博士(理学) 川守田創一郎
学 位 論 文 題 名
Development of Transition IVIetal CatalyzedC ― HandC ― Cl Borylation Reactions with Silica‑Supported Phosphine Ligands (シリカ担持ホスフイン配位子を用いた遷移金属触媒 C ―H および C ―Cl ホウ素化反応の開発)
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
本 論文 はシリ カゲル 担持ホ スフイ ン配 位子を 用いた 遷移金 属触媒によるGーH結合、G―Cl結合の効率的ホ ウ 素 化 反 応 の 開 発 に つ い て 記 述 し 、 序 論 と 六 つ の 章 か ら 構 成 さ れ る 本 論 か ら な る 。 有機ホウ素化合物はその特異な反応性や電子的性質などから、有機イ匕学において極めて有用な化合物群の ー っであ る。序 論の 前半で は、有 機ホウ 素化合物の有用性として、合成中間体としてのみならず、生理活性 物 質や中 性子捕 捉剤 、セン サー分 子など 様々な分野での応用例について記述する。さらに、一闘拘な有機ホ ウ 素化合 物の合 成法 とその 問題点 にっい ても 合わせ て記述 する。
遷移金属を用いた触媒反応において、配位・子の設計によって配位数を制御することは、極めて重要で、触 媒 滑出こ 大きな 影響 を与え ること が知ら れている。序論の後半では、ホスフイン配位子の設計に基づく配位 数 制御の 方法論 とこ れまで の報告 例につ いて も記述 する。
申 請者 の所属 研究室 では、 かご型 トリ アルキ ルホス フインSMAPを開 発し、 それ をシリカゲ´レ表面上に 固 定化さ せるこ とに よって 固相担 持配位 子Sijica‑SMAPを 開発し ている。この配位子はコンパク卜なかご型 配 位子が 剛直な シリ カゲル 表面上 のシラ ノールと直接結合した構造を有しており、それぞ加の配位子分子の 可 動性は 極めて 制限 されて いる。 そのた め、表面上で空間的に分散された配位子分子はーつの金属中心に対 し て複数 個配位 する ことが 抑制さ れ、結 果として金属に対する配位数を制御する事が可能となる。申請者は こ の方法 論によ って 発生させた配位不飾Fロな金属種が、触媒的ホウ素化反応に極めて効果的であることを見 出 し た 。 本 論で は 配 位 子の固 相担 持によ って加 速され るIrま たはRh触 媒に よるG−H結合の 直接 ホウ素 化 反 応、な らびに 不活 性なC‑の 結合のPd触媒 による ホウ素 化に っいて 示す・ 。
高活性 金属種 の
−1343 ‑
フイン
面への
持
申 請者 はSilica‑SMAPがIr、ま たはRh触媒 によ る 官能基化 され虎アレーン類 のオソレト位選択 的C―H結 合 直 接 ホ ウ 素 化 反 応 に 高 い 反 応 加 速 効 果 を 示 す こ と を 見 出 し た(Scheme1) 。 第 一 章 と 第 二 章 で は Silica‑SMAP・Ir触媒 を用 い た、 酸素 系 の官 能基 や 塩素 原子 の オル ト位 ホ ウ素 化に つ いて 、第 三 章では Silica‑SMAP−Rh触 媒 を 用 い た 窒 素 系 官 能 基 の オ ル ト 位 ホ ウ 素 化 反 応 に つ い て 記 載 さ れ て い る 。 Scheme1.
! ゛ 字 》 ・ 辞 ― 一 一 J
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Silica‑SMl '
さ らに 、 この 方法 論 はよ り困 難 なC(sp3‑H結合 へ も適 用す ることが可能であ る。第四章ではシ リカゲル 担持した、かご 型トリアリールホス フインsilica.皿uPとRh触媒を用い たアミドーやウレア 、アミノピリジ ン 類 の 窒 素 隣 接C(sp拳 ・H結 合 の 直 接 ホ ウ 素 化 に つ い て 記 述 す る (scbemeめ 。 ま た 、 第 五 章 で は Silica‐SMAP− .h触媒に よるピリジンを配向基とした、活性イ匕されていなぃアルキル基への直接ホウ素化に っ い て 示 す 侶 出eme3) 。 こ れ ら の 反 応 は 通 常 の 均 一 系 の 配 位 子 を 用 い て も ほ と ん ど 進 行 し な い 。 第 六章 で はSnica‐SMAP一 ・Pd触媒 を 用い たハ ロ ンゲ ン化 アリールのホウ素 化反応について記 述する。
Sihca・SMAP一Pdは反 応点 周 りの 立体 鰭が大きく、 反応性の乏しい基 質へも適用司能であ るくscheme4)。
Scheme2 ・
〔 : ユ 災 ニ ! 豐 | pinB ー Bpin 2eqR
O
Bpin 0
句Me 丶O 八 Bpin
Scheme 3.
