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主二1義幾醐ま2脇。、

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(1)

幼児の数能力・数字使用力の発達と月齢との関係について

丸  山  良  平字  (平成3年4月30日受理)

       要     旨

 幼児期の子どもの数能力は年齢によって差異があることが,ピアジェをはじめ多くの心理学的 研究によって明らかにされている。3歳から6歳の幼児期の子どもにとって,!年という期間は

その後の学童期に比べ相対的に長いといえる。そこで,子どもの数能力・数字使用力は,公教育 の場で特別た数の教育を受けていないたらば,子どもの月齢によって差異があり,そして月齢が 増すと共に連続的に発達していくと予想された。

 特別な数教育といわれるような指導をしていない幼稚園に通う3〜5歳児について得られた数 能力・数字使用力の調査資料の分析結果は,次の点を明らかにした。

①3歳児期では,数能力・数字使用力は,発達が始まる前か始まったば牟りで,月齢と共に発達  するとはいえない。4,5歳児期では,数能力・数字使用力は月齢が増すと共に発達する。しか  し,月齢が連続している月齢群でも異年齢層間では,その発達に大きな差異がある。

②幼稚園教育が,数能力・数字使用力の発達を促進する集団効果があると推測された。それは子  どもの全生活の中でつくられる総合的知識によると考えた。

③数詞や数字による初期の数の合成能力は,具体物集合による合成操作のイメージを使うことに  熟達するのと平行して発達すると推測された。

 これらの結果をふまえて,幼児期の子どもに関する数教育の内容と方法への示唆が考察された。

KEY WORDS

mathematica1education数教育 mathematical ability  数能力

abi1ity to use written numerals 数字使用力

。hild education in kindergarten 幼児教育

は じ め に

 藤永他(1963)が幼児の数概念の研究において,「Piagetを頂点とする,いわゆる段階説,つ まり一定の機能段階の序列が自然に定まるとする考え方は,暗に成熟という生物学的要因の展 開を含意している。」と指摘しているように,成熟は数能力・数字使用力の発達の条件のひとつ

と考えられる。幼児の数能力が,その年齢により差異があることは,多くの心理学的研究によ り明らかにされている。そうした研究を受けて,幼児期の子どもの数教育の内容は,就学後の

「学年」を意識した年齢分けによるものが多い。また,筆者(丸山 1991)・は,特別な数教育 を受けていない幼稚園児で,年齢層によって数能力ばかりではたく数字使用力にも欠きた差が

‡幼児教育講座

(2)

あることを報告した。さらに数字使用力の形成は,数能力の発達を基礎としていることを示し た。そこで,本報告では特に断らない限り数能力といった場合,数字使用力もそこに含めて考 えることにした。

 幼児期では年齢により数能力の発達状況が大きく異なり,子どもは1年間で数能力を急速に 発達させるといえる。1年という期間は年齢が3歳から6歳の幼児期の子どもにとって,人生 の1/3から工/6に相当し,その後一の学童期に比べ相対的に長い期問といえよう。この長い 1年間の中で,子ども達は数能力を急速に発達させている。したがって,子どもの月齢によっ ても,数能力の発達に差異が生じていると考えられる。そこで,幼児公教育をはじめ家庭や塾 等で特別な数教育の指導を受けていない子どもの数能力は月齢が増すと共に連続的に発達する と予想した。本報告では,幼児の各年齢層における数能力の発達の様子を明らかにし,月齢と の関係を考察する。さらに,幼児期の子どもの数教育の内容と方法についても考察を加える。

方     法

 幼稚園に就園している3歳児,4歳児,5歳児を対象に数能力をみるために数詞課題とボタ ンテストを実施し,数字使用能力をみるために数字課題を実施する。そして,数能力の発達と 月齢との関係をみるために,各年齢層の幼児をその月齢により,低月齢群(以降,L群と略記),

中月齢群(以降,M群と略記),高月齢群(以降,H群と略記)の3群に分類し,課題の得点を 比較し検討する。

1.調    査

 本調査で実施した課題,対象児及び収集した資料は,筆者がすでに報告(丸山 1991)して いるものと同一である。

1.1 対象児

 新潟市内の一幼稚園に就園する,3歳児43名,4歳 児110名,5歳児98名である。この園では,特別た数 教育といわれるようたものは行われていたい。

1.2 用 具

 学習研究社製の1〜9の数字カード(7om×7㎝)

各1枚を1組,この1〜 9までの数字カードを原寸大 で印刷した大カード(Fig.1−1)1枚,数字カード2枚

を原寸大で印刷した5種類の2数ヵ一ド(Fig1−2)を    Flg1−1大ヵ一ドの数字配置 1組,おはじき30個,小皿2枚,及び直径16ミリの非

主二1義幾醐ま2脇。、

提示から5秒経過しても反応のない場合は無答とす る。数詞課題では,課題提示後5秒経過しても反応の       25om

ない場合は無答とする。       Figユー2 2枚カードの数字配列例

r68・

y・□o

盾盾

 36o皿

eig1−1大カードの数字配置

26㎝

ユ2om

(3)

①数字読み:大カード上で次の1頂で指示される数字を  読む。「3,5.,2,4,1,8,6,9,7」の9小間。

②おはじきの集合と数字の対応(以降,対応と略称)1  次の順で提示される皿の中のおはじきの集合の要素  数と同じ数字を大カードから選択する。「2,4,3,

 6,8」の5小間。

③数字による数の大小比較(以降,数字大小と略称):

 2数カードで,次の順で提示される2つの数字の大  きい方を選択する。「3と4,9と5,14と16,25と18.

