回転す る巻 糸体周 りの流 れ と動 力損失
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(2) 繊 維機 械 学 会 誌. 54. と ころで,現 在 まで に報告 されて い る回転 体 周 り の流 れ に関 す る研 究 は,回 転 の対 象体 が 円柱 に限 ら れ た もの が ほとん どで あ り,又,本. 実験 のよ うな高. 速 回転域 の研 究報 告 は数 少 な い.こ れは 円柱 以外 の 形状 の回転 体 を扱 う時 は,そ の周 りの流 れは極端 に 複雑 とな り,こ の回 転数 域が 高速 に な ると流 れ の可 視化 及 び速度 や圧 力分 布 な どの測定 が難 しくなるか らで あ る.又,巻. 糸 体 の よ うな表面 が繊 維 で覆 われ. た物 体 を扱 う際 に,数 値計 算 にお け る この表 面上 の 境 界 条件 の取 り扱 いは特別 な配 慮 が必要 で ある.計 算 上 にお いて も,こ の よ うな回転体 の場 合 に は,時 間 に対 す るその特 性 が周期 的 であ り,よ って計算 に お いて何 回 か収束 す る計算 結果 の いずれ が正 しいの か とい う点 で,計 算結 果 が真 に安定 したか ど うかを 判 定 しに くい欠 点 が あ る. そ こで本報 で は,最 近 で は色 々 な分 野 で使用 され るよ うにな った有 限要 素法 を用 いて,上 述 した数値. .. 図1座. 計 算 にお け る境 界条 件 の取 り扱 い方等 を含 め て,高 速 回転 す る巻糸 体周 りの流 れ場 を解析 す る.又,同. 標系. 法 を 用 い た.ψ で 表 し たVr,Vzの. 時 に,流 れ場 の速度 ベ ク トル図 や実験 で は容易 に得 る ことが で きなか った流 れ関 数及 び渦 度 の等値 線等. 式 を以 下 に 示 す.. (1). (2). 一 連 の 流 れ を フ ロ ー チ ャ ー トに して 図2に. 示す .. を同 時 に出力 させ,巻 糸 体周 りの流 れを前 報 とは別 の観点 か ら考察 す る.そ して,こ の結 果 と前報 の測. 図 中 の 右 肩 の 添 え 字 は タ イ ム ス テ ップ を 意 味 す る.. 定 結果 を比 較,検 討 す るこ とによ り,巻 糸 体 の表面. この 流 れ に 沿 っ て 各 ブ ロ ッ ク を 簡 単 に説 明 す る と,. 状 態 の違 い によ る境 界条 件 の扱 い方 や前報 で設 置 し た カバ ー の妥 当性等 を考 察す る.. 最 初 は 渦 な し流 れ(ポ. 2.流. (ブ ロ ッ ク1)す. テ ン シ ャ ル 流 れ)か. さ せ た タ イ ム ス テ ップ(ブ. れ場解 析 の有 限要素 法理 論. 流 れ 場 に渦 度 の式(ブ ロ ッ ク4)及. 巻 糸体 周 りの空気 流 れを有 限要素 法 に よ って解析. ら出 発. る.そ して,わ ず か ず つ 時 間 を 増 分 ロ ッ ク10)ご. ロッ ク2)と. と に,こ. の. 渦 度 方 程 式(ブ. び θ方 向 の 運 動 方 程 式(ブ. ロ ッ ク6). す る.対 象 が回 転体 で あ るので,座 標 系 は図1に 示. に よ って,ψ とq及. す よ うな巻糸 体 の 自軸 を中心 軸 に と った 円筒座 標系. Vθ は,隣 接 す る節 点 の ψ とq及. を用 い る.