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〈論 説 〉
ス ペ イ ン労 働 法 に お け る 「祝 日」 の 取 扱 い
一 「休 暇 分 散化 案 」 を考 え る ひ とつ の材料 と して 一
岡 部 史 信
目 次
一.は じめに 一 いわゆ る 「休暇分散化案」を契機 として
二.ス ペ イ ンの祝 日制 度 の基 本 構造 一 労 働 法 との関 係 を視 点 の 中 心 と して 1.祝 日制 度 の概 要
2.労 働 法上 にお け る祝 日の 法 的性 質
三.祝 日制度 を め ぐる労働 法 上 の主 な論 点 一 若 干 の判 例 法理 の 分析 を 中心 と して 1.勤 務 地 と住 所 地 が異 な る場合 の祝 日の取 扱 い
2.祝E1と その 他 の休 日や 休 暇 が重 な る場合 の取 扱 い
3.祝 日が通 常 の 勤務 日 とされ て い る労 働者 に対 す る補 償 の 有 無 4.ス トラ イ キ期 間 中 と祝 日が重 な る場 合 の補 償 の 有無 5.国 の祝 日一 覧表 の作 成 権 限 と自治 州 の 自治 権 との 関係 四.結 び に代 えて 一 スペ イ ン労働 法 か らの示 唆
一 は じめ に 一 いわ ゆ る 「休 暇 分散 化案 」 を契 機 と して
i)
今 年(平 成22年)3月3日 、 観 光 庁 が い わ ゆ る 「休 暇 分 散 化 案 」 を発 表 した。
この案 は現 段 階 で は た た き台 に す ぎな いが 、 それ は我 が 国 の 休 暇 の あ り方 を大 き く変 更 させ る意 図 に基 づ い て い る もの の よ うで あ る。 そ の主 柱 は、 現 在 の ゴー ル デ ン ウ ィー ク を連 続5日 休 暇 に整 理 す る と同 時 に、 「シ ル バ ー ウ ィ ー ク」 とい う秋 季5連 休 を新 設 す る こ と と、 休 暇 の 付 与 を 「北 海 道 ・東 北 ・北 関 東 」、 「南
1)休 暇 分 散 化 案 と は 、 平 成21年12月30EIに 閣 議 決 定 さ れ た 「 新 成 長 戦 略(基 本 方 針)」
の ひ と つ で あ る 「フ ロ ン テ ィ ア の 開 拓 に よ る 成 長(4)観 光 立 国 ・地 域 活 性 化 戦 略 」 で
示 さ れ た 「ロ ー カ ル ・ホ リ デ ー 制 度 」(仮 称)実 現 の た め の 提 案 で あ り、 観 光 立 国 推 進 本
部 の 休 暇 分 散 化 ワ ー キ ン グ チ ー ム が 作 成 し た も の で あ る(詳 細 に つ い て は 、 観 光 庁 の ホ ー
ム ペ ー ジ(http://www.m置it.go.JP/kankocho/)を 参 照 して い た だ き た い)。
z
関 東 」、 「中 部 ・北 陸 信 越 」、 「近 畿 」、 「中 国 ・四 国 ・九 州 ・沖 縄 」 の5つ の 地 域 ブ ロ ッ ク ご と に5週 間 を1週 ず つ ず ら して 行 う と い う も の で あ る 。 そ し て 、 シ ル バ ー ウ ィ ー ク 設 定 の た め に 現 行 の 祝 日 を 整 理 し、 海 の 日 ・敬 老 の 日 ・体 育 の
z)
日 を現 行 以 前 の 日に 戻 して 労 働 日 と し、 ま た ゴー ル デ ン ウ ィ ー ク を 整 理 して5 月3・4・5日 を 労 働 日に す る とい う。 こ の主 た る 目 的 は 、 休 暇 時 期 を分 散 さ せ て 交 通 機 関 や 観 光 地 の 混 雑 を緩 和 させ る こ と、 新 た な旅 行 需 要 を生 み 出 して 国 内 観 光 を振 興 す る こ と、 地 域 の 観 光 産 業 を 育成 し新 た な 雇 用 と需 要 を創 設 す る こ と とされ て い る。 観 光 庁 の予 定 で は、 この 新 制 度 実 現 の た め に、 今 秋 の 臨 時 国 会 に国 民 の 祝 日 に 関 す る法 律(以 下 、 「祝 日法 」 とい う。)の 改 正 案 か 、 ま た は 新 た な 「休 日法(仮 称)案 」 を 提 出 す る とい う こ とで あ る。
周 知 の よ うに 我 が 国 で は年 次 有 給 休 暇 取 得 率 が 低 い た め に 、例 え ば フ ラ ン ス や ドイ ッな ど と比 べ て 年 間 合 計 休 日数 が10日 か ら2週 間 程 度 少 な い現 状 とな っ
8)
て い る。 した が って 、休 日数 の増 加 を図 る視 点 か らは 労 働 者 の 休 暇 を政 策 的 に 操 作 す る こ と も必 要 で あ り、 今 回 の この提 案 の よ うに 、 国 が休 日 を一 律 に設 定 す る よ うな措 置 を講 じ る こ と も重 要 で あ る とは思 う。 しか しな が ら、 今 回 の提 案 で 筆 者 が ひ とつ 気 に な っ た 点 は祝 日の扱 い 方 で あ る。 す な わ ち、 祝 日法1条
2)海 のEI、 敬 老 の 日 、 体 育 の 日 の 現 行 前 のElに つ い て は 、 注4を 参 照 して い た だ き た い 。 3)例 え ば 労 働 政 策 研 究 ・研 修 機 構 「 デ ー タ ブ ッ ク国 際 労 働 比 較2008」 に よ れ ば 、 フ ラ ン
ス 、 ドイ ッ 、 イ ギ リ ス 、 日 本 の2007年 の 年 悶 休nに 関 し て 、 週 休 日 は104.0日 で 同 数 で
あ っ た が 、 週 休 日以 外 の 休 日 は フ ラ ンス が11.0日 、 ドイ ツ が10.5日 、 イ ギ リ ス が8.0日
で あ っ た の に 対 し て 、 日本 は15.0日 とむ しろ 多 く な っ て い た 。 し か しな が ら、 年 次 有 給
休1暇取 得 日数 は フ ラ ン ス が25.or̲i、 ドイ ッ が30.0日 、 イ ギ リス が13.2日 で あ っ た の に 対
して 、El本 は8.2日(こ のEI数 を 取 得 率 に換 算 す る と約47%)と 低 か っ た た め に 、 年 間
合 計 休 日数 は フ ラ ン ス が140.0日 、 ドイ ッ が144.5日 、 イ ギ リス が136.6日 で あ っ た の に
比 べ て 、 日本 は127.2日 と最 も 少 な い 日数 に な っ て い た 。 ま た 、11力 国(イ ギ リス ・フ ラ
ン ス ・ス ペ イ ン ・ ドイ ツ ・カ ナ ダ ・ア メ リ カ ・オ ー ス ト リ ア ・イ タ リ ア ・オ ー ス ト ラ リ
ア ・ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド ・ 日本)を 調 査 した 「 エ ク ス ペ デ ィ ア レ ポ ー ト/国 際 有 給 休1暇比
較2009」 の 報 告 で は 、 上 記 機 構 の 各 国 調 査 の 数 値 と 若 干 の 違 い が あ る も の の 、EI本 の 状
況 に つ い て 日 本 の 有 給 休 暇 付 与 日数 は15日 で そ の 取 得 日数 は8.0日 と大 枠 で 同 じで あ り 、
む し ろ 前 年(2008年)比 で 減 少 し て い る こ と が 明 ら か に され 、 か つ 有 給 休 暇 を 完n取 得
し た 人 の 割 合 が8%と 調 査 対 象 国 で 最 低 の 状 況 と な っ て い る こ とが 報 告 され て い る(エ
ク ス ペ デ ィ ア レ ポ ー トの 詳 細 に つ い て は 、 週 刊 観 光 新 聞2009年5月21日 を 参 照 して い た
だ き た い)。
ス ペイ ン労働 法 にお け る 「祝 日」 の取 扱 い
3
に 「(…)日 本 国 民 は 、 美 し い 風 習 を 育 て つ つ 、 よ り よ き社 会 、 よ り豊 か な 生 活 を 築 き あ げ る た め に 、 こ こ に 国 民 こ ぞ っ て 祝 い 、 感 謝 し、 又 は 記 念 す る 日 を 定 め 、 こ れ を 『国 民 の 祝 日 』 と名 づ け る。」 と あ る よ う に 、 祝 日 に は 本 来 そ れ ぞ れ
4)
固 有 の意 味 が 込 め られ て お り、 その 視 点 か らす れ ば 、 原 則 的 に祝 日 は 単 な る週 休 日 な ど と同 等 に扱 わ れ る べ きで な い性 質 の もの で あ る は ず で あ る。 そ れ に も か か わ らず 、 現 在 の祝 日 を機 械 的 に移 動 させ 、 祝 日本 来 の 日 を休 日 とす るの で は な く5週 間 で5ブ ロ ック に 付 与 す る とい う視 点 は 、 そ の意 義 を軽 視 して い る
よ う に も感 じ られ るの で あ る。
も っ と も、 我 が 国 の 労 働 法規 範 の 中 に は 祝 日 に 関 す る規 定 が 存 在 せ ず 、 ま た 祝 日法 の表 現 が 曖 昧 な た め で あ ろ うか、 祝 日 を 「国 民 こ ぞ っ て 」 祝 賀 す る とい う意 識 、祝 日が 当然 労 働 か ら解 放 さ れ る 日 とな る べ き とす る強 い 権 利 意 識 が 希
の
薄 な よ うで あ る。 しか しそ うで あ る な ら、 休 日数 の増 加 を考 え る に際 して まず 必 要 な こ とは 、 祝 日に 対 す る国 民 の 意 識 を ど う高 め るか とい う視 点 、 す な わ ち
4)国 民 の 常 識 で あ りわ ざ わ ざ 脚 注 に 記 す ま で も な い が 、層い ち お う我 が 国 の 現 行 の 祝 日 と そ の 由 来 を 列 挙 す れ ば 、 ① 元 日(1月1日 。 四 方 節)、 ② 成 人 のEl(1月 第2月 曜 日 。 小 正 月)、 ③ 建 国 記 念 日(2月11日 。 紀 元 節)、 ④ 春 分 の 日(移 動 祝 日。 春 季 呈 盆 祭)、 ⑤urf 和 の 日(4月29日 。 天 長 節)、 ⑥ 憲 法 記 念1≡1(5月3日 。 日本 国 憲 法 施 行ED、 ⑦ み ど り の 日(5月4日 。 自 然 に 親 し み 、 そ の 恩 恵 に 感 謝 し、 豊 か な 心 を は ぐ くむ 日。4月291」
