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最大効率を得るためには

ドキュメント内 共振形コンバータの設計方法 (ページ 124-154)

負荷損

損失 無負荷損:鉄損 ヒステリシス損

渦電流損 銅損(抵抗損) 表皮効果による損失

漂遊負荷損

図D.1 スイッチントランスの損失

漂遊負荷損は,漏洩磁束が銅線の内部を横切ることによって銅線内に渦電流が発生し,そ れによって発生する損失を意味しています。特にギャップに近いところで現象が顕著になり ます。ギャップ付近には漏えい磁束が集中しているので,その近くの銅線には渦電流が発 生しやすく損失が大きくなります。負荷損にはこれらの他に近接効果による損失があります が,図D.1では省略しています。

計算できない。

交流抵抗損 コア損失

[1] トランスの磁束密度と損失

電流共振形コンバータは一周期間にB-Hカーブの第一象限と第三象限を往復するために リンギングチョーク形等の矩形波コンバータに比べて、コア損失(鉄損)が大きい。

・図8.10より、D=0.5のときリンギングチョーク形のコア損失は電流共振形コンバータに比べ

0.284倍になります。

・図10.2より、f=100kHz,D=0.43のときフォワード形コンバータのコア損失は電流共振形 コンバータに比べ0.25倍になります。

今回の設定ではトランスのコア損失(鉄損)はBmax=0.219Tにおいて0.5Wである。一方、巻 線の表皮効果を含めた交流抵抗損は表11.13に示すように0.233Wであり、コア損失(鉄損) の方が大きい。トランス損失を小さくするためにはコア損失を少なくする必要がある。ここで は、Bmaxを下げたときの鉄損とトランスの総損失がどれくらい減るかを求めてみる。結果を

表11.14及び図11.23に示しますが、損失を最低にするためにはコアの最大磁束密度を

0.2T付近で使うことが必要になる。

⇒電流共振形の方が3.5倍大きい

⇒電流共振形の方が4倍大きい

11.18 最大効率を得るためには

126 126

(a) リンギングチョーク形 コンバータ (b) フライバック形コンバータ

H(A/m) B

(Tesla) B max

0

ΔB1

H(A/m) B

(Tesla) B max

0

ΔB2=(1-KP)ΔB1 B r

11.18 最大効率を得るためには

図5.14 リンギングチョーク形コンバータとフライバック形コンバータの磁束密度変化

マイナーループ

図A11.6 電流共振形コンバータのB-H曲線

11.18 最大効率を得るためには

図8.9 コア損失の測定電圧とリンギングチョーク形コンバータの実際の電圧波形 矩形波コンバータのコア損失は測定値から換算をする必要があります。

11.18 最大効率を得るためには

図8.10 矩形波電圧のコア損失と正弦波電圧のコア損失の比率RC

11.18 最大効率を得るためには

図10.2 フォワード形コンバータの正弦波電圧に対するコア損失の比率RC

43 . 0

25 . 0

表11.13 巻線の表皮効果を含めた交流抵抗損の計算結果

注) リッツ線の長さ=単線の長さ×1.02(撚り本数が25本以下の場合、25本を超えるときは1.04倍)として計算しました。

11.18 最大効率を得るためには

一次巻線 二次巻線 備考

実効電流(Arms) 1.27 2.7

巻数(t) 30 8

層数 3

(11T×2+8t×1)

3

(3t×2+2t×1)

一層当たりの巻数限度は一次:11t,

二次:3tとして計算した。

巻線線径(mm) 0.7 0.2×22 巻線断面積(mm2) 0.38465 0.6908

巻線の 長さ(m)

単線 1.389 0.417 計算式を次頁に示す。引出リー

ドは10mm×2で計算しました。

リッツ線 0.426

巻線直流抵抗(Ω) 0.08161 0.01394 100℃,ρ=2.26×10-8Ωm

巻線交流抵抗(Ω) 0.08813 0.01394 一 次 側 : 図 7.7 よ り 0.7Φ f≒76.7kHzのときの交流抵抗を 8%増加としました。

巻線交流抵抗損(W) 0.1316 0.1016 合計損失:0.2332W

     

 

       

 

   

   

   

   

