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アルカロイド研究会会誌

Vol.36(2010)

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第 36 回

アルカロイド研究会

会長:藤村 欣吾

(広島大学 名誉教授、広島国際大学 薬学部 教授)

日 時:平成 22 年 6 月 26 日 13 時

場 所:日経ホール

(東京都千代田区大手町)

共 催:化研生薬株式会社

沢井製薬株式会社

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 この度お陰をもちまして第 36 回アルカロイド研究会を無事終えることが出来ました。 36 年も続いている研究会は昨今では非常に珍しく、このような長寿命の研究会も一つには セファランチンが多様な、マイルドな効能を有する薬剤であるために、新たな臨床的、基 礎的研究テーマが生まれやすい点、さらにはセファランチン一筋でアルカロイド研究会に こだわり続けた化研生薬の心意気によるところが大きいと思います。  研究会の内容もセファランチンの効能効果に関する基礎研究中心から、蛇毒咬傷、放射 線治療後の白血球減少症、円形脱毛症の治療など臨床研究、また自己免疫疾患に対する効 果やガン治療に対する補助的効果などの研究から、時代を反映した種々の癌治療に加え癌 の集学的治療が研究会のテーマとして取り上げられるようになって来ました。  今回も一の柱は本来のアルカロイドによる臨床研究として、「アルカロイドと疾患」を取 り上げ、アコニンサン錠が難治性の疼痛疾患の一つである線維筋痛症の痛みのコントロー ルに有用であることが報告され、さらにセファランチンが円形脱毛症の治療ガイドラインの 中に位置づけられたことが紹介されました。またセファランチンが多発性骨髄腫細胞株の アポトーシスを誘導することから臨床的に化学療法との併用により難治性多発性骨髄腫症 例に対し総合的生活支援に非常に有用であることが述べられました。これらの報告はいず れもアルカロイド が 優しく効果を発揮する薬剤であることが再確認できた点と臨床上アル カロイドが新たな展開をして行く可能性を示唆したワークショップとなったと思います。  二つめの柱はがん医療が在宅で可能か? の命題に関して患者家族や多方面の医療従事 者の方々から現状を報告していただき、現在どこまで可能で何が問題かが浮き彫りになり ました。参加された方々は日本の各地で草の根的活動がなされていることに心強さを感じ たのではないでしょうか。  最後に今回新たな試みとして市民公開特別講演を開催しました。生き物としてのヒトの 行く末、その行く末を見据えた生き方、過ごし方を医学的に、社会学的にどのように考え るのか、大阪市立大学井上教授、東京大学上野教授お二人による絶妙のトークは、団塊の 世代の多くがこれから直面する難題に一石を投ずる道標となりました。このように多彩な 研究会に快く協力を頂いた演者の方々、また会を盛り上げていただいた聴衆の方々に改め て御礼申し上げます。また裏方として化研生薬と昨年より新たに加わっていただいた沢井 製薬の新しい力の結集により何とか成功裏に終了することが出来ました。 この研究会を通じて 2 社のこれからのますますの発展を祈念しております。                   平成 22 年 7 月末日  第 36 回アルカロイド研究会    会長 

藤村 欣吾

(広島大学名誉教授、広島国際大学薬学部教授)

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Section Ⅰ:ワークショップ

「アルカロイド(生薬)と疾患」

 

座長  広島国際大学 薬学部 病態薬物治療学講座       藤村欣吾       1) 線 維 筋 痛 症 の 病 態 と ア コ ニ ン サ ン 錠 の 治 療 ………11        尼崎中央病院 整形外科、大阪大学疼痛医療センター、行岡病院 リウマチ科 三木健司ほか     2) 円形脱毛症の治療におけるセファランチンの役割 ………17        北里大学医学部 皮膚科 齊藤典充 3) Myeloma(骨髄腫)の 病態とセファランチン ………25              熊本大学医学部附属病院 血液内科 畑 裕之ほか

Section Ⅱ:ワークショップ

「がん治療と地域・在宅医療の今後は」

 

座長  独立行政法人国立病院機構西群馬病院 院長            斎藤龍生      白十字訪問看護ステーション 統括所長              秋山正子      1) がん患者・家族からのメッセージ ………33 NPO 法人愛媛がんサポートおれんじの会 松本陽子    2) がん拠点病院 外来化学療法から在 宅へ ………37        三重大学医学部附属病院 外来化学療法部  影山慎一      3) がん診療連携拠点病院看護師からみた医 療 ………41          日本大学医学部附属板橋病院 在宅療養支援室 師長  鹿渡登史子     4) いま、地域の家庭医に求められている「がん医療における役割」とは? ………49        医療法人聖岡会新逗子クリニック            (現職:医療法人社団医創会セレンクリニック) 高橋秀徳     5) 在宅医療・看護師から見た医療 〜訪問看護からのメッセージ〜 ………55      白十字訪問看護ステーション 統括所長  秋山正子

Section Ⅲ:特別講演

「市民公開特別講演」

    1) 航老学処方箋………65 大阪市立大学大学院医学研究科 分子病態学講座  井上正康     2) 女の老い・男の老い ………73   東京大学大学院人文社会系研究科 (社会学者)  上野千鶴子

(5)

1)セファランチンは pan-ATP binding cassette transporter inhibitor として作用するか ………79        岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 山本昌直ほか 2)ヒト培養細胞(HSC4)の増殖に及ぼすセファランチンの影響 ………85         中国学園大学現代生活学部 人間栄養学科 川﨑祥二ほか 3)腎虚血再還流障害に対するセファランチンの有効性の検討 ………91         大分大学医学部 麻酔科学講座 日下淳也ほか 4)血小板減少モデルマウスにおけるセファランチンの効果 ………93        山口大学大学院医学系研究科 情報解析医学系専攻 病理形態学分野 崔 丹ほか 5)セファランチンは LPS 誘導全身性炎症モデルにおいてNF‐κBを阻害することで抗炎症作用を発揮する …97         大分大学医学部 麻酔科学講座 長谷川 輝ほか 6)口腔扁平上皮癌における Cepharanthine の放射線増感効果 ………99    山口大学大学院医学系研究科 上皮情報解析医科学講座 歯科口腔外科学分野 原田耕志ほか 7)放射線治療時におけるセファランチンの 併 用 ………105       地方独立行政法人県立多治見病院 放射線科 小山一之 8)口腔癌における外部放射線治療による白血球減少症に対するセファランチン投与の効果 ………109         秋田大学医学部附属病院 歯科口腔外科 大渕真彦ほか 9)頭頸部悪性腫瘍に対する放射線化学療法時の白血球減少症へのセファランチン、アンサーの効果    :静注化学療法と動注化学療法の比較 ………113        大阪大学大学院歯学研究科 歯科放射線学教室 柿本直也ほか 10)食道癌化学放射線治療における白血球減少に対するアンサー VS セファランチンの 検 討 ………115      東北大学病院 放射線治療科 久保園正樹ほか 11)放射線性唾液腺障害と味覚障害に対するCepharanthin効果の検 討………117           佐賀大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座 島津倫太郎ほか 12)当科におけるセファランチンを用いた頭頸部悪性腫瘍に対する DCS 療法 ………127         岐阜県総合医療センター 歯科口腔外科 秋山京子ほか 13) 高齢者頭頸部悪性腫瘍患者に対する化学療法時の白血球減少症へのセファランチンの使用効果について……133        九州歯科大学 第二口腔外科 山本哲彰ほか 14)セファランチン長期投与例の臨床的検討 ………137        八戸赤十字病院 歯科口腔外科 小幡和郎ほか 15)長期経過を辿った末にセファランチン®が有効であった口 腔 扁 平 苔 癬 の1例………141        住友別子病院 歯科口腔外科 兵頭誠治ほか

