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博 士 ( 理 学 ) 新 名

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 新 名    甼

     学位論文題名

Phase transitions of enstatite under high pressure     and high temperature

     (高温高圧下におけるエンス夕夕イトの相転移について)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  地殻 や 上部 マン トル の 主要 構成 鉱物 のー っ であ るエ ンス タタ イト(MgSi03)には、斜方エ ンス タタイト(空間群:Pbca), プロトエンスタタイト(Pbcn),単斜エンスタタイトの低温型 (P2llc), 高温 型(C21c)及び高圧型(C21c)という5つの多形の存在 が報告されている。これら 多 形の 結 晶構 造ならびに多形聞の相 転移については古くから、数 多くの研究がなされている が 、相 転 移の 反応速度の問題や、プ ロトエンスタタイト、単斜のC・2lc相が常温、常圧下に 急 冷凍 結 出来 ない相であることから 、まだ充分に明らかにされて はいない。本研究は、エン ス タタ イ トの 結晶構造及び相転移、 特に高圧型及び高温型のそれ らを明らかにする為、マル チ ア ン ピ ル 型 高 圧 装 置 と 放 射 光 を 用 い た12GPa,1200aまで の高 温高 圧X線そ の 場観 察、

1100℃ ま での 高温 粉末X線 観察 、高 温 又は 高温 高圧 合 成後 、急 冷回収した試料のX線回折装 置、透過電顕を用いた解析を行った。

  高圧 型C2c相 は、 これ まで ダイ ア モン ドア ンビ ル 装置 を用 いた室温での高圧X線その場 観察 でしか確認されていなかった が、今回の高温高圧X線その場観察の結果、低温型尸2l/c は高 温高圧下において約2.5%の 体積の減少を伴って、高圧 型C2/c相に相転移し、広い温度 圧 力範 囲 にお いて 安定 領 域を 持つ こと が明らかになった。この 高圧型C2/c相の構造は、温 度圧 カの変化によらず、声角が高 温型C2/c相やダイォプサイド(C2/c)に比べて101.5゜〜

1018゜という著しく小さぃ値で特徴づけられ、この結果は、高圧型〔2/c相が高温高圧下に韜 い ても 高 温型C2c相 やダ イオ プサ イ ドとは構造が明らかに異な ることを示している。低温 型尸21/c相と高圧型C2/c相の室 温高圧におけるP‐レデータは、3次のBirchIMlJ11弧幽組状態 方 程式 を 用い て解 析さ れ 、体 積弾 性率 の圧力変化K を4と固定 したとき、高圧型C2/c相の 常温常圧下における体積玩は411.2(2.7)A3、体積弾性率也は84.3(83)GI)a、低温型胞l/c u41598) ぷ 、 体 積 弾 性 率 也 は104935GPaと い う 結 果 が 得 ら れ た 。   高温 型C2cエ ンス タタ イト の存 在 はこれまで数例報告されて いるが、その安定性や安定 領 域に 関 して は、まだ不明な点が多 い。出発物質に低温型尸2l/c相を用いた1100℃までの高 温 粉 末X線 観 察 の 結 果 は 、1060℃ 〜1100℃の 領域 に 高温 型C2/c相の 存在 を示 す もの であ った 。1100℃に韜ける高温型C2c相のロ角は、これまで報告された結果と同じく約110°で、

高 圧型C2/c相 の声角より約8゜大き い。一方、出発物質に斜方エ ンスタタイトを用いた実験 で は結 果 が異 なり、1050℃〜1100℃ の温度で高温安定相と考えら れているプロトエンスタタ イ トに 相 転移 した 。こ の 事は 、斜 方エ ンス タ タイ トが 高温 型C2/c相に相転移しにくい事を 反映しているのかもしれない。

  高 温高圧合成後、急冷回収した 試料の電顕観察では、(100)に平行な多数の積層欠陥が観察 され た。8GPa,1000℃,及び常圧,10500の条件で合成された試料中には、(100)積層欠陥の両

‑ 145ー

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側で低 温型P21/c相がa/2や4.5A)ほど位相のずれた反位相の関係にあるのが観察された。

この反 位相境界は、急冷あるいは減 圧過程でC2/c相が毘l/c相に相転移する際に形成された と考え られる。

  ピス トンシリンダー型高圧装置を 用いた高温高圧実験では、これまで低温型尸21/c相の安 定 領域 と され た圧 力15kbar温 度5500で斜方エンス タタイトが安定であるとの結 果を得た。