仮 定 と して,扱 う流 れの速度 には 円周 方. 開 した 式 に 代 入 して 求 め る.こ れ よ り境 界 条 件 は,. 向(θ 方 向)の 変化 はな い もの とす る.こ れよ り主 と. ψ とq及. して解析 及 び結果 は,半 径 方 向(r方. 方 程 式 に与 え る(ブ. 向)と 軸方 向. びVθ を求 め る.境 界 上 のq及. び. びVθ を テ イ ラ ー 展. びVθ を タ イ ム ス テ ッ プ ご と に そ れ ぞ れ の ロ ッ ク3,5):こ. こで,計 算 中. (z方 向)の 座標 で形成 され る面 を 中心 に行 う.又,. の あ る流 速 が 与 え た周 速 の 最 大 値 を越 え た 場 合 を 発. 本解 析 範 囲 内 で は,扱 う流 体 は非 圧 縮 性 流 体 とす る.. 散 した と判 定 す る.発 散 しな い で,q及. びVθ の 時 間. に 関 す る変 化 率 が 十 分 小 さ くな っ た 時 に準 定 常 な 流. 数 値 計 算 法 は,時 間 に関 す る逐 次 計 算 法 を用 い. れ と み な して 計 算 を打 ち切 り(ブ ロ ッ ク7,8),巻. る.逐 次 計算 法 に よ る繰 り返 し計算 は,運 動 方程 式. 糸 体 周 り の 粘 性 流 体 の 流 れ 特 性 と して 速 度 ベ ク トル. と連続 の式 を基礎 式 と して用 い る.そ して,こ れ ら. や流 れ関数 及 び渦度 の等値 線等 を得 る ことがで き る. の式 を ス トー クスの流 れ関 数(以 下,流 れ関数)ψ2). (ブ ロ ッ ク9).. と渦 度q及 び 円周 方 向 速度 成 分Vθ によ って変 形 さ 3.計. せ た,渦 度 の式 及 び渦 度方 程式 を時 間的 に準 陰的 な ス キー ムに置 き換 え て用 い る.そ して,こ れ らの ψ. 算 モ デ ル と境 界 条 件. 巻 糸 体 周 り の流 れ 場 の 解 析 に 用 い た メ ッ シュ デ ー. とg及 びVθ の 空 間 方 向 へ の離 散 化 に はGalerkin. タを 図3に,又,流. T35. れ の 速 度 場 を 動 力 損 失 の点 か ら.
(3) 55. (論 文 集)Vol.43,No.5(1990). 1. ポ テ シシ ャル 流 れ と して 出 発. 2. (r,z∈Tt:ψ. に 関 す る 基 本 境 界 条 件). 3. 4. (r,z∈T3:qに. 関 す る 基 本 境 界 条 件). 5. 10. 6. (r,z∈r5:V8に. 関 す る 基 本 境 界 条 件). 7. NO. 8. YES 9. 図2回. 転 体 周 りの 流 れ場 解 析 の フ ロ ーチ ャ ー ト. 改善 す る目的で設 置 した カバ ー付 き巻糸体 周 りの流 れ場 解析 の メ ッシュデ ータを図4に 示す.実 験 によ. め,図. の よ う に500mm×180mmの. 範囲をメッシ. り巻 糸 体 表 面 か ら200mmを. が348要 素 か ら成 り ,重 要 な 巻 糸 体 近 辺 に つ い て は. ュ分 割 した.メ ッ シ ュ は,節 点 数 が208節 点,要. 越 え た と ころで は流. れの速 度変 化 は ほ とん どな い ことを確認 して い るた. 細 か い 分 割 を 行 っ た.な. T36. 素数. お カバ ー付 きの流 れ場 に.
