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修士論文・博士論文一覧|九州大学 大学院人間環境学府

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全文

(1)

混住型学生寮の整備実態とその空間構成に関する研究

福田 拓人

1. 研究の背景と目的

  今日 , 大学を取り巻く環境は大きな変化を見せて

い る。1980年 代 か ら 政 府 が 推 進 す る 留 学 生 数 拡 大 施

策 の 成 果 に よ り、 我 が 国 に お い て 留 学 生 数 は 過 去30

年に渡って増加を続けているものの、大学が整備する

学生寮に入居している留学生は全体の 19.4% に止まっ

て い る

文1)

。 ま た 入 居 後 十 分 に 日 本 文 化 を 理 解 で き ず

に 帰 国 す る 留 学 生 も 見 ら れ

文2)

、 留 学 生 に 対 す る 良 質

な居住環境の整備は急務であると言える。

  一 方、 近 年 の 留 学 生 数 の 増 加 に 伴 っ て ス ー パ ー グ

ローバル大学創生支援事業 ( 以下 SGU 事業 ) に採択さ

れた国内37大学を筆頭に大学のグローバル化が推進

さ れ て お り、 こ れ ら の 大 学 が 提 供 す る 国 際 教 育 や 学

習環境に対する日本人学生の需要が高まっている

文 3)

このような変化を受け、大学の学生寮は増加する留学

生のための低廉な住居としてだけではなく、日本の文

化をはじめとした多文化交流拠点としての役割が求め

られており、またそのための宿舎提供が大学の教育上、

運営上にも有益であると言及されている

文 3)

 このような時代の変化を受けて留学生と日本人学生

が共同生活を行う混住型学生寮の建設が全国的に増加

しつつあるが、これらは施設整備の萌芽期にあり、そ

の全国的な整備動向や空間的特徴を明らかにした研究

は極めて少ない。

 そこで本研究では SGU 事業に採択された国内大学が

設置している混住型学生寮を対象に、その施設整備実

態や空間構成を分析することで、入居者間の国際的な

交流を生み出すための大学学生寮の施設計画に資する

知見を得ることを目的とする。

2. 研究の方法

2-1. 調査対象

 本研究では文科省が推進する SGU 事業に採択された

国内 37 大学が設置する混住型学生寮 ( 以下混住寮 )34

施設を調査対象とした。調査対象の選定方法には各大

学 のSGU事 業 申 請 書 並 び にHP等 を 用 い、 該 当 施 設 の

図面情報は各大学による提供資料などから収集した。

2-2. 調査方法

 本研究では収集した各種図面や大学HPによる資料

調査から、調査対象施設の規模計画及び空間構成の動

向や特徴を把握した。さらに特徴的な計画がなされた

施設については、大学の施設担当者及び施設に常駐す

る管理人へヒアリングを行い、施設整備の背景や計画

の詳細を明らかにするとともに、生活ルールや施設の

利用実態を把握した ( 表 1)。

3. 混住型学生寮の全体計画の動向と特徴

3-1. 施設の建設動向

 混住寮の居住方式に着目した類型に加え、この類型

を元にした施設数の内訳と建設数の推移をもとに施設

の 建 設 動 向 を み る と、1980年 代 か ら 単 身 型 の 継 続 的

建 設 が み ら れ、2000年 以 降 の ペ ア 型 の 建 設 に 始 ま り

近年ではユニット型が急激に整備されている。この傾

向 は、 留 学 生 人 数10万 人 達 成 を 境 に 施 設 の 整 備 計 画

が、 そ の 量 的 拡 充 か ら 共 同 生 活 の 質 的 向 上 へ と 移 行

したことや建築基準法の一部改定

註 1)

及び SGU 事業

註 2)

