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博 士 ( 農 学 ) 寺 内 方 克

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博 士 ( 農 学 ) 寺 内 方 克

学 位 論 文 題 名

サ ト ウ キ ビ 高 糖 性 品 種 育 成 の た め の 生 理 ・ 生 態 ・ 分 子 生 物 学 的 解 析

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  サ トウ キ ビ(Saccharum sp.)のスクロース含有 率は、砂糖収量と製糖コスト に影響する重要な形質 であ る。 本 研究 は高 スク ロース含有率品種の開発 に資することを目的として 実施した。第1章では、

国内 外に お ける 生産 ・栽 培上 の 問題 点、 遺伝 資 源と 育種 の現 状、 お よぴ 、糖 蓄積 生理 研 究の 現状 をま とめ た 。第2章 から 第5章 で は、 スク ロー ス 蓄積に関する生理生態的特性 を検討し、遺伝資源に おけ る変 異 、環 境要 因と の関 係 、早 期高 糖性 品 種の 特徴 、お よび 関 連諸 酵素 の活 性と の 関係 を明 らかにした。さらに、 第6章では、スクロース含有率に関係が深いと考えられたスクロースフオスフェー トシ ンタ ー ゼ(SPS)につ いて 分子 生物 学 的手 法を 用い て検 討 し、 遺伝 子を単 離するとともに遺伝子 変異について解析した 。以下、その概要を述べる 。

  ス ク ロ ー ス 蓄 積 に 関 す る 生 理 生 態 的 特 性 に つ い て、 国 際農 林水 産業 研究 セ ンタ ー沖 繩支 所 に 保 存さ れて いる 遺伝 資 源お よぴ 南西 諸 島の 普及 品種 を材 料 とし て、 同支 所の 圃 場お よぴ 温度 制 御 の 可能 な温 室内 で実 験 を実 施し た。 第2章で は、 登 熟期 から 収穫 期 にか けて遺伝資源のス クロース 含 有 率 を 調 査 し 、 そ の 変 異 を 解析 した 。第3章 では 、温 室 内で 温度 処理 区お よ ぴ施 肥処 理区 を 設 定 し、 環境 要因 がス ク ロース蓄積に 及ばす影響を検討した。第4章では、スクロース蓄積パ ターンの 異 なる5品 種に つい て2年次 にわ たり 圃 場で 栽培 し、栄養生長と スクロース含有率の関係に っいて検 討 した 。登 熟期 にお け るス クロ ース 含 有率 の上 昇は茎上部で顕 著であり、特に、早期性品 種で早期 か ら上 昇率 が高 いこ と が特 徴で あっ た 。ス クロ ース含有率は低 温条件下で上昇するが、早 期性には 栄 養条 件が より 密接 に 関係 して いる こ とが 推察 され た。 典 型的 な早 期高 糖性 品 種NiF4の 特徴 は 、 生 育旺 盛期 の比 較的 高 いス クロ ース 含 有率 、高 温条件下での高 いスクロース蓄積能力、お よぴ、栄 養 条件 に反 応し た早 期 性の 発現 であ っ た。 スク ロース蓄積には 節間形成後徐々に進行する ものと、

環 境要 因に 反応 して 急 速に 進行 する も のが あり 、早 期性 に は後 者が 関係 して い ると 考え られ た 。 NiF4で みら れた 栄養 条 件に 反応 した ス クロ ース 蓄積は、自然環 境に依存しない制御を可能 とするこ

260

(2)

と から、広域でスクロース含有 率の安定に貢献できる特性と考えられた。このような特性を生かし、好 適 条 件下 では 旺盛 な栄 養 生長 と着 実な ス クロ ース 蓄積 、肥 料 分の 消耗 した 登熟 期 には 栄養 生長 の 停 止と急速なスクロース蓄積を 可能とする品種を開発し、これに適した条件で栽培することで、スクロ ー ス 含有 率の 向上 に貢 献 でき ると 考え ら れた 。早 期性 は登 熟 期に おけ る茎 上部 のBr奴 値を 指標 と す る こと で簡 便か っよ り 高い 精度 で評 価 が可 能であり、 一方、徐々に進行するスクロ ース蓄積の評 価 に は 、 早 期 性 の 影 響 の な ぃ 生 育 旺 盛 期 の 調 査 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ た 。

