電流共振形コンバータの原理と設計法
2016年07月25日
群馬大学 客員教授
内容
Ⅰ.第3章 共振形コンバータが開発された背景
Ⅱ.第6章 共振絶縁形コンバータの原理
6.2 電流共振形コンバータ. . . ..151 [1] 電流共振形コンバータの動作原理. . . .. . .151 [2] トランスの励磁電流と最大磁束密度. . . ..152 [3] 1 周期間の動作. . . 161 [4] 出力電圧の制御. . . .166 [5] 電流共振形コンバータの特徴. . . ..171 <第3章、第6章 演習問題>Ⅲ.第11章 電流共振形コンバータの設計
11.1 仕様の決定. . . 254 11.2 トランスの巻線比n の決定. . . 254 11.3 昇降圧比G の計算. . . 256 11.4 Q 値の下限値の確認. . . .256 11.5 交流出力抵抗の計算. . . .258 11.6 電流共振コンデンサとQ 値の計算. . . 258 ※本パワーポイントは「スイッチング電源の原理と設計」より抜粋した内容になっています。内容
Ⅲ.第11章 電流共振形コンバータの設計
11.7 励磁インダクタンスと電流共振コンデンサの決定. . . . 259 11.8 トランスのコアサイズの決定. . . 261 11.9 トランスコアの最大磁束密度の確認. . . 264 11.10 トランスの巻数の決定. . . 266 11.11 トランスのギャップの決定. . . 268 11.12 巻線電流の実効値の計算. . . 270 11.13 トランス巻線の線径の決定. . . 273 11.14 ボビンに巻線が巻けるかどうかの確認. . . 274 11.15 出力コンデンサの決定. . . 275 11.16 出力トランジスタの選定. . . 276 11.17 出力ダイオードの選定. . . 277 11.18 最大効率を得るためには. . . 279 [1] トランスの磁束密度と損失. . . 279 [2] トランスのリーケージインダクタンスと損失. . . 282 <第11章 演習問題>5
背景
表2.1 シリーズレギュレータとスイッチングレギュレータの比較 シリーズレギュレータ スイッチングレギュレータ 効率 低い 30~80%程度 高い 85~97%程度 大きさ・重さ 大きい,重い 小型,軽い 部品点数 少ない 多い 安定度 良好 普通(シリーズレギュレータより劣ります) 変動率S 小さい シリーズレギュレータより大きい ノイズ ない 大きい(放射ノイズ,伝導ノイズともに大きい) 出力電圧 入力電圧以下 入力電圧以上も可能 出力 インピーダンス 小さい シリーズレギュレータより大きい 出力リプル電圧 小(10mV以下) 大(大きさは出力電流と出力コンデンサのイン ピーダンスで違ってきます) 過渡応答速度 早い シリーズレギュレータより遅い(減衰時定数:降 圧形で200μs程度) ワイドレンジ入力対応 困難 可能 信頼性 部品点数が少なく,高い 普通(部品点数が多い分シリーズレギュレータより劣る) 絶縁 困難(大きな電源トランスが必要になります) 容易 o i o E D D E E S 2 4 2 1 R h R E E S fe i o 降圧形 4 2 1 R h r R Z fe o o o R r D E Z Z 2 1 1 降圧形 5動作周波数を上げると一周期間にスイッチングレギュレータが扱う電力量(エネルギー)Wが 減少するためにスイッチングレギュレータを小型化することができます。 式(3.1)はリンギングチョーク形コンバータが一周期間にトランスの二次側負荷に供給する 電力量(エネルギー)Wを意味しており,周波数が高くなると電力量(エネルギー)Wが小さく なります。 給される電力量 一周期間に二次側に供 出力電力 トランスの電力効率 のピーク値 を流れる励磁電流 クタンス トランスの励磁インダ : , : , : : , : ) 1 . 3 ( 2 ) ( o 2 W P i L I L f P T P I L J W o P P P P o P P
背景
図A3.1 動作周波数fに対する 一周 期間あたりの電力量W ) (J W ) (kHz f背景
ます。 はオン抵抗を示してい の実効電流, は はスイッチング損失, ただし, SW Q rms Q on on rms Q f P QP r P Q on rms Q f P QP r P Q on SW Q R i i P R i t I V t I V f R i t I V t I V T P P P 2 2 6 ) 46 . 2 ( 6 1 しかし,スイッチング回数が増えるためにスイッチング損失が増えてしまい,実際には温 度上昇の面から小型化をすることができません。 ◆リンギングチョーク形コンバータにおけるスイッチの損失PQ ) (W PQ ) (kHz f 図A3.2 動作周波数fに対する スイッチの損失PQr t tf on T Toff t T Q Q i v , r P Pon Pf P I QP V Q V P I Q P 0 0 t 0 Q v Q i iQ:スイッチ電流,VQ:スイッチ電圧,PQ:スイッチの損失,その内のPon:オン期間の損失, Pr及びPf:立ち上がり時間及び立下り時間のおけるスイッチング損失 図2.28 リンギングチョーク形コンバータの出力トランジスタ損失
背景
voltage Ringing背景
そこで考案されたのが共振形コンバータになります。共振させることにより波形を正弦波状に し,電圧または電流がゼロのところでターンオンまたはターンオフさせます。
この動作をZVS(zero voltage switching)またはZCS(zero current switching)といいますが, スイッチング損失を大幅に小さくすることができます。その結果,動作周波数を上げスイッチ ングレギュレータを小型化できるようになりました。 0 Q Q
i
v ,
t
ゼロクロスでスイッチさせる。 ZVS/ZCS 図3.8 ZVS及びVCSの説明図
(2.46) 6 1 2 on rms Q f P QP r P Q on SW Q V I t V I t i R T P P P イッチの損失 矩形波コンバータのス図3.9 非共振形(矩形波)コンバータの抵抗負荷 におけるスイッチの電流-電圧の軌跡
