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学位論文題名 The Development and Application ofHigh Amylose Maize Starches for Food, Nutritional Benefit and Public Health

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) イ ア ン ・ ル イ ス ・ ブ ラウ ン

     学位論文題名

  The Development and Application of High Amylose Maize Starches for Food ,   Nutritional Benefit and Public Health

(高アミロースメイズスターチの食品,栄養及び健康を     目指した開発と応用)

学位論文内容の要旨

  従来、 摂取したス ターチは、 ほぽ100% が小腸で消化吸収されると考えられて いたが、最近の研究結果から、摂取したスターチの一部は消化抵抗性を示し、未消 化のまま大腸に流入することが明らかになった。このような消化抵抗性を示すスタ ーチ(レジスタントスターチ)は食物繊維と同様の栄養生理作用を発現すると考え られる。

  高ア ミ口ースヌ イズスター チ(HAMS)は天然の スターチの なかで唯一 、高いゲ ル化温 度(>150℃)を示 し、通常の 調理後も高 い消化抵抗性を示すことが知ら れてい るが、この ようなHAMSの性質は、食品中のレジスタン卜スターチ含量、す な わち食物繊 維含量を増 加させるこ とにっなが ると考えら れる。本研 究では、

HAMSの物理 的、化学的特徴について明らかにするとともに、ヒトの健康における HAMS摂 取 の 栄 養 生 理 的 意 義 お よ びHAMSの 食 品 へ の 応 用に つ い て検 討 した 。

1.ヌイズ(トウモロコシ)の育種とスターチの構造解析

  高アミ口ースメイズ種は通常のヌイズに比ベ高いアミ口ース含量を示すが、高ア ミ口ースメイズ種から抽出されたスターチ粒は、微細構造、分子構造また物理的及 び化学的構造において通常のメイズスターチ粒とは異なる幅広い特徴を有している ことが明らかになった。高アミ口ースヌイズ種のスターチ粒の特徴には、不均一な 粒形、アミラーゼに対する強い抵抗性(高食物繊維含量を示す)、調理後の高ゲル 強度、さらにスターチ分子の平均分子量が低いこと等が認められた。また、プ口ス キー法によって定量したスターチ中の総食物繊維含量fま、アミ口ース含量に比例し て 増 大 す る こ と が 明 ら か にな っ た。 ア ミ口 ー ス含 量80% のHAMSは 重 量比 で2 5%の食物繊維含量を示した。

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2.高アミ口ースメイズスターチの栄養生理的重要性

  ヒト 、動物を問 わず、HAMSは通常のスターチに比べ食後の急激な血糖上昇およ びインスリン分泌を抑制した。また、ヒトおよびブタを用いた実験から、摂取した HAMSの大 半は小腸で の消化・吸収を逃れ、大腸に達することが明らかになった。

すな わち、回腸 造婁術を施した被験者に通常のメイズス夕一チまたはHAMSをスタ ーチ源とする食事(スターチとして50g)を摂取させ、糞便(ileal effluent)を回 収 し スターチ 排泄量を測 定したとこ ろ、通常の スターチで は2.4gであった が、

HAMSで は19.9gに 達し た 。 この 結 果は 、回腸 造婁術を施 したブタを 用いた試験 においても同様に認められた。

  さら に、ヒトお よびブタの実験結果から、大腸に達したHAMSは腸内細菌によっ て活発に利用され、発酵産物として主に酢酸、プ□ピオン酸および酪酸からなる短 鎖 脂 肪酸 の 産生 を 促進 す るこ と が明 ら かになった 。すなわち 、39g/日 のHAMS を3週間連続してヒトに摂取させた時、糞中の酢酸および酪酸排泄量は、通常のス タ ー チ を 摂 取 し た 時 に 比 ベ 、そ れ ぞれ39%お よ び100% の 増加 を 示 した 。In vltroの試験結果から、酪酸には大腸腫瘍細胞の増殖を抑制する作用があることが報 告 さ れている 。またHAMS摂取 時の糞便pHお よび細胞傷 害性の強い 二次胆汁酸 濃 度は有意に低下した。これらの結果は、スターチ摂取量が大腸および直腸癌の発症 率に対し、強い負の相関を示すことを報告した最近の疫学調査結果を裏付けるもの と考えられる。

