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Ceph の効果:

ドキュメント内 第36回アルカロイド研究会会誌2.indd (ページ 81-126)

 グループ D:Ceph 0.5 mg を連日腹腔内に 1 週間予備投与後、0.1 ml APS を1回腹腔内 に投与し、翌日より0.005 ml より毎日 0.005 ml ずつ増量して APS を連日投与した。併せて Ceph 0.5 mg を連続3週間投与した。対照と して 0.1 ml APS のみを上記スケジュールで マウスに投与した。

 グループ D を除き各群の対象として健常 マウスに 0.1 ml の正常ウサギの血清を腹腔内 に投与した。

 APS または Ceph 投与前、投与後 4 時間、

24 時間および 3、 4、 5、 7、 9、 12、 14、 17、 21 日に眼底静脈叢から採血し、血小板数をカウ ントした。

結  果

1. 各濃度の APS 投与による血小板の経時的

Section Ⅳ

与群と比較して有意差(P < 0.05 )を認めた

(図4)。 考  察

 Ceph は種々の薬理作用を持つといわれ、

血小板増加作用があることが臨床的に確認 されている2~4)。ITP での Ceph の作用機序 は確定していないが、生体膜安定化作用11)、 免疫機能増強作用7)、副腎皮質ホルモン産 生増強作用8)などの薬理作用が予想される。

 本研究において抗マウス血小板抗体の投与 図 3 APS 投与状態におけるCephの効果

図 4 慢性血小板減少マウスにおけるCephの効果

でマウスの血小板減少モデルの作製を試み た。抗血小板抗体を一回投与すると急性的に 血小板の減少が生じ、この時期に Ceph を投 用したが、明らかな血小板の上昇がみられな かった。Ceph 投与群ではマウスの出血の程 度は軽かった。一方、APS を継続に腹腔内 投与する場合、長期的に血小板減少を認めた。

この群に Ceph を投与すると対照群より血小 板が有意に増加した(図4)。慢性的な血小 板の減少の例において、長期に Ceph を投与 した結果、血小板を上昇させる効果があると 思われる。血小板減少マウスについての組織 学的な検討では末梢血の塗抹切片で血小板の 減少を認めたが、ITP 脾のような泡沫細胞が ほとんど出現しなかった。従って、血小板減 少の原因については不明な点も多く更に検討 する必要がある。しかし、このモデルを用い て、血小板減少の機序の研究や治療薬の開発 などへの応用が期待される。

 Ceph の単独投与で血小板減少マウスの血 小 板 数 が 増 加 す る こ と が 確 認できた。慢 性に血小板低下が経過する ITP 症例では ステロイド剤が第一選択として挙げられ4,5)、 H・Pylori 陽性例に対しては除菌療法が行 われ、多くの症例において、有望な成績が得ら れたが、難治例やステロイドの副作用で使用で きない例もまだ多くみられる。経口剤で使用で き、安全性が高く、過去の臨床報告からの効 果など総合的に判断すると、Cephは血小板減 少症治療の選択薬の一つとして期待できる。

参考文献

1) 野村昌作:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

概論 . 日本臨床 , 61:552-557,2003

2) 小林正之ほか : 難治性特発性血小板減少性紫斑 病に対するセファランチン大量療法の検討 . 診 断と治療 , 83:589-595,1995

3) 野村昌作ほか : 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

に対する各種治療効果と HLA-DRB1アリルに関する 検討 . MHC(日本組織適合性学会誌 ), 6:206-208, 1999

4) 藤村欣吾 : 血小板減少症の治療―成人血小板減少症    とセファランチン―.新薬と臨床,47:1584-1594,1998 5) Ishihara T, et al.: Foamy cells in ITP spleens

and in granulomas induced by murine platelets, commercialized phospholipids, and erythrocyte membrane. Histological and ultrastructural studies. Acta Pathol Jpn, 33:943-958,1983

