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座談会 Round Table Discussion 末梢動脈疾患におけるこれからの脂質低下療法を考える PAD に対しては, 脚の病変部分だけでなく, 冠動脈疾患や脳血管障害の予防を見据えた治療対策を常に考慮しておく必要があります 中村正人 ( 座長 ) 東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授

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全文

(1)

 近年,末梢動脈疾患(PAD)は全身性のアテロー

ム血栓症の一部分症と捉えられ,冠動脈疾患や脳

血管障害など他のアテローム血栓症を合併する頻

度が高いことが知られている。そのため,他の危

険因子の管理とともに厳格なLDLコレステロール

(LDL-C)低下療法を含めた包括的な治療が重要と

なる。そこで,今回は本領域の最前線で活躍されて

いる先生方にお集まりいただき,PADに対する適切

な治療対策について討議していただいた。

(2017年 4月8日収録)

末梢動脈疾患におけるこれからの

脂質低下療法を考える

中村 正人

(座長) 東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科 教授

土谷 武嗣

金沢医科大学 心血管カテーテル治療科 准教授

川﨑 大三

森之宮病院 心臓血管センター 循環器内科 部長

佐藤 勝彦

カレスサッポロ 時計台記念病院 循環器センター 出席者(発言順/敬称略)

座 談 会

Taketsugu Tsuchiya Daizo Kawasaki Masato Nakamura Katsuhiko Sato

R o u n d T a b l e D i s c u s s i o n

(2)

中村 粥状動脈硬化を共通の基盤に発症する冠動脈疾患, 脳血管障害,PADなどの動脈硬化性疾患は,相互に全身の 血管合併症のリスクを高めます。日本の動脈硬化性疾患予防 ガイドラインではPADを合併する脂質異常症のLDL-C管理 目標を120 mg/dL未満とし,冠動脈疾患の既往がある場合に は100 mg/dL未満を推奨しています1)。一方で,近年は新し い作用機序を持つ脂質低下治療薬としてPCSK9阻害薬が登 場し,さらに強力なLDL-C低下療法が可能となっています。  そこで,本座談会ではPADに対するこれからの脂質低下 療法のあり方について,討議を進めていきたいと思います。 はじめに,土谷先生からPADの外科的治療における脂質低 下療法の位置付けについて解説していただきます。 土谷 PADに対する血行再建において血管内治療( EVT) が普及し,治療部位によってはデバイスの進歩に伴い治療 成績が著しく向上しています。特に,腸骨動脈領域につい てはBare nitinol stentを用いたEVTによる治療方法が確立 され,今後は周術期の成績向上に向けた全身的な内科的 治療に目が向けられようとしています。しかし,大腿膝窩 動脈領域や膝下動脈領域については現状のデバイスでは限 界があり,次世代のデバイス開発が待ち望まれている状況 です。  腸骨動脈領域でのEVT後の長期予後について検討した日 本のデータでは,レニン・アンジオテンシン系抑制薬やスタ チンを服用することで,生命予後の改善を示唆する結果が 得られています2)。また,鼠径部以下の病変にEVTが施行 された日本人の重症虚血肢患者を登録したOLIVEレジスト リーの3年間の追跡調査では,スタチンの使用が主要有害 下肢イベント(MALE)を低減させる有意な予見因子である ことが示されました3)  このように,PAD患者のEVT後の生命予後の改善やイベン トの発生を抑制するためには,全身的な内科的治療として脂 質低下療法が重要であることがわかります。 中村 PAD患者に対して,内科的治療は十分に行われてい ますか。 土谷 従来,冠動脈疾患,脳血管障害,PADは,別々 の臓器障害として捉えられていましたが,近年,動脈硬化 は全身の血管に進行することからアテローム血栓症やPoly-vascular Diseaseという概念が導入されるようになりました。 そして,アテローム血栓性患者とそのリスクを有する患者を 登録したREACHレジストリーによると,PAD患者の43.4% が冠動脈疾患や脳血管障害を合併したPoly-vascular disease であることが示されました4)。さらに,2つ以上のアテローム 血栓性を有するPoly-vascular disease患者は,3年間の追跡 期間中の心血管イベント発生率が高いことも示されています (図1)5)。また,REACHレジストリー登録患者の多くが糖尿 病,高血圧,脂質異常症などのリスク因子を有し,日本人 登録患者では87%が糖尿病,73%が高血圧,65%が脂質異 常症を有していました。しかし,治療によってこれらのリスク 因子が管理目標に達していた患者は,全体の約60%足らず に過ぎません6)。さらに,PAD患者の36%がスタチンを服用 していないという結果も示されています。  このように,PADに対する内科的治療はまだまだ十分で はなく,さらに積極的なリスク因子に対する包括的治療介入 が求められます。 中村 約20年前に患者さんが登録されたREACHレジスト

