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Section Ⅳ

参考文献

1) 内田安信 , 河合幹 , 瀬戸晥一:顎口腔外科診断治 療大系 , 104 -105, 講談社 , 東京 , 1991

2) 井川加織 , 迫田隅男:口腔扁平苔癬に対するセ ファランチンの効果 . アルカロイド研究会誌 , 29:

141-146, 2003

3) 城山明宏 , 毛利大介:セファランチンが有効で あったと思われる口腔扁平苔癬の 2 例 . アルカロ イド研究会誌 , 32:117-120, 2006

4) 佐藤美樹 , 上山吉哉:口腔扁平苔癬の免疫組織 学的検討 . アルカロイド研究会誌 , 32:121-125, 2006

5) 小幡和郎 , 佐々木恵三:当科における口腔扁平 苔癬 13 例の臨床的検討.アルカロイド研究会誌 , 29:121-125, 2003

図 4 セファランチン投与前 

         両側頬粘膜にレース状の白斑を認める。

図 5 投与開始 3 年

         白斑はほぼ消失している。

Section Ⅳ

Section Ⅳ 一般演題・示説

高松市民病院 皮膚科    佐伯 圭介

16)当院皮膚科の口腔疾患におけるセファランチンの    有効であった6症例

緒  言

 セファランチンはビスコクラウリン型アル カロイドを含む生薬製剤であり、膜安定化作 用、抗アレルギー作用や末梢循環改善作用に 加え、免疫調節作用及び活性酸素産生抑制作 用等さまざまな薬理作用を有することが報告 されている。これらの薬理作用に基づいて、

スーパーオキサイド等の活性酸素や TNF- α や IL-1β等のサイトカインが重要な役割を 担っていることが報告されている口腔扁平苔 癬や再発性アフタ性口内炎等種々口腔粘膜疾 患に多用され、その有用性が報告されている。

 当院皮膚科では、口腔扁平苔癬・再発性 アフタ性口内炎・舌痛症・口腔内違和感に対 して、数年前からセファランチンを first line で使用し、成果をあげている。今回、他科でま ず加療されても不応であるからと当科に紹介 されてきた難治性の 6 症例について報告する。

症  例

症例 1:75 歳、男性 初 診:平成 21 年 3 月 24 日

既往歴:循環器疾患あり、近医内科処方薬を 内服中。

現病歴:平成 19 年頃より、両側の頬粘膜の ただれがあり、お茶もしみるとのことで、平 成 21 年 2 月 10 日に当院耳鼻咽喉科受診。ア フタゾロン口腔用軟膏、サルコートカプセル、

コルヒチン等を処方されるも改善なく当科紹 介となる。

治療経過 1:

3 月 24日:1% セファランチン末 1g/日、分 2 で治療開始。

4 月 7 日:左舌縁の紅色丘疹は残るも、頬粘 膜のただれは改善。

5 月 19 日:一旦略治癒状態となる。

再燃時臨床:8 月 14 日頃まで良好であった が再び悪化し、8 月 26 日に再度当科受診。

口腔粘膜のびらん・潰瘍を認める。頬粘膜部 にはレース状の白苔あり口腔扁平苔癬と再度 診断した (図 1)。内科で処方されている薬剤 に扁平苔癬型薬疹報告があり、また金属アレ ルギーが疑われたため検査を行った。

検査結果:

①扁平苔癬型薬疹報告のあるノルバスク (全

6 報告中 1 報告) とラニラピッド (全 2 報告 中 2 報告 ) のうち、ラニラピッドの薬剤によ るリンパ球刺激試験 (DLST) を行ったが S.I.

