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大学生の進路決定過程における阻因の対処形態について―教職課程選択者を対象に―

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(1)

大学生の進路決定過程における阻因の対処形態につ

いて―教職課程選択者を対象に―

著者

若松 養亮

雑誌名

東北教育心理学研究

3

ページ

29-40

発行年

1989-09-25

URL

http://hdl.handle.net/10097/00121870

(2)

大 学 生 の 進 路 決 定 過 程 に お け る 阻 因 の 対 処 形 態 に つ い て

一 一 教 職 課 程 選 択 者 を 対 象 に 一 一

若 松 養 亮

(東北大学)

1

.

問題と目的 職業が個人の生活に対して持つ重みは変化しつつある とはいえ,自分の乙れからの生活の中にどのような職業 をどう位置づかせるかを決める進路選択は,本研究の対 象である大学生に限って見ても,今なお重大かっ困難な 課題と言えよう。会社訪問等の前段階である意思決定時 でのいきづまり,すなわち「進路がなかなか決められな いJという悩みで学生相談所を訪れる大学生は多いと言 われているが,乙れは筆者の周囲の学生からもよく聞く 悩みである。 しかしそういった学生の多くは,結局は卒業までには 進路を決める。それまで決められなかった人が決める乙 とができたのは,彼らの進路選択状況にどのような変化 が生じたからなのであろうか。決められないでいるうち は,彼らは自分が持っている進路の選択肢それぞれに対 して,何らかの気がかりを抱いているのだろう。例えば 「教師は性格的に向かないし,企業は忙し過ぎる」といっ たようにである。決められない人たちは,乙の気がかり が決定の主要な障害となっていると予想されるが,それ では決定できた人は,かつて抱いていた気がかりを解消 できたのだろうか。筆者の周囲の学生を見ると,そうで ない場合が多いように感じる。もし多くの人による決定 が,そのように気がかりの解消を諦めた上でのものなら ば, 一見対極にあるように見える、決定'、未決定グの 二つの状況聞に,それほど差異は存在しない乙とになる。 もしそうであれば,未決定者を研究する際の方法論が 問い直される必要がある。未決定者 iζ 関する研究はこれ まで,米国では数多く,日本でも下山(1986) らによっ て行なわれてきたが その多くは未決定の学生を早くか ら予測・判別する乙とを主な目的とし,

I

進路がなかな か決められない」という学生の特性を明らかにしようと してきた。それらの研究の多くは,未決定者を決定者と 比較するという方法を用いて,両群間で差異を示す変数 を幾っか報告している。自我同一性の確立 CHolland, J. L.etal. 1977), 時 間 展 望 CSavickas,M. L.et al.1984) などがそれである。乙のような知見はまた, 「し、ま決められない人はどうすれば決められるかJとい う援助の問題に有効な答えを出してくれるかに思えるが, そ乙に決定者が行なった決定の質の問題が関わってくる。 すなわち決定者が気がかりを解消できた人々であれば, その知見を援助 lζ 適用する乙とは有効な乙とである。し かし決定者の多くが気がかりを解消できずに.特に妥協 によって不承不承決めているのであれば,比較から得ら れた結果を援助の知見とする乙とは,単に「決める乙と」 のみを目標とするζとになりかねないのである。 以上の問題意識から,本研究では未決定の対極として 決定を位置づける前Ic,決定の特質と決定への態度及び そのプロセスを検討する。すなわち,どのような気がか りを抱いていた人が,それらをどの程度解消した上で決 定しているかという検討は,乙れまであまり行なわれて 乙なかった,進路選択・決定の質的な評価であり,それ によって今後の未決定者の援助を意図した研究の方法を も検討する乙とになるのである。 なお、気がかりグとは,本研究においては「特定の進 路(本研究では教職)への意思決定を妨げている否定的 条件J,.._,例えば, I教師は精神的苦労が大きいと思う

J

など に起因する不安などに限定する。ζ乙ではその否 定的条件を、阻因グと呼称する。勿論その他にも,その 進路 lζ決める乙とを妨げるものには,他の進路候補(以 下、候補グと略) Iとより惹かれる乙と 例えば企業の方 が給与がいいなど, 言わば他候補の、誘因が による場合 である も含まれるであろう。しかし乙の誘因に関して は,その進路意思決定に対して阻害的に作用しているか どうかが被験者自身に識別されにくいと考えられる。そ 乙で今回は,阻因による気がかりのみを取り上げる乙と とした。 また,研究対象を教職課程選択者に限定した経緯は以

(3)

下の通りである。、進路未決定'と呼ばれる現象の中に は,

I

自分の進路の選択肢がさっぱり浮かばない」といっ た,候補を挙げる段階でのいきづまりも含まれるが,本 研究が対象とした未決定とは,候補を幾っか持っていて なおかっ決められないという状態である。乙のような意 味で,少なくとも教職という候補を持っていると考えら れる,教職課程選択者を対象者とした。筆者の先行研究 (1986, 1987)から,職種を特定した方が項目も具体的 に作成でき,詳細な状況まで見られると考えた乙とも, 対象者を限定した理由である。企業など他の職種に限定 しなかった理由としては,教職に関しては免許取得のた めに一定の単位が必要であり,採用のための試験勉強の 内容が比較的明確である一方で,企業等にはそういった 事情がない乙とが普通であり,かなり非主体的な取り組 み方でも志望可能であると予想されたためである。なお 乙の研究は,教職以外 iζも就職可能な求人が多く,その 中から選択する乙とが比較的容易であるという状況の大 学の学生を対象に行なわれた乙とを付記しておく。 ll. 本 研 究 の 仮 説 【仮説 1】 進路を決定した人〈ω1)の中 iにζは,まだ していない人 lに乙比べて,決定にあたっては,気がか りになる乙とを解消できていなくても仕方がないと いう態度(現実的態度)を有する人が多いだろう。 乙れは,前節に述べた「決定者Jζi関する予想(、決 定者の多くは,決定前に抱いていた気がかりを解消して いないのではないかつを 、阻因に対する態度'の側面 から検証するものである。進路をなかなか決められない でいる人には,