(4) 繊維 機 械学 会 誌. 56. 図3巻. 図4カ. 糸 体 周 りの流 れ場 解 析 の メ ッ シュ デ ー タ(単 位:mm) (節点 数208,要 素 数348) ●:Vθ の 境 界 値 \\\\:す べ りな し 巻 糸 体 と平 板 の か ど点:q=0. バ ー付 き巻 糸 体 の メ ッ シ ュ デ ー タ(単 位: mm) (節点 数199,要 素 数316) ●:Vθ の境 界 値 \\\\:す べ りな し 巻 糸 体 と平 板 の か ど点:q=0. は,カ バ ー部 の メ ッ シュを消去 して199節 点,316要. る損 失 や毛 羽 同士 の相互 干渉 は考 慮 しない もの とす. 素 と した.又,同. る.. 図 には与 え た境 界条 件 も同時 に示. 境 界条 件3.巻. 糸体 を支 え る底 面 を ψ=0の 基 準. した.こ こで,巻 糸 体表 面 の速度 境界 層 の厚 さや こ の付 近 の流 れ状 態 は,巻 糸 体表面 の周 速 や表面 状態. 面 とす る。 そ して この底 面 で はす べ りはない もの と. 及 びそ の他 の要因 によ って 随時変 化 す る と考 え られ. す る.. るが,こ こで は原 則的 に次 の3条 件 を境界 条件 と し. 以 下各 条件 につ いて説 明 す る.条 件1に つ いて,. て与 え る.. 巻糸 体 の表面 が なめ らか な場 合 に は巻 糸体 の表面 の. 境 界条 件1.巻 糸体 の表面 で流 れの主方 向 とな る θ方 向 に周速度 を与 え る(図3,4中 の ●印 の点),. 度(r・ ω)を 与 え る.し か しなが ら,綿 巻 糸体 の様. Vθ と して巻糸 体 の半 径rに 角速 度 ω を乗 じた周 速. 又,カ バ ー付 きの場合 に は カバ ー表面 で はVθ=0. に綿 糸 の毛 羽 に よ り表面 が粗 い場 合 は,こ れ を取 り. で あ る(図4中. 扱 う際 に図5の よ うに毛 羽流 れ に対 して直 角 に置か れ た円柱 と仮定 す る.こ れ よ り,あ る要素 内 の毛 羽. 境 界条 件2.綿. の カバ ー部 の● 印 の点). 巻糸 体 の場合,毛 羽周 りの渦 によ. T37.
(5) (論 文 集)Vol.43,No.5(1990). 57. よ う に,1本 m当. か ら500本 ま で 積 分 す る こ と に よ り,1. た り の 毛 羽 の 全 長Hkが. 分 か る.. (5) 例 え ば,こ 糸1m当 図5毛. 羽 の モ デ ル化. て も よ い 数 値 で あ る.こ. に作用 す る空気 抗力Fkを 次式 よ り求 め る. ここでCDは 空気 抗力 係数 で あ り,dk及. の 値 が 意 味 して い る の は,19.7texの た り に1mm長. の値 に巻糸 体表面 の要素長. さ を 乗 ず る こ と に よ って,そ. (3) びlkは 巻糸. 分 か る.一 方,dkに. 綿. の 毛 羽 が430本 あ る と考 え. の要素 の毛 羽 の全長 が. 比 してlkは 非 常 に 大 き い の で,. 毛 羽 の 抗 力 係 数CDはlk/dk=∞. の 時 の係 数 で あ る. 体 表面 の あ る要 素 の毛 羽 の直径 と全長 で あ る.毛 羽. CD=1.20を. 直径 は0.01mmと して,こ の値 は巻 糸 体 の 表面 に お いて一定 とす る.毛 羽長 さと毛 羽数 の関 係 は,綿. 体 表 面 の 周 速 度 を 代 入 す る.そ. 糸 の毛 羽長 分布 図 で あ る図6よ り求 め られ る.こ の. 分 の 項 に,(3)式. 毛 羽測 定 に は東 レ製 光電 式毛 羽計 測装 置 を用 いた. な お同図 に おいて,毛 羽長 さ0に お け る毛 羽数 とは. した 方 程 式 に よ って 有 限 要 素 解 析 を 行 う.又,カ バ ー は固 定 され て い る の で ,カ バ ー表 面 のVθ は0で. 糸 表面 上 で測定 され る毛 羽数 を累 積 した値 で あ る.. あ る.. 用 い る.又,(3)式. す る要 素 辺 に お い て,θ. よ って,そ の数 は糸表面 で最 大 とな るので,こ の位. 次 に条 件2に. 内 の 流 速Vに. は巻 糸. して 巻 糸 体 表 面 に接. 方 向 の運動方 程 式 の外力成. よ り算 出 したFkを. 要 素 ご とに加 算. つ い て は,綿 巻 糸 体 の 場 合 に は綿 糸. 置 を糸表面 と定 義 す る.い ま,巻 糸体 表面 に巻 い た 19.7texの 綿 糸 の毛 羽長 分布 の関係 を片 対数 グ ラフ. 表 面 に毛 羽 が あ る た め に表 面 が 粗 く,毛 羽 同 士 の か. 