6) 宮原正信ほか : 生体膜系に対するビスコクラウ リン型アルカロイドの作用とその機序に関する 研究 . 岡山医学会雑誌 , 89:749-756,1977

7) 小野稔ほか:Cepharanthinによる Organassociated 免疫細胞の活性化. 癌と化学療法 ,15:127-133, 1988 8) 吉川典孝ほか : セファランチンの下垂体―副腎系に

及ぼす影響 . 日薬理誌 , 87:99-104,1986

Section Ⅳ

Section Ⅳ 一般演題・示説

大分大学医学部 麻酔科学講座

   長谷川 輝、萩原 聡、古賀寛教、日下淳也、工藤享祐、野口隆之

5)セファランチンは LPS 誘導全身性炎症モデルにおいて NF‐κB を阻害することで抗炎症作用を発揮する

緒  言

 最近の医学発達に伴い、集中治療領域での 患者数は減少してきている。しかし、敗血症 などに起因する全身性炎症反応症候群におい ては、各種臓器障害の結果、更なる病態の悪 化をもたらし、致死率は高い。全身性炎症反 応症候群における病態のメカニズムのひとつ に、TNF-αや IL-6 といった炎症性サイトカ インの存在が知られている。炎症性サイトカ インを制御することは、患者死亡率を改善で きる可能性がある。一方、セファランチンは 植物由来のアルカロイドであり、抗アレル ギー作用、免疫機構への関与など、様々な生 理活性を有する。我々は、ラットを用い、セ ファランチンの LPS 誘発全身性炎症モデル に対する病態改善効果について検討し、さら にセファランチン後投与での病態改善効果を 検討した。また、細胞培養系を用いてセファ ランチンの作用メカニズムの検討を行った。

研究対象及び方法

 Wistar 系雄性ラットを用い以下の5群を 作成した。1)生理食塩水を投与した群、

2)生理食塩水を投与した後、LPS(7.5mg/

kg)を静脈内投与した群、3)セファランチ ン(10mg/kg)を腹腔内に投与した後、LPS を静脈内に投与した群、4)LPS を静脈内 に投与した 2 時間後にセファランチンを腹腔 内投与した群、5)セファランチン(10 mg/kg)

を腹腔内に投与した後、生理食塩水を静脈内 に投与した群を作成した。血清中の TNF-α、

IL-6、NOx 量 を 測 定 し た。 さ ら に LPS 投 与 12 時間後の、肺、肝臓組織を評価した。

RAW264.7 細胞を用いて、LPS 投与時におけ る、セファランチンの上清中炎症性サイトカ イン(TNF-α、IL-6)分泌能の変化、ならび にNOx 産生量の変化を評 価した。さらに、

LPS 刺激細胞を用いて、細胞内 NF-κ B 活性 化や IkB、pIkB に対するセファランチンの 与える影響についても検討した。

結果及び考察

 LPS 誘発全身性炎症モデルにおいて、前 投与、後投与のいずれの群においても IL-6、

TNF-αならびに血清中 NOx 量が有意に減少 した。肺ならびに肝組織においても臓器障害 が改善された。さらに、細胞培養系において、

濃度依存性にセファランチンは上清中へのサ イトカインおよび NOx の遊離を抑制した。

この抑制効果は、IkB のリン酸化抑制を介し た NF-κB の活性化抑制の関与が示唆された。

※詳細につきましては J Surg Res. 2010 Feb 4.

Kudo K, Hagiwara S, Hasegawa A, Kusaka J, Koga H, Noguchi T:Cepharanthine Exerts Anti-Inflammatory Effects Via NF-kappaB Inhibition in a LPS-Induced Rat Model of Systemic Inflammation. をご参照ください。

Section Ⅳ

Section Ⅳ 一般演題・示説

山口大学大学院医学系研究科 上皮情報解析医科学講座 歯科口腔外科学分野    原田耕志、原田豊子、板敷康隆、上山吉哉

6)口腔扁平上皮癌における Cepharanthine の放射線増感効果

はじめに

Cepharanthine はタマサキツヅラフジから 発見されたアルカロイドで、結核菌の発育 阻止作用を有することが見出されたことに よって注目を集め、現在では脱毛、蝮咬傷、