 1000と500」の5小間。

④数字による数の合成(以降,数字合成と略称):次の

 頗で提示される2つの数字の和を答える。r1+2=  注)月齢範囲の単位は月数  3,2+3=5,3+4=7,6+4=10」の4小間。

⑤数字による数の減算(以降,数字減算と略称):次の順で提示される2つの数字の差を答える。

 「3−2=1,5−3=2,7−2=5」の3小間。

⑥数詞による数の大小比較(以降,数詞大小と略称)1口・頭で継時的に読みあげられる次の2つ  の数の大きい方を答える。r3と2,4と3,15と13,17と23」の4小間。

⑦数詞による数の合成(以降,数詞合成と略称):口頭で継時的に読みあげられる2数の和を答  える。「1+2=3,2+3:5,3+4=7,6+4=1O」.の4小間。

⑧数詞による数の減算(以降,数詞減算と略称):口頭で継時的に読みあげられる2数の差を答・

 える。「3−2=1,5−3二2,7−2=5」の3小間。

1,4 ボタンテスト

 ボタンテストの下位課題の⑨集合数の把握(BT集合数と略称),⑩合成(BT合成と略称),

⑪分解(BT分解と略称)がある。実施は所定の手続きに従って行った。

1.5 実施と得点化

 実施年月は1985年6月,7月で,調査は2回に分けてすべて個別で行った。1,2回目とも 所要時間は一人当り7〜10分であった。数字・数詞課題は1回目の課題提示において,各小間 で誤答もしくは無答の場合,再度小間を与えた。数字・数詞課題及びボタンテストは,課題提 示後2秒以内に正答する場合「即答」という。2秒を超えて5秒以内に正答する場合,指など で計算して正答する場合,言い直して正答する場合及び2度目の質問で正答した場合「正答」

という。小間1題を即答のとき2点,正答のとき1点,2度目でも誤答・無答のときO点とし て素点化する。各課題は小間数が異なるので,本報告では素点を各課題の満点が10点となるよ

うに換算一オたものを得点とした。

tab1e1各月齢群の人数 月齢群 月齢範囲  人数

3歳児L群 40〜43    7 3歳児M群 44〜47  14 3歳児H群 48〜51   22 4歳児L群 52ヤ55 一.33

4歳児M群 56〜59   31

4歳児H群 60−63   46

5歳児L群 64−67   35

5歳児M群 68〜71   31

5歳児H群 72〜75   32

結果と考察

 各年齢層3群の人数をtab1e1に示す。4,5歳児では3群の人数はともに偏りがないが,3 歳児では偏りがあるといえる。しかし.,この分析では月齢を独立変数にとるので,3歳児も4

ヵ月毎に区切ったこの分類で検討をすすめる。

(4)

 各年齢層の3群の1ユ課題の得点の平均値と同一年齢層内の各月齢群間一の平均値の差の検定

(t検定)と,異年齢層の月齢の連続する月齢群間の平均値の差の検定(t検定)の結果をtable 2に示す。一見して,果年齢層の月齢群間での各課題の平均値は,月齢の連続する月齢群であ

りながら同一年齢層の月齢群間より大きく異なり,多くの課題で有意差があるといえる。

1 同一年齢層内の月齢群の数能力の比較

 各年齢層内の月齢群間における各課題の平均値を比較検討した。

 3歳児では,平均値の差に有意傾向があるのは対応と数字大小である。2課題とも,M群の 平均値がL郡より低い。得点状況を個人追跡すると,2課題ともM群,L群で正答しているも のは1名ずつであり,他のものは不能であった。したがって,この検定結果は,M群がL郡よ

り,対応や数字大小課題で劣っているということを示しているのではないといえる。その2名 の子どもが正答できる理由は不明であるが,この2課題ではL群・M群の子どもはいずれも正 答不能の状態であるとするのが妥当と考える。3歳児では,ほとんどの課題で平均値は低く,

さらに各月齢群間で平均値の差に有意差がない。したがって,3歳児期は,数能力の獲得が始 まる前が,もしくは始まったばかりであるといえる。どの月齢群にも,多くの子どもが不能で あるのに,いくつかの課題で正答している子どもが何人かいる。その正答している子と.もを個 人追跡すると,1名はほとんどの課題で得点していた。しかし,その他のものはある課題で正 答するが,他の課題では不能であることがわかった。したがって,3歳児期は月齢が増すと共 に,数能力が発達していくのではないといえる。

 4歳児期では,月齢が増すと共に平均値は次第に高くだる課題の中で,各群の平均値の差が 有意差という程にたらたいものは,数字読み,一BT集合致,数詞大小,BT合成である。ま本,

