• 検索結果がありません。

博 士 ( 農 学 ) 咼 橋 良 二

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 農 学 ) 咼 橋 良 二"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 農 学 ) 咼 橋 良 二

学 ′ 位 論 文 題 名

Biochemical and genetic studies of the response of  soybeans  (Glycine rnax)  to low temperatures.

( ダ イ ズ の 冷 温 反 応 の 遺 伝 ・ 生 化 学 的 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  北 海 道 に お ぃ て は 、 ダ イ ズ は 畑 作 の 基 幹 作 物 と し て 輪 作 体 系 上 重 要 な 位 置 を占 めて い る 。 現 在 栽 培 さ れ て い る ダ イ ズ 品 種 は 、 低 温 抵 抗 性 が 不 十 分 な た め 、 低 温 年に は収 量 と 品 質 の 低 下 が 著 し く 、 農 業 経 営 を 不 安 定 に す る 要 因 に な っ て い る 。 中 で も、 種子 の 臍 色 が 黄 色 の 白 目 ダ イ ズ は 、 臍 色 が 暗 褐 色 の 褐 色 ダ イ ズ に 比 べ て 外 観 品 質 が優 れて い る た め 需 要 が 高 い が 、 開 花 期 の 低 温 に よ っ て 種 子 の 臍 周 辺 が 褐 変 す る 低 温 障害 粒の 発 生 が 品 質 の 低 下 を き た し 、 ま た 低 温 に よ る 収 量 の 低 下 も 褐 目 ダ イ ズ よ り 大 きい 傾向 が あ る 。

  本 研 究 は 、 ダ イ ズ の 耐 冷 性 品 種 育 成 の た め の 基 礎 的 知 見 を 得 る た め 、 ダ イ ズの 低温 下 で の 生 育 に お け る 遺 伝 子 発 現 に っ い て 、 生 化 学 的 お よ び 遺 伝 学 的 観 点 か ら 解析 を試 み た も の で あ る 。 結 果 は 以 下 の よ う に 要 約 さ れ る 。

1) 開 花 期 の 低 温 に よ っ て 発 生 す る 種 皮 の 褐 変 の 品 種 間 変 異

  ダ イ ズ の13品 種 を 供 試 し 、 フ ァ イ ト ト ロ ン で 開 花 期 に 低 温 処 理 を 行 う こ と によ り、

種 皮 の 褐 変 の 品 種 間 差 異 を 調 査 し た 。 そ の 結 果 、 白 目 品 種 で は す べ て の 品 種 で褐 変が 認 め ら れ た が 、 褐 目 品 種 で は 種 子 の 臍 の 部 分 の 褐 変 部 位 が や や 拡 大 し た だ け で、 白目 品 種 の よ う な 濃 い 褐 変 は 認 め ら れ な か っ た 。 白 目 品 種 の 中 で は 、 「 ト ヨ ス ズ 」と 「紫 花4号 亅 の 褐 変 粒 発 生 率 と 褐 変 程 度 が 高 く 、 「 コ ガ ネ ジ ロ 」 、 「 ワ セ コ ガ ネ 」 、 「 ト ヨ コ マ チ 」 の 褐 変 粒 発 生 率 と 褐 変 程 度 が 低 か っ た 。 低 温 感 受 性 は 花 の 発 育 ス テー ジに よ っ て 異 な り 、 開 花 か ら 約5日 後 に か け て 次 第 に 増 大 し 、7日 後 か ら10日 後 に か け て 次 第 に 減 少 し た 。 低 温 に 最 も 感 受 性 の 高 い 時 期 は 、 開 花 後 約414目 後 の 原 胚 分 裂 期 頃 で あ る と 考 え ら れ た 。

2)褐 色 色 素 の 抽 出 ・ 定 量 ・ 分 析

  褐 色 色 素 は ア ル カ リ 溶液 によ って 抽出 され た。 開花 期に 低温 処理 した 褐変 種 子か ら、

非 褐 変 種 子 の4倍 以 上 の 色 素 が 抽 出 さ れ た 。 色 素 は 褐 変 し て い な い 種 子 に も 存 在 し 、 低 温 に よ っ て 合 成 が 促 進 さ れ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 抽 出 さ れ た 色 素 は 、 以 下 のよ うに

