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博 士 ( 医 学 ) 町 野 倫 太 郎

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 町 野 倫 太 郎

     学 位 論 文 題名

Detrusor Instability With EqulvOCa10bStruCtion : APrediCtorofUnf ・ aVOrableSymptomatiCOutCOmeS     AfterTranSurethralPrOStateCtomy

     ( 無 抑 制 収 縮 を 伴 う 前 立 腺 閉 塞 不 明 瞭 症 例 :      経 尿 道 的 前立腺 切除術 におけ る予後 不良 因子の 解析)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

1.緒言

  前 立腺 肥大症(BPH)に 対す る経 尿道 的前立 腺切 除術(TUR‑P)は有用な手 技である。前立腺閉塞(閉塞)が明瞭な症例の方が、不明瞭な症例より手術後 の症状の改善がよいことが知られているが、後者の成績も不良とは言えない。

一方、術後の症状改善が悪い症例は、術前から続く無抑制収縮(DI)の残存と の関連が示唆されている。以上より、術前のDIは予後予測因子である可能性が あり、術前のDIと閉塞を評価することでTUR‑Pの予後の予測ができないか検 討した。

2.対象と方法

  対象は北海道大学医学部附属病院でTUR‑Pをうけた患者62例である。各症 例において国際前立腺症状スコア(I‑PSS)、生活の質指数(QOL index)、尿 流量測定検査(UFM)、膀胱内圧測定検査(CMG)、pressure‑flow study (PFS) を術前と術後3力月で行った。PFSにおける閉塞の判定はAbrams‑Griffiths ノモグラムにより行った。治療効果判定は症状に関してはI‑PSSが25%以上改 善したものを成功と定義した。同様に機能に関してはUFMにおいて最大尿流 量率(Qmax) 2.5ml/sec以上 の改善を示したもの、生活の質(QOL)に関して はQOL indexが1以上改善したものを成功とした。症状、機能、QOLの全ての 分野で成功と判定されたものを全体での成功と定義した。まず患者を術前での 閉塞不明瞭症例(28例)と閉塞症例(34例)に群別化し、成功率を比較した。

次に術 前で のDIなし 症例(34例)とDIあ り症 例(28例 )と で比較した。最 後に閉塞とDIを組み合わせ、閉塞不明瞭DIなし症例(21例:グループ1)、

閉塞不 明瞭DIあ り症 例(7例 :グループ2)、閉塞明瞭DIなし症例(13例:

グループ3)、閉塞明瞭DIあり症例(21例:グループ4)に群別化し比較検討 した。

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3.結果

  閉塞不明瞭群と閉塞群を比較すると、I‑PSS、Qmax、QOL indexとも同様に 改善し丶I手術の成功率は症状において前者では85%、後者で94%であり、両者 に有意差はなかった。機能(84%、81%)、QOL (96%、100%)、全体(67%、

73%)においても両者に差はなかった。DIなし群とDIあり群を比較すると、

同 様に 症状(91%、89%)、機能(77%、88%)、QOL(100%、96%)、全 体、 (70%、71%)において両者に有意差はなかった。術前での閉塞とDIを組み 合わせた検討では、グループ2において他の3群に比較して術後のIPSSが高 い傾向であり、特に蓄尿症状のスコアが高かった(6.9対3.6〜4.2)。このこと からTUR一Pの成功率は症状(グループ1:95%、グループ2:57%、グループ 3:85%、グループ4:100%)と全体〈グループ1:82%、グループ2:29%、

グループ3: 54%、グループ4:88%)で4群間に有意差を認めた(pく0.01、 pく0.05)。さらにnonp arametrical  multicomparative検定を行ったところ、

グループ1とグループ2の間で症状において有意差を認め、グループ2とグル ープ4の間で症状と全体において有意差を認めた(pく0.05)。QOL(グループ 1:100%、グループ2:86%、グループ3:100%、グループ4:100%)に関し ては有意差はなかっ.たが(p=0.0558)、グループ2で成功率が低い傾向であっ た。グループ2において術後の蓄尿症状スコアが高かったため、術後のDIの有 無 を検 討した とこ ろ、 グループ2の60%(5例中3例)に、グループ4の27%