月齢が増すと共に平均値が高くなり,かつ平均値の差に有意差がある課題は,対応,数字大小 である。これらは1数課題1)と2数課題1〕と分類されるものである。月齢が増すと共に平均値が 上昇するとは隈らたい課題は,数詞合成,数字合成,数詞減算,数字減算,BT分解である。こ れらの課題では,M群の平均値はL群とH郡より低い。そしてその平均値の差はM群とH群

tab1e2 3年齢層の低月齢群(L〕、中月齢群(M)、高月齢群ωの数課題得点平均値の差の検定

3  歳  児 t o 4  歳  児

課題項目 L LxH M M×H H HxL 3Hx4L L L×M M MXH H HxL

数字読み ユ.9 2.9 4.4 4.20‡榊 8.2 8.5 9.ユ

対応 1.4 O.5 ユ.79+ 2.o 2,82榊 4.1 1.88+ 5.3 5.7 3.09州

BT集合致 1.o 1.3 1.8 4.75‡榊 3.9 3.9 413

数詞大小 1.8 3.0 2.4 5.37事榊 6.6 7.o 7.4

数字大小 0.9 O.6 1.74+ 2.2 3,34榊 5.4 6.4 7.3 2.45著

数詞合成 O.7 O.4 1.o 1.7 1.3 2.84淋 2.6

数字合成 O.O O.0 o.5 2,08事 1.6 1.3 2.09ヰ 2.3

BT合成 1.O O.8 1.3 4.79榊事 4.5 4.6 5.2

数詞減算 O.O 1.4 1.o 2,1 1.91+ i.o 2.25案 2.2

数字減算 O.O O.O olo 2.89舳 O.8 O.5 1.82+ 1.3

BT分解 o.8 O.τ 1.3 4.82事納 4.7 3.8 2.1舳 5.1

往) 一m signifioant.十P〈.10.串く.05.榊Pく.O1.‡榊Pく.OOi  (平均点は1O点満点換算値)

(5)

では有意差がある。これらは3数課題1)と分類されるものである。したがって,3数課題の平均 値の変動は,1・2数課題の変動と傾向が異っているといえる。これは3数関係1〕の理解は,4 歳児期には月齢が増すのと平行して単純に進むのではたいことを示す。すなわち,子どもの月 齢とは異なる条件も関係していると推測する。4歳児期を通してみると,平均値の差が有意差

という程にならたいものもあるが,全ての課題でH群の平均値が最も高くなる傾向がある。4 歳児期では,子どもの月齢がその数能力の発達に関係しているといえる。

 5歳児期では,月齢が増すと共に平均値は次第に高くなる課題の中で,各群で平均値の差が 有意差という程にたらないものは,数字読み,対応,数字大小,数詞減算,数字減算である。

月齢が増すと共に平均値が高くだり,その差に有意差のある課題は,BT集合致,BT合成,BT 分解である。月齢が増すと共に平均値が上昇するとは限らたい課題は,数詞合成,数字合成で ある。この2課題では,M群の平均値はL群とH郡より高い。そしてその平均値の差はM群 とL群では有意差がある。さらにH群の平均値もL郡より高く有意差がある。この2課題の平 均値は,L群では低いが,M群とH群では明らかに高くたっている。したがって,・数詞と数字 すたわち数記号による数の合成能力は,5歳児期半ばで急速に発達するといえる。5歳児期を 通してみると,月齢が増すと共に数能力が発達していくといえる。5歳児期では,子どもの月 齢がその数能力の発達に強く関係しているといえ札

2 果年齢層間の月齢の連続する月齢群の数能力の比較

 果年齢層間の月師の連続する月齢群間の各課題の平均値を埠較検討した。

 3歳児H群と4歳児L群間では,11課題全てで4歳児L群の方が3歳児H郡より平均値は 高く,9課題の平均値の差に有意差がある。有意差のない2課題は,数詞合成と数詞減算であ る。3歳児H群ではこの2課題に正答できる子ξもは22名中それぞれ4名と3名である。その 中に特異的に数能力の高い子どもが1名いて,数詞合成は10点,数詞減算は8.3点を得点して いる。一この子どもの得点が,H群の平均値を数詞合成でO.45点,数詞減算でO.38点上昇させて いる。この子どもの数能力が高い理由は不明である。そこで,この子どもの得点を除外して,

      再度4歳児L郡との平均値の差を検定       すると,数詞合成(t:2,223,df=

to 5 歳 児

州x5L L LxM M MXH H HXL

1. 9.1 雪.9 I 9.9

6.4 6.3 5.3

4,22事納 5.9 2.17き 6.6 I 6.8 2.40者

2.85淋 8.7 9.1 8.9

2.6必 8.5 8.6 8.8

1.74+ 3.6 2.95榊 5,7 4.9 2.oバ1

1,87+ 3.5 2.51キ 5.4 5.o 2.31ホ

2.96榊 6.5 7.2 7.6 2.12‡

2,9 3.3 3.1

1、τ 2.6 2.6

2.36ホ 6.6 1188+ 7.6 7.8 2,2舳

52.82,P<.05)と数詞減算(t=

2,413,df=52.06,P<.05)に有意差が みられた。特異的に数能力の高い1人の 子どもを除いた3歳児H群と4歳児L

群の平均値の差の検定では,11課題の全 てに有意差があるといえる。したがって,

数能力は単に月齢が増すことによる成熟 ばかりではなく,4歳児期という年齢層 で何らかの条件が満たされると,短期間 に発達するといえる。

 次に,4歳児H群と5歳児L群の平 均値の差を検定した。その結果,5歳児 L群の方が4歳児H郡より平均値は11

(6)

