参加者の集中度・得意度を考慮したワークショップの定量評価
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(2) る。また集中度に加え、参加者による主観評価に影響すること. の問いかけや補足説明を受けながら水槽正面から観察し、観. が示されている. 察ノートに書き込んだ。「制作1」では、魚の外形が描かれた. 各工程の作業内容に対する得意度も合わせて. 7). スタッフによる評定を行うこととする。. シール台紙に様々な色のドットシールを貼ることにより魚の模. 1.3. 目的. 様を描いた。「観察2」では、モビール制作時の魚の位置に関. 本研究では、評価ツール「気持ち温度計」を用いたワーク. して、水槽内での魚の泳ぐ場所、深さを調べることを目標と. ショップの参加者による主観評価の蓄積を行うとともに、ス. し、水槽正面からの観察に加え、岩場に近い水槽側面の窓にも. タッフの評定による参加者の集中度、得意度を新たな指標とし. 移動し、飼育スタッフと学生スタッフがサポートしながら観. た評価分析を試みる。参加者による主観評価とスタッフによる. 察した。「制作2」では、参加者がドットシールで描いた台紙. 参加者の集中度、得意度の評価との関係について検討すること. のスキャン画像を縮小印刷した魚のモデルを参加者間で交換. により、ワークショップの効果について複数の側面から定量的. し、参加者ごとに3種類の魚のモデルを組み立て、モビールの. に評価する手法を探る。. 制作を行った。「振り返り」では、参加者、ワークショップの スタッフ、水族館のスタッフの全員で完成した作品についてコ. 2.評価対象としたワークショップ. メントを交換し、記念撮影を行った。プログラムのタイムスケ. 東京工科大学デザイン学部 Crew プロジェクトとすみだ水族. ジュールは、導入・レクチャーを15分、観察1を15分、制作. 館との共同開発プログラムとして企画実施したワークショップ. 1を15分、観察2を20分、制作2を25分、振り返りを10分. “いきもののモビールを作って考えよう!∼さかなの模様のフ. とし、計100分であった。. シギ?∼”(2016[平成28]年3月1213日)を対象に評価. ワークショップの参加者は、1回の定員を12名の事前申し. を行った。ワークショップでは、すみだ水族館の小笠原の海を. 込みとし、小学1年生から6年生までの児童31名(男児14名、. テーマとした“東京大水槽”で展示されている魚の模様や体型. 女児17名)であった。ワークショップのスタッフとして、8. の特徴とともに居場所や泳ぎ方等を観察し、それをもとに魚の. 名の学生スタッフ(ファシリテーター1名、黒板グラフィック. 模様をドットシールで描き、モビールの制作を行った . ワークショップのプログラムは、水生生物の「観察の体験」. ཷ. をテーマとしたワークショップのデザイン4)に沿い、「導入」、. ᑟධ. 「レクチャー」、「観察」、「制作」、「振り返り」の5段階の工程. 䝺䜽䝏䝱䞊. をもとに、図1に示すプログラム構成であった。ワークショッ プの様子の一部を図2に示す。プログラムを構成する各工程の 内容は、次の通りであった。「導入」と「レクチャー」では、 ワークショップのスタッフと水族館の飼育スタッフから、具体. ほᐹ1. ไస1. 的なプログラムの概要と、“東京大水槽”のテーマとなってい. Ẽᣢ䛱 ᗘィ1䠄⦎⩦䠅 䛿䛨䜑䜛䜎䛘䛻. Ẽᣢ䛱 ᗘィ2 ㄝ᫂䜢⪺䛔䛶䜏䛶 Ẽᣢ䛱 ᗘィ3 ほᐹ䛧䛶䜏䛶1 Ẽᣢ䛱 ᗘィ4 స䛳䛶䜏䛶1. ほᐹ2. ไస2. る小笠原諸島と魚の模様の原理や特徴についての説明が行われ た。「観察1」では、魚の模様を調べることを目標とし、レク. 䜚㏉䜚. チャーで説明のあった模様が特徴的な5種類の魚の体形やひれ の形、模様の特徴を中心に、ワークショップのスタッフから. Ẽᣢ䛱 ᗘィ5 ほᐹ䛧䛶䜏䛶2 Ẽᣢ䛱 ᗘィ6 స䛳䛶䜏䛶2 Ẽᣢ䛱 ᗘィ7 䛚䜟䛳䛶䜏䛶. 図1 ワークショップのプログラムと評価のタイミング. 図2 ワークショップの様子の一部 左からレクチャー、制作1、振り返りの工程. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. 47.