背景
ターンオンするときは電流の増加とともに電圧が減少し,逆にターンオフする ときは電流の減少と共に電圧が増加する特性を示します。どちらも電流-電 圧の軌跡の内側の面積は大きく,大きな損失が発生します。(a) 電圧共振形コンバータ (b) 電流共振形コンバータ 図3.10 共振形コンバータの抵抗負荷におけるスイッチの電流-電圧の軌跡 スイッチが完全にオフするまでに電圧 が少し上昇するためいくらか損失が発 生します。 完全にオンするまでにある程度電圧が加わっ た状態で電流が上昇するため,いくらか損失が 発生します。
背景
12 ノイズ(伝導ノイズおよび輻射ノイズ)も少なくすることができます。電流共振形コンバータで はメインスイッチがターンオン・オフする際にLCの共振を利用してスイッチをZVSさせます。 このため,ターンオン時のサージ電流はなくなり,ターンオフ時もスイッチの電圧が一定の 傾きをもって上昇するために高周波のサージ電圧(振動電圧)は出にくく,ノイズの発生は 少なくなります。
背景
輻射ノイズ ノイズ 伝導ノイズ ノーマルモードノイズ コモンモードノイズ ノーマルモードノイズ 図13.1 ノイズの分類 12 t i I P i 0 図13.10 スイッチオン時のサージ電流 (矩形波コンバータ) 図6.19 電流共振形コンバータの動作波形 (スイッチの両端電圧) 2 Q Ton: 1 Q Ton: 2 Q off Turn : 1 Q off Turn :第6 章共振絶縁形コンバータ
6.2 電流共振形コンバータ
14 14 Ci:電流共振コンデンサ、Cv:電圧共振コンデンサ ・ハーフブリッジ構成 ・電流共振コンデンサと電圧共振コンデンサが付いている。 ・二次側は全波整流。 ・Q1とQ2が交互にDuty50%でオンオフする。 ・出力電流(励磁電流)が共振し正弦波になる
・Q1,Q2はZVS動作している。 ZVS : Zero Voltage Switching ・出力電圧はFM制御。
・効率が比較的に良く、ノイズも少ない。
ie
[1]電流共振形コンバータの動作原理
図6.9 電流共振形コンバータの構成
SMZ ( Soft-switched Multi-resonant Zero-cross)コンバータとも呼んでいます。
ie ie
・図6.9において,電流共振コンデンサCiの容量が動作周波数に対して十分に大きく、交流に 対しては短絡状態にあるとすると,スイッチQ1とQ2の時比率が50%で等しいために,ここに は入力電圧の1/2の直流電圧Ei / 2が生じます。 ・電流共振コンデンサCiの容量をある程度小さくするとトランスの励磁インダクタンスLPと電流 共振コンデンサCiが共振し,共振電圧ΔVciがCiに発生します。 ・励磁インダクタンスLPには,電圧( Ei / 2+ΔVciεjπ)を励磁インダクタンスLPとリーケージ インダクタンスLS1とでインピーダンス分割した電圧VLPが発生します。このときの励磁イン ダクタンスに発生する電圧を式(6.22)に示します。 ダクタンス :一次リーケージイン ンス, :一次励磁インダクタ :共振電圧, 電圧, :励磁インダクタンス 電圧, :電流共振コンデンサ 1 1 1 ) 22 . 6 ( 2 2 2 S P Ci LP Ci j Ci i S P P Ci i i S P P LP Ci i Ci L L V V V V E L L L V E E L L L V V E V 共振電圧
[1]電流共振形コンバータの動作原理
[1]電流共振形コンバータの動作原理
・式(6.22)において,動作周波数がインダクタンス(LP+LS1)と電流共振コンデンサCiの共振周 波数f1付近になると,共振電圧ΔVciεjπが最大になるためにV LPも最大になります。 ・また,動作周波数が非常に高くなると電流共振コンデンサCiが短絡状態になるために,共振 電圧ΔVciεjπがゼロになりV LPは最低値になります。このときの出力電圧はVLPに比例して 変化するために,動作周波数に対して図6.10のように変化します。電流共振形コンバータ はこの特性を利用して出力電圧を周波数制御します。 図A6.1 一次励磁インダクタンスに発生する電圧 0 1 2 P S P i L L L E T LP V 2 / T 1 S P P j Ci L L L V t
LP LS
Ci f 1 1 2 1 ・fが動作周波数を,f1がインダクタンス(LP+LS1)と電流共振コンデンサCiの共振周波数を意 味しています。 ・出力電流があるときは,一周期間の一部の期間で出力ダイオードが導通し一次励磁インダ クタンスが短絡されるために,共振周波数は高くなります。 図6.10 電流共振形コンバータの出力特性 共振はずれ領域 Q1,Q2に貫通電流が流れ破壊する。
LP LS
Ci f 1 1 2 1 f0 i SC L f 2 1 0 出力電流があるとき 出力電流がないとき[1]電流共振形コンバータの動作原理
i E P L 1 S L i C e i Ci V LP V 1 LS V LS1は一次リーケージインダクタンスを,LPは一次励磁インダクタンスを,Ciは電流共振コンデンサを,ie は励磁電流を意味しています。 図6.11 電流共振形コンバータのQ1オン期間における等価回路 (出力ダイオードがオフ状態のとき)
s C i s I i s sI L L s E V V i dt i C dt di L L E i e e e e S P i LP Ci e e i e S P i 0 0 , , ) 23 . 6 ( 1 11 . 6 1 1 1
を順に求めます。 ラプラス変換をして, ちます。 において次式が成り立 図[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
2 sin