中村 正人

(座長) 東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科 教授

PADに対しては,脚の病変部分だけでなく,

冠動脈疾患や脳血管障害の予防を見据えた治療対策を

常に考慮しておく必要があります。

Poly-vascular diseaseとしての

PADに対する治療介入の重要性

PAD患者の約半数が

Poly-vascular disease

(3)

リーでは,PAD患者の半数近くが Poly-vascular diseaseとい うことですが,川﨑先生,この状況は現在でも同様と考え ることができますか。 川﨑 当院では,PAD患者の全例に対してPoly-vascular diseaseのスクリーニングを行っており,約半数の患者さん に他のアテローム血栓性の合併が認められます。これは, REACHレジストリーの結果に近い状況です。 中村 佐藤先生の施設ではいかがですか。 佐藤 当院でも,PAD患者に対する冠動脈疾患のスクリー ニング検査を徹底していますが,やはり約半数のPAD患者 が Poly-vascular diseaseとなっています。しかし,これらの患 者さん全員に対して,スタチンなどによる全身的な内科的治 療が行えているかと考えると,必ずしもそうではありません。

中村 現在でもPAD患者の約半数が Poly-vascular disease

ということで,日本では20年前から状況は変わっていないこ とがわかりました。一方で,佐藤先生からも指摘されたように, 日常診療の中ではこれらの患者さんに対する脂質低下療法 はまだ十分でないようです。土谷先生,この原因については どのように考えますか。 土谷 PADの患者さんは重症例が多く,すでに脂質低下 療法による治療介入を開始する時期は逃してしまったと考 えられる場合も多いと思います。しかし,Poly-vascular diseaseとして考えれば決して遅いことはありません。積極 的なLDL-C 低下療法によって予後が改善される可能性が あることを認識し,積極的に治療介入する必要があります。

土谷 武嗣

金沢医科大学 心血管カテーテル治療科 准教授

強力なLDL-C低下療法を含めたリスク因子に対する

積極的かつ包括的な治療介入が必要となります。

Alberts MJ, et al. Eur Heart J. 2009; 30: 2318-26.5)

Poly-vascular disease症例では心血管イベント発症率が高い

(REACHレジストリー)

図1

p〈0.0001* p〈0.0001* * 両側検定 p〈0.0001* 3年次のイベント発症率 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 (%) 心血管死 心筋梗塞/脳卒中/ 心血管死 心筋梗塞/脳卒中/ 心血管死/再入院 4.7 8.8 17.9 25.5 40.5 10.5 脳・心・末梢 いずれか1つの疾患の既往患者 2つ以上の アテローム性疾患の既往患者

(4)

