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鋼鉄道橋の実応力比に関する一考察

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Academic year: 2022

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鋼鉄道橋の実応力比に関する一考察

  鉄道総合技術研究所  構造物技術研究部  正会員  ○齋藤   聡       鉄道総合技術研究所  構造物技術研究部  正会員    杉本 一朗 

  1. はじめに

構造物の設計では計算応力度と実測応力度の差を考慮することが重要である。このため鋼鉄道橋では両者の比 を実応力比(実測応力度/計算応力度)と称して設計および維持管理において取りこんでいる。設計では鉄道構 造物等設計標準1)の疲労の照査において実応力比として 0.85 を定め,維持管理では土木構造物保守管理標準2)にお いて耐力・耐久性の評価として実応力比をスパンL≦10mの場合 0.65,スパンL≧10mの場合 0.75 と定めている。     

  しかしながら最近では列車本数の増加や速度向上のような疲労に対して厳しい荷重条件も生じている。また,

実橋の部材に発生する応力はレール,床組の協同作用や橋側歩道などの付属物等による影響が含まれており,か つ,その影響は部材別に異なるものと思われる。このようなことから,データ数を増やしてより精度を上げた実 応力比を求める必要があると思われる。 

  そこで,本検討では,列車荷重等により各種部材に生じる実測応力度と設計計算から求められる計算応力度と を比較し,設計標準の疲労の照査および維持管理標準の耐力・耐久性の評価に役立てることを目的とした。 

2. 実応力比の整理方法および整理結果

  過去に測定された鋼桁における各種部材の実測応力度を収集し,現行の設計計算手法により,算出した計算応 力度との比較を行った。 

2−1.計算応力度の算出方法

測定対象列車の実測荷重列(輪重・軸距)を基に各部材の最大曲げモーメントまたは軸力を計算する。この実 測荷重列による計算断面力とKS−18,KS−16 またはKS−14 荷重による設計断面力との比率から当該列車の 各部材に対するKS相当値を求める。 

  このKS相当値と設計荷重であるKS−18,KS−16 またはKS−14 荷重との比率を設計図面に記載されてい るKS−18,KS−16 またはKS−14 相当の応力度に乗じることにより,実測荷重列に対する応力度を求める。

なお,実測応力度には衝撃荷重が含まれていることを考慮して,計算は列車荷重(L),衝撃荷重(I),遠心荷 重(C)を加えたものとする。また,衝撃係数が,以前の設計標準で計算されているものについては,現行のも のに換算し直し,その値を用いることとした。

18,M16,M14:設計における(L+I+C)による曲げモーメントまたは軸力  σ18,σ16,σ14:設計における(L+I+C)による応力度 

M :実測荷重列による曲げモーメントまたは軸力

測定列車のKS相当値=18×(M/M18),16×(M/M16),14×(M/M14)  計算応力度=18×(σ/σ18),16×(σ/σ16),14×(σ/σ14) 

なお,各部材については,以下の点に留意して計算応力度を算出した。

(1) 縦桁

  縦桁の実荷重による計算曲げモーメントは,設計標準に従って,縦リブを単純桁として計算した支間中央の曲 げモーメントM0を基に,端縦桁は0.8M0,中間縦桁は0.7M0として算出した。

(2)横桁 

  横桁の計算曲げモーメントは,縦桁に載荷した実測荷重列による反力を用い,主桁中心間隔を支間とする単純  桁として計算した。 

 

 

ーワード:実応力比  床組  列車荷重 疲労設計   

絡先:(財)鉄道総合技術研究所  構造物技術研究部  鋼・複合構造  〒185-8540  東京都国分寺市光町2−8−38  TEL.042-573-7280 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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(3) 主桁

  主桁の計算曲げモーメントは単純桁として計算した。なお,軌道中心と橋梁中心が一致していないものは,列 車荷重が偏載荷されるため,各主桁に載荷する荷重は偏心分を補正した。

2−2.実測応力度の整理

実測応力度と2−1により計算した計算応力度との比,すなわち実応力比を部材別に整理し,スパンの関数と してグラフ化したものを図−1〜図−3に示す。図中には維持管理標準において設定されている実応力比を併せ て線で示す。また,在来線すべてのものをプロットしたものを図−4に示す。 

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 2 4 6 8 10

スパン(m)

実応力比

TG山手 TG京浜 TG貨物 TG東海 WTT WTG  TG  TT

図−2  横桁におけるスパンと実応力比  

             

     

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 2 4 6 8 10 12

スパン(m)

実応力比

TG山手 TG京浜 TG貨物 TG東海 WTT WTG  TG  TT

図−1  縦桁におけるスパンと実応力比

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 20 40 60 80 1

計算応力度(N/mm2)

応力比

00

0.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 5 10 15 20 25 30

スパン(m)

実応力比

TG山手 TG京浜 TG貨物 TG東海 DG WTG 

図−3  主桁におけるスパンと実応力比 図−4  実応力比と計算応力度の関係(在来線)

  3. 考察

実応力比の分布は図−1〜図−3より主桁が 0.09〜0.90,横桁が 0.20〜0.86,縦桁が 0.20〜0.94 となった。

また,いずれの部材でも維持管理標準で定めた係数を上回る値が見受けられ,特に列車荷重を直接受ける部材(主 桁,縦桁)において高い実応力比を示す傾向となった。一方,実応力比が低い部材は他の部材の剛性やバラスト 等により荷重が分散されているものと思われる。設計と維持管理における整合性や,設計手法の中に実応力比を 導入する必要があることから,ここでは図−4に示すように包括して 0.85 と定めることとした。 

4. まとめ

実橋における応力測定結果に基づいて検討を行った結果,実応力比として

0.85

が妥当であると思われる。これ より維持管理において実応力比として 0.85を考慮し,準用する方法が考えられるが,部材別に異なる傾向も見ら れているため,今後,更にデータを蓄積して深度化を図りたい。 

【参考文献】1)(財)鉄道総合技術研究所:鉄道構造物等設計標準・同解説,鋼・合成構造物,1992.10  2)(財)鉄道総合技術研究所:建造物保守管理標準・同解説,鋼構造物,1987.9

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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