  第5章で は、 圃場 およ ぴ 温室 内に おい て 、茎 内の 酸性 イン ベ ルタ ーゼ(AI)、中性イン ベルターゼ (NI)お よぴSPSなど の諸 酵 素の活 性とスクロース含有率の関 係を検討した。その結果、ス クロース含 有 率 とAI活 性 お よ ぴNI活 性 と の間 に必 ずし も 一定 した 関係 は 見ら れな かっ たが 、SPS活 性 は品 種 聞 や環 境要因に対する反応でスク ロース含有率と一致した変 化を示たことから、スクロー ス蓄積に深 く関係して いることが推察された。そ こで、第6章では、ノーザンプロット法やサザンブロット法などの 分 子 生 物学 的手 法 を用 いて 、SPS遺 伝子 の発 現 解析 、cDNAラ イ プラ りの 作成 とSPS遺 伝子 の 単離 、 お よ ぴ 遺 伝 資 源 に お け るSPS遺 伝 子 変 異 の 解 析 を 実 施 した 。SPS遺 伝子 は 茎貯 蔵組 織で の 発現 が 認 め ら れた が、 そ の発 現量 は葉 身 に比 べ低 かっ た。 完 全長 では なぃ が、3kbp以 上の2種 類のSPS遺 伝 子 が 葉 身 組 織 か ら 単 離 さ れ た。 遺伝 資源 か らは12種 類のSPS遺伝 子座 の 変異 がみ られ 、 現行 の 品 種に はな ぃ もの が2つ 含 まれ てい た。 各 品種 ・系 統の 持っ 遺 伝子 座の 最低 数には1か ら6と大きな 変 異が 存在し、この数の多いグル ープほどスクロース含有率 が高い傾向を示すことから、 スクロース 含 有 率 に 関 しSPS遺 伝 子 の 量 的 効 果が 考え られ た。 遺 伝子 供給 源と して 遺 伝資 源を 活用 し なが ら SPS遺伝子 の集積をはかることで、サト ウキビのスクロース含有率 を向上させることができると推察さ れた。

  以上、スクロース 蓄積にはニっのタイプが存 在し、個々に評価すべきこと 、および、その具体的な 評価法にっいて言及 した。また、栄養条件反応 型のスクロース蓄積特性を活 用すべきことを示した。

これらの結果をふま えて品種を育成することに よって、より高糖性に優れた 品種が開発できると期待 され る 。一 方、 スク ロー ス 蓄積 に茎 組織 のSPS活 性が関与していること、 および、SPS遺伝子の集積 を通じてスクロース 含有率の向上が期待できる こと指摘した。高糖性のさら なる向上には遺伝資源の 活用 を 通じ た遺 伝変 異の 拡 大が 不可 欠で あり 、 その ーっ の方 向 とし てSPS遺伝子による遺伝資源評 価の 活 用が 期待 され る。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

サトウキビ高糖性品種育成のための 生理・生態・分子生物学的解析

本 論 丈 は 図

29

、 表

14

を 含 臥

7

章 か ら な る 総 頁 数

133

の 和 文 論 丈 で あ り 、 別 に 参 考 論文6編が添えら れている。

  

サトウキビのスクロース含有率は、糖収量と製糖コストに影響する重要な形質である。

特に、我が国の南西諸島では、収穫時期の早 い早期性とスクロース含有率の高い高糖陛 を兼ね備えた早期高糖性品種の育成が求めら れている。そのためには早晩性およびスク ロース含有率に関わるメカニズムを解明し育 種材料の選定や選抜過程に活用することが 重要であるが、この彡手野の研究は十分に進められていなかった。本研究は、サトウキビ のスクロース蓄瞶に関して、遺伝資源におけ る変異、環境要因との関係、早期高糖陛品 種の特徴、関連諸酵素の作用を解析し、早期 高糖性品種育成の方向性を生理学、生態学 および分子生物学の面から明らかにした。