(3) [板書]担当2名、制作サポーター5名)と、レクチャーを担 当するすみだ水族館の飼育スタッフ1名が参加した。. 評定値を評価者の気持ちの程度を表す温度と位置づけることに より、評定に対する直感的な理解を促している。評価者は各温 度計内部を好きな色で塗りつぶすことにより評定を行う。3つ. 3.参加者による「気持ち温度計」の評価. の指標(高揚感:わくわくした、達成感:できた、難易度:む. 本研究では、参加者がワークショップ中に感じとる主な印 象である、高揚感、達成感、難易度の3つの指標. 6). をもとに、. ずかしかった)を3本の温度計で表し、指標ごとに色を塗り分 けることにより、指標の識別を促している。塗りつぶされた長. 参加者自身がプログラムの工程に沿って評定を行う評価シート. さをその指標の評定値とする。評定値は評価者ごとに標準化を. 「気持ち温度計」(図3) を用い定量評価を行う。以下にその. 行うため、段階評定法において生じる評定値の偏りは生じない。. 7). また、線分の長さを色で塗りつぶして表現する工夫を施すこと. 概要を説明する。 「気持ち温度計」を用いた評価の特徴は、参加者が感じる印 象(気持ち)の程度を工程ごとに線分の長さで表すマグニチュー ド推定(Magnitude Estimasion:ME)法. 12). が用いられている. ことにある。評価シート「気持ち温度計」の一部を図4に示す。. により、プログラムに制作工程を含むワークショップにおいて、 工程ごとに評定を行うことの違和感の軽減を図っている。 「気持ち温度計」による評価には、ワークショップを定量評 価すること以外にも、参加者がそのとき感じた気持ちを他の参 加者やスタッフと共有するという目的もある。参加者は、来場 後にワークショップスタッフの促しにより、自己紹介、名札の 作成、「気持ち温度計」の豆本作成、「気持ち温度計」への名前 の記入と練習評定を行う。これらの作業をワークショップ開始 前に行うことで、アイスブレークとして参加者とスタッフ、あ るいは参加者同士での気持ちの共有やコミュニケーションの きっかけ作りとなり、ワークショップ進行の円滑化を図る。 本研究で実施した評価には、次のような手続きをとった。参 加者は、来場後ワークショップ開始前にワークショップのスタッ フとともに A4サイズに印刷された評価シートを折り線にそって 折りたたみ、 「気持ち温度計」の豆本(75×105㎜)を作成し た。評定のタイミングは、受付後ワークショップ開始までの「は じめるまえに」 、ワークショップスタッフおよび飼育スタッフに. 図3 評価シート「気持ち温度計」. よるレクチャー後の「説明を聞いたとき(レクチャー) 」 、水槽で 観察した後の「観察してみて1(観察1) 」 、ドットシールでの制 作後の「作ってみて1(制作1) 」 、2度目に水槽で観察した後の 「観察してみて2(観察2) 」 、モビール制作後の「作ってみて2 5mm. (制作2) 」 、作品の感想を共有する等の振り返り終了後の「お わってみて(終了後) 」の7回であった(図1) 。各工程終了後、 参加者はそのとき感じた気持ちに関する3項目(高揚感:わく わくした、達成感:できた、難易度:むずかしかった)につい て「気持ち温度計」を用いて評定した。ワークショップ中、 「気 50mm. 持ち温度計」の豆本は各参加者が所持し、ワークショップのス タッフの指示により色塗りによる評定を行った。. 4.スタッフによる集中度・得意度の評価 前述のように本研究では、これまでに著者らが実施してきた 参加者による主観評価7) と共に、各工程における参加者の集 中度と得意度についてワークショップスタッフによる評定を実 施した。得られた集中度および得意度と、参加者による高揚 図4 参加者用の評価スケール(1工程分). 48. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. 感、達成感、難易度の主観評価との関係について検討する。.