上 で近 似 す る と,. 渦 流 れ が 発 生 し て い る と 考 え られ る.し. らみ 合 い が あ っ た り,又,こ. の 毛 羽 周 り に二 次 的 な か しなが. ら,毛 羽 周 りの 渦 損 失 や 毛 羽 同 士 の 相 互 干 渉 は こ こ. (4) を 得 る.こ の関係式 のNkを 図6の 縦 軸 か ら分 か る. で は考 慮 しな い もの とす る. 最 後 に 条 件3に. つ い て は,巻. 糸体 を支 え る底面 は. r方 向 に 無 限 に広 く表 面 が な め らか な 固 定 平 板 を 想 定 し,ゆ え に こ こで の 流 体 の 出 入 りや す べ り は な い もの と し て ψ=0及 又,巻. びす べ り な し条 件3)を 代 入 した.. 糸 体 と こ の 平 板 の か ど点 に はq=0を. 代入 し. た. こ こで 計 算 に用 い た 準 陰 的 な ス キ ー ム は,陽 ス キ ー ム に比 して 計 算 は速 くな る が,レ (粘 性 力 に 対 す る慣 性 力 の 比)が が 不 安 定 に な る傾 向 が あ る.そ. 的な. イノ ルズ数. 大 き く な る と計 算 こ で 本 解 析 で は,各. 要 素 ご と に動 粘 性 の 項 に 人 工 粘 性 係 数4)を 導 入 し, 又,Courant数5)に. よ る 時 間 増 分 を 十 分 小 さ くす る. こ と に よ って 数 値 計 算 を安 定 させ な が ら計 算 を行 っ た.Courant数. を 以 下 に 示 す.. (6) こ こでUは. 代 表 速 度 を表 し,こ こで は巻 糸体 表 面. の周速 度 を代 入 す る.又 △tは時間増 分量,Sは. 三角. 形 要素 の最小 辺 長 さを表 す.そ して この式 を満 たす よ うに △tを決 定 す る. 図6綿. 糸 の毛羽長分布図. T38.
(6) 繊維 機 械 学 会 誌. 58. 4.解. 析結 果及 び考 察. カバ ーな しで あ る図3の モデル にお け る巻糸 体周 りの各 方 向 の速 度成 分 の前報 の実測 値 と解 析 した理 論 値 を上 下 に対 比 させ て,半 径(γ)方 向 につ いて は 図7に,円. 周(θ)方 向 につ いて は図8に,軸(z)方. 図9巻. 糸 体 周 りの軸 方 向速 度 成 分 (半径方 向距 離 γ=68(mm)). 向 にう いて は図9に 示 す.又 , 同時 に これ らの図 か ら,巻 糸体 の表 面状態 及 び回転 数 の違 い によ る各 速 図7巻. 糸 体 周 りの半 径 方 向 速 度 成 分 (半径 方 向 距 離 γ=68(mm)). 度 成分 の特 性 を読 み取 る ことがで きる.そ れで は, まず 図7に 注 目 しよ う.半 径方 向 の吹 き出 し流 は, 実験 理 論 の両 者 と も巻 糸 体 の 中央 部 で あ るz= 210mmで 最 大 とな り,そ の大 き さもほぼ等 しい. た だ,実. 験 値 は円柱 部 の端部 でVrが 負 とな って い. る ことか ら,吸 い込 み流 れ が認 め られたが,理 論 値 で はそ こで のVrは ほぼ0で あ り,そ. の傾 向 は認 め. られなか った.こ れ は,数 値計 算 に おいて考 慮 した の は連続 の理論 によ る吹 き出 しと吸 い込 みの流量 関 係 の釣 り合 いの みで あ り,こ れ だ けでは巻糸 体 回転 によ って表面 に生 ず る,速 度境 界層 内 の流 れが うま く表 現 され なか った ため と考 え られ る.次 に図8に お いて,理. 論 の綿巻 糸体 のVθ が ナイ ロ ン巻糸 体 の. それ よ り小 さ くな った.回 転 数 が同 じで あれ ば巻糸 体 表面 のVθ は同 じであ るの に対 して,Vθ の逆 流値 (Vθの負 の値)は 綿巻糸 体 の方 が大 き い.こ のた め, 巻 糸体 表 面付 近 はVθ の正 流,逆 流 がrに 対 して交 互 に発生 してお り,こ の間 を平均 した計算 点 の綿巻 糸 体 のVθ はナ イ ロ ン巻 糸 体 の それ に比 して小 さ く な るか らで あ る.ゆ えに これ は,巻 糸 体近 辺 の メ ッ シュ分割 の精 度 の問題 で あ り,本 来 の綿巻 糸体 の理 論 値 はナ イ ロ ンのそ れ に重 な るか,そ れ よ りわず か 図8巻. に大 き くな る もの と考 え られ る.又,ナ. 糸 体周 りの 円周 方 向速 度 成 分 (半 径方 向距 離 γ=68(mm)). イ ロ ン巻糸. 体 の場 合 で,理 論値 は実験 値 よ り も大 きい傾 向を示. T39.