中村 では,PADに対するLDL-C管理目標について,川 﨑先生から解説していただきたいと思います。 川﨑 心血管疾患の既往のないPAD患者に対し,スタチン, レニン・アンジオテンシン系抑制薬,抗血小板剤の中の2 剤 以上を使用することで,死亡率を65%抑制できる可能性を 示唆するデータが報告されています7)。このように,脂質, 血圧,血糖などのリスク因子の包括的な管理は,PAD患者 の生命予後を改善するために重要となります。PADの診断・ 治療に関するガイドラインとしては,欧米,オーストラリア, 南アフリカ,日本などを含めた16学会から成るワーキンググ ループにより作成された「下肢閉塞性動脈硬化症の診断・治 療指針Ⅱ(TASCⅡ)」が広く用いられています8)。このTASC Ⅱの治療チャートでは,まずはリスク因子の改善からスタート し,禁煙,HbA1c 7.0%未満,収縮期血圧140/90 mmHg(糖 尿病または腎疾患の場合は130/80 mmHg)未満,抗血小板 療法などを推奨し,LDL-Cについては100 mg/dL未満(ただ し冠動脈疾患合併などのハイリスク患者に対しては70 mg/dL 未満)の管理を勧めています。  さらに,2016年には欧州心臓病学会(ESC)と欧州動 脈硬化学会(EAS)から「脂質異常症に関する合同ガイドラ イン」が公表され,注目を集めています9)。このガイドライン におけるLDL-Cの管理目標は,超高リスクな患者に対して は70 mg/dL,高リスク患者では100 mg/dLとし,患者の目 標値をベースラインの50%以下にすることも勧告しています (表1)。この中で,超高リスク患者の定義は,PADを含む 心血管イベントの既往もしくは冠動脈造影か頸動脈エコーで 認められた狭窄の存在,他のリスク因子のある糖尿病,重 度のCKD,リスクスコア10%以上とされ,PAD患者はすべ て超高リスクとなります。また,家族性高コレステロール血症

川﨑 大三

森之宮病院 心臓血管センター 循環器内科 部長

ESC/EASのガイドラインでは,PADに対する

LDL-C管理目標を70mg/dL未満,または

ベースラインから50%以下にすることが勧告されています。

LDL-C管理目標(ESC/EAS脂質異常症に関する合同ガイドライン2016)

表1

超高リスク: LDL-C 70mg/dL 未満,または脂質低下薬を使用しない状態で 70-135 mg/dL の場合には50%以上の低下を目指す Recommendation Class I B B C I IIa Level 高リスク: LDL-C 100mg/dL 未満,または脂質低下薬を使用しない状態で 100-200 mg/dL の場合には50%以上の低下を目指す 軽度~中等度リスク: LDL-C 115mg/dL 未満を考慮する

Catapano AL, et al. Eur Heart J. 2016; 37: 2999-3058.9)

国内外のガイドラインにおける

LDL-C 管理目標

(5)

(FH),糖尿病,中程度のCKD,重度の高血圧などの重要 なリスク因子が1つのみの患者,リスクスコアが5 ∼ 10%の 患者は高リスクと定義されています。  一方,日本の「末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン (2015 年改訂版)」では,PADに対するLDL-C管理目標は 120 mg/dLとなっています10) 中村  海 外に比べて, 日本のガイドラインでは高めの LDL-C管理目標となっているようです。土谷先生はこの違い については,どのように考察されますか。 土谷 欧米では,PADが顕在化した患者さんは,既に心臓 や脳に潜在的なリスクを有していると考えてガイドラインを作 成しているように思います。PADの主要なリスク因子として年 齢,喫煙,糖尿病がよく知られていますが,患者さんの生命 予後を見据えると冠動脈疾患などに対するリスク因子の管理 にも目を向ける必要があり,より積極的なLDL-C低下療法 が重要となります。このように考えると,日本のガイドライン もいずれは海外の考え方に近づくのではないかと推測してい ます。 中村 佐藤先生はどのように考えますか。 佐藤 PADはPoly-vascular diseaseであると捉えると,PAD の発症後は冠動脈疾患発症または再発予防としてリスク因子 の管理を行う必要があり,禁煙や糖尿病のコントロールとと もに,かなり厳格なLDL-C管理目標を設定する必要がある と思います。 中村 川﨑先生のご意見はいかがですか。 川﨑 冠動脈疾患などと比べるとPADの発症年齢は高く, 生活習慣がうまく改善できずにかなり動脈硬化が進行した ケースが多いという特徴があります。個々の患者さんの動脈 硬化の進展状況をよく把握し,年齢なども考慮ながら個別に できるだけ積極的なLDL-C管理目標を設定する必要がある と思います。 中村 PADに対しては,より厳格なLDL-C管理目標を設 定すべきというのが,3人の先生方の共通した意見のようで す。また,脚の末梢動脈の病変部分だけでなく,冠動脈 疾患や脳血管障害の予防を見据えた治療対策を常に考慮し ておくことが,PAD治療の大きなポイントであることがわか りました。 中村 次は,積極的にLDL-Cを低下させる治療対策につい て,佐藤先生からお話を伺いたいと思います。 佐藤 スタチンを用いた大規模臨床試験においてLDL-C到 達値と心血管イベントの発生率とは相関し,冠動脈疾患の二 次予防に関してLDL-Cはthe lower, the betterであることがわ