課題で高い。そして有意差がある課題は,BT集合致,数詞大小,数字大小,BT合成,BT分 解の5・課題である。有意傾向のある課題は,数字読み,数詞合成,数字合成の3課題である。

有意差のたい課題は対応と数詞・数字減算め3課題である。

 まず,有意差のある課題,すたわち年齢層により差がある課題を検討する。BT集合数は,4 歳児期を通して平均値は次第に高くなるが有意差はない。しかし,その平均値は5歳児期にた ると急上昇し,その後も月齢が増すと共に上昇していく。数詞大小と数字大小,すなわち2数 課題は,4歳及び5歳のそれぞれの年齢層内では平均値は次第に高くなるが有意差はたい。し

かし,連続する月齢群でありながら異年齢層間では欠きた差がある。BT合成とBT分解,すた わち具体物の3数課題は,4歳及び5歳のそれぞれの年齢層内でも月齢が増すと共に平均値は 高くなるが,異年齢層間の方が差は大き.く,より急激に高くたっているといえ乱したがって,

これらの課題を正答する能力は,単に月齢が増すことによる成熟ばかりではなく,5歳児期と いう年齢層で何らか条件が満たされると,短期間に発達するといえる。

 有意傾向がある課題を検討する。まず,数字読み課題であるが,これは1から9までの数字 を読みを問うものである。これが有意差というほどにならたいのは,すでに4歳児期後半てほ ぼ完全達成していて5歳児期になって得点が上昇する余地がないことによる。数詞合成と数字 合成,すなわち数記号によって数を合成する能力は,5歳児期に入ってすぐには大きくは伸び ないが,5歳児期の中ごろにたって急速に発達し,平均値は5点以上に達する。この数記号に よる合成だけが,5歳児期内の月齢群間の差の方が果年齢層間の差より大きい唯一の課題であ る。数言已号による合成能力の発達の条件は,5歳児期中期に満たされていくことを示している。

 有意差のたい課題を検討する。対応は具体物集合の要素数を数字に転換する課題である。子 どもは4歳児期ですでに集合の要素数を把握すると容易に数字に記号化できるようにたってい る。その時期は,この対象児では4歳児中期であるといえる。また,個人追跡すると,集合の 要素数が多くなると計数方略を使用していた。それで対応の得点は,素点化の基準により横ば いになっているのである。有意差がたいのは記号化の能力の発達の停滞を意味するのではなく,

この課題提示条件では、4歳児でも5歳児でも計数方略が使用されやすいことを示している。

 数詞減算と数字減算,すなわち数記号による数の減算は,5歳児でもそれぞれ3.3点と2.6 点にしか達しない。得点状況をみると約半数の子どもが1小間さえも正答できていたかった。

したがって,数記号によって減算する能力は,4歳児期から5歳児期でも獲得前がようやく獲 得が始まったところであるといえる。しかし,4歳児と5歳児の各月齢群で,この2課題の1 つ以上の小間に正答する子どもが数人いる。そして正答する子どもの多くは,その課題の複数 の小間で正答している。したがってなんらかの理由で偶然に耳答できたというより,実際に減 算が可能にたっているといえる。その正答可能た子どもの分布から,その能力の発達は,月齢 よりも別の条件によると考える。

 3歳児H群と4歳児L群の比較では,4歳児は数能力の発達がすでに始まっていて,3歳児 と比べて数能力に大きな差があり,明らかな「学年差」が存在することが示された。また,4 歳児H群と5歳児L群の比較では,数記号による減算を除いて,学年差があることが示され た。しかし,数記号による数の合成の能力のように学年差よりも,5歳児内の月齢群間の差の 方が大きいことが示されたものもある。数能力として包括されているいろいろた数操作の能力

は,課題内で操作する数の関係によって程度は異なり,.1数関係I〕と2数関係1〕及び具体物によ る3数関係では,4歳児と5歳児にもその能力に学年差があるといえよう。こうした,数能力

(7)

の学年差の存在は,幼稚園教育の集団効果によると予想できる。

3、数能力の発達における集団効果の検討  数能力の発達における集団効果を検討するため

に,同一年齢層内に1年以上の幼稚園教育の経験の ある子どもと入園したばかりの子どもが混在する4 歳児を対象にして,その数課題の得点を比較した。

3歳児で入園しこれまでに1年以上在籍しているも のをA群,4歳児で初めて入園したものをB群の

2群に分けさらにこの2群をこれまでに分析した ように月齢によりそれぞれ,L,M,Hの3群に分割 し,その人数をtab1e3に示す。まず,月齢を条件

table3 4歳児の入園年齢別人数

月齢群 A群    B群 R歳入園  4歳入園

LMH 6     27 P5     16 P8     28 合計 39     71

に入れないで1年以上の幼稚園教育の有無のみでA群とB群の平均値の差を検定した。その 結果,全ての課題で有意差はたかった。次に,1年以上の幼稚園教育の有無と月齢も条件に入 れて,同一月齢群で各課題の平均値を比較した。その結果,L群及びH群では全ての課題で有 意差はなかった。M群では,数字合成でA群の平均値は1.92点,B群は0.63点と有意差(t二 2,245,df=20.61,P<.05)があり,BT集合致でA群の平均値は4.53点,B群は3.38点と有 意傾向(t=1,985,df=20.64,P<.10)があり,どちらもA群わ平均値の方がB郡より高