値は 99% で陰性であった。

②金属パッチテスト(ICDRG 基準で判定)

48 時間後 72 時間後 168 時間後

塩化第二スズ ?+ W+ W+

硫酸銅 ?+

硫酸ニッケル ?+

検査結果を通院中の歯科医院に連絡。

治療経過 2:

9 月 29 日:1% セファランチン末 2g/日にム コスタ 2 錠 / 日を追加して経過観 察。

10月27日:歯科で 10 月 1 日に抜歯され仮歯 になった。11 月 24 日に上の歯を いれる予定。口内痛が 10 月 15 日 頃から消失したために、セファラ ンチンを自己中断。しかし醤油以 外では、しみなくなっている。

11月17 日:多少しみるが、お茶も飲めて歯磨 きもできている。

平成 22 年

2 月 16 日:1 月末より再び口内痛あり、2 月

1 日より 2 剤再開。本人の判断で 1% セファランチン末 2g/日を隔 日で内服。

5 月 18 日:歯を抜いた方の口腔びらんはきれ いに治癒の様子。5 月 21 日に金属 残存歯の抜歯予定。お茶は若干し みるが、以前とは比べものにならな いとのこと。1% セファランチン末 1g/日及びムコスタ 1 錠を 1 日 1 回 で連日内服するように指導した。

症例 2:74 歳、男性

初 診:平成 21 年 6 月 21 日 主 訴:口腔粘膜のびらん痛

現病歴:初診のひと月前より咽喉の詰まる感 じがあり、当院耳鼻咽喉科受診。喉頭蓋に白 斑が認められ、真菌症を疑い、イトリゾール を処方された。しかし変化が無いばかりか両 腕にびまん性の浮腫性紅斑が出現したために 内服を中止し、皮膚症状改善する。その後、

下口唇・口腔底・舌にも白斑が出現したため、

当科紹介となる。

初診時臨床:舌小帯に直径 3 ~ 4 mm の白色 丘疹、頬粘膜には僅かに白苔、口唇も高度な 図 1 症例 1:再燃時臨床像

Section Ⅳ Erosive-Ulcerative な局面があり、口腔扁平

苔癬と診断 (図 2)。 治療経過:

6 月 21 日:1% セファランチン末 3g/日、分 3 を開始。

7 月 2 日:改善傾向を示す。耳鼻咽喉科再診 は拒否。

8 月 20 日:最低 1 日 2 回は内服とのこと。治 癒状態で治療中止。以後来院無し。

症例 3:70 歳、女性 初 診:平成 15 年 2 月 5 日 主 訴:口腔内違和感 既往歴:高血圧・肝臓病

現病歴:当科前医にてビタミン B2・B6、クラリ シッド、アレロックで加療。平成 18 年 4 月 1 日赴任のため担当医となり、同処方で経過 観察するも症状不変のため、1 年半近く通院 を中断。痛みが我慢できなくなり平成 21 年 4 月 3 日に再診。

治療経過

6 月 5 日:直ちに 1% セファランチン末 1g/

日、分 2 を処方に追加。

8 月 7 日:無刺激でも舌痛のあったのが、7月 20日頃から無刺激下で痛みはな く、刺激時の痛みの程度も改善さ れているとのこと。

9 月 11 日:口内痛さらに著減。服用しにくい ため錠剤への変更希望。セファラ ンチン錠 1 mg、20 錠 / 日を処方。

10月16日:口内痛完全に落ち着き、10 錠 /日 に減量。

11月27日:口内痛が全く気にならなくなった。

平成 22 年

2 月 19 日:「私に合う薬が見つかってヨカッタ!」

5 月 14 日:10 錠/日で継続中。痛みの VAS 値で は 70% の改善。以前は受診の度 に非常に険しい表情であったが、

ここ最近は非常に柔和な落ち着いた 表情・雰囲気になってきている。

症例 4:66 歳、男性

初 診:平成 20 年 1 月 15 日 主 訴:舌の縁のブツブツ・口内痛

現病歴:近医精神病院入院中。上記主訴にて 当科を受診。アフタゾロン口腔内軟膏をずっ と処方されているとのこと。

図 2 症例 2:初診時臨床像

治療経過 1:

1 月 15 日:右舌縁に紅色丘疹。1 日 1 回の塗 布を 1 日 3 回に増量。

2 月 1 日 :丘疹若干軽快。鉄欠乏性貧血・骨 髄腫等を疑い検査。

検査結果:WBC:2500、Plt:4.5 万、RBC:360 万、フェリチン:523 (<46)、Fe/Cu/Zn:正常域、

TP/Alb:7.5/3.4、A/G 比:0.83、B-J 蛋白:(-)