I

阻因は決定前には解消したい」という 態度(理想的態度)があるのではないか。それに対して, 決定した人の多くは,

I

阻因は解消できなくても仕方が ない」という態度(現実的態度)を,仕方なくにせよ身 につけていたのではないか。(2) 前節で慎重さを要するとした、決定者と未決定者の比 較グという方法をととで用いるのは,本仮説の意図が未 決定者への援助にあるのではなく,むしろその危険性の ( 1 ) 後にも示すように,

I

教員採用試験を受験するか どうかJを決めた人を決定者決めていない人を未決 定者とした。 ( 2 ) 乙乙での、理想的態度μ 、現実的態度グという命 名はそれぞれ,

I

未決定者の多くが理想とすると予想 される態度J

I

決定者の多くが現実的な感情から持っ と予想される態度Jという意味からなされたものであ り,筆者から見て理想的な態度であるかないかという 価値観に基づいた命名ではない。 検証をする乙とにあるからである。 【仮説 2】 決定した人の阻因それぞれの処理に関して, 解消型処理と回避型処理 lζ分ければ,解消型処理が 優勢な阻因の数より回避型処理が優勢な阻因の数が 多いだろう。 乙の仮説は,実際の回因の処理の側面から,前節 lζ述 べた予想を確かめるものである。決定した人が決定前 lζ 持っていた阻因それぞれについての処理様式を,何らか の対策を講じたり情報を収集したりした解消型とそういっ た乙とをしなかった回避型に分けて 各処理型が優勢で ある回因の数を比較する。 【仮説3】 阻因を解消して決定した人は,阻因を回避 して決定した人に比べて,決定 lζ対する確信度が高 いだろう。 阻因を回避して進路を決めた場合,さまざまな問題が 生じる可能性がある。例えば就職後の職務不適応や職場 不適応がそうである。乙れらは追跡研究を行なう乙とに よって確かめる乙とができるが,一方就職以前に表面化 する問題もある。決定はしたものの,それが不本意なも のである故の悩みである。仮説3では阻因を回避的に処 理する乙との影響のひとつであると予想される,乙の確 信度の低下の可能性を検証する。 最後に3つの仮説聞の関連について言及しておく。仮 説1・2では,決定前に抱いていた気がかりの解消とい う点から,多くの学生が行なっている決定の質的評価を 行なっている。乙れらの結果を踏まえて,未決定者と決 定者の比較の知見を援助に適用した場合の具体的な弊害 のひとつを間接的に検証しようとしたのが仮説3である。 乙れら3つの仮説によって,援助を目的とした未決定研 究にとっての,決定者と未決定者を比較する方法そのも のの良し悪しを検討してし、く。

I

D

.

方 法 (1)調査の概要 調査は質問紙法で行なった。対象はT大学文科系の 3・4年生のうち,英語・国語・社会いずれかの教科 教育法の講義を選択している学生である。調査期日は 1987年10月8--24日である。なお本研究では特に意思 決定段階を問題としているため, 4年生はその年の春 の時点を回想して回答してもらった。被験者は表11乙 示したように101名である。 (2)未決定者・決定者の定義 被験者はまず質問紙の冒頭で 「教員採用試験(以

(4)

-30-表1 被験者の属性 3 年 4 年 他 メ仁h3、 男 女 男 女 男 女 男 女 文 17 18 4 3 1 1 22 22 教 育 26 9 5 4

。。

31 13 経 済

。。

1

。。

1 1 1 法 3

4

。。。

7

企仁益1、 計 46 27 14 7 1 2 61 36 下,教採試験と略)を受験するかどうか

J

をどの程度 決めているか(決定地位と称する)について,以下の 選択肢からひとつ選択している。乙乙でア ウのいず れかに該当する人が未決定者,エ カのいずれかに該 当する人が決定者と定義された。 「ア.とりあえず教職科目を選択しているが,教 未 │ 採試験を受験するかどうかわからない。 決

ィ.まだ迷っているが,教採試験を(も)受験 定 │ する乙とになるだろう。 L ウ.まだ迷っているが,教採試験は受験しない だろう。 「エ.教採試験を受験する乙とに決めた。そして 決 │ 他の職種も併願する(かもしれない) 定 │オ.教採試験を受験する乙とに決めた。そして │ 他には何も志望しない。 」カ.教採試験は受験しないと決めた。 「決定した人」の中からは,いわゆるすべりどめで決 めた人を除いた。なお,地位カの「受験しないと決め た人

J

を決定者に含めたのは,仮説 1の検証において のみである。 (2)理想的態度・現実的態度 仮説 1の検証に用いられた理想的態度と現実的態度 は,以下の方法で測定された。本稿末の

APPENDIX

1 K示したように,理想的態度 (A) と現実的態度 (B)を表わした態度の対6つを左右に分けて提示し, 4 (A に近い) --1 (B に近い)の 4件法で評定し てもらった。6項目のうちアは包括的に尋ねるもので, 他の 5項目は比較的問因になりやすいと考えられるも のを項目化した。 (3) 阻因の定義 被験者には, 20項目から成る教職についての気がか りのリスト ω lと対して,以下の 5段階で評定しても (3 ) 周年 7月の予備調査の結果から,

I

教職について の気がかり」になったものをまとめ,後に示す20項目 を作成した。 らった。乙乙で5または4と評定された項目を,その 人にとっての阻因と定義した。

(APPENDIX2

参照)

15

乙の乙とが気になって教職志望を断念し 阻因 (かけ)た(乙とがある)。

L4

乙の乙とが気になって教職志望の決定がた めらわれた乙とがある。 3 :気がかりではあったが,乙のために教職志 望をためらうほどではなかった。 2 あまり気がかりにはならなかった。 1 気がかりにはならなかった。 なお,評定3の項目を間因 iζ含めなかったのは,