0 cos (6.25) 1 ) 24 . 6 ( 1 2 0 2 1 1 0 1 2 1 1 0 2 1 1 1 0 2 , 2 ) 0 ( 0 1 1 1 1 1 1 1 2 1 2 2 1 2 1 1 2 1 1 1 2 1 1 2 1 2 1 1 1 1 1 t i t E L L i i C L L f i s s E s L L i C L L s s C L L C L L E C L L s C L L C i L L s E s C L L s C s I s C s C L L s I s C s L L s I s C s I s sI L L i L L s E s E s V s C i e i S P e e i S P e i S P e i S P i S P i S P i i S P i S P i e S P i i S P i e i i S P e i S P e i e e S P e S P i i Ci i e は下式になります。 スの励磁電流 です。以上よりトラン ただし, 。 以下のようになります より ここで,[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
f f f f t f f E L L t t f f E L L i f f f f f f f f f f t f f f f t E L L t T T E L L t E L L t i t E L L i i f f f f E L L T T E L L i i T i T E L L T i i S P i S P e i S P i S P i S P e i S P e e i S P i S P e e e i S P e 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 sin cos 1 tan ) 27 . 6 ( cos cos 1 2 2 1 sin sin cos cos cos 1 2 2 1 cos 1 2 cos 1 cos 1 2 cos 1 sin 1 ) 26 . 6 ( cos cos 1 sin sin 2 1 cos 2 / cos 1 2 / sin 2 1 sin 2 1 cos 0 sin 2 1 cos 1 sin 2 1 2 / cos 1 2 / sin 2 1 ) 0 ( ) 0 ( 2 / cos 0 2 / sin 2 1 2 ただし, これを代入します。 となり ここで, 。 は次のようになります が得られ, より また,[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
sin
(6.30) cos 1 2 2 sin cos 1 sin cos 2 ) 29 . 6 ( sin cos 1 sin cos 2 ) 28 . 6 ( sin cos 1 2 2 sin 2 / cos 1 2 / sin cos 2 2 2 2 1 ) 0 ( 0 sin cos 1 sin cos 2 1 1 , , 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
t f f E L L L t f f f f t E L L L V V L L L V t f f f f t E V E V V V t f f E E t T T t E E V E K E K E K E C L L V t K t f f f f t E C L L dt i C V V V V i S P P i S P P LS LP S P P LP i Ci i LS LP LP i i i i Ci i i i i i S P Ci i i S P e i Ci LS LP Ci は以下となります。 また, になります。 より, で を求めます。 次に[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
で になります。 ときに, f f f VLP f 1 1 cos 1 0[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
以上で求めた励磁電流と励磁電圧(励磁インダクタンスの電圧) 及び電流共振コンデンサ電 圧はQ1のオン期間における電圧・電流です。スイッチQ2のオン期間は図6.12に示す等価回 路になります。 Q2がオンすると電流共振コンデンサ両端の直流電圧Ei/2と共振電圧が励磁 インダクタンスに加えられることになり,励磁電圧はQ1のオン期間とは逆極性になります。 また,励磁電流も逆方向に流れることになります。したがって,一周期間の共振コンデンサ の電圧,励磁電圧,励磁電流は図6.13のようになります。 P L 1 S L i C e i 1 LS V LP V Ci V 図6.12 電流共振形コンバータのQ2オン期間における等価回路 (出力ダイオードがオフ状態のとき)23 図6.13 電流共振形コンバータの励磁電流と励磁電圧及び電流共振コンデンサ電圧 23
[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
Ci V Ci V 2 i E 0 LP V LP V 2 i E 0 2 i E 0 e i 0 t T/2 T 1 T T2 オン期間 オン期間 2 2 1 1 : : Q T Q T 1 LS LP V V j Ci V ΔVCi:共振電圧 電流共振 コンデンサ電圧 励磁電圧 励磁電流式(6.30)は励磁電圧を表していますが,動作周波数fがf=f1のときに最大になり,f=∞で最 小になります。このために,昇降圧比Gは図6.10のように変化します。出力電流があると きはダイオードが導通し,二次リーケージインダクタンスが励磁インダクタンスに並列に入 るために共振周波数は高くなります。図6.14を参照してください。このときの共振周波数f0 は式(6.31)となります。なお,式中のLS2´は一次換算した二次リーケージインダクタンスで す。ダイオードが導通するのは一周期間の一部で,したがって, 一次巻線に発生する電 圧VLPはf1より高くf0より低い動作周波数で最大になります。
[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
i E P L 1 S L i C ei