.‑'‑. Slllca‑SMAP‑Ir
(2.0 moI%) ‑ lin R pinB‑Bpin N R
3 e q
, . 。 M e ' M e p in B
50 'C, 139%* 25 'C, 129%* 100 'C, 112%* 80 'C, 81%* 60 'C, 86%' 60 'C, 72%*
'based on pinB‑Bpin
Scheme 4.
R Slllca‑SMAP‑Pd R
R
| . 5 m o I % ) C I+ p i n B ‑ B p i n ‑
一 一 一 一 ― ■ 一 ト
R KOAc (3 eq) ̲ R R = Me, Et, Pr, Ph
Bpin R
本手法は、既存法 では合成困難な有 機ホウ素化合物を入手容易な尿糾から直接合成することを可能にした。
さ らに、これらの結 果は配位子の固相 担持により金属rp,Lw、の配 位数の制御が可能で、それによって発生し た 配位不飽和金属種 が触媒反応に極め て効果的であること を示している。し たがって、本方法論5ま遷移金属 触 媒 を用 いたC‑H結合 活性化反応やカップ リング反応におけ る、高活性触媒の 新たな設計手法とな りうる。
−1344 ‑
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学位論文審査の要旨 主 査 教 授 谷 野 圭持 副 査 教 授 澤 村 正也 副 査 教 授 原 正治 副査 准教授 大宮寛久
学 位 論 文 題 名
Development of Transition IVIetal CatalyzedC ― HandC ―.Cl Borylation Reactions with Silica‑Supported Phosphine Ligands (シリカ担持ホスフイン配位子を用いた遷移金属触媒C ―H および C ― Cl ホウ素化反応の開発)
本 論文 はシ リカゲル担持ホスフィン 配位子を用いた遷移金属触媒によるC 一H 結合、C
−Cl 結合の効率的 ホウ素化反応の開発について記述し、序論と六つの章から構成される本論 からをる。有機ホ ウ素化合物はその特異を反応性や電子的性質をどから、有機化学において 極めて有用を化合 物群のーつである。序論の前半では、有機ホウ素化合物の有用性として、
合成中間体として のみをらず、生理活性物質や中性子捕捉剤、センサー分子をど様々を分野 での応用例につい て記述している。さらに、一般的を有機ホウ素化合物の合成法とその問題 点についても合わ せて記述している。序論の後半では、ホスフアン配位子の設計に基づく配 位数制御の方法論 とこれまでの報告例についても記述している。
著者 の研 究で 用いられた固相担持配位 子Silica‑SMAP はコンパクト をかご型配位子が剛 直をシリカゲル表 面上のシラノールと直接結合した構造を有しており、それぞれの配位子分 子の可動性は極め て制限されている。そのため、表面上で空間的に分散された配位子分子は ーつの金属中心に 対して複数個配位することが抑制され、結果として金属に対する配位数を 制御する事が可能 とをる。著者はこの方法論によって発生させた配位不飽和を金属種が、触 媒的ホウ素化反応 に極めて効果的であることを見出した。
著者 はSilica‑SMAP がIr 、ま たは Rh 触 媒に よる 官能 基化 され た アレ ーン類のオルト位 選択的C ―H 結合直 接ホウ素化反応に高い反応加速効果を示すことを見出し た。第一章と第 二章ではSilica‑SMAP ーIr 触媒を用いた、酸素 系の官能基や塩素原子のオルト位ホウ素化に つ いて 、第 三章 ではSilica‑SMAP −Rh 触媒を用いた窒素系官能基のオ ルト位ホウ素化反応 について述べられ ている。
さらに、この方 法論はより困難をC(sp3) ―H 結合へも適用することが可能である。第四章 で はシ リカ ゲル 担持した、かご型トリア リールホスフインSilica‑TRIP とRh 触媒を用いた アミドやウレア、 アミノピリジン類の窒素隣接C(sp3) −H 結合の直接ホウ素化について記述 している。また、 第五章ではSilica‑SMAP −Ir 触媒によるピリジンを配向基とした、活性化 されていをいアル キル基への直接ホウ素化について示している。
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第 六 章 で はSilica‑SMAP―Pd触 媒 を 用 い た ハ ロ ン ゲ ン 化 ア リ ー ル の ホ ウ 素 化 反 応 に つ い て 記 述 し て い る 。Silica‑SMAP−Pdは 反 応 点 周 り の 立 体 障 害 が 大 き く 、 反 応 性 の 乏 し い 基 質 へ も 適 用 可 能 で あ る 。
こ れ を 要 す る に 、 著 者 は 遷 移 金 属 触 媒 反 応 の 新 し い 設 計 指 針 を 示 す と と も に 有 機 合 成 に お け る 新 た を 概 念 を 提 供 す る 画 期 的 を 成 果 を あ げ た も の で あ り 、 有 機 合 成 化 学 、 有 機 金 属 化 学 の み を ら ず 錯 体 化 学 を 含 む 広 い 分 野 に 対 し 貢 献 す る と こ ろ 大 を る も の が あ る 。 よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。
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