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異人たちが見た日本史 : 22 59

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日本の歴史 22

日本の歴史 59

『異人たちが見た日本史 :

 戦国から明治まで外国人が発見したニッポン』

内藤孝宏著

(洋泉社 2015)

本書の請求記号 210.4‖Nai

稲垣宏行

 異人と言って、すぐに思い浮かぶのは西欧人か もしれません。本書は、戦国期から明治期にか けて日本を訪れた西欧人たちを列挙し、彼らが見 聞し実感したことを記述することで、当時の日本 の様子を描写しています。

 「異人たち」の日本に対する評価は概ね好意的 です。1600(慶長5)年頃に来日したイギリスの ウィリアム・アダムズ(三浦按針)は、日本人は「性 質温良にして礼儀を重んじること甚だしく」「内 政の行き届いていること、他国と比べものになら ない」と述べています。1627(寛永4)年頃に来 日したオランダ商館長フランソワ・カロンも、日本 の商人の有能さに触れ「速算家でない尋常の和

おら

んだ

人が計算するよりも、一層迅速正確である」と 評しています。幕末より前に来日したシーボルトも、

日本人の潜在能力を高く評価し、西欧文化の影 響でそれが失われることを恐れてすらいたといわ れています。

 否定的な評価もあります。ポルトガル人でイエズ ス会の布教長であるフランシスコ・カブラルは「日 本人ほど傲慢・貪欲・無節操、かつ欺瞞にみち た国民を見たことがない」とまで言いました。ス ペイン商人のアビラ・ヒロンも「日本人はいかに貧 しくても傲慢で尊大で怒りやすく果敢」「国王(徳 川家康)は暴君で、商売人で、しかも強欲」と語っ ています。

 ただし、カブラルが日本人を「傲慢・貪欲」な どと批判しているのは下剋上、すなわち戦国時代 の風潮です。確かにこれは、海外の人間から異 常と見られても仕方がないものかもしれませんが、

カブラルは貴族出身で、身分の低い者の台頭を 忌避するきらいがあります。とは言え、同じイエ ズス会の人間ながらカブラルに批判的なアレッサ

ンドロ・ヴァリニャーノも日本文化に触れて「我等

(ヨーロッパ人)と日本人は、その習慣、生活態 度をすべてはなはだしく異にし反対とする」と述 べています。日本人に好意的な宣教師ザビエルも、

日本の僧侶の、キリスト教の視点からすれば、不 実で受け入れ難いと感じる風習に対して特に嫌悪 していました。このことから、カルチャーショック も少なからず作用したのかもしれません。

 ヒロンも家康を暴君と罵る一方、豊臣秀吉に対 しては「二十六聖人殉教」と呼ばれる宗教弾圧 を行ったにも拘らず、何故か「われわれのいわば 父」と好意的です。事実の捉え方の是非はともか く、いずれも当時の「異人たち」のリアルな息遣 いが感じられるエピソードです。

 著者は歴史家ではありませんが、20年間で 1000を超える企業を取材しており、前述のカブラ ルなども本人の人物や心情などが鮮明に見て取れ る描写で、人間に対する洞察力や視野の広さに おいては特筆すべき部分もあると思います。本書 の構成も、文章の間に所々入っている引用文の字 体を変えているため、読み易くなっています。また、

著者があえて引用文を現代文・常用漢字に改めて いるため、一目で内容が頭に入るばかりか「異人 たち」に対する感情移入すら出来るように感じて しまいます。

 本格的な歴史書とはかけ離れた部分も散見さ れますが、それだけに本書から浮かび上がる当 時の在り様、「異人たち」の考え方などは、従来 の文献では目にすることが出来ない新鮮なものも 多く、日本に対する外国人の見方を掴む上で注目 すべきものだと思います。

いながき ひろゆき(司書・管理運営課)

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