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膀胱癌における抗癌剤投与によるMDR1遺伝子発現誘導の解析

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Academic year: 2021

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Title

膀胱癌における抗癌剤投与によるMDR1遺伝子発現誘導の

解析( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

根笹, 信一

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第1138号

Issue Date

1997-12-17

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/15134

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名 (本葡) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 根 管 信 一(愛知県)

士(医学)

乙第1138

号 平成 9 年12

月17

学位規則第4粂第2項該当

膜胱癌における抗癌剤投与によるMDRl遺伝子発現誘導の解析 (主査)教授 河 田 華 道 (副査)教授 森

教授 玉

輸文内容の要旨 癌化学療法における問題のひとつとして癌細胞の抗癌剤耐性化が挙げられる。その機序については様々な耐性 因子をもって説明がなされているが,最も注目されているものの一つにMultidrug reSistantl(MDRl)遺伝 子がある。細胞膜に存在する糖蛋白であるP-glycoprotein(P-gp)をcodeしている遺伝子であり.このP-gPによ りadriamycin(ADM)やvinblastin(VLB)などの抗癌剤が細胞内から細胞外へと排出されることが知られて いる。白血病や卵巣癌など他の臓器の腫瘍においては化学療法後にMDRl遺伝子発現レベルの上昇が認められ, 抗癌剤耐性化との関連が報告されているが,膀胱癌に関しては明らかにされていない。 そこで申請者ほ膀胱癌の臨床治標例におけるMDRl遺伝子発現レベルをreverse transcriptase-pOlymerase chain reaction(RT-PCR)法を用いて調べ.抗癌剤投与によりMDRl遺伝子発現が誘導されるか否かについて 検討した。またMDRl遺伝子発現と臨床軋 病理学的背景との関連について解析した。 研究方法 1)RT-PCR法によるMDRlmRNA定量のための基礎的検討 基礎的検討のために膀胱癌細胞株HT1376と胃癌細胞株ACHNおよびそのADM耐性株であるACHN/ADMを 用いた。それぞれの培養細胞株からmRNAを抽出し,randomprimerを用い,COmPlementary DNA(cDNA) を合成した。このcDNAをtemplateとし,10×PCR bufferlOFLl,dNTPIFLl,AmpliTaq DNA polymerase

O.5FLl,MDRlmRNA増幅用のsenseprimer,anti-SenSeprimer各5FLlに蒸留水を加えて計100FLlとしてPCR を施行した。同時にβ-aCtin mRNAについてもMDRlmRNAと同様にPCRを施行し,これを内部コントロー ルとした。PCRlサイクルの構成ほ,denaturation(95℃)60秒,annealing(55℃)30軌extension(72℃) 30秒とした。PCRにより得られたMDRlmRNAに対するPCR産物(327bp)とβ-aCtin mRNAに対するPCR 産物(372bp)を同時に電気泳動させ,ethidiumbromideで染色し,各々のバンド輝度をdensitometerで測定し た。 適切なPCRの条件を設定するため,各種培養細胞株を用い,templateのcDNAはmRNAO.1FLg相当量に固定 し,PCRサイクル数を25.30,35,40回と変化させ.MDRlおよぴβ-aCtin mRNAに対するPCR産物量を測定 し,PCR kineticsを調べた。またACHN/ADMに対して.PCRサイクル数を30回に固定した上で,MDRlにつ いてはtemplateとして用いるcDNAの濃度をmRNA相当量で0.1pgからその2 郡倍希釈まで変化させ,一方β-actinについてはcDNAを希釈することなくPCRを施行し,両者のPCR産物量の比を求め,CDNA濃度との相関 性について検討した。 2)臨床材料に対するMDRlmRNA発現レベルの測定とその検討 臨床材料は生検相子3カップ分を目安として採取した。PCRサイクル数は30臥 templateはmRNA O.1FLg相 当量のcDNAとし,培養細胞株と同様の手順でRT-PCRを施行した。MDRlmRNAおよぴβ一aCtin mRNAに対 するPCR産物量を測定し,その比をMDRlmRNA発現レベルとして求め,抗癌剤投与の有無などの臨床的背景 との関連性について検討した。またMDRlmRNA発現レベルと勝胱癌組織学的治療効果判定基準に基づき判定