開始の影響によるものと考えられる ( 図 1,2)。

3-2. 施設の規模計画

 次に施設の延床面積と定員数の関係をみると、延床

面積 7,000 ㎡、定員数 300 人以内の規模の施設が大半

を占めるが、より大規模な施設も確認される。また延

床面積と定員数には類型ごとに一定の関係性があり、

単身型に比べユニット型における 1 人あたりの占有面

積が大きい傾向が見られる。このことから、特にユニッ

ト型は居室以外の共有空間の計画規模が大きいことが

わかる ( 図 3)。

3-3. 入居定員数の内訳

 施設の全定員数に対する留学生定員数の割合につい

て類型ごとの混住率に着目すると、定員数 300 人以下

の施設の大半が単身型であり、その数値に幅が存在す

ることに対し、単身・ペア型及びユニット型は施設の

規模に関わらず数値が 50% 付近に収束する傾向が見ら

れる。施設ごとに日本人学生と留学生の入居割合は異 調査

資料調査 通年

2017.11-12

2017.11-12 2017.11-12 施設観察調査

ヒアリング調査①

ヒアリング調査②

時期 ( 年 . 月 ) 概要

対象施設の技術提案書や実施図面、施設台帳を 収集し、計画の特徴を把握する。 資料では把握できない施設の空間構成や施設の 様子を把握する。

施設管理人に施設内のルールなどのソフト面や 施設の利用実態について伺う。

対象施設の大学担当者に施設整備の背景や施設 計画の詳細について伺う。

表 1. 調査概要

(2)

なるものの、近年建設される施設では双方の人数比を

等しくすることが共同生活を行う上で望ましいと考え

られていることがうかがえる ( 図 4)。

4. 混住型学生寮の共用空間の計画実態

4-1. 空間構成の変遷

 施設の基準階平面の空間構成及び施設全体の共用空

間の配置方法に着目した類型をみると、7 つの類型の

うち 5 つが基準階平面に共用空間を含んでおり、その

大半が縦動線に隣接して配置される。また、施設全体

の共用空間の配置は 5 つの配置型がみられる ( 図 5)。

 次に各類型を居住方式と併せて共用空間の計画動向

をみると、80 年代から 90 年代にかけて A 及び C の平

面構成が用いられ、共用空間も各階に分散させて計画

されており、居室配置の効率化が図られている。その

後の単身・ペア型の出現に合わせて⑤の配置計画が確

認され、現在の計画の主流となっている。近年では A

及び B の平面型が多用されており、居室配置の効率化

に加え低層階に入寮者全体の交流を視野に入れた共用

空間が配置される傾向にある ( 図 6)。

4-2. 施設規模と空間構成

 施設規模と平面構成に着目すると、延床面積 9,000

㎡を境に平面構成の多様性に変化がみられる。居室の

高密化が求められる大規模施設では、中廊下型の平面

構成や共用空間の分散配置が行われる一方で比較的小

規模な施設では居室や共用空間の配置にゆとりが生ま

れている。

  次 に 施 設 規 模 と 断 面 構 成 に 着 目 す る と、 延 床 面 積

5,000 ㎡未満の小規模施設で③と④の施設構成が確認

される一方、⑤の施設構成は施設規模によらず確認さ

れるが、特に大規模施設で採用される傾向がある。小

規模施設では入寮者の交流が施設単位または基準階単

位で計画されていることに対して、大規模施設ではそ

の両方で計画されていると考えられる ( 図 7)。

4-3. 共用空間の機能と空間構成

 施 設 の 各 断 面 構 成 に 対 す る 共 用 空 間 の 分 布 を み る

と、大規模な共用空間を有する施設ではその機能も多

様化しており、中でも多目的な利用が可能なラウンジ

やセミナールームなどが計画される傾向が大きい。加

えてイベントキッチンや大浴場が計画される場合も多

いことが確認され、学生の混住を踏まえて様々な生活

の要求に対応する多様な共用空間が計画されていると

考えられる ( 図 8)。

 次に基準階平面での共用空間の分布より、全ての平

面でダイニングキッチンと談話室が設けられており、

これらの空間が基準階での寮生の交流拠点として位置 1

1965

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100%

1980 1981 1982 1983

単身型 単身型

(N=34)

