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鋼ラーメン橋の残留変位に関する一考察 日本橋梁(株) 正会員 ○川村 弘昌

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Academic year: 2022

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(1)

鋼ラーメン橋の残留変位に関する一考察

日本橋梁(株) 正会員 ○川村 弘昌 第一復建(株) 正会員 小金丸卓哉 九州産業大学工学部 フェロー会員 水田 洋司

1.はじめに

残留変位は,地震後の使用性能に大きな影響を及ぼす要素である.しかしながら,道路橋示方書Ⅴ耐震設計 編

1)

(以下,道示Ⅴ)の 7.4 の解説でも示されているように非線形な応答をした後に橋に生じる残留変位は入 力地震動の特性に大きく依存し,そのばらつきも大きいことがこれまでの研究

2)

で明らかになっている.道示

Ⅴにおいて,鋼製橋脚の残留変位については,安全側の照査を行うために非線形動的解析で得られる残留変位 によって照査するのではなく,道示Ⅴ 式(6.4.9)により算出することとしている.

本論文では,鋼ラーメン橋の残留変位照査法として道示Ⅴの照査方法が適当か否かを動的応答による残留変 位(解析値)と算出式による残留変位の比較検討によりその妥当性について述べている.

2.対象橋梁

比較検討に用いた橋梁は,3 径間連続非合成鋼ラーメン箱桁橋

3)

である.表-1 に構造諸元,図-1 に構造 一般図を示す.

表-1 対象橋梁の構造諸元 道路規格 第2種第2級(自動車専用道路)

構造形式 鋼3径間連続非合成ラーメン箱桁橋 支 間 長 [email protected] m = 186.000 m

有効幅員 12.000 m

平面線形 R = ∞ ~ R = 3,000 m 活 荷 重 TL-20(1等橋)

床版形式 RC床版(t = 220 mm)

橋脚形式 鋼製橋脚(コンクリート部分充填,矩形断面)

基礎形式 直接基礎 地盤種別 Ⅰ種地盤 地域区分 C地域

適用示方書 道路橋示方書・同解説(昭和 55 年)

8000 2000 1000 13000

6875 16250

3000

2125 4063

6875 1250

4062 2500 8125 3125 2500 31252125

250095351000300010535

1000

5500

2400

2400 25003000873610009736

2000

8000

2000

5500 13000 1000

5500 1000 5500

図-1 対象橋梁の構造一般図(単位:mm)

対象橋梁は,自動車専用道路の高架橋であり,高架の下には街路(一般国道)が併走していることから,橋 の重要度は「重要度が高い橋:B種の橋」に相当する.B種の橋は,耐震性能2を満足する必要があるため,

地震後の使用性能の照査として残留変位を確認する必要がある.

3.解析モデル

地震動は橋軸方向・橋軸直角方向に作用させた.

橋梁全体系を3次元骨組構造でモデル化し,上部工 部材には線形梁要素,下部工部材には非線形梁要素

(M-φモデル)を採用した.減衰マトリックスは 固有値解析より算出した歪エネルギー比例減衰の考 えを用いて Rayleigh 減衰として定義した.

動的解析に用いた入力地震動はレベル2地震動タ イプⅡ(Ⅰ種地盤)の3波である.(表-2 参照)

キーワード 残留変位,非線形動的解析,最大応答塑性率,鋼ラーメン橋

連絡先 〒675-0164 兵庫県加古郡播磨町東新島 3 番地 日本橋梁株式会社 TEL:078-941-3750 FAX:078-949-2119 表-2 動的解析に用いる入力地震動

記録場所 最大加速度

(gal)

継続時間

(sec)

1995 年兵庫県南部地震

神戸海洋気象台地盤上(NS 成分) 812.020 30.0

1995 年兵庫県南部地震

神戸海洋気象台地盤上(EW 成分) 765.884 30.0

1995 年兵庫県南部地震 猪名川架橋予定地点周辺地盤上

(NS 成分)

780.046 30.0 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑25‑

I‑013

(2)

4.照査方法

残留変位は,解析値及び道示Ⅴ 式(6.4.9)により算出することとした.