くなっている。

 この分析結果は,3歳児期の1年間の幼稚園教育が数能力の発達の直接寄与するごとを明ら かにするものではなかっ・た。しかし,4歳児期の中月齢群の子どもの数能力の発達を促してい る可能性は否定できない。したがって3歳児期の1年間の幼稚園教育は,子どもの月齢によっ ては,その数能力の発達を促し得ることが示唆された。

総 合考察

1 3歳児期の幼稚園教育と数能力の発達

 3歳入園による1年間の幼稚園教育が,数能力の発達に直接寄与しないが,子どもの月齢に よっては促し得ることが示唆された。本報告の資料収集は6,7月であり,4歳入園児でもす でに幼稚園教育を3ヵ月前後経験している。3歳児期から4歳児期に入ると子どもの数能力が,

きわめて短期間で発達することが本報告でこれまでに示された。したがって,この4歳児入園 児が入園後の3ヵ月程度の幼稚園教育で数能力を発達させた可能性もあり,この検討は厳密さ にかけることは否定できたい。それでも中月齢児では3歳入園児の方が4歳入園児より一部の 課題で数能力が高いことが示された。・低月齢児と高月齢児では,数能力に差はみられなかった。

その理由としては,低月齢児では3歳で入園する子どもは少ないので,数能力の差を統計的に は検討するのが困難であると考えた。高月齢児では4歳入園の子どもの数能力が,入園後の短 期間に急速に数能力が発達するのか,家庭での生活でも幼稚園での集団生活と同様に数能力が 発達するのか全く不明である。いずれにしろ3歳児期の幼稚園教育の有無が,4歳児期の数能 力の発達には直接には関係したいといえる。これは,これまで本報告で述べてきたように3歳

(8)

児期の数能力は発達が始まる前か始まったばかりで,その程度の数能力では集団効果は小さい ことを示すものと考える。この結果は3歳期の就園児と在宅児の数能力がほぼ同じ水準まで発 達してきていることを示唆するもので,3歳児期の数教育の可能性を否定するものではない。

したがって,4歳児期以降の数能力がある程度発達している年齢層では,数能力の発達に及ぼ す集団効果は3歳児期より大きく,顕著になっていると推測できる。

 厳密に幼稚園教育の集団効果を論ずるためには,在宅児との比較が必要であるが,今日子ど もの幼稚園及び保育所への就園率はきおめて高く,4歳以上の在宅児を見つけるのは困難な状 況である。さらに幼稚園では平成3年度から3歳児も就園奨励費2)の対象となり,より多くの子

どもが3歳から入園すると予想される。したがって,ほとんどすべての子どもは幼児期の全期 間にわたり公教育を受けることになる。幼児公教育のより一層の普友が見込まれる今後は,就 園児と在宅児の比較による数能力の発達における集団効果の検証という視点よりむしろ,子ど もの数能力の発達にそった幼児公教育における数教育の内容と方法を検討するのが急務である といえる。

2.数能力の発達と月齢

 3歳児では,月齢群の人数に偏りがあったし,さらに月齢の4ヵ月で区切って分析するには 3歳児期の数能力の発達がゆっくりしていて,子どもの数能力の発達をみるのに不適切なため に,数課題の平均値の差に有意差がみられたい可能性も残っている。そこで,3歳児を2群に かつそれぞれの群の子どもの人数がほぼ同じになるように分割し,それぞれ低月齢群と高月齢 群として分析した。低月齢群(21名)は,先に検討しだし,M群を合わせた子ども達であり,高 月齢群(22名)はH群の子ども達である。11課題の平均値の差の検定を行った結果,低月齢群 の方が高月齢群より平均値が高いのは,数詞大小のみであるが有意差はない。その他の10課題 では高月齢群の平均値の方が低月齢群より高い。しかし,その差は小さく,数字読みと数字大 小に有意傾向があるだけであった。月齢差が平均で6ヵ月あっても,その数能力の発達にはっ

きりした差はないのである。したがって,この結果も3歳児期では数能力の発達がゆっくりし ているというよりも,数能力の発達が始まったばかりかその準備期間であることを示している。

3歳児期は数能力の発達胎動期といえる。

 3歳児期の子どもと月齢の連続している4歳児期の子どもの数能力は飛躍的に高くたってい ることが示された。子どもの数能力は3歳児期では未発達であったものが,4歳児期に入ると 急速に発達するのである。これは数能力が月一齢が増し成熟することで発達するばかりではなく,

4歳児期にたって何らかの条件が満たされて急速に発達するすることを示唆している。した がって,3歳児期の子どもの数能力は白紙たのではなく,外から測定できるようた能力ではな いが,その内部で数の知識の基礎を貯め込み,数能力の発達の条件が着実に整いつつある状態 と考える。

 さらに,数能力は4歳児期から5歳児期になる時にも著しく発達することが示された。すた わち,数能力は単に月齢が増すと共に発達するのではなく,「学年」によって成立する何らかの 条件が存在しているといえる。この子ども達は,幼稚園でも一チ別た数教育というものを受けて はいたい.し,家庭でも特別な数教育を受けるために塾等に行ってはいない。したがって,数能 力に学年差があることは,その数能力の発達は子ども集団の「総合的知識」の獲得によること を示唆する。ここでいう総合的知識とは,子ども達が幼稚園という1つの社会の中で合理的に

(9)