と さ れ て い た が 、 昭 和 の 日の 制 定 に よ り移 動)、 ⑧ こ ど もの 日(5月5日 。 端 午 の 節 句)、
⑨ 海 の 日(7月 第3月 曜 日。 海 洋 国r̲i本 の 繁 栄 を 願 う1…1。7月201三1と さ れ て い た が 、 ハ ッ ピ ー マ ン デ ー 制 度 に よ り設 定)、 ⑩ 敬 老 の 日(9月 第3月 曜 日 。 老 人 の 日。9月15Glと さ れ て い た が 、 ハ ッ ピー マ ン デ ー 制 度 に よ り設 定)、 ⑪ 秋 分 の 日(移 動 祝 日 。 秋 季 畠 霊 祭)、
⑫ 体 育 の 日(10月 第2月 曜 日。 東 京 オ リ ン ピ ッ ク開 会 式 の 日)、 ⑬ 文 化 の1≡1(11月3日 。 El本 国 憲 法 公 布 日)、 ⑭ 勤 労 感 謝 の 日(u月23日 。 新 嘗 祭)、 ⑮ 天 量 誕 生 日(12月2311。
今 上 天 皇 誕 生 日)で あ る。
5)祝 日 法 の 文 言 は 「 祝 い 、 記 念 し、 感 謝 す る 」 と さ れ て い る に す ぎ ず 、 そ れ が 必 ず し も
「 休 日 に す る 」 こ と と 同 義 で は な い と い う解 釈 も成 り立 た な い わ け で は な い
。 しか し 、 私
見 で あ る が 、 ① 現 在 の 国 民 の 祝 日 は 旧 制 の4つ の 祝 日 と7っ の 祭 日 が 基 礎 と な っ て 構 成
さ れ て い る こ と、 ② 祭 日 の 意 味 は そ の 名 の と お り祭 りの 行 一)}を行 う1.1で あ る こ と、 ③ 祭
日 は 国 民 の 祝 日 の 俗 称 と して 使 わ れ て お りそ の 両 者 は 常 識 的 に 同 毅 と考 え ら れ て い る こ
と、 ④ 「 国 民 こ ぞ っ て 」 に は 個 々 の 国 民 の 意 識 の 単 な る集 合 で は な く、 集 団 的 に 祭 り を
行 う意 味 が 当 然 含 ま れ る で あ ろ う こ と、 ⑤ 「 祝 日 」 を 表 す 外 国 語 訳 と して 、 「 休 日」 を 意
味 す る"nationalholiday"や"diasfestivos"が 公 式 的 に も 使 用 さ れ て い る こ と を 考
え 合 わ せ れ ば 、 祝 日 は 原 則 と し て 「 休 日 で な け れ ば な ら な い 」 と考 え る ぺ き で あ ろ う 。
4
国 民 意 識 の 中 で 祝 日の 意 味 や 意 義 を再 認 識 させ 、祝 日 を休 日 とす る扱 い に つ い て労 働 法 規 範 その 他 の 中 で も規 定 す る こ とで 、 さ ら に労 働 者 の 休 暇 取 得 の 意 識 を酒 養 す る手 段 を講 じ る こ とで は な い か と考 え る。 そ こで本 稿 で は 、 我 が 国 の 休 日や 休 暇 の 増 加 を 実 現 す る とい う視 点 に お い て 、 労 働 法 上 に お け る祝 日 の 扱 い 方 を考 え る一 材 料 を 提供 す べ く、 労働 法規 範 の 中 に祝 日に 関 す る規 定 を置 き 、 労 働 関 係 に お け るそ の 取 扱 い の 基 本 原 則 を示 して い る ス ペ イ ン の制 度 を紹 介 す
る と同時 に、 労 働 法 上 に祝 日 を位 置 付 け る こ とか ら生 じて い る問 題 の 所 在 を 分 析 して お きた い。
二.ス ペ イ ンの 祝 日制 度 の基 本 構 造
一 労働 法 との 関係 を視 点の 中心 と して
1.祝 日制 度 の概 要
上 記 の よ うに我 が 国 で は祝 日 の 目的 が 法 律 で 規 定 さ れ て い る の に 対 して 、 意 外 に 感 じ られ るか も しれ な い が 、 ス ペ イ ン で は それ を 明確 に規 定 す る条 文 は存 在 して い な い。 ス ペ イ ン労 働 法 の 中 で は、 以 下 で 述 べ る よ うに祝 日 に関 す る規 定 が 存 在 し、 祝 日 と週 休 日 とが 形 式 的 に は 同 じ と位 置 付 け られ て い る が 、 実 は この 両 者 の 目的 の 違 い に つ い て 、 す な わ ち 、 祝 日 を休 日 とす る 目的 とは 何 か に
c)
つ い て は明 記 され て い な いの で あ る。
6)祝 日 の意 義 や 目的 に関 す る規 定 が なぜ 存 在 しな い のか とい う理 由 につ い て 、数 人 の ス ペ イ ン人 労 働 法専 門 家 に問 い合 わ せ て い るが 、 現 時 点で は残 念 な が ら筑 者 が納 得 で き る 理 由 は いた だ け て い な い。 もっ とも、週 休EIの 最 大 の 目的 は、年 次 有 給 休 暇 な ど と同 じ く、労 働 者 に 対 して その 労働 に よ って 消耗 した労 働 力 の回 復 の 時 間や 、 労 働 以外 の 自由 な活動 を行 うた め の時 問 を保 障す る こ とで あ る と され て い るが(年 次 有 給 休 暇 の 目的 に っ い て、 裁判 例 で は、 例 え ば最 高裁 判 所 が1997年2月13日 の判 決 の11:1で「労働 者 が その 労 務提 供 か ら生 じる身 体 的 お よび精 神 的 な 消耗 を回 復 させ 得 る休 息 お よび 自由時 問 を有 給 で保 障 しよ う とい う もの で あ るj(STSl3febrerol997[RJ1997,1267])と 述 べて い る し、 また学 説 で も、例 え ばモ ン トージ ャ教 授 が 「〔年 次 有給 休 暇 の〕 権 利 は、 労働 者 の活 力 を 回復 させ 、 か つ この た め に必 要 な余 暇 時 間 を付与 す るた め に考 案 され た権 利 で あ る」 〔AlfredoMontoyaMelgar,1)erechodelTrabajo,28aed.,Tecllos,2007,
pags.351a352〕 と説 明 され て い る)、祝 日の それ は 、祝EIを 設 定 す る こ とに内 在 す る 固有 の 目的が 当 然 に存 在 す る と考 え られ て い る よ うで あ る。
ス ペイ ン労働 法 にお け る 「祝 日」 の取 扱 い
S
も っ と も 、 こ の 点 に つ い て は 、 例 え ば カ ス テ ィ ー ジ ャ ・イ ・ レ オ ン 自 治 州 管 区 高 等 裁 判 所 バ ジ ャ ド リ ッ ド支 部 が1992年9月28日 の 判 決 の 中 で 「労 働 者 憲 牽 法37条1項 で 規 定 す る 労 働 力 を 回 復 させ る 必 要 性 に 応 じ た 週 休 日 と 、 同 法37条
2項 で 規 定 す る 〔労 働 力 の 回 復 の 〕 目 的 で は な く、 純 粋 に(simplemente)一 定 の 世 俗 的 ま た は 宗 教 的 な 式 典(solemnidadeslaicasoreligiosas)を 開 催
7)
す る 目 的 に 応 じる祝 日 とは 区別 され な けれ ば な らな い 」 と し、 ま た バ ス ク 自 治 州 管 区 高 等 裁 判 所 も1997年7月16日 の 判 決 で 「労 働 者 憲 章 法37条2項 は 、週 休 日 とは別 に 年 間 の一 定 の 祝 日を 規 定 して い る。 した が っ て 、 祝 日 が 〔週 休 日 と は 別 に〕 制 度 化 され て い る 目的 は、 〔祝E1が 〕 労 働 者 の休 息 や 余li駁の た め の時 間 で あ る と して も、 単 に それ だ けで は な く、 一 定 の世 俗 的 また は宗 教 的 な 式 典 を
お
開 催 す る 日で あ る 〔とい う 目的 も有 して い る〕」 との見 解 を述 べ て い る。
ま た学 説 で も、 例 え ば ビ ヌ エ サ 教 授 は 「〔こ う した不 定 期 の 休 日(=祝 日)〕
が 設 定 され て い る理 由 は 、 〔労 働 者 の 〕 余 暇 〔を確 保 す る こ と〕 の た め で あ る と 同 時 に 、思 想 的 な 動 機 、 また 宗 教 的 ・政 策 的 ・文 化 的 な 性 格(indole)に 基 づ
の
く動 機 に応 じ る た め で あ る」 と述 べ られ て お り、 また セ ンペ レ教 授 も 「労 働 者 に よ る祝 日の 享 受 は 、 そ の 活 力 の 回 復 を 可 能 に し、 また 余 暇 時 間 を 付 与 す る こ
と に加 え て 、 何 らか の 卓 越 した 動 機 に よ り設 定 さ れ て い る一 定 の 日 を 記 念 し祝
io)
賀 す る こ と を 目的 とす る とい う多 様 な根 拠 を有 して い る」 と述 べ られ て い る。
要 す る に 、 祝 日 は そ う した特 別 な意 味 合 い を有 す る休 日で あ る こ とか ら、 原 則 と して 当 然 に労 働 か ら解 放 され る 日で あ る こ とが 自明 の こ と と理 解 され て お り、
特 に法 の 中 で 目的 規 定 を加 え る必 要 もな い ほ ど 自 明 の こ と と考 え られ て い る の か も しれ な い 。
それ で は 、 スペ イ ン に お け る現 行 の そ う した 祝 日制 度 が どの よ うな基 本 構 造 とな っ て い るか に つ い て 、 労 働 法 との関 係 を視 点 と しつ つ 整 理 して お きた い。
7)STSJCastillayLeon[Valladolid]28septiembre1992[AS1992,4688].