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17)丘疹紅皮症に対するセファランチンの有用性 ………151        京都市立病院 皮膚科 小西啓介ほか 18)SADBE 療法とセファランチン®内服療法によって治 癒した女児の全頭型円形脱毛症の1例 …………157          白河厚生総合病院 皮膚科 竹之下秀雄 19)当院における脱毛治療 ─第2報 ─ ………163        医療法人美咲会 ふくずみ形成外科 吹角善隆 20)線維筋痛症 に対するアコニンサン錠の使用経験 ………169       北里大学医療衛生部 酵素・紅豆杉 補完医学研究部門 中島 修ほか 21)肩夜間痛に対するアコニンサン錠の使用経験 ………175        宏善会諫早記念病院 整形外科 木村和也ほか 22)神経障害性疼痛に対して近赤外線照射と加工ブシ末(アコニンサン錠)が 有効であった症例 ………177         鶴見大学歯学部 歯科麻酔学講座 三浦一恵ほか 23)舌痛症に対する加工ブシ末製剤の臨床効果………181        玉造厚生年金病院 歯科・口腔外科 原田利夫ほか 24)口腔顔面痛に対するアコニンサン錠®の有用 性 ………185             大阪大学歯学部附属病院 歯科麻酔科 河野彰代ほか 25)過去 4 年間のアコニンサン錠投与症例についての検討………189   琉球大学医学部高次機能医科学講座 顎顔面口腔機能再建学分野 砂川奈穂ほか 26)医薬品ラベル表示及び包装に関する考察〜医療安全管理の視点から〜 ………193           公立大学法人横浜市立大学附属病院 薬剤部 古川大輔ほか 27)ビカルタミド錠80mg「サワイ」およびカソデックス®錠80mg のヒト前立腺癌由来細胞移植    モデルに対する抗腫瘍作 用………199               沢井製薬株式会社 生物研究部 田中祥之ほか

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Section Ⅰ

ワークショップ

アルカロイド (生薬)

と疾患

Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患

1)線維筋痛症の病態とアコニンサン錠の治療

線維筋痛症の病態  線維筋痛症は、1970 年代半ばに欧米でそ の存在が確認され、1980 年代に本邦でも確 認された全身に耐えがたい痛みがある疾患で ある。原因不明の多様な疼痛が主に頚部から 肩甲骨周囲や背部に始まり、徐々に全身の筋、 関節などの結合組織に広がる疾患である。妊 娠可能な女性、特に 40-50 歳代の女性に多 く、アメリカリウマチ学会が 1990 年に発表 した診断基準1)では、3 ヶ月以上持続する全 身にわたる痛みがあり、18 箇所設定されて いる圧痛点のうち 11 箇所以上の圧痛点を確 認できるものを線維筋痛症と診断する。圧痛 点の測定には圧痛計を用いて 4kg/m2の圧力 を加えるが、圧痛計の無い場合には診察者の 母指の爪が白くなる程度の力で押さえること を基準に行う(図1)。また診断には Yunus が 1981 年に提唱した小基準2)も参考にすべ きである。  線維筋痛症は、現在でも病態が明らかに なっていない。脳脊髄液中に発痛物質である サブスタンスPが増加し3)、セロトニン前駆体 や代謝物の減少4)が指摘され、下行性(疼痛) 尼崎中央病院 整形外科1)、大阪大学疼痛医療センター2)、行岡病院 リウマチ科3) 桐蔭横浜大学医用工学部 臨床工学科 不老科学・加齢制御学部門4) 横浜総合病院 リウマチ科5)    三木健司1 ~ 3)、行岡正雄3)、後藤 眞4,5) 図 1 アメリカリウマチ学会の線維筋痛症診断基準(1990年) 1. 広範囲にわたる疼痛の病歴(3ヶ月以上) 上半身、下半身を含めた対側性の広範囲の疼痛と 頚椎、前胸部、胸椎、腰椎部の疼痛、

いわゆる axial skeletal pain が存在

2.18 ヵ所の圧痛点のうち 11ヵ所以上に疼痛を認める 後頭部:後頭骨下部筋付着部(左右) 下頸部:C5−C7における横突間帯の前部(左右) 僧帽筋:上側縁の中間点(左右) 棘上筋:内側縁付近の肩甲棘の上(左右) 第二肋骨 :第二肋骨軟骨接合部、接合部上面のすぐ脇(左右) 外側上顆:上顆から遠位2cm(左右) 臀部:外側に張り出した片側臀部を四分割した上外側(左右) 大転子:転子窩突起の後部(左右) 膝:関節線近傍の内側脂肪体(左右)

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抑制系の異常が原因と考えられている。この ことから、中枢の感作によるものが原因のひと つではないかと考えられている5)  また最近の脳機能画像の研究6)からも線 維筋痛症患者は健常人なら痛みを感じない刺 激でも脳の中で痛みを感じていることが解っ てきており高次脳機能の異常が原因の一つで はないかと考えている。  線維筋痛症の診断は除外診断が重要であ り、早期関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、 SLE、ベーチェット病など膠原病や絞扼性神 経障害などや運動ニューロン病、悪性腫瘍に よる痛みについても鑑別する必要があり、鑑 別が困難であるのは心身症、詐病、身体表現 性疼痛障害などがあげられるが、これらの鑑 別については精神科的な鑑別を要する。  セロトニンの前駆物質であるトリプトファ ン補充療法が線維筋痛症の痛みを軽減するこ とが報告され7)、また最近では下行性抑制系 を賦活化するノイロトロピンが効果的という報 告も出されている8)  ノイロトロピンは作用機序がはっきりし なかった薬剤であったが、脊髄のセロトニ ン受容体やα2ノルアドレナリン受容体を介 する下行性抑制系を活性化することが明ら かになり9,10)、慢性痛症の治療に使用されて いる。慢性痛症の治療には、NSAIDs が中心 ではなく、主に中枢神経に作用する NMDA antagonist や GABA agonist やセロトニン再 吸収阻害剤である抗うつ剤、ノイロトロピン (セロトニンおよびノルアドレナリン作動性 下行性抑制系賦活化9,10))などの薬剤が使わ れる。近年欧米ではプレガバリン(リリカ) が使用されており、本邦でも治験が行われて おり、認可されれば治療薬として有望である と考えている。  「線維筋痛症診療ガイドライン 2009」(日 本リウマチ財団発行)が平成 22 年 3 月に完 成し今後は治療方法なども標準化されてゆく ものと考えられる。また最近では運動器疼痛 に対する治療が注目されつつある。線維筋痛 症も運動器疼痛と言う観点からも治療すべき である11)  次にアコニンサン錠の線維筋痛症に対する 疼痛治療の効果を報告する。  附子は古くから漢方薬に配合され、主に疼 痛性疾患の鎮痛、虚寒証の患者の冷えおよび 新陳代謝の改善に用いられてきた。しかし、 附子は毒性が強く、附子を使いこなすのは名 医と言われていた。今回使用した化研生薬の 加工附子末は、附子を一定条件下で加圧加熱 処理を施して附子の毒性を減じ、その有益な 作用を保持した製剤である。アコニンサン錠 は、この加工附子末を主成分とする錠剤である。 症例・方法  線維筋痛症 23 症例(女性 18 例、男性 5 例) である。  アコニンサン錠は原則 1 日9錠3ヶ月間 以上投与とし、アコニンサン錠以外の投薬 は変更しなかった。VAS(Visual Analogue Scale, Pain Scale)、CRP、ESR を ア コ ニ ン サン錠投与前、後に記録した。 結  果  線維筋痛症では VAS はアコニンサン錠投 与 前 61.74

±

30.13 が 41.61

±

31.44 と 有 意 に 減少した(図 2)。圧痛点は 13.33

±

3.4 から 11.38

±

4.75 へと改善傾向あるが有意差は認 められなかった(図 3)。線維筋痛症、関節

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Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患 リウマチ、リウマチ性脊椎関節炎のいずれ の疾患群もアコニンサン錠投与による CRP、 ESR は変化無かった(図 4 ,5)。  線維筋痛症における患者による最終評価 は、著明改善 9 例(39.2%)、改善 1 例(4.3%)、 やや改善 1 例(4.3%)、不変 10 例(43.5%)、 やや悪化 2 例(8.7%)であった。  副作用による中止症例はなかった。 図 2 線維筋痛症患者の VAS scores はアコニンサン治療後に有意に減少した。(p<0.05) 図 3 FM:圧痛点数の変化 圧痛点数は治療前後で有意な変化は無かった。 図 4 CR P の変化 CRPはアコニンサン治療では変化無かった。有意差なし。 線維筋痛症(FM)のみならず、関節リウマチ(RA) 、脊椎関節炎(SA)でも変化無かった。