3.高 ア ミ □ ー ス ヌ イ ズ ス タ ー チ の プ レ バ イ オ テ ィ ク ス と し て の 利 用   天 然のHAMSま たは 種 々の 化 学修 飾 したHAMSは 、い ず れも 試 験管 内におい て bifidobacteriaの増殖を刺激することが明らかになった。またBifidobacterium longum の生菌製剤 をスターチとともにブタに摂取させた実験では、HAMSを摂取した群の 糞中Bifidobacteriaの菌数は、通常のスターチを摂取した群に比ベ有意に高い値を示 した(logi0 11.73 vs. logi0 10.76)。

4.高 アミ口ース ヌイズスタ ーチの食品 への応用

  食 バン、朝食 用シリアルやパス夕等の主食へのHAMSの添加を試みた結果、食品 中 の 食 物繊 維 含量 は 、食 パ ンで は90%、朝食用 シリアルで は300% 、パスタで は200% ま で増 加 させ る こと が 可能であっ た。HAMSの添加は 特に食感を 損なう こ となく達成 された。

  本 研究ではHAMSの 化学的およ び物理的特徴を明らかにするとともに、生体内に おいてHAMSが食物繊維様の栄養生理作用を発現することを明らかにした。さらに、

HAMSの 食品への応 用に取り組 み、各種の高食物繊維含有食品を完成させた。これ

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らの食品は消費者に十分受け入れられており、現在、豪州における公衆栄養の改善 に広く貢献している。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

     学位 論 文題 名

  The Development and Application of High Amylose rvIaize Starches for Food ,   Nutritional Benefit and Public Health

(高アミロースメイズスターチの食品,栄養及び健康を     目指した開発と応用)

   本論文は、英文74 頁、図15 、表31 、引用文献105 、6 章からなり、他に 参考論文13 編が付されている。

  従来 、摂取した スターチは、ほぼ100%が小腸で消化吸収されると考えられて いたが、最近の研究結果から、摂取したスターチの一部は消化抵抗性を示し、未消 化のまま大腸に流入することが明らかになった。このような消化抵抗性を示すスタ ーチ(レジスタントスターチ)は食物繊維と同様の栄養生理作用を発現すると考え られる。

  高ア ミ口ースメ イズスター チ(HAMS)は天然のス ターチのなかで唯一、高いゲ ル化 温度(>150℃)を示し、通常の調理後も高い消化抵抗性を示すことが知ら れているが、このようなHAMSの性質は、食品中のレジスタントスターチ含量、す なわち食物繊維含量を増加させることにっながると考えられる。本研究では、ヒト の 健 康に お けるHAMS摂 取の 栄 養生 理 的意義およ びHAMSの食品へ の応用につ い て検討した。

1.ヌイズ(トウモロコシ)の育種とスターチの構造解析

  高アミ□ースメイズ種は通常のメイズに比ベ高いアミ口ース含量を示すが、高ア ミロースヌイズ種から抽出されたスターチ粒は、微細構造、分子構造また物理的及

孝 守

男 則

   

山 間

田 西

青 本

冨 葛

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び 化学 的構 造に おい て通 常の メイ ズス ター チ粒 とは 異なる 幅広い特徴を有している こ とが 明ら かに なっ た。 高ア ミ口 ース メイ ズ種 のス ターチ 粒の特徴には、不均一な 粒 形、 アミ ラー ゼに 対す る強 い抵 抗性 (高 食物 繊維 含量を 示す)、調理後の高ゲル 強 度、 さら にス ター チ分 子の 平均 分子 量が 低い こと 等が認 められた。またスターチ 中 の食 物繊 維含 量は 、ア ミ口 ース 含量 に比 例し てい ること が明らかになった。アミ 口 ー ス 含 量 80% の HAMSは 重 量 比 で 25% の 食 物 繊 維 に 相 当 し た 。 2.高アミ口ースヌイズスターチの栄養生理的重要性