施設建設数の推移 施設数の内訳

凡例

1984 1994 2000 2002 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017年

2 3 4 5 6 7 8

生10

生30

宿

  一

S G U

生10

単身・ペア型

単身・ ペア型

ユニット型

ユニット型 (4 人 ) ユニット型 (5 人 ) ユニット型 (6 人 ) ユニット型 (8 人 ) ユニット型 (11 人 )

B: 全定員数 ( 人 )

A/B:

混住率

A:

留学生定員数

(人

)

施設の定員数

0 100

100 10%

20% 30% 40% 50% 60%

200 300 400 500 600

200 300 400 500 600 700 800 900 1000

単身型 単身・ペア型 ユニット型

図 2. 施設建設数の推移

図 3. 延床面積と定員の関係

図 4. 居住方式と入居定員の関係

図 5. 共用空間の配置方法からみた施設の類型

分棟 + 各階分散

① ② ③ ④ ⑤

分棟集中 各階分散 低層階集中 低層階+各階分散

基準階平面の空間構成

共用空間の配置方法からみた施設の断面構成

B: 分散配置 A: 中央配置

F: 中央配置 D: 中央配置

E: 動線特化 G: 動線特化

凡例 縦動線

C: 端部配置

共用空間 居室

A

B

C

D

E

F

G

単身型

平面構成 居住方法 施設建設年

単身型

単身型 単身型

単身型 単身・ペア型

ユニット型

ユニット型

ユニット型

ユニット型

ユニット型 建設年 中廊下・ 中央配置

中廊下・ 分散配置

中廊下・ 端部配置 片廊下・ 中央配置 並列・ 動線特化

回廊・ 中央配置

回廊・ 動線特化

1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

②分棟 + 各階分散

①分棟集中 ③各階分散 ④低層階集中 ⑤低層階集中 + 各階分散

凡例

図 6. 施設構成の変遷 単身型

単身・ペア型 ユニット型

A:

総延床面積

(㎡

)

B: 施設定員数 ( 人 )

A/B:1

人あたりの占有面積

(人

/㎡

)

施設の定員数

0 5,000

100 200 300 400 500 600 700 800 900

10,000 15,000 20,000 30,000

A/B=40 A/B=30

A/B=20

A/B=10

ペア型 ユニット型

単身型

1 つの居室を 1 人の学生が専有して

居住する 1 つの居室を 2 人の学生が共有して居住する

凡例 居室

複数の居室が集合した 1 つのユニッ トを複数の学生が共有して居住する

居室境界 居住者

図 1. 居住方式からみた施設の類型

(3)