8)STSJPaisVasco16Julio1997[AS1997,2330].
9)A且FonsoVinuesaA[adro,1)erechòlel7「rnbq/opornEnapresoazos,2aed., Carperi,1998,pag.456.
10)AntonioV.SempereNavarro,enMontoyaMelgar,GalianaMoreno,
SempereNavarro,Ri6sSalmon,Co〃 諺θη∫α万o∫CllEstalt̀'oclelos7「rabaj̀mores, 7aed.,Aranzadi,2007,Pig.325.
6
n)
(1)祝 日の 日数:祝 日 の 日数 に つ い て は、 労 働 者 憲 章 法 に は 「年 間 を通 じて
I'L)
原 則 と して14日 を超 え る こ とが で き な い。」 と規定 され て い る(37条2項1段)。
こ の 「超 え る こ とが で き な い 」 とい う意 味 は 、 例 え ば全 国 管 区高 等 裁 判 所 が 1997年2月3日 の 判 決 の 中で 、 労 働 者 憲 章 法37条2項 で い う 「14日」 とは 、 労 働 者 に労 働 義 務 が 生 じ な い 日が そ の 日数 枠 内 で 設 定 され る とい う こ とにす ぎず 、
した が っ て 、 企 業 に は設 定 され な か っ た 日数 分 に つ い て追 加 的 に休EIを 付与 す
13)
る義 務 は な い とす る趣 旨 の こ とを述 べ て い る よ うに 、 文 字 通 り年 間 合 計 で14日 を 「超 え る こ とが で きな い 」 とい う こ とで あ っ て 、必 ず し も14日 分 を付 与 す る こ とを保 障 した もの で は な い とさ れ て い る。
(2)国 単位 で 設 定 さ れ る 祝 日:こ の14日 の祝 日の 設 定 権 者 に つ いて は 、基 本 的 に 「国 」 と 「自治 州 お よび 地 域 」 の 単 位 で そ れ ぞれ 設 定 す る形 式 が 採 られ て
w) い る 。
11)RealDecretoLegislativo1/1995,de29demarzo.ApruebaelTexto RefundidodelaLeydelEstatutodelosTrabajadores[RCL1995,997].
[2)一 般 的 な イ メ ー ジ と し て 、 ス ペ イ ン は 祝 日 が 多 い よ う に 思 わ れ て い る よ うで あ る が 、 法 定 の 祝 日 に 限 っ て 比 較 す れ ば 、 実 は 我 が 国 の 現 行 の 国 民 の 祝EIの 日 数(15日)よ り も 1日 少 な い の で あ る 。
13)SAN3febrero1997[AS1997,936].
14>な お 、 本 文 で は 言 及 し な か っ た が 、 カ ト リ ッ ク 以 外 の 宗 教 上 の 祝 日 に つ い て 、 ス ペ イ ン 国 と、 ス ペ イ ン ユ ダ ヤ 教 徒 自 治 体 連 合(Federaci6ndeComunidadeslsraelistas
deEspana)お よ び ス ペ イ ン イ ス ラ ム 教 徒 委 員 会(ComisionIslamicadeEspana) と の 協 力 協 定 の 内 容 を 内 包 す る199211月10!=1の 法 御25号(Ley25/1992,delOde noviembre,sobreacuerdodecooperaciondelEstadoconlaFederacion
deComunidadesIsraelistasenEspana)お よ び 法 律26号(Ley26/1992,de10 denoviembre,sobreacuerdodecooperaciondelEstadoconlacomision
[slamicadeEspana)に 基 づ い て 、 事 前 合 意 に よ り、 そ れ ぞ れ の 信 仰 の た め に 労 働 者 憲 章 法37条2項 で 定 め られ た 祝 日 を 変 更 す る こ と が 認 め ら れ て い る 。 上 記 協 定 で は 、 そ れ ぞ れ 以 下 の 祝 日 の 代 替 が 認 め ら れ て い る 。ユ ダ ヤ 教 徒 に は 、①RoshHashana、 ②Yon Kippur、 ③Succoth、 ④Pesaj、 ⑤Shavuotの5種 類 の 祝 日 。 イ ス ラ ム 教 徒 に は 、 ①Al Hiyra、 ②Achura、 ③lduAl‑Maulid、 ④AlIsraWaAl‑Mi'ray、 ⑤ldしlAlFitr・
⑥lduAl‑Adhaの6種 類 の 祝 日で あ る(そ れ ぞ れ の 法 卸 に 含 ま れ て い る 付 録12条1項)。
こ れ ら の 祝 日 の 労 働 法 上 の 性 質 は 、 両 当 事 者 に よ る 事 前 合 意 を 必 要 と す る 以 外 、 本 文 で 述 べ る一 般 的 な 祝 日 と 同 じ と され て い る 。 な お 、 こ の2つ 以 外 に も 、 プ ロ テ ス タ ン トの 連 合 と の 協 定 も 締 結 さ れ 法 制 化 さ れ て い る(Ley24/1992,de10denoviembre,
sobreacuerdodecooperationdelEstadoconlaFederationdeEntidades
ス ペ イ ン労 働 法 にお け る 「祝 日」 の取 扱 い 7
国 単 位 の 祝 日 と は、 もち ろん 国 に よ って 設 定 され 、 国 民全 員 に対 して 一 彿 に 適 用 さ れ る祝E1の こ とで あ っ て 、 上 記14日 の うち原 則 と して12日 分 とさ れ て い る。 これ ら の祝 日 は、 政 令 で 以 下 の4つ の範 疇 に分 類 され て い る(1983年7月
15)Ifi)
28日 政 令2001号1545条1項)。
第1範 疇(公 民 的 性 格(caractercivico)を 有 す る2種 類 の 祝 日):ス ペ イ ン 国 祭 日(MestaNacionaldeEspana.10月12日)、 憲 法 記 念 日(Diade laConstituci6n.12月6日)。
第2範 購(労 働 者 憲 章 法 の 規 定 に 基 づ く3種 類 の 祝 日):元 日(AnoNuevo.