かります11)。一方で,スタチンによる厳格なLDL-C低下療法 を行っても,冠動脈疾患既往患者では10 ∼ 20%の心血管イ ベントが発生しており,これは二次予防におけるスタチンの 残存リスクとして注目されています12)。この結果は,LDL-C 以外の因子の関与,またLDL-Cが正常と考えられる範囲ま でコントロールされていても,スタチン以外の薬剤でさらに LDL-Cを低下させることで,再発が抑制される可能性を示 唆しています。  また,冠動脈イベントを抑制するためには,LDL-C低下 療法によるプラークの安定化,さらにはプラークの退縮に も目を向けておく必要があります。国内外でプラーク容積率 への影響を検討した臨床試験からは,スタチンなどによる

佐藤 勝彦

カレスサッポロ 時計台記念病院 循環器センター

冠動脈にハイリスクなプラークを有しており,

より厳格なLDL-C低下療法が重要です。

PADはPoly-vascular diseaseであると捉えた

リスク管理が必要

冠動脈疾患の二次予防に

LDL-Cはthe lower, the better

(6)

LDL-C到達値と冠動脈プラーク容積率には相関が認めら れ,強力なLDL-C低下療法によるプラークの退縮効果が期 待されます13) 中村 どのようなタイプの患者さんに,より厳格な治療介入 を考慮する必要がありますか。 佐藤 まずは,プラークが大きい,大きい脂質コアがある, 繊維性被膜が薄い,血管内視鏡で黄色プラークを認める, 冠血流予備量比(FFR)が境界域(0.75 ∼ 0.85)でPCIを行 わなかった病変があるなど,ハイリスクプラークを有する冠 動脈疾患の患者さんです。さらに,PAD,ACS,糖尿病, FHなど,プラークの進展が速い疾患を合併する場合も,よ り厳格なLDL-C低下療法によってプラークを管理する必要 があります(表 2)。 中村 最近は,さらに厳格にLDL-Cを低下する脂質低下薬 としてPCSK9阻害薬が注目されています。そこで,日本人に 対するPCSK9阻害薬の臨床効果について紹介していただき たいと思います。 佐藤 プラルエント®を用いたODYSSEY JAPAN 試験が, 日本人に対するPCSK9阻害薬の有用性を示したエビデンス として注目されています(図 2)14)。本試験は,ヘテロFHま たは心血管イベントリスクを有する高コレステロール血症患 者で,スタチン投与下でもLDL-Cが管理目標に達していな い日本人 216例を対象に,プラルエント®の有効性と安全性 について評価したプラセボ対照二重盲検比較試験です。な お,対象症例の中の19%がヘテロFH,81%が非 FHであり, 全体の約 70%の症例が糖尿病を合併していました。その結 果,試験開始から24週後までのLDL-Cの変化率はプラル エント®群−62.5%,プラセボ群1.6%であり,プラルエント® 群はプラセボ群に対し有意なLDL-C低下を示しました( p <0.0001,MMRM)。また,プラルエント®群のLDL-C は試験開始時の141.1 mg/dLから4週後には53.4 mg/dLま で減少し,このLDL-C低下作用は52 週後まで維持される ことが確認されました。そして,追跡期間中の副作用の発 現率に,両群間で差は認められませんでした。この結果か ら,プラルエント®は日本人に対しても有用性が期待できる PCSK9阻害薬であることがわかります。なおプラルエント® 75 mgから150 mgに増量が必要であったのは2例であり, 24週時点でLDL-Cが連続して15 mg/dL 以下まで下がった 症例も2例でした。 