(4) 図5 スタッフ用の評価スケール(全工程分) 左:集中度、右:得意度. スタッフによる集中度と得意度の評価票を図5に示す。これ. 上もつ参加者4名分の評定値を除外した。結果、1年生4名(男. らの評価票は、参加者用の評価シート「気持ち温度計」の裏面. 児1名、女児3名) 、2年生1名(男児1名) 、3年生7名(男児4. にレイアウトした。ワークショップでは、スタッフ1名につき. 名、女児3名) 、4年生5名(男児4名、女児1名) 、5年生1名. 参加者2、3名のサポートを行ったため、各参加者の集中度お. (男児1名) 、6年生1名(女児1名) 、計19名の参加者の評定値を. よび得意度の評価は、サポートを担当したスタッフが行った。. 分析することとした。. スタッフによる各参加者の工程ごとの評定は、サポート作業を. 高揚感について、各工程における標準化マグニチュード推. 主とするワークショップ中には困難であるため、ワークショッ. 定(ME)値19名の平均(誤差棒は標準誤差)を図6(a)に. プ終了後に実施した。評価者は、各参加者について工程ごとの. 示す。同様に、図6(b)に達成感、図6(c)に難易度の評. 集中度(集中していた気が散っていた)と得意度(得意そう. 価結果を示す。工程による参加者の気持ちの変化について検討. だった苦手そうだった)を3段階の該当する箇所に丸をつけ. するため、6水準の工程(レクチャー・観察1・制作1・観察. ることにより評定を行った。. 2・制作2・振り返り)を1要因とした繰り返しのある分散分 析を指標ごとに行った。分析結果を以下に示す。. 5.評価の分析 5.1. 参加者による「気持ち温度計」の評価 参加者自身がワークショップの工程に沿い行った「気持ち温. 高揚感(図6[a] )について、工程による有意な主効果は認 められなかった(F(5, 90) =0.78,p > .10) 。工程によらず一 定した高揚感が得られたと考えられる。これに対して同様の評. 度計」による評定結果について分析する。評価票のモチーフと. 価手法を用いたワークショップの評価7)によると、高揚感は、. している温度計についての理解や、3つの指標の識別が可能で. ワークショップの時間進行や作業の能動性が影響し変化すると. あるか否かを考慮すると、評価者は小学3年生以上とすること. されている。すなわち、レクチャー・観察・制作・振り返りの. が原則であるが、評定値のプロフィールを確認したところ、小学. 工程でプログラム構成されたワークショップでは、プログラム. 1、2年生と3年生以上との間に著しい変化傾向の違いが認めら. が進行するにつれて、また、観察よりも能動性の高い制作の工. れなかったため、1、2年生の評定値も分析に含めることとした。. 程において達成感が高くなることが一般的傾向として示されて. 分析に先立ち、 「はじめるまえに」の評定値は練習とみなし除. いる。これらの傾向と、本ワークショップにおける傾向との違. 外した上、 「はじめるまえに」以外で計測不能(e.g.,“∞”と表記). いは、プログラム構成に起因するものと考えられる。本ワーク. あるいは欠損値のある参加者7名と全工程の評定値が同じ参加者. ショップでは、 「魚の模様について学び成果物としてモビールを. 1名の評定値を除外した。参加者ごとの評定値の平均は、19.44. 制作する」という目的のために、観察と制作の工程を1度ずつ. ㎜から43.78㎜(M =33.42、SD =15.81)であった。参加者ご. ではなく、観察1・制作1・観察2・制作2とし、各工程におけ. とに平均を用い評定値を標準化した。標準化後さらに、外れ値. る目標を段階的に設定した。つまり、まず魚の模様をドットシー. (23名の平均からの差が標準偏差の2倍以上である値)を3つ以. ルで描くための工程を観察1・制作1とし、次にモビール制作 デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. 49.