Ci V LP V 1 LS V 2 S L n i iD D / LS1:一次リーケージインダクタンス,LS2´:一次換算の二次リーケージインダクタンス, LP:一次励磁インダクタンスを,Ci:電流共振コンデンサを,ie:励磁電流を, iD´(=iD/n):一次換算のダイオード電流 図6.14 電流共振形コンバータのQ1オン期間における等価回路 (出力ダイオードが導通状態で出力電流が流れているとき)[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
) 31 . 6 ( 2 1 1 1 0 2 2 1 0 i S i S i S P S P S C L f C L C L L L L L , ◆動作波形(無負荷時の励磁電流と励磁電圧)の計算:シミュレーションと合致する。
A i t t t t t t t f f f f t E L L i f f s rad kHz C L L f kHz f F C H L H L V E e i S P e i S P i S P i 15 . 1 1455 . 1 0 cos 256 . 2 sin 51 . 0 cos 672 . 0 1 74 . 0 sin 51 . 0 cos 735 . 0 cos 1 735 . 0 sin sin 10 260 10 0 . 377 50 cos cos 1 sin sin 2 1 735 . 0 6 . 81 60 / 10 0 . 377 60 10 07 . 60 6495 . 2 2 10 027 . 0 260 2 10 2 1 6 . 81 , 027 . 0 , 50 , 210 , 50 2 / 100 2 / 1 1 1 1 1 1 6 3 1 1 1 1 1 1 1 3 1 3 6 6 1 1 1 , とします。[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 0 1 2 3 4 5 6 7 ) ( s t ) ( A ie s T/ 2 6.13 図6.15 励磁電流の波形(計算結果)
t t
t t
E t f f f f t L L L E V t t t t t t t f f f f t E E V i S P P i LP i i Ci 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 sin 256 . 2 cos 39 . 40 sin 256 . 2 cos 50 210 210 2 sin cos 1 sin cos 2 sin 256 . 2 cos 50 100 sin 672 . 0 1 74 . 0 cos 50 100 sin 735 . 0 cos 1 735 . 0 sin cos 50 100 sin cos 1 sin cos 2 [2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
計算結果を次ページに示します。[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 0 1 2 3 4 5 6 7 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 1 2 3 4 5 6 7 ) (V VLP ) (V VCi ) ( s t ) ( s t s T/26.13 図6.16 電流共振コンデンサ励磁電流の波形(計算結果)
f f f f G G L L L E f f f f L L L E f f f f L L L E f f f f L L L E T T L L L E T T L L L E V T T T T T L L L E T T T T L L L E T V V f f f f E L L i i S P P i S P P i S P P i S P P i S P P i S P P i LP S P P i S P P i LP LP i S P e e 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1 1 2 1 1 1 2 1 1 max 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 max 1 1 1 1 max cos 1 2 cos ) 33 . 6 ( cos 1 2 cos 2 cos 1 1 2 cos 2 2 sin 1 2 cos 2 4 / sin 1 4 / cos 2 4 / sin 2 2 4 / cos 2 2 4 / sin 4 / sin 2 1 1 4 / cos 4 / sin 2 4 / cos 2 4 / sin 2 / cos 1 2 / sin 4 / cos 2 ) 4 / ( ) 32 . 6 ( cos 1 sin 2 1 ) 0 ( ただし, また,励磁電流と励磁電圧の最大値は式(6.26)にt=0を、式(6.30)にt=T/4を代入すること により求められます。[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
/2
1 sin
/4
cos 4 / cos 4 / sin 2 2 / sin 1 2 1 1 1 1 T T T T T 30 30
[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
出力電流が流れていないときの出力電圧Eoは,トランスの一次巻線の巻数をN1,二次巻線の 巻数をN2,巻数比をn(=N1/N2)とすると次のようになります。 V E V E G kHz f kHz f N N H L H L V E G L L L n E V N N E o o S P i S P P i LP o 6 . 24 22 . 1 260 210 4 100 6 . 24 1.22 60 6 . 81 5 20 50 210 100 ) 34 . 6 ( 0 1 2 1 1 0 1 max 1 2 ン結果と一致します。 となりシミュレーショ , = すると, と , , , , , , 0 1 2 3 4 5 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 f f 0 G 式(6.34)のG0は動作周波数に対して図6.17のように変化し,共振周波数f1に近づくにつれて 大きくなります。 図6.17 動作周波数に対するG0の変化[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