(2)

メラニン(フェノール類の酸化重合物)に共通の性質を示した。水と有機溶媒に不溶、

アルカリ溶液に可溶、塩酸で沈殿を生じ、酸化剤で脱色され、塩化第二鉄で褐色の沈 殿 を 生 じ た 。 紫 外 ・ 可 視 吸 光 は 短 波 長 側 に 単 調 に 増 大し た 。 そ し て 、400〜600 nmの 吸 光 度 の 対 数 が 直 線 に な っ た 。 赤 外 吸 光 で は3.O、3.4、6.1皿mに 吸 収 が 見 ら れ 、 そ れ ぞ れ ( ーOH)、 ( ―CH)、 キ ノ ン に 相 当 して い る と 考 え ら れ た 。 ま た 、X線 回 析 で は4. 2AのBragg Spacingに 対 応 す る な だ らかな ピー クが 認め られ た。これはカテコールメラニンの特徴であった。さらにアルカリ溶融による色素の分 解産物を薄層クロマ卜分析したところ、カテコールが検出されたため、この褐色色素 はカテコールメラニンであると推定された。

3)着色特性の遺伝様式と連鎖分析

  開花期の低温による種子の臍周辺の褐変程度の高い「キタコマチ」と褐変程度の低 い 「コ ガネ ジロ 」と のF|個体の低温処理の結果より、低温感受性が抵抗性に対して 不 完全 優性 であ ると 考え られ た。F2集 団の 遺伝 分析の結果より、褐変現象には少数 の 主働 遺伝 子が 関与 して いる と推 定さ れた 。ま た、上記の交配においてF2分離を示 す 5個 の マ ー カ ー 遺 伝 子 (Ln, Acol,Enp, 亅 旦h2, Ti) と 褐 変 を 支 配 する遺伝子との闇には、連鎖関係は認められなかった。一方、両品種は白熱灯による 長日処理に対して異なった花芽分化反応を示し、長目感応性は、遺伝的特性であり、

さらに、単遺伝子支配であることを明らかにした。長目感応性を支配する遺伝子と褐 変を支配する遺伝子の間に連鎖が認められ、長日に感応しない遺伝子を同型接合体に もつ個体が開花期の低温による種子の臍周辺の褐変程度が高かった。したがって、長 目に感応しないで、早く開花する個体を淘汰することにより、開花期の低温による種 子の臍周辺の褐変程度の間接的改善が可能であるとした。

4)耐冷性関連遺伝子の同定

  自目・自毛品種と褐目・褐毛品種の酎冷性の違いには、種皮における色素の分布を 支 配す る遺 伝子Iま たは 毛茸と 種皮 の色 を支 配す る遺伝子Tのどちらかが関与してい る と考 えら れた 。そ こで 、遺 伝子TとIに関 する 準同質遺伝子系統を用いて耐冷性検 定を行った。その結果、低温による種皮の褐変は白毛系統には認められたが、褐毛系 統には認められなかった。また、自毛系統の中では、褐目・白毛系統では著しい褐変 が認められたが、白目・白毛系統では褐変は低かった。主茎長の高さは、褐毛系統の 方が自毛系統より高く推移し、生育がより旺盛であると考えられた。また開花期に低 温 処理 を行 った 場合 、白毛系統の莢数、子実数、子実重および開花始〜開花始5日後 の結莢率は、褐毛系統より著しく低い値を示し、白毛系統は褐毛系統より障害型酎冷 性 が低 いこ とが 明ら かに なっ た。 した がっ て、 褐毛を支配する遺伝子T(フラボノイ ドー3 −ヒド口キシラーゼをコードとしていると,推定される)、またはそれに強く 連鎖した遺伝子が耐冷性機能(低温による種皮の褐変を抑制する機能、生育量を増大

(3)