1月1日)、 メ ー デ ー(FiestadeTrabajo.5月1日)、 ク リ ス マ ス(Navidad deSenor.12月25日)。
第3範 疇(1979年1月3日 の 教 皇 庁(SantaSede)と の 協 定3条 の 履 行 に 基 づ く4種 類 の 祝 日:聖 母 マ リ ア 被 昇 天 の 祝 日(Asuncionde且aVirgen.8月
ReligiosasEvang創icasenEspana)。
15)RealDecreto2001/1983,de28deJulio,deregulaciondejornadasde
trabajo,jornadasespecialesydescansos[RCL1983,iszo].こ の1983年 政 令 200且 号 に 含 まれ て い た 労 働 時 間 お よ び 休 日 に 関 す る諸 規 定 は 、 特 別 労 働up間 に 関 す る1995 年9月21日 政 令1561号(RealDecretol561/1995,de21deseptiembre,de
jornadasespecia‑esdetrabajo[RCLI995,2650])が 制 定 され た こ と に よ っ て 、 そ の 祝 日 に つ い て 規 定 す る45条 、96条 お よ び47条 を 除 き 廃 止 さ れ て い る(労 働 者 憲 革 法 経 過 規 定5項 お よ び1995年 政 令 且561号 廃11二 規 定1項)。 な お 、 現 行 の1983年 政2001号 の
」二 記3か 条 は 、1989年11月3日 政r1'346に よ り修iEさ れ た も の で あ る。 な お 、 「 聖 木 曜 日」 と 「 聖 金r̲i」 に 日付 を 入 れ て い な い が 、 こ れ は 移 動 祝 日(毎 年 日 付 が 変 動 す る 祝 日。 我 が 国 で は 「 巻 分 の 日 」 や 「 秋 分 の 日 」 が 移 動 祝Elで あ る)で あ る た め で あ る 。 と こ ろ で 、 そ れ ぞ れ の 祝 日 の 日 本 語 訳 に は さ ま ざ ま な も の が あ て ら れ て い る が 、 本 稿 で の 訳 語 は 、 原 則 的 に 在 ス ペ イ ン 日本 国 大 使 館 お よ び ス ペ イ ン 政 府 観 光 局 の ど ち らか の 訳 語 を 採 用 した が 、 筆 者 が 独 自 に 訳 し た も の も あ る 。
16)本 文 で 述 べ た 分 類 の 仕 方 は 、 且983年 政 令2001号 の 規 定 に 合 わ せ た もの で あ る(た だ し、
祝 日 名 の 順 序 は 月 日 を基 準 に 並 べ 直 し て い る)。 こ の 分 類 の 仕 方 に つ い て は 、 例 え ば ビ ヌ エ サ 教 授 は 、 祝EIが 「 義 務 的 な も の か 」 ま た は 「 取 捨 選 択 が 可 能 か 」 と い う 基7S(1か ら、
「 第1グ ル ー プ(9つ の 義 務 的 祝 日)」 、 「 第2グ ル ー プ(国 単 位 の 祝 日 で あ る が 自 治 州 に よ っ て 代 替 が 可 能 な2つ の 祝 日)」、(「第3グ ル ー プ(各 自治 州 が 独 自 に 選 択 で き る2っ の 祝ED」 の3つ に 分 類 され て い る(AlfonsoVinuesaAladro,op.CL/.,p5gs.456a
457.)。 ビ ヌ エ サ 教 授 の こ う した 分 類 の 仕 方 は 、 例 え ば 祝 日 の 公 表 が な ぜ 毎 年 必 要 と さ
れ る の か を 説 明 す る た め に も 有 効 で あ る 。
8
15日)、 諸 聖 人 の 日(TodoslosSantos.ll月1日)、 無 原 罪 の 御 宿 り の 日 (Inmacu且adaConcepci6n.12月8日)、 聖 金 曜 日(ViernesSanto)。
第4範 疇(1979年1月3日 教 皇 庁 と の 協 定3条 の 履 行 に よ る4種 類 の 祝 日:
主 顕 節(EpifaniadelSenor.1月6日)、 サ ン ・ホ セ(SanJose.3月19日)、
聖 木 曜 日(JuevesSanto)、 聖 ヤ コ ブ 〔大 ヤ コ ブ 〕 の 日(SantiagoApostol.
7月25日)。
こ の 第3と 第4の 範 咄 は 教 皇 庁 と の 同 じ協 定 を 根 拠 とす る 祝 日 で あ る が 、 こ れ ら が 区 別 さ れ て い る理 由 は 、 第4範 疇 に 含 め ら れ て い る4種 類 の 祝 日 に つ い て は 、 自 治 州 が そ の 伝 統 に 基 づ い て 独 自 の 祝 日 に 変 更 で き る と さ れ て い る か ら で あ る。 例 え ば 、 「サ ン ・ホ セ 」 と 「聖 ヤ コ ブ の 日 」 の ど ち ら を 祝 日 に す る か は 各 自 治 州 が 選 択 で き る と さ れ て お り、 自 治 州 が こ の 選 択 を 行 わ な い 場 合 に は 、
「サ ン ・ホ セ 」 が 選 択 さ れ た も の と み な さ れ る こ と に な っ て い る(以 上 、1983年 政 令2001‑'45条3項)。 こ の こ と か ら も 明 白 で あ る が 、 こ れ ら の 国 単 位 の 祝 日
しア
が す べ て祝 日 に設 定 さ れ るわ けで はな い。 ただ し、 「元 日、 メ ー デ ー 、 ス ペ イ ン 国祭 日、 ク リス マ ス」 の4つ は 、 「い か な る場 合 に お い て も、 国 単位 の 祝 日 と し て尊 重 さ れ」 な けれ ば な らな い と され て い る(労 働 者 憲 章 法37条2項1段)。
(3)自 治 州 お よ び地 域 単 位 で 設 定 され る祝 日:こ の4つ の最 優 先 の祝 日以 外 の 日の 設 定 の 仕 方 は や や 複 雑 とな って い るが 、 上 述 の よ うに祝 日の うち 国 が 設 定 す る12日 分 を 除 い た 日数 、 す なわ ち2日 分 は 「各 都 市 の 固 有 の伝 統 に基 づ い
て独 自 に」 定 め る こ とが で き る と され て い る。
そ の 祝 日の 決 定 は 、 それ ぞ れ の 地 域 に お い て 「権 限 を有 す る議 会 の 総 会 の提 案 に基 づ いて 労 働 当局 が行 う」 こ とに な って い る(以 上 、1983年 政 令2001号46 条)。 そ して 、 この2日 分 の 祝E1を 含 め て 、 各 自 治 州 は、 「年 間14日 を 超 過 させ
な い範 囲 」 で 、 「各 自治 州 の 伝 統 に基 づ く固 有 の祝 日を 決定 し、 か つ それ らを 法 令 で 定 め る国 単 位 の祝 日 に代 替 し得 る」 と され て い る。 た だ し、 上 記4つ の 国 単位 の 祝 日 の尊 重 は こ こで も優 先 され る た め 、 「自 治州 が定 め た 祝 日 に代 替 し得
17)た だ し、 も ち ろ ん 自 治 州 が 国 単 位 の 祝 日 の 設 定 に 干 渉 し得 る わ け で は な い 。Vid., ManuelCarlosPalomequeLopez,ManuelAlvarezdelaRosa,Dererkorlel
Trabajo,19aed.,CentrodeEstudiosRam6nAreces,2009,pag.664.
スペ イ ン労働 法 にお け る 「祝 日」 の 取 扱 い 9
る国 単 位 の 祝 日 は 月 曜 日 に移 動 」 し得 る祝 日だ け と され て い る(以 上 、 労 働 者 憲 章 法37条2項3段)。
な お例 外 的 に、 あ る 自治 州 の あ る年 に お い て 「国 単 位 の祝E1と 日曜 日 との 鯨 な りの 日数 の 関 係 で 、 その 伝 統 に基 づ く祝 日の ひ とつ を定 め る こ とが で きな い 場 合 に は 、最 大14日 の 祝 日 に1日 だ け追 加 」 す る こ とが で き る とされ て い る(労 働 者 憲 章 法37条2項4段)。
(4)国 お よ び 自 治 州 に よ る祝 日の 移 動:と こ ろ で 、 ス ペ イ ンで は 、 国 の 権 限 と して政 府 に対 して 、 月曜 日以 外 の 労働 日 に そ の 日 を迎 え る祝 日 を 月 曜 日 に移 動 させ 、 また あ る祝 日が 日曜 日 に発 生 す る場 合 に は その 祝 日 に相 当 す る休 日 を 直 後 の 月 曜 日 に移 動 させ る権 限が 付 与 され て い る(労 働 者 憲 章 法37条2項2段 。
1983年 政 令2001号45条2項)。
こ う した 措 置 を講 じ る権 限 が 政 府 に 付 与 され て い る理 由 は 、 モ ン トー ジ ャ教 授 や ビ ヌエ サ 教 授 の 説 明 に よれ ば、 企 業 の 生 産 性 に 負 の 影 響 を及 ぼ す 慣 行 、 す なわ ち、 ス ペ イ ンで は"puentes"と 呼 ばれ て い る休 日 と休 日の 間 の 労働 日 も休
ラ
日 に す る 「連 休 」 を回 避 す るた め で あ る とい う こ とで あ る。 た だ し、 こ う した 祝 日 の移 動 の 場 合 に は 、 「〔労 働 者 憲 章 法37条2項1段 〕 で 明 示 され た こ とを尊 重 しつ つ 」(労 働 者 憲 章 法37条2項2段)と い う条 件 が 設定 され て い る こ とか ら、
上 記 の4つ の 最 優 先 の 祝 日 につ い て は 、 バ ル ベ ル デ 教 授 な ど に よ れ ば 、 それ ら が 日 曜 日 と重 な る場 合 に休 日 を 月 曜 日 に移 動 さ せ 得 る の み で あ っ て 、 それ らの
ゆ
祝 日 自体 を月 曜 日 に移 動 させ る こ とは 禁 止 さ れ て い る と解 釈 され て い る。
18)AlfredoMontoyaMelgar,op.cit.,pag.351;AlfonsoVinuesaAladro,op.
cet.,pag.457.も っ と も 、 この 権 限 が 政 府 に あ る こ と が 、"puentes"自 体 を 禁 止 す る 意 味 で は な い こ と は 当 然 で あ る(す な わ ち 、 そ れ を 禁 止 す る 規 定 は 現 行 法 令 上 に 存 在 して い な い)。 した が っ て 、 例 え ば10月12日 の ス ペ イ ン 国 祭EIが 週 の 途 中 日 で あ っ た と き に 、 直 近 の 休 日 との 間 の 労 働Elを 休 日 に す る 労 働 協 約 が 締 結 さ れ た と す れ ば 、 そ れ は も ち ろ
ん 有 効 で あ る 。VaCI.,JuanM.RamirezMartinez,JesusGarciaOrtega, JoshMariaGoerlichPeset,TomasSalaFranco,CursodeDerechoclel
Tπ 〜 わαブo,15aed.,TirantoLoBlanch,2006,pag.405.