◆励磁電流と最大磁束密度およびトランスの一次巻線巻数の関係 鎖交する磁束が時間に対して変化するとき,閉回路に電流が流れる。このときに一種の 起電力が誘起されるものと考えられ,これを誘導起電力,電流を誘導電流という。この ときの誘導起電力は誘導電流が鎖交する磁束の変化を妨げるような向きに発生し,その 大きさは鎖交する磁束の時間的変化の割合に等しい。これをファラデーの法則という。 は導体の巻数である。 。ただし N E dt d N e , 電力が発生する ぎの法則に従う誘導起 が減少したときに右ね ) 1 . ( (a)磁束がφからφ+Δφに増加したとき (b)磁束がφからφ-Δφに減少したとき 図E.2 磁束の変化と誘導起電力の方向 + i e, + i e, i e, i e,[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
) 1 . 6 ( A dt di L e コイルなどにおいて電流が時間に対して変化すると誘導起電力が発生する。この性質を インダクタンスという。このときにインダクタンスに発生する電圧は以下の式になる。
V ,i A ,L H ,t sec e dt di L e i
も同様です。 る電圧の関係について 次巻線に加えられてい のコアを通る磁束と一 ンス とが分かります。トラ の積分値に比例するこ に加えられている電圧 つまり,磁束はコイル が求められる。 磁束 が成り立ち,これより 以上より, Wb dt e N d N dt e d dt d N dt di L e
1 図A6.2[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
励磁電流が最大にときにトランスのフェライトコアが飽和しないためには以下の式が成り 立ち,これから一次巻線の最低限必要な巻数を求めることができます。
) 37 . 6 ( 2 1 1 2 1 2 1 ) 36 . 6 ( cos 1 sin 2 1 ) 35 . 6 ( 1 ) ( ) / ( 2 0 1 1 2 0 max max 1 1 1 1 max 1 max max max 1 1 max 1 max max 1 max 2 2 max
T LP T LP P eP P e P e P LP e P LP e P i S P P e e e P e P e P e e P e P e dt V A B N N dt V i L i L i L dt V i L V dt di L f f f f E L L L A B N A B i L i L N N i L edt N A B i L Li dt e Ldi edt dt di L e N i L m A orTesla m Wb B す。 は以下のようになりま ると となり,これを代入す を求めると となります。これより より ここで, :一次巻線の巻数 :励磁電流の最大値, , :励磁インダクタンス , :コアの実効断面積 , 最大磁束密度 :コア材の使用できる 1 1´ 2 2´ i コア 巻線 漏洩磁束 i 図13.14 スイッチングトランスのリーケージフラックス 式(6.36)はリーケージフラックスはコアを通らないとしたときの等式です。
[2] トランスの励磁電流と最大磁束密度
(6.37) 2 1 1 ) 36 . 6 ( cos 1 sin 2 1 ) 37 . 6 ( ) 36 . 6 ( 2 0 1 max 1 1 1 1 max 1
T LP LS e i e dt V V A B N f f f f E A B N は以下となります。 と式 ,式 がコアを通るとすると リーケージフラックス ◆参考一周期間の動作は表6.2に示すように6つに分けられる
1 2 3 4 5 6
Q1 on on off off off off Q2 off off off on on off D1 on off off off off off D2 off off off on off off 表6.2 電流共振形コンバータの動作状態
注)動作状態3,6:デッドタイム期間, 電圧共振期間
[3] 一周期間の動作
36 36 2 t 0 t t1 t3 T 0 0 0 0 0 Ei/ 2 0 0 VG1 VG2 VCi VLP ie+iD/n iD=iD1+iD2 VDS1 VDS2 Ei Ei 4 t t5 ZVS ZCS ZVS 2 1 G G V V 2 1 2 1 / DS DS D D D D e LP Ci V V i i i n i i V V 図6.19 電流共振形コンバータ の動作波形 t0 t1 t2 t3 t4 t5 Q1 on off Q2 on off 参考:表A6.1 電流共振形コンバータのZVS動作点
[3] 一周期間の動作
37 (a) 動作状態1 (b) 動作状態2 (c) 動作状態3 (d) 動作状態4 37
[3] 一周期間の動作
図6.18 電流共振形コンバータの各動作状態における等価回路(e) 動作状態5 (f) 動作状態6 図6.18 電流共振形コンバータの各動作状態における等価回路 LS1:一次リーケージインダクタンス,LS2´:一次換算の二次リーケージインダクタンス,LP:一次励磁 インダクタンス,Ci:電流共振コンデンサを,ie:励磁電流を,iD/n:一次換算のダイオード電流, C´,Ro´:一次換算のコンデンサと出力抵抗 電流の向きは実際に流れている方向に書いてありますが,動作状態1と動作状態4の期間において, 電流(ie+iD/n)が図の方向と逆に流れる期間があります。ご注意ください。
[3] 一周期間の動作
/2