  ヒ ト 、 動 物 を 問 わ ず 、HAMSは 通 常 の スタ ーチに 比ベ 食後 の急 激な 血糖 上昇 およ び イン スリ ン分 泌を 抑制 した 。ま た、 ヒト およ びブ タを用 いた実験から、摂取した HAMSの 大 半 は 小 腸 で の 消 化 ・ 吸 収 を 逃 れ、 大腸に 達す るこ とが 明ら かに なっ た。

す な わ ち 、 回 腸 造 婁 術 を 施 し た 被 験 者 に通 常のメ イズ スタ ーチ また はHAMSを スタ ー チ 源 と す る食 事(ス ター チと して50g)を 摂取さ せ、 糞便(ileal effluent)を回 収 し ス タ ー チ 排 泄 量 を 測 定 し た と こ ろ 、 通 常 のス タ ー チ で は2.4gで あ っ た が 、 HAMSでは19.9gに達した。

  さ ら に 、 ヒ ト お よ び ブ タ の 実 験 結 果 から 、大腸 に達 したHAMSは腸 内細 菌に よっ て 利用 され 、発 酵産 物と して 主に 酢酸 、プ ロピ オン 酸およ び酪酸などの短鎖脂肪酸 の 産 生 を 促 進 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。 す な わ ち 、39g/ 日 のHAMSを3週 間 連 続し てヒ トに 摂取 させ た時 、糞 中の 酢酸 およ び酪 酸排泄 量は、通常のスターチを 摂 取 し た 時 に 比 ベ 、 そ れ ぞ れ39% お よ び100% の 増 加 を 示 し た 。 ま たHAMS摂 取時の糞便pHおよび二次胆汁酸濃度は有意に低下した。

3. 高 ア ミ 口 ー ス ヌ イ ズ ス タ ー チ の プ レ バ イ オ テ ィ ク ス と し て の 利 用   天 然 のHAMSま た は 種 々 の 化 学 修 飾 し たHAMSは 、 い ず れ も 試 験 管 内 に お い て bifidobacteriaの増殖を刺激することが明らかになった。またBifidobacterium longum の 生 菌 製 剤 を ス タ ー チ と と も に ブ タ に 摂取 させた 実験 では 、HAMSを 摂取 した 群の 糞 中Bifidobacteriaの菌数は、通常のスターチを摂取した群に比ベ有意に高い値を示 した(logi0 11.73 vs. 109i0 10.76)。

4.高アミ口ースヌイズスターチの食品への応用

  食 バ ン 、 朝 食 用 シ リ ア ル や パ ス 夕 等 の主 食へのHAMSの添 加を 試み た結 果、 食品 中 の 食 物 繊 維 含 量 は 、 食 パ ン で は90% 、 朝 食 用 シ リ ア ル で は300% 、 パ ス タ で は200% ま で 増 加 さ せ る こ と が 可 能 で あ っ た 。HAMSの 添 加 は 特 に 食 感 を 損 な う ことなく達成された。

  本 研 究 で はHAMSの 化 学 的 お よ び 物 理 的特 徴を明 らか にす ると とも に、 生体 内に お いてHAMSが食 物繊 維様 の栄 養生 理作 用を 発現 する ことを 明らかにした。さらに、

HAMSの 食 品 へ の 応 用 に 取 り 組 み 、 各 種 の高 食物繊 維含 有食 品を 完成 させ た。 これ     ―143ー

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らの食品は消費者に十分受け入れられており、現在、豪州における公衆栄養の改善 に広く貢献している。

  よって審査員一同は、イアン・ルイス・ブラウンが博士(農学)の学位を受ける に十分な資格を有するものと認めた。

参照

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