(5) 1.0. 1.0. 1.0. 0.5. 0.5. 0.0. -0.5. -1.0. -1.5. Standardized ME value (䜐䛪䛛䛧䛛䛳䛯). 㻔㼏㻕㻌㞴᫆ᗘ. Standardized ME value (䛷䛝䛯). 㻔㼎㻕㻌㐩ᡂឤ. Standardized ME value (䜟䛟䜟䛟䛧䛯). 㻔㼍㻕㻌㧗ᥭឤ. 0.0. -0.5. -1.0. -1.5. 0.5. 0.0. -0.5. -1.0. -1.5. 図6 ワークショップの評価結果 誤差棒は標準誤差(SE )を示す. 時に魚の泳ぐ位置を表現するための工程を観察2・制作2とし. 身に容易でわかりやすいことが重要である。さらに、ワーク. た。このように最終目的に向かって目標を段階的に設定したこ. ショップ全体の目的と、各工程の目標との関連付けを参加者が. とによって、高揚感の変化も段階的に刻まれ、大きな変化とし. 自然に理解できるような考慮が必要であることが示唆される。. て現れなかった可能性が考えられる。各工程の目標を段階的に. 難易度(図6[c])について、工程による有意な主効果は. 設定する場合には、工程によらず一定した高揚感が得られ、各. 認められなかった(F(5, 90) =1.15,p > .10)。同様の評価. 工程の目標を段階的に設定できない場合には、変化に富んだ高. 手法を用いたワークショップの評価7)によると、難易度には、. 揚感が得られることが示唆される。. 具体的な作業のしやすさ、説明のわかりやすさが影響する要因. 達成感(図6[b])について、工程の主効果が有意であっ. として挙げられること、個人差が表れやすい指標であることが. た(F(5, 90)=2.53,p < .05)。Tukey の HSD 検 定 の 結 果、. 示されている。本ワークショップにおいては有意な難易度の変. レクチャーおよび観察2よりも振り返りにおいて達成感が高い. 化は認められなかったものの、他の高揚感や達成感の指標より. ことが示された(p < .05)。レクチャーと観察2において特に. もばらつきが大きかった(図6[c]の誤差棒)という点にお. 達成感が低く感じられていたことを意味している。同様の評価. いては共通した傾向であった。特に本ワークショップでは、参. 手法を用いたワークショップの評価. 加者が小学1年生から6年生と幅広かったため、難易度におけ. 7). によると、達成感には、. 作業の能動性、各工程の目標設定の明確さおよび具体性、その. る個人差も生じやすかったものと考えられる。. 目標が達成できるか否かが影響する要因として挙げられてい. 5.2. スタッフによる集中度・得意度の評価との関連. る。これらの要因と本ワークショップの結果とを照らし合わせ. 参加者による高揚感、達成感、難易度の評価と、スタッフに. ると、レクチャーや観察の工程では比較的能動性が低いことに. よる各参加者に対する集中度、得意度との関係について分析を. 加え、魚の模様について説明を受けるレクチャーの工程と、魚. 行った。特に、集中度や得意度に差があると考えられる学年. が泳ぐ場所や深さを観察するための観察2の工程において、設. (低学年:1∼3年生、高学年:4∼6年生)の違いに着目し、. 定した目標が低い達成感に影響している可能性が考えられる。. 50. 考察を試みた。. レクチャーに関しては、魚の模様は色素の点の集合体であると. 前節の分析で扱った参加者のうち、スタッフによる評定値に. いう原理と、実際に目で見えている模様との結びつきは、参加. 欠損があった1名の評定値を除き、18名の参加者の評定値を分. 者である小学生が理解するには目標としては高かったのかもし. 析対象とした。分析には、各参加者各工程の標準化した評定値. れない。また観察2に関しては、モビール制作時の魚の位置を. と、スタッフによる評定値(0∼2)を用い、それぞれの相関. 決めるために魚が泳ぐ位置を観察するという目標と、主目的で. 関係を求めた(表1、2) 。無相関検定を行ったところ、有意な. ある魚の模様について学ぶこととの隔たりが大きく、参加者に. 相関関係が認められたのは、低学年および高学年における集中. とって理解しにくかったのかもしれない。達成感を高く保つた. 度と難易度、低学年における得意度と高揚感、達成感、難易度、. めには、作業の能動性、各工程の目標設定の明確さおよび具体. 高学年における得意度と難易度であった。以下に詳細を述べる。. 性に加え、各工程の目標を達成できたか否かの判定が参加者自. まず、集中度と難易度との相関関係について、低学年では負. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016.