中村 川﨑先生は,どのようなタイプのPAD患者にPCSK9 阻害薬が必要になると思いますか。 川﨑 最も考慮する必要があると思われるのは,FHの患 者さんです。そして,PAD患者ではFHが見逃されている ケースも多いため,日常診療の中でしっかりとしたスクリー ニングを行うことが大切だと思います。 中村 土谷先生のご意見はいかがですか。 土谷 スタチンで治療しても効果が不十分な心血管 イベントの発生リスクが高い患者さんも,PCSK9阻 害薬の適用になると考えます。ただし,2週間毎の 通院や経済的な負担などから,PCSK9阻害薬の投 与に抵抗を示す患者さんもいるため,患者さんへの 説明にも配慮が求められます。 中村 佐藤先生,どのような点が PCSK9阻害薬を 患者さんに勧める際のポイントとなりますか。 佐藤 糖尿病や高血圧のリスクや治療の重要性に ついては,一般的によく知られるようになってきま したが,脂質異常症やLDL-C低下療法の重要性に ついてはまだまだ認識が不十分だと思います。その ため,医療者も含めて幅広く啓発をしていく必要が あります。その一環として,サノフィ株式会社では

PCSK9 阻害薬の臨床効果と

患者さんへのサポートプログラム

佐藤先生ご提供

LDL-C低下療法の強化を考慮すべき

冠動脈疾患患者

表2

ハイリスクプラーク プラークの進展が速い疾患 ●プラークが大きい ●大きい脂質コアがある ●繊維性被膜が薄い ●微小石灰化 ●陽性リモデリング ●黄色プラーク(血管内視鏡) ●FFRが境界域(0.75 ~ 0.85)でPCIを行わなかった病変 ●急性冠症候群 ●糖尿病 ●末梢動脈疾患 ●家族性高コレステロール血症

(7)

医療者や患者さんに対する脂質異常症治療の啓発,およ びプラルエント®のサポートプロジェクトとして「ともに」に 取り組んでいます。「ともに」は,医師,メディカルスタッフ, 患者さんがひとつになって脂質異常症治療のニーズに応え るプロジェクトであり,様々なサポートプログラムが用意さ れています。さらに,サノフィ株式会社内にプラルエント® 相談室が設置され,操作方法に関して豊富な経験を持つ オペレーターによる電話相談を24 時間365日対応で受け付 けています。また,忘れやすい2 週間毎の通院をサポート するためのお知らせメールサービスなども実施されていま す。このようなサポートプログラムを有効に活用することで, LDL-C 管理の重要性に関する認識が深まり,PCSK9阻害 薬による治療へのモチベーションも高まるのではないでしょ うか。 中村 本日は,PAD患者に対する脂質低下療法について, 先生方から示唆に富む貴重なお話をうかがうことができまし た。EVT周術期の予後の改善には脂質低下療法は重要であ ること,PADはPoly-vascular diseaseと捉え,冠動脈イベン トなどの発生リスクを低減するためのより強力なLDL-C低下 療法が必要であることを改めて理解することができました。 今回の討議内容が読者の先生方の明日からの診療にお役立 ていただければ幸いです。  先生方,本日はありがとうございました。 REFERENCES 1) 日本動脈硬化学会(編): 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版. 日本動脈硬化学会,2012

2)Soga Y, et al. Circ J. 2012; 76: 2697-704.