6-2. 主要共用空間の計画意図

 共用空間の設置状況については、5 施設で全寮生を

対象とした複数の共用空間が確認され、学習空間や文

化体験空間、寮生の交流を目的としたイベント開催空

間などの様々な生活要求に対応することが可能な計画

が行われている。また、日常生活の中での交流拠点と

して、基準階にダイニングキッチンが計画されている

例もみられる。 

6-3. 施設運営の実態

 単身・ペア型及びユニット型のいずれにおいても異

な る 国 籍 や 学 年 の 学 生 を 混 住 さ せ て い る。 特 にMm・

Ke寮 で は 男 女 混 合 フ ロ ア も 設 定 し て お り、 性 別 を 超

えた多様性に触れることのできる施設運営が行われて

いる。また、学生主体による寮生活の運営が行われて

い る 施 設 は6施 設 中5施 設 で あ っ た。 生 活 上 の 問 題

図 9. 基準階平面における共用空間の分布 図 7. 居室構成と居室内空間の相関

図 8. 施設の断面構成と共用空間の分布 ①

分棟

② 分棟 + 各階分散

③ 1F 集中

④ 各階分散

⑤ 1F 集中 + 各階分散

食堂

ラウンジ イベント

キッチン スタディ

ルーム セミナー

ルーム 多目的室 和室

ホール ライブラリ 音楽室 ジム 大浴場 ランドリー 売店 中庭 テラス

単身型

凡例 単身・ペア型 ユニット型

25 50 75 100

施設数

25 50 75 100

施設数

25 50 75 100

施設数

25 50 75 100

施設数

25 50 75 100

施設数 1

2 1

3

4 1

6 3 4 3 1 1 3 4 6 3 4 2 1 2 1 2 1 1 1 1 3 2 1 1 3 3 4 1 1 1 5 2 4 4 2 1

1 1 1 1 1 1

1 1 1 1 2 1

1 1 1 1 1

類型設置率(%)

5 2

3

2 2

1

3 2 3 1 1 1 1 3 3 2 2 3 2 1

2 2

2 2

2

1 1

2

2 1

2 2

2 3 2

8 2 1 1 1 8 1 4 2 4 2 2

A 中廊下・ 中央配置 類型

設置率

(%)

施設数

B 中廊下・ 分散配置

C 中廊下・ 端部配置

D 片廊下・ 中央配置

F 回廊・ 中央配置

談話室 キッチン

ダイニング スタディルーム テラス ランドリー トイレ シャワールーム 浴室

単身型

凡例 単身・ペア型 ユニット型

25 50 75 100

施設数 25 50 75 100

施設数 25 50 75 100

施設数 25 50 75 100

施設数 25 50 75 100 付けられていることがわかる。ランドリーについても

同様の傾向がみられるが、これは他の水まわりに比べ

利用頻度が低いことから居室外へ集約された結果であ

ると考えられる。なお、A 及び B の平面構成で多数の

共用空間が計画されているが、これは居室の高密化と

費用対効果を両立させた結果であると考えられる。

5. 混住型学生寮の居室の計画実態

5-1. 機能からみた居室構成 

 施設の居室内空間をその機能から 4 つに分類し、そ

の分布と居住方法との関係性をみると、単身型及びユ

ニット型の居室にはどちらも洗面所、シャワールーム

が計画される傾向にある。加えてキッチンも双方の過

半数で計画されているが、単身型とは異なり、ユニッ

ト型では調理を介したユニット内の交流に寄与してい

る ( 図 10)。

5-2. 居室構成と平面構成

 居室構成と基準階平面の構成の関係性については、

A、D、F の平面構成ではキッチンが居室内部に計画さ

れ や す く、B、Cの 平 面 構 成 で は キ ッ チ ン を 含 め 居 室

の機能が削減される傾向があり、基準階平面における

共 用 空 間 の 配 置 に よ っ て 違 い が み ら れ た。 ま たE、G

の平面構成では基準階平面に共用空間が存在しないた

め、居室内の機能を充実させる傾向にある ( 図 11)。

6. 居住方式による類型ごとの事例分析

6-1. 施設計画の背景

 ヒアリング調査回答内容を踏まえ、その項目を①施

設計画の背景、②主要教養空間の計画意図、③施設運

営の実態に分類し各事例を比較・考察すると、対象施

設のうち 4 施設が学生間の共同生活を通じた交流を目

的として施設を整備しており、いずれも単身・ペア型

ま た は ユ ニ ッ ト 型 の 居 住 方 式 を 採 用 し て い る。 ま た

Gs寮 が 対 人 関 係 に お け る ト ラ ブ ル の 回 避 を 目 的 と し

て居室内機能を充実させていることに対し、他の 5 施

設はいずれも居室機能の一部を共有化することで寮生

の生活範囲を拡げ、より多くの交流機会を生み出すこ

とが意図されている。

単身型

平面構成と施設規模の関係

単身・ペア型

ユニット型 総延床面積(㎡)

総延床面積(㎡)