(7) 59. (論 文 集)Vol.43,No.5(1990). して い るが,こ れ は巻糸 体 表面 か ら10mm付. 近 はγ. 糸体周 りの流 れ場 を よ く解 析 して い る といえ る. 以 上 の3つ の解析 例 の結 果 とカバ ー付 きの場合 の. 方 向 に対 す るVθ の速 度 差 は非 常 に大 き く,例 えば γ が1mm違 うと大 きい時 で3m/sも 違 うの で,こ の. 結 果 を含 めて,動 力 値及 び収 束 した計算 回数 を表1. 差 は実験 値 の測定 誤差 と考 え られ る.又,理 論 で は, 円柱 部 の端部 でVθ が負 とな って い る ことか ら,回. に示 す.計 算全 般 にお いて,カ バ ーな しの場 合 はす べ て1,800回 を越 え た と ころで 収束 した が,カ バ ー. 転 とは逆 方 向 の流 れ の存 在 が予 測 され る.実 験 にお いて もVθ の逆 流 は認 め られ たが その点 の測 定値 が. 付 きの流 れ の場 合 で は計 算回 数 が極端 に少 な くな り 収束 が はや い.こ れ は,カ バ ーを設置 す るこ とで大. 不安 定 で あ り,し か もその逆 流 の検 出 が瞬 間的 で あ. きな流速 の 出現 のな い流 れ状 態 とな ったため と考 え. るの で,測 定時 間 を十分 に とる と結 局 デ ー タ として この逆 流 は検 出 され なか った.こ れ は図10に 示 す よ. られ る.又,巻. 糸 体 の表面 が なめ らか な場 合 に は計. うに,実 験 で は この付近 の γ方 向 に対 す るVθ の速. 算動 力 値 は実 際 の動力 値 に ほとん ど一 致 す る.こ の ことは逆 に,ナ イ ロ ン巻糸 体 はそ の表面 が十 分 にな. 度差 が大 きいの に対 し,こ れ を測定 す るセ ンサ ー部. め らかで あ る ことを意 味 して い る.し か しなが ら,. (球直径10mm)が. 表面 が粗 い綿巻糸 体 の(c)の場合 には計算 動力 値 は実. 大 きか ったた め に,こ の逆 流 を. 検 出で きな か った もの と考 え られ る.又,こ. のせ ん. 際 のそれ よ り も低 い値 を示す.こ の よ うに,高 速 な. 断流 は巻 糸体 に近 い こと もあ って,流 れ に多 大 の損. 空気流 に対 して,あ らゆ る形状 や方 向 を示 す毛 羽 を モデル化 す る ことは大変 難 し く,流 れ場 を考 察 す る. 失 を与 えて い る と考 え られ る.し か しなが ら,後 に 示 す速度 ベ ク トル図 か ら分 か るよ うにカバ ーを設 置 す るこ とによ り,カ バ ー部 は巻 糸体 円柱 部 の流 れ場. と綿 巻 糸 体 に お いて お よ そ の解 析 はで きた とい え. の逆 流 発生箇 所 に位 置 して い るので,カ バ ーを設 置. る.. 生 した と し. 