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尼崎浄水場の省エネルギー・ゼロエミッション技術

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Academic year: 2022

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(1)VII‑195. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月). 尼崎浄水場の省エネルギー・ゼロエミッション技術 阪神水道企業団. 佐々木隆(正会員)、橋本利明(正会員)、込山健二. 1.はじめに 3 年半にわたる全面リニューアル事業を経て 2001 年 4 月から営業運転を開始した尼崎浄水場(373,000m3 /d) は、浄水技術のみならず環境技術や情報技術までも高度に総合化されていることが大きな特徴となっている。 このうち環境技術については、省エネルギーとゼロエミッションの実現である。エネルギー源の二重化を 目的とした天然ガスによるコージェネレーションシステム(CGS)を導入しており、この排熱を沈澱スラッ ジの加温や脱水ケーキの造粒乾燥等に活用している。これにより、浄水場運転に関わる CO2 排出量を削減 するとともに、造粒乾燥ケーキを農園芸用土の原料として全量有効利用することが可能となっている。 凝集/フロック形成/沈澱. オゾン. 再凝集/濾過. 活性炭流動層. 原. 浄 沈降 装置. 活性炭. 濾 材. 水. スラッジ. 濃縮槽. 管理棟. 水. 洗浄排水 加圧脱水機. 加温槽. スカム. ケーキ 含水率60%. 造粒乾燥装置. ケーキ 含水率35% 有効利用. 浮上分離. 脱離水. 再生水. 蒸気. 冷温水 排熱温水80℃ 薬品貯蔵庫. 送水ポンプ. 排ガス. 吸収式冷凍機 都市ガス (中圧13A) ガスエンジン発電機. 蒸気ボイラ. 配水ポンプ. オゾン発生器 商用電力. 図-1. 尼崎浄水場のシステム全容(CGS を中心として). 2 .省 エ ネ ル ギ ー と CO 2 排 出 削 減 へ の 取 り 組 み CGS の運転方式は、設定された負荷に合わせて発電し排熱は可能な限り利用した上で余剰分は放熱する電 主熱従運転である。このガスエンジン発電機を非常用兼用として定格負荷に近い状態でベースロード運転を 行い、契約電力の低減化やエネルギーリスクの分散を図る。図-1 に尼崎浄水場の全容を示す。高効率な CGS とするためには、電力負荷及び熱負荷の利用状況に見合った容量を基本としながらも、負荷変動に適切に対 応しなければならない。本システムは非常時の水量確保に必要な電力を容量としているため、効率を上げる には排熱をできる限り利用することが重要である。排熱の利用方法は次のように整理することができる。 ① 脱水性の向上:スラッジの温度上昇に伴う粘性低下、 30℃の加温で脱水性が 30〜40%向上. 放熱ロス. ② 脱水ケーキの乾燥:板状ケーキを造粒乾燥装置でペ レット状に処理し、重量比で 40%程度減量. 発. 27.8%. 電 33.8%. 空 調 熱 源. ③ 空調設備の熱源:管理棟の冷暖房や薬品貯蔵庫(次. 18.3%. スラッジ加温・乾燥 20.1%. 亜塩素酸ソーダ)の冷却に利用し電力量を削減 ④ その他の熱利用:冷却によるオゾン発生効率の向上、 クリプトスポリジウム等感染性微生物の熱処理. 図-2. エネルギー収支. キーワード:コージェネレーション、省エネルギー、脱水ケーキ、ゼロエミッション、CO2 排出 連絡先:〒658-0073 神戸市東灘区西岡本 3 丁目 20 番 1 号 TEL 078-431-2091 FAX 078-431-2695 ‑389‑.

