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膀胱を標的とする遺伝毒性発がん物質検出系の開発

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Academic year: 2022

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厚生労働科学研究費補助金(化学物質リスク研究事業) 

分担研究年度終了報告書   

膀胱を標的とする遺伝毒性発がん物質検出系の開発  

研究分担者  小川 久美子    国立医薬品食品衛生研究所  病理部  部長

研究要旨 

  本研究は、短・中期に膀胱を標的とする遺伝毒性を予見できる指標の検索を目的としている。昨年度 までに、既知の遺伝毒性物質N‑butyl‑N‑ (4‑hydroxybutyl)‑nitrosamine(BBN)投与ラット膀胱粘膜の 正常様粘膜、過形成粘膜および悪性腫瘍組織における各種 DNA 損傷修復関連マーカーの発現を、無処置 ラット膀胱粘膜と免疫組織化学的に比較検討した。DNA 二重鎖切断のマーカーであるγH2AX は、無処置 粘膜に認められなかった一方、BBN 投与ラットの増殖性病変のみならず、正常様粘膜上皮においても核 内に顆粒状陽性巣が観察され、遺伝毒性物質の曝露指標となる可能性が示唆された。平成 25 年度は、

膀胱に増殖性病変を誘発する種々の化学物質をラットに投与し、膀胱上皮細胞におけるγH2AX の発現を 病理組織学的に検討した。6 週齢の雄 F344 ラット各群 10 匹に、0.05% BBN、1.8% 2‑nitroanisole(2‑NA)、 2% 2,2‑bis (bromomethyl)‑1,3‑propanediol(BMP)、0.1% phenethyl isothiocyanate(PEITC)、3%メ ラミン、または 3%ウラシルを 4 週間混餌(BBN のみ飲水)投与し、投与終了時に 5 匹、2 週間の休薬後 に 5 匹を解剖した。膀胱を採材し、尿路上皮でのγH2AX の発現を免疫組織化学的に検索した。4 週時に は、BBN および 2‑NA 群のラット膀胱上皮細胞でγH2AX の発現が高頻度に認められた。2 週間の休薬後、

BBN および 2‑NA 群ではγH2AX 発現が残存したが、他の群では過形成の退縮とともに陽性細胞は稀とな った。以上より、γH2AX は膀胱に対する遺伝毒性/発癌性の指標として利用し得る可能性が示唆された。 

 

A.研究目的 

  本研究は、短・中期に膀胱を標的とする遺伝毒性 を予見できる指標の検索を目的としている。昨年度 ま で に 、 既 知 の 遺 伝 毒 性 物 質 N‑butyl‑N‑ 

(4‑hydroxybutyl)‑nitrosamine(BBN)投与ラット膀 胱粘膜の正常様粘膜、過形成粘膜および悪性腫瘍組 織における各種 DNA 損傷修復関連マーカーの発現を、

無処置ラット膀胱粘膜と免疫組織化学的に比較検討 した。その結果、DNA 二重鎖切断のマーカーである γ‑H2AX は、無処置粘膜には発現が認められない一 方、BBN 投与ラットの増殖性病変および正常様粘膜 上皮において核内に顆粒状陽性巣が観察され、遺伝 毒性物質の曝露指標となる可能性が示唆された。 

  近年、発癌過程における DNA 損傷・修復経路の重 要性が明らかにされつつあり、特に DNA 二重鎖切断 はゲノム不安定性の原因となる深刻な傷害と認識さ

れている。DNA に二重鎖切断が生じると、ヒストン 構成タンパクの一種(H2AX)が速やかにリン酸化さ れ、γH2AX を形成する。癌化におけるγH2AX の役割 には不明な点が多く、中でも膀胱癌との関連につい ての研究は非常に少ない。平成 25 年度は、膀胱に増 殖性病変を誘発する種々の化学物質をラットに投与 し、膀胱上皮細胞におけるγH2AX の発現を病理組織 学的に検討した。 

 

B.研究方法 

  6 週 齢 の 雄 F344 ラ ッ ト に 、 0.05% N‑butyl‑ 

N‑(4‑hydroxybutyl)  nitrosamine ( BBN )、 1.8% 

2‑nitroanisole ( 2‑NA ) 、 2%  2,2‑bis  (bromomethyl)‑1,3‑propanediol ( BMP )、 0.1% 

phenethyl isothiocyanate(PEITC)、3%メラミン、

または 3%ウラシルを 4 週間混餌(BBN のみ飲水)投

(2)