この結 果は、これまでに報告されている斜方エンスタタイトと低温型舵l/c相との相境界が、

より低 温側にシフトする可能性を示 している。

− ・146 ‑

(3)

学 位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 講師

藤 野 清 志 渡 辺 暉 夫 菊 地    武 三 浦 裕 行

     学位論文題名

Phase transitions of enstatite under high pressure     and high temperature

     (高温高圧下におけるエンス夕夕イトの相転移について)

  

工 ン ス 夕 夕 イ ト

(MgSi03)

は , 地 球 の 地 殻 お よ び 上 部 マ ン 卜 ル を 構 成 す る 主 要 鉱 物 で あ る と と も に , 多 く の 隕 石 に も 含 ま れ る 普 遍 的 な 鉱 物 で あ り , こ れ を 含 む 岩 石 の 熱 履 歴 等 を 解 析 す る 上 で , カ ギ と な る 鉱 物 で あ る . に も か か わ ら ず , そ の 高 温 高 圧 下 で の 相 関 係 や 相 転 移 に つ い て は , い ま だ 不 明 な 点 が 多 い . 特 に , 近 年 高 圧 相 と し て 単 斜 晶 系 の

C2lc

相 の 存 在 が 提 唱 さ れ , 常 温 高 圧 下 で の こ の 相 へ の 相 転 移 の 報 告 も な さ れ て い る が , こ の 相 は 常 温 常 圧 下 に 急 冷 で き な い た め , 高 温 高 圧 下 で の こ の 相 の 存 在 は い ま だ 確 認 さ れ て お ら ず , そ の 結 晶 学 的 デ ー タ も 不 明 の ま ま で あ っ た .

  

本 論 文 は 、 こ の 高 圧 型

C2lc

相 の 問 題 を 中 心 に , 高 温 高 圧 下 で の エ ン ス 夕 夕 イ ト の 相 関 係 と そ れ ぞ れ の 相 の 結 晶 構 造 , お よ び 相 転 移 の 様 子 を 解 明 す る 事 を 目 的 と し , そ の た め に 放 射 光 を 用 い た 高 温 高 圧

X

線 そ の 場 観 察 実 験 と , 高 温 高 圧 合 成 後 急 冷 し た 試 料 に つ い て の

X

線 ・ 透 過 電 子 顕 微 鏡 に よ る 測 定 ・ 観 察 を 行 っ た 結 果 を ま と め た も の で あ る .

  

本 研 究 の 結 果 , 著 者 は 高 温 高 圧

X

線 そ の 場 観 察 に よ り , 高 圧 型 の 単 斜

C2lc

相 が 高 温 高 圧 下 の 広 い 範 囲 で 安 定 領 域 を 持 つ こ と を 初 め て 確 認 す る と と も に , こ の 相 が 常 圧 高 温 型 の

C2lc

相 と は 異 な る 構 造 で あ る こ と を 明 ら か に し た . さ ら に ,

X

線 そ の 場 観 察 に よ る 構 造 デ ー タ か ら , 単 斜 の

P2 ilc

相 と 高 圧 型

C2lc

相 に つ い て , 常 温 高 圧 下 で の 状 態方 程式 を導 いた . ま た , 高 温 型

C2lc

相 に つ い て も , 高 温

X

線 実 験 に よ り 常 圧 下

1050

1100

℃ で の 出 現 を 観 測 し , そ の 構 造 デ ー タ を 得 る こ と に 成 功 し た . 一 方 , 高 温 高 圧 合 成 後 急 冷 し た 試 料 の 電 顕 観 察 で , そ れ ら が 高 圧 ま た は 高 温 で は

C21c

構 造 で あ っ た こ と を 示 唆 す る 微 細 組 織 を 観 察 し て , 高 温 高 圧 そ の 場 観 察 実 験 に 調 和 的 な 結 果 を 得 る と と も に , よ り 低 温 低 圧 の

P2 ic

相 の 安 定 関 係 に つ い て も ,

X

線 回 折 デ ー タ に よ り 新 た な 知 見 を 得 た .

  

以 上 , 著 者 は 高 温 高 圧 下 に お け る エ ン ス 夕 夕 イ ト の 構 造 と 相 転 移 に つ い て , こ れ ま で 不 明 で あ っ た い く つ か の 点 , と り わ け 高 圧 型

CWc

相 の 存 在 に 関 し て , 重 要 な 成 果 を 納 め た .

  

よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

参照

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