19)AntonioMartinValverde,FerminRodriguez‑SahudoGutierrez,Joaquin
GarciaMurcia,L)erec{rodelTrabajo,18aed.,Tecnos,2009,p自g.57Lな お 、 ア
ン トニ オ ・マ ル テ ィ ン ・バ ル ペ ル デ(AntonioMartinValverde)氏 は 、 現 在 は ス ペ イ
ン最 高 裁 判 所 の 判 事 に 就 任 さ れ て い る が 、 本 稿 で は バ ル ベ ル デ 氏 が 研 究 者 で あ っ た と き
/0
な お 、 祝 日 を 月 曜 日へ 移 動 さ せ る権 限 は 、 自 治 州 に も 付 与 さ れ て い る(労 働 者 憲 章 法37条2項3段)。
(5)祝 日 一 覧 表 の 公 表:以 上 の 説 明 か ら 明 ら か な よ う に 、 祝 日 は 自 治 州 ご と に 毎 年 変 更 さ れ る こ と も理 論 的 に は あ り得 る こ と に な る。 こ の た め 、 各 自 治 州 は 、 翌 年 の 祝 日予 定 に つ い て 毎 年9月30日 ま で に 労 働 移 民 省(Ministeriode TrabajoeInmigracion)の 労 働 局(DirectionGeneraldeTrabajo)に 提 出 し な け れ ば な ら な い こ と に な っ て い る 。 そ し て 、 こ れ を 受 け て 労 働 移 民 省 労 働 局 は 、 毎 年 、 各 自 治 州 の 伝 統 的 な 祝 日 を 含 め た 「祝 日 一 覧 表(Relaci6nde lasFiestasLaborales)」 を 作 成 し 、年 末 に 官 報(BoletinOficialdelEstado)
zo) に 公 表 す る こ と に な っ て い る(以 上 、1983年 政 令2001号45条4項)。
な お 、 自 治 州 お よ び 地 域 単 位 で の 独 自 の 祝 日 の 設 定 が な さ れ た 場 合 に は 、 自 治 州 の 広 報(BoletinOfficialdelaComunidadAut6noma)お よ び 都 市 の 広 報(BoletinOfficialdelaProvincia)を 通 じて 公 表 さ れ る こ とに な っ て い
る(1983年 政 令2001号46条)。
2.労 働 法 上 に お け る 祝 日 の 法 的 性 質
それ で は 次 に、 ス ペ イ ン労 働 法 規 範 に お い て祝uを 休 日 とす る こ とが ど の よ う に保 障 され て い るか 、 そ の基 本 原 則 に つ い て若 干 の 裁 判 例 と学 説 を 参 照 しつ っ整 理 して お き た い 。
(1)祝 日の 位 置 付 け:労 働 法 の 視 点 か らの 祝 日の 形 式 的 な 位 置 付 け につ い て は 、 「(…)週 休 日の た め の有 償 制 度 〔お よび 〕 代 替 休 日 の 付 与 方 法 そ の 他 の 享 受 の条 件 は、祝 日に つ い て も同 じ く適 用 され る。」(1983年 政 令2001号45条5項)
と規 定 さ れ て お り、要 す る に休 日 と して の 法 的 効 果 は 原 則 的 に 週 休 日 と同等 の もの とみ な され て い る。 した が って 、 祝 日制 度 の 労 働 法 上 の 実 質 的 な効 果 に っ い て は、 バ ル ベ ル デ教 授 や モ ン トー ジ ャ教 授 の説 明 に も あ る よ うに 、 「労 働 か ら
zqね ラ
解 放 さ れ る 日 」 で あ る と同 時 に 、 「義 務 的 な(obligatorio)」 週 休 日(descanso
の 文 献 も使 用 し て い る た め 、 「 バ ル ベ ル デ 教 授 」 と 記 し て い る 。
20)20且0年 の 祝 日 一 覧 表 は 、2009年11月12日 に 公 表 さ れ て い る 。Vid.,Resoluci6nde 12denoviembrecte2009,delaDireccionGeneraldeTrabajo,porlaque
sepublicalarelaciondefiestaslaboralesparaelano2010.
ス ペ イ ン労 働法 に お け る 「祝 日」 の取 扱 い
/!
semana1)と 同 じ く 「有 償 」 で あ る とさ れ て い る。
な お 、 既 述 の よ うに祝 日の 設 定 は 国 単 位 ま た は 自治 州 お よ び地 域 単 位 で 行 わ れ るた め、 労 働 法 で 独 自に 他 日 に代 替 す る こ と は許 さ れ な い とさ れ て い る。 た だ し、 自治 州 が 上記 の よ うに最 大14日 に1日 を 追 加 した場 合 に は、 そ のlE1に つ い て だ け は他 日 に代 替 す る こ とが 可 能 な祝 日 とさ れ る こ とに な って い る(以
'L3)
上 、 労 働 者 憲 章 法37条2項1段)。
(2)祝 日 の 有 償 性:祝 日 につ い て 支 払 わ れ る現 金 また は現 物 は 、 年 次 有 給 休 暇 中 の報 酬 な ど と同 じ く、 「労 働 時 間 と計 算 され る休 息 時 間 に対 す る支 払 い 」 の
za)
場 合 と して 賃 金 性 を 有 す る とさ れ て い る(労 働 者 憲 章 法26条1項)。
その 賃 金 の構 成 に つ い て は労 働 者 憲 章 法 に 明 確 に は 規 定 さ れ て い な い が 、 年 次 有 給 休 暇 と祝 日に支 払 わ れ る賃 金 が 同 じ性 質 の もの で あ る こ とを考 慮 す れ ば 、
労 働 者 憲 章 法26条3項 で 規 定 す る 「基 本 給(salariobase)」 と、 「当 該 労 働 者 の 個 人 的 条 件 」、 「遂 行 され た 労 働 」、 「企 業 状 態 」 に 応 じ て 定 め られ る 「手 当
25)
(complementossalariales)」 か ら構 成 さ れ る こ と に な る で あ ろ う 。 も っ と も 、 そ の 算 定 方 法 は 必 ず し も 明 確 と は い え な い 。 し か し、1983年 政 令
21)AntonioMartinValverdeyotros,op.qtr.,pag.570.し か し 、本 文 で 述 べ た よ う に 、 そ の 設 定 の 権 限 が 国 と 自 治 州 に ま た が る な ど 、 複 雑 な 歴 史 の 産 物 と し て 労 働 法 の 中 に 組 み 込 ま れ た も の で あ る 点 に 留 意 し て お く必 要 が あ る 。Virl.,ManuelCarlos PalomequeLopez,ManuelAlvarezdelaRosa,op.cit.,pag.664.
22)AlfredoMontoyaMelgar,op.cit.,pag.350.
23)こ の 法 的 性 質 の 原 則 は 、 国 単 位 お よ び 自 治 州 お よ び 地 域 単 位 の 祝 口 で 原 則 的 に 違 い が な い こ と は 当 然 で あ る(1983年 政 令2001号46条)。 な お 、 労 働 者 憲 草 法37条2項 の こ の 原 則 は 、1976年4月8EIの 労 働 関 係 法(Ley16/1976de8deabril,Relaciones
Laborales[RCL1976,766])25条2項 に お い て す で に 、 「 政 府 は 、 労 働 省 の 提 案 に よ り、 労 働 組 合(Organizaci6nSindical)の 報 告 の 後 に 、 国 単 位 と 法 的 に 宣 言 さ れ る 休 日 お よ び 地 域 単 位 の 性 格 を 有 す る 休EIを 列 挙 す る 労 働 休 日 に 関 す る 年 間 予 定 表 (calendarioanual)を 作 成 す る 。 前 者 は12日 を 、 そ し て 後 者 は21.1を 超 え な い 。 い か な る 休 日 も労 働 の た め に 代 替 可 能 な 性 質 を 有 す る も の で は な く、 か つ そ の す べ て が 有 償 で あ る 。」 と規 定 さ れ て い た 。
24)法 令 の 中 の 労 働 者 憲 章 法26条1項 の 注 詑 に は 、 こ の 期 間 と は37条(週 休 日 、 祝 日 、 特 別 休 暇)お よ び38条(年 次 有 給 休 暇)の こ とで あ る こ とが 明 記 さ れ て い るVid.,Jes〔ls MariaGalianaMorero,AntonioV.SempereNavarro,Legislnci6nLaGornly
deSegurictaclSocial,15"ed.,ThomsonAranzadi,2007,p5g.88.