A: 中廊下・中央配置 B: 中廊下・分散配置 C: 中廊下・端部配置 D: 片廊下・中央配置 E: 階段室・動線特化 F: 回廊・中央配置 G: 回廊・動線特化

5,000 10,000 15,000 20,000 30,000

単身型

断面構成と施設規模の関係

単身・ペア型

ユニット型

凡例 ①分棟集中 ②分棟・各階分散 ③各階分散 ④低層階集中 ⑤低層階集中・各階分散 5,000 10,000 15,000 20,000 30,000

(4)

表 4. 主要ヒアリング回答内容一覧 表 3. ヒアリング対象施設の概要

Gs 寮 Mm・Ke 寮 Ap 寮 Wi 寮 Hy 寮 Dm 寮

地上 7 階 2017

RC

単身・ペア型 単身・ペア型 1,415.53 ㎡

10,819.00 ㎡ 320 戸

指定なし 指定なし - 人 - 人 階数

建設年次

構造

地上 9 階 2014

RC

単身型 1,912.20 ㎡ 9,394.44 ㎡ 300 戸

指定なし 指定なし 280 人

20 人 建築面積 延床面積 計画戸数 居室形式 日本人 留学生 日本人 留学生

地上 5 階 2001

RC 2,884.79 ㎡ 18,499.57 ㎡ 696 戸

指定なし 指定なし 276 人 414 人

地上 11 階 2014

RC

ユニット型 3,700.00 ㎡ 30,654.62 ㎡ 872 戸

436 人 436 人 508 人 340 人

地上 6 階 2017

RC

ユニット型 1,463.25 ㎡ 5,817,18 ㎡ 203 戸

100 人 100 人 75 人 117 人

地上 5 階 2014

RC

ユニット型 1,000.01 ㎡ 2,666.61 ㎡ 136 戸

64 人 64 人 57 人 59 人

整備理由

居住方式の 決定理由 居室構成の

決定理由 ラウンジ

多目的室 イベント キッチン

大浴場 キッチン ダイニング

・遠方からの学生を対象として  整備

・対人関係のトラブル回避  のため

・共有空間でのトラブル回避

のため ・水周り , キッチンの共有化に よる居室外での生活を意図 ・水周り , キッチンの共有化に よる居室外での生活を意図 ・水周り , キッチンの共有化に よる居室外での生活を意図 ・水周り , キッチンの共有化に よる居室外での生活を意図 ・ユニット内における共同生活 を重視したため

・全寮生向けの交流スペース ・全寮生向けの交流スペース

・全寮生向けの交流スペース

・利用率は低い ・友人や家族の待合室として 計画

・学生の自主的活動を想定 ・自主室としての利用を想定 ・自主室としての利用を想定 ・自主室としての利用を想定 ・講義を行う目的で設置

・全寮生の交流の場として計画 ・一般学生も利用可能 ・全寮生の交流の場として計画 ・一般学生も利用可能

・イベント利用を想定 ・施設内でも利用率が高い ・イベント利用を想定

・施設内でも利用率が高い ・多目的室に併設・イベント時の利用を想定 ・多目的室に併設・イベント時の利用を想定

・学生の要望を反映 ・留学生の利用率が高い

・学生の要望を反映 ・日本人学生の利用率が高い ・留学生の利用率も低くない ・調理や食事を通じたフロア内

の交流を想定 ・調理や食事を通じたフロア内 の交流を想定 ・調理や食事を通じたフロア内 の交流を想定 ・調理や食事を通じたフロア内 の交流を想定 ・文化施設としての計画