3)Iida O, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2015; 8: 1493-502. 4)Yamazaki T, et al. Circ J. 2007; 71: 995-1003.

5) Alberts MJ, et al. Eur Heart J. 2009; 30: 2318-26. 6) Bhatt DL, et al. JAMA. 2006; 295: 180-9. 7) Pande RL, et al. Circulation. 2011; 124: 17-23.

8) 日本脈管学会(編).下肢閉塞性動脈硬化症の診断・治療指針Ⅱ.東京: メディカルトリビューン;2007.

9) Catapano AL, et al. Eur Heart J. 2016; 37: 2999-3058.

10) 合同研究班.末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015年改訂版). 11) LaRosa JC, et al. N Engl J Med. 2005; 352: 1425-35.

12) Alagona P, Jr. Am J Manag Care. 2009; 15: S65-73. 13)Tsujita K, et al. J Am Coll Cardiol. 2015; 66: 495-507. 14) Teramoto T, et al. Circ J. 2016; 80: 1980-7. 承認時評価資料

アリロクマブ投与24週時までのLDL-Cの変化率および52週時までのLDL-C値の推移

(国内第Ⅲ相試験)

図2

Teramoto T, et al. Circ J. 2016; 80(9): 1980-7. 承認時評価資料14)

LDL コレステロール値 評価時点 試験デザイン 試 験 方 法 主要評価項目 副次評価項目 解 析 計 画 安 全 性 利 益 相 反 日本人患者を対象にアリロクマブの有効 性と安全性を評価する。 ランダム化,二重盲検,プラセボ対照, 並行群間,多施設共同試験。 脂質低下療法でコントロール不十分な 家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体 患者または心血管リスクの高い非家族 性高コレステロール血症患者216例 アリロクマブ群またはプラセボ群に2:1で 割り付け,試験薬を2週に1回,52週間皮 下投与。アリロクマブは75mgから開始し, 8週時にLDL-Cが管理目標値まで低下し ない場合,12週以降は150mgへ増量。 スタチンと他の脂質低下療法は継続した。 ベースラインから24週時までのLDL-C 変化率 ベースラインから12,24,52週時までの 各脂質パラメータ変化率とLDL-C変化量, 変化率,推移,その他 主要有効性解析集団は1つでも測定値 があるすべての症例(ITT解析)とした。 有 害 事 象 発 現 率は,アリロクマブ 群 9 0 . 9%( 1 3 0 / 1 4 3 例 ),プラセボ群 83.3%(60/72例)。重篤な有害事象発 現率は,アリロクマブ群7.0%(10/143 例),プラセボ群12.5%(9/72例)で死亡 例はない。投与中止に至った有害事象は アリロクマブ群4.9%(7/143例),プラセ ボ群5.6%(4/72例)に認められた。 発表者の一部はサノフィ社から報酬や研 究費,寄付講座の提供をうけているほか, 一部はサノフィ社の社員である。 : : : : : : : : : 投与後24週時のLDLコレステロール変化率(ITT解析:主要評価項目) LDLコレステロール値の推移(ITT解析:副次評価項目) 160 150 140 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (mg/dL) 投与 開始時 4週 8週 12週 16週 24週 36週 52週 141.6mg/dL 141.6mg/dL 141.1mg/dL 141.1mg/dL 135.6mg/dL135.6mg/dL 53.4mg/dL 53.4mg/dL アリロクマブ群(143例) プラセボ群(72例) 最小二乗平均値±標準誤差 LDLコレステロール変化率(vs ベースライン)* p値(95%信頼区間) アリロクマブ群 (n=143) プラセボ群(n=72) -62.5±1.3% +1.6±1.8% p<0.0001(-68.5 ~-59.8) vs プラセボ(MMRMによる解析) * 最小二乗推定値

(8)

参照

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