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参考文献

1) Wolfe F, Smythe HA, Yunus MB et al.: The American College of Rheumatology 1990 Criteria for the classification of fibromyalgia. Arthritis Rheum. 33:160-172, 1990

2) Yunus M, Masi AT, Calabro JJ, et al.: Primary fibromyalgia (fibrositis): clinical study of 50 patients with matched normal controls. Semin Arthritis Rheum. 11:151-171, 1981

3) Russell IJ, Orr MD, Littman B, et al..: Elevated cerebrospinal fluid levels of substance P in patients with the fibromyalgia syndrome. Arthritis Rheum. 37:1593-1601, 1994

4) Russell IJ, Vaeroy H, Javors M, et al.: Cerebrospainal fluid biogenic amine metabolites in fiberomyalgia/fibrositis syndrome and rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 35:550-556, 1992

5) Bennett RM: Emerging concepts in the neurobiology of chronic pain: evidence of abnormal sensory processing in fibromyalgia. Mayo Clin Proc. 74:385-398, 1999

6) David A Williams,Richard H Gracely1: Biology and therapy of fibromyalgia Functional magnetic resonance imaging findings in fibromyalgia, Arthritis Research & Therapy, 8:224-232, 2006 ま と め  アコニンサン錠は線維筋痛症の圧痛点数は 有意には変化させなかったが、VAS を低下 させた。最終評価も約 40%の症例で著明改 善を示した。線維筋痛症、関節リウマチ、リ ウマチ性脊椎関節炎のどの疾患群での炎症 マーカーである CRP、ESR には変化が無く、 抗炎症作用以外の機序でアコニンサン錠の鎮 痛効果があったと考えられる。アコニンサン 錠の鎮痛効果はプロスタグランジンとは関与 せず、中枢性モノアミン(ノルアドレナリン、 ドーパミン、セロトニン)との関与が示唆さ れている12)。アコニンサン錠投与にて、うつ 指数である SRQ-D の改善が見られ、セロト ニンとの関連が示唆されており13)、これら は下降性抑制系を介する鎮痛効果と考えられ ている14)。これらよりアコニンサン錠を慢 性疼痛疾患に使用することは NSAIDs に効 果のない症例に効果がある可能性が高く合目 的であると考えられる。 図 5 ESRの変化 ESR は変化無かった。 線維筋痛症(FM)のみならず、関節リウマチ(RA) 、脊椎関節炎(SA)でも変化無かった。

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Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患

7) Russell IJ, Michalek JE, Vipraio GA, et al. : Platelet 3H-Imipramine uptake receptor density and serum serotonin levels in patients with fibromyalgia/fibrositis syndrome. J Rheumatol. 19:104-109, 1992

8) Nishioka M: Clinical effect of novel compound to Fibromyalgia-Neurotropin. International symposium of Fibromyalgia Tokyo, 2004 9) Kawamura M, Ohara H, Go K, et al.: Neurotropin

induces antinociceptive effect by enhancing descending pain inhibitory systems involving 5-HT3 and noradrenergic alpha2 receptors in spinal dorsal horn. Life Sci. 62:2181-2190, 1998 10) Suzuki T, Li YH, Mashimo T: The antiallodynic

and antihyperalgesic effects of Neurotoropin® in

mice with spinal nerve ligation. Anesth Analg. 101:793-799, 2005

11) 三木健司 , 行岡正雄 : 線維筋痛症 . 運動器の痛み 診療ハンドブック, 山下敏彦編 , 南江堂 ,東京, 255-265, 2007

12) Omiya Y, Goto K, Suzuki Y, et al.: Analgesia-producing mechanism of processed Aconiti tuber: role of dynorphin, an endogenous kappa-opioid ligand, in the rodent spinal cord. Jpn J Pharmacol. 79(3):295-301, 1999

13) 木村好秀 : 更年期障害に対する加工ブシ末単独 療法 . 産婦人科の実際 , 38(3):447-452, 1989 14) Isono T, Oyama T, Asami A, et al. : The

analgesic mechanism of processed Aconiti tuber: the involvement of descending inhibitory system. Am J Chin Med. 22(1):83-94, 1994

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Section Ⅰ

ワークショップ

アルカロイド (生薬)

と疾患

Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患 北里大学医学部 皮膚科    齊藤 典充

2)円形脱毛症の治療におけるセファランチンの役割

円形脱毛症とは  原因不明の後天性の脱毛症であり、頭部を はじめ毛髪の存在するあらゆる部位に発症し 得る。突然に脱毛をきたし、円形の脱毛斑を 生じる。小さな単発の脱毛斑のみの症例から、 重症例では脱毛斑が全頭部に拡大する場合 や、全身の体毛まで脱毛することもある。人 口の 1 ~ 2% に発症するといわれ、どの年代 でも発症するが、その半数が 30 歳までに発 症し、1/4 が 15 歳以下で発症するとされる。 男女間に性差はない1) 分  類  本症は臨床的に脱 毛斑の数、範囲、形 態などにより大きく 通常型(単発型:脱 毛斑が単発のもの、 多発型:複数の脱毛 斑を認めるもの(図 1)) 全頭脱毛:脱毛巣が全頭部に拡大したもの、 汎発性脱毛:脱毛が全身に拡大するもの、蛇 行性脱毛:頭髪の生え際が帯状に脱毛するも のに分類することができる。 円形脱毛症の発症機序  円形脱毛症の発症機序は未だ不明瞭であ り、これまでに多くの説が論じられているが、 そのなかで関連があると思われるものについ て以下に述べる。 1.遺伝的素因  本症に遺伝的素因があるという説は以前よ り根強い。その根拠として以下の報告が挙げ られる。一般に患者の約 20%に家族内発症 を認めるといわれ、遺伝性の背景をもってい ることが示唆される2)。一卵性双生児にお いて同時期、同部位に円形脱毛症が発症した 例がある3)。一卵性双生児ではその 55%に 両者に円形脱毛症が発症したが、二卵性双生 児ではその確率は 0%であった4)。などがそ の根拠となる例である。 2.アレルギー説  再発性で難治性の円形脱毛症患者にアト ピー性皮膚炎を合併することがあることは以 前より知られている。このことより円形脱毛 図 1

