• 検索結果がありません。

22 30 日本の歴史 日本の歴史

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "22 30 日本の歴史 日本の歴史"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

36

図書館員の文献紹介

日本の歴史

22

日本の歴史

30

『「ニッポン通」の眼 :   異文化交流の四世紀』

ヘルベルト・プルチョウ著 (淡交社 1999)

本書の請求記号 210.07‖Plu

稲垣 宏行

 生前、カリフォルニア大学で日本学の教授だっ たスイス人の著者ヘルベルト・プルチョウ(1939

−2010)は、安土桃山時代から昭和期までの海 外の著名人たちが日本と日本人をどのように感じ 捉えたかなどを記述しています。シーボルトやフェ ノロサなど、我々が名前をよく耳にする人物も含ま れています。

 本書に登場する人々は、著者に「日本学者」と 呼ばれています。その中には明治期のイギリス人 作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)のように日 本に惹かれて帰化したいという思いを実現した人 もいましたが、一方では日本文化について批判的 な見方をする人もいたようです。例えば江戸時代、

ヨーロッパの人々は日本に強い偏見を抱いていた と本書は指摘します。フランスの法学者モンテス キューは「(日本の)権力者は、国民を苦しめて、

裁判や厳しい罰を受けさせるばかりで、日本人ほ ど残酷な民族はこの世にいない」と言ったそうで す。本書が紹介する人物の一人、明治期のアメリ カ人天文学者パーシヴァル・ローエルも西洋的見 地から、日本人は非個性的で、日本文化は西洋 から見て正反対だと考えていました。ただし「西 洋の基準も、日本の基準も、互いの理解にはな らない」とも言っており、著者は彼が完全に日本 に対して批判的ではないと述べています。

 ハーンら日本に好意的な人物が日本に強く惹か れた理由として、浮世絵などに象徴される日本文 化の珍しさや日本人の素朴さ、つつましさといっ た民族的な美点が本書で挙げられていますが、

一概にそうとは言えない部分もあります。日本を 愛した明治期のポルトガル人ヴェンセスラウ・デ・

モラエスは、日本人妻との生活でトラブルも経験 しましたが、日本に骨を埋

うず

めたいと遺言しました。

ただ、そこには純粋に日本に惹かれただけでなく、

王室の崩壊に見られる祖国の衰退に対する絶望 もあったようです。

 一方、日本を批判する理由としては、前述のロー エルらのように、自国の文化や宗教に基づく偏見 に左右されることもあれば、日本で起きたキリシ タン弾圧や鎖国政策、幕末の攘夷運動など外的 要因によるものもあります。本書の登場人物の一 人で、幕末期に函館も訪れたフランス人宣教師メ ルメ・ド・カションのように、宗教の違いから僧侶 と衝突し、それが元で日本に不信を感じたという 例もあります。逆に、ハーンが日本文化への愛着 から西欧文化にかぶれる日本人を批判したという 事例も存在します。

 本書には日本を直接訪れたことがない人も登場 しますが、偏見に囚われず客観的な見方をしてい る人もいます。昭和期のアメリカの女性人類学者 ルース・ベネディクトは、当時のアメリカ人が日本 に対して偏見を抱く中、日本の美点も理解する立 場を取りました。このように本書の持つ魅力は、

登場人物のエピソードもさることながら、彼らが どのように日本を捉えていたかという点にあると感 じます。

 我々は海外の文化をどの程度理解しているので しょうか。それ以前に自国の文化や歴史について どれほど知っているのでしょうか。著者は登場人 物の優れた見識だけでなく、偏見を含んだ見方の 部分も描いています。この部分は、我々日本人が 海外と向き合う上でも参考になるはずです。本書 を通じて我々の海外、そして自国の文化に対する 考え方を見直してみてはいかがでしょうか。

いながき ひろゆき(司書・情報サービス課)

参照

関連したドキュメント

法政史学第二十二号

 「異人たち」の日本に対する評価は概ね好意的

 『古事記』『日本書紀』は現存する日本最古の

 幕末期、京都には多くの武士が集い政治上の 重要拠点となりました。しかし、京都ではなく

文禄 4(1595)年頃から始まった会津若松(福 島県)における蒲 が も う 生騒動は、前藩主蒲生氏 うじさと

 教育面では、日本で少なからぬ影響力を持っ たスイスの教育者ペスタロッチの理念が、長田 新や福島政雄らのペスタロッチ運動(

 早 そううん 雲を祖として、関東統一の夢を持ち続けていた北条氏。その北条氏も、氏 うじまさ 政・氏 うじなお

本書では、長州藩がその洋学を軍事改革に用いていったこと、そして、吉田松陰や高杉晋作の師である