与した。各群 間の休薬後に 上皮でのγ た。 

 

(倫理面への配慮)

  動物の数は最小限にとどめ、実験は国立医薬品食 品衛生研究所の実験動物取

の苦痛を最小限とするよう  

C.研究結果   BBN および

週間投与したラット膀胱上皮細胞には、

現が高頻度に認められた一方、対照群にはほとんど 観察されなかった

核内にドット状の

膀胱粘膜の基底側に多い傾向を示した 誘発、遺伝毒性±)投与ラットでは、

粘膜表層の大型核を有する細胞を中心に

PEITC(過形成誘発、遺伝毒性±)、メラミンおよび ウラシル(膀胱発癌性あり、遺伝毒性なし)を投与 した膀胱に軽度

局所的にγH2AX

の休薬後、いずれの群でも および 2‑NA

(図 2)、他の群では過形成の退縮とともに陽性細胞 は稀となった。以上より、

伝毒性/発癌性の指標として利用し得る可能性が示 唆された。今後、定量解析等のさらなる検討を加え る予定である。

与した。各群 10 匹を用い、投与終了時に

間の休薬後に 5 匹を解剖した。膀胱を採材し、尿路 γH2AX の発現を免疫組織化学的に検索し

(倫理面への配慮) 

は最小限にとどめ、実験は国立医薬品食 品衛生研究所の実験動物取

の苦痛を最小限とするよう

C.研究結果 

および 2‑NA(膀胱発癌性

したラット膀胱上皮細胞には、

現が高頻度に認められた一方、対照群にはほとんど 観察されなかった(表、図

核内にドット状の foci

膀胱粘膜の基底側に多い傾向を示した 誘発、遺伝毒性±)投与ラットでは、

粘膜表層の大型核を有する細胞を中心に

(過形成誘発、遺伝毒性±)、メラミンおよび ウラシル(膀胱発癌性あり、遺伝毒性なし)を投与 した膀胱に軽度から高度の過形成性病変が認められ、

H2AX 発現を示す部位がみられた。

いずれの群でも

NA 群では一定数の残存が認められた一方

、他の群では過形成の退縮とともに陽性細胞 は稀となった。以上より、

発癌性の指標として利用し得る可能性が示 唆された。今後、定量解析等のさらなる検討を加え る予定である。 

匹を用い、投与終了時に

匹を解剖した。膀胱を採材し、尿路 の発現を免疫組織化学的に検索し

は最小限にとどめ、実験は国立医薬品食 品衛生研究所の実験動物取扱い規定に基づき、動物 の苦痛を最小限とするよう配慮して行った。

(膀胱発癌性/遺伝毒性あり)を したラット膀胱上皮細胞には、

現が高頻度に認められた一方、対照群にはほとんど

(表、図 1)。γH2AX

foci として観察され、陽性細胞は 膀胱粘膜の基底側に多い傾向を示した

誘発、遺伝毒性±)投与ラットでは、

粘膜表層の大型核を有する細胞を中心に

(過形成誘発、遺伝毒性±)、メラミンおよび ウラシル(膀胱発癌性あり、遺伝毒性なし)を投与

から高度の過形成性病変が認められ、

発現を示す部位がみられた。

いずれの群でもγH2AX 発現は減少し、

一定数の残存が認められた一方

、他の群では過形成の退縮とともに陽性細胞 は稀となった。以上より、γH2AX は膀胱に対する遺 発癌性の指標として利用し得る可能性が示 唆された。今後、定量解析等のさらなる検討を加え

匹を用い、投与終了時に 5 匹、

匹を解剖した。膀胱を採材し、尿路 の発現を免疫組織化学的に検索し

は最小限にとどめ、実験は国立医薬品食 規定に基づき、動物 配慮して行った。 

遺伝毒性あり)を したラット膀胱上皮細胞には、γH2AX の発 現が高頻度に認められた一方、対照群にはほとんど H2AX は上皮細胞の として観察され、陽性細胞は 膀胱粘膜の基底側に多い傾向を示した。BMP(過形成 誘発、遺伝毒性±)投与ラットでは、γH2AX 発現は 粘膜表層の大型核を有する細胞を中心に観察された。