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症発症の病因としてアレルギーが関与してい るという説がある。  当科における検討では、円形脱毛症患者 200 名中 108 名(54.0%)にアトピー素因を認め、 46 名(23.0%)は脱毛の発症時にアトピー性 皮膚炎に罹患あるいは既往があった5) 3.精神的ストレス説  一般的に円形脱毛症はストレスとの関連が 深いと考えられがちであるが、その因果関係 についてはいまだ不明瞭である。これまでに 円形脱毛症と精神的素因との関連を検討した 報告6)では、特に子供に生じた円形脱毛症 には精神的ストレスが関与しているとしてい る。しかし一方で精神的素因と円形脱毛症と の関連はないとする考え方7)もあり、見解 は一致していない。 4.自己免疫説  現在、円形脱毛症の発症要因として最も有 力なものは自己免疫説である。これは、①円 形脱毛症には甲状腺疾患、白斑などの自己 免疫疾患の合併がみられることがある8) ②脱毛巣の成長期毛包周囲には多数のリンパ 球浸潤がみられる、③円形脱毛症患者の血中 循環リンパ球のサブセットの比率に変動があ る9)、④治療として接触アレルゲン、サイク ロスポリンなどの免疫修飾剤が有効である、 といった点が根拠となっている。 円形脱毛症における免疫学的側面 1.病理組織学的所見  円形脱毛症の脱毛巣では、成長期毛根部周 囲や外毛根鞘、毛球部内に多数のリンパ球 が浸潤している(図 2)。これらのリンパ球 は T 細胞が主体で、CD4(+)helperT 細胞と CD8(+)supressorT 細胞比は約 4:1 である。 2.成長期毛包における免疫学的特権について  毛漏斗部以下は古典的 MHC class Ⅰ抗原 の発現を認めない特殊な部位で、脳、眼前 房などと同様に Immune-privileged-sites and tissue(免疫学的特権を有する部位と組織) に分類される。この免疫学的特権は、古典 的 MHC class Ⅰを発現しないことに加え、 TGF- βの発現および Fas リガンドの発現に より獲得される。すなわち、Fas 抗原の発現 (Fas-Fas-L)により浸潤 T 細胞にアポトーシ スを誘導することで死滅させ、その攻撃から 組織を防御していると考えられる。成長期毛 球部には古典的 MHC class Ⅰが発現しない ことが判明しているが、加えて Fas-L が発現 している可能性が高い。ところが、円形脱毛 症病巣部では Fas-L が減弱しているために免 疫学的特権部位としての機能が保たれず、毛 包周囲にリンパ球の浸潤をきたし、脱毛を生 じる。 治療について  軽症例では、局所の血流を改善させる目的 で用いる塩化カルプロニウム液や副腎皮質ス テロイド含有外用剤の外用と、網内系賦活剤 図 2

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Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患 であるセファランチン、グリチルリチン、抗 アレルギー剤などの内服とを組み合わせて 治療が開始される。しかしこれらの治療で も数ヶ月発毛がみられなかったり、全頭型 や汎発型の場合には、PUVA療法、液体窒 素冷却療法、副腎皮質ステロイド局注療法、 squaric acid dibutylester(SADBE)を 用 い た局所免疫療法などが行われている。一般的 に単発型や多発型でも急速に拡大しない症例 は予後が良いとされ、全頭型や汎発型は難治 とされている。単発型や多発型の中には治療 により早期回復、あるいは自然寛解する症例 が多いが、そのような症例でも再発すること が多く、完全に治癒させることは困難な疾患 といえる。 円形脱毛症に対するセファランチンの有効性 に関する検討  前の項で述べた通り、円形脱毛症に対する 治療は、局所免疫療法、ステロイド局注療法、 紫外線療法、血管拡張剤の外用、抗アレルギー 剤の内服や副腎皮質ホルモン剤の内服や外用 等を単独、あるいは複数を組み合わせて行わ れているが、病型や症状に応じた決まった治 療法は確立されていない。  今回我々は円形脱毛症に対し、セファラン チンの経口投与と他剤との併用療法を行い、 病型別に臨床効果、併用薬剤数、有害事象等 を検討した。 対象と方法 Ⅰ)対象患者 (1)平成 19 年より 20 年の 2 年間に受診した、  単発型、多発型、全頭型、汎発型の AA 患者 71 例 (2)年齢は 16 歳以上で、性別は不問とした。 (3)糖尿病、肝疾患、腎疾患等重篤な合併症 を有する患者、脱毛症を発症しうる基礎疾患 を有する患者、その他担当医師が不適当と判 断した患者は除外した。 Ⅱ)治療方法  セファランチンは 2 ~ 3mg/day の経口投 与を基本投与量とし、最大 6mg/day までの 投与量で治療を行った。また併用療法として グリチルリチン製剤を含む抗アレルギー剤の 内服、塩化カルプロニウム、副腎皮質ホルモ ン剤の外用および液体窒素療法を各々の用 法、用量をもとに用いた。 Ⅲ)臨床評価  臨床評価については各担当医の主観的判断 によって決定された。 (1)治療期間は原則 3 か月間とし、治療開始 時と治療終了時の臨床症状を比較し治療効果 を判定した。 (2)臨床効果については、薬剤投与前に対し て 1: 著効(脱毛巣がみられなくなった)、 2: 有効(脱毛巣が投与前の 50% まで縮小)、 3: や や 有 効(脱毛巣に生毛がみられる)、 4: 不変、5: 悪化(脱毛巣の拡大がみられる) の5段階で評価を行い、有効以上の症例数 の全体数に占める割合を有効率として算定し た。 (3)有用度は臨床効果に有害事象の発生状況 をふまえて、1: 極めて有用、2: 有用、3: や や有用、4: どちらともいえない、5: 好ましく ないの5段階で評価し、有用以上の症例数の 全体数に占める割合を有用率として算定し た。

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結  果 (1) 登録症例数  円形脱毛症の病型別内訳は単発型 18 例、 多発型 48 例、全頭型 1 例、汎発型 4 例の計 71 例であった。統計解析にはχ2検定、マン ホイットニー U 検定を行った。 (2) 全症例による改善度および有用度の検討  全71例における改善度は著効8例(11.3%)、 有効 34 例(47.9%)、やや有効 23 例(32.4%)、 不 変 5 例(7.0%)、 悪 化 1 例(1.4%)で あ り、有効以上の症例は 42 例であり、有効率 は 59.2% であった(図 3)。同様に有用度は 極めて有用 9 例(12.7%)、有用 35 例(49.3%)、 やや有用 20 例(28.2%)、どちらともいえな い6 例(8.4%)、 好 ま し く な い 1 例(1.4%) であり、有用以上の症例は 44 例であり、有 用率は 62.0% であった(図 4)。 (3) 単発型における改善度および有用度の検討  全般改善度は、著効 3 例(16.7%)、有効 5 例(27.8%)、やや有効 7 例(38.9%)、不変 2 例(11.1%)、悪化 1 例(5.5%)であり、有効 率は 44.5%であった(図 3)。また有用度は、 極めて有用 4 例(22.2%)、有用 4 例(22.2%)、 やや有用 8 例(44.4%)、どちらともいえな い 1 例(5.6%)、好ましくない 1 例(5.6%) であり、有用率は 44.4%だった(図 4)。  治療は 2 種類の薬剤を用いて行われた症例 が最も多く 9 例であった。以下、4 種類の薬 剤を用いて治療を行った症例が 4 例、セファ ランチン単独で行われた症例と 3 種類の薬剤 を用いた症例がそれぞれ 3 例、5 種類の薬剤 が用いられた症例が 1 例であった。治療薬剤 の数によって治療効果には有意差はなかっ た。 (4)多発型における改善度および有用度の検討  多発型登録症例は 48 例であった。全般改 善度としては、著効 5 例(10.4%)、有効 27 例 (56.2%)、やや有効 14 例(29.2%)、不変 2 例(4.2%)、悪化なし(0%)であり、有効率 は 66.6% であった(図 3)。また有用度とし ては、極めて有用 5 例(10.4%)、有用 29 例 (60.4%)、やや有用 10 例(20.9%)、どちら ともいえない 4 例(8.3%)、好ましくないな し(0%)であり、有用率は 70.8%だった(図 4)。  併用薬剤数の検討では 2 剤併用で治療が行 われた症例が 24 例と最も多く、次いで 3 剤 の 13 例であり、セファランチン単独使用例 は 3 例であった。症例数が多かった 2 剤併用 群の有効以上の症例の治療内容を検討して みると、セファランチン・フロジン群 7 例 (87.5%)、セファランチン・ステロイド外用 剤 3 例(75.0%)であり、経口剤と外用剤の 併用が行われた症例が経口剤のみを併用した セファランチン・グリチルリチン製剤群 11 例(45.5%)に比し高い有効率があり有意差 が認められた(p<0.05) (図 5)。  各々の併用薬剤と対照群とを臨床効果で比 較すると、ステロイド外用剤を併用した群と 併用をしないで治療を行った群との間の有効 率に有意差が認められた(p<0.05)。その他 の薬剤群では対照群との間の有効率に有意差 は認められなかった(図 6)。 ま と め  このようにセファランチンは円形脱毛症治 療において他の薬剤との併用によってある程 度の有効性を示した。