iz
2001号47条 に は 「〔祝 日の 賃金 の算 定 が 〕 そ の週 に相 当 す る賃 金 」 を基 準 とす る 文 言 が あ る こ とか ら も、 セ ンペ レ教 授 が い うよ うに 、 「祝 日の 享 受 とそ の相 当 す る賃 金 の 受 領 は、 そ の祝 日が 含 まれ る週 の 問 に提 供 され た 活 動 に応 じ(る)」 と
ゆ
考 え られ る 。 した が っ て 、 例 え ば 、 労 働 時 間 が 常 勤 労 働 者 に比 して 短 い パ ー ト タイ ム労 働 者 の祝 日中 の 賃 金 を無 支 給 に す る な どは、全 国管 区高 等 裁 判 所 が1994 年7月4日 の 判 決 に お い て 「短 時 間 労 働 者 に 対 して祝 日の 労 働 の 経 済 的 補 償 を
ヒ
行 わ な い こ とは 差 別 で あ る」 と明 言 して い る よ うに 、 原 則 的 に は許 さ れ な い措
28)
置 と い う こ とに な る で あ ろ う。
(3)祝 日 の 非 代 替 性:上 述 した よ うに 、祝 日の 設 定 が 国 や 自治 州 の権 限 で 行 わ れ る も の で あ り、 か つ その 目的 が 単 な る週 休 日 とは 異 な る性 格 を もつ もの で あ る以 上 、 原 則 と して他 の 日 に代 替 し得 な い こ とは 明 白で あ る。 こ の 点 に つ い て、 例 え ばナ バ ラ 自治 州管 区 高 等 裁 判 所 は2005年1月17日 の判 決 に お いて 、 雇 用 主 が た とえ 生 産 上 の都 合 を理 由 と した と して も、 自治 州 が設 定 した祝 日 を含 め て あ る祝 日 を一 方 的 に(unilatera且mente)他 日に移 動 させ る こ とは許 され な
'L9)
い とす る趣 旨 の 判 断 を して い る。
25)年 次 有 給 休 暇 期 間 中 に お け る 報 酬 の 算 定 お よ び こ れ に 関 連 す る 諸 問 題 に つ い て は 、 さ し あ た り、 岡 部 史 信 「 ス ペ イ ン 年 次 有 給 休 暇 の 基 本 構 造 に つ い て 」(大 宮 法 科 大 学 院 大 学
『大 宮 ロ ー レ ビ ュ ー5号 、2009年 、us〜120ペ ー ジ)を 参 照 し て い た だ き た い 。 26)Vid,AntonioV.SempereNavarro,enMontoya,Galiana,Sempere,Rios,
op.cit.,pag.325.
27)SAN4Julio1994[AS1994,4640].
28)も っ と も 、 パ ー トタ イ ム 契 約 そ の 他 の よ う な 、 期 間 の 定 め の な い フ ル タ イ ム 契 約 と は 異 な る 契 約 形 態 の 労 働 者 と企 業 との 問 で 祝 日 を無 給 とす る よ う な 特 別 な 条 件 を 設 定 し 得 る可 能 性 に つ い て は 、 必 ず し も禁 止 さ れ て い る と は い え な い か も しれ な い 。 こ の 点 に つ い て 明 確 に 判 示 し て い る裁 判 例 を 筆 者 現 段 階 で は 見 つ け て い な い が 、 例 え ば 、 バ ス ク 自 治 州 管 区 高 等 裁 判 所 は 、2005年3月22日 の 判 決 に お い て 、 「 パ ー トタ イ ム で 契 約 し た 労 働 者 に つ い て 何 ら か の 特 殊 性 が 存 在 す る わ け で は な い か ら(Enelcasodetrabajadores
contratadosatiempoparcialnosepresentaningunaparticularidad)、 〔こ う
し た 契 約 に よ る 労 働 者 は 、 〕 そ の 日 が 祝 日 で な か っ た と す れ ば 遂 行 した で あ ろ う 時 間 に 相 当 す る休 日 の 報 酬 を 失 う こ と な く、 常 勤 労 働 者 と 同 等 の 条 件 に お い て 祝 日 を 享 受 す る梅 利 を 有 す る 」(STSJPaisVasco22marzo2005[AS2005,2254].下 線 は 筆 者)と 述 べ 、 す な わ ち 、 特 約 が な い 以 上 は パ ー トタ イ ム 労 働 者 に も 祝 日 の 付 与 に 関 し て 同 じ条 件 が 当 て は ま る と す る 微 妙 な 言 い 回 しを し て い る よ う に 思 わ れ る。
29)STSJNavarra17enero2005[AS2005,841].
ス ペ イ ン労 働 法 に お け る 「祝 日」 の取 扱 い 13
もっ とも、 企 業 の 活 動 や 業 務 の性 格 に よ っ て は 、 ま た は 緊 急 の必 要 性 が あ る よ うな 場 合 に は 、 祝 日に 勤 務 しな け れ ば な らな い 事 態 が 生 じ る こ と も ま た 当 然 の こ とで あ る。 した が っ て、 祝 日 を他 日 に代 替 し得 な い こ とを原 則 と しつ つ も、
「〔労働 者 が 〕 例 外 的 お よび 技 術 的 また は組 織 的 な 理 由 に よ っ て祝 日 を享 受 で き
30)
な い場 合 に は 、企 業 は 、 当 該 労 働 者 に対 して 、 その 週 に相 当 す る賃 金 の 他 に 、 そ の 日に 労 働 した 時 間 に少 な く と も75%増 しの 額 を支 払 う こ とが 義 務 付 け られ る。 た だ し、 代 償 とな る休 日が 付 与 され る場 合 は この 限 りで な い 。」 と規 定 され て い る(1983年 政 令2001号47条)。
な お 、 祝 日に 労 働 す る こ とに な っ た場 合 に 、75%増 しの 割 増 賃 金 と代 替 休 日 の 付与 の どち らが 選 択 され るか に つ いて は、 裁 判 例 で は そ の 選 択 を 肯 定 し、 し か し祝 日 に労 働 す る こ とで 実 際 の 時 間 が 超 過 す る とき は代 替 休 日の 付 与 は認 め
ao
られ な い と判 断 され て い るが 、 現 実 的 に は労 使 間 の 取 決 め に よ っ て 決 定 さ れ る と しか 判 断 で きな い で あ ろ う。
な お 、 労 働 者 憲 章 法35条1項 後 段 に は 、 「〔時 間 外 労 働 手 当 の 支 払 い か代 替 休 日 の 付 与 の 〕 ど ち らを選 択 す る か の 取 決 めが な い 場 合 、遂 行 され た 時 間 外 労 働 は 、 そ の 日 か ら4か 月 以 内 に代 替 の 休 日 を もっ て 補 償 さ れ な けれ ば な らな い。」
と規 定 さ れ て い る 。
三.祝 日制 度 をめ ぐる労働 法上 の主 な論 点 一 若 干 の 判例 法 理 の分 析 を 中心 と して
ス ペ イ ン の企 業 で は、 事 実 と して 、 労 働 協約 や 労 働 契 約 を 通 じて祝 日 と密 接 に関 連 す る 日(例 え ば、 ク リス マ ス イ ブや 年 末 年 始 の 数 日な ど)を 特 に休 日 と
30)こ の 具 体 的 な ケ ー ス と して は 、 例 え ば 、 あ る 企 業 が 極 め て 重 要 な 受 注 に 対 応 し な け れ ば な ら な か っ た こ と に よ り、 女 性 労 働 者 が そ の 事 業 所 の 所 在 す る地 域 の 祝 日 の ひ と つ を 享 受 で き な か っ た 場 合 な ど が 挙 げ ら れ る。Vicl.,DamiSnBeneytoCalabしgig,Victor
M.HerreroGuillem,Jos@MiguelPradosdeSolis,2000Solrrciones Laborales,CISS,2007,pag.903.
31)Vid.,SS'['SJAndalucia[Malaga]310ctubre2002[AS'LOO3,1040];Galicia
29septiembre2001[AS2001,2896].