1

.スクロ ーIス蓄積のタイプ

サトウキビのスクロース哲瞶は、茎の 伸長旺盛期から徐々に進行する基本スクロース蓄 積と、登熟期において気温や土壌栄養 などの環境条件に反応して急速に進行する環境反 応型スクロース蓄積に分類できること を示した。前者は収穫適期に至るまでスクロース 含 有 率 に 影 響 し 、 後 者 は 早 期 性 に

f

難 ゑ し て い る こ と を 明 ら か に し た 。

2

.スクロース蓄債議能の評価

登熟期におけ るスクロース含有率の上昇は茎上部で顕著であり、特に 早期陸品種では早 期から上昇率 が高いことを見いだし、早期陛は登熟期における茎上部 のBrix値。隋含有 率)を指標に することで簡便かつ高い精度で評価が可能であり、一方 、徐々に進行する 基本スクロー ス蓄積の評価には、早期性の影響がない生育旺盛期の調 査が必要であるこ とを示した。

262

人 一

則 雄

和 淳

泰 芳

間 口

田 野

岩 山

幸 佐

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

3

.日本の 早漠所 高湘鰰生 品挿重の 特徴と 育瀧昏

Z

り 号向性

早期 高糖陸品 種NiF4の特 徴は、比 較的高い基本スクロース蓄積能、土壌栄養の低下によ って 高まる環 境反斑 ;型スク ロース 蓄積能にあることを明らかにした。NiF4に見られる 土壌 栄養条件 に反応 するタイ プの環 境反応型スクロース蓄瞶は、気温や土壌水分に影響 され ない糖蓄 積制御 を可能と するこ とから、気象条件の異なる広い地域でスクロース含 有率 の向上と 安定に 貢献でき る特陸 であると考察した。この特陸を生かし、好適な土壌 栄養 条件下で は旺盛 な栄養生 長と着 実なスクロース蕎瞶、肥料分の消耗した登熟期には 栄養 生長の停 止と急 速なスク ロース 蓄積を可能とする品種を開発し、その特性に適した 栽 培 をす る こ とで 安 定 的に ス ク ロー ス 含 有率 の 向 上 が達 成で きること を提唱 した。

4‑

ス クロース 含有率を 決定す る酵素

圃場 条件お よてR品室内 において 、茎内の酸陸インベルターゼ(AI)、中性インベルター ゼ(

NI

)およ びスクロ ースリ ン酸合成 酵素(

SPS

)な どの諸 酵素の活性とスクロース含 有率 の関係 を検討し た結果 、スクロ ース含 有率とA活性キ

IN

聒性との間に必ずしも一定 した 関係は 認められ なかっ たが、SPS活陸 は品種問 差異や環 境要因に対する反応でスク ロー ス含有 率と一致 した変 化を示す ことを 認め、SPSがスク ロース含有率に深く関係し てい ること を明らか にした 。

5

 SPS

飾翁‑燭鏐攤断と単離、および遺伝資源における変異

発現量旧愉ヽもののSI S遺伝子が茎賎缶錨咀織で発現することを確認した。また、葉身′組 織から2種類 のSPS遺 伝子の 単離に成 功した。 さらに 、

SPS

遺 伝子の 遺伝子座に関して、

遺伝 資 源 に12種類 の遺伝子 座の変 異がある ことを認 め、そ の中に既 存品種 には無い も のを

2

つ 発見 し た 。既 存 品 種 ・系 統 が有 する遺伝 子座の 最低数に は

1

か ら

6

と大きな 変 異が存罐すること、この数が多い品種・系統クシレープほどスクロース含有率が高い傾向 を示すこ とを認 め、スク ロース 含有率に 関しSPS遺伝子 の量的効 果を明らかにした。こ れらのこ とから 、遺伝子 供給源 として遺 伝資源 を活用し ながらSPS遺伝子の集積をはか る こ と で 、 サ ト ウ キ ビ の ス ク ロ ー ス 含 有 率 を 向 上 で き る こ と を 提 唱 し た 。

  

以 上の研究 成果は 、サトウキビ高糖陸品種育成のために寄与する知見として学術的に 高 く評価で きる。よ って審 査員一同 は、寺 内方克が 博士儂 学)の学 位を受け るのに十 分 な資格を 有するも のと認 めた。

263

参照

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