I

ど ちらかというと気がかりだった

J

という,程度の弱い 気がかりを排除するためである。 (4) 処理様式の測定 「教採試験を受験すると決めた」人のうち,阻因を 1つ以上持っていた人は,さらに自分の該当する阻因 それぞれに対して,それをどう処理して決定したかを 以下の選択肢から選択して,最も近いものを回答した。 乙のうちア ウが阻因を解消して決める処理(解消型 処理),エ・オが阻因を回避して決める処理(回避型 処理)と定義した。 「ア.自分なりの取り組み方(対策)を考えた 解消型 │ イ.耐えていけると判断した しウ.事情がわかったので、気にならなくなっ た 「エ.あまり気にしない乙とにした 回避型 │ L オ.ア エのようなことは何もしなかった (5) 決定に対する確信度の測定 教採試験の受験を決めた乙とに対する確信度を測定 するために,次の3つの項目を用意し, 5 (あてはま る)--1 (あてはまらなし、)の 5件法で評定してもらっ た。 ア.私が教採試験の受験を決めた経緯には,悔やま れる部分がある。 イ.周囲を見ると,自分が教採試験の受験を決定し た時よりも,納得のし、く選択をしている人がけっ 乙う多い。 ウ.実際に教師をしてみてうまくし、かない乙とがあっ ても,私は今回の選択を悔やまないと思う。 ア.とイ.は逆転項目なので,分析結果を本稿に示す 際はすべて換算した値を掲載した。

(5)

2

阻因への態度評定の分布と平均値・標準偏差 質 問 項 目 4 3 2 1 平 均(SD) ア. A:進路選択にあたって気がかりな乙とは,決定するまでに解消したい。 32 30 2.84 B:進路選択にあたって気がかりな乙とは,実際に仕事をしてみて解消する。 21 13 (1.03) イ. A:進路選択にあたっては,ある程度将来の乙とまで考慮してきめたい。 65 28 3.53 B:進路選択にあたっては,将来の乙とよりも当面のことを重視して決めたい。 5 3 (0.73) ウ. A: 試験合格が難しい進路でも興味があれば志望した~

'

0

40 37 3.13 B:進路選択には,そ乙へ合格する可能性がある程度高いことが前提となる。 21 3 (0.84) エ. A:進路は,就職後に最悪の環境に配属される可能性も考慮して決めたい。 18 25 2.38 B:配属先の当たりはずれを気にしていても仕方がない。 35 23 (1.02) オ. A:天性の素質(才能)のある・なしは大切である。 22 50 2.89 B:才能のある・なしは,就職後に十分補える。 25 4 (0.78) カ. A:その仕事が好きなだけでは勤まらないと思う。 15 33 2.41 B:その仕事が好きであれ,

;

f

,何とかやっていけるだろうと思う。 31 22 (0.99) ※分布:4 (AIと近い)--1 (B 1<:近い) 町. 結果と考察 (1)理想的態度・現実的態度の全体的な傾向 まず、被験者全体について 阻因に対する態度評定の分 布と評定平均値・標準偏差を表 2ζ示したI 。最も理想的 態度 (A) 寄りの分布を示したのはイ(将来と当面〉で あり,一方最も現実的態度 (B)寄りの分布を示したの はエ(配属先)で,カ(好きなとと)がそれに準じてい る。全体としては理想的態度寄りの分布を示した項目が 多かった。乙れはひとつにはA が誠実で真撃な態度, Bが投げやりでいい加減な態度であるとの印象を持たれ やすいためではないか。 またとの6項目への評定間の相関係数を算出してみた (表 3) が,ほとんどの値が低かった。乙れはイ カの 表3 決定態度項目聞の相関係数 イ ウ エ オ カ ア 0.433 0.070 0.242 -0.035 0.028 イ 0.147 0.116 -0.107 -0.165 ウ 0.105 -0.009 -0.051 エ -0.011 0.261 オ 0.057 項目において個別の気がかりを項目化したためという可 能性と,両態度の概念ζl幾つかの独立な側面が混在して いるためという可能性が考えられる。したがって仮説1 の検証にあたっては,各項目を独立に見ていく ζとにし た。 (2)未決定者・決定者間での理想的態度・現実的態度の 比較(仮説1の検証) 仮 説1を検証するために,決定者群 (51名).未決定 者群 (45名)それぞれについての阻因に対する態度(理 想的態度 現実的態度)を比較した。なお,教採試験を 受験するかどうかをどの程度決めたかという,教職決定 地 位 ( 皿 の (2 )参照〉の分布は表 4に示す。 表4 決定地位別の人数 未 決 定 者 決 定 者 地 位 ア イ ウ エ オ カ 3 年 18 16 5 16 6 12 4 年 2 4 1 6 2 6 他 1

。 。 。

1 1 メE L1 21

20 6 22 9 19 未決定群と決定群の比較の結果を表 51C示す。 t検定 の結果,ア(気がかりの解消)のみで有意差が見られ (t= 3.63, P<. 0 0 1 ),エ(配属先)・カ(好きな 乙と)でもその傾向が示された。包括的に尋ねたアで群 聞に有意差が見られたのは予想通りの結果だが,群聞に 差のない項目があり,仮説は支持されたとは言えない。 差が見られなかった項目があったのは,分析方法の妥 当性にもよるのではないか。すなわち地位ア ウ,地位 エ カをひとまとめにした乙とにも一因があったのでは ないか。そ乙で決定地位別にプロフィールを描いたのが -

(6)

