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膀胱部痛・膀胱けいれん

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Academic year: 2021

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85

膀胱部痛・膀胱けいれん

5

 臨床疑問 5

がん患者における膀胱部痛・膀胱けいれんに対する有用な治療法はあるか?

5—1 膀胱部痛・膀胱けいれんのあるがん患者に対して,薬物療法は有用 か?*1

膀胱部痛・膀胱けいれんのあるがん患者に対して,原因に応じた対応を 行ったうえで,対症療法として非オピオイド鎮痛薬やオピオイドによる疼 痛治療を行う。

1C

(強い推奨,弱い根拠)

5—2 膀胱部痛・膀胱けいれんのあるがん患者に対して,神経ブロックは 有用か?*2

膀胱部痛・膀胱けいれんのあるがん患者に対して,神経ブロックは専門医 と相談のうえで考慮する。

2C

(弱い推奨,弱い根拠)

*1:臨床疑問 5—1 P:が ん に 起 因 す る 膀 胱 部

痛・膀胱けいれんを認め る患者

I :薬物療法 C:無治療 O:症状緩和/QOL

推 奨

*2:臨床疑問 5—2 P:が ん に 起 因 す る 膀 胱 部

痛・膀胱けいれんを認め る患者

I :神経ブロック C:無治療 O:症状緩和/QOL

推 奨

5 膀胱部痛・膀胱けいれん

Ⅲ章推 

●膀胱部痛・膀胱けいれんの診療アルゴリズム

がんによらないもの がんによるもの

がんに対する治療の可否 原因・病態に応じた対応

疼痛緩和(薬物療法,

神経ブロックなどの対症療法)

痛みの包括的評価

(痛みの原因,痛みの与える影響,

尿路症状の合併の有無)

(2)

86

解 説

5—1 薬物療法

 本臨床疑問に関連した文献検索では,がん患者に対する膀胱痛や膀胱けいれんに 対する痛みに限定した薬物療法の効果を検討した臨床研究,報告は見出せなかっ た。しかし,がんの再発や再燃が原因である場合には,がんに対する治療の可能性 を検討しつつ,がん疼痛として WHO 方式がん疼痛治療に基づき非オピオイドやオ ピオイドの使用を検討する1)。疼痛以外に排尿機能障害を伴う場合には下部尿路症 状に応じた治療の併用を検討する。

5—2 神経ブロック

 下腹神経叢ブロックは,骨盤内臓器の交感神経由来の痛みに対する疼痛治療法で ある。骨盤痛に対する報告は認められるものの,膀胱けいれんに限定してブロック を実施したという症例報告は 1 件のみであった。Gulati ら2)は,がんに起因する膀胱 けいれんの対応のため下腹神経叢ブロックを行い改善が得られ,合併症もなく安全 に実施可能であったと報告している。

 本邦の「インターベンショナル痛み治療ガイドライン」3)では会陰部痛に対して不 対神経節ブロックを透視下,CT ガイド下に実施した報告が紹介されている。がん 疼痛に関するエビデンスレベルの高い臨床研究は見当たらず不確かだとしながら も,手技は短時間で施行でき安全な方法であり,重篤な有害事象の発生がないとさ れている。

 フェノールサドルブロックは,座位にてくも膜下腔に高比重のフェノールグリセ リンを注入することで第4,5仙髄神経や馬尾神経を遮断し会陰部の鎮痛効果を得る 神経ブロックである。合併症として,膀胱直腸障害が出現し有害事象も無視できな いため適応は慎重に行うべきである。1 つの判断基準として①疼痛コントロールが 不良,②薬物療法の増量で過鎮静が生じる,③排便・排尿機能についてストーマ管 理や何らかの尿路変向を行っている,④期待余命が限られている,がある4)。  神経ブロックがどのような患者にどの方法を適用するのがよいのか明確な基準は ない。しかし,神経ブロックは有用な方法であるため患者・家族,専門医と相談の うえ考慮すべきと考えられる。

(河原貴史)

【文 献】

1) 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会 編.がん疼痛の薬物療法に関するガイドラ イン 2014 年版,東京,金原出版,2014

2) Gulati A, Khelemsky Y, Loh J, et al. The use of lumbar sympathetic blockade at L4 for man- agement of malignancy—related bladder spasms. Pain Physician 2011; 14: 305—10

3) 日本ペインクリニック学会 インターベンショナル痛み治療ガイドライン作成チーム 編.イ ンターベンショナル痛み治療ガイドライン,東京,真興交易医書出版部,2014

4) Slatkin NE, Rhiner M. Phenol saddle blocks for intractable pain at end of life: report of four cases and literature review. Am J Hosp Palliat Care 2003; 20: 62—6

*:下部尿路症状

尿の貯留や排出に関係する症 状を広く意味する用語。排尿 症状,蓄尿症状,排尿後症状 の 3つからなる。

Ⅲ章 推 奨

参照

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