・留学生の利用率が高い ・文化施設としての計画

・学生の国籍を問わず利用率 が高い

・設置なし ・設置なし

・設置なし

・設置なし

・設置なし

・設置なし ・設置なし

入居時の マッチング

男女の 住み分け

RA 及び 学生組織 生活上の 問題点

・特になし

・特になし

・異なる国籍や学年の学生を

ペアリング ・留学生と日本人をペアリング

・日本人と留学生の比率を

1:1 に指定 ・日本人と留学生の比率を 1:1 に指定 ・日本人と留学生の比率を 1:1 に指定

・2 5F 男性、6F 女性 ・1 2F 男性 ,3 5F 女性 , 6 7F 男女混合 ・1F 男性 ,2 4F 男女混合 , 5F 女性 ・3 7F 男性 ,8 11F 女性 ・1∼3F 男性 ,4 6F 女性 ・2 4F 男性 ,5F 女性

・各階ごとにグループが存在

・各階ごとに生活ルールを決定・RA60 名が寮を運営・RA が寮則の決定 , 改定を実施

・RA33 名がサポート役 ・共同生活のアドバイスや

イベント企画運営を実施

・RA6 名がサポート役 ・共同生活のアドバイスや

イベント企画運営を実施

・リーダー 8 名がサポート役 ・共同生活のアドバイスや

イベント企画運営を実施 ・騒音への苦情が最多

・留学生のゴミ分別意識が低い ・学生間の交流が少ない

・留学生の言語能力によっては 意思疎通に障害がみられる ・寮則に馴染めない留学生

・喫煙マナーの低い学生の存在 ・料理の匂いへの苦情

・ユニット内の騒音への苦情 ・日本文化に馴染めない留学生 ・英語が使用されない傾向

・ユニット外での国際的な

交流が希薄 ・騒音への苦情が最多・ユニット内の清掃の分担 ・ペアでの共同生活を重視

・高年次学生の生活を考慮し  一部単身型を採用

・単身型施設として整備した

のちペア型施設を増築 ・共同生活の効果を高めるため・先行事例や人数比を考慮 ・共同生活の効果を高めるため・先行事例や人数比を考慮 ・共同生活の効果を高めるため・先行事例や人数比を考慮 ・共同生活を通して学生同士が

交流できる施設として整備 ・共同生活を通して学生同士が 交流できる施設として整備 ・共同生活を通して学生同士が 交流できる施設として整備 ・共同生活を通して学生同士が

交流できるグローバル人材育 成施設として整備

・大学の教育プログラム実践の 場所として計画

施設名

項目 Gs 寮

単身型 単身・ペア型 ユニット型

Mm・Ke 寮 Ap 寮 Wi 寮 Hy 寮 Dm 寮

では騒音に関連するものが指摘される傾向にあるが、

寮 生 の 言 語 能 力 や 多 国 籍 ゆ え の 料 理 の 匂 い な ど の 混

住寮の特徴を顕著に示すものもみられた。

7. まとめ

  本 研 究 に よ り、 以 下 の こ と が 明 ら か に な っ た。1)

混住寮では 3 つの居室構成がみられ、近年は共同生活

を 重 視 し た 居 室 構 成 が 採 ら れ る こ と。2)国 内 学 生 と

留学生の定員割合に一定の傾向がみられ、近年建設さ

れ た 施 設 で は そ の 比 率 が 等 し く な る こ と。3)施 設 の

平面構成及び断面構成は多様化しており、施設規模に

応じて採られる構成に一定の傾向がみられること。4)

近 年 で は 特 に 施 設 入 寮 者 全 体 を 対 象 と し た 多 目 的 な

利用が可能な共用空間が計画される傾向にあること。

6)基 準 階 で は ダ イ ニ ン グ キ ッ チ ン や 談 話 室 が 日 常 的

な学生の交流拠点として重視されており、それらの配

置 方 法 が 居 室 構 成 に 影 響 を 与 え て い る こ と。7)施 設

設 置 の 背 景 に は 共 同 生 活 を 通 じ た 学 生 間 の 交 流 へ の

期 待 が あ り、 そ の 上 で 多 様 な 学 生 に よ る 混 住 が 重 視

さ れ て い る こ と。8)一 方 で、 共 同 生 活 を 通 し て 言 語

や文化の違いがトラブルに発展する事例もあること。

  今 後 は よ り 詳 細 な 施 設 の 運 営 方 法 や 学 生 の 施 設 の

利用実態を捉え、分析を深化させる必要性がある。

率(

%)