となります。

の長さは 撚り線

リッツ線

す。

とすると以下となりま

同様に二次巻線の長さ

は以下となります。

とすると一次巻線の長

はボビンの図面より を求めます。ここで,

先ず一次巻線の長さ

以下となります。

層の場合の巻線の長さ すると

,各層における巻数を

,引出線の長さを

,電線の線径を ボビンの外周長を

mm

mm l

N l

N l

L

t N

t N

N

mm l

mm L

l N

l N

l L

t N

t N

N

L mm

l mm mm

l l

L

l N

l N

l N

l N

l

l N

l

N l

N l

N l

L

L

N l

l

l L

r L

r

L L

L

l l L

r L

r

L L

L

l

r r

l L

r L

r L

r L

r

l L

r

L r

L r

L r

n

n

Ln l

r

8 . 425 02

. 1 44 . 417 )

(

44 . 417 20

8 . 118 64

. 278 20

2 08 . 1 20 8 . 37 3

08 . 1 16 8 . 37 2

2 20

16 2

2 3

10 08

. 1

2 . 1389 20

8 7 . 0 20 8 . 37 11

7 . 0 16 8 . 37 2

2 20

16 2

8 11

10 7

. 0 8

. 37

7 . 8 2 . 10 2 2 28

20 12

4

2 8

8 8

4

8 8

4 8

4 4

4

3 2 1

2 2

3 2

1

2

3 1 1

1 1

3 2

1

1 1

4 3

2 1

4

3 2

1

巻線の長さは以下のように計算しました。なお,ボビンの断面は四角形です。

11.18 最大効率を得るためには

132 132

表11.14 トランスの最大磁束密度と損失(f=76.7kHz)

Bmax(T) 0.15 0.205 0.219 0.273 0.3

コア損失(100℃)(W) 0.189 0.424 0.5 0.89 1.126 巻数N1(t) 44

(11t×4)

32

(11t×2+10t)

30 (11t×2+8t)

24 (11t×2+2t)

22 (11t×2)

巻数N2(t) 11 (3t×3+2t)

8 (3t×2+2t)

8 (3t×2+2t)

6 (3t×2)

5 (3t+2t)

AL-value(nH/N2) 134.5 254.3 289.3 452.1 538

ギャップ長(mm) 0.48 0.193 0.16 0.085 0.066

NI(A) 55 40 37.5 30 27.5

NI限度(NI-20%)(A) 94.6 47.4 41.1 25.4 21

長さ(m) 一次 2.176 1.494 1.389 1.058 0.955

二次 0.6254 0.426 0.426 0.284 0.253

交 流 抵 抗 (Ω)

一次 0.1381 0.0948 0.08813 0.0671 0.0606

二次 0.0205 0.0139 0.01394 0.00929 0.0083

損失(W)

一次 0.2062 0.1415 0.1316 0.10 0.0905

二次 0.1492 0.1016 0.1016 0.077 0.0603

合計 0.355 0.243 0.233 0.177 0.151

総損失(100)(W) 0.544 0.667 0.733 1.067 1.277

11.18 最大効率を得るためには

図11.23 トランスの最大磁束密度と損失(f=76.7kHz,T=100℃) 損失を最小にするためにはBmaxを0.2T以下で使うことが必要になる。

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

0.15 0.2 0.25 0.3

損失(W)

Bmax(T)

総損失

コア損失

巻線損失

11.18 最大効率を得るためには

 

T

B B

B

D

19 . 626 0 . 1

3 . 0 486389

. 0 exp

3 . 0 588

. 2

5211 .

3 exp ln

3 . 0 588

. 2

521 . 3 exp ln

3 . 0

5211 .

284 3 . 0

1 3

. 0

284 . 0 5

. 0

max

588 . 2

max max





を求めることができる

振形コンバータ 下の等式が成立ち,共

倍である。これより以 のときに

に比べて

は共振形コンバータ コンバータのコア損失

密度において、矩形波 同一の周波数及び磁束

リンギングチョーク形やフライバック形等の矩形波コンバータはコア飽和を起こさないように Bmaxを0.3T以下になるようにトランスを設計する。この磁束密度が最適値とすると、これを 基準にして電流共振形のBmaxは0.19Tとなり前記結果0.2Tとほぼ一致する。

11.18 最大効率を得るためには

[2] トランスのリーケージインダクタンスと損失

入力電圧を100V とし,出力電力,磁束密度,励磁電流をそれぞれ50.4W,0.22T,1.25A で 固定して,一次リーケージインダクタンスを変化させます。このとき,