δ

=C

(μ

-1)(1-r)δy 道示Ⅴ 式(6.4.9)

ここに,C

: 残留変位補正係数(0.35)

μ

: 最大応答塑性率(δmax/δy)

r : 橋脚の降伏剛性に対する降伏後の2次剛 性の比(0.05)

δy : 残留変位照査位置での降伏時の応答変位 δmax: 残留変位照査位置での最大応答変位 許容残留変位 : 橋脚下端から上部構造の慣性力作用位置ま

での高さhの 1/100 鋼ラーメン橋における降伏の定義は,図-2 の鋼ラーメン橋の降伏判定を行う要素のうち 一箇所でも降伏に達したときとする.

また,動的解析で求めた残留変位は,地震動 終了後に継続して橋軸方向加振時に 10 秒間,

橋軸直角方向加振時に 30 秒間の自由振動後の 応答変位とした.照査には,3波平均値を用い た.

5.照査結果

本検討における降伏時の応答変位および最 大応答変位,および道示Ⅴ 式(6.4.9)によ る残留変位の照査結果と解析値の比較を表-3 に示す.

表-3 より,残留変位は入力地震動の違いに よってかなりのばらつきがあることが明らか

になった.解析値において最大値と最小値を比較すると,橋軸方向地震時では 4~6 倍,橋軸直角方向地震時 では 10 倍ものばらつきが見られる.道示Ⅴ 式(6.4.9)により算出した残留変位は,解析結果の最小値と最 大値の中間の値となっている.解析結果による残留変位の3波平均値と算出式による残留変位を比較すると算 出式による残留変位の方が大きい値となった.特に橋軸直角方向地震時における残留変位は,算出式による値 が解析値に対して約 3.5 倍にもなっており大きな差が認められる.

以上の結果により,本論文で取り上げた鋼ラーメン橋の残留変位は,解析値による残留変位および道示の算 出式による残留変位ともに許容値を満たす結果となった.

6.結論

本論文で研究対象とした鋼ラーメン橋では,動的解析により得られる残留変位よりも算出式による残留変位 の方が大きな値となり,道示Ⅴ 式(6.4.9)を用いることにより残留変位に関する安全性を確認できること が判った.

参考文献

1) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説 Ⅴ耐震設計編,平成 14 年 3 月

2) 川島一彦・Gregory A.MACRAE・星隈順一・長屋和宏:残留変位応答スペクトルの提案とその適用,土木学 会論文集 No.501/Ⅰ-29,pp.183-192,1994.10

3) 土木学会西部支部:中径間橋梁の動的耐震設計,2002.5

残留変位照査位置

(橋脚上部)

P11 P12

降伏判定を行う 要素(橋脚)

図-2 残留変位照査位置及び 降伏判定を行う要素

表-3 残留変位の照査結果

地震の方向 橋軸方向 橋軸直角方向

橋脚番号 P11 P12 P11 P12

橋脚高さ h (m) 10.700 9.900 10.700 9.900 動 的 解 析 に お け る 最 大

応答変位(3波平均) δmax (cm) 5.820 5.675 18.154 14.946 動 的 解 析 に お け る 降 伏

変位(3波平均) δy (cm) 4.284 4.114 7.734 6.746 最大応答塑性率 μ

R

- 1.359 1.380 2.347 2.216 残留変位(地震動-①) δ

R1

(cm) 0.103 0.167 0.200 0.166 残留変位(地震動-②) δ

R2

(cm) 0.607 0.663 2.062 1.790 残留変位(地震動-③) δ

R3

(cm) 0.249 0.211 0.595 0.442 残留変位(3波平均) δ

Ravr

(cm) 0.320 0.347 0.952 0.799 残留変位(道示式) δ

R

(cm) 0.511 0.519 3.465 2.727 許容残留変位(h/100) δ

Ra

(cm) 10.700 9.900 10.700 9.900

解析値 OK OK OK OK

判定

計算値 OK OK OK OK

土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑26‑

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参照

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