(過形成誘発、遺伝毒性±)、メラミンおよび ウラシル(膀胱発癌性あり、遺伝毒性なし)を投与

から高度の過形成性病変が認められ、

発現を示す部位がみられた。2 週間 発現は減少し、

一定数の残存が認められた一方

、他の群では過形成の退縮とともに陽性細胞 は膀胱に対する遺 発癌性の指標として利用し得る可能性が示 唆された。今後、定量解析等のさらなる検討を加え 匹、2 週 匹を解剖した。膀胱を採材し、尿路 の発現を免疫組織化学的に検索し

は最小限にとどめ、実験は国立医薬品食 規定に基づき、動物

遺伝毒性あり)を 4 の発 現が高頻度に認められた一方、対照群にはほとんど は上皮細胞の として観察され、陽性細胞は

(過形成 発現は 観察された。

(過形成誘発、遺伝毒性±)、メラミンおよび ウラシル(膀胱発癌性あり、遺伝毒性なし)を投与

から高度の過形成性病変が認められ、

週間 発現は減少し、BBN 一定数の残存が認められた一方

、他の群では過形成の退縮とともに陽性細胞 は膀胱に対する遺 発癌性の指標として利用し得る可能性が示 唆された。今後、定量解析等のさらなる検討を加え

表.膀胱粘膜における 評価

図 1

細胞における

:正常様上皮

 

E.研究発表 1.論文発表   1)

S, Suzuki I, Ogawa K. Detection of γ biomarker for DNA double

urinary bladders of  N‑butyl

rats. J Toxicol Pathol,   

 

2.学会発表   1) 

勇、小川久美子.化学物質投与ラット膀胱における DNA

学的特徴.第 集会、徳島、

 

表.膀胱粘膜における 評価 

1.BBN および 細胞におけるγ

:正常様上皮 

E.研究発表  1.論文発表 

1) Toyoda T, Akagi J, Cho YM, Mizuta Y, Onami  S, Suzuki I, Ogawa K. Detection of γ

biomarker for DNA double urinary bladders of 

butyl‑N‑(4‑hydroxybutyl) rats. J Toxicol Pathol, 

2.学会発表 

1) 豊田武士、曺永晩、赤木純一、水田保子、鈴木 勇、小川久美子.化学物質投与ラット膀胱における DNA 二重鎖切断マーカー(

学的特徴.第 30 集会、徳島、2014

表.膀胱粘膜におけるγH2AX

および 2‑NA 4 週間投与後の膀胱粘膜上皮 γH2AX 発現。上段:単純過形成、下段  

   

Toyoda T, Akagi J, Cho YM, Mizuta Y, Onami  S, Suzuki I, Ogawa K. Detection of γ

biomarker for DNA double‑

urinary bladders of  hydroxybutyl) rats. J Toxicol Pathol, 26: 215

 

豊田武士、曺永晩、赤木純一、水田保子、鈴木 勇、小川久美子.化学物質投与ラット膀胱における

二重鎖切断マーカー(γ

30 回日本毒性病理学会総会および学術 2014 年 1 月 31

H2AX 発現の免疫組織化学的

週間投与後の膀胱粘膜上皮 発現。上段:単純過形成、下段

Toyoda T, Akagi J, Cho YM, Mizuta Y, Onami  S, Suzuki I, Ogawa K. Detection of γ

‑strand breaks, in 

hydroxybutyl)‑nitrosamine 26: 215‑221, 2013

豊田武士、曺永晩、赤木純一、水田保子、鈴木 勇、小川久美子.化学物質投与ラット膀胱における γH2AX)発現の病理組織 回日本毒性病理学会総会および学術

31 日 

発現の免疫組織化学的

週間投与後の膀胱粘膜上皮 発現。上段:単純過形成、下段

Toyoda T, Akagi J, Cho YM, Mizuta Y, Onami  S, Suzuki I, Ogawa K. Detection of γ‑H2AX, a 

strand breaks, in 

trosamine‑treated  221, 2013 

豊田武士、曺永晩、赤木純一、水田保子、鈴木 勇、小川久美子.化学物質投与ラット膀胱における

)発現の病理組織 回日本毒性病理学会総会および学術 発現の免疫組織化学的

週間投与後の膀胱粘膜上皮 発現。上段:単純過形成、下段

Toyoda T, Akagi J, Cho YM, Mizuta Y, Onami  H2AX, a 

treated 

豊田武士、曺永晩、赤木純一、水田保子、鈴木 勇、小川久美子.化学物質投与ラット膀胱における

)発現の病理組織 回日本毒性病理学会総会および学術

(3)

F.知的財産権の出願・登録状況  1.特許取得 

  該当なし  2.実用新案登録    該当なし  3.その他    該当なし 

参照

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