(6) ショップ全体の目的に対して各工程の目標を段階的に設定する. 表1 集中度と各指標との相関係数(# p < .10) 高揚感. 達成感. 難易度. 場合に、安定した傾向が得られることがわかった。達成感につ いては、各工程の作業目標とワークショップ全体の目的との関. 低学年 (N =72). −0.0017 . 0.12 . −0.17#. 高学年 (N =36). −0.14 . −0.12 . 0.31#. されているか否かが影響していると考えられた。難易度につい. 表2 得意度と各指標との相関係数(# p < .10、* p < .01) 高揚感. 達成感. 係や各工程の目標を達成できたことが参加者にわかりやすく示. 難易度. ては、参加者の年齢や各参加者の作業に対する得手不得手がそ. 低学年 (N =72). 0.21#. 0.20#. −0.37 *. のばらつきに影響していることが示唆された。これらの知見. 高学年 (N =36). −0.15 . −0.20 . 0.27#. は、子どもたちが感じる印象の変化に配慮したワークショップ の企画・設計に生かすことが可能であり、より効果的であるだ. の相関(r =−0.17,p < .10)が有意であったのに対し、高学. けではなく、豊かな学びの実現につながるものと考えられる。. 年では正の相関(r =0.31,p < .10)が有意であった。低学. 本研究ではさらに、スタッフによる各参加者の集中度および. 年においては、参加者が感じる難易度が高いほどスタッフから. 得意度の評定を行い、参加者による主観評価との関係について. 見た参加者の集中度が低かったことを意味している。低学年と. 分析を試みた。集中度や得意度に差があると考えられた低学年. は逆に高学年においては、参加者が感じる難易度が高いほどス. と高学年との傾向の比較を行ったところ、集中度、得意度とも. タッフから見た参加者の集中度が高かったことを意味してい. に参加者が感じた難易度において異なる相関関係が示された。. る。これらの傾向はそれほど顕著な傾向ではないものの、低学. すなわち、参加者が難易度を高いと感じているとき、スタッフ. 年と高学年とで異なる傾向が認められる可能性を示唆してい. が捉えた参加者の状態として、低学年では集中度が低く不得意. る。難易度に関しては、作業のしやすさや説明のわかりやすさ. と感じているように判断される一方、高学年では集中度が高く. が影響しやすい指標である. 得意と感じているように判断されることがわかった。また、低. 7). ことから、これらの要因が参加. 者の集中度にも影響していると言える。. 学年に関しては、参加者が高揚感や達成感を高く感じていると. 次に、得意度と高揚感との相関関係について、低学年では正. き、スタッフが捉えた参加者の集中度や得意度が高くなること. の相関(r =0.21,p < .10)が有意であったのに対し、高学. が示された。一方、高学年では難易度以外においては集中度や. 年では有意ではなかった。低学年においては、参加者が感じる. 得意度との有意な相関関係は認められず、参加者の学年が高く. 高揚感が高いほどスタッフから見た参加者の得意度が高かった. なるほど参加者が感じている印象とスタッフから見た参加者の. ことを意味している。また、得意度と達成感との相関関係につ. 状態が単純な相関関係では表すことができないと考えられる。. いて、低学年では正の相関(r =0.20,p < .10)が有意であっ. これは、学びの過程において低学年と高学年とで感じている印. たのに対し、高学年では有意ではなかった。低学年において. 象は同じでも、第3者から捉えた状態は異なることを意味して. は、参加者が感じる達成感が高いほどスタッフから見た参加者. おり、ワークショップの対象学年の設定において、各工程の作. の得意度が高かったことを意味している。. 業が可能か否か以外にも判断基準となる材料があることを示唆. 得意度と難易度との相関関係について、低学年では負の相関 (r =−0.37,p < .01)が有意であったのに対し、高学年では. している。 以上の検討から、これまでの参加者による高揚感、達成感、. 正の相関(r =0.27,p < .10)が有意であった。低学年にお. 難易度の主観評価に加え、スタッフが捉えた参加者の集中度と. いては、参加者が感じる難易度が高いほどスタッフから見た参. 得意度を指標とした評価を行うことにより、参加者の学年によ. 加者の得意度が低かったことを意味している。低学年とは逆に. る傾向の違いを洗い出すことができた。しかしながら有意な相. 高学年においては、参加者が感じる難易度が高いほどスタッフ. 関関係は見出すことができたものの傾向としては弱く、今後、. から見た参加者の得意度が高かったことを意味している。これ. 集中度、得意度に関する評価・分析手法について改善を重ねた. らの難易度における傾向は、集中度の傾向と同様であった。参. いと考えている。. 加者が感じる難易度に影響する作業のしやすさや説明のわかり やすさの要因が、参加者の得意度にも影響していると言える。. 謝辞 本 研 究 は、JSPS 科 研 費( 挑 戦 的 萌 芽 研 究 課 題 番 号:. 6.まとめ 本研究では、参加者の主観評定に基づく評価ツール「気持ち 温度計」による評価の蓄積により、高揚感、達成感、難易度. 265600981)の助成を受けたものです。また、本研究におけ るワークショップでの評価実施にあたり、ご協力いただいたす みだ水族館と担当の皆様に感謝の意を表します。. に影響する要因の整理を行った。高揚感については、ワーク デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. 51.
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