( / ) (6.40) ) / ( 2 / 0 ) ( ) 39 . 6 ( ) / ( 2 / ) / ( 2 / ) / ( ) ( ) 38 . 6 ( 2 1 1 2 1 1 4 3 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 dt n i d L V E L L L dt n i d L V E L L L t t V dt n i d L V E L L L dt n i d L V E L L L dt n i d L V E L L L t t V C L Z D S Ci i S P P D S Ci i S P P LP D S j Ci i S P P D S Ci i S P P D S Ci i S P P LP i S ~ ~ ◆動作状態1,4 スイッチがオン状態にあります。励磁インダクタンスLP及びリーケージインダクタンスLs1, LS2´と電流共振コンデンサCiが共振しており,ダイオードを通して負荷に電力を供給して います。このとき,ダイオード電流iD1/nのピーク値はリーケージインダクタンス(LS1+ LS2´)に よって制限されます。励磁インダクタンスの電圧VLPは直流電圧に共振電圧が加算される ために,出力電圧は共振電圧により昇圧されることになります。この期間の共振周波数ω0, 共振回路のインピーダンスZ0,励磁インダクタンスの電圧VLPは以下のようになります。 なお,式中のΔVCiは共振電圧を意味します。[3] 一周期間の動作
2 2 1 0 (6.31) 1 S P S P S S i S L L L L L L C L ただし, 無負荷時よりもこの分 低下する。◆ 動作状態2,5 励磁インダクタンスLP及びリーケージインダクタンスLs1と電流共振コンデンサCiが共振して おり,出力電圧が共振電圧(ΔVci)の分,昇圧されます。この期間の共振周波数ω1,共振 回路のインピーダンスZ1,励磁インダクタンスの電圧VLPは以下のようになります。
0 /2
/2
(6.43) ) ( ) 42 . 6 ( 2 / 2 / ) ( ) 41 . 6 ( 1 1 5 4 1 1 1 2 1 1 1 Ci i S P P Ci i S P P LP j Ci i S P P Ci i S P P Ci i S P P LP i S P V E L L L V E L L L t t V V E L L L V E L L L V E L L L t t V C L L Z ~ ~ [3] 一周期間の動作
◆動作状態3,6 スイッチQ1,Q2はオフ状態にあります。励磁インダクタンスLP及びリーケージインダクタンスLs1 と電流共振コンデンサCi及び電圧共振コンデンサCVが共振しており,これを利用してスイッチ Q1,Q2をZVSさせることができます。この期間の共振周波数ω2,共振回路のインピーダンスZ2 ,励磁インダクタンスの電圧VLPは以下のようになります。ただし,CV<<Ciです。
(6.44), (6.45) 1 1 1 2 1 1 2 2 V S P V S P V i V i S P C L L Z C L L C C C C L L
1 1
(6.24) 1 i S P L C L 次に昇降圧比Gを交流近似解析により求めます。トランスの一次巻線には0~T/2 期間は Ei/2 が,T/2~T 期間は−Ei/2 が加わっており,この電圧が入力電圧になります。この矩形波 電圧をフーリエ展開して基本波を取り出すと,振幅が2Ei/π の交流電圧になります。図11.1 を参照してください。交流近似解析では,このように矩形波電圧を交流に変換し,交流に対 する等価回路から昇降圧比を近似します。 (a)入力電圧の交流変換 図11.1 入出力電圧の交流への変換 0 2 i E T i V i im E V 2 2 / T t E t V V t t t E t t t E V i im i i i i sin 2 sin 5 sin 5 1 3 sin 3 1 sin 2 5 sin 5 1 3 sin 3 1 sin 4 2 ります。 ,入力電圧は以下とな 基本波だけを考えると 。 ます 展開でき 以下のようにフーリエ な矩形波電圧とすると 図のよう 下 入力電圧を
[4] 出力電圧の制御
電流共振コンデンサを無 限大としたときの入力電圧 図A6.4先ず図6.9より交流近似解析における等価回路を求めると下図のようになります。 P L 1 S L i C AC o R i V o V 1 2 S S L L i C AC o R i V o V S L P L (a) 等価回路1 (b) 等価回路2 図6.20 電流共振形コンバータの交流近似解析における等価回路 交流出力抵抗 クタンス 二次リーケージインダ 一次側換算の クタンス 一次リーケージインダ 共振コンデンサ 励磁インダクタンス 交流出力電圧 交流入力電圧 : : : : : : : AC -2 1 o S S i P o i R L L C L V V 詳細は次ページ以降を 参照してください。 ) 47 . 6 ( ) 46 . 6 ( 1 1 1 1 1 S P S P P P S P S P S S L L L L L L L L L L L L
[4] 出力電圧の制御
) 47 . 6 ( ) ( ), ( 20 . 6 ) ( 20 . 6 1 ) 46 . 6 ( 1 ) ( 20 . 6 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 1 S P S P P S P S P S S P S S P P P S P P S AC o S P AC o S P S P S S P S P S S S AC o L L L L L L L L L L L L L L L L L L L L L R b a b L L R L L L L L L L L L L L L R a す。 を求めることができま より, が成り立ちます。これ が開路状態のときは において, 図 になります。 を求めると図 価回路 ,さらに簡易化した等 周期間の平均をとって より, となります。このこと は 成インダクタンス が開路状態にとき,合 で 力ダイオードが非導通 となります。また,出 とすると, クタンスを このときの合成インダ は短絡され, 抗 ドが導通すると交流抵 において出力ダイオー の等価回路 図
[4] 出力電圧の制御