(2) VII‑195. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月). 表-1 C ガ ス使 用量 ( m3 ) 発電 量 ( kWh ) 排 熱利 用量 (MJ ) ガ ス料 金 (円 ) 料金 計 (円 ). G. CGS−電力・ガス併用による料金と CO2 排出量の比較. S. 電 力・ ガス併 用. 比 較 CGS /併 用. 備. 考. 1,4 58,4 06 5,2 77,1 50 1 1,3 15,6 89. 7 1,9 04,4 12. 7 1,9 04,4 12. 電 力量= 発電 量 ( k Wh) 熱量= 排熱 (M J ) 熱量 −ガ ス量 換算 (m 3) ガス 料金 (円 ) 電力 料金 (円 ) 料金 計 (円 ). 5, 277, 150 ・ CGS の テ ゙ータ は H 13. 4〜 H14 .2 の 実績値. 11, 315, 689 357, 599. ・ ガス料 金は 大口 供給 料金 、 電 力料金 は季 節別 時間 帯別 料 金適用. 17, 593, 898 68, 338, 056 85, 931, 954. 83. 7% ガ ス 係 数 2. 15 kg‑ CO2 /m 3. C O2排 出 量 ( kg ‑C O2). 3,1 35,5 73. C O2 排 出 量 ( kg‑ CO 2). 4, 404, 797. 7 1 . 2 % 電 力 係(数火0 .力6 8電9 k源g ‑換C O算2 /)k W h. このように多用途に排熱を利用し発電機を定格負荷で運転した場合、必要なガスエネルギーを 100%とす ると、発電効率及び総合効率は図-2 に示すように、それぞれ 33.8%及び 72.2%(計画時における値)となってい る。また、熱電比は排熱を使い切る場合は 1.13 であり、均衡のとれたシステムとなっている。 本設備の稼働から 11 ヶ月間の実績では、CGS で発電される電力は電力会社からの電力(買電)で、利用さ れる排熱をガスで賄うと仮定すると、料金と CO2 排出量の比較においては、買電・ガス併用を 100 とした場 合に CGS ではそれぞれ 83.7 及び 71.2(マージナル電源を火力発電とする場合)となり、料金の約 16%とともに CO2 排出量についても約 29%の削減効果が認められる算出結果となった。これらを表-1 にまとめている。調 査期間中の排熱利用は、供給先の機器が調整運転中のものが多く、熱電比は 0.60 と低い状況にあった。今後 は徐々に供給熱量も増加していくため、熱電比の向上とともに電力量や CO2 削減量の改善が見込まれる。 3 .ゼ ロ エ ミ ッ シ ョ ン へ の 取 り 組 み 浄水処理過程で分離される固形成分は、主に沈澱スラッジや濾過池の洗浄排水等に由来する。以前は発生 するスラッジの大部分を脱水機により板状ケーキに、また一部を天日乾燥池で塊状ケーキに処理し、管理型 最終処分場に埋立処分を行ってきた。CGS を導入した尼崎浄水場では造粒乾燥処理によって商品価値を高め ることが可能となった。造粒ケーキの有効利用方法として、グランド用土や農園芸用土、法面緑化等の比較 検討を行った結果、農園芸用土への用途が最も安定性や経済性に優れているとの判断に至った。 この造粒ケーキは含水率が 30〜40%と低く、粒径が 0.3〜5 mm のペレット状で水分を含んだときの崩壊性 が小さく、適度な堅さがあり性状や形状も均一で、一般的に園芸用土原料として求められる条件を満足して いる。ケーキ成分すなわち沈澱スラッジの特徴として、有効態リン酸(植物に供給できるリン酸分)が少な く、リン酸吸収係数が高い(植物に供給できるリン酸分を吸収してしまう)という欠点から別途追肥が必要 なものの、陽イオン交換容量(肥料分の保持能力)が高いという利点があり、農園芸用土原料としてケーキ 全量を有価で売却している。環境面のみならず経済的にもメリットが生じている 1)。 4.おわりに 尼崎浄水場の環境技術では、省エネルギーとゼロエミッションが大きな特長である。エネルギー源の二 重化を目的とした CGS を導入し、排熱をスラッジの加温や脱水ケーキの造粒乾燥等に活用して 16%のコス ト縮減と 29%の CO2 排出削減を行うとともに、造粒乾燥したケーキを農園芸用土の原料として 100%有効 利用することも可能となった。日本の水道の電力使用量は年間約 77 億 kWh(上水道と水道用水供給の合計、 簡易水道と専用水道は除く)で 2)、総電力使用量 9,574 億 kWh に対しては 0.8%であるものの、動力費が給 水コストに占める割合からも省エネルギーの努力を求められている。一方、排水処理で生じる発生土は年 間約 31 万㌧で、有効利用率は全国ベースでは 36%にしか達しておらず、循環型社会の観点からも再資源化 は不可避となっている。尼崎浄水場は、これからの浄水場の方向性を提示するケーススタディとなっている。 〈参考文献〉 1) 佐々木隆、橋本利明、込山健二:阪神水道企業団尼崎浄水場における上水汚泥 100%再資源化、土 木学会第 56 回年次学術講演会、Ⅶ-310, 2001 2) 日本水道協会水道統計編纂専門委員会:水道統計の経年分析、水道協会雑誌、70(8), 28-66, 2001 ‑390‑.

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