生活するために必要な技能・知識である。この知識の獲得は,保育者の意識的な教育によるも のばかりではたく,保育者と子ども聞及び子どもと子ども間の無意図的・無計画的な伝達にも よるものと推測する。具体的にはたとえば,自発的た遊びの方法と内容,対人関係の維持力,

コミュニケーショソカ,クラス集団における作法や習慣の理解と定着などが考えられる。

 本報告でいう数能力の学年差を存在を示す例は,藤永他(1964)の報告の中にも見受けられ た。藤永他は幼児数概念の実験教育法による研究の中で,3歳児に特別な数教育を実施した。

そして,3歳児期から4歳児期へ移行する3〜4月の春期休園期間中に,子どもが先行学習を どの程度保持しているかを4歳児期の5月に調査した。その結果から,「休園期間に前の学習成 果は,概して,かたりの程度まで保持されているのみたらず,ときとして,かえって改善され

ることがあるといえる。この種のことは,その後も何度か遭遇することとなった。」と報告して いる。その理由等については言及されてはいない。この藤永他の報告は,休園で数教育がなさ れていなくとも,3歳児期から4歳児期へ移行する時期で急速に数能力が発達することを示す

ものである。

 藤永他の報告にある3歳児期に特別た数教育を受けてきた子どもも,本報告で3歳児期に特 別た数教育を受けたかった子どもも,さらには4歳児で入園した子どもも,4歳児期にたると 短期間に急速に数能力を発達させるのである。したがって,3歳児期の数教育の有無にかかわ

らず,3歳児期と4歳児期とでは数能力の発達に学年差が生じるといえる。3歳児期から4歳 児期への数能力の発達は教え込みにもよらたいし,単に月齢が増し成熟したことによるもので

もないといえよう。したがって,4歳児期の数能力の発達は基礎発達であると考える。

3.数記号による数の合成能力の発達

 数記号による合成は,4歳児と5歳児の年齢層間の得点差より,5歳児の年齢層内の得点差 の方が大きい唯一の課題である。この2課題は5歳児中期になって急に平均値が上昇し,得点 は5点台にたっている。BT合成の得点は,4歳児期から5歳児期にかけて急上昇し,6点台と なっている。BT合成は,ボタンの2集合を子どもの目前で合わせて,その要素数を問うもので ある。この得点が,数記号による合成より常に高い。すなわち,具体物による合成は,数記号 による合成に先行している。

 この結果は,三浦他(1976)が幼児数量概念の診断テストを作成し牟際に報告している合成・

加算の資料を再分析した結果と一致していた。一三浦他の対象児は3つの保育園に通園する3歳 6ヵ月から6歳6ヵ月までの計86名である。調査は7月上旬から下旬にかけて行われた。その 結果(達成率)をtable4の上段に示す。.なお,彼らの月齢区分は本報告で行った公教育で区 切られる年齢層によるものとは異なり,暦年齢・月齢による。したがって,月齢6ヵ月毎に群 分けされた半数の群には公教育では異なる年齢層となる子どもが混じってい亭。三浦他の具体 物を使用した課題は①rおはじきを3つと4つを合わせた数と,おはじき1つと2つを合わせ た数」・を問うもので,どちらか正答すれば達成となる。数詞を使用するのは2課題あり,1つ は②r4より1つ大きい数と,4より2つ大きい数」を問うもので,どちらか正答すれば達成

とたる。もうr方は③r3に2をたすといくつになるか」を問うものである。この達成率の比 率の検定の統計量は,月齢群の人数が少ないのでフィッシャーの直接確率法によった。その結 果をtab1e4の下段に示す。達成率は具体物による課題の方が数詞による課題より高く,多く の群で有意差があった。具体物による合成が数記号による合成に先行していることがわかる。

(10)

table4数量概念診断テスト年齢段階別達成率と比率の検定結果

達成項 目

3.5−4.O 4.O〜4,5 4.5二5,O 5.O〜5.5 5.5〜6.O 6.O〜6,5

①具体物での合成 O.11 0.71 O.56 O.90 O.78 1.OO

②数詞で「Pよりq大きい数」

がいえる O.11 O.05一 O.50 0.55 0.56 O.56

③数詞で「Pにq足した数」が

求められる 0 O.10 O.17 O.25 0.33 O.44

【被験者数】 9 21 18 20 9 9

項目①と②の比率の検定 n.S. P之.O01 r岨 P<.05 n.S. P<.10 項目①と③の比率の検定 n.S. P<.O01 P<.05 P<.001 n.S. P<.05 注)達成率は三浦他(1976)の資料を掲載した。比率の検定はフィッシャーの直接確率法による。

  n.s.二no significant

 筆者の調査と三浦らの報告の検討の結果は,具体物による合成が先行し数記号による合成が それに続いていくことを明らかにした。これは,数記号による合成が心内の具体物イメージを 操作することで行われるのを示すものであり,さらに,この操作は具体物による合成に慣れる ことで可能にたることを示唆するものと考える。したがって,数記号による初期の合成能力は,

具体物による合成操作のイメージを使うことに熟達するのと平行して発達すると推測する。こ の分析結果は,子どもが数記号による数を合成する際に,具体物の合成操作のイメージをある 程度自由に使えるようになるのが5歳児中期であることを示唆している。