44 44 0 T o o om I n I I 2 2 ' n I Io' o t o i 2 / T o o om nE E V 4 4 ' 0 o o nE E ' T o V t 2 / T ここで、交流出力抵抗を求めておきます。 (a) 出力電圧の交流変換 (b) 出力電流の交流変換 電圧・電流はすべて一次側に換算したものになっています。 図6.21 出力電圧・電流の交流への変換 ) 48 . 6 ( 81 . 0 8 8 2 4 2 2 2 sin 4 sin 4 sin ) ( ) ( 2 2 2 2 2 ' ' ' DC o DC o o o o o om om AC o o o om om o o o o om o R n R n I E n I n nE I V R I n I I I n I I t nE t E t V V b a ます。 抗を求めることができ これより,交流出力抵 より のようになります。 波電流は同図 また,出力電流の基本 のようになります。 けを取り出すと下図の ーリエ展開し基本波だ 矩形波の出力電圧をフ
[4] 出力電圧の制御
[4] 出力電圧の制御
次に図6.20(a)における昇降圧比Gを求めます。 P L 1 S L i C AC o R i V o V 1 2 S S L L i
i
を代入します。 ここで, , ) ( 1 1 ) ( 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 S P AC o S AC o P i S T AC o S P AC o P T i i i o AC o S P AC o P T i AC o o S P AC o P T i T i S P AC o S AC o P i S T L L j R L j R L j C j L j Z R L L j R L j Z V V V V G R L L j R L j Z V R i V L L j R L j Z V i Z V i L L j R L j R L j C j L j Z 図6.20 (a)[4] 出力電圧の制御
整理します。 とおき,等式を , , , , 0 1 1 2 1 2 0 1 1 1 1 1 1 2 1 1 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 ) ( 1 ) ( 1 1 f f y L L K C L L C L L L L L L L L L L L L C L L j R C L L R C L L j R L j L L j R C j L j R L j R L L j R L j L L j R L j R L j C j L j V V G S P i S P i S S P S P S S S P S P S i S P AC o i S P AC o i P S AC o P S P AC o i S AC o P AC o S P AC o P S P AC o S AC o P i S i i [4] 出力電圧の制御
です。 , ただし, 下のようになります の絶対値は最終的に以 したがって、 i S P i S AC o S P AC o S P AC o S P S P AC o AC o i S S P AC o i S P AC o i S C L L f C L f y R L L f y f f K G G y R L L j y f f K R L L j K L L j R R K C L L L j R C L L R C L K G 1 1 0 2 2 1 2 2 2 1 2 0 1 2 1 2 2 1 2 0 1 2 2 0 1 2 2 0 2 1 2 0 1 2 0 2 1 2 1 2 2 0 2 1 2 1 1 2 2 1 2 1 2 1 ) 50 . 6 ( 1 1 2 1 ) 49 . 6 ( 1 1 1 1 1 1 1 1 1 さらに,図6.20(b)の等価回路における昇降圧比Gを求めると以下のようになります。
[4] 出力電圧の制御
す。 とおき等式を整理しま を代入します。 ここで, S i AC o AC o i S S P S P P S P S P S P S o i S AC o i P P AC o i S AC o i P AC o P P AC o i S AC o P i P AC o AC o P S AC o P AC o P i i i P AC o AC o P S T AC o P AC o P T i i i o L C R Z R Q C L Z L L L L L L L L L L L L K f f y C L f R C L L j R C L R C L R L j L j R C j L j R L j C j L j R R L j L j R L j R L j V V G C j L j R R L j L j Z R L j R L j Z V V V V G 0 0 1 1 1 1 1 2 0 2 2 2 , , , , 2 1 1 1 1 1 1 1 i C AC o R i V o V S L P L i i 図6.20 (b) なお,負荷側から見ると回路は並列共振回路になるためにQは並列共振の等式にしています。[4] 出力電圧の制御
) 52 . 6 ( 1 1 1 1 6.51) 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 0 2 2 0 2 2 2 0 2 2 2 0 2 2 y y Q y K K G y y Q j y K K y Q y j K K y y y Q y j K y y y C L R C L j K y y G y R L j K y y y R K L j K y y K R f f L j R f f K R f f L R L C L L j R f f L R L C L G i S AC o i S AC o S AC o P AC o P AC o AC o S AC o P i S P AC o S AC o P i S 。 終的に以下となります 昇降圧比の絶対値は最 ( [4] 出力電圧の制御
