編 集 後 記
論文には 「美 しさ」が必要である。見た 目の美 しさ、言葉の美 しさ、論の美 しさである。 この美 しい論文の結晶が学問を形成 し、科学 として確立を促す。
突 き詰めてい くと、美 しさの積み重ねが哲学なのだ といえよ う。そ もそも、人 は美 しい ものに惹かれ、美 しいものに希望を抱 き、美 しいものになろ うとす る。
そ う考えると、健全な社会 と人の行動は、美 しさによって結ばれ るとい う一 面 も持つ。それゆえ、大学で 「美 しさ‑哲学」 を教 える意義があろ う。
さて、経営学を学ぶ意義は、社会の縮図 としての企業 を研究対象 とし、企業 を通 じて普遍的な人お よび価値観 を明 らかにす るとい う使命 にある。つま り、
企業は社会を写す鏡 なのであるか ら、あらゆる角度か ら企業を検討す ることに、
科学 としての経営学の役割が存在す る。企業行動 を通 じた美 しさを最高度に探 究す ることによ り、社会の健全な発展に寄与 しよ うとす るのである。
しか し、近年の企業行動 を見ていると、人お よび企業の欲望によって、企業 経営の美 しさが失われているように感 じる。連 日報道 される企業不祥事は、人々 の生命 と財産を脅かす事象が多 く含まれている。 このことが、今 日の経営学の 最大の課題である企業不祥事‑の対応 を求め られ、企業倫理の確立を急がせ る 理 由となってい る。理論の世界だけではな く、実践の世界で も美 しさが求め ら れていることを痛切に感 じるのである。
今号にも多 くの美 しい玉稿 をお寄せ頂いた。最 も早 く拝読す る読者 として嬉 しく思 う。 このよ うな研究成果が、社会の健全な発展 に寄与す ることを確信 し つつ、編集作業を終 えよ うとしているO国際経営研究所 には、50名 を越 える研 究員が所属 している。今後 も、本紀要がよ り一層の研究発表の場 となることを 期待 している。
今までは論文を書 くことだけに集 中 してきた私であるが、編集作業 を通 じて 様々なことを勉強 させて頂いた。 なかでも、国際経営研究所で美 しさについて 談義 している時に、 「見えない美 しさ」 とい う考 えも しなかった概念 を発見 し た。 これは、興味深 く、そ して簡単には理解す ることのできない重い言葉であ る。 この概念は、美 しさを追求 した研究 ・教育活動 を 目標 とす る私に、大きな 転換 を迫 るかもしれない。
(『国際経営 フォーラム』編集委員 小島大徳) 233