次 に,図7〜9を 分 か りやす く γ−z平 面 にお いて ベ ク トル表示 し,さ らに カバ ー付 きの この種 の結果. て もこの逆 流 の最大 値 は設置 してい ない もの に比 し. を含 めて図11に 示 す、 こ こで左 図 は実測 した速 度 べ. て小 さ くな る.一 方,図9に. ク トル図で あ る.̀又,本 解 析 か ら同時 に得 られ た ψ の等 値線 を図12に,qの 等 値 線 を 図13及 びVθ の等. す る ことで逆 流 発生 箇所 は減 り,又,発. お いてz方 向 の流 れ の. 衝 突 位置 は実験,理 論 と も巻 糸体 の中央 であ り,そ の速 度分布 も又 ほ とん ど一致 して い るこ とが認 め ら れ る.た だ カバ ーを設 置 すれ ば,巻 糸体 中央部 で の. 値 線 を図14に 示 す.こ こに各 図の(a)〜(d)は 表1に 同 じで あ る.速 度 ベ ク トル図及 び ψの等 値線 図で あ る. 流 れ の衝 突 はほ とん どな くなる こと も後 の結果 か ら. 図11と 図12か ら全体 的 にい え る ことは,巻 糸体 付近. 分 か る.. の空気 は巻 糸体 上下 部 の テーパ ー部 か ら吸 い込 まれ. 図7〜9よ. り,本 実 験 の範 囲内 で はいず れの場 合. て,巻 糸体 中央 の円柱部 か ら吹 き出 して い る.各 条. も回転 数 よ り表面 状 態 に よる要 因 が速度 に大 き く影. 件 にお いて もこの流 れ状 態 は同 じで あ り,巻 糸 体 の. 響 す るこ とを示 して い る.又,こ. れ らの結果 は各 条. 表面 状態 や回 転数 によ って流 速 の絶対 値 のみ が大 き. 件 に対 して,実 験,理 論 の両 者 ともほぼ一致 して い. くな る.qの 等 値線 で あ る図13よ り,渦 の発生位 置. る ことか ら,境 界条 件 の考 え方 を含 めて本 手法 は巻. (巻糸 体表面 全 体)や 渦度 の大 きな位置(巻 糸 体 の 中 央部 付近)は,カ. バ ーな しのす べて の場合 にお いて. 同 じで あ り,こ の位 置 の渦形 を何 か で置 き換 え る こ とに よ りこの渦 に よる流 れ の損失 をな くす こ とが で き る.渦 度 の大 きい位 置 の円柱部 の渦 は,前 報 のよ うな カバ ーで置 き換 えが で きるが,テ ーパ ー部 の カ バ ー は実 際問 題 にお いて難 しい と考 え られ る.図14 のVθ の等 値線 を み ると,円 柱 部 に おいて はVθ の逆 流 は考察 しだが,そ れ以上 に巻 糸体 のテ ーパ ー部 で これ が最大 とな って い る ことか ら,渦 度 の 問題 も含 め て テ ーパ ー部 に何 らか の対 策 が 必要 か も しれ な い法 ここで,巻 糸体 周 りの流 れ の改善 箇所 を探 るた め に,巻 糸体 をz方 向 に5分 割 して ここに表面 が粗 い異 種 の糸 を各 部分 に巻 き付 けた7種 類 の モデ ルに. 図10実 験 で逆流を検 出できない理 由. T40.