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 G f / f0 Q=100 Q=20 Q=10 Q=9 Q=8 Q=7 Q=6 Q=5 Q=4 Q=3 Q=2 Q=1 図6.22 電流共振形コンバータの出力特性(Ls1/LP=0.2,Ls1/L1=0.167) 1 * 1 1 0 0 0 G f f G f f G f f 式(6.52)で与えられる出力特性(周波数に対する昇降圧比Gの変化)を図6.22,6.23 に示す。この特性を利用して、出力電圧の制御が行われる。[4] 出力電圧の制御
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 G f / f0 Q=100 Q=20 Q=10 Q=9 Q=8 Q=7 Q=6 Q=5 Q=4 Q=3 Q=2 Q=1 図6.23 電流共振形コンバータの出力特性(Ls1/LP=0.28,Ls1/L1=0.219)電流共振形コンバータは以下に述べる特徴があり,広範囲にいろいろな電気及び電子機器 に使用されています。 ① 一周期間に2回エネルギーの伝達が行われるために,トランスの利用率が上がり小型化 ができます。リンギングチョーク形コンバータ(RCC)に比べコアサイズで2ランク程度小さ くできます。 ②ハーフブリッジ形であるために,1つのスイッチに加わる電圧は入力電圧以上にはならず, したがって耐圧はリンギングチョーク形コンバータより低くて済み, オン抵抗により発生す る損失を少なくできます。 ③Q1とQ2がZVSしているためにスイッチング損失が少なく,効率が比較的に良い(RCC比 2%程度以上)。ただし,負荷に関係なく大きな励磁電流が流れているために,軽負荷の ときの効率はあまり良くありません。 ④D1とD2がZCSしているためにスイッチング損失が少なく,リカバリノイズが小さい。 ⑤トランスやQ1,Q2の放熱板が小さくでき,基板面積が少なくなります。 以上のような長所を持っていますが,反面,以下に述べる欠点があります。
[5] 電流共振形コンバータの特徴
⑥二次側が全波整流になっているために,トランスから供給できる電源の数が限定され, 多出力が取れません。 ⑦共振はずれ現象(励磁電流の共振周波数よりQ1とQ2の動作周波数が下がってしまい, 同期が外れる現象)を起こすと出力段に貫通電流が流れ,Q1とQ2が破壊します。現在 ではパルス・バイ・パルス方式で共振はずれを検出して,動作周波数が共振周波数より 低くならないようにしています。 ⑧ コストがやや高い。 ⑨ トランスの励磁電流は共振電流であるが,この電流に対してQ1とQ2はZCSしてなく, また,MOSFETを使っているために切れが速く,ある程度の輻射ノイズが発生します。 動作周波数fが励磁電流の共振周波数f1よりも低下したときのゲート電圧と励磁電流の 位相を図6.24に,また,そのときの一周期間の動作(励磁電流の流れ)を図6.25に示しま す。図6.25において,時刻t2においてQ1の寄生ダイオードのリカバリ電流が大きいと,図 6.25(C)に示すように貫通電流iSが流れQ1,Q2が破壊します。また,時刻t4においてQ2の 寄生ダイオードのリカバリ電流が大きいと,図6.25(e)に示すように貫通電流iSが流れQ1, Q2が破壊します。以上の理由により,励磁電流の共振周波数f1よりも低い周波数領域は 使用できません。
[5] 電流共振形コンバータの特徴
VG1 VG2 0 0 0 e i 2 t 0 t t1 t3
t
4t
5t
6[5] 電流共振形コンバータの特徴
動作周波数fが励磁電流の共振周波数f1より低下すると,上図のような位相になります。 図6.24 電流共振形コンバータのゲート電圧と励磁電流の位相 f T 1/ 1 1 1 f/ T 55 動作周波数fが励磁電流の共振周波数f1より低下すると,上図のような動作になります。図中のiSは貫通電流を 味します。なお,デッドタイム(Q1とQ2が両方ともにオフしている期間)は省略して書いてあります。 図6.25 電流共振形コンバータの一周期間の動作 55
[5] 電流共振形コンバータの特徴
Ei Q1 Q2 Ci LP Ei Q1 Q2 Ci LP Ei Q1 Q2 Ci LP Ei Q1 Q2 Ci LP Ei Q1 Q2 Ci LP Ei Q1 Q2 Ci LP ie ie ie ie ie ie iS(t2) iS(t4) (a) to~t1期間 (b) t1~t2期間 (c) t2~t3期間 (d) t3~t4期間 (e) t4~t5期間 (f) t5~t6期間 t2:Q2ターンオン t4:Q1ターンオン3章,6章演習問題
1.電流共振形コンバータにおいて,周波数を上げてもスイッチング損失がそれほど増えない 理由は何か説明しなさい。 2.動作周波数を上げると,スイッチングコンバータを小型化できるのはなぜか説明しなさい。 3.( )に適当な用語を入れなさい。 トランスの磁束密度は( )インダクタンスに加わっている電圧の時間に対する積分 値に比例します。したがって、この積分値(V×t)をコアを通る磁束(最大磁束密度×実効 断面積)で割ると( )数を求めることができます。 4.実際に共振電圧により出力電圧が昇圧されるのは以下のいずれの期間か? また,その理由は? ①t0~t1,t3~t4 ②t1~t2,t4~t5 5.電流共振形コンバータの出力特性(昇降圧比G) ,図6.22について以下の質問に答え なさい。 ①f/f0=1で昇降圧比GがG=1になる理由 ②動作周波数fの低下とともにGが徐々に大きくなりある周波数で最大になる。その時 の周波数は? 6.動作周波数fが励磁電流の共振周波数f1よりも低い領域は使用できません。 どうしてか説明しなさい。 i SC L f0 1 2 ただし,第11 章 電流共振形コンバータ
の設計
11.1 仕様の決定
まず、設計するのに必要な入力電圧Ei,出力電圧Eo,出力電流Ioを明確にします。 ここでは,AC-DCコンバータとして使ったことを想定し,
・Ei=100~180V ・Eo=24V
・Io=2.1A ・Po=24V×2.1A=50.4W(二次側出力電力) とする。
なお,Ei=100~180Vは,出力電力が53W(50.4/0.95=53)のときに交流電圧で 約74V~133Vに相当します。
交流電圧の下側範囲を85Vから74Vに広げて設計してみましょう。 また,動作周波数は一般的な100kHzとします。