32-表5 未決定群と決定群の比較 表6 停滞群と切迫群の比較 平 均

S D

t値 平 均 未 3.20 0.78 停 3.22 ア(気がかり解消) 3.63牢** 決 2.45 1.16 ア(気がかり解消)切 2.38 未 3.59 0.57 停 3.67 イ(将来と当面) 0.67 イ(将来と当面) 決 3.49 0.86 切 3.44 未 3.18 0.81 停 3.11 ウ(合格可能性) 0.63 ウ(合格可能性) 決 3.07 0.88 切 3.∞ 未 2.57 1.∞ 停 3.00 エ(配属先) 1.36 エ(配属先) 決 2.29 1.00 切 2.67 未 2.86 0.82 停 3.33 オ ( 才 能 ) 一.44 オ ( 才 能 ) 決 2.93 0.71 切 2.44 未 2.61 1.01 停 2.56 カ(好きな乙と) 1.93 カ(好きな乙と) 決 2.20 0.92 切 2.∞ 上段…未決定者群下段…決定者群 林事…P<.001 上 段 … 停 滞 群 下 段 … 切 迫 群 項 目 ア (気がかりの解消) 項 目 イ ( 将 来 と 当 面 ) 項 目 ウ ( 合 格 可 能 性 ) 項 目 エ ( 配 属 先 ) 項 目 オ ( 才 能 ) 項 目 カ ( 好 き な こ と ) 4 , , @ ⑦ ( ] )

@

X 0 ~ 3

o

0

2 AIC近い どちらかというとA どちらかというとB 図 1 決定地位別の阻因 iζ対する態度プロフィーノレ

S D

t 値 0.92 1. 72 0.99 0.47 0.59 0.96 1.00 0.24 0.82 0.94 0.67 1.05 0.82 0.50 2.63

*

0.83 1.47 0.67 十 ・ ・P<.05 B に近い

(7)

図 1である。ほとんどの項目において,未決定者(地位 ア ゥ:破線で示した)は比較的まとまった分布を示し ているのに対し,決定者(地位エ カ:実線で示した) では一括して扱うには問題がある項目がある。差が見ら れなかった項目のイ(将来と当面)とウ(合格可能性) では,地位オ(専願群)と地位エ(併願群)がかなり異 なった分布をしており,また項目オ(才能)においては 地位カ(断念群)が異なった分布をしている乙とがわか る。 乙れらの結果をふまえると, I決めたかどうか」のみ による比較では不十分なので,より被験者を限定して見 る乙とにする。すなわち未決定者の中から「試験を受け るかどうかをなかなか決心できなくて,最近焦っている

J

という項目に「あてはまる

J

Iややあてはまる

J

と回答 した人を、停滞群'として抽出し,決定者のうち「試験 の準備にはぎりぎりで決めた

J

という人(切迫群)と比 較した(表6)。乙れは,仮説 1の予想が最も顕著に現 れる人たちと考えたためである。すなわち,前者は理想 的態度ゆえに停滞している乙とが予想され,後者はぎり ぎりになって決めるためには現実的態度を持つ可能性が 高いと予想されるのである。結果は,差が見られなくなっ た項目がある一方で,オ(才能)が新たに有意差を示し た (t= 2.63, P<. 0 5 )。しかしやはり仮説は支持さ れない。 二通りの分析のどちらにおいても差が見られなかった イ(将来と当面)・ウ(合格可能性)については,扱っ たトピックの性格にもその一因がある乙とが推測できる。 すなわちイでは, I将来の乙と」と「当面の乙と」がそ れほど対立的な乙ととして考えられていなかったため, そしてウでは,教採試験に関する限り,それほど難しい と考えられていないために差が見られなかったのではな し、か。 差が見られた項目に関しても,今回の方法では,現実 的態度を持つ乙とによって決定できた人と,決定したた めに(言わば合理化によって)現実的態度を表明した人 の区別ができないという欠点がある。今後は乙の乙とを 補える方法を考える必要があろう。 また被験者を限定した場合,オ(才能)において差が 見られ,停滞している人がぎりぎりで決める背景に,乙 の、才能'への乙だわりがある乙とが示唆された。乙れ は,多くの人にとって重要な進路選択の基準と推測され る「能力・適性」に関連した問題であり,その意味でも 未決定の要因として考えられるので,今後詳細に検討し fこし、。 (3) 決定者の実際の阻因処理様式 まず,項目化された20の教職の否定的条件に対して評 定された問害度の平均・標準偏差と,その阻因に該当し ていた(評定値4または 5の)人の数を表 71[.示す。全 体的 iζ は,教師の仕事の内容に関わったものが臨害度が 高く,教師という職業の特性に関するものが低くなって いる。ただ,今回のデータは,教職課程を選択した人, 言いかえれば教職を進路の候補に入れた人のものである 乙とに注意すべきだろう。すなわち,教職を候補に入れ ることを断念した人の結果は,これと異なる可能性があ る。 (4)解消・回避の各阻因処理様式が優勢な阻因数の比較 (仮説 2の検証) 仮説 2の検証の対象となるのは,教採試験を受験する と決定した人のうち 1つ以上阻因を持っていた人であ る。乙の条件を満たすのは,決定者31名中20名であった。 さらに 1名は処理様式の設聞に答えていなかったので, しめて19名の阻因処理様式が検証の対象となった。 仮説 2検証のために,各項目ごとにそれを阻因と評定 した人が,決定に際してどう処理したかを表 8で見てみ た。阻因によっては該当者が少ないものもあるが,約半 分の項目において阻因回避型の処理が多くなされている。 また,総合してみると解消型が延べ44,回避型が延べ41 であった。やはり回避型は半数であり,仮説2は検証さ れたとは言えない。しかし,半数という数は決して少な し、数ではないというととは言えるだろう。 乙乙で3人以上該当している項目をもとに,阻因の処 理様式を規定する阻因側の要因を考察してみると,次の 2つの特性が挙げ‘られる。①職K就く以前から,ある程 度その状況が予測可能なものかどうか。予測が可能であ れば,それに対する対策(処理ア)や許容可否の判断 (処理イ)ができるだろう(回避型優勢の例は 5I生徒 指導の力量」と 17I自分を生かせるかJ)。②一個人とし て対策が立てられる性質のものかどうか。解消型処理が 多い 2(対人関係)や 3(性格)のように,自分の振舞い方 次第で解消可能なものと,回避型処理が多い

