博 士 ( 理 学 ) 新 名 甼
学位論文題名
Phase transitions of enstatite under high pressure and high temperature
(高温高圧下におけるエンス夕夕イトの相転移について)
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
地殻 や 上部 マン トル の 主要 構成 鉱物 のー っ であ るエ ンス タタ イト(MgSi03)には、斜方エ ンス タタイト(空間群:Pbca), プロトエンスタタイト(Pbcn),単斜エンスタタイトの低温型 (P2llc), 高温 型(C21c)及び高圧型(C21c)という5つの多形の存在 が報告されている。これら 多 形の 結 晶構 造ならびに多形聞の相 転移については古くから、数 多くの研究がなされている が 、相 転 移の 反応速度の問題や、プ ロトエンスタタイト、単斜のC・2lc相が常温、常圧下に 急 冷凍 結 出来 ない相であることから 、まだ充分に明らかにされて はいない。本研究は、エン ス タタ イ トの 結晶構造及び相転移、 特に高圧型及び高温型のそれ らを明らかにする為、マル チ ア ン ピ ル 型 高 圧 装 置 と 放 射 光 を 用 い た12GPa,1200aまで の高 温高 圧X線そ の 場観 察、
1100℃ ま での 高温 粉末X線 観察 、高 温 又は 高温 高圧 合 成後 、急 冷回収した試料のX線回折装 置、透過電顕を用いた解析を行った。
高圧 型C2/c相 は、 これ まで ダイ ア モン ドア ンビ ル 装置 を用 いた室温での高圧X線その場 観察 でしか確認されていなかった が、今回の高温高圧X線その場観察の結果、低温型尸2l/c相 は高 温高圧下において約2.5%の 体積の減少を伴って、高圧 型C2/c相に相転移し、広い温度 圧 力範 囲 にお いて 安定 領 域を 持つ こと が明らかになった。この 高圧型C2/c相の構造は、温 度圧 カの変化によらず、声角が高 温型C2/c相やダイォプサイド(C2/c)に比べて101.5゜〜
101.8゜という著しく小さぃ値で特徴づけられ、この結果は、高圧型〔2/c相が高温高圧下に韜 い ても 高 温型C2/c相 やダ イオ プサ イ ドとは構造が明らかに異な ることを示している。低温 型尸21/c相と高圧型C2/c相の室 温高圧におけるP‐レデータは、3次のBirchIMlJ11弧幽組状態 方 程式 を 用い て解 析さ れ 、体 積弾 性率 の圧力変化K を4と固定 したとき、高圧型C2/c相の 常温常圧下における体積玩は411.2(2.7)A3、体積弾性率也は84.3(83)GI)a、低温型胞l/c相 のuは415.9(8) ぷ 、 体 積 弾 性 率 也 は104.9(3.5)GPaと い う 結 果 が 得 ら れ た 。 高温 型C2/cエ ンス タタ イト の存 在 はこれまで数例報告されて いるが、その安定性や安定 領 域に 関 して は、まだ不明な点が多 い。出発物質に低温型尸2l/c相を用いた1100℃までの高 温 粉 末X線 観 察 の 結 果 は 、1060℃ 〜1100℃の 領域 に 高温 型C2/c相の 存在 を示 す もの であ った 。1100℃に韜ける高温型C2/c相のロ角は、これまで報告された結果と同じく約110°で、
高 圧型C2/c相 の声角より約8゜大き い。一方、出発物質に斜方エ ンスタタイトを用いた実験 で は結 果 が異 なり、1050℃〜1100℃ の温度で高温安定相と考えら れているプロトエンスタタ イ トに 相 転移 した 。こ の 事は 、斜 方エ ンス タ タイ トが 高温 型C2/c相に相転移しにくい事を 反映しているのかもしれない。
高 温高圧合成後、急冷回収した 試料の電顕観察では、(100)に平行な多数の積層欠陥が観察 され た。8GPa,1000℃,及び常圧,10500の条件で合成された試料中には、(100)積層欠陥の両
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側で低 温型P21/c相がa/2や4.5A)ほど位相のずれた反位相の関係にあるのが観察された。
この反 位相境界は、急冷あるいは減 圧過程でC2/c相が毘l/c相に相転移する際に形成された と考え られる。
ピス トンシリンダー型高圧装置を 用いた高温高圧実験では、これまで低温型尸21/c相の安 定 領域 と され た圧 力15kbar温 度5500で斜方エンス タタイトが安定であるとの結 果を得た。
この結 果は、これまでに報告されている斜方エンスタタイトと低温型舵l/c相との相境界が、
より低 温側にシフトする可能性を示 している。
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学 位論文審査の要旨 主査
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