・ 昇降圧比を図11.24に、

・ トランスのコア損失、巻線損失、総損失を表11.15と図11.25に

・ 出力ダイオードの電流と損失をそれぞれ図11.26及び図11.27に示します。

図11.24に示すように、一次リーケージインダクタンスLs1が増加すると最大負荷における

動作周波数が上昇します。そのためにコア損失が増加します。一方、巻数の減少とともに 巻線抵抗が減少するために巻線損失は減少し、総損失に大きな変化はありません。

表11.15 および図11.25 を参照してください。

リーケージインダクタンスを小さくすると共振回路のインピーダンスが下がり、図11.26に示す ように、出力ダイオードがオンした時のピーク電流が大きくなって、ダイオード損失が増加し ます。 Ls1/Lpが0.2から0.1になると、約0.3W増加します。図11.27を参照してください。

しかし、リーケージインダクタンスが増加すれば漏洩磁束による漂遊負荷損失は増加する はずです。したがって、リーケージインダクタンスはあまり大きくしないのが得策であり、

Ls1/(Lp+ Ls1)を0.1程度にすることを推奨します。





1 1 1

) S S P S

L L

L L L

C C

Z L ンス 共振回路のインピーダ

11.18 最大効率を得るためには

136

0 0.5 1 1.5 2 2.5

0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4

x

y=f/fo

Ls1/Lp=0.16, Q=3.2

Ls1/Lp=0.20, Q=2.7

Ls1/Lp=0.24, Q=2.36

Ls1/Lp=0.28, Q=2.14

Ls1/Lp=0.32, Q=1.95

図11.24 リーケージインダクタンスと昇降圧比 136

8 .

 1 G

11.18 最大効率を得るためには

G

137

表11.15 一次リーケージインダクタンスとコア損失および巻線損失

LS1/LP 0.16 0.2 0.24 0.28 0.32

LS1(μH)/LP(μH) 35.2/220 42/210 50.4/210 56/200 60.8/190

Ci(μF) 0.039 0.033 0.03 0.027 0.024

Q 3.2 2.7 2.36 2.14 1.95

f0(kHz) 99.6 99.9 96.4 97.03 102.2

f1(KHz) 50.5 55.2 57.0 60.57 64.9

f(kHz) 62.25 66.9 68.44 72.29 78.68

y=f/f0 0.625 0.67 0.71 0.745 0.77

N1(t) 32

(11t×2+10t)

30 (11t×2+8t)

30 (11t×2+8t)

29

(11t×2+7t) 28 (11t×2+6t)

N2(t) 8

(3t×2+2t)

8 (3t×2+2t)

8 (3t×2+2t)

7 (3t×2+1t)

7 (3t×2+1t)

長さ(m) 一次 1.494 1.389 1.389 1.338 1.286

二次 0.426 0.426 0.426 0.3652 0.3652

交流抵抗 (Ω)

一次 0.0948 0.0881 0.0881 0.0849 0.0816

二次 0.0139 0.0139 0.0139 0.0119 0.0119

損失(W)

一次 0.1416 0.1316 0.1316 0.127 0.122

二次 0.1016 0.1016 0.1016 0.087 0.087

合計 0.243 0.233 0.233 0.214 0.209

コア損失(W) 0.387 0.419 0.429 0.456 0.50

総損失(W) 0.63 0.652 0.662 0.67 0.709

11.18 最大効率を得るためには

)f 動作周波数を意味します。は昇降圧比がG = 1.8 になる

e Pi N L

図11.25 リーケージインダクタンスとコア損失および巻線損失

リーケージインダクタンスが増加すると最大負荷における動作周波数が上昇するために コア損失が増加する。一方、巻数の減少とともに巻線抵抗が減少するために,巻線損失 は減少し,総損失に大きな変化はありません。

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

0.15 0.2 0.25 0.3

損失(W)

LS1/LP

総損失

巻線損失

コア損失

11.18 最大効率を得るためには

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 1 2 3 4 5 6

0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35

τ/T

ダイオード電流(A0-p)

Ls1/Lp

図11.26 トランスのリーケージインダクタンスと出力ダイオード電流

リーケージインダクタンスが少なくなるとダイオードの導通時間が短くなり、順方向電流の ピーク値が大きくなる。

時間の比率 一周期間に対する導通

) : T

11.18 最大効率を得るためには

導通時間(比率)