7

(管理され た状況)や8(閉鎖性)のような 教師という職に特徴的 な,しかも容易に変えられない状況は対照的である。 ω ( 4 ) 乙の 2つの特性は,、解消を難しくしている阻因 の特性'と解釈できるが,厳密に言えば,回避型処理 が多くを占める阻因が,必ずしも解消しにくい阻因と は言えない。というのは,その阻因を持っていた人た ちの,解消のための努力が一様とは言えないし,また すべての人が解消したいと考えていたとは限らなし、か らである。

(8)

-34-表7 教職阻因の阻害度評定・阻因該当者数 No. 項 目 評 定 平 均 S. D. 阻因該当者 1 教職単位や採用試験の乙と 2.86 1.18 5人 2 生徒や同僚教師との対人関係 2.70 1. 07 5 3 性格が向かない乙と 2.74 1.28 5 4 授業(教科教育)の力量 2.85 1.13 6 5 生徒指導・学級運営の力量 2.92 1. 19 7 6 教師を続けていく意欲 2.67 1.21 2 7 教師や生徒が管理されている現状 3.12 1.19 8 8 教師社会の閉鎖性 3.20 1. 28 8 9 どんな学校(または土地)に赴任させられるか 2.40 1.20 1 10 忙しさ・自分の時間がとれる程度 2.23 1. 03 4 11 組合のこと 1. 97 1.15 2 12 責任の大きさ 3.00 1.14 6 13 生徒への人格的影響力が大きいこと 3.03 1.13 7 14 給与・経済状態の乙と 1.98 0.92 1 15 精神的苦労・肉体的疲労の大きさ 2.80 1.02 3 16 万一転職(または他県で再受験)する時のこと 1. 92 1.08 1 17 自分を生かせる仕事かどうか 2.84 1.24 7 18 将来(結婚後など)の私生活とのかねあい 2.22 1.11 1 19 世間の教師を見る目 1.87 0.96 1 20 仕事における理想と現実のギャップ 2.93 1.21 5 ※阻因該当者とは,その項目1L4以上の評定をした人を指す。 表8 阻因ごとの処理状況 阻 因 N.o 1 2 3 4 5 6 ア(対策) 1 2 1 3 3

処 理 イ(耐えていける) 1 1 2

。。

1 の ウ(情報)

。。。。。。

形 エ(気にしない) 3 2 2 2 4 1 態 オ(何もしない)

。。。

1

。。

ア ウ(解消)の% 40 60 60 50 43 50 今回は自己申告に基づいて阻因処理の様式を見てみた が,それでも約半数の阻因が回避的に処理されていた。 乙の処理様式をより具体的に 例えばどんな対策を立て たか,どんな乙とを根拠 lとして、耐えていけるグと判断 したかなど 調べてみる必要はあるだろう。 またこの仮説 2の検証では,対象者各自の処理様式を 7 2 1

5

38 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 3

1

3 4

。。。

3

。。

2

。。

1

3 2

3

。。。。

1

。。。。。。。。。。。。。

4 1 2 2

1 1

。。

3 1 1 2 1

。。。。。。。

1 1

。。。

38

50

全 86

43

。。

60 取り上げて,主に解消型処理をした群と主に回避型処理 をした群の人数比較等をすることも可能であるが,乙の ように被験者を型分けした場合,次のような可能性も存 在する乙とになろう。すなわち,主に解消型処理をした 人たちはたまたま解消が比較的容易な阻因を多く持って おり,主に回避型処理をした人たちはたまたま解消が比

(9)

較的困難な阻因を持っていたという可能性である。乙の ような場合,両群の人数比較を行なっても,解消が容易 な阻因を持った人と 困難な阻因を持った人の割合の比 較をする乙とになり,仮説 2の本題からはずれるのでと りやめた。 (5)決定に対する確信度の比較について(仮説3の検証) まず,主に解消型処理をした人と回避型処理をした人 を前述の19名から抽出した。前項で乙のような抽出をと りやめたのは,問題にした、解消型・回避型の多少グが 各阻因の解消の難易度と交絡してしまう乙とが予想され たためであったが,乙乙で扱う決定への確信度に関して は,そうした交絡はそれほど起乙らないものと予想した。 すなわち,確信度が高くなるのは,どんなものであれ阻 因を解消したからであり,それは解消が比較的容易な阻 因の場合でも,解消が比較的困難な阻因の場合に劣る乙 とがないのではなし、かと考えたので、ある。仮説3は,乙 の予想を前提にして分析を進める。 解消群・回避群の抽出にあたっては,多分 lと怒意的で はあるが,以下の基準を用い,表 91<=示したように中間 群を含めて3群に分けた。

(

a

)

どちらか一方の処理のみであれば,そのタイプに分 類する。(Vp.No.2, 21など) (b) 両方の処理をしている人は,その差が 2以上ついて いる人についてだけそのタイプに分類する。(Vp. No.1, 8など) 結果は解消群・回避群とも7名ずつであった。仮説3は, 乙の群間で,決定に対する確信度の評定値を比較する乙 とによって検証する。なお,先ζi示した確信度を測定す る3項目は,項目聞の相関係数が低かったので,結果は 合計せずに,個々の項目ごとに検討してし、く。 比較の結果は表101<:示した。先にも述べたように,項 目ア・イは逆転した値を示した。したがって, 3項目い ずれもが評定が高い方が確信度が高い乙とになる。表10 を見ると, 差は小さいものの,いずれの項目においても 予想とは逆の結果が出ている。そしてどちらもかなりの 程度の確信を持っていると言えそうである。 仮説3が検証できなかった背景として,両群を抽出し た基準,特に処理様式の延べ数の多少で分けた乙とに問 題があったのではないか。回避型処理が確信度を低める 場合,その回数よりも,その阻因のその人にとっての重 要性が寄与する乙とは十分考えられる。したがって,乙 乙での群分けが妥当でない可能性が存在するのである。 ζの可能性の高低を間接的にではあるが裏付けるため に,解消群と回避群の阻因 lζ対する態度評定を見てみる と(表11),解消群が回避群以上に現実的態度を持って いるという予想外の結果となった。仮説 1で乙の態度を 表 9 被 験 者 の 型 分 け 阻 因 解 消 群 中 間 群 阻 因 回 避 群 被 験 者