治療経過 2:

4 月 7 日 :リザベン 3 Cap/日、分 3 を試み るも改善は極僅か。

8 月 29 日:1% セファランチン末 1g/日及び プロマック D 錠 150mg/日を開始。

9 月 29 日:1% セファランチン末を 1.5g/日 に増量し、プロマック D 錠中止。

10 月14日:口内症状持続するため、歯科受診 するも異常なし。

平成 21 年

8 月 19 日:再び口内違和感を訴え再受診。頬 粘膜のレース様白斑と口唇のた だれの他に、舌の背側腹側両面に大 小の丘疹・水疱が認められる(図 3)。 1% セファランチン末 2g/日で治 療再開し、歯磨き粉使用を禁止。

9 月16 日:口内痛激減し、セファランチン

2g/ 日で継続。

12月24日:口内痛さらに漸減 平成 22 年

2 月 18 日:口唇のただれが上皮化。

4 月 15 日:口内痛・舌痛も口腔内・口唇病変 のいずれも略治癒。

  次回 3 ヶ月後に再診予定。

症例 5:89 歳、女性

初 診:平成 21 年 11 月 25 日 主 訴:口腔内びらん

既往歴:他総合病院内科にて腎疾患加療中。

    (s-Cr:2.4、K:5.9)

現病歴:初めは舌の両側のただれのみであっ たが、徐々に頬粘膜に拡大。平成 21年11月 14 日頃より口腔内びらんがあるとのこと。11 月20日に当院耳鼻咽喉科でシナール・アリナミ ン F と共にアフタゾロン口腔用軟膏を処方さ れるも不変で当科受診。

初診時臨床:口唇に浅い潰瘍があり、舌苔が 減 少 し 舌 乳 頭 の 著 明 な 委 縮 が 認 められた

(図 4)。鉄欠乏性貧血を強く疑った。

検 査 結 果:RBC:358 万、Hb:10.8 (11.0<)、

Hct:34.1 (35.0<)、K:5.9 (<4.4)、s-Cr:2.4 (0.8<)、

s-Fe:45 (70<)、MCV/MCH/MCHC:正常域、

図 3 症例 4:再診時臨床像

Section Ⅳ A/G 比:1.27、その他特記すべきデータは無い。

明らかな貧血は認められないが、血清鉄の中 等度低下が認められる。

治療経過:

11月 25日:1% セファランチン末 2g / 日で 開      始。

12 月 2 日:痛みの VAS 値は 50%の改善。

      フェログラデュメット 1 錠追加。

12 月 9 日:舌乳頭委縮の改善傾向著明。

12月 28日:口内痛は完全消失。2 剤を継続 処方。

以後来院はない。

症例 6:67 歳、男性 初 診:平成 22 年 2 月 16 日 既往歴:高血圧

現病歴:2 年前まで喫煙。平成 21 年 5 月頃 より口唇のただれが生じた。何ヶ所か近医を 受診し、種々の外用薬を処方されるも効果な く、当科を受診。

初診時臨床:下口唇中央付近に瘢痕を伴う痂 皮を有する不規則局面が認められ(図 5)、癌 前駆症としての白板症、または初期の SCC を疑い生検を行った。

検査結果:表皮の鋸歯様変化が弱いながら認 められる。真皮表層では中等度の帯状のリン パ球・形質細胞浸潤が認められる。基底層 では液状変性や civatte body も認められる。

核異型等の悪性所見はない。臨床を含めて、

lichenoid pattern を示す疾患である口唇扁平 苔癬と診断して矛盾はない (図 6)。尚、形 質細胞の浸潤が目立つ部位があり、念のため Lues の有無を確認したが TPHA/RPR 共に

(-)であった。

治療経過:

2 月 22日:1% セファランチン末 2g/ 日及び プロパデルム軟膏外用の併用で 治療開始。

図 4 症例 5:初診時臨床像

図 5 症例 6:初診時臨床像

ドキュメント内 第36回アルカロイド研究会会誌2.indd (ページ 126-156)

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