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Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患 図 3 結果:臨床効果 図 4 有用度 図 5 併用療法数別臨床効果(多発型) 図 6 薬剤別臨床効果(多発型)

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グリチロン内服は有益か セファランチン内服は有益か 抗アレルギー剤内服は有益か 漢方薬は有益か ステロイド内服は有益か シクロスポリン A 内服は有益か 精神安定薬内服は有益か ステロイド外用は有益か 塩化カルプロニウム外用は有益か ミノキシジル外用は有益か アンスラリンは有益か ステロイド局注は有益か ステロイドパルス療法(静脈注射) は有益か 冷凍療法は有益か スーパーライザー療法(直線偏光近  赤外線照射療法)は有益か 星状神経節ブロックは有益か PUVA 療法は有益か 局所免疫療法は有益か 分子標的療法は有益か 催眠療法は有益か 鍼灸治療は有益か 予後からみて、治療しない(受けない) 選択は有用か 円形脱毛症の発症にアトピー素因が 関連するか Ophiasis 型への特異治療はあるか 発症に関して精神的ストレスの関与を どう考えるか (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) (24) (25) 表 1 クリニカルクエスチョン 円形脱毛症診療ガイドラインのポイント  円形脱毛症は後天性脱毛症の中で最も頻 度が高い。これまでに数多くの治療法が報 告されてきたが、EBM 評価に立脚した治 療法に基づく診療ガイドラインはなかった。 しかし患者に精神的ダメージや QOL 低下を もたらす円形脱毛症は、あらゆる治療法を 用いて治療しなくてはならない。そこで日本皮 膚科学会が作成した円形脱毛症診療ガイド ライン10)のポイントを示す。  表 1 に示すようなクリニカルクエスチョ ンを設定し、各治療法におけるエビデンス を検討し、推奨度を決定した。 その結果、B 群として (12)ステロイド局注 、(18)局所免疫療法を 挙げた。 治療対象より狭くした場合に B 群として (13)ステロイドパルス療法(静脈注射)を 挙げた。 さらに C 群として (1)グリチロン内服 、(2)セファランチン内服 、 (3)抗アレルギー剤内服、(5)ステロイド内服 、 (8)ステロイド外用、(9)塩化カルプロニウ ム外用、(10)ミノキシジル外用 、(14)冷凍 療法、(15)スーパーライザー療法(直線偏 光近赤外線照射療法) 、(16)星状神経節ブ ロック、(17)PUVA 療法、(22)予後からみて、 治療しない(受けない)選択 を挙げている。 結  語  円形脱毛症は毛器官をターゲットとした 全身性の疾患である。しかし発症機序には まだまだ不明瞭な部分が多く、今後のさら なる検討が期待される。それゆえに病型、病状 に応じた決まった治療はなく、様々な治療 が行われている。そのなかでセファランチン はある程度の効果を有し、安全に使用出来る 薬剤である。円形脱毛症は再燃を繰り返す疾 患であるため、それぞれの患者さんに合った 治療法を長期にわたり継続して行うことが大 切である。

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Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患          参考文献 1) 伊藤雅章:円形脱毛症 . 皮膚臨床,34:831-837,1992 2) 伊藤雅章:円形脱毛症 . Dermatology Practice 8.   毛と爪のオフィス・ダーマトロジー , 25-30 3) Weidman I, et al.:Alopecia areata occurring

simultaneously in identical twins. Arch Dermatol, 74 : 421-426,1956

4 ) J a c k o w C , e t a l. : A l o p e c i a a r e a t a a n d cytomegalovirus infection in twins:genes versus environment?. J Am Acad Dermatol, 38 : 418-425,1998 5) 勝岡憲生 他:アトピー性円形脱毛症 . 皮膚病 診療 .14 : 729-733,1992 6) 沢田松治 : 円形脱毛症と精神的因子. 臨床皮泌 , 12 : 37-42,1958 7) 伊藤雅章 : 円形脱毛症 . 特に病因と治療について 皮膚臨床 , 35 : 1393-1398,1993

8) Muller SA, et al.:Alopecia areata, an evalution of 736 patients. Arch Dermatol , 88 : 290-297,1963 9) Filipovich AH, at al.:The Correlation between

Inducer/Supressor Ratio, Generation of Concanavalin A-Activated Supressor Cells, and Mitogen-Stimulated Ploriferation of Peripheral Blood Lymphocytes in Patients with Alopecia Areata and Normal Controls. Clin Immunol Immunopathol , 25 : 21-31,1982

10)荒瀬誠治:円形脱毛症治療ガイドラインのポイ ント. 臨床皮膚科 , 63 : 96-99, 2009

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Section Ⅰ

ワークショップ

アルカロイド (生薬)

と疾患

Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患 熊本大学医学部附属病院 血液内科1)、八代総合病院 耳鼻咽喉科2)     畑 裕之1)、神崎順徳2)、菊川佳敬1)、満屋裕明1)

3)Myeloma(骨髄腫)の病態とセファランチン

1:骨髄腫とは  おもな血液腫瘍(がん)は、白血病、悪性 リンパ腫、骨髄腫である。前 2 者は、抗がん 剤で治癒することがあるが、骨髄腫はいまだ に治癒が得られない。50 年前にアルキル化 剤であるメルファランによる治療が開発され たが、平均余命は 2 年であった。近年サリド マイドやその誘導体であるレナリドマイド、 プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブな どが臨床応用されているが依然として治癒困 難な疾患で、平均余命は 3 ~ 5 年である。骨 髄腫の好発年齢は 60 歳台であり、近年の高 齢者増加に伴い患者数は増加し、本邦の罹患 者数は 4000 名と推定される。  多発性骨髄腫の定義は、B リンパ球が最終 分化した形質細胞の腫瘍である(図1)。骨 髄腫細胞は、破骨細胞を活性化する一方、骨 芽細胞を抑制するため骨融解がみられ、骨痛 や病的骨折の原因となる。その結果、血液疾 図 1 B 細胞の分化と骨髄腫 骨髄腫は形質細胞の腫瘍である。

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患でありながら骨の異常をきたす。骨髄腫細 胞は免疫グロブリンを産生する形質細胞が腫 瘍化したものであるから、大量の免疫グロブ リン(Monoclonal Protein;M タンパクとい う)を産生する。M タンパクは時に、腎尿 細管に沈着し腎不全の原因となる。また臓器 に沈着後アミロイドに変性し、AL アミロイ ドーシスを惹起し多くの臓器を障害する。こ のように骨髄腫は血液疾患ではあるが、多彩 な病状を呈する。 2:骨髄腫とサリドマイド  1990 年ごろよりサリドマイドが骨髄腫に 効果を示すことが報告され始めた1)。サリド マイドは血管新生を抑えるとの論文があり2) さまざまな腫瘍に理論的には効果を示す可能 性がある。なかでも骨髄腫はその効果が明ら かであり、現在では広く用いられており、標 準治療に抵抗性の症例でも 3 割程度に効果を 示すと言われる。しかし、その機序について は不明であり、血管新生阻害効果も症例にお いては証明されていない。  サリドマイドは、50 年ほど前に薬害を起 こした薬として有名である。強い胎児発育障 害をきたすことから、処方に際しては厳重な 管理が必要である。日本では平成 21 年度か ら保険承認されたが、TERMS という薬剤管 理システムのもとでのみ処方可能である。平 成 22 年7月にサリドマイド誘導体であるレ ナリドマイドも承認されているが、これにも RevMate という管理システムが導入されて いる。  このように、処方は容易ではないが、これ ら薬剤が奏功すれば、余命も年単位で延長さ れうる。 3:骨髄腫とセファランチン 症例:この度、cepharanthine (CEP)大量療法 が難治性骨髄腫に奏功した症例を経験した3) 症例は 75 歳女性である。これまでに標準的 図 2 セファランチンが奏功した症例の経過 縦軸は総タンパクを示し、高値であれば病状の憎悪を示す。 丸で囲った部分はセファランチンの効果を示す。