洗面所 シャワールーム衛生トイレ ランドリー キッチン調理 リビング団欒

休息 居室構成

施設数 14 7 13 4 8 4 3 3 11 8 1 10 40

20 60 80 100

居住方式

居室内空間の分布

居室構成と居住方式の関係 休息

衛生

洗面所

凡例 洗面所 + トイレ+シャワー

洗面所 + トイレ+ランドリー 洗面所 + トイレ+シャワー+ランドリー

※5 施設は 2 つのタイプに該当

洗面所 + トイレ

9 9 2 2 8 2 7

10

39 3 26 休息

調理 休息衛生団欒 休息 団欒 合計

合計

調理 団欒 休息衛生

調理 休息 衛生調理

単身型

単身・ペア型

ユニット型 6 2 6 1 3 2 2 2 1 3 1 2 6 2 単身型 ユニット型 凡例

休息 睡眠や勉強など、個室で基本的に行われる行動

洗面や入浴などの身体の衛生面を維持するために行われる行動 自炊を目的として食事を作る行動

休息と区別し、くつろぐなどの団欒を目的とする行動

寝室

キッチン リビングルーム 洗面所 , シャワールーム , トイレ , ランドリー

機能 行動内容 該当諸室

衛生 調理 団欒

表 2. 居室内空間の機能

図 10. 居室構成と居室内空間の関係

図 11. 基準階平面と居室構成の関係

A B C D E F G

単身型

基準階平面構成 居住方式 内訳

単身型

単身型 単身型

単身型 単身・ペア型

ユニット型

ユニット型

ユニット型

ユニット型

ユニット型 施設数 中廊下・ 中央配置

中廊下・ 分散配置

中廊下・ 端部配置 片廊下・ 中央配置 並列・ 動線特化

回廊・ 中央配置

回廊・ 動線特化

2

0 4 6 8 10 12 14 16 18

休息・衛生 休息

休息・調理 休息・衛生・団欒

凡例

休息・衛生・調理 休息・調理・団欒

休息・衛生・調理・団欒 謝辞

本研究にあたり、各大学の関係者の方々、ならびに各学生寮の方々に多大なるご協力をいただきました。

ここに記して深謝いたします。 註釈

1)2013 年に国交省が高密度のシェアハウスの規制について公的見解を示し、シェアハウスが施設形状 によっては建築基準法上の寄宿舎に該当するとした。

2)SGU 事業採択申請書内において混住寮の具体的な整備方針を提示する項目が盛り込まれた。 参考文献

1) 独立行政法人日本学生支援機構 (JASSO):「平成 28 年度外国人留学生在籍状況調査結果」2017

2) 新留達也 他 3 名『東京都市圏の国際化推進大学を対象とした留学生寮の研究』日本建築学会大会 学術講演梗概集 2014

3)鈴 木 在 乃『 日 本 の 大 学 に お け る 留 学 生 宿 舎 提 供 の 現 状 と 課 題 』 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集

2010

表 4. 主要ヒアリング回答内容一覧表 3. ヒアリング対象施設の概要Gs 寮Mm・Ke 寮Ap 寮 Wi 寮 Hy 寮 Dm 寮地上 7 階2017RC単身・ペア型 単身・ペア型1,415.53 ㎡10,819.00 ㎡320 戸指定なし指定なし- 人- 人階数建設年次構造地上 9 階2014RC単身型1,912.20 ㎡9,394.44 ㎡300 戸指定なし指定なし280 人20 人建築面積延床面積計画戸数居室形式日本人留学生日本人留学生定員入居数地上 5 階2001RC2,884.79 ㎡18,499

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