/4
す る取 決 め を した り、 ま た は 企 業 側 が 法 で 規 定 す る 日数 を超 え る非 業 務 日 を一 方 的 に付 与 した りと い う こ とが 見 受 け られ る が 、 この こ と自体 は 、 例 え ば 最 高
;f3)
裁判 所 の2002年12月20E1の 判 決 で も述 べ られ て い る よ う に、 何 ら法 に抵 触 す る こ とで は な い。 た だ し、 そ う した拡 大 され た休 日 自体 に は 、 例 え ば マ ドリ ッ ド 自治 州管 区 高 等 裁 判 所 が2002年12月27日 の 判 決 の 中 で 「〔祝 日 に関 連 す る そ う した1:実 上 の〕 慣 行 が 社 会 的 に拡 大 して い る と して も、 そ の こ と 自体 か ら よ り
;w)
利 益 的 な 条 件(condici6nmasbeneficiosa)の 法 理 が 適用 さ れ る こ とは な い」
と判 示 して い る よ う に、 そ う した拡 大 され た休 日 に対 して 法 定 の祝 日 に認 め ら れ る効 果 が 付 与 され る もの で な い こ とは 当然 で あ る。
した が っ て、 例 え ば 、 最 高 裁 判 所 が2001年3月13日 の判 決 で 「〔祝 日一 覧 表 を作 成 す る〕 目的 は、 単 に労 働 者 に 休 日 を保 障 す る こ とで は な く、 社 会 の その 他 の 人 び と と一 緒 に な っ て 、 統 一 的 な 形 式 で 、 宗 教 的 ・公 民 的 ・世 俗 的 な 性 質 を有 す る一 定 の 式 典 を 開 催 しま た は そ う した 出 来 事 を祝 賀 す る こ とを保 障 〔す
32)こ の 点 に っ い て 、 ス ペ イ ン 国 有 鉄 道(RENFE)の 労 働 協 約24条 に 、 休 日の 勤 務 の 場 合 に は150%の 賃 金 が 支 払 わ れ 、 さ ら に 他 日 に 代 替 の 休 日が 付 与 さ れ る こ とが 規 定 さ れ て い た と こ ろ、1992年4月1日 か ら1993年3月31日 ま で の1年 間 の 土 曜EI・ 日曜1ヨ ・祝 日 に 自発 的 に 勤 務 した 従 業 員 た ち が そ の 分 に つ い て75%の 割 増 賃 金 を 受 領 で き な い の は 労 働 者 憲 章 法35条 お よ び37条 に 違 反 す る な ど と し て 訴 え た 事 件 に お い て 、 ガ リシ ア 自 治 州 管 区 高 等 裁 判 所 は1996年4月18日 の 判 決 に お い て 、 「 労 働 者 憲 章 法35条1項 お よ び1983年 政 令2001号40条 が 規 定 す る と こ ろ に よ り 、 企 業 が 〔 休 日 に 従 業 員 を 勤 務 さ せ た に も か か わ ら ず 〕 他 日 に 代 償 とな る休 日 を 付 与 し な い と き は 、 経 済 的 に 超 過 し た 利 益 を 受 け た こ と に な る。1983年 政 令2001‑x;47条 は 、 明 確 に 代 替 のr̲tが 付 与 さ れ な い 限 り、 割 増 賃 金 の 支 払 い が 義 務 付 け ら れ る と規 定 し て い る の で あ り 、 こ の こ と は 、 休 日 の 勤 務 は 他 日 の 非 業 務 日 を 付 与 さ れ る こ と で 完 全 に 償 還 さ れ る 。 〔こ れ ま で の 〕 中 央 労 働 裁 判 所
(TribunalCentraldeTrabajo)の 諸 判 決(例 え1激SSTCTl4febrerol985[RTσr (985/1435];21mayo1985[RTCT1985/3334];21febrero1986[RTCT
l986/1335]な ど を 参 照 して い た だ き た い)で は 、 両 方 の 利 益 が 同 時 に 享 受 し得 る(8C11‑
mular)と 〔 読 め る も の が あ る が 、 こ う した 〕 よ り利 益 的 な代 償(compensacionmas
beneficiosa)は 具 体 的 に 労 働 協 約 で 明 記 さ れ た 場 合 で あ る と理 解 さ れ な け れ ば な ら な い。
(…)本 件 に お い て 焦 点 と され る 労 働 協 約24条 は 、 日 曜 日や 休 日 の 勤 務 の 場 合 に150%の 賃 金 を 支 払 う と して お り、 こ の こ と 自 体 は 労 働 者 憲 章 法35条 且項 お よ び1983年 政 令2001 号47条 が 定 め る水 準 に 達 す る も の で は な い が 、 しか し別 に 代 替 の 休EIを 付 与 す る と して
い る 〔 こ と か ら、 法 に 違 反 す る も の と は い え な い 〕」 と判 示 し て い る(STSJGalicia18
abril1996[AS1996,1961])o
ス ペイ ン労働 法 にお け る 「祝 日」 の取 扱 い15
る〕」 と述 べ 、 ま たバ レ ン シ ア 自 治 州 管 区 高 等 裁 判 所 が2005年10月7日 の 判 決 に お い て 、 祝 日 自体 を 他 日に移 動 させ る協 定 の締 結 を容 認 す る こ とは 、祝 日が その 他 の休 日 と性 質 上 同等 の もの とな る こ とを認 め る こ と と同 じで あ るか ら許
36)
され な い とす る趣 旨 の 判 断 を下 して い る よ う に、 法 で 予 定 さ れ た 例 外 の場 合 を 除 いて 、 労 使 の 判 断 で 一 方 的 に 変 更 す る こ とは許 され な い とす る態 度 を 示 して
97) い る。
こ う した 若 干 の裁 判 例 の 考 え 方 を垣 間 見 た だ け で も、 要 す るに 祝 日一 覧 表 で 設 定 さ れ た 日 に つ い て 、 裁 判 所 は そ れ を厳 格 に遵 守 す る こ とを 求 め て い る こ と が うか が え る。 もっ と も、 現 実 の 労 働 関 係 に お け る祝 日の 取 扱 い を具 体 的 に捉 え た と き、 現 行 の祝 日制 度 の解 釈 の 仕 方 に つ い て疑 問 が 生 じ る点 も多 く残 され て い る よ うで あ る。 そ れ で は 、 そ う した 労 働 法 上 の主 要 な論 点 に つ い て 、 現 時 点 で 筆 者 が 入 手 して い る若 干 の 裁 判 例 を用 い て 考 察 して お き た い 。
1.勤 務 地 と住 所 地 が 異 な る場 合 の 祝 日 の 取 扱 い
(1)論 点 の 所 在:祝 日の 目的 が 単 に週 休EIを 設 定 す る以 外 の そ れ も含 む とい う こ とか らす れ ば、 例 え ば労 働 者 の 勤 務 場 所 と住 所 地 とが 異 な り、 結 果 的 に そ れ ぞ れ の場 所 の 祝 日が 異 な る と き に は、 どち らの 祝 日が 適 用 され る こ とに な る の で あ ろ うか 。 こ の疑 問 は地 域 単 位 の祝 日の 設 定 が認 め られ て い る意 義 を 考 え る上 で も重 要 な 論 点 とな り得 るで あ ろ う。
(2)裁 判 例:こ の 点 に つ い て は 、 ガ リシ ア 自治 州 管 区高 等 裁 判 所 が1996年6
33)STS20diciembre2002[RJ2003,2470].
34)STSJMadrid27diciembre2002[JUR2003,2470].
35)STSI3marzo2001[RJ2001,3178].
36)STSJComunidadValenciana70ctubre2005[AS2005,3212].
37)SSTSJNavarra17enero2005[AS2005,84日;CastillayLe6n[Valladorid]
21febrero2005[AS2005,且33]な お 、 こ の 点 に つ い て は 学 説 に お い て も 、 例 え ば セ ン ペ レ 教 授 は 、 「 〔 裁 判 所 の こ の 法 理 は 、 〕 祝 日 に は 何 らか の 生 産 的 な 活 動 が 行 わ れ な い と 考 え る の で な け れ ば 大 幅 に 相 対 化 さ れ な け れ ば な ら な い 〔とい え る〕 が 、 そ う し た 一 般 化 は 特 別 な 問 題 を 解 決 す る た め で あ っ て も む し ろ 不 要 で あ る 」 と 述 べ ら れ て い る (AntonioV.SempereNavarro,enMontoya,Galiana,Sempere,Rios,op.
cit.,pag.328.),
16
月18日 の 判 決 に お い て 、 企 業 が 適 用 し得 る地 域 の 祝 日は 、 法 令 の規 定 に基 づ い て 判 断 され な け れ ば な らず 、 団体 交 渉 に よ っ て 決 定 され る余 地 は な い とす る趣
38)
旨の 見 解 を 示 し、 また マ ドリ ッ ド自治 州 管 区 高 等 裁 判 所 も1999年9月22日 の判 決 に お い て 、 法 で 規 定 す る 「地 域 」 とい う用 語 は事 業 所 が 所 在 す る都 市 に 関 連 した もの と理 解 され な け れ ば な らず 、 そ の他 の 地 域 の祝 日 に代 替 す る こ と は法 の趣 旨 に反 す る こ とで あ る。 す な わ ち、 そ の 意 味 は、 企 業 と労 働 者 が 、 例 え ば そ の 労 働 者 の 多 くが 居 住 す る地 域 の 祝 日 な ど と、 そ の 事 業 所 が所 在 す る地 域 の
39)
祝 日 を代 替 す る協 定 を許 さ な い とす る も の で あ る とす る判 断 を 下 して い る。
(3)考 察:上 述 の よ う に、 祝 日の 設 定 自体 は労 働 法 の 所 管 外 事 項 で あ るた め に 労 使 間 で 自由 に移 動 させ る こ とが 許 さ れ な いの は確 か で あ ろ うが 、 これ らの 裁 判 例 が 述 べ て い る よ う な、 労 働 者 との 協 定 を も排 除 す る強 い 意 味 が 労 働 者 憲 章 法37条2項 に 含 まれ て い る と明 確 に い え るか ど うか は 、 上 記 の よ うに 祝 日 の 目的 が 単 な る休 日 とは 異 な る意 味 合 い を もつ こ とか ら も疑 問 を 感 じ る と こ ろで あ る。 も っ とも、 裁 判 例 は そ の 地 域 の 祝 日 を移 動 す る こ とを認 め て は い な い が 、 そ の 他 の 地 域 の 祝 日を全 く別 物 と して 改 め て 休 日 とす る協 定 を 締 結 す る こ とま で 禁 じて い るわ けで は な い こ とは 当 然 で あ ろ う。 祝 日 につ い て 何 を基 準 に 決 定
40)
す るか とい う見 方 は さ ま ざ ま あ り得 る が 、判 決 の 結 論 は、 労 働 生 産 性 や 効 率 性 の視 点 が 重視 され た 、 現 実 との 妥 協 的 な判 断 とい わ ざ る を得 な い よ うに 思 われ る。
2.祝 日 と そ の 他 の休 日や 休 暇 が 重 な る場 合 の 取 扱 い
(1)論 点 の 所 在:祝 日 とそ の 他 の週 休 日 との間 の性 質 に違 い が あ る こ とを重 視 す れ ば 、 祝 日 を休 日 に す る こ とに対 して 、 週 休 日 を付 与 す る以 上 に企 業 側 に
38)STSJGalicia18junio1996[AS1996,1777].