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→141-された化学療法の組織学的効果との関連性についても検討した0抗癌剤投与前後でのMDRlmRNA発現レベル に関してはWilcoxonsigned-ranktestを,またMDRlmRNA発現の陽性率に関してはFisherの直接確率計算 法を剛、て比較検討した0他の比較についてはMann-WhitneyUtestにて統計学的解析を行った0 研究結果 1)定量性の確認 各種培養細胞株のPCRkineticsからMDRlおよびβ一aCtinmRNA発現レベルを測定するためにはtemplateの cDNAをmRNAO.1FLg相当量とした場合,PCRサイクル数は30回が適当と考えられたo ACHN/ADMのcDNA 希釈系列をtemplateとするとmRNAO・1pg相当量からその2-I憎の範囲でcDNA濃度とMDRlmRNA発現レベ ルとの間に有意の相関を認め(p=0.0455),本実験系の定量性が確認された。 2)膀胱癌臨床治療例でのMDRlmRNA発現レベル 異型度別の比較ではMDRlmRNA発現レベルに有意差を認めなかった0また深遠度が明らかな膀胱摘除症例 については表在型と浸潤型の2群に分け発現レベルを比較したが有意差を認めなかった0 初発勝胱癌における未治療群(抗癌剤非投与群)と治療群との比較では・前者のMDRlmRNA発現レベルの 範囲が0から0.25t中央値0であるのに対して・後者は発現レベルの範囲が0から0・58・中央値0・11で・両群の発現 レベルの分布に有意差を認めた(p=0.0134)○またMDRlmRNA発現の有無での比較においても・未治療群が 34例中7例.20.6%で発現を認めたのに対し-治療群では19例中10例・52・6%と高い陽性率を示し・有意の差を 認めた(p=0.0302)。 抗癌剤投与前後で癌細胞が採取できた勝胱癌患者14症例においてはt14症例中7例で抗癌剤投与後にMDRl mRNA発現レベルの上昇を認めた。残りの7症例においては6症例で不変・1症例で減少していた。MDRlmRN A発現レベルは抗癌剤投与前より投与後において有意に高い値を示した(p=0・0298)。抗癌剤投与による組織学 的治療効果は3群に分類されたが.各群間のMDRlmRNA発現レベルに有意差は認められなかった0 結 論 膀胱癌未治療群に比べ,P-gp関連抗癌剤を含む化学療法を施行された治療群ではMDRlmRNA発現レベルが 有意に高く,その発現頻度も高かった0また同一症例における抗癌剤投与前後の比較においても同様に投与後に MDRlmRNA発現レベルの上昇が認められ.臨床治療例においても抗癌剤投与により膀胱癌のMDRl遺伝子発 現が誘導されることが確認された0膀胱癌治療において・初期の化学療法では良好な治療効果が得られたにもか かわらず,化学療法を繰り返すことにより徐々にその効果が低下していくことを臨床上しばしば経験するが・そ の抗癌剤耐性化の原因の一つとして膀胱癌におけるMDRl遺伝子発現の誘導が推察された0

論文審査の結果の要旨

申請者 根笹信一はt培養細胞株を用い確立したRT-PCR法に基づく実験系により・膀胱癌の臨床材料におけ るMDRlmRNA発現レベルを測定し,膀胱癌臨床治療例において抗癌剤投与により抗癌剤耐性因子である MDRl遺伝子発現が誘導されることを明らかにした。これによりMDRl遺伝子発現誘導に関連する耐性の克服 が,化学療法の治療成績向上をもたらす可能性を示した0本研究の結果は膀胱癌化学療法,特に抗癌剤耐性化の 機序の解明に寄与するものであり,泌尿器科学の発展に少なからず寄与するものと認められる。 〔主論文公表誌〕 膀胱癌における抗癌剤投与によるMDRl遺伝子発現誘導の解析 泌尿紀要 43(9):629∼636,1997

参照

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