N

.

o

1 2 29 58 65 67 87 5 52 62 83 101 8 21 28 31 33 53 71 解 ア(対策) 5 3 3 2 2 2 3 1 2

3 1 1

。。。。。。

t

商 イ(耐えていける)

。。

1 2

3

2

1

2 2

。。

3

。。。

回 エ(気にしない) 3

。。

2

1 1 2 3 1 2 4 5 3 1 6 1 1 1 避 オ(何もしない)

。。。。。。。

2

。。。。。

1 1

。。。。

※選択肢ウは,すべての人においてOだったので,表から除外した。 表10 確 信 度 の 比 較 質 問 項 目 平 均 (SD) t値 解 消 群 回 避 群

4

.

0

0

4

.43 ア.私が教採試験の受験を決めた経緯には,悔やまれる部分がある。 一.66 (1.20) (1.05) イ.周囲を見ると, 自分が教採試験の受験を決定した時よりも,納得のいく選択 3.43 3.83 一.83 をしている人がけっ乙う多い。 (0.73) (0.伺) ウ.実際に教師をしてみてうまくし、かない乙とがあっても,私は今回の選択を悔 3.71 3.86 一.26 やまないと思う。 (1.03) (0.83)

(10)

-36-表11 2つの群と決定態度評定 阻因解消群 阻因回避群 ア(阻因の解消) 2.14 2.57 イ(将来と当面) 3.14 3.29 ウ(合格可能性) 3.00 3.14 エ(配属先) 2.00 2.14 オ(才能) 2.71 3.29 カ(好きなこと) 2.00 2.57 取り上げたのは,乙れを阻因を処理するという行動の準 備状態と考えたからである。すなわち理想的態度を持っ ていれば解消型処理が多く,現実的態度を持っていれば. 回避型処理が多いと考えたのである。もちろん態度と行 動の不一致はありうる乙とだが,乙の結果から,先の解 消群・回避群への群分けが不適切である可能性が強くなっ た。 そ乙で仮説3を検証するもうひとつの手段として, 、理想的態度を強く持っている人グ(理想的態度群)と 、現実的態度を強く持っている人グ(現実的態度群)を 抽出し,その両群で確信度を比較した。仮説3を乙れに 合わせて書き換えるとすると,

r

理想的態度群は,現実 的態度群に比べて,決定に対する確信度が高いだろう」 となる。また群分けにあたっては,項目イ(将来と当面) を除く 5項目において以下の基準を適用した。(5) ・5項目中3項目以上4または3と評定した人を理想的 態度群, 3項目以上 1または 2と評定した人を現実的 態度群とする。 乙の基準による抽出の結果,両群はそれぞれ17名, 14名 となり,比較の結果は表12に示したように,確信度イと ウにおいて予想した傾向が若干見られた。しかし現実的 態度群にしても,確信度は低いとは言えない。 表12 2つの決定態度保持者の確信度 理想的態度群 現実的態度群 t値 ア 4.35 4.43 一.20 (悔やまれる経緯) (1.13) (0.82) イ 3.63 3.29 0.92 (周囲の人たち) (0.99) (0.96) ウ 4.18 3.93 0.68 (将来も悔やまず) (0.92) (1.03) ※ア・イは評定値を換算しである。 ( 5 ) 項目イを除いたのは,乙の項目に対してほとんど の人が理想的態度を表明したためである(101人中, 65人が4と評定し, 28人が3と評定した。表2参照)。 以上見てきたように,仮説 3は支持されなかった。今 後も乙の問題を追求していきたいが,確信度が高いとい う結果が出ても,確信度の意味すると乙ろは多様であり, 確信度の高さをもって回避型の処理を良しとする乙とは できない。例えば,そもそも彼らの確信がどういった事 実から由来したものなのか そしてそれが価値的に望ま しい乙となのかという問題が残る。また,彼らが就職し た後の乙と 例えば教職へのないし職場への適応の問題 に関しては,現段階では確信度の高低から予測する乙 とができない。また今回の測定が決定者の現時点での確 信度を問題にしていたため,決定後の言わば合理化によっ て高められた確信度を測定した可能性もある。

v

.

討 論 乙の項では,本研究での到達点及び問題点を確認し, 今後の研究の方向を論じる。 仮説 1の検証では,決定者の中には未決定者に比べて 現実的態度を持っている人が多いという傾向が,すべて の項目においては見出されなかった。特に個別的に見た イ カの項目中で差が見られない項目があり,これらは そのトピックゆえに差が見られなかった可能性の他 IL, 現実的態度が概念として未整理であるためという可能性 がある。すなわち,エ(配属先)のように阻因にこだわ る乙とを取りやめるケース,オ(才能)のようにその後 の努力につなげるケースなど, 一口に現実的態度と言っ ても細かく見ると違っている乙とに気づく。乙れらの項 目を改めて整理してみると,ア(包括的に尋ねたもの) とイ(将来と当面),エ(配属先)以外l丸、回避'とは 異なった意味をもっていたようである。特にオ(才能) における現実的態度の項目は,その能動性,積極性から 見て,現実的態度の対極にあるものと言わなければなら ないのかもしれな ~\o 以上の乙とを再検討し,、現実的 態度グそのものの概念整理と,その測定のための項目化 が,次回の研究に向けて必要であろう。 また,乙の阻因への態度が未決定から次第に決定して いくにしたがってどう移り変わるかにまで言及するには, 各々の態度を持つに至った経緯を見ておく必要がある。 すなわち最初から現実的態度を持っていたかどうか,実 際は回避型処理をしていながらやはり理想的態度に固執 しているのかどうか,現実的態度は決定後の合理化によっ て持ったものではないのかどうか,などである。乙れら は縦断調査を必要とするであろうが,乙れを見る乙とは, 仮説3において両群の確信度との関連を見る上でも重要