39)STSJMadrid22septiembre1999[AS1999,3315].
40)例 え ば 、 刑 務 所 に 収 容 さ れ て い る受 刑 者 の 特 別 関 係 に お け る刑 務 作 業(trabajopen・
itenciario)の 祝 日 に つ い て は 、 「(…)。 ま た 、 〔 施 設 内 で 刑 務 作 業 を 行 う者 に は 、〕 刑 務 所 が 所 在 す る地 域 の 祝 日 も休 日 で あ る。」 と さ れ て い る(刑 務 作 業 に 関 す る2001年7月6 日 政 令782号 〔RealDecreto782/2001,de6Julio,sobreTrabajosPenitenciarios
[RCL2001,1663]〕17条2項 後 段)。
ス ペ イ ン労 働 法 に お け る 「祝 日」 の取 扱 い
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そ の実 現 の た め の 配 慮 が 当 然 要 求 され る こ とに な ろ う。 そ れ で は 、例 え ば 、① 日曜E1と 土 曜 日の 週2回 の 休 日制 を採 用 して い る企 業 で そ の 週 休 日 と祝 日が彙 な っ た 場 合 、② さ らに そ の 日が 勤 務 ロー テ ー シ ョン の 関 係 で 勤 務 しな けれ ば な らな い とさ れ て い た場 合 に は、 そ の 祝 日 の補 償 が 認 め られ るで あ ろ うか 。
(2)論 点1に 関 す る裁 判 例:最 初 の 論 点 に つ い て は 、 勤 務 日が 月 曜 日か ら金 曜 日 まで で 土 曜 日 と 日曜 日 を休 日 とす る協 定 が締 結 さ れ て い る ス ペ イ ン国 有 鉄 道(RENFE)の 従 業 員 が 土 曜 日に 祝 日が 重 な っ た こ とに対 して他 日の代 替 休1≡1 か 経 済 補 償 を 求 め た と こ ろ、 鉄道 側 が1988年1月5日 の 協定3項 に 「(…)祝 日 が 土 曜 日 と重 な った 場 合 、 一 切 の補 償 は行 わ な い。」 とあ る こ とを理 由 に拒 否 し た事 件 に お い て 、 前 述 した カ ス テ ィー ジ ャ ・イ ・レオ ン 自治 州 管 区 高 等 裁 判 所 バ ジ ャ ド リッ ド支 部 の1992年9月28日 の判 決 で は、 「〔労 働 者 憲 章 〕 法 は週 休 日
とさ らに14日 の祝 日を保 障 す る もの で は な く、何 らか の祝 日 と週 休 日 とが 重 な っ
41)
た場 合 に は 、両 者 の 目 的 が 同時 に達 成 さ れ 〔る〕」 との 見 解 が 示 され て い る。
も っ と も、 バ レ ア レス 自治 州 で 月 曜klか ら金 曜 日 ま で の 早 朝 勤 務 に従 事 す る 職 員 が 、 バ レ ア レス 自治 州 の 労 働 協 約31条(職 員 の グル ー プ分 け)と35条(祝
日の 代 替 休 日)の 解 釈 を め ぐ り、週 休 日 で あ る土 曜 日 と祝 日が 重 な っ た場 合 に は代 替 休 日が 認 め られ る と主 張 して 労 働 組 合 を通 じて請 求 した と こ ろ、 自治 州
42)
側 が そ う した 勤 務 形 態 の 職 員 に は代 替 休 日は 認 め られ て い な い と反 論 した 事 件 に お い て 、 最 高 裁 判 所 は1999年ll月2日 の 判 決 で 、 「祝 日 は一 定 の 具 体 的 な1≡1 に つ い て 定 め られ る の で あ るか ら、 その 指 定 され た 日が 何 らか の 他 の 理 由 に よ る労 働者 の 非 業 務 期 間 と一 致 す る こ とが あ り得 るが 、 この場 合 にお いて 、 〔原 則 と して 〕 企 業 主 は 当該 祝 日 を移 動 させ 、 ま た は享 受 で きな か っ た祝 日 の代 わ り とな る追 加 的 な 休 日を 付 与 す る義 務 は な い」 と しつ つ も、 本 件 の 場 合 に つ い て
「〔バ レ ア レス 自治 州 の労 働 協 約 〕35条 は、 祝 日 と週 休 日が 一 致 す る場 合 、 異 な
41)STSJCastillayLeon[Valladolid]28septiembre1992[AS1992,4688].
42)こ の 事 件 の 原 審 で あ る バ レ ア レ ス 自 治 州 管 区 高 等 裁 判 所 は 、1999年3月9日 の 判 決 に
お い て 、 「(…)非 業 務 日 を 享 受 す る 権 利 は 、 〔 当 該 日 に 勤 務 す る 〕 交 代 勤 務 の 者 に 限 定 さ
れ 、 月 曜 日 か ら 金 曜 日 ま で の 勤 務 の 職 員 に は 認 め ら れ な い 。 な ぜ な ら、 全 職 員 に 定 め ら
れ た1,650時 問 制 を 破 壊 す る こ と に な る か ら で あ る」 と して 、 労 働 組 合 側 の 請 求 を 棄 却 す
る 判 断 を 示 し た(STSJBalearesgmarzo1999)。
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る 日 に そ の 代 償 が 付 与 さ れ 〔る〕 と規 定 され て い る。 当該 条 項 の文 言 上 の解 釈 で は 、 〔労 働 協約31条 に あ る よ うな 〕 それ ぞれ の 職 員 につ い て 区別 され て い な い
43)
こ とは明 白 で あ り、 〔本 件 上 告 人 を 〕 排 除 す る こ とに 理 由 が な い 」 な ど と して 、 労 働 組 合 側 の 請 求 を 認 容 す る逆 転 判 決 を 下 して い る。
(3)論 点2に 関 す る裁 判 例:後 者 の 論 点 につ い て は、 あ る清 掃 会 社 に お い て 祝 日 で あ る土 曜 日に 勤 務 した 労 働 者 が 、 その 所 属 す る労 働 組 合 を通 じて 企 業 側 に対 して 祝 日 に勤 務 した こ との 補 償 を 求 め た が拒 否 さ れ た 薯 件 に お い て 、 バ ス ク 自治 州 管 区高 等 裁 判 所 は1997年7月16日 の 判 決 にお いて 、 「〔労 働 者 憲 章 法37 条2項 で は 〕 政 府 お よ び 自治 州 が 日 曜 日 と重 な る祝 日 を(…)月 曜 日 に移 動 し 得 る と規 定 して い る 〔にす ぎ な い〕。 祝E1は 具 体 的 な 日を特 定 され る もの で あ る か ら、 そ の 指 定 され た 日 に何 らか の理 由 に よ っ て 労 働 者 の 非 業 務 期 間 と一 致 す る こ とが あ り得 るが 、 この よ う な場 合 に お い て 、 企 業 は祝 日 を移 動 させ 、 また は そ の享 受 し得 な か っ た祝 日 に対 す る追 加 的 な休 日 を付 与 す る義 務 は 存 在 しな い。 そ の ひ とつ の例 外 は 、 労 働 者 が 労 働 協 約 や契 約 で 取 り決 め られ た 労 働 時 間 ま た は 法 定 の 労 働 時 間 を超 過 で き な い と い う こ とで あ る。 祝 日 が他 の 非 業 務 日 と一 致 す る こ とで そ う した 状 況 が 生 じ る場 合 に は 、 そ の 勇 働 者 は 、 補 償 的 な休 日(…)を 受 け る権 利 を 有 す る こ とに な る。 労 働 者 憲 章 法37条2項 は、 祝 日 と
して年 間14日 間 の 休 日 を労 働 者 が 享 受 す る こ とを 保 障 した もの で は な く、 そ の よ うな場 合 に労 務 の 提 供 を 免 れ る と した もの で あ 〔る〕。(…)こ の 目的 は 、 こ れ らの祝 日が 、本 件 の場 合 の よ うに 月t日 か ら金 曜 日 まで の 勤 務 で あ り土 曜 日 が 休 日で あ る労 働 者 の 休 日 と一 致 す る と きで も達 成 され る もの で あ る。 した が っ て、労 働 活 動 が 存 在 しな い状 況 に お い て 、新 た な休 息 の た め の 日(diadeasueto)
44)
も、また 超 過 分 の 経 済 的 補償 を 求 め るこ ともで きな い」 と、上 記 カ ス テ ィー ジ ャ ・ イ ・レオ ン 自治 州 管 区高 等 裁 判 所 と同 様 の判 断 を示 して い る。
(4)考 察:前 者 の 場 合 につ い て 、 カス テ ィー ジ ャ ・イ ・レオ ン 自治 州管 区 高 等 裁 判 所 バ ジ ャ ド リ ッ ド支 部 や 最 高 裁 判 所 の 原 則 的 な 考 え方 は 、 例 え ば年 次 有 給 休 暇 の 日数 に 日曜 日が 参 入 さ れ る こ とか ら判 断 す れ ば、 そ う した結 論 は 予 想
43)STS2noviembre1999[RJ1999,7840].
44)STSJPaisVasco16Julio1997[AS1997,2330].