高く,「農林漁 業従事者」,「運輸従事者」,「工員,単純労働者」など がこれにつぎ,最:低は「管理的職業」で,他より目立 って低い。 高血圧と食物との関係は,脂肪や食塩について数多 の研究があるが,死亡率を算出することはむつかしい。 質問,岡本ちよ(三崎保健所);統計上の問題につ いて諸岡助教授に質問致します。高血圧の統計をとる

場合血圧の限界値は現在160mm或は150 mmとい

われ又年令によって限界値を変えるべきだと思います がその限界値をお教え願います。 丁丁,諸岡:高血圧の限界値は最大血圧140,或は

150,又最大150,最低90,或は最小100,又40才

未満140/90,40才以上150/90,その他研究者により 甚ださまざまであり,規準線は決定しておりません。 個別指導では他の症状をも考慮し,また集団では年令 別血圧の分布状態を観察してゆかねばならないと思い ます。 質問,織畑秀夫(外科);〈1)高血圧が次第につよ くなるにつれて各臓器に二次的変化をきたすといわれ ましたが,この点で一寸血圧が高くなった時期に予防 的に血圧下降剤を用い,長く用いることは如何でしよ うか。 ② 高血圧が持続していても二次的変化を起さない という場合,それが如何なる原因によるものか分りま せんか。 解答,山田:1.高』血圧の持続によりある人には急 速に二次的」血管病変が発生し,ある人には長期にわた っても二次的血管病変が発生しませんが,事前に之等 を鑑別診断することは現在困難ですので,高血圧の発 生をみたときには血圧降下剤を直に使用し,正常血圧 を維持するように努力することがよいと考えます。 2.現在の所全く不明であります。 一 988 一

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79 質問,井上幸子(開業);臓器の循環に障害を与え ない程度に血圧を下げる目標又循環障害を見つけるの に必要なめやすになるものをお教え下さい。 解答,山田;1.降圧剤に対する感受性が個人によ ってかなりの差があること,及び降圧剤療法に伴う危 険性は,高血圧によるご次的血管病変の程度に比鮫的 平行することが認められていて,安全に血圧を下げう る程度は各個人ごとにきめるべきであるが,一般的に 言ってKeith−Wagenerの分類}こよる眼底所見が第ご 度までのものは大ts[i11常の血圧まで下げてよいとさ れ,脳,心,腎の合匪症のあるもの及び眼曙所見第三 度以上のものは降庄剤使用前の嵐圧の80 v90%に留 めておいた方がよいとされている。 2.循環章碍を見出すのに必要なめやすとなるもの は,眼底網膜所見,心電図所見,腎機能所見(尿量, 四通,血中残余窒素量,クリアランス値等,特に血申 残余窒素の測定,尿蛋白の定性等はどこでも測定しう る方法です)が主なものと考えます。 一 989 一一一

参照

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