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Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患 な多くの化学療法を施行され、その都度奏功 を認めたが、徐々に効果が薄れていた(図2)。 経過中に突発性難聴をきたし、近医耳鼻咽喉 科に入院となった。その際、骨髄腫によると 思われる血小板減少を認めていた。耳鼻咽喉 科では、血小板減少にセファランチン大量療 法が奏功することがあることから4)、セファ ランチン 30mg/ 日を処方された。同時に、 突発性難聴に対してリンデロンも開始され た。突発性難聴回復後、当院血液内科受診し たところ、著明な血小板の増加と M タンパ クの低下を認め、近医耳鼻咽喉科へ問い合わ せたところ上記処方内容が判明した。  その後、セファランチン単剤を試行すると、 やはり効果は認められたが持続せず、ステロ イド剤とセファランチンの併用が奏功し、効 果は 1 年以上持続した。 4:セファランチンの in vitro 効果  以上のように、症例においてセファランチンの 骨髄腫細胞に対する効果が観察されたので、 in vitro における効果も検討した。検討には 骨髄腫細胞株 2 種類と患者由来骨髄腫細胞を 用いた。その結果、セファランチンは、骨髄腫細胞 株に、細胞周期の停止またはアポトーシスの誘 導を直接もたらすことが示された(図3)。 A:骨髄腫細胞株に対するセファランチンの増殖抑制効果   すべての細胞株においてセファランチンは濃度依存性に増殖抑制効果を示した B:セファランチンによる骨髄腫細胞へのアポトーシス誘導 形態観察 左:細胞、右:アポトーシスを呈する細胞の定量化 C:AnnexinV/PI 染色によるアポトーシス定量化 D:患者由来骨髄腫細胞へのセファランチンによるアポトーシス誘導(AnnexinV/PI 染色) 図 3

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 さらに検討を行い、アポトーシスの誘 導 は、 活 性 酸 素(ROS)の 産 生 と caspase 活 性 化 に よ る こ と、 細 胞 周 期 の 停 止 は p15INK4Bおよび p21Waf1/Cip1 の増加によ ることが判明した(図4,5)。  これまでにも、セファランチンが抗腫瘍効果 を示すことは散発的に報告されているが5 ~ 10) 骨髄腫に対する報告は本例が初めてである。 抗腫瘍効果がミトコンドリアを経由する系 と、細胞周期停止系の両方によることは、 セファランチンが多くの分子を標的とする ことを示唆する(図6)。 A:セファランチンによる Caspase-3 活性化   セファランチンは KHM-11 にのみ Caspase-3 の活性化を誘導した。 B:セファランチンによる活性酸素誘導 C:細胞周期解析 セファランチンは KHM-11 にのみ SubG1 期細胞(アポトーシス細胞)を誘導した。 S 期の低下、G0/G1 期の増加は両細胞株に見られた。 図 4 5:終わりに  骨髄腫は 60 歳以降に発症する治癒の得ら れないがんである。治癒は得られなくても、 さまざまな薬剤が開発され、そのたびに余 命は延長されているとはいえ、患者は、骨 の痛みに苦しみつつ、迫る命の終わりにお びえねばならない。  セファランチンは安全性が高く、長期間 使用可能かつ安価であり大量投与も可能と 考えられるため、治癒の得られない骨髄腫 においては終末期でも安全に使用可能であ る。実際に、終末期の症例でセファランチン

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Section Ⅰ ワ ー ク シ ョ ッ プ  ア ル カ ロ イ ド ( 生 薬 ) と 疾 患 による一時的な病状の安定を得、在宅看護、 介護で看取られたかたも経験しており、セ ファランチンは骨髄腫の終末期に有用である と考えられた。筆者の経験では、単独投与よ りもステロイド剤やサリドマイドなどとの併 用が有用であると思われるが、最適な投与法 の策定は今後の課題である。

セファランチンによる Cyclin dependent kinase inhibitor の誘導

A :12PE においてのみ p15 INK4B, p21 Waf1/Cip1 が誘導されリン酸化 Rb の減少がみられた。 B:Caspase 阻害剤、ZVADfmk 存在下でのセファランチンによる p15 INK4Bの誘導

  KHM-11では Caspase 阻害下で 12PE と同様に p15 INK4Bの誘導が見られた。

図 5

図6 骨髄腫細胞に対するセファランチンの効果  アポトーシス誘導と細胞周期停止が

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参考文献

1) Larkin M: Low-dose thalidomide seems to be effective in multiple myeloma. Lancet, 354: 925, 1999

2) D'Amato RJ, MS Loughnan, E Flynn, et al.: Thalidomide is an inhibitor of angiogenesis. Proc Natl Acad Sci U S A, 91: 4082-4085, 1994 3) Kikukawa Y, Y Okuno, H Tatetsu, et al.:

Induction of cell cycle arrest and apoptosis in myeloma cells by cepharanthine, a biscoclaurine alkaloid. Int J Oncol, 33: 807-814, 2008

4) Kobayashi M, T Katayama, S Ochiai, et al.: High-dose cepharanthin therapy of idiopathic thrombocytopenic purpura. Rinsho Ketsueki, 33: 405-407, 1992

5) Morikawa K, F Oseko and S Morikawa: Inhibition of proliferation and differentiation of human B-lymphocytes by a biscoclaurine alkaloid. Int J Immunopharmacol, 14: 941-949, 1992

6) Asaumi J, K Nishikawa, H Matsuoka, et al.: Direct antitumor effect of cepharanthin and combined effect with adriamycin against Ehrlich ascites tumor in mice. Anticancer Res, 15: 67-70, 1995

7) Aogi K, M Nishiyama, R Kim, et al.: Overcoming CPT-11 resistance by using a biscoclaurine alkaloid, cepharanthine, to modulate plasma trans-membrane potential. Int J Cancer, 72: 295-300, 1997

8) Furusawa S, J Wu, T Fujimura, et al.: Cepharanthine inhibits proliferation of cancer cells by inducing apoptosis. Methods Find Exp Clin Pharmacol, 20: 87-97, 1998

9) Harada K, Supriatno, S Yamamoto, et al.: Cepharanthine exerts antitumor activity on oral squamous cell carcinoma cell lines by induction of p27Kip1. Anticancer Res, 23: 1441-1448, 2003 10)Biswas KK, S Tancharoen, KP Sarker, et al.:

Cepharanthine triggers apoptosis in a human hepatocellular carcinoma cell line (HuH-7) through the activation of JNK1/2 and the downregulation of Akt. FEBS Lett, 580: 703-710, 2006

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Section Ⅱ ワ ー ク シ ョ ッ プ  が ん 治 療 と 地 域 ・ 在 宅 医 療 の 今 後 は

Section Ⅱ

ワークショップ

がん治療と地域・在宅医療の今後は

NPO 法人愛媛がんサポートおれんじの会    松本 陽子

1)がん患者・家族からのメッセージ

はじめに  33 歳の夏、私はがん患者になってしまい ました。父親をがんで亡くしていたので、い つかは自分もと思っていたものの 30 代前半 で向き合うとは想定外の出来事でした。  当時、NHK 松山放送局で医療問題を中心 に取材する仕事をしていました。がんに関す る情報、知識をかなり持っているつもりでし たが、パジャマを着て病気に向き合うときに は殆ど役に立ちませんでした。「知識」と「経 験」はまったく別物でした。手術をして子宮 を摘出するという知識に、痛みの実感は伴っ ていませんし、抗がん剤治療の副作用として 嘔吐は知っていても、それがどのくらいの頻 度で起こりどれほど辛いかは経験してはじめ てわかることでした。  社会から切り離されていく孤独感、将来へ の不安、再発と死の恐怖。体の痛みに加えて、 闘わなければならない対象が次々と目の前に 立ちはだかりました。これらには薬は効果は なく、家族や友人の支え、同病者の共感が大 きな力になることを思い知りました。  足掛け 5 か月の入院生活を終えて退院する とき、もし自分が生き続けられるのであれば 「知識」ではなく「経験」を活かして、後に 続く患者のために何かしたいと願いました。 おれんじの会の活動について  退院後約 10 年を経て、地元愛媛でがん患 者と家族の会を立ち上げました。知り合いに 声を掛け 6 人で始めた活動が新聞で報道され ると、瞬く間に仲間が集まり 100 人を超える 人が参加して 2008 年春に設立総会を開催し ました。1 年後の 2009 年 4 月に NPO 法人化 し、現在の会員数は約 140 人です。  活動は 3 つの柱を据えています。「交流」「学 び」「情報発信」です。  2 人に 1 人ががんと向き合う時代になって なお、病気のことを大きな声では言えない雰 囲気があります。患者も家族も孤独の中で療 養生活を続けています。でも、ひとりじゃな い、仲間がいるということを分かち合うため の交流会を定期的に開催しています。  また、がんに関する様々な勉強会も行って います。治療とおカネの話、補完代替医療の