4.幼児の数教育の内容と方法への示唆

 日常生活で獲得した数量に関連した知識が,ばらばらの数の知識ではなく数能力と関係する 知識となっている例として,5歳児では5円貨の名称及び自分の誕生月日を知っていることが 数能力の発達と関連している(丸山地 1989)ことが報告されている。こうした事実は日常の 保育活動の中に,子どもの自発的な遊びの中に,数能力を発達させる内容があることを示して いる。したがって,子どもの発達にそった数教育の検討は,まず保育場面で教育効果があると 推測される活動と,そこでの子ども相互の関わりと教師との関わり,そして物的な環境構成を 抽出することから始まる。そしてそれを実際の保育に適用し効果を検証していくことで,日々 の子どもの生活と保育活動の流れを妨げることたく必然性のある場面で,子どもが特に数の学 習をしていると意識したい数教育の内容と方法を開発できると考える。

 これまで本報告で述べてきたように,特別な数教育を行わない幼稚園での調査の分析によっ て,周囲の大人が特別に数の教育をしなくても日常生活の中で数量の知識を獲得し,その能力 を発達させているのが明らかとなった。子どもは月齢が増すと共に1数,2数関係を理解して いくのである。さらに学年差があることは,それが単なる教え込みによるものではないことを 示している。したがって1数,2数関係に関する数能力の発達は基礎発達であると考えた。3 数関係では具体物による理解が先行し,それから数記号による理解に進んでいく。また,一 qど

もは月齢が増すと共に3数関係を理解していくとは限らず,その他の条件との関係が示唆され た。その条件は今のところ不明である。したがって,数教育の内容として,年齢に応じて1数,

(11)

2数関係を具体物及び数記号によって理解を促すことが示唆される。その中で,具体物の集合 と数記号との関係を理解す一ることが,幼児期中期迄の一つの目安と考える。3数関係の理解は,

幼児期後期にたっても具体物によって促し,数記号はその]つの手だてとすることが示唆され る。数記号による3数関係の理解は,幼児公教育における数教育の内容や直接的た目標にはな らないと考える。

 子ども達が正答可能にたり始めた課題の得点状況をみると,それは月齢に関係なく正答して いる。さらに,ある課題の1小間に正答できると同じ課題内の2つ以上の小間に正客している 場合が多い。その課題の得点は,1つ年齢の増した年齢層である程度高くたると,月齢が増す

と共に上昇する場合が多い。こうした事実は,ある数操作が可能だっている特定の子どもの数 量に関する知識や行動が,他の子ども連の数の理解を促す総合的知識となっていることを示唆 する。そしてその集団全体の総合的知識がある水準に達してしまうと,月齢と関係して各成員 の数能力が急速に発達すると考える。子どもの数能力は,単に月齢と共に発達するものではた

く,子ども集団のもつ総合的知識によっても,その発達が支えられていると考える。

 また,この事実から,同一年齢層の子どもに比べて高い数能力を獲得している子どもが,た とえば家庭で特別た数教育を受けた結果としてその数能力を発達させたとしても,年齢が一つ 増せば,他の子どもの数能力も,その子どもと変わらたい程に発達することが推測された。こ れは幼児期の子どもに数の知識を直接教えても,それほど効果があがるものではないし,また 効果があったとしても,それは一時的であることを示唆するものであろう。

 中沢(1981)は子どもの数能力の発達について連続調査を行い,子どもの数の理解に関して,

rクラスの組み換えなどで子どもの生活に動揺があると,新しいクラスにうまくたじめたかっ た子どもは,落ち着きを取り戻すまで数の理解も足踏みしてしまう。また母親が長期入院する たど,子どもと直接関係のある変化が家庭内に起こったよう症ときも停滞し,問題が解決する とうそのように理解が進むことも観察されている。」と報告している。この報告は,子どもは幼 稚園の中の生活ばかりではなく家庭生活でも動揺があれば,その子どもは不安定となり数の理 解が停滞することを指摘している。すたわち,数能力の発達は情緒の安定をも条件としている ことを示している。これは,数能力が単たる数の知識の獲得によるのではたく,情緒的に安定 した生活の中で獲得される総合的知識によって支えられていることを示唆する。

 ピアジェ.(Piaget,J.1963)は知能の発達に関する研究において,「他人との思考のやり取りお よび協力なくしては,個人は彼の操作を1団にして密着.した1つの全体とすることは決してた いであろう」3〕と述べている。これは,ばらばらの知識が有機的に結合して高次の知識の統合す るためには,他人と競うよりもむしろ,冷静に自分の考えを他人と話合い,協力してその誤り や正しいところを指摘しあうのが必要であることを示唆している。このピアジェの指摘に関し て,コープラ1/ド(Cope1and,R.W.1976)は算数指導の研究の中で,rことばは思考を構成しな いけれども,さもたければ熟考されないであろうところの思考に対してアイディアを与えるこ とができる。対象に対する行為のほかに人々に対する重要な行為がある。(中略)ピアジェのい う4〕 協力 ということばは注目に値するものである。競争よりむしろ学習過程における協力に 強調過程がおかれるべきである。」と述べている。これは教育方法としては,多くの数指導書に みられる教師主導での勝敗をあおるゲームや競争を取り入れる数指導よりも,子どもの自発性 を尊重し,落ちついた雰囲気で子ども達が考えを話し合うことで考えが深まることを認めると ともに,教師はその話し合いの進行を援助す一 驍アとでその指導性を発揮することを示唆するも