させる機能、障害型耐冷性を高める機能)を支配することが明らかとなった。また、

種皮の着色を抑制する遺伝子Iは、低温による種皮の褐変をある程度抑制する機能が あると考えられた。

5)低温反応遺伝子のク口ーニング

  ダイズの低温感受性の高い生育期である本葉2葉期に、耐冷性品種「キタムスメ」

の幼苗から、ディファレンシャルスクリーニングによって、低温処理によって発現量 の 変 化 す る3っ の 遺 伝 子 (pCRー1〜3)を ク ロ ー ニ ン グ し た。pCRー1は 低 温 処理によって発現量が増大したが、遺伝子発現に品種間差異は認められなかった。

pCR―2も低温処理によって発現量が増大しが、低温下での発現量は「キタムスメ」

の方が低温感受性品種「コガネジロ亅より大きかった。これに対しpCRー3は、「キ タムスメ」では低温処理によって発現量に差は認められなかったが、「コガネジロ」

では低温 処理によって発現量が顕著に低下した。 PCR―2は1125塩基からなり、

290個 のアミノ酸 をコードし ていると推 定された。 PCR−2のタンパク産物はプ ロリン、グリシン、チロシン、グルタミンからなる反復配列を多く有しており、C末 端 側 に 疎 水 性 の 領 域を 有 して い たo PCR―3は 丶747塩 基か ら なり 、178個 の アミノ酸をコードしていると推定され、ルビスコの小サブュニッ卜と相同性が高く、

ダ イ ズ の 耐 冷 性 の 品 種 間 差 異 と 光 合 成 機 能 と の 関 係 が 示 唆 さ れ た 。

(4)

学位論文審査の要旨

主査   教授   島本義也

副査   教授   喜多村啓介(筑波連携大学院)

副査   教授   三上哲夫

学 位 論 文 題 名

Biochemical and genetic studies of the response of  soybeans   (Gl.ycine rnax)  to low temperatures.

(ダイズの冷温反応の遺伝・生化学的研究)

  本 論 文 は 、 図33、 表12、 引 用 文 献88を 含 み 、5章 か ら な る 総 頁 数102の 英 文論文である。別に、参考論文6編が添えられている。

  亅ヒ海道においては、ダイズは畑作の基幹作物として輪作体系上重要な位置を占めて いる。現在栽培されているダイズ品種は、低温抵抗性が不十分なため、低温年には収 量と品質の低下が著しい。特に、開花期の低温によって種子の臍周辺が褐変する低温 障 害 粒 の 発 生 と 生 育 初 期 の 低 温 に よ る 生 育 遅 延 が 問 題 と な っ て い る 。   本研究は、ダイズの耐冷性品種育成のための基礎的知見を得るため、ダイズの低温 下での生育における遺伝子発現にっいて、生化学的および遺伝学的観点から解析を試 みたものである。結果は以下のように要約される。

  ダ イズ の13品種 をファ イ卜 トロ ンで 開花 期に 低温処理した。種子の臍の周囲に、

白目品種では褐変が生じ、褐目品種では着色部位がやや拡大したのみであった。褐変 粒発生率と褐変程度の両方で、自目品種の中では「トヨスズ」と「紫花4号」が高く、

r・コガネジ口」、「ワセコガネ」、「トヨコマチ」が低かった。低温感受性は、開花 か ら 約5日 後 に か け て 次 第 に増 大し 、7目後 から10日後 にか けて 次第 に滅 少し たこ とか ら、 低温 に最 も感受 性の 高い 時期 は、 開花 後約4〜14日後 の原 胚分 裂期 である と考えられた。

  アルカリ溶液によって抽出された褐変粒の褐色色素は、開花期に低温処理した褐変 種子 から 、非 褐変 種子の4倍以上の量が抽出された。色素は褐変していない種子にも 存在し、低温によって合成が一層促進されることが示唆された。抽出された色素は、

フェノール類の酸化重合物であるメラニンに共通な性質を示した。さらに、アルカリ 溶融による色素の分解産物の薄層ク口マト分析により、この褐色色素はカテコールメ

271

(5)