(8) 繊維機械学 会誌. 60. 実測 した速 度 ベ ク トル 図. 図11(a)流. れ 場 のr‑z平. FEMに. よ る速度 ベ ク トル図. 実 測 した速 度 ベ ク トル 図. .図11(c)流. 面 の 速 度 ベ ク トル 図. (ナ イ ロ ン巻 糸 体,7000rpm). 実測 した速 度 ベ ク トル 図. 図11(b)流. れ 場 のr‑z平. FEMに. よ る速 度 ベ ク トル図. 面 の 速 度 ベ ク トル 図. (綿 巻 糸 体,7000rpm). よ る速 度 ベ ク トル図. 実測 した速 度 ベ ク トル図. 面 の 速 度 ベ ク トル 図. 図11(d)流. (ナ イ ロ ン巻 糸 体,5000rpm). お け る 消 費 動 力 値 を表2に. FEMに. れ 場 のr‑z平. れ 場 のr‑z平. FEMに. よ る速 度ベ ク トル図. 面 の 速 度 ベ ク トル 図. (ナ イ ロ ン巻 糸 体,7000rpm,カ. バ ー 付 き). 示 す.右. に あ るモデ ルほ. る毛羽 は吸 い込 み流 によ り巻 糸体 側へ と押 し付 け ら. ど 消 費 動 力 は 大 き くな っ て い る.こ. れ か ら読 み 取 れ. れ るのに対 して,吹 き出 し部 分 で は この毛 羽が 引 っ. い. 張 られて,こ れ が管内流 れ で い うと管壁 の突 起物 の. 込 み よ り も吹 き 出 し部 分 で あ る こ と が は っ き り と分. る よ うに,動. 力 に 大 き く影 響 して い る部 分 は,吸. よ うな存 在 とな り,そ の分 円周方 向 の流 れ抵 抗 を大. か る.こ れ は 吸 い 込 み部 分 で は,表 面 を 粗 く して い. き くす るため に損失 動 力が大 き くな って い るの であ. T41.
(9) 61. (論 文 集)Vol.43,No.5(1990). (a)ナ. イ ロ ン巻糸 体,7000rpm. (b)ナ. イロ ン巻糸 体,5000rpm. (c)綿. 巻糸 体,7000rpm. (d)ナ. イ ロ ン 巻 糸 体,7000rpm,カ. バ ー付 き. 図12FEMか ら得 られ た ψの 等 値 線(単 位:m3/s) (等値 線 の間 隔0.005m3/s). (a)ナ. (b)ナ. イロ ン巻 糸体,7000rpm. イ ロ ン巻 糸体,5600rpm. (C)綿. 巻糸 体,7000rpm. (d)ナ. イ ロ ン巻 糸 体,7000rpm,カ. バ ー付 き. 図13FEMか ら得 られ たqの 等 値 線(単 位:1/s) (等値 線 の 間 隔901/s). 及 びVθ の逆 流 で 問 題 と な っ. 円柱部 の吹 き出 し流 れ及 びz方 向 の流 れ の衝突 を う. た テ ー パ ー 部 は 吸 い込 み 部 で あ る か ら,動 力 的 に は. ま く制御 し,又 は緩和 す る よ うな方 向で カバ ーを設. さ ほ ど影 響 しな い と思 わ れ る.む. 計 した方 が よ い と考 え られ る.そ うい った こと も含. る.こ. の 実 験 か ら,渦. し ろ そ れ よ り も,. T42.
(10) 繊維 機 械 学 会 誌. 62. (a)ナ. イロ ン巻 糸体,7000rpm. (b)ナ. イ ロ ン巻糸 体,5000rpm. (c)綿 巻 糸 体,7000rpm. (d)ナ. イ ロ ン巻 糸 体,7000rpm,カ. 図14FEMか ら得 られ たVθ の等 値 線(単 位:m/s) (等値 線 の間 隔8m/s,負 の値 はVθ の逆 流 の最 大 値 を示 す) 表1測. 定 した動 力値 と計 算 及 び前報 の 実 験 か ら求 め た動 力値 の 比較. ※ 表 内 の 各 動 力値 及 び(a)〜(d)の 意 は 次 の 通 りで あ る. 測 定 動 力値‑モ ー ター の 反 力 よ り求 め た 動 力値 計 算 動 力値‑本 解 析 よ り得 られ た流 れ 状 態 か ら求 め た動 力値 実 験 動 力値‑実 験 に よ り得 ら れ た流 れ状 態 か ら求 め た動 力値 こ こで,測 定 及 び実 験 動 力 値 は前 報 の値 を 用 い た. (a)‑試 料:ナ イ ロ ン巻 糸 体,回 転 数:7,000rpm (b‑試 料:ナ イ ロ ン巻 糸 体,回 転 数:5,000rpm' (c)‑試 料:綿 巻 糸 体,回 転 数:7,000rpm (d)‑(a)の カバ ー付 き また(d)に つ い て は,13.05Wの 内10.91Wは 巻 糸 体 とカ バ ー 間 の せ ん 断 流 れ に よ る損 失 動 力 で あ る.. 表2部. ※白. 部:ナ. イ ロ ン巻糸 体. 斜 線 部:ナ. 分 巻 パ ー ンの実 際動 力(W). イ ロ ン粗 糸 巻 糸 部. T43. バ ー付 き.