(11)

な情報であろう。 仮説 2では,項目化した教職の阻因のうち約半数が回 避型処理をされている乙とがわかった。そして解消型が 少ない阻因の属性として,①学生のうちから予測可能な 状況かどうかと②個人的に対策を立てられる問題かどう かの 2つが示唆された。問題を教職に限ってみても,乙 ういった阻因は少なからずあり,やはり決定者が阻因を 回避的に処理して決定しているという事実はかなり存在 しているようである。 阻因の処理様式の測定については,今回は自己申告に 頼ったために,おおよその状況しか見る乙とができなかっ た。特に今回用いた自己申告法は,①欺臓が入り込む可 能性があるという乙とと,②各項目の該当基準は被験者 の主観に委ねられているという 2つの意味で改善すべき 方法だと言う乙とができょう。改善の方向としては,先 にも述べたように,どんな対策を考えたか,何を基準に して「耐えていける

Jと判断したかといった,より具体

的なレベソレまで問題にすることによって,処理様式の評 価基準をより客観的にする乙とである。設定する基準に 左右される乙とではあるが,乙うする乙とによって回避 型処理が実際はもっと多くを占めている乙とが明らかに なるのではないか。また乙の基準設定の作業は,進路選 択を指導・援助する場面で行なう評価にとっても必要に なる乙とであると思われる。 仮説3では,理想的態度群が現実的態度群と比較して, 決定に対して若干強い確信度を示した。しかし両群とも 決定に対する確信は弱いとは言えない。もっとも,その 評定自体が望ましさのバイアスを伴いやすい性質を持っ ており,また決定者による決定後の合理化の影響も考え られるので,予想した傾向はあったとしてもなかなか検 出しにくいだろう。もっと多面的に,しかも決定直後な ど時期にも留意して測定する乙とが必要と思われる。そ して確信度の問題も含めて,回避型処理を経て決定した 人がどういったいきづまりをその後に感じるのかは,進 路決定における阻因の処理様式の研究には必要な情報で ある。 以上,本研究では仮説1-3の検証によって,現在の 大学生が行なっている進路決定の質的な評価と,阻因の 回避型処理による確信度の差異を見た。仮説としては検 証されなかったが,進路を決めた人が,態度の面でも実 際の処理の面でも,阻因を回避していなかったとも言い 切れない結果が得られた。ただ,回避型処理をした人が 解消型処理をした人に比べて,決定に対する確信度が低 いという結果は得られなかった。しかし仮説1・2!L:関 わる結果から見て,援助を目的とした進路未決定に関す る研究においてはやはり 未決定者を決定者全体と比較 する乙とには問題があると言えるし,決定の質も,いっ そう問題にされる必要があると言えよう。 また今回の研究では,概観するために主だった阻因を 一括して取り扱ったが,それぞれの阻因によって阻害の 意味が異なる場合があるので,一概に解消型処理,回避 型処理というラベルをつけて扱うだけでは不十分であり, 乙れだけで意味づける(価値づけする)訳にはし、かない。 例えば「責任の大きさ

J

I

生徒への人格的影響力が大き いこと

J

の 2つの阻因は,簡単に解消せずに,むしろ常 に、気がかりグであって欲しいものである。このことか らも,先に述べたように,阻因の処理様式は,より具体 的・個別的な基準で測定する必要があると言える。さら に言えば,ひとつひとつの阻因に固有な意味を考慮した 基準を作成しなければ,指導・援助場面での評価には使 用し得ないだろう。 未決定者が決定できるように援助する乙とは十分進路 指導の目標となりうるが そこで「決められさえすれば いいかJという乙とを問題にする乙とは必要であろう。 言わば決定の質もまた,指導の上で留意されるべき目標 に関わるのである。本研究の文脈で言えば,

I

未決定者 が気がかりを解消して決定するには,どのように援助し たらよいか」という問題設定に基づく研究が求められる。 乙れはもはや,決められない人を援助する時だけの問題 ではなく,乙れから進路を決めようとする人すべてを援 助する際の問題であろう。

。 。

q o

(12)

APPENDIX 1 阻因に対する態度測定の設問 乙れから下l乙いくつかの相対する意見を掲げます。あなたはそれぞれにおいてA. Bのどちらに近い意見です か。あてはまる数字を

O

で囲んでください。 ア.

A:

進路選択にあたって気がかりな乙と は,決定するまでには解消したい。 イ.

A:

進路選択にあたっては,ある程度将 来の乙とまで考慮した上で決めたい。 ウ.A:試験合格が難しい進路でも興味があ れば志望したい。 エ.A:進路は,就職後に最悪の環境に配属 される司能性も考慮して決めたい。 オ.

A:

天性の素質(才能)のある・なしは 大切である。 カー.A:その仕事が好きなだけでは勤まらな いと思う。 4 3 2 1 A ど ど B

巴 ?

?

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S

1圧 り り 1圧 し、カ〉カ=し、 と と

~ ~

A B 4 3 2 1 4 3

2 1

4 3 2 1 L一一一一一_ j _ _ j 4 3 2 1 4 3 2 1

B:

進路選択にあたって気がかりな乙と は,実際 l乙仕事をしてみて解消する。 B:進路選択にあたっては,将来の乙と よりも当面の乙とを重視して決めた

B:

進路選択には,そこへ合格する司能 性がある程度高いことが前提となる。

B:

配属先の当たりはずれを気にしてい ても仕方がない。

B:

才能のある・なしは, 補える。 就職後に十分

B:

その仕事が好きであれば,何とかや っていけるだろうと思う。 APPENDIX 2 阻 因 を 測 定 す る 設 問 で 提 示 し た 文 献 気 が か り の リ ス ト 1.教職単位や採用試験の乙と 2.生徒や同僚教師との対人関係 3. 性格が向かない乙と

4

.