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こと、緩和ケアなどについて専門家から話を 聞いています。  そして、社会へ向けての情報発信です。患 者・家族はどんな痛みを抱えているのか、医 療についてどう感じていて何を欲しているの か、そうした思いを可視化し行政や医療者に 伝えることで療養環境を変えていきたいと 願っています。 地域での医療連携に関する意識調査から  2009 年 1 月に「病診連携に関する意識調査」 を実施しました。在宅医療への大きな流れの 中で患者・家族はどういう状況に置かれ、ど う感じているのかについての調査です。概要 は図に示す通りです。その結果、多くが肯定 的に捉えていることがわかりました。ただし、 そこには「主治医からの十分な説明を受け納 得すれば」という条件がついています。実は、 この「主治医からの十分な説明」が現実には かなり難しいということも調査結果から伺え ます。「いまの状況でこれ以上の説明が可能 なのか?」「パスに頼れば紙一枚で送る冷た い医療になりかねない」などの厳しい声も寄 せられました。  実際、十分な情報提供のないまま転院し心 身の痛みに苦しんだ患者の例も少なくありま せん。  では、どうすればよりよい医療連携が出来る のか?意識調査の中で「最初から最後まで専 任で関わってくれるケアマネージャーのよう な役割が必要」といった意見が複数みられま した。従来の治療施設の主治医に何もかもを 求めるのは無理だということは明らかですの で、そうした新たな役割、機能を創り出して いくことが、解決の糸口になるかもしれません。

病診連携に関する意識調査

◆調査主体 : 愛媛がん患者・家族会 おれんじの会 ◆調査対象 : おれんじの会会員、例会参加者等  回答数 80 ◆調査方法 : 質問用紙を例会で配布・回収       メールで配布・回収 ◆調査時期 : 2009 年1月〜2月 「病診連携」をどう思いますか? 「病診連携」という言葉を知っていましたか?

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Section Ⅱ ワ ー ク シ ョ ッ プ  が ん 治 療 と 地 域 ・ 在 宅 医 療 の 今 後 は 自分や家族が、病院から診療所へ紹介されることになったらどうしますか? 納得するために何が必要だと思いますか? 病診連携について

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 さらに、医療者と患者・家族、行政だけで 地域でのがん医療を考えるのではなく、政治 や経済界、地域住民も含めた広い枠組みの中 で考えていくべきではないでしょうか? 愛媛での取り組み   愛媛県では、2010 年3月に「愛媛県がん 対策推進条例」が制定されました。この前文 には次のように書かれています。 「がん対策基本法の趣旨を踏まえ、すべての 県民が生命を尊重する良心に基づき、温かみ のある適切ながん対策を推進することによ り、がんになってもお互いに支え合い、安心 して暮らしていける地域社会を実現すること を決意し、この条例を制定する」  この条例を受けて、患者・家族、医療者、 行政、政治、経済界、マスコミなどさまざま な立場から意見を出し合うがん対策推進委員 会が設置されることになりました。がん患者 が抱える経済的な問題や就労について、また 効果的な情報の周知など、これまでとは違っ た視点でもがん対策が議論されることになる と期待しています。  こうした動きが好事例を生み出せば、いず れがんだけでなく他の疾病対策にもよい影響 が及ぶのではないでしょうか。  どんな病気であっても安心して暮らしてい ける街になるための取り組みが始まろうとし ています。

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Section Ⅱ ワ ー ク シ ョ ッ プ  が ん 治 療 と 地 域 ・ 在 宅 医 療 の 今 後 は

Section Ⅱ

ワークショップ

がん治療と地域・在宅医療の今後は

三重大学医学部附属病院 外来化学療法部    影山 慎一

2)がん拠点病院 外来化学療法から在宅へ

 2006 年に 「 がん対策基本法 」 が成立し、 厚生労働省は施策として 「 がん対策推進基本 計画 」(図 1)を策定し、重点的に取り組むべ き事項として、すべての 「 がん拠点病院 」 で 「放射線療法・外来化学療法」を実施するこ とを掲げた。このことは日本においてはがん 診療が 「 手術中心の治療 」 からがん治療の 3 本柱である 「 放射線療法 」、「 化学療法 」 を 加えての総掛かりの治療体系を構築しなが ら、「 どれでもどこでも 」 の均てん化治療の 推進をしようとするものである。また、「 在 宅医療 」 の推進として 「 がん患者の意向を踏 図 1

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まえ、住み慣れた家庭や地域での療養を選択 できる患者数の増加 」 を目標としている。こ れらは、これまでの入院での抗がん剤治療か ら、通院による抗がん剤治療、地域・在宅で の療法への転換推進を意味するものである。  これまでのがん診療の中心は大きな病院で の長期入院が中心であった。日本人のがん 罹患が 「 二人に一人 」、がん死亡が 「 三人に 一人 」 と言われる中で国民病ともいえるがん を入院診療しかも都会の大病院に任せること が不可能になってきた(図 2)。また、患者 の側からの病名告知を受け、「 治療の方法と 場 」 を患者自身が選択する時代となり、より QOL が高い治療を望むようになってきた。  化学療法剤(抗がん剤)は様々な副作用を 生じさせる(図 3)。また、他の薬剤にくら べて効果予測がつきにくく、専門家でないと 実際には治療が行えない。すなわち、専門病 院(がん拠点病院)の一元化して行う必要が ある。  このことより、治療を受けるかどうかについ ては、利益、不利益のバランスシートに乗っ取り、 患者自身が決断を下す必要がある(図 4)。  三重大学医学部附属病院は 2007 年に三重 県のがん診療連携拠点病院に指定され、三重 県の地域のがん診療の中心的な役割を課せら れている。2009 年 4 月より、外来化学療法部 を独立して運営させて、化学療法専用 12 ユ ニットによって、通院抗がん剤治療を行って いる(図 5)。治療件数は、月平均延べ数: 338 件(2009 年 7 月~)、稼働率は 1.4 であり、 当初の予想を上回る治療を行っている(図 6)。  通院治療の恩恵は、治療を受ける患者さん 自身にあると考えている。家庭生活や仕事と の両立をしながら、治療を受けられることは 誰もが望まれることであり、それを可能にし たのは、副作用を軽減化できる支持療法の進 歩と自宅での自己管理のできるノウハウが明 らかになったことである。かつては、抗癌剤 の伴う吐き気のために食事がとれないことが あったが、5HT3 受容体拮抗制吐剤により、 かなりコントロール可能となった。また、抗 癌剤投与後の白血球数低下による感染リスク 図 2 図 3 図 4