(11) 63. (論 文 集)Vol.43,No.5(1990). めて,前 報 の カバ ー は動 力 的 にみて よ い結 果 を生 ん. 含 めて,巻 糸 体周 りの流 れ場 を解析 す るこ とが で き た.こ の結果 によれ ば,前 報 のパ ラメー ターに よ る. だ もの と思 わ れ る. 以上 の流 れ場観 察 か ら,巻 糸 体 の定性 的 な流 れ状. 流 れ状 態 の変 化 は少 な く,上 下 部 か ら吸 い込 まれた. 態 や渦 の発生 位置 が糸 種 や回転 数 に よ らず ほぼ同 じ. 巻 糸体 近辺 の空気 は,回 転 しなが ら中央 部 に集 ま っ. で あ る ことか ら,巻 糸 体周 りの カバ ーを設計 す ると. て ここか ら吹 き出 して いた.. きは巻糸 体 の形状 のみ によ って設計 す れ ばよ い と考. 2)巻 糸 体周 りの速度 ベ ク トル解析 値 は,前 報 の. え られ る.形 状 とい って も,糸 の巻 き付 けに よ って. 各条件 下 の実験 結果 と比 較 して ほぼ一 致 した.こ の. 巻 糸体 の形状 は随 時変化 す るわ けで あ るが,設 計 対. 結果 を もと に前 報 に示 した ポ ンプの 動 力理 論 に よ. 象 は もっ とも動 力 を必要 とす る最 大形 の巻 糸体 にお いて設 計 すれ ば よい と考 え られ る.実 際 に は,回 転. り,巻 糸体 回転 の損 失動 力 を求 め る ことがで きた.. 円板 に お いて無限 空間 と密 閉容 器内 とで は摩擦 抵抗. る ことので きな い流 れ関数 や渦度 の等 値線 及 び円周. 係数 は,後 者 が前 者 の60%ま で低下 させ られ るこ と が知 られて い る6).よって巻 糸体 につ いて も,こ の全. 方 向 の流 れ の逆 流等 を知 る こ とが で きた.こ の結 果 を考察 して,巻 糸 体周 りの流 れ場 の改善 箇所 が分 か. 体 を覆 うよ うなカバ ー が理 想 的で あ るが,設 置及 び. った.. 3)流 れ場解 析結 果 か ら,測 定 実験 で は容易 に得. 糸道 な どの条件 が あ るため に カバ ー は種 々の制約 を 受 ける.そ こで前報 の 断面 が三角 形 の カバ ー は ほと. 参考 文献. ん ど吹 き出 しを お さえて い るので,動 力 は巻糸 体 と. 1)新 宅 ら;繊 機 誌,43,Tl(1990). カバ ー間 の せん断 力 のみ に失 われて お り,こ れが そ. 2)"機 31林. れ ほ ど大 き くないの で,結 果 と して損 失動 力 は20%. 本 機 械 学 会(1976) 倉 書 店(1987‑. 5). 分 改善 され た と思 われ る. 5.結. 械 工 学 便 覧",p.8〜45,日. ら;"パ ソ コ ンに よ る流 れ解 析",p.86朝. 言. 4)松. 田 ら;機 械 学 会 論 文集B,45,395,915(1979‑7). 5)林. ら;"パ ソ コ ンに よ る流 れ解 析",p.85,朝. 倉 書 店(1987‑. 5) 6)"機. 1)巻 糸 体 の回転 数 や表面 状態 のパ ラメ ー ター を. T44. 械工 学 便 覧",p.8‑15,日. 本 機 械 学 会(1976).
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