0 1 2 3 4 5 6

0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35

損失(W)

Ls1/Lp

合計 逆電力損失 順電力損失

図11.27 リーケージインダクタンスとダイオード損失

リーケージインダクタンスが少なくなるとダイオードの順方向電流のピーク値が大きくなり、

損失も増加する。Ls1/Lpが0.2から0.1で約0.3W増加する。

失が大きくなる。

が大きくなり逆電力損

が加わっている時間 が小さくなると逆電圧

  T

t LS

1

1

11.18 最大効率を得るためには

11.18 最大効率を得るためには

リーケージインダクタンスを変えたトランスサンプルを作り測定した結果では,一次自己 インダクタンスに対するリーケージインダクタンスの比率はLs1/L1=12.3%が最適でした。

フェライトコア 型名 EK28/34D 有効磁路長l [mm] 74.98

有効断面積S [mm2] 79.21

有効体積V [mm3] 5938.81

トランス 一次巻線巻数N1 [回] 21 二次巻線S1の巻数NS1 [回] 6 二次巻線S2の巻数NS2 [回] 6

入力電圧Ein [V] AC100

出力電圧Eout [V] DC24 負荷電流Io [A] 0.5,1,2,3

◆測定条件 f0=100kHz

表A11.1

11.18 最大効率を得るためには

サンプル 1 2 3 4

Ls1 [uH] 11.2 16 16.9 22.2

Lp [uH] 98.9 114 92.1 93.8 Ls1/L1 [%] 10.15 12.3 15.5 19.1

Cv [pF] 600 470 610 560

Ci [uF] 0.12 0.1 0.082 0.062

Gap [mm] 0.225*2 0.20*2 0.25*2 0.25*2 一次側巻線抵抗

Rm [mΩ] 228.7 225.4 212 212

S1巻線抵抗

Rm1 [mΩ] 66.2 66.0 66.1 66.3 S2巻線抵抗

Rm2 [mΩ] 66.8 67.1 66.1 66.3 表A11.2

AC100V AC-DC効率

78.0 80.0 82.0 84.0 86.0 88.0 90.0 92.0

8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0% 20.0%

比率(Ls1/L1)[%]

効率[%]

0.5A 1A 2A 3A

図A11.7 リーケージインダクタンスと効率の測定結果

11.18 最大効率を得るためには

◆測定結果

第11章 演習問題

1.スイッチングトランスのフェライトコア温度が100℃を超えると何が起きますか? 2.同一条件で出力48V-2.1Aになったときの巻線比n、昇降圧比G、GP、 Ro-AC

Ls1/Lp=0.20におけるQを求めなさい。ただし、入力電圧を100V-180Vとする。

3.今回の設計では出力ダイオードの損失が大きい。対策としてどうしたら良いでしょうか?

4.図11.4 「共振回路のQとピーク点の最大昇降圧比GP 」においてQが大きくなるとGP

大きくなる。どうしてか説明しなさい。

1.TDK(株) ,

「スイッチング電源用フェライトコア」,http://product.tdk.com/ja/catalog/datasheets/ferrite_mz_sw_e_ja.pdf

(2010年,2014年),その他カタログ 2.日本ケミコン(株),

「電解コンデンサカタログ」,http://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/al-j/al-all-1001r-140701.pdf(2014年)

「テクニカルノート(アルミ電解コンデンサの上手な使い方)」,

http://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/al-j/al-sepa-j/001-guide/al-technote-j-140701.pdf 2014年)

3.サンケン電気(株),

「半導体デバイス」,http://www.semicon.sanken-ele.co.jp/index.html(2014年)

4.落合政司「スイッチング電源の基礎と設計法」,オーム社,2015年 5.山村英穂「トロイダルコア活用百科」,CQ出版社,2011年

6.原田耕介,ほか2名「スイッチングコンバータの基礎」,コロナ社,2007年

7.白石尚也,落合政司,他「電流共振形コンバータの効率におけるリーケージインダクタンスの最適値」 , 信学技報, vol. 115, no. 462, EE2015-30, pp. 1-6, 2016年2月.

8. その他

参考・引用図書および資料

ドキュメント内 共振形コンバータの設計方法 (ページ 124-154)

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