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Section Ⅱ ワ ー ク シ ョ ッ プ  が ん 治 療 と 地 域 ・ 在 宅 医 療 の 今 後 は 図 6 図 5 時期を予測した自宅管理が可能となり、 G-CSF 使用により感染危険性の制御も できるようにもなった。外来通院治療 を行う上で重要なことは、患者さんを 中心として、医師、看護師、薬剤師ら の医療スタッフがチームを組んで安全 に治療を行う技術と環境を整えること と考えられる。  今後の課題として、抗がん剤治療か ら緩和ケアへの移行をどのように行う か、病院からクリニック(診療所)へ、 クリニックから在宅へ、切れ目のない 移行をどうするか、医療側、行政、患者、 家族、地域の全体での取り組みが必要 であろう(図 7)。 図 7

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Section Ⅱ ワ ー ク シ ョ ッ プ  が ん 治 療 と 地 域 ・ 在 宅 医 療 の 今 後 は

Section Ⅱ

ワークショップ

がん治療と地域・在宅医療の今後は

日本大学医学部附属板橋病院 在宅療養支援室 師長    鹿渡 登史子

3)がん診療連携拠点病院看護師からみた医療

1.はじめに  当院は東京都区西北部に位置し、病床数 1,037 床、診療科 33 科、平均在院日数 14 日 の大学病院である。第3次救命救急センター を併設し、高度先進医療の研究・実践を行う 特定機能病院であり、かつ医療者の育成を行 う教育・研修病院である。そして、がん対策 基本法の制定された 2007 年からは、地域が ん診療連携拠点病院としての指定も受け、板 橋・練馬・豊島・北区の人口 184 万人という、 日本一規模の大きな二次医療圏を担当してい る。基本的に病床の種類としては、急性期の 一般病床である上に、このように多種多様な 機能を同時に求められているのが、国内ほと んどの大学病院が現在置かれている状況であ る。  私はこのような大学病院のがん診療連携拠 点病院に勤める在宅療養支援専門部署の看護 師の立場から、日頃患者との関わりの中で感 じている、がん治療と地域・在宅医療に関す る課題について考えてみたい。 2.在宅療養支援室の機能・業務  筆者が所属する在宅療養支援室は、看護 部長直属の 1 看護単位組織である。看護師・ 保健師 10 名で構成され、スタッフ1名をが ん相談支援センターに出向している。室は 1976 年に「訪問看護室」として開設して以来、 業務拡大に伴って「ホームケア相談室」「在宅 療養支援室」と改称したが、一貫して「在宅 で療養する人を支援する」看護部署として、 その機能を担っている。  主な業務は、在宅支援(退院支援および外 来患者の療養支援を含む)、訪問看護、教育 指導である。当院で高度在宅医療や緩和医療 を導入し、地域に戻る患者・家族に、必要な 医療・看護・介護を継続し、その人の生活の 場でその人らしく、安心・満足・納得のいく 療養生活を送ることができるように、支援・ 調整を行う事を業務としている(図1)。 

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3.特定機能病院とがん診療  当院が特徴として強調する病院機能は、24 時間態勢で提供する超急性期医療や高度最先 端医療などの「特定機能病院」としての機能 である。しかし当室が相談を受ける多くの患 者・家族の声からは地域住民、なかでもがん 患者が求めるものと病院が強調したい機能と は、少しずれがあるように感じている。  藁をもすがる思いで化学療法を継続する進 行再発がん患者にしてみれば、どんなに最先 端ですばらしい治療であっても、自分自身 にその恩恵がなければ、命を危険にさらす辛 い副作用や衰弱を我慢して、この治療を受け る意味は無い。がん患者は最高水準の治療が できる病院に、自分のがんを治してほしいの であり、病院に望むことは『NOと言わない外 来診療と救急入院、そして最後まで見捨てない、 追い出さない病院』だろう。  がん診療を推進する役割を持つがん診療連 携拠点病院としては、患者の期待に応えたい のは当然ではあるが、一方特定機能病院でも ある大学病院が患者の望む、治るまでの入院 を受け入れれば、病床稼働率は低下し病院経 営そのものを逼迫する。これは容認できない ため、早期退院を促し、長期化しそうな入院 そのものを回避する方針をとる事になる。  特定機能・大学病院、そしてがん診療連携 拠点病院が行うがん患者の退院支援は、基本 的に対立する立場の違いの中で、施設や在宅 の受け入れを待てず、結果的に早々に在宅に シフトしているのが現実であり、がん難民発 生につながりやすい、大きな課題を抱えてい る。特定機能病院の医療連携は、今まさに施 設完結型から地域完結型医療連携への転換が 急務とされている。 図1 在宅療養支援室の業務

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Section Ⅱ ワ ー ク シ ョ ッ プ  が ん 治 療 と 地 域 ・ 在 宅 医 療 の 今 後 は 4.地域がん診療連携拠点病院の機能  国ががん診療連携拠点病院を整備する根本 の目的は、全国どこでも質の高いがん医療を提供 できるよう、がん医療の均てん化を目指している ためである。ここで地域がん診療連携拠点病 院の機能を、指定に備えるべき要件から整理し ながら、改めて本章の課題を考えていきたい。  厚生労働省より示された「がん診療連携拠 点病院の整備について」(健発第 0301001 号平 成 20 年 3 月 1 日)によると、地域がん診療 連携拠点病院の指定要件は大別して、⒈ 診 療体制に関するもの、⒉ 研修の実施体制に 関するもの、⒊ 情報の収集提供体制に関す るものが示されている。その内の⒈ 診療体 制の中に、地域がん診療連携拠点病院の診療 機能の詳細が明記され、提供する治療や提供 体制についても規定されている(図 2)。 1)集学的治療の提供体制および標準治療等  の提供  それによると、地域がん診療連携拠点病院 は、我が国に多い 5 大がん(肺がん、胃がん、 肝がん、大腸がん、乳がん)その他各医療機 関が専門とするがんについて、集学的治療及 び緩和ケアを提供する体制を有し、各学会の 診療ガイドラインに準ずる標準的治療等、患 者の状態に応じた適切な治療を提供するこ と、と規定されている。集学的治療とは、手 術、放射線療法及び化学療法を効果的に組み 合わせた治療を言う。そしてこの治療を、ク リティカルパス(検査及び治療等を含めた詳 細な診療計画表)を整備し、病態に応じたよ り適切な医療を計画的に提供できるように、 キャンサーボード(治療に携わる専門的知識 及び技能を有する医師等による治療に関する カンファレンス)を設置し、定期的に開催し 図 2 地域がん診療連携拠点病院の診療機能

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て治療をすることとされている。 2)化学療法の提供体制  また化学療法の提供体制については、化学 療法のレジメンを審査し、組織的に管理する 委員会を設置すること、および外来化学療法 室において化学療法を提供するがん患者が、 急変時等の緊急時に、入院できる体制を確保 することも規定されている。  当院においても外来化学療法室を設置し、 専門の医師、看護師、薬剤師等を中心に、外 来化学療法を実施している。2008 年からは 外来通院か入院でしか行う事が出来なかった 化学療法に、外来で開始した抗がん剤投与を、 終了時自宅で患者自身に抜針してもらう「在 宅がん化学療法」の運用を開始した。  m FOLFOX6療法などに代表される進行再 発がんに対する新たな化学療法である(図 3)。  この在宅がん化学療法運用の整備において は、病棟医、外来医、病棟看護師、外来看護師、 化学療法室看護師、薬剤師、栄養士、リハ ビリテーション科、緩和ケアチーム、MSW、 医事課など、院内多職種メンバーを集め、入 院による患者教育から退院後の外来での治療 継続のパスを作成し、各職種からのアドバイ スをまとめた患者用パンフレットも作成する プロジェクトに参画し、当室はその企画調整 図 3 在宅がん化学療法 図 4 患者用パンフレット

図 5 併用療法数別臨床効果(多発型) 図 6 薬剤別臨床効果(多発型)
図 1 HSC-2 細胞、HSC-4 細胞における ALA 依存性 PpIX 蓄積の濃度と時間依存性
図 3 ALA 依存性 PpIX 蓄積に対する Cepha の作用とその濃度依存性
図 4 細胞内蓄積 PpIX の時間依存的低下と FECH や ABCG2 阻害剤によるその抑制
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参照

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