(12)

のであろう。また,銀杯(1982)は幼児の数教育について,「一定の時期に一定の《刷り込み》

が必要なように,教育も,一定の時期に一定の内容を与えてやらたければならたいのです。(中 略)しかし,一方で,時期に合わない内容を押しつけてもそれは定着しないし,かえって有害 ですらあることもわかります。その子どもがその時期に本当に必要とするものを与えてやらた い限り,教育の意義はないのです。決して,おとたの恣意で教育はできないわけです。」と述べ ている。これは,教師主導の能力開発主義的な指導法幸強く否定したものである。子どもの数 能力の発達をまず捉え,それに応じて教育するべきであることを示唆している。中沢(1981)

は幼児の数量教育のカリキュラムとして「おやつのカリキュラム」を考案したが,その基礎と なる考えとして「いろいろの種類,形のお菓子を子どもどうし幾つかずつ分ける・配ることが 多いし,子どもが簡単なお菓子や料理をつくるときは,材料を測る,合わせる,混ぜるたどの 操作をする。こういうことは,ふつう当番活動,生活活動と考えられるが,保育者が意識さえ すれば,やることはまったくそのままで,数量指導の場となるのである。同時に一人一人の子 どもの理解度を知り,それに応じて指導していくことができる。」と述べている。この中沢の指 摘は,幼児の数教育を実施していくうえでの具体的内容を提示し,さらに指導にあたる教師の 基本的た考え方と姿勢を示唆している。

 本報告では,幼児の数教育の内容と方法についての考察はこれまでにとどめるが,今後ここ で明らかにしたこともふまえ幼児の数教育カリキュラムを具体的に検討したい。

1)数の課題を数操作の共通性で3つのカテゴリーに分類するもので,たとえば,計数や数字を 読むのは1数課題,2つの数の大小判断は2数課題,合成・分解・加算・減算は,2つの数から 第3の数を生み出すもので3数課題である。そしてそれぞれの課題での数の関係を1数,2数,

3数関係とする。このカテゴリー分類に関しての詳細は引用文献7にある。

2)就園奨励費は,幼稚園教育の振興に資するため,幼稚園に就園する幼児の保護者で所得が低 い者に対して地方公共団体が行う就園奨励事業について,国が基準に従い行う助成である。また,

地方公共団体によっては,国の基準を上回る就園奨励費補助を単独で実施しているところもある。

3)この邦訳は,引用文献1の中で引用された原著の訳文を掲載した。

4)アンダーライン部は,筆者による加筆である。

引 用 文 献

1.

2.

31

4.

51

Copeland,R1W.1974佐藤俊太郎訳1976ピアジェを算数教育にどう生かすか 明治図書

藤永保他 1963実験教育法による幼児数概念の研究I教育心理学研究 11巻1号 pp.18−26

藤永保他 !964実験教育法による幼児数概念の研究III教育心理学研究 12巻1号 pp.44−53

銀林 浩 1982札幌保母会サークル編 幼児の数あそび pp.7−25 国土杜 Piaget,J.1963 The Origins of Intelligence in ChiIdren.

New York:W.W.Norton&Company,Inc.

(13)

 中沢和子 1981幼児の数と量の教育 国土杜

 丸山良辛 1991幼児の数字使用力の獲得の過程について  上越教育大学研究紀要 第10巻 第2号 pp.!05−118

8.丸山良平地 1989幼児の数概念形成の諸条件に関する検討(7〕

 日本教育心理学会第28回総会発表論文集 p.62 9.三浦香苗他 1976幼児の数概念と診断テストの作成  千葉大学教育学部研究紀要 第25巻 pp.11−42

(14)

Acquisitio口 。f the Abi1ity to Use Numbers and

       Numera1s

In Young Chi1dren And Its ReIationship to Age

Ryohei MARUYAMA

ABSTRACT

   The studies of Piaget and other psychologists have shown clear age−related differences in the abi1ity of yomg children to use numbers.To a chi1d ofbetween three and six years o旧,

a period of one year is much more significant than it is for older chi1dren.If chi1dren of this age are not given any speciaI mathematica1education in public schools;then differences,it has been supposed,are seen among曲em according to their age(in months),and their ability with numbers becomes better deve1oped the older(in months)they become1

   The author studied the faci1ity wi㎞numbers and numera1s of children of three to five years of age attending a kindergarten which didnot give any speciaI mathematical education−

His analysis1ed to the fouowing conc1usions:

1. Three year olds have not yet begun to develop the ability to use numbers and numerals,

   or they have just bareIy1〕e馴n to do so.Three is no corre1ation seen between their    abi1ities and their age(in months).The faci1ity of four and five year olds with numbers    and numerals,however,increases as they grow older(in months).There are,however,

   major d胱erences in this development between different year groups even among    contiguous month groups.

2.Chi1d education in kindergarten appears to aid in the deve1opment of mathematica1    abilities.This,it is assumed,is because these abilities are developed as a part of the    general know1edge obtained throughout the entire range of child s activities1

3.The abi1ity to add and subtract spoken and written numerals deve1ops at first stage as    the child becomes more adept at using the image of concrete object sets to manipulate    numbers.

    The author concludes by suggesting ways in which to improve the content and methodology of mathematica1education for young children based on these resu1ts一

参照

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