ラニンであると推定された。

  開花期の低温による種子の臍周辺の掲変程度の高い「キタコマチ」と褐変程度の低 い 「コ ガネ ジ口 」とのFl個体の低温処理の結果より、低温感受性が抵抗性に対して 不完全優性であると考えられた。Fz集団の遺伝分析の結果より、褐変現象には少数の 主 働遺 伝子 が関 与して いる と推 定さ れた 。ま た、Fz分離を示す5個の標識遺伝子と 褐変を支配する遺伝子との問には、連鎖関係は認められなかった。一方、両品種は白 熱灯による長日処理に対して異なった花芽分化反応を示し、長目感応性は遺伝的特性 であることを明らかにした。そして、その長日感応性を支配する遺伝子と褐変を支配 する遺伝子との間に連鎖が認められた。F2個体のうち、長日に感応しない遺伝子を同 型接合体にもつ個体が開花期の低温による種子の臍周辺の褐変程度が高かったので、

そのような個体を淘汰することにより、開花期の低温による種子の臍周辺の褐変程度 の間接的改善が可能とした。

  白目・自毛品種と褐目・褐毛品種の耐冷性の違いには、上、エのどちらかが関与し ていると考えられた。毛茸と種皮の色を支配する遺伝子Tと種皮における色素の分布 を支配する遺伝子Iに関する準同質遺伝子系統を用いて耐冷性検定を行ったところ、

エまたはそれに強く連鎖した遺伝子が種々の生育段階での耐冷性を支配すること、ま た 、Iは 低 温 に よ る 極 皮 の 褐 変 を あ る 程 度 抑 制 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。   耐冷性品種「キ夕厶スメ」から、ディファレンシャルスクリーニングによって、幼 苗 期の 低温 処理 によって発現量が変化する3っの遺伝子をク口ーニングした。2っの 遺 伝子 は共 に発 現量が増大したが、1っは発現量に品種間差異がなく、1っは低温下 での発現量は「キタムスメ」の方が低温感受性品種「コガネジロ」より大きかった。

これに対し、3つ目の遺伝子は、低温処理によって、「キタムスメ」では発現量に変 化はなかったが、「コガネジロ」では発現量が顕著に低下した。この遺伝子は、ク口

ーニ ング の結 果から747塩基からなり、

ビスコの小サブュニットと相同性が高く、

との関係が示唆された。

178個 の アミ ノ酸 をコ ード して おり 、ル ダイズの耐冷性の品種間差異と光合成機能

  ダイズの品質にとって重要な子実種皮において、開花期の低温による褐変現象を生 イヒ学的および遺伝学的に解析した。さらに、幼苗期の耐冷性にっいて、分子遺伝学的 に検討を加えた。得られた知見は、北海道の畑作に適したダイズ耐冷性品種の育成に 寄与することが大であり、また、多くの基礎的な研究成果は、学会において高く評価 されている。

  よって審査員一同|ま、別に行った学力確認試験の結果と合わせて、本論文の提出者 高 橋 良 二 は 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 ける に十 分な資 格が ある もの と認 定し た。

参照

関連したドキュメント

Leaning by Expanding An activity-theoretical approach to developmental research.. Cambridge: Cambridge

Horikoshi Characteristics of multivalent impurity doped C60 films grown by MBE 14th International Conference on Molecular Beam Epitaxy, Tokyo, Japan, September 3-8, 2006..

Cioffi, “Pilot tone selection for channel estimation in a mobile OFDM systems,” IEEE Trans.. Sunaga, “Rayleigh fading compensation for QAM in land mobile ra- dio communications,”

ている。本論文では、彼らの実践内容と方法を検討することで、これまでの生活指導を重視し

主任審査委員 早稲田大学文学学術院 教授 博士(文学)早稲田大学  中島 国彦 審査委員   早稲田大学文学学術院 教授 

1)研究の背景、研究目的

柴田 正良 副学長 SHIBATA Masayoshi 山本 博 副学長. YAMAMOTO Hiroshi

リポ多糖(LPS)投与により炎症を惹起させると、Slco2a1 -/- マウス肺、大腸、胃では、アラキ ドン酸(AA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)で補正した PGE 2