放射線治療による白血球減少症に対する治 療薬として臨床で用いられている。我々は、

Cepharanthine が口腔癌細胞においてアポ トーシスを誘導すること1,2)、5-FU 系抗癌剤 の抗癌効果を増強すること3)、血管新生阻害 作用を発現すること4)を報告してきた。もち ろんその他にも様々な作用を有していると考 えられる。近年、口腔扁平上皮癌患者が外科 的切除を行わない治療いわゆる機能温存療法 を希望され、化学放射線療法が一次治療とし て選択されるケースが増加し、この際にも 白血球減少症に対して Cepharanthine が投 与される。しかしながら、放射線に対する Cepharanthine の影響については、放射線性 口内炎予防の可能性に関する報告が散見され る他5,6)、放射線増感効果に関しては未だ十 分に解明されていない。そこで今回、口腔扁

平上皮癌に対する放射線治療時に用いられる Cepharanthine の放射線増感効果について検 討した。

材料と方法

細胞株

 ヒト舌癌細胞株 HSC2、HSC3、HSC4 を用 いた ( 理化学研究所より購入 )。

MTT assay 

 96 穴プレートに 5 × 103 個の口腔扁平上 皮 癌 細 胞 (HSC2,HSC3,HSC4) を 播 種 し、24 時間後に各種濃度に調製した Cepharanthine と medium change してから 48 時間後、ま た設定した放射線照射を行ってから 48 時間 後、あるいは Cepharanthineと放射線照射を 併用処理してから 48 時間後に、通法に従っ て MTT 溶液を加え 37℃、4 時間反応させ、

形成された MTT formazanをジメチルスル ホキシド (DMSO) で溶解し、マイクロプレー トリーダーを用いて OD490nm にて吸光度を 測定することにより生細胞数を評価した。

Clonogenic survival assay 

 6 穴プレートに 1×103 個の細胞を播種し、

24 時間後 Cepharanthine 濃度 0, 10μg/ml に 調製した D-MEM と medium change し、1 時 間後 放射線照射 0, 3, 6, 9, 12, 15Gyを行い、

その後 D-MEMで 37℃、9 日間培養を行った。

形成されたコロニーを 90%エタノールで固 定後、ヘマトキシリンで染色し、染色された コロニーを肉眼で算定し、surviving fraction をコロニー数 / 播種細胞数× plating 効率よ り算定し、 clonogenic survival curve を作製 した。

Western blotting 

 Cepharanthine(10μg/ml)ならびに放 射 線

(10Gy)のそれぞれ単独処理あるいは併用 処理細胞と、未処理細胞を回収し、RIPA buffer にて蛋白抽出した後、ナノドロップ

(Thermo Fisher Scientific 社)により蛋白定 量を行い SDS-PAGE にて展開した。その後

PVDF 膜に転写し、WesternBreeze クロモ ジェニック検出システム(Invitrogen)を用い て目的の蛋白を検出した。すなわちブロキン グ溶液にて30分間ブロッキング行い、1次 抗体希釈液にて 5000倍希釈した1次抗体と 4℃にて 8 時間反応させ、wash buffer にて洗 浄後、発色液を用いて、目的のバンドを検出 した。

結  果

MTT assay にて、Cepharanthine(5-20μg/

ml)単剤処理により HSC3 の増殖が有意に 抑制され、Cepharanthin e( 10-20μg/ml)単剤 処理によりHSC2、HSC4の増殖が有意に抑 制 された(図 1)。すなわち、HSC3、HSC4、HSC2 の 順 にCepharanthine に対 する感 受 性 が 高 かった。次に、MTT assay を用いて放射線 に対する感受性を検索したところ、HSC3、

HSC4、HSC2 の順に放射線に対する感受性

図 1 Cepharanthine の細胞増殖抑制効果

ドキュメント内 第36回アルカロイド研究会会誌2.indd (ページ 81-126)

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