授業(教科教育)の力量 5.生徒指導・学級運営の力量 6. 教師を続けてし1く意欲

7

.

教師や生徒が管理されている現状 8.教師社会の閉鎖性 9. どんな学級(または土地)に赴任させられるか 10. 忙しさ・自分の時間がとれる程度 11.組合の乙と 12.責任の大きさ 13. 生徒への人格的影響力が大きいとと 14. 給与・経済状態の乙と 15. 精神的苦労・肉体的疲労の大きさ 16. 万一転職(または他県で再受験)する時の乙と 17. 自分を生かせる仕事がどうか 18. 将来(結婚後など)の私生活とのかねあい 19. 世間の教師を見る目 20. 仕事における理想と現実のギャップ

Festinger. L. 1957 A Theory of Cognitive

Disso-nance末 永 俊 郎 監 訳 誠 信 書房 1965

H

o

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a

n

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J

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Indecision : More Evidence and Speculation

J ournal of Counseling Psychology 24-5 404-414

Savickas. M. L.. Sillin. S. M.. & Schwartz. S.

1984 Time Perspective in Vocational Maturity

and Career Decision Making J ournal of V oca

-tional Behavior 25, 258-269

下山晴彦 1986 大学生の職業未決定の研究

学研究 34, 20-30

教育J心理

Slaney, R.B., Palko-Nonmaker, D,

&

Alexander,

R. 1981An Investigation of Two Measures of

Career IndecisionJ ournal of V ocational

Be-havior 18, 92-103 若松養亮 1986 大学生の進路見通しに関する一考察 文科系学部の学生を対象にして 昭和60年度卒業 論文(未発表) 若松養亮 1987 大学生の進路未決定因の予備的研究 教 職 課 程 選 択 者 を 対 象 lζ 昭和62年度課題研究 (未発表) 〈付記〉 本論文は,東北大学教育学研究科に提出した修士論文 (1987年度)を加筆・修正したものである。

(13)

ON

TYPES OF

COPING WITH DISTURBING F

ACTORS IN CAREER

DECISION PROCESS OF

UNDERGRADUATE STUDENTS

一一一

INCASE OF

STUDENTS WHO

CHOOSE TEACHING COURSES

-一一

Yohsuke WAKAMATSU (Tohoku University)

Career indecision has often been studied in career psychology and career guidance studies as a serious problem to be solved. In these studies “career decision" has been considered as a goal to be attained. Career indeciders may be a person who cannot decide their careers for some disturbing factors, while deciders may often be looked as persons who have already solved their difficulties in their career decision making. Therefore most of the studies to investigate factors of career indecision have adopted a method in which career indeciders are compared with deciders in respect to many phases. And especially, a focus of these studies was put on describing characteristics of career indeciders.

But if these studies' findings are used to applied to assist the indeciders to make them decide their careers, they will not have so much effectiveness, and yet its application to assistance may be dangerous. Because not all deciders seem to have solved their disturbing factors completely. 80 deciders as well as indeciders must be reexamined in respect to the quality of their decision processes. Thus the present study examined career decision processes of “the deciders". 8aying in detail, this study focused on types of coping with disturbing factors in career decision processes in case of undergraduate students who had already chosen their careers. A questionaire was administered to 101 three-or-four-grade undergraduate students who have chosen a teaching course as their careers.

Results are follows. First, it cannot be said that deciders had “realistic attitudes" more strongly than indeciders, but on some items which were thought to be measures of realistic attitude, deciders took higher score than indeciders. 8econd, nearly half of the disturbing factors in decision process were remained to be not solved. Finally, two groups of deciders were found :one is a group of deciders who had solved their disturbing factors well, and the other is a group of deciders who had often given them up. The degree of conviction of decision was compared between two groups. But the difference was not significant. 80 it needs to be tested again in an improved research design. And further, about the conviction again, deciders who had realistic attitudes were compared with deciders who did not. It was shown the latter was slightly more convinced of their decision than the former, but its difference was non-significant.

In short, many students who have decided their careers gave up solving disturbing factors. 8uch processes of decision may cause many problems in their careers. And in the assistance of students w ho are going to decide their career, not "if the student can decide his career or not" but “how the student decide career" needs to be studied more in detail.

Key words : career decision making, undergraduate students, disturbing factors

表 1 被験者の属性 3  年 4  年 他 メ 仁 h 3 、 自十 男 女 男 女 男 女 男 女 文 1 7  1 8  4  3  1  1  2 2  2 2  教 育 2 6  9  5  4  。。 3 1  1 3  経 済 。。 1  。。 1  1  1  法 3  。 4  。。。 7  。 企 仁 益 1 、 計 46  2 7  1 4  7  1  2  6 1  3 6  下,教採試験と略)を受験するかどうか J をどの程度 決めているか(決定地位と称する)について,以下の 選
表 2 阻因への態度評定の分布と平均値・標準偏差 質 問 項 目 4  3  2  1  平 均 (SD) ア. A:進路選択にあたって気がかりな乙とは,決定するまでに解消したい。 3 2   3 0  2
表 5 未決定群と決定群の比較 表 6 停滞群と切迫群の比較 平 均 S D  t 値 平 均 未 3 . 2 0  0 . 7 8  停 3 . 2 2  ア(気がかり解消) 3
表 7 教職阻因の阻害度評定・阻因該当者数 No.  項 目 評 定 平 均 S .   D .  阻因該当者 1  教職単位や採用試験の乙と 2 . 8 6  1 . 1 8  5 人 2  生徒や同僚教師との対人関係 2
+2

参照

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