(11例中3例)にDIが残存していた。

4.考察

  今回の検討から、TUR‑P術前のウ口ダイナミック所見で閉塞とDIを組み合 わせたところ、DIを伴う閉塞不明瞭症例(グループ2)は有意に手術の成功率 が低いことが分かった。またこれらの症例はDIの残存率が高く、このことが成 功率を低下させている原因と考えられた。これまではTUR‑Pの予後予測因子と して閉塞の有無が重要視されているが、閉塞不明瞭症例でもある程度手術は有 効であり、閉塞の有無の評価のみでは予後の予測には不充分と考えられる。一 方DIの有無は、予測因子としては不適当であるとする意見がある反面、術後の 蓄尿症状とある程度関連し重要であるとする意見もあり、評価が定まっていな い。どのような症例で予後が悪いのか議論の余地があった。また、閉塞に伴う DIはTUR‑P術後に改善がみられること、術後に症状改善が思わしくない症例 にDIが残存していることが報告されているが、どのような症例でDIが改善ま たは残存するのか明確ではなかった。DIを伴う閉塞不明瞭症例は予後が悪いと いう点と、DIの残存率が高いという点で以上の疑問に明確な回答を提示してお り 、 術 前 のCMGtまPFSと と も に 重 要 な 検 査 で あ る こ と が確 認 さ れ た 。

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Detrusor Instability With EqulvOCa10bStruCtion : APrediCtorofUnf ・ aVOrableSymptomatiCOutCOmeS     AfterTranSurethralPrOStateCtonly

    ( 無 抑 制収 縮 を 伴 う前 立腺閉 塞不 明瞭 症例 : 経尿道的前立腺切除術における予後不良因子の解析)

前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術(TUR‑P)の予後を予測するため、62例の 術前後の自他覚所見を比較検討した。国際前立腺症状スコア(I‑PSS)、生活の質指数(QOL index)、 尿流 量 測 定(UFM)、 膀 胱内 圧 測 定(CMG)pressure‑flowstudy (PFS) 術前と術後3カ月で行った。治療効果判定はI‑PSS、UFMにおける最大尿流量率(Qmax) QOL indexの改善をもって症状、機能、QOLにおいて成功とし、3、分野全てで成功のも のを全体での成功と定義した。閉塞不明瞭症例(28例)と閉塞症例(34例)を比較する と、成功率は症状、機能、QOL、全体において両者に差はなかった。排尿筋無抑制収縮(DI) なし症例(34例)とDIあり症例(28例)を比較すると、同様に両者に差はなかった。閉 塞不明瞭DIなし症例(21例:グループ1)、閉塞不明瞭DIあり症例(7例:グループ2)、

閉塞明瞭DIなし症例(13例:グループ3)、閉塞明瞭DIあり症例(21例:グループ4 で比較したところ、成功率は症状と全体においてグループ2で有意に低値であった。また グループ2の60%に、グループ4の27%にDIが残存していた。以上より、術前の閉塞や DIの有無単独では予後を予測できなかったが、両者を組み合わせたところ、DIを伴う閉 塞不明瞭症例は有意に手術の成功率が低いことが示された。またこれらの症例ではDIの残

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雄 生 彦 邦 行 知 代野 柳 田 真 小 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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存率が高く、このことが成功率を低下させている原因と考えられた。この学位論文の内容 に対し、最初に真野行生教授より、前立腺肥大症に合併するDIに関し質問があった。術前 の約半数にDIを認め、それらの多くは閉塞のためと考えられるが、閉塞以外の因子も関与 していると解答があった。また機序に関しては、除神経過敏反応、神経の可塑性、筋原性 の可能性があるものの、加齢変化や潜在性神経因性膀胱などにより修飾されると解答があ った。小柳知彦教授から、予後不良群の予測が可能になったことは臨床的に非常に重要で あるとの評価があった。PFSによらない閉塞の診断に関し質問があり、Qmaxが12ml/sec 以下では閉塞の可能性が高いとの解答があった。その後同教授より前立腺が小さく、

Qmaxが高く、刺激症状の高い症例は予後不良群ではないかとの重要な示唆があった。予 後不良群の基礎疾患にっき質問があり、既往歴や現症から神経因性膀胱症例は除外してい ると解答があった。柿崎秀宏講師より、予後判定時期に関し質問があった。術後1か月で 23%に残存していた切迫性尿失禁が術後6か月でほとんど改善したというAmedaらの報 告と、本研究において術前7例の切迫性尿失禁が術後3か月で全例改善していたというこ とから、術後3か月でもある程度長期の成績を反映していると考えられると解答があった。

最後に田代邦雄教授から、informedcon8ent、手術以外の治療法、加齢による影響、自律 神経疾患の除外に関し質問があった。予後不良群の患者には成功率を伝え、患者の意思を 尊重すること、手術以外にはaブロツカーを始めとする薬物療法があること、加齢により DIが増加することから、高齢者の方が成功率は低くなるのではないかということ、糖尿病 や起立性低血圧がないなど、臨床症状から自律神経疾患を除外しているとの解答があった。

  この論文は、前立腺肥大症の治療法選択において、有用な情報を提供していることで高 く評価され、今後さらなる症例の蓄積によって、患者により詳細なinformedconsentの提 供を可能にすると